* 役所宏司と鈴木京香という好きな二人の、バカに前評判のうるさいドラマがあったので、では見ようかと見はじめたものの、出だしそれほどと思われず、自分の作品の前へ戻ってきた。あれなら、ピアス・ブロスナンとレネ・ルッソの活劇映画を楽しんだ方がマシだったろうか。全部は見ていないのだから判断は控えておく。その前に、巨人・阪神開幕第一戦で阪神が逆転勝ちした(ろうと思っている)方が、活気づいて面白かった。テレビ画面は見てなかった。浴室で、そんな様子が聞こえていた。
2004 4・2 31
* 女子バレーボールのオリンピック予選を一度二度覗いていたが、昨日についで今夜も快勝に至る昂奮の二セット、楽しんで見た。魅力的な選手揃いで応援に力が入った。ヘンなリクツが何も無い、完全燃焼してストレートなのが美しい。今度のオリンピックは女子勢がとても多彩に充実しているようで、八月は、オリンピックの虜にされそうだ。楽しみだ。また観たい、また観たいと云いつつ此処までの何回かのオリンピックを観てきた、東京オリンピック以来。
2004 5・15 32
* 瓦鍾馗の対談録が少しも読めない。明日の「NHKブックス」創刊四十年を祝うパーティが終わってからだ、気持ち夏休みは。なにしろわたしは、自分でも信じられないほど八月のオリンピックを楽しみにしている。
2004 6・28 33
* 無敵の朝青龍に栃東が勝ったと妻が報せに来た。やるべき人がやっている。どっちも佳いお相撲サンである。
2004 7・14 34
* 北京での日本と中国のアジア・カップ決勝戦、前半を見て一対一はそれでいい。だが、スポーツでまるで国と国との代理戦争のようなことをやっている。だんだん不愉快になって、ばからしくなりテレビの前を立ってきた。ああいう中国も嫌いだし、ああいう日本側の放送ぶりも嫌いだし、アンフェアな審判も嫌い。見ているとからだが汚れてきそうでイヤだ。此処で、赤ちゃんの顔や阿修羅像の顔や、澤口靖子の顔や谷崎潤一郎の顔を見ながら、仕事している方が落ち着く。
* 日本サッカーは中国の手ひどいアウェイに屈せず、三対一で、アジアカップに結局優勝したという。負けるよりはよかった。
2004 8・7 35
* 重慶や北京でのサッカー試合で、中国サポーターのあのマナーのわるさには、日本人でなくても顰蹙し軽蔑するだろう。一つ間違えば日本人もやるのであり、ばかげたイヤなことだ。人を救うはずの神や宗教の名において国と国とが殺戮戦を繰り返し、スポーツの名において国と国とが罵声と無礼とを投げ付け合う。これが人間のすることさなどとお高くとまっていられない厭悪の気持ちで不快になる。民衆の口から「殺す」といった言葉がいと簡単に叫ばれていると、政治や外交の無力さがひとしお意識に浮き上がる。情けない。日中文化交流協会など、何を思っているのだろう。日中名士交換招待協会では仕方がない。体育は明らかに「文化交流」の分野である。
2004 8・9 35
* 日本女子サッカーのスウェーデンとの緒戦勝利(1:0)に拍手したのが、午前二時。ウーン、この調子ではオリンピック不眠が心配だ。けれど今度のオリンピックは日本女子勢の活躍が楽しめると期待している。
2004 8・12 35
* お元気ですか。おはようございます。すっきりとお目覚めですか。昨夜の男子サッカーは、パラグアイに敗れたと今朝のニュースで知りました。残念。予選グループは強いチームばかりで、厳しいですね。
今日も元気に、お怪我のないように。 愛知
* すっきりにお目覚めとはいかなかった、あの敗戦ぶりでは。パラグアイは速かった。日本男子は遅かった。
十一時を過ぎて起きた。なんたること。
2004 8・13 35
* 真夜中からアテネオリンピック開会式を見始め、録画した。世紀有数のショウでありみのがす手はなく、しかも四年区切り、次の四年目に無事出逢ってまた見られるだろうかという感慨に切ないものがある。一期一会。
