* 賀正 秦恒平
* ま、いま、だいたいこんな顔をしています。上を向いて歩こうというのではなく。
* 起床8:00 血圧162-76(60) 血糖値91 体重68.7g
* ワインで迎春。 鶴屋の「あも」も美味くて。さ、やすみます。
* 八時に起き、九時過ぎに建日子らを迎えて雑煮を祝い、昼すぎ、近所の天神社に初詣で。
2015 1/1 159
* お節料理を四人で食べ、したたか日本酒に酔った。呑める二人で一升余。岸連山の富士の繪にみまもられて、たくさん話し合った。わたしはさして食べず。
* 建日子、泊まって行く。
2015 1・1 159
* 起床9:00 血圧134-59(51) 血糖値86 体重69.3g
2015 1・2 159
* わたしの初夢は、どうしようもないオッカナイもので、わたしは声を発したかも知れない。所詮夢見には魘されるタチで、せめて夢など見たくないとマジマジと思う。
2015 1・2 159
* 起床7:00 血圧144-77(58) 血糖値100 体重69.3g
* もう六時。朝に雑煮を祝い、黒いマゴに輸液以降、ずうっと「選集⑥」と「湖の本123」入稿の用意に没頭していた。「選集⑤ 冬祭り」の責了とともにこの三つの作業が済むと、視野がかなりひろがるという希望がある。ま、ラクになるなんてことは望めないが。
* 今日も年賀状二十人ほど。住所録と照合は欠かせない。視力悪くて移し間違えていた人のが数枚あった。電話番号やメールアドレスを超細字で書いてくれる人、少し気が知れない。大一仕事だが、これを怠けると後々に障る。けれど、数時間。くたびれた。もう十時半。
リーゼは三日に一晩ていどに服して熟睡につとめているが、それでも夢を見てしまう。どうしてこんなと思うほどフィクショナルにくわしい夢を見てしまう。疲れる。
2015 1・3 159
* 起床9:30 血圧143-64(54) 血糖値84 体重69.6g
2015 1・4 159
* したい仕事、すべき仕事を、今日も粘り強く楽しんだ。眼は可哀想だが。
入浴しての裸眼の文庫本読書も、すっかり出来なくなった。小さい字は全然ダメ。とにかく、一日中アタマに拡大レンズのバンドを巻いている。
もう0時半。
2015 1・4 159
* 起床9:45 血圧138-64(54) 血糖値100 体重68.9g
2015 1・5 159
* 新聞からスキャン原稿の校正は、字があまりに小さくて、まことにキツい。文字の確認が容易でなく、スキャンの確度も甚だ低い。十二回連載原稿に向き合っているが、三日掛けて半分がやっと。視力の酷使も極まれり。
しかし書いていることは、古びもせず、言えているのでまずは安心、祝着。
2015 1・5 159
* すこしムリを重ねて今日も仕事と組み合っていた。からだを動かさねば行けないと思いつつ、出歩こうとしない、よろしくない。、
2015 1・5 159
* 起床8:30 血圧133-67(54) 血糖値91 体重69.0g
2015 1・6 159
* 新年の街歩きに「冬祭り」校正をもって出掛けた。雨かと懼れたが、とくべつ降られるということもなく、気儘に過ごせて良かった。寒くもなかった。帰路の途中よほど江古田で降りてウオツカかマオタイが飲みたかったが、下車しそびれて保谷まで。テクシイを待つあいだが、いちばん寒かった。
* 「富士山麓」をオンザロックでいい機嫌に酔い、機械の前へ来て、今まで、八時まで居眠りしていた。
* 目薬をさすと一瞬明るくなるが、三秒ともたない。七つも眼鏡をつくってあっても、機械仕事で役に立つ一つもない。手術する外科医のような眼鏡が欲しい。
2015 1・6 159
* 起床8:30 血圧161-67(58) 血糖値104 体重68.6g
* 夜中、手洗いから寝床へ戻ろうとしてどう踏み誤ってか、大きく頭から転倒して頭頂部を箪笥へぶっつけた。庇いようもなく、怖かった。
2015 1・7 159
* 京都の、茶の湯裏千家経営の出版社淡交社から社長名で、祝電が届いた。
☆ お祝い
秦恒平 様
栄えある京都府文化賞功労賞のご受賞誠におめでとうございます。
今後ともご健康に十分留意され、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
株式会社淡交社 代表取締役社長 納屋嘉人
* 受賞してくれるかという問い合わせは昨年の十一月頃に有って、インタビュ-に府庁から東京まで掛かりの人が来ていた。「功労賞」というのだから、京都府として感謝してくれるのだなと思い、ま、わたしから感謝するとすれば久々に京都へ行くキッカケをくれるのだと感じた。それは有り難かったが、一月六日の公表、二月六日の授章式と聞かされてからも、どうしても体調に自信が持てず、旧年の内に受賞席には「欠席する」と通知してある。
昨日、記者会見をして関係各所へ公表したものと思う。真っ先に淡交社が祝ってくれたというのは嬉しい。わたしの京都といわず日本文化にたいしいささかなり貢献し得たについては、「茶の湯」体験とともに淡交社の雑誌・書物にたいへんお世話になってきた。
* 受賞ということに関しては、今更、ほとんど感慨といえるものは無い。京都の知人友人がよろこんでくれるだろう。年賀年始の挨拶代わりになったかと感謝している。
2015 1・7 159
* たしか『京のひる寝』に「冬の花」を書いていて想像以上に多彩なのが嬉しかったのを思い出す、が、王者はやはり「梅」か。水戸の梅、北野の梅、青梅の梅。元気に身を働かせ、脚を運んでみたいもの。根津美術館へも五島美術館へも久しく行けなくている。
* なぜこんなに疲労するのか分からない。眼からか。
* 眼を酷使し、やっと一編のスキャン原稿を校正し終えると、堪らず、二時間ほども機械の前で潰れるように寝入っていた。やれやれ。
2015 1・7 159
* 起床9:00 血圧121-65(60) 血糖値92 体重69.0g
2015 1・8 159
* 起床11:00 血圧143-64(54) 血糖値98 体重68.9g
2015 1・9 159
* 何疲れか、夢見あしく寝苦しいまま遅くに起きた。黒いマコの輸液が午になった。
今日は新年初の歯医者通い。
2015 1・9 159
* 授賞だの表彰だのという儀式はすこしも嬉しくない。こうして、久しい親しい身内のような知友が、心から無垢のお祝いを言ってくれるのが嬉しい。俗っぽい好奇心などの関心事にされるなど、不愉快でしかない。賞も儀式も、なにものでもない。こういう気持ち、なかなか分かって貰えないが。
娘のような歯科の先生は、名酒「白神」を心祝いに帰りに持たせてくれた。帰路のフレンチ「リオン」では、シェフがわがことのように喜んで、最高級に美味いブランデーで祝ってくれ、シェフにお任せの特別料理をつくって美味しく食べさせてくれた。これが本当の心祝いというもの。
2015 1・9 159
* たしかに生理検査の諸データは目下良好なのに、わたし自身はけっして元気でない。軽い貧血は続いていそうで、からだが一度傾くと持ち直せない。杖が役に立っている。視野も最悪、もやもやしている。
一つ気になるのは、背の左中ほどに一点、もう一年以上も時に猛烈に痒くなる。腫れても膿んでもいない、しかし小さく確かに一点の黒い赤らみが消えていないという。痛みではない、きついほどの痒み。虫に食われたという感じでなく、しかも其処の一点だけ。
痒いだけだものと医師に訴えたことはないが、今度の診察では、胸腹部の触診聴診だけでなく、この背なかの一点も診てもらおう察てもらおう。
2015 1・9 159
