美術 2017年
* 夕方まで建日子と過ごした。雑煮も食事もともにし、建日子はこつこつ仕事をしていた。わたしも機械の前で昔々の谷崎潤一郎を語り合った鼎談の色淡くなっ い原稿を苦心しながら読んでいったりした。ときどき階下へ降り、親子三人で […]
* 夕方まで建日子と過ごした。雑煮も食事もともにし、建日子はこつこつ仕事をしていた。わたしも機械の前で昔々の谷崎潤一郎を語り合った鼎談の色淡くなっ い原稿を苦心しながら読んでいったりした。ときどき階下へ降り、親子三人で […]
* 村上華岳のことをいろいろに思いまた考えては書いたり話したりしていたのを見直している。 華岳はたまらなく懐かしい。そういう思いを惹く近代の画人は、少ない。無いといいたいほどである。好きな画人ならいるが。 文学の方で、溜
* たしか『京のひる寝』に「冬の花」を書いていて想像以上に多彩なのが嬉しかったのを思い出す、が、王者はやはり「梅」か。水戸の梅、北野の梅、青梅の梅。元気に身を働かせ、脚を運んでみたいもの。根津美術館へも五島美術館へも久し
* 明日は頑張って正午の松濤観世能楽堂、梅若万三郎の「翁」へ行きたい。東次郎の狂言と仕舞いとを観て、一気に浅草線地下鉄で日本橋高島屋での「星星会」四人画展に間に合いたいものと願っている、が、さ、それだけの移
* 正月の飾りに掛けていた鵬雲斎の「壽」字軸を仕舞い、かわりに都路華香の筆になる洒脱な大軸を掛けてみた。大きな太い線描きの雪だるまが面白く、「百尺の竿振って松の雪払ふ」とある句の字も面白い。 鵬雲斎の軸に添
* カレンダーが一斉に新しい。仕事をするこの機械部屋には山種美術館からの、河合玉堂「松上双鶴」。この部屋に入る明るい二階廊下には上村淳之画伯に戴いた、花鳥画に書家杉岡華邨の家持元日の万葉秀歌 新たしき 年の
* 電子メールで、新春初の賀状をいただいた。去年までは年が変わるとアドレスの分かる数百人に一斉に電子の賀状を発送していた。その返信が津波のように押し寄せたものだが、今年からは、それをやめにした。少しずつ少し
* 小豆の雑煮を祝う。 * この正月は、玄関に駆けた巨勢秋石の「蓬莱山」と題のある長い丈高い掛け軸が気に入っていた。叔母の初釜に、結び柳をそえてかならず掛けていた。伸び上がって喬い松の梢に双の鶴、遙かに空高
* いま「mixi」の、「湖」のホームを開くと、さっと栖鳳の名画が目に飛び込む。わずか三センチ四方のちっちゃい写真だが、なんというすばらしさか。それだけで、幸せになる。幸せとはこういうことでもある。日本をわ
* 山種美術館のカレンダーは、表紙・横山大観の『心神富士』から、一月二月は上村松園の美人画『牡丹雪』。鳥山玲さんの「輝」くカレンダー、一月二月は、飛翔華麗の『丹頂双希』。 * お静かに二日の朝を迎へける