十二分、堪能し感歎した。シドニーやアトランタやバルセロナの豪放豪華華麗というのとははっきりひと味ちがった、端正で清潔、深く落ち着いた洗練美と健康美にあふれていた。眼をはなせない時代祭のなかに、フィロソフィーの国の誇り高い夜の祭典、光彩の魅惑底知れない祝祭。闇を画面に光で描き出す人間と文明の讃歌。
どの場面も忘れがたい。聖火がみごとに燃え、花火が新世紀の夜を祝福し、グラウンドには花のようにパレットのように美しい色彩の調和と生気とが燃えていた。
終えたときは、もう日本の夜はすっかりあけぼのの朝、ああ、あけぼのが帰ってきたのだと思った。そして床に就いた。
目覚めたのはもう午後、それから妻ともういちど録画した開会式を堪能した。
2004 8・14 35
* いちばん気がかりだった谷亮子選手の柔道二連覇が成り、清水選手の驚嘆の他ない男子柔道三連覇も成り、これでもうわたしは肩の荷をおろさせてもらう。谷選手には勝って欲しかったし勝たせたい気持ちがいつもより強かった。よく出場してくれたという気持でいた。
期待の女子ソフトボールがあっさり負けたのには気落ちがした。女子バレーも絶体絶命にまで追い込まれていた。
* 自分の為の仕事も進めたいので、なかなか時間の調整がむずかしい。
2004 8・14 35
* どうやらギリシャには昼寝の習慣があるようで、オリンピックも昼休みが長く、競技が中断しますね。そろそろまた午後の試合がはじまる頃ですが。
さっきまで、花火の音が、どこからか聞こえていました。
お盆というと、提灯をさげてお墓までご先祖さまを迎えに行ったり、庭先で送り火をたいたりしたことを懐かしく思い出します。田舎で生まれ育ちましたから、四季折々の行事はなにかと体験しました。楽しかったけれど、窮屈に感じることもありましたよ。
次回の湖の本の校正は、順調にすすんでいらっしゃるようですね。昼夜逆転で体調を崩さぬよう、お気をつけください。花は楽しく過ごしています。
* 暑中寒あり いつもの網戸では冷気がヒヤヒヤ、思わずその手でガラス戸を閉め直すなんて、天の配剤がウレシイ。恵みの雨と共に、生き返りました。またすぐ暑さへ逆戻りらしいけれど。サボリっ放しの家事にも専心出来ました。
なかなかライブでオリンピックを観てもおれませんが、今日昼間の私のハイライトは、男子体操の団体戦でした。予選をゆうゆう一位で通過しました、拍手、拍手。選手全員、落ち着いた素晴らしい演技を観せてくれました。
昔、鉄棒で金を取った末次さんの話では、一種目一人の所用時間はたった三十何秒で、そんなに短い時間に長かった練習の成果を決める厳しい種目なんです、と。ああ、そうなんだと初めて気が付く程、中身の濃い種目ですね、体操は。体操日本の金、も遠くないなと楽しみです。
* さ、女子柔道を見に行こう。野球は勝って当たり前の相手に大勝、たぶんソフトボールも今日は勝ったように思われる。水泳は苦戦だろう。
* 愛チャンの卓球緒戦で胃が痛くなった。本人は負ける気はしてなかったとも思いますがね。しんどかった。
女子柔道の銀、決勝で少し寝技に拘って逆をつかれたのがとても惜しかったけれど、劇的な銀メダル、銀は普通負けて取るメダルだけれど、彼女の銀は勝って取ったメダルだとわたしは称讃します。
男子の金もオール一本勝ちもむろん、決勝のあの抜け目のないすばやい技の繰り出しに感心しました。相手はビックリしたと思います。
2004 8・15 35
* (卓球の)愛チャン勝ったのですね。試合のはじめのところでずいぶん(2セット)リードされていたので、見るのをやめてしまいました。
柔道は、テレビの前で拍手、拍手でした。準決勝でベテラン選手相手に諦めなかった横澤さん、素晴らしい。