* 起床8:30 血圧149-64(51) 血糖値84 体重68.0g
2015 1・10 159
* それにしても疲れる。睡くなる。ガチガチに励まないで、大竹しのぶテレビでも見るかと思う、が、そのテレビが鮮明に見えない。「いま・ここ」を大事に大事に過ごすだけのこと。
2015 1・10 159
* 起床9:30 血圧139-71(50) 血糖値92 体重68.5g
* かつてなく、寝起きにフイと鬱ぎの虫に噛まれたような気がした。にらかしら気が急いているのではないか。仕事も何ももたず、手ぶらでと゜こかでグッスリ寝てくるといいのかも。食べ物屋をみつけるのはむしろ得手だが、そういう休息場をわたしは一つも持っていない。
2015 1・11 159
* おおずもう初場所が始まった。白鵬の三十三回優勝を期待する。しかし今場所の桟敷入りは見合わせる。食べる物は食べているのに、なにとなくけだるい疲れが薄雲のようにみうちに漂っている。それだけの仕事をつづけざま片付けて来たのだからムリもない。目前に迫ってきた「選集④」の荷造りと発送とがかなり身に堪えるだろう。湖の本のように宅急便に集荷に来てもらえず、せまい坂道を数重ねて自転車で運ばねばならない。怪我をしてはならない。
2015 1・11 159
☆ テレビに
巣鴨のとげぬき地蔵が映っていました。
眼も、背中の痒みも、鬱ぎの虫も、とげが抜けるようにすっかり治ってしまいますようにと願います。
花は桜がいっとう好きですが、生まれつきの縁では桃でしょうか。
桃については、「京の彩々」で「色めいて」とお書きになっていらっしゃいましたね。
桃の対は太郎でしょうか。 また一日が過ぎて行きます。
* 十一時半。穏やかに睡りたい。
2015 1・11 159
* 起床9:30 血圧139-71(50) 血糖値92 体重68.5g
* 朝一番に、吉備の有元さんお心づくしのみごとな「鮒ずし」を頂戴、美味かぎりなし。ありがたく食して、目をとじれば『冬祭り』の「みごもりの湖」が静寂にまた澎湃として浮かぶ。
2015 1・12 159
* 起床9:15 血圧143-66(57) 血糖値103 体重68.8g
2015 1・13 159
* 郵便局の戻りに用事があって獣医院へ立ち寄り、自転車の停め際に、ぐらついて横転した。少し腰から脇を打った。
このあたり、バカバカしいほど蜘蛛の巣なりに道路の大拡張工事をしていて、いたるところ通せんぼ。通路は天神様の細道のように狭められている。十六日からの「選集④」の郵便局へ自転車での何回も何回もの持ち込み、どうなることかと不安。こんな時は車が欲しい。
2015 1・13 159
* 機械の輝度を2まで下げても眩しい。一日中眼をあいて水の底を歩いているようだ。危険なこと限りない。注意して生きて行くしかない。重労働も余儀ない発送を始める前に、今年初の歌舞伎座を楽しみたい。大相撲は白鵬の優勝新記録をテレビの前でせいえんするだけで我慢。なにしろ秋場所には「カーン」と場内に鳴ったというほどはげしく額から桟敷の囲いに落ちた。診療所へ担ぎ込まれたなど全く記憶にない。
* 昨夜は目覚めがちだった。今夜はリーゼの世話になろう。
2015 1・13 159
* 起床9:00 血圧136-71(61) 血糖値97 体重68.7kg
2015 1・14 159
* 眼がつらくて、目をつむって音楽を聴いていた。機械にたくさん好ましいのを取り込んである。
のびのびと歌う小鳩くるみの「埴生の宿」が大好き。
「蛍の光」を聴いていると、末期の死別、斯くありたいと真実願わしい。
ふみよむ月日かさねつつ いつつしか歳もすぎの戸を あけてぞ今は別れ行く
とまるも生くもかぎりとて かたみにおもうちよろづの 情のはしをひとことに 幸くとばかりねがうなり
まったく、このようにこそ死んで行きたい。
2015 1・14 159
* 起床7:00 血圧132-62(57) 血糖値91 体重69.2kg
2015 1・15 159
* 明日からは、しばらく、重労働。
2015 1・15 159
* 起床8:30 血圧135-61(54) 血糖値89 体重68.9kg
* 朝一番、黒いマゴに輸液中に「選集第四巻」が届いた。発送体制に入り、自転車輸送は危険と見切って、碗車を使用、自転車の倍を運べるが、坂道の往来はラクではない。明日、明後日は土日で郵便局が働かない。ま、運び出せる用意だけはしておけるだろう。碗車を押して二度局まで往復した。草臥れた。
2015 1・16 159
* 明日から郵便局休みの土日を精一杯利して、なんとか火曜の二十日には発送を大方終えたい。二十一日は、早朝から聖路加で三年目の検査を受ける。二十二日は岩崎加根子の「桜の園」を楽しみにしている。その週末か次の週初には「湖の本123」の初校が、おいかけて程なく「選集第六巻」の初校も出てくるだろう。その時分には「第五巻」を責了にしたいし出来るのだけれど、第四巻との間隔が短い。痛し痒し、迷っている。
目を上げると、福田恆存全集、同、飜譯全集の計十五巻と並んで「秦恒平選集」四巻が並んだ。思い立って十四、五ヶ月、よく出来てきた。第七巻まですでに軌道を走っている。第八巻までも今年のうちに可能かと想われる、ただし、元気であれば。元気でありたい。
2015 1・16 159
* 起床9:15 血圧145-65(53) 血糖値92 体重68.8kg
2015 1・17 159
* 『冬祭り』をもう一度通読しようと思う。この不自由な視力のなかで、一字でも誤記を無くしたい。
2015 1・17 159
* 起床9:15 血圧130-57(50) 血糖値94 体重68.1kg
2015 1・18 159
* 夜十時過ぎ。看取って見送った黒いハムの墓に添えた花のかたちの匂い袋を、夜の間は桐筺に入れてやる。
終日、二人で荷造りにかかり、メドが立ってきた。明後日中には九割九分手が離れるだろう。心おきなく水曜にはCT検査を受けてきたい。木曜の「櫻の園」 舞台が見えてくれるといいが。
今日など機械には殆ど向き合ってなかったが、送り先の宛名書き、湖の本版元と謹呈と書籍小包のハンコ捺し、そして気遣いの多い荷造りをして、その上で送り先をきちんと記録するとなると、限定本といえどもビックリするほどの作業量になる。間違いないようにと視力を使うので、ヒリヒリするほど目が痛みさえする。
四巻十九作の小説が函の背に並んで見える。いよいよ第五巻に『冬祭り』が来る。健康で怪我さえなければ少なくも小説集だけで十五巻では足りないだろう。
凸版印刷以外によその誰の手も借りていない。これはわたしと妻と二人の人生、協働で成し遂げる「卒論」のようなモノ。そして、この卒論には、新作の小説をも、ぜひに加えたい。その為にはまだまだ勉強も必要なら、ぜひにも長生きもしなくてはならぬ。無用の疲労は絶対に禁物。
2015 1・18 159
* 起床9:15 血圧144-67(56) 血糖値98 体重68.5kg
*明日、骨折り仕事、ほぼ終える。待ったなしに明日には「湖の本」123の初校が組み上がってくると連絡があった。予想通り。もう数日の内には「選集」第六巻も組み上がってくるだろう。受けとめて、慌てない相撲をとりたい。
さしあたっては明後日の検査を無事に受けてこなくては。
* 十一時になる。ぐったり疲れている。やれやれ。
* 黒いマゴがそれとなく黒いハム(スター)のいなくなったのに気落ちているようで、わたしも寂しい気がする。
2015 1・19 159
* 起床9:05 血圧138-66(66) 血糖値102 体重68.5kg