試合の勝ち負けより、力いっぱいたたかっている選手たちの清い姿に魅力があります。いい選手のいい試合を見たあとは、気分よく眠れますね。
風は、夜中の男子サッカーをご覧になってしまったのでしょうか。あれをご覧になっていたら、気分よく眠れなかったのではないかと心配しています。
* サッカーのイタリア勢、巧いこと、速いこと、的確なこと、それを賛嘆して観戦。あのイタリア相手ではあれで十分に善戦。ペナルティーキックを見事一発ゴールに突き刺して見せた日本に、スカッとした。
北島選手の水泳百平泳ぎの金メダルには興奮した。よく勝った。そして何といっても横沢の勝って取った女子柔道銀メダルの輝きはすばらしかった。強豪サボン相手のあの大逆転の一本勝ちは、まるで夢。ああいうことがある。昔のサッカー、ドーハの悲劇のあの逆さまであった。内柴の柔道オール一本勝ちにも拍手を惜しまない。
2004 8・16 35
* 納涼歌舞伎から帰ってきたところで、女子柔道谷本歩実選手の鮮やかに毅然としたオール一本勝ちの優勝を観た。素晴らしかった。
昨日の男子体操の金メダルは神業に見えた。ともに特筆に値する。
2004 8・17 35
* 柔道の女子阿武教子選手は勝ち進み、男子の本命井上康生は敗退した。表情に闘志みえず生彩がなかった。谷亮子にしても水泳の北島康介にしても表情に漲るものは生彩であった、生彩こそがファシネーション。
オリンピックもいよいよ後半の陸上競技へ移って行く。女子バレーはギリシャに苦戦していたぐらいで、よほど不調。
2004 8・19 35
* なかなかの大仕事になった「読み」仕事を、なんとか一段落。もう少し作業がある。すこし休もう、おもしろい映画でもないだろうかと思ったが、また女子柔道阿武教子の金メダル、あざやかな投げ技の決勝を見、アーチェリー中年先生の佳い銀メダルも確認したところで機械に戻って、すべき作業をし終えてしまい、電送もし終えた。あと郵便で少しツキモノを送らなければならないが、それは明日でよい。根のつまる仕事にけっこう日数がかかったが、あとがラクになる。もう日付が変わって一時半。
さてバグワン音読と一緒の新しい古典に何を選ぼうか、実は『源氏物語』をあらためて今度は全集の頭注や補注も含めてもう一度ゆっくり黙読してみないかという誘惑に負け掛けている。音読だと、その辺はすべて割愛し、ひたすら声に出して本文だけを味わっていた。その余勢で注も丁寧に参照しながら読み直すという魅力はとても大きい。音読に『平家物語』の流布覚一本でなく、八坂本を読んでみようかとも。これにも誘惑される。ああ何でもいいのだ。
もう今夜はメールもこないだろう、機械をとじてともあれテレビの前へ移動する。
2004 8・19 35
* 夕方、建日子が珍しく電車で帰ってきて、三人で夕食。オリンピックハンマー投げや水泳や柔道などを、いっしょに、たっぷり楽しんだ。ハンマーの室伏広治は簡単に一投して予選通過。柔道最終日は女子の塚田真希、男子鈴木桂治がみごとに一本勝ちで揃って金メダルにかがやき、会場に相次いで日の丸を高くあげ国歌をひびかせた。塚田の技あり危機一髪をはね返しての押さえ込み大逆転は、諦めない精神の精悍な勝ちにつながり感動させた。女子は何と五階級で金を獲得し一階級で銀メダル。気魄のある選手はみな勝ち上がり一番高い表彰台で月桂冠を受けた。真摯。生彩。そして歓喜。斯くありたいと思うままを実現した男女選手団に拍手を送る。
いよいよ、フィールド競技へ移行して行く。オリンピックはますます佳境を連ねて行くだろう、無事でありたい。
2004 8・20 35
* 女子自由形800にオリンピック初出場の柴田亜衣選手が最後の150ぐらいから本命の先行選手をとらえだし、ラストの50で追い抜き、予想もしなかった金メダルを堂々と勝ちとったすばらしさに、身震いした。日本競泳にながく記念される歴史的な一勝が、逆転の金メダルとは!
崖っぷちのソフトボールも宇津木麗華選手のクリーンヒットと上野投手の完全試合とで、決勝リーグに突入が可能となった。優勝へ、奇蹟は期待できる、が。
トラック競技がはじまり、贔屓のオッティー(元のジャマイカ)も走り始めた。
2004 8・21 35
* 千葉の電子おじさんから果物に続いて新潟の名酒「越乃寒梅」をいましがた頂戴した。おそれいります。昨日、建日子が帰ってくるのを口実に、郵便局の帰りにコンクール優勝していた純米酒「ねぶた」と、中国で公式の接待用といわれている紹興酒とを買ってきた。卒業生が呉れた「竹鶴21」も。新入稿も終えて、いままさしくわたしはカレンダーも真っ白の夏休み。電子文藝館も休んでいる。オリンピックは陸上競技に花が咲き始めた、ひとり旅よりも四年に一度の祭典を涼しい部屋で楽しむ方がいいかなあ。
なにしろオリンピックが来ると「命なりけり」というほどの感慨がある。次は北京か…というほどに。
2004 8・21 35
* 野球ご覧になりましたか。同点2ランを打ってガッツポーズしながら塁を回る高橋さん、バントしようとする城島さん、バントを成功させて大喜びする中村ノリを、ホームラン打ったみたいに迎えるベンチ、最後は豪快なヘッドスライディングを決めた高橋さん。
めずらしい姿をほくほくして見てました。シリーズ優勝したような長嶋ジャパンの喜びようでしたね。野球っておもしろい。想っていると息がつまりそうになります。 花
* 長嶋ジャパンの金メダルは、ソフトボールなでしこジャパンの優勝と同じく、容易ではなかろう、だが、スリリングに闘っておもしろいゲームをめいっぱい見せて貰いたい。ともに応援している。
2004 8・21 35
* こう残暑が厳しいと眠るのが勝ちだとばかり、すぐ寝てしまう。食欲よりも睡眠の方が美味いという感じ。
ソフトボールは決勝リーグで再び中国を延長で破った。これで銅メダルに手が届いたが、もう一度勝てばアメリカとの決勝戦に出られる。前回はこの様に勝ち上がってきたアメリカと決勝戦で負けてしまい優勝をさらわれた宇津木なでしこ日本。次を確実に勝ち上がって欲しい。野球もいい形で決勝へ進んで行く。
陸上の百メートル男子は、末続も朝原も予選敗退。元気なし。
今夜の女子マラソンに期待したい。それまでの間、また寝て過ごそう。
2004 8・22 35
* 野口みづきの女子マラソン金メダルに喝采を送った。佳い判断の強い作戦が成功し、水分補給などでの堅実な姿勢がすべて成功し、スリリングな、また終えてみれば正確で立派な優勝だった。敬服に値する。日本の三選手が一位、五位、七位と揃って入賞したのもたいしたもの、よくやってくれた。
ソフトボールは、オーストラリアに打たれ、打ち崩せずに、結果として銅メダルと前回より一つ後退したが、見ていてこれが順当の戦跡であり、それもよく取れたとわたしは頑張りを評価する。金、金と気張りすぎる必要はなかった、むしろもっとノビノビした方が楽しかったろう。それにしても日本女子の体格は小さく、中学生と大学生とが競っているようにみえた。
バスケットボールはギリシャと大接戦していた。結果は知らないが惜敗ではなかろうかと。
女子体操の跳馬を見終えて、今夜はマラソンに励まされて、もうやすもう。これから本を読むとどうしても午前四時になる。
2004 8・22 35
* オリンピックがこの夏にあって助かった。今は、根ッからの夏休み満喫の気分で競技を楽しんでいる。ただ体調をなんとか崩さぬようにしないとね。
2004 8・22 35
* 前夜の女子マラソン、野口みずきゴールドメダルの興奮が残っている。数ある金メダルのなかでも柔道の谷亮子、自由形八百の柴田亜衣、マラソンの野口みづきに感動の指を折る。男子は第一に北島康介の水泳二種目制覇と野村忠宏の柔道三連覇。激励された。
2004 8・23 35
* 女子レスリング四階級ですべて「金」という夢はあだ夢であった。うまい話ばかりはない。