* 朝一番に「湖の本」123の組上げ初校が届いた。
「選集④」の作業も予定通り、事終えた、あとは、成り行きまで。二時半、ワインで乾杯。
* ほっこりしていて、予約の四時半歯科をふたりとも全く忘却、お忘れですかと電話されてしまった。日を替えてもらった。
* 二月六日の授章式に来れないかと京都府庁の問い合わせに、申し訳ないが、道中の危険と疲労とを考慮し「不参」と返信した。
2015 1・20 159
* 起床6:40 血圧138-64(56) 血糖値88 体重68.3kg
* 8 :13のバスで駅へ。豊洲への地下鉄で新富町へ。小雨の中、聖路加病院へ。CT検査。検査後の診察は後日となり、来週水曜午まえの予約きめ、正午よりはやく解放された。
朝から何も食べてなかったが、さて何が食べたくもなく、車中「冬祭り」三校しながら一気に保谷まで帰ってしまった。タクシーにも直ぐ乗れ、結局昼飯は家で。造影剤をからだに入れているので、水分を多めに。餅を焼いてもらった。昔から餅が好き。食後に、少し甘味。ねむいのか、瞼が重い。
2015 1・21 159
* 起床8:00 血圧141-66(54) 血糖値100 体重67.4kg
2015 1・22 159
* 起床9:45 血圧117-53(52) 血糖値93 体重67.1kg
2015 1・23 159
* 最も衝撃的なのはヤマトが現行のメール便をやめるというニュース。ついに「湖の本」刊行停止を判断しなければならないかも。一つには現在既に出血刊行の上に送料が大幅高で迫ってくる上に、郵便局は刊行物を家まで受け取りに来てくれない。自転車で運ぶなんてことは、途方もない不可能事であり、怪我や事故や健康を悪化させることへ直結する。
ヤマトの変更の実情をいますこし詳しく知る必要がある。
2015 1・23 159
* 夕刻 歯科へ。また一本、欠けていた歯が入った。
突風冷たく、震え上がった。「中華家族」でマオタイをたっぷり二杯飲み、妻は酢豚と餃子。わたしはほとんど食わず。
2015 1・23 159
* 起床11:45 血圧128-57(58) 血糖値97 体重67.1kg
2015 1・24 159
* 起床9:00 血圧145-68(54) 血糖値100 体重67.1kg
2015 1・25 159
* 起床9:00 血圧135-59(63) 血糖値103 体重66.9kg
2015 1・26 159
* 起床8:00 血圧152-70(55) 血糖値92 体重67.9kg
2015 1・27 159
* 右手を出そうが左手を出そうが頤を出そうが、視力をすり減らす仕事ばかり。以外に逃げ場がない。ぼんやりと散歩してくるしかないが、散歩の楽しめるほどの保谷ではない。つくづく京都ならと思う。誰かが誘い出してくれて談笑の機でもあればと思うが、いわゆる寄り合いの会合にも久しく出たことがない。食べに出る気が、今は、ほとんど涌かない。飲みに出るのは良くなかろうと自制してしまう。ま、機械に入れてある好きな音楽を聴いて瞑目しているか、寝入るのが、最良の休息か。
2015 1・27 159
* 記憶の薄れるのを案じて下さる人もあるが、老齢の功徳は、もの忘れの可能なことと、いささか能かのように自覚していて、毎日毎日の中で、あまり気にしていない。認識や好奇心や判断や意見の出はすこぶる普通に順調で、この私語にうちちがいの誤記などあらわれても、あまり拘泥していない。寒ければも寒いと言って立ち向かう生気こそ、大切と感じている。胸の火を消さずに。
* 明日は腫瘍内科での、先日の検査結果と診察とを受けに出掛ける。うまくすれば、久しぶりにどこか美術館を覗いてこようかな。食欲はあまりない。豚がとてもいいと聴いた。特大のとんかつなどどうかな。
2015 1・27 159
* 起床8:00 血圧125-62(56) 血糖値98 体重66.7kg
* 眠りにくくて夜中、二時間ちかく『冬祭り』での「再会」などを楽しみ、リーゼを服してまた寝た。起こされるまで目覚めなかった。
聖路加病院へ。日比谷線築地駅前方の横断歩道から、院内で診察券を使う場所祈念まで、七百歩。ただしわたしの現在の歩幅は、元気な昔の半分以下か。
病院へ、予約時間よりうんと早く行くのは、つまりは「校正」の仕事に没頭し、自然けっこう捗るから。家では機械抜きに「校正」という用がなかなか果たせない。あとまわしになる。選集や湖の本の見開きゲラはかなり横幅がある。頁を繰って行くと倍になり、そんな仕事の出来る平たい場所が、すき間が、欲しくても無い。暴力的にモノを片付けないと、無い。で、待ち時間の長い病院やまた電車のなかは「校正」できる恰好の場所。但しゲラを適量に分割して持ち出している。どれほどは出来そうか、経験で、分かっている。なにしろ大きな紙の束は重いのだ。
車内や外来では、ゲラを二つ折りに小さく持ち、見開き二頁を読み終えるとゲラ束のウシロへ畳み込む。二つ折りにしているから、綴じてないゲラがうっかり辺りへバラ撒かれることはない。こんなことも、だんだん覚えた。
* 今日の診察は腫瘍内科オンコロジー。先週のCT検査の結果を聴きにいった。すこしは尋ねておきたいことも有った。
尋ねたいこともふくめて、検査結果は安心していい現状と知れた。親切な検査データと説明の紙がもらえ、ま、「肝嚢胞」といった文字には素人目がちらととまったが部長先生は「問題なし」と。五月にまた検査しましょうと。
自覚的な体調で謂うと、このところ体重がむしろ減り気味で、今朝など、三年前に胃全摘したころと変わらない。最近70キロに肉薄していたのが3キロほど落ちている。食べられなくて、食べないからだろう。疲労が早く、歩行力がひ弱い。とても杖が放せないし、まっすぐ歩いていない。よろよろと蛇行している。よろしくない。一つには目がまともに見えていないからで、喩えて謂えば「水眼鏡」で見ているとでもいうようないつも濡れた視野。ここちよくない。雪や凍りのおそれがある寒い寒い京の二月六日の受賞式を失礼する、用心する、これが最大の理由。
* 正午には病院を出た。薬局へ寄る必要なし。
ほんとに久しぶりに築地の鮓の「福音」へ寄った。板さん夫婦とも顔なじみ。酒はいつも冷やの八海山、今日はそれに、浦霞みを追加した。三合ほどにはなる。肴はここでは板さんに任せきり。すばらしい平目、生きの良い赤貝、白い「たまご」をたっぷり抱いた烏賊、昆布だしの利いた關の〆さば、それからそれから覚えてられず、最後にアナゴと海胆とを握ってもらい、アガリ。
相客にわたしより極く僅か年かさの元気な江戸っ子爺さんがいて、機会を見て向島へ案内するよと、電話番号まで紙に書いて教えてくれた。店の若いおかみは、わるいことを教えられますよ、已めた方が良いですよと笑っていた。
酒と肴だけとで、機嫌良く、妻へ豪儀な太巻寿司を頼んでから「福音」を出、ふと、近所で気に入りの野「更科蕎麦」へも入った。
流石に飲まなかったが、三色蕎麦をたのみ、これで満腹が過ぎた。酒もまわった。新富町の地下鉄まで、歩くのがかなりシンドかった。正気か知らんと、念のため天皇歴代百二十五人を間違えずに言いながら、幸い西武線へ直通の有楽町線にころがりこむように乗った。危ない。はっと気付いたら、大泉学園駅。あやうくあと一駅の保谷を乗り越しそうだった。タクシー乗り場で三人目。そんなことしたことのない、地面に尻を落として待った。なんとか無事に帰宅、三時半か四時か。八時の「NCIS」よと妻に起こされるまで熟睡していた。それで、よし。
2015 1・28 159
* 起床9:00 血圧143-67(56) 血糖値111 体重67.5kg
2015 1・29 159