父親が五月蠅すぎ、あれでは娘の浜口京子選手が可哀想なと顰蹙していたのが、ほんとうに可哀想な結果になった。準決勝は明瞭に浜口選手は負けていた。勝った中国選手に有効なポイントが加算されていった。父親の会場をディスターブするほど過剰に騒がしい応援は、親子の情として容認するにもあまりに不作法すぎる。親たちは大勢試合場に来ていたが、その喜びにも哀しみにもそれぞれの風情があった。浜口の父ひとりが過剰で、娘をあれで鼓舞できたのかどうかわたしは疑問に感じてきた。あの銅メダルは残念な結果であったというしかない。しかしあの子の父親思いは試合後にも美しく表されていて、感動した。すてきな娘だ。
それにくらべ、金メダルの吉田沙保里選手の決勝戦は、完璧で、冷静で、不敗神話をまた書き加えた。完勝だった。
伊調とかいった姉妹選手の試合は見ないで寝た。妹馨選手が金、姉が銀と大健闘したという。
* 陸上はもうトラックでもフィールドでも日本はメダルの期待は俄然薄れて、野球と男子マラソンぐらい。それとシンクロナイズドスイミングか。走って跳んでは、今回は世界陸上のときにくらべて夢が持てない。不眠の夜は日に日に復旧するだろう、あとは楽しめる試合を昼間のハイライト・ビデオで楽しめばいい。京の地蔵盆も済み、夏休みは、終えて行く。
2004 8・24 35
* おはようございます。きのうの野球(長嶋ジャパン)の惜敗のせいで、気の晴れない朝です。とてもがっかりして、わたしは野球に期待していたのだなあと気づきました。
天気は快方に向かっているようです。少し涼しくなってきましたね。早く涼しくなるといいな、と言っておきながら、いざ秋の気配がしてくると寂しい気がしてしまいます。
これから近所の奥さんたちとお出かけです。風は、まだお休みかしらん。 花
* まだおやすみどころか、なんと七時台のペン会員の電話で起こされてしまい、そのまま、朝飯は梨の半分と小さいクロワッサン一つだけで済ませて機械の前に来ていた。
* わたしはこの人ほど長嶋ジャパンに「金」絶対というプレッシャーはかけていなかった。キューバに予選で勝ったときはおやおやと嬉しくなったけれど、オーストラリアに負けたときはやはりここでとりこぼすかという脆さを感じ、一つ取りこぼしてもダメな決勝リーグはさぞ厳しかろうと予期していた。それが絞っても出ない貧打に露呈したのだから、どうしようもない。銅メダルがもし取れたなら順当なところと思う。
もともと「長嶋ジャパン」ということで騒ぎすぎていた。長嶋茂雄が病気で倒れたとき、ああいう態勢で感傷的に象徴化し、臨戦態勢を新たに強化しなかったのは、長嶋のためにも選手たちのためにも、ウェットに過ぎていた。星野仙一の名が新監督として上がっていたが、わたしはむろん星野に率いて欲しいと思った。長嶋代行に甘んじた中畑コーチの立場は微妙すぎた。
2004 8・25 35
* トライアスロンも面白い競技だが、わたしを最初にオリンピックに惹きつけたのは重量挙げであった、まだ医学書院にいた頃で、小児科の馬場一雄先生とその面白さを、編集会議であったか先生の教授室であったか、驚嘆して話し合ったことを思い出す。今日のイラン選手の世界一力持ちの試技の完璧な世界記録達成に惚れ惚れした。力が入った。
わたし自身は、だいぶんバテている。
2004 8・26 35
* わたしの好きな、琵琶湖上、人造飛行機(鳥人間コンテスト)コンクールを、例年のように大いに楽しんだ。二年連続優勝、三年目は準優勝の東工大が、今年は失敗した。そして颱風の影響で競技も中止になった。発進台の上ですでに強風に尾翼を吹き折られた機もあった。
* 夏の風物詩 テレビで「鳥人間」をやっていました。これがあると、夏休みが終わる、という実感が湧いてきます。
こちらは雨は降らず、ムシムシしていました。明日は雨になるかも知れません。
トラック競技で日本や中国の選手が上位にくい込んでいますね。110Mハードルでは中国の選手がダントツで優勝したり、足の長い外国の選手と一緒に小さな日本人が走って決勝に残ったりするのを見ると、感慨深いものがあります。テコンドーもこれからですね。