* 終日、目も、五体も、疲れた。
2015 1・29 159
* 起床8:30 血圧163-81(56) 血糖値108 体重67.1kg
2015 1・30 159
* 起床9:00 血圧149-69(61) 血糖値98 体重67.3kg
2015 1・31 159
* 起床9:00 血圧159-72(50) 血糖値87 体重66.8kg
2015 2・1 160
* 日曜日だった。出掛けなくて済む日は寛ぎながら仕事のハカがいく。
明日は歯科へ。行き帰りにも「冬祭り」読み終えるだろう。入稿の前から五度も読み返してきたか。いとも「愛(かな)しい日々」を覚えた作。生まれながら身の程のしれなかったわたし自身のために、生まれおちての詳細な身の程をわたしはこの作の中で創り堅めた。此の身の程の系図をわたしは抱きかかえ、「このよよりあのよへ帰るひとやすみ」を今しも生きている。そう思っている。
2015 2・1 160
* 起床9:00 血圧114-60(57) 血糖値84 体重66.8kg
* 自転車で郵便局へ。天気は良いが風は冷え切っていた。
2015 2・2 160
* 夕刻、予約の歯科へ。また一本左奥の上へ金属を埋めて仮歯が入った。わたしの歯茎は磁石だらけ。
2015 2・2 160
* 起床9:00 血圧136-61(52) 血糖値91 体重66.7kg
* : 今朝も自転車で郵便局へ。大きな道路工事のあおりで一箇所危険な曲がり角があり、坂下から来た自転車とぶつかりかけた。天気は良いが今朝も風は冷え切っていた。
2015 2・3 159
* 起床10:00 血圧137-69(58) 血糖値93 体重66.7kg
2015 2・4 160
* 気が付けば、白髪乱れて茫々のアタマをしている。めったに鬚もあたらない。みるからウサンくさい万年着たままのような恰好で時に自転車をよろよろ走らせているこの見苦しい爺、鏡無用である。
2015 2・4 160
* 仕事の大波をあたまからかぶって、かえって、ぼんやりと他事を楽しんでいた。もう休まないと、機械に向いては目は何も見ようとしない。階下で、こんどは裸眼でゲラ校正。いま十時半。
、明日は散髪してこよう。散髪の間は寝入っていられる。
2015 2・4 160
* 起床10:00 血圧149-66(63) 血糖値91 体重67.3kg
* 朝一番に、神戸の岡田昌也さんに、福井県海産の珍味「このわた」「うに」を戴いた。感謝。明日六日は京都での受章式だが、この積雪と大寒を予測し用心して欠席と決めてきた。この肴で、戴いている名酒をこころゆくまで明日は飲みます、静かに。酔って、安楽に眠ります。
* 雪の降る中、さっぱりと散髪してきた。仕事は捗っている。
2015 2・5 160
* 起床9:00 血圧145- 71(58) 血糖値91 体重68.0kg
2015 2・6 160
* 一升瓶の半分ほどを夕食までに北陸珍味の肴で気持ちよく飲んだ。夕食には「和加奈」からたっぷり鯛やとろやしめ鯖など刺身をとり寄せ、染五郎弁慶の勧進帳録画を打ちこんで観ながら、心ゆくまで美味い酒に満たされた。今晩は、ゆっくりしよう。
* 一日かけてほぼ五合弱のお酒を飲んだ。一気にではない、この程度の飲み方が無難。その気ならあっというまにそれぐらい呑んでしまう飲み助だが、そういう真似はしないようにしている。酒は美味しく味わうのが何より佳い。
2015 2・6 160
* 起床9:30 血圧145- 71(61) 血糖値99 体重68.0kg
2015 2・7 160
* 起床9:00 血圧140-6 7(65) 血糖値93 体重68.0kg
* 朝一番に、「天たつ」の越前雲丹,天下三珍味の一を添えて絶妙の清酒をとりどり、いろいろに頂戴した。古都千年の「祝」酒一升をちょうど二日で堪能し終えたところ。飯・麺類が口に入りにくく、美味い酒と蛋白質の肴を賞味して、せいぜい睡眠して視力を休ませている。結句それが仕事の精度を保ってくれる。感謝。
2015 2・8 160
* ゆっくり、今夜も熟睡したい。けど、いろんな夢を見る。
2015 2・8 160
* 起床9:30 血圧142-75 (58) 血糖値101 体重67.8kg
2015 2・9 160
* 起床7:00 血圧148-79 (62) 血糖値87 体重68.3kg
2015 2・10
* 起床9:10 血圧143-66(58) 血糖値98 体重68.2kg
2015 2・11 160
* 朝一番に各務原の石井真知子さんから名高い「伊吹蕎麦」などをどっさり頂戴した。わたしは、いまでは、なかなかの蕎麦党で、聖路加病院の帰りには更科蕎麦へ脚をとめることが多い。石井さんは、もう三十年ちかく「湖の本」を三册ずつ欠かさず買って下さる方で、会うことの一度もない方ではあるが親類かのようにいつも感じている。
2015 2・11 160
* 起床8:30 血圧149-72(48) 血糖値94 体重67.8kg
2015 2・12 160
* 起床8:30 血圧158-83(58) 血糖値101 体重67.7kg
2015 2・13 160
* ああ、しかし、目がよく見えない。いそぐな、むりをするなと大勢にいつも本気で諫められている。しかし急がねば、間に合わないという歎きにもいろいろに追われている。間に合う限りは間に合おうと願っている。逢いたい人たちにも間に合う内に逢っておきたいと切に願っている。
2015 2・13 160
* 起床9:00 血圧143-69(54) 血糖値106 体重67.9kg
2015 2・14 160
* 起床9:00 血圧159-78(56) 血糖値92 体重68.3kg
2015 2・15 160
* 「あやつり春風馬堤曲」ぐんぐん校正している。
それでも疲れて、正体なく機械を前に寝入っていたりする。
明日は二週間ぶりに歯医者に通う。週半ばから、また飛び石を踏むように病院通いがある。「選集⑤」の送り出しの用意にも手を掛けておいた方がいいし、「湖の本123」の再校ゲラも出来てくる頃だ。
今日は、今夜は、長い小説へのこまかな手入れも進めている。
2015 2・15 160
* 起床10:00 血圧135-63(62) 血糖値95 体重68.6kg
2015 2・16 160
* 歯医者へ。次は二十七日、わたしだけ。
往きのバスを降りるとき右膝脱力で、危うく「から足」を踏んで顔から落ちかけた。危なかった。
帰りのバスを、練馬行きに。妻と夕食を駅構内の「魚力」で鮓に。八海山と〆張鶴で酔った。独りだったら確実に電車を乗り越して所沢までも寝ていただろう。
明日も午後一番、聖路加の眼科で諸検査。検査だけは受け続けていた方がいいと思う六つも七つも造ってある眼鏡の只一つも安定しない。クリアに見えない。
来週は、月水金の飛び石で病院がよい。そこへ木曜にも表彰状受け取りに都内へとなると躰に堪え。危険でもあるので、表彰状は送ってもらいたいと、いま、依頼した。街へ出歩くのは、むしろ運動になって良いのであるが、週に四日では危ない。お許し願う。
* 「あやつり春風馬堤曲」を読みながら蕪村老の境涯に身をなし変えて楽しんでいる。明日にも読み終えるだろう、病院へはつづく「秋萩帖」の一の帖も持って行く。えんえん待たされればそのぶん仕事がはかどる、目も神経もつかって疲れるけれど。時間が惜しいし欲しい。そのためにも病院へは通わねばならぬ。
2015 2・16 160
* 起床8:00 血圧130-64(60) 血糖値94 体重68.4kg
* 聖路加の眼科へ。「よくなってますね」だそうである、意味が分からない。どうすればクリアな視野で物が見え字が読めキイが打てるのか。さっぱり分からない。根負けして、処方された目薬だけをどっさり持ち帰る。
* 小雪、粉雨。有楽町の「レバンテ」に寄ってみたが、目当ての生牡蠣は今シーズンは出せないと。保健所がらみと。昨日の「魚力」もこうだった。検査結果が悪いのかも。
がっかりした。
持って出た校正ゲラは、「あやつり春風馬堤曲」を読み終え、「秋萩帖」の量が少な過ぎた、あいた時間が惜しかった。小雨の下、保谷駅からうまくタクシーに乗れて傘はまるで使わずに済んだ。往きは寒かったが、帰りは手袋が要らなかった。疲れた。
22015 2・17 160
* 「選集⑥」追加稿を電送し、明日には半量の「要再校」ゲラを送り出す。進行、「選集⑦」はすでに入稿。ここしばらくは、「秋萩帖」初校と新創作進行と、やがて「選集⑤」の発送及び「湖の本123 」再校に追いまくられるだろう。出来ることをひたすら静かに進めること。とはいえ来週は、病院通いに次々に追いまくられる。病院を凌ぐためには、再校ゲラの出てきてくれるのが良い。
2015 2・17 160
* 起床8:30 血圧148-67(54) 血糖値102 体重68.9kg
* 宅急便で、「選集⑥」前半要再校、一部入替え稿と前付け後付け入稿。「選集⑦」は、本文入稿済み。「選集⑧」を用意する。
ひどい無理をしているとは思っていないが、そのように危ぶんで下さる人も多い。はっきり云って「間に合う」限り間に合いたい。何に。むろん一つは、私の健康、妻の健康。もう一つは、印刷所に事情に変更の生じないうちに。そして、私家版資金のなんとか間に合う内に。この製本製版の立派な選集の一巻一巻の製作費は半端でなく、非売本のこと、回収も考慮していない。正価を設定すれば読者は仰天されるだろう。そして送料。460頁を越すと、ポンと100円以上も送料総量が増す。心用意は一応してあるが、やはり出したい巻数との斡旋で「間に合って」ほしい。余生残年にもし幸い先があれば有るで、老境の生活費は加わってくる。
可能な限り、正確な仕事をして、ピッチは下げたくない、むしろ上げられるなら上げたい。欲も得も無縁の甲斐性であり、おそろしく贅沢な健康法かも知れないので、お叱り下さるな。
むろん、新作も、湖の本も、ホー゜ページ運営や私語の刻も、趣味生活もけっして抛たない。
2015 2・18 160
* 起床8:30 血圧136-64(58) 血糖値105 体重68.7kg
* 眼科処方薬を受けとりに、自転車で薬局へ。寒くなく、快適、眼以外は。
2015 2・19 160
* もう「選集⑤」の送り出しが差し迫ってきた。これまでの四巻とは比べものにならず分厚く、つまり重量がある。これまで一度に十册郵便局に運べたのなら、今度はせいぜい六册か七册が限度。きりきり350円だった送料が待ったなしに460円にはね上がる。しかも今後の刊行に、作一編で『冬祭り』なみの長編が幾つか出来て来る。
労力も資金も気にしていない、気力と体力とが、視力とが、なんとか「間に合って」欲しい。
2015 2・19 160
* 起床8:30 血圧142-68(57) 血糖値100 体重69.2kg
2015 2・20 160
* 起床8:30 血圧147-72(63) 血糖値107 体重69.2kg
* 朝一番に、凸版から「湖の本123」再校ゲラが全巻揃って到着。
昨日には、選集⑤『冬祭り』の表紙や刷りだしが出来てきた。
さ、いよいよまた追いまくられる。
来週は、病院。医者通いが隔日に三度。ウーン。
2015 2・21 160
* 起床10:00 血圧133-63(57) 血糖値99 体重68.8kg
2015 2・22 160
* 起床7:50 血圧128-66(55) 血糖値102 体重70.0kg
* 坂東三津五郎が五十九歳で亡くなったと。痛恨、哀惜、極まりなく、泣けてくる。あまりに惜しい。勘三郎、団十郎、そして三津五郎と働き盛りの名優を立て続けに喪った。どれほど佳い舞台を楽しませてもらったか。哀しい。
* 病院へ行く。
* 二時頃築地の病院を解放され、処方薬を手にしてから有楽町帝劇モールまで歩いた。馴染みの「きく川」て鰻と菊正。キャベツの塩もみとと骨も。小竹向原で保谷行きにのりかえ、すこし雨に降られたがタクシーで帰宅。
「秋萩帖」の初校を終え、持参していた「湖の本123」の再校へも歩を進めた。病院へ行くとしっかり待たされる分、校正の仕事はハカが行く。あさってもまた朝早くから築地の病院へ。
「きく川」の鰻、味無くはなく食べられた。菊正の正一合はいつものように美味かった。すこし酔ったが、小竹向原の前で気が付いてちゃんと乗り換え、大泉学園できがついて無事保谷で下車。保谷止まりの電車ではあったが。
月曜日では、美術館が開いてない。忘れていた。
今日は一時半予約で一時半に診察室に呼ばれた。明後日は、十二時予約だが、おそくも一時間半まえに生理検査を受けておかねば、その結果かが出てこなければ、診察して貰えない。よほど早くおそくも十時半までに検査室へ駆け込まねば成らない。よほどうまくすれば、上野へでも回れるかなあ。疲れてしまったらハナシにならないが。
2015 2・23 160
* 起床8:00 血圧135-61(63) 血糖値87 体重69.6kg
*「選集⑥」の初校を終えて印刷所へ戻す。
* 友枝昭世の会、招待状。「井筒」と。感謝。
* 疲れた感じ。明日も聖路加。朝早い。もうやすむ。
2015 2・24 160
* 起床7:00 血圧129-57(61) 血糖値92 体重69.6kg
2015 2・25 160
* 聖路加病院13時の予約に、朝9時過ぎのバスに乗って保谷駅へ。検査を早く済ませ、おかげで13時丁度に診察室へ入れた。
検査成績全般に良好。肝臓もきれいですと古川先生。感謝。
* 処方薬を薬局で受け取り、空腹を何でいやそうかと思案しつつ築地から銀座へまっすぐ歩いている内、食欲はいっこう湧かずに、ふと和風の洋装店が藍染めの作を見せていて、惹かれた。うまく表現できないが、とても気に入った一着をみつけて妻へのみやげに買った。かなり高かったが、三月の結婚56年と四月79歳誕生日のプレゼントということにし、何も食べないで家に帰った。家で小食そしてお酒を一合足らず。あっというまに睡くなり寝てしまった。病院でも電車でも眼をつかって「湖の本123」の校正に集中していたので、眼の休息にもなった。
2015 2・25 160
* 夜になると、やはり疲れる。三月は、容易ならぬ労働月になる。まず重量級の「選集⑤」が出来てきたあと、引き続き月半ば以降には「湖の本123」の発送になりそう。運動不足がいやおうなく解消できるが、本を扱うのはとても散歩どころの労力ではなく、怪我をしないようにと用心肝要。今度の「湖の本123」は読み応えのする一種の文化論攷になった。大学この方接してきた美術・繪畫の問題に絞った。わたしが二十数年も京都美術文化賞の選者をつとめてきた、ま、下地を取り纏めてみたともいえ、この方面の仕事がまだかなり残っている。
2015 2・25 160
* 起床9:00 血圧129-57(61) 血糖値92 体重69.6kg
2015 2・26 160
* 昨日、お医者さんに、歩いて下さいと奨められた。脚を鍛えなさいと。もう一人のお医者さんは、体重を増やさぬようにと釘を打たれている。なんとか、69キロ台以下に保ちたいが、運動できていない以上、「食べない」という愚策で堪えているわけ。しかし酒は大好き、甘いのも大好きでは防ぎきれない。以前は会合、会議、理事会、委員会、講演に出掛けていた。病気以降、一切ない、観劇・観能のほかは。妻と外出しても、必ず妻の疲れをいたわってなるべくさっさと帰宅してしまう。歩き友だちがいてほしいと願うことがある。