ご一緒にオリンピックをずうっと見ていた気がします。 花
* あの風の競技が純然と好き。何のてらいもなく、科学的であり人間的だから。最も優良番組の一つだと思う。一つにはいつも東工大の頑張るのも楽しみで。今年は失敗したが。琵琶湖大橋まで飛ぶようになったとは。胸も膨らむ快感・快適である。個人プレーでなく、みなが一致協力しているのもすばらしい。物の見事に失敗するところまでが、気の毒だがまた痛快に面白い。あれはやらせでは絶対ない。それが気持ちの佳い理由の一つだ。精一杯やって、精一杯成功したり失敗したり。潔い。
2004 8・28 35
* 日本男子勢の二つのリレーでの果敢なすばらしい疾走と成績には、金メダルほどの拍手を贈る。すばらしい。この勢いに励まされて、男子マラソンも敢闘を願う。
前夜の新体操の華麗で多彩で技術の高度なことには舌をまいた。各国とも選りすぐりの「美女軍団」で、ウーン、鑑賞に堪えるあり。
2004 8・29 35
* アテネオリンピック最期の最後の男子マラソンで、この分では独走の金メダルほぼ確実かと思われたブラジルのデリマ選手に、突如沿道からはでなアイルランドのバグ奏者めく大柄な男が飛び出してきて、デリマを抱き掴み沿道へ押し出そうという暴行が起きた。辛うじて救い出されたデリマは、完全にペースを喪ってしまい、追いすがるイタリアとアメリカの二選手に追い抜かれてしまった。後味の悪い、かつて見たこともないハプニング、事故である。なんとか頑張ってそのまま銅メダルにゴールインはしたものの、気の毒も気の毒、実に不快な出来事。日本選手は五位と六位に二人が入賞はしたが、終始、見るべき戦績ではなかった。
こういう、まさかという事故がある。その妨害は明らかに故意になされていたのが、堪らない。
* これから、表彰式とともに閉会式が行われる。日本選手の活躍が印象にやきつけられた好いオリンピックであったけれど、ドーピングなども多々あり、日本のハンマー投げ銀メダルの室伏広治が繰り上げの金メダルを受けるなど、色々あるなあとの感慨も。ま、楽しませて貰った、有り難い。
* 閉会式はみないで、床に就く。
2004 8・29 35
* マラソンの悪質な乱入妨害、ハンマー投げの卑劣なドーピングなど、後味に苦いものを残したが、概して気分の高揚する楽しい五輪競技であった。新体操の個人戦も見ていた。何もしていなくてもあんなに美しい人たちがからだと採り物をあんなに華麗に動かすのだから、サーカスなみの見もの。
2004 8・30 35
* プロ野球選手会が二リーグ制崩壊を懸念し反対して「ストライキ」を予告した。一般の支持は選手達に厚い。久しく耳にも眼にもしない「スト」と「団結」が、ほかでもないプロ野球選手により言い出された事実・現実に、わたしは感慨をもつ。長嶋茂雄という元巨人軍の不滅の選手をわたしは親愛している。が、彼が、わたしの顔を大きく顰めさせた只一度の汚点は、むかし、総選挙を控えたある時に、「もし社会党が勝ったならプロ野球は潰されるのでないでしょうか」と大まじめに公言したことで。明いた口がふさがらなかった。その長嶋を耀くシンボルにしてきた日本プロ野球の選手会が、粛然と「ストライキ予告」をして「団結」を誓っている。これは、日本の社会の、或る大きなまたの一転機になるのだろうか、いい転機になるとイイが。
2004 9・6 36
* プロ野球のスト問題に閣議までが口出ししている。野球は野球。もっと民政や外交の大事なことで心配したり対策したりせよ。アホらしい。
言うまでもない、選手会としては労使交渉とスト権の発動であり、そんなイロハすらもう忘れたような経営者や政治家に呆れる。
2004 9・7 36
* 小泉内閣の改造人事になど、ちいっとも興味も関心すらも湧かない。
イチロー君の奮闘に敬意と注意とを。堪らなく嬉しいピュアな興奮。
渋井陽子がベルリンマラソンで高橋尚子の日本記録を五秒上回って優勝した。このマラソンはしつこい伴走者の併走などがあり、いささか気色がわるい。記録作りのためのお膳立てなどがシツコイのではなかろうか。
2004 9・26 36
* 歴史的な事実や事件に遭遇し、同時代人として「分かちもつ」ことに感慨ないし会心・歓喜の思いをする。例えば、いましもイチロー選手の一シーズン最多安打記録を何十年ぶりかに書き換えようかという瞬間を待つのも、そういう瞬間に同時代人として参加し共有してみたいからである。
アメリカにも、そんな大記録を、日本からきた華奢にも見える小柄な一選手に破られたくないと願う人はいるに違いない、が、それを乗り越えてそんなに「すばらしい」記録を自分は生きて分かちもつんだ、もちたいんだと感じている人は、遥かに遥かに数多いだろう。大げさに言えば世界中が固唾をのんで、その瞬間に出会いたいと待っている。わたしも、その一人。
もう昔だ、わたしの教授室に最も頻繁に時を過ごした東工大の一学生は、少し風変わりな才能であり、取得単位数が200単位を超えていた。彼は機会があれば同じ国立のお茶の水女子大学の教室へも出向いて女子学生とともに単位を取ってきた。東工大の学部を無事卒業するのに必要な最低ラインは、せいぜい110 か120単位で足りたのだから、彼の記録は、仲間達には信じられない大・珍記録だった。
おりからあのイチローは、日本のプロ野球で、初めてシーズン200安打を超えてゆくという信じられない新記録を樹立し沸いていたので、わたしは躊躇なくその学生クンを「イチロー」と尊称したものであった。いまでもわたしにメールを呉れる時彼は、「イチロー」と名乗ってくるから楽しい。
そのイチローは、大リーグに移ると忽ち200超安打数をかるがると毎年記録して、ついに今年は前人未踏の大記録を書き換えようとしている。こういう歴史的無害の瞬間に遭遇できる同時代人が無垢に喜んでいる気持ちは、いっそ尊いほどのものか。
いやな歴史的事件、二度と繰り返したくないと胸に焼きつけた例も、残念ながら、ある。わたし一人の記憶では真珠湾攻撃にはまだ幼くて実感も批評もきかなかったが、ヒロシマ・ナガサキの原爆には戦いた。ケネディ暗殺にも寝床から跳び起きた。阪神大震災で高速道路が横倒しのテレビ画面にも仰天したし、ニューヨークの超高層ビルの二つが飛行機のテロにより目の前で瓦解崩落する大惨事には目も眩む思いだった。
ああいうどの事件にも同時代人として参加したくはない、が、心の片隅にはああいう事件も身を以て耳目に刻んだという自覚はある。凄いことを自分は知っている覚えているという実感がある。
これらは良きにつけ悪しきにつけて「自分史外史」であるが、文字通り「自分史」にもそれなりの事件や大事件が良くも悪しくも誰にも有る。それぞれの十番を選ぼうとすれば、少し自覚的に生きてきた人なら、そう多く時間をかけずとも会心の十番、苦痛の十番は選び出せるだろう。
日本人は、それこそ飛鳥の位階制や近江朝の頃の「春秋の競い」からはじめて、「春は、あけぼの」を経て、江戸時代にともなると無数の番付を産み出したほど、そして戦後の「ベストテン」ブームまで、じつにものを選んで「順位をつける」のが好きな民族であった。それが「批評力」「趣味能力」のトレーニングでもあった。
中学の先生に、もう幾つ寝たらお正月の二学期を終える日に、出来ればこの大晦日には、今年読んだ本の、今年好きだった友達の、今年出かけていった先々の、気に入ったベストテンをきっちり順位をつけて書きだしてみるといい、何でもないようで、順位をつけるのは実は容易でない批評力を要すると知るだろうと言われたのを思い出す。そういうことを「京都」という町は千年も続けてきたんだとまでは言われなかったが、京都の文化の素質は、女文化であると同時に、この批評 (趣味能力=わる口)文化なのであったとわたしは理解している。
鶴見俊輔さんはそれを「京都の悪人性」と、私との対談の第一声にされているが、文化なのである。「文化」とはどちらの漢字も意味しているように、根は「人のわるい」ものではある。
さ、どうか。イチローの大記録は、タイにあと一本、新記録にあと二本。動いたか!