2015 2・26 160
* 起床9:00 血圧129-57(61) 血糖値92 体重69.6kg
2015 2・27 160
* さ、歯医者さんへ、また通う。
* 宵闇へかけて風強く冷たく。かろうじて帰宅。「湖の本123」を一気に責了できるまで持っていった。
二月はもう一日でニゲて行く。早いなあ。
無事の、陽気な三月でありたい。
2015 2・27 160
* 起床9:00 血圧130-56(60) 血糖値87 体重69.8kg
2015 2・28 160
* 明後日からの労作業にいくらか身構えている。用意は、これまでよりも進んでいる。明日もう一日をうまく使いたい。十一時前。疲れているので、もう休みたい。
2015 2・28 160
* 起床8:30 血圧166-80(62) 血糖値100 体重69.3kg
* 目覚めて、床に半身を起こし、腰したには布団をかけたまま、小説のゲラを読む。一日でいちばん目のいい時である。「糸瓜と木魚」の再校。しみじみとする。この「選集」第六巻は、これぞわたしが専攻の「美学藝術学」に対する「卒業小説」といえる。
ちなみにわたしの卒業論文の題は「美的事態の認識機制」で副題が「美しく視えるということ」。淺井忠や正岡子規を書いたのではない。「糸瓜と木魚」は、大学院にいすわっていつか美学藝術学の教授になるという歩みをいちはやく捨て、おれの美学藝術学を「小説」で書きたい・書こうという、決意の小説だった。「あやつり春風馬堤曲」も「秋萩帖」も、その実践であった…ナ、と、今にして手に取るように分かる。「秦さんは小説家になるしかなかった人だよ」と何人もの此の道の先達から云われてきた。そうだったんだと、しんみり今にして身に沁みる。
2015 3・1 160
* 起床8:30 血圧166-80(62) 血糖値100 体重69.3kg
2015 3・2 160
* 『冬祭り』今日は、二度、郵便局へ運んだ。大きなダンボール函に入れ、腕車に載せて行く。都はいま大規模の道路工事を近所でしており、身を細うして臨時の細道を通って行く。とにもかくにも頑張って運ぶ。午後の分運び終えて、「櫻の雫」を呑んでひととき寝入った。酒に弱くなった。美味しく呑めるのだが、寝てしまう。しかし一ッ時、半時寝入るのは、目のためにも、からだの為にも良い。酒量は。一升瓶が、ま、四日五日、なら、過ごしてはいないだろう。
* 機械の前へきて、デスクトップを飾るフィリッポ・リピの「マドンナ」に出逢うと、清々しくなる。
* 十一時半。終日、丁寧に荷をつくりつづけた。疲れて歯がかるく痛んでいる。
明日にはもう「選集⑥」の再校ゲラが出そろう。もう、やすまねば。
2015 3・2 160
* 起床8:30 血圧166-80(62) 血糖値100 体重69.3kg
* 「選集⑤』 二日目の労作業終えた。郵便局へ腕車で御前午後の二往復、急な降り坂があり、楽とも危ないとも。荷造りは妻との分担分業で効率を挙げているが、ともに79歳のとは想えない力仕事。無事に無事にと祈る思いでいる。
2015 3・3 160
* 頭がワルくなった、簡単な頁増減の行数や送りの勘定がどうしても付かなくて、そのまま投げ出してきた。だんだん、なにもかも弱って行く。いま、家屋ごとすっぽり足場や幕に蔽われ、いたるところ目張りされたまま、塗装の作業がもう二週間も続いている。ものの恋強い臭いにもやられているのかなあ。綺麗に澄んだ空気を吸いに出たいものだ。
* うまい酒が好きだけでなく、根からの甘党、虎屋の和菓子や末富の御池煎餅などを喜んで口にしている。血糖値は安定しているが、何年も以前には尿が濃厚に甘いにおいを溜めたものだ。胃全摘の結果、大痩せに痩せて血糖値がほぼ理想的に安定したのは儲けものだった。しかし体重がじりじりと増加気味に推移し、そのぶん元気そうにも見えてきているらしいが。わたしは油断はしていない。処方されているのは、二種類のインシュリン注射、三種類のビタミン類、一種類の利尿剤、三種類の点眼剤、そして安定剤のリーゼ。ほかにも指折り数えて七八種類のサプリ薬を常用している。薬を少し減らしたいものだ。
2015 3・3 160
* 起床8:00 血圧157-74(55) 血糖値97 体重70.2kg
* 久しぶりに、実に久しぶりに、明け方だろうか、嬉しくて懐かしくて舞い上がるような夢を見た。嬉しさ懐かしさの気分だけが霞のようにのこっただけで、目覚めるともう忘れて、思い出せない。「冬ちゃん」と「法子」だったかも。「順」や「顕」だったのかも。
2015 3・4 160
* 起床8:00 血圧142-69(54) 血糖値87 体重69.0kg
2015 3・5 160
* ひときわ目の調子がわるい。よく見えないので、めを開いているのが鬱陶しい。
2015 3・5 160
* 疲れた。とても。
2015 3・5 160
* 起床8:30 血圧135-69(58) 血糖値99 体重68.6kg
2015 3・6 160
* 起床8:00 血圧140-63(58) 血糖値85 体重69.2kg
* 視力の褪化に加えて聴力の衰えが目に(?)見えてきた。ながくテレビの音量は25だった。今朝、歌劇映画「トラビアータ 椿姫」を聴いていて、あの乾杯の歌を45にもあげて満足できないのに愕然とした。聴きならぬ危機が忍び寄ってきたようだ。
2015 3・7 160
* かなりのドライアイなのではなかろうか、湯舟の中で眼をざぶざぶ洗うと、短い時間だが視野がクリアになる。長続きはしないが。
* 今日雨でなかったら街へと思っていたが、降る降ると思いつつ、出ずじまいに終えた。出るというなら、せめて一つ二つは楽しい目的地が欲しいが、食べる楽しみが手術以後吹っ飛んでいて、それだけ目当てが乏しい。美術館には惹かれるが、いかにも気疲れしそう。隅田川の橋渡りにかわる散策がしたい。荷風散人のように玉ノ井へとは思いも寄らない。
2015 3・7 160
* 起床8:30 血圧135-62(58) 血糖値105 体重69.1kg
2015 3・8 160
* うまく食がおさまってくれず、食後、くるしい時がある。腹の中が吠えている。
* 気分転換して、この先へ備えたい。
2015 3・8 160
* 起床7:30 血圧139-64(58) 血糖値100 体重69.1kg
2015 3・9 160
* このところときどき胸が重く圧される心地のとき有り。熱すぎる湯やぬる過ぎる湯に入ると昔から心臓がいやがる。「秋萩帖」を書いていた頃、よほど調子が悪かったとみえ、作中で語り手の「幸田」は入院までしている。からだを労るようにと大勢の方が言うてくださる。なかなか難しいものだ、労るとは。
2015 3・9 160
* 起床7:30 血圧134-70(59) 血糖値100 体重69.1kg
* 手術した右眼に乾いた痛みがあり、閉じていると容赦ない睡魔に魅入られ機械の前でうたた寝してしまう。
2015 3・10 160
* 鉢巻きにして視力を助けていた拡大レンズを不用意に破損させてしまった。どうやって手に入れていたのか分からない。その辺の眼鏡屋にあるだろうか。
* かなり早い川瀬に胸までつかってあれこれ仕事している心地、流れに脚をとられたら流されそう。「生き急いでいませんか」と久しい友だちから注意もされた。生き急いでいる、という自覚とはいうまい、意識は、ある。このまま進む気でいる。十分注意する。しっかり生きたい、辛ければ辛いとなきごとも並べるが、立ち向かいたいことが有るのだから、立ち向かう。
いまのところこんなわたしを、おおよそ分かっていて黙認してくれるのは妻であり、声援してくれるのは、あの『眠られぬ夜のために』のヒルテイだけである。彼は最後の最期まで、これぞとうちこめる仕事をしつづけよと云う。付け加えてわたしは自分に言い聞かせている、静かな心持ちで、と。わたしは、変わりなくバグワンに聴いている。いま、ひとつ、決断しようとしているが、急がず、明日を待とうと思う。
2015 3・10 160
* 三月十一日 水 東北大震災 福島原発壊滅 満三年
* 起床8:00 血圧148-78(62) 血糖値98 体重68.9kg
2015 3・11 160
* 明日一日で「湖の本123」発送の用意をしっかり進めておいて三月の歌舞伎を楽しみ、十四、十五日で万全に近く発送用意を仕上げたい、ただし、申し訳ないが省ける手数は省かせて頂く。月曜の朝に本が届き、三時過ぎからは夕刻予約の歯科へ行く。妻は翌日にも循環器の診察がある。やすみやすみ発送したいが無事週末までにし終えたいもの、だが。
* 十一時になる。機械から離れる。まだまだたくさん校正ゲラを読まねばならない。
2015 3・11 160
* 起床8:00 血圧143-72(58) 血糖値107 体重68.1kg
2015 3・12 160
* 煩瑣な発送用意のまる一日に、全身疲れている。三度の食がうまく攝れず、自然、少量の、手の出やすい澱粉・糖分系の間食になる。そんなとき、戴いた鮒寿司は上等の蛋白質でかつ絶好の酒の友になる。お酒は問題なく腹におさまる、が、催眠効果が過ぎると仕事にならない。なかなか難しい。
* 明日は朝が早い。今夜はさっさと寝たいが、「糸瓜と木魚」だけは再校を遂げておきたい。明日の歌舞伎座へは、「あやつり春風馬堤曲」を30頁分ほど持ち込むつもり。
2015 3・12 160
* 起床7:15 血圧137-63(52) 血糖値94 体重68.8kg
2015 3・13 160
* 十時。なんとなく茫然としている。八千草薫をマドンナの「寅さん」映画に笑って泣いたからかも。読むべき字の見えなくて読めない情けなさに、か。やすみやすみ、やるさ。
* 明後日月曜朝からは、「湖の本123」発送。ただしわたしにも妻にも医者通いがはさまるので、事がどう運ぶか見当がつけにくい。湖の本としては、しっかりした一巻が樹って呉れると思う。
発送に添える小さい挨拶紙の狭い余白に手書きの「挨拶文」を入れるのは、もう、とうてい無理と思う。失礼させて頂く。
明日もう一日、やすめる。あくせくしないで、骨休めして来週に備えたい。
2015 3・13 160
* 起床9:45 血圧123-63(61) 血糖値91 体重68.2kg
2015 3・14 160
* 起床8:00 血圧147-66(53) 血糖値103 体重68.6kg
2015 3・15 160
* 昼間、西棟の玄関に山積みのママの選集各巻残部を箱に入れて三巻包みを六包册ずつ、何度もかけて二階へ運び上げた。たいへんな重労働だった。湖の本の六册ではない、選集各巻を十八册ずつだ、凄いほど重い。腕力と腰骨とで階段を運び上げた。きつかった。階段を運び下ろすのは危ない。運び上げる方がまだしも。しかし一度、素手で階下へ降りながら大きくよろめいて、危うく柱に抱きついて転落を免れた。
明日からは、家の廊下を腕車で何十度も「湖の本」を荷造りのために往復する。発送用意は、まずまず、出来ている。夕方には歯医者へ行く。明後日は妻が病院へ通う。
* 機械の画面が眩しく、眼が乾く。渇くと書きたいほど。九時半。今夜はもう休息したい。
* 一時間、なにもしないで、パバロッティ、マリア・カラス、マドレデウス、小鳩くるみ、松たか子の歌を聴いていた。蛍の光も。
2015 3・15 160
* 起床8:00 血圧147-66(53) 血糖値103 体重68.6kg
* 「湖の本123」出来、寄贈先から送り始め、夕刻へかけて歯医者へ。次回は四月六日。少し休める。帰路「中華家族」、マオタイと紹興酒で夕食そして「丹波」の校正。杏仁豆腐をサービスしてもらう。小雨の中を帰宅。
2015 3・16 160
* 晩も発送作業。十時で休止。今夜もはやくに休みたい。つまり、寝床で校正し、読書したい。
2015 3・16 160
* 起床8:00 血圧111-53(60) 血糖値95 体重68.9kg
2015 3・17 160
* 選集第七巻のなかの「丹波」初校ゲラを読み終えた。国民学校の三年生を終えて二月末にいきなり丹波の山奥の山の上のあばらやに疎開した。八月には敗戦したのに、もう一年余もたんばに居坐っていて、重い腎臓炎で京都へ帰った。二十ヶ月山村生活の体験は少年の五体に耳目に克明に刻印された。この体験なくてわたしは処女作「或る折臂翁」もシナリオ「懸想猿」二篇も太宰賞の「清経入水」も書けなかった。狂い疎開生活ではあったが、償って余りに余りある体験を得た。「丹波」は、我ながら驚くほど克明な記憶の際限になっていて、文学としても自愛の一編になっている。京都文学全集全六巻のなかにわたしのこの長編「丹波」がとられていたのをわたしは誇らしく喜んでいる。
* 選集第六巻は全部の再校が、「秋萩帖」は三校ゲラも手元に揃っている。「あやつり春風馬堤曲」の再校を終えたら、もういつでも責了できる態勢に入っている。倦まず弛まずこの道を歩む。そのうちに今度は「湖の本124 125 126」新作の一括初校も出そろってくるだろう。活況と謂える。どうか、妻もともども今のまま、今の程度の健康をじいっと保ち続けたい。
2015 3・17 160
* 起床8:00 血圧128-75(65) 血糖値101 体重68.7kg
* 夕方、ほぼ「湖の本123」送り終えた。アトは追加分だけ。よく働いた。目も手先も利かず、ご挨拶書きを省略させてもらった。
2015 3・18 160
* 一仕事終えてホオっとしている。モーツアルトや松たか子を聴き、古今亭志ん朝の「大工調べ」を聴いて、安まった。機械の中をごそごそと歩き回ったりもして。なんと雑多にもの凄い量だろう。今日はもう校正のほか何をする根気もない。
と、言いながら「秋萩帖」三校ゲラに再校からの赤字合わせだけはしておいた。そして、黒いマゴの輸液が夜遅くなった。疲れた。
2015 3・18 160
* 起床8:30 血圧141-61(52) 血糖値85 体重68.9kg
2015 3・19 160
* どうっと疲れが出たか、幾らかは呑みすぎか、寝入ってしまい白鵬の「強かった」相撲も見落とした。輸液のとき、アン・ヘッシュというコザッパリと元気な女優がハリソン・フォードと出会う軽い映画を半分ほど観ていたが、消して、二階へあがり書きかけの長編の進行に没頭、知らぬまに十一時過ぎて、眼はまったく霞んでいる。
* 秦建日子が脚本・演出という誰の作だかマンガを原作のミュージカルというのを、妻は火曜日に池袋の芸術劇場へ観に行くという。わたしは、遠慮することにした。留守番して校正するか、ゲラを持って街歩きに出かけるか、いっそ秩父か熱海か、乗り物で遠出しようかなと。だが、こう疲れていてはシャレにもならない。
* このごろも寝床に入ってから校正と読書をほぼ欠かさない。それでも躰を横にしている方がやすまる。明るい照明と裸眼とで、字を読んでいる。機械では眼が乾上がってしまうのがすぐ分かる。
2015 3ー19 160
* 起床9:00 血圧148-63(52) 血糖値78 体重69.1kg
2015 3・20 160
* 起床9:00 血圧140-69(53) 血糖値86 体重68.6kg
* 郵便局から脚を延ばして新座方面を自転車で走ってきた。東京の保谷から埼玉の新座へはかなりの急な坂で降っている。往きは軽いが帰路はとてもしんどい。足を使わないと膝に力が入らず、時に萎えたように空脚を踏んでしまい、階段では危ない。春になってきたので歩きたいと思いつつ、つい家にいる。電動自転車ですこし遠くまで走りたいが、疲れるかなあとつい凹んでしまう。食べる楽しみがまるで失せていて、あの店へ行きたいといった気持ちに、なかなかならない。飲むばかりでは健康的でない。「シェモワ」「ピルゼン」「きよ田」「ケテル」などの懐かしい店のもう無いのが惜しい。熱海駅の前の魚屋で食った大きな伊勢海老が美味かったが、遠いなあ。大好きだった刺身や天麩羅が舌に「みづくさく」頼りないのが残念。好きな麺類も苦手の内に入り、生牡蠣はどの店でもいまどき出してくれない。歌舞伎座の「吉兆」や日比谷のクラブでの「エスカルゴ」「角切ステーキ」、江古田「リオン」のフレンチコースなども、やはり酒やワインやブランディがぜひ欲しい。支那料理が結局無難か、麹町の「登龍」がいまぶんいちばん気に入っている。
京都へ行きたい。木屋町の「たん隈北店」祇園町南の「千花」、からすま京都ホテルのバアもなつかしい。
2015 3・21 160
* 眼の見えないのに焦れ、それならいっそと、拡大レンズを額に巻き、何十年もむかしむかし、清経入水や秘色よりずうっと前に書いて、書きさしたままの、謂わば「原稿・雲居寺跡」の手書き原稿をまた機械へ書き写し始めた。わたし自身、どんな展開があるのか全く忘れているので、けっこう面白いのである。いましも、鎌倉をもっとも激しい戦場にした「和田合戦」のことを語り手はるる聴き入るひとを前に物語り続けている。朧な記憶では、物語があまりに永くなりそうなのにが気重になり棚上げして、話材を小さく刻んでいろいろ書こうとしたらしい。
それにしてもわたしのペン書きの小さな字が容易に読めない、400字原稿用紙の98枚目からやっと100枚目にかかるまでに二時間余もかかっている。あと、少なくも54枚も残っている。なんとか半端なりに全容をつかんで、資料としてでも形にしておきたいが、実のところそういう原稿や手記がノートの形でも原稿用紙ででも、まだ十数種類残っている。手書きの、走り書きでなくても、もともと手跡のわるいわたしの字であって、なかなか人に頼むこともならない。この眼のありさまでは、もう一度生まれなおしてくるしか無い。やれやれ。
* 九時半。すこし階下でやすんでこよう。花粉のせいか、寒くなって来てか、嚔が出る。やれやれ。
2015 3・21 160
* 起床9:00 血圧148-65(60) 血糖値76 体重69.1kg
2015 3・22 160
* 一時。すばらしい上天気だが。ゲラ三種持って電車に乗りに出ようか。
* 西武線で飯能まで行ったが、さて、めんどうくさくなり、そのままひばりヶ丘へ戻って、馴染みのビストロでワインを飲みソーセージをたっぷり食べただけで帰ってきた。照の富士と豪栄道、白鵬と日馬富士が大相撲だったと聞いた。照の富士は勝って二敗を保ったが一敗の白鵬が結びの一番に勝って三十四回目の最高優勝を決めたのは、ま、なによりだった。照の富士の来る夏場所が楽しみだ。大きく化けるか、拍子抜けになるか。
豪栄道、琴奨菊の不成績は、稀勢の里のそれも、目に余る。先の二人は四股名もあんまりひどい。相撲の美学を大いに損ねている。いまや角界の四股名のでたらめたるや放埒無惨。気分わるくてムカつく。豪栄道、琴奨菊など、当人には理由が有ろうけれども、見苦しく聴き苦しい。挙げれば掃いて捨てるほどひどい四股名が土俵を占有している。朝青龍あたりからの悪しき流行。手を着いての立ち会いに次いで八百長放逐が成果を挙げた。次は、でたらめな、清明感を欠きすぎた四股名を改めて貰いたい。双葉山、羽黒山、安藝の海、名寄岩、千代の山、朝潮、玉の海、大鵬、柏戸、琴櫻、小錦、三重の海、霧島、北の湖、千代の富士などよろしく、白鵬もけっこう。照の富士も佳い。日馬富士のムリ読みは気になる。とにかくも、美しくスッキリしてほしい。もう一度云う、豪栄道、琴奨菊なんてのは力士の四股名とは受け取れない。まさに醜名である。
ついでに云うが、人気の遠藤もおおたぶさが結えるようになったら立派な四股名を名告って欲しい。
2015 3・22 160
* あれは、ニコラス・ケ-ジか、それとシンディ・クロフォードの録画「フェア・ゲーム」を、半分まで観た。十ぺんも観ているだろう、画面は元より出てくる科白も覚えている。それでも面白く見せる通俗な娯楽作。テレビ画面が大きいので見えているが、目はなかば閉じている。閉じているのがラクなのである。鏡に写すと、眼をしかめた顔がまこと情けない。楽しいことがないものか。結局は校正しているか創作しているかで、それが一に何より。やれやれ。
2015 3・22 160
* 起床9:00 血圧129-65(62) 血糖値95 体重68.5kg
2015 3・23 160
* 起床8:45 血圧143-69(60) 血糖値88 体重67.9kg
* 池袋の藝術劇場へ、秦建日子脚演出、誰かのマンガが原作の「神様になります」を妻と見に行った。八十になろうという老人二人にはまったく場違いな若い若い男女ばかりの大劇場、一階はほぼ満席。ミュージカルという呼び込みながら音楽・声楽・舞踏・剣戟みな雑然として美感も快感もなく、呼んでくれた建日子にも挨拶のしようがなかった。建日子自身の作・演出になる「らん」や「タクラマカン」や「月の子供」などとは、あまりに低調で目も耳もアタマも楽しまなかった。しかし満員。八千円。俳優座や昴よりも高い。それでも若い人で満員。興行としては成功しているのだろう、が、アングラ小劇場の熱気ともはっきりちがう空気、胸にしみて迫る劇的メッセージは、ゼロ。わたしはただ暗い中で目を休ませて、終演を待っていた。ま、こういう「仕事」も有る、ということ。
* 西武で食事してきたが、体調よろしくなく。風がつよく冷え込んだ。帰りの電車で「秋萩帖」を読みすすめ、すこし気分持ち直して、帰宅。元岩波書店の高本邦彦さん、中京大、多摩美大などから来信。
また日本画家で御一緒に中国を旅した松尾敏男さんからは「春の院展」へご招待頂いた。
2015 3・24 160
* 起床8:00 血圧150-80(60) 血糖値106 体重67.9kg
* すさまじい花粉症の再燃。烈しいくしゃみ、十連発しても収まらない。何年ぶりのことか。幸い、眼の痒みは感じないが。自転車で走ろうと思っていたが、とてもとても。機械の前で小説を書き進む方がよほど安全。
* 「選集⑧」に長編を全部入稿。
⑥を一週間ほどで「責了」に、⑦も初校を了えて要再校に。
そのうちに「湖の本」へ新長編がどさっと一括初校出になるだろう。
冷静に、しかし大車輪に「仕事」進める。この花粉では、花見になど行けない。
幸い、今月は、二十八日昭世の能「井筒」へ出かけるだけ。これは楽しみ。
* 今日も選集、湖の本にかかわる来信や頂き物があったが、どうも疲労の気味で、機械の前でやすみやすみ音楽を聴いたり、居眠りしたり。機械に触れていると眼が渇くので、むしろ紙のゲラを読んでいる方がラク。幸い、土曜の能のほかは今月中少しは気楽に過ごせる。そんなときにこそ新しい小説に手をかけたい。
* 十時前だが、もう機械から離れ、からだをラクに、ゲラ校正しながら安定剤リーゼを頼んで、熟睡したい。さっきまで映画「抱擁」を観ていたが、松本清張のつまらないドラマに切り替えられたのでテレビからも退