* みごと、二打席の連続ヒットで、イチローはタイ記録を超えて258安打という全米新記録、つまりは世界新記録をいとも鮮やかに達成してくれた。ただ拍手のほかはない。観客が立ち上がり足踏みして喜ぶ、場外が歓声を上げ、日本でも拍手と祝福。無垢の達成であることを誰もが歓喜する。
小泉総理のえげつなく吐き気のする「サプライズ」とは質も次元もちがう無償の営為。或る意味では、それがどうしたという議論も不可能ではないが、やはりそうではないよ。よく深く生き抜くすばらしさをイチローは見せている。それに励まされるのである、だれもが。どうだ、これ以上に素晴らしいことをお前達はしているのかと、日本人なら永田町の方へ白い目を向けている。そういうことなのだ。
イチロー君、おめでとう、ありがとう。
2004 10・2 37
* 昨夜遅くの地震には少し愕いた、ディスプレイがぐらぐら揺れた。辛うじて作動をとめて。そのまま階下で日韓若手サッカーをみた。ロスタイムのギリギリ一杯で同点に追いつき、二度目の延長で、韓国が一点加えたところで寝床へ行った。日本は勝てそうにないとろい試合運びだった。気迫が感じられず、実況のアナウンサーの叫びばかりが虚しかった。
2004 10・7 37
* 日本シリーズが、なんとなく索漠と。審判の不手際から五十分近く中断した。中日ドームで中日ドラゴンズは西武ライオンズの攻勢に目下萎縮。九時半すぎて、もう今日は休んだ方がいい。機械の前へ来ても、おもわず眼がとじてしまい、まどろみの夢をみてしまう。湯につかって、そして寝る。明日も作業。
2004 10・16 37
* 引き続いて、こりゃまた負けだわと諦めていた西武と中日との日本シリーズ第二戦が、なんと中日の大猛打の大逆転で。呆気にとられながら、わたしは中日の方の贔屓だから、すかっとした。松坂君のノックアウトには微妙な気分だが、立浪君のスリーランは、素晴らしい選手が素晴らしく働く見本のようで、一番の期待によく応えてくれた。
2004 10・17 37
* 落合ドラゴンズが二勝二敗に追いついた。明日伊藤ライオンズが勝って五分ちかくになる。中日が明日も勝ったりすると、名古屋へ帰って西武の分はわるくなる。今年は落合に名を成さしめたいけれど。
2004 10・21 37
* 中日が逆転して一点リードのとき、妻はもう中日ねという口調であったが、わたしはそうとは思えないよと安心していなかった。強い中日なら一点リードでとまってしまうのがおかしい。
まんまと逆転されダメ押しされて負け。これで完全に勝負は五分となり、松坂はもう出せないが、追いついた勢いの中日と、地元であり松坂ほど怖い投手のいない西武相手に、川上も使おうと思えば使える投手陣充実の中日が、逆に堅くなり緒戦のような負け方をしないとも言えぬ。あすは、ややこしい。わたしの今夜の気分はよろしくない。
2004 10・24 37
* さて日本シリーズやいかに。第二戦に勝って落合監督が、所沢で三連勝してきますと言ったのはそれで好かったが、「すみませんけど」と付け足して含み笑いしたとき、わたしは不安を覚えた。余計なことを付け足したなと。彼は余分な荷物を自分で背負ってしまったと心配した。昨日負けたときに、それを思い出した。今晩は試合を見ないでテレビ・タックルの方を見ていたし、機械へ戻って千葉E-OLDおじさんが送ってきた可愛らしい黒猫の、カーソルの動きを追って自在に躰も目も脚も手も動かすおもしろさに夢中になっていた。どうしてこんなものが創れるんだろう、脱帽。
で、試合の途中経過も結果もまだ知らない。千載一遇の絶好機を落としていないとイインだが…なあ…。正直の所、日本シリーズへの興味は昨晩中日が負けたところで失せてしまい、ほとんど今日は試合を見る気にならなかった。
2004 10・25 37
* 落合中日は、今朝の新聞で見ると、砕け散っていた。落合は昔から贔屓の天才選手だったし、「オレ流」も、或る意味で当然の権能であった、彼ならば。しかし敵地に乗り込む前の球場インタビューで、三連勝して帰ってきますよの勝利宣言は当然で賛成だが、あとへ、「すみませんけど」と落合笑いで付け加えた瞬間、わたしが西武の選手なら、最後の最後までこの敵監督の揚言だけはゆるさないな、と感じた。あ、マズイと思った。そして所沢でいきなり負けたときには落合もイヤな気持ちではなかったろうか。
2004 10・26 37
* マリナーズのイチロー選手の「去年・今年」を語っている映像と言葉をしみじみと聴いた。ポチリと涙の膨れてくるほど有り難く聴いていた。たしかに彼は「行者」だ。
2004 12・28 39
* いま「王貞治」の足跡をテレビで見ていた。イチローや野茂英雄に次ぐ番組らしく、残念なことに野茂のを見落としたが、追うの一本足打法の実現など、やはり感銘を受けた。努力を極めた人達はやはりエライものだ。
2004 12・29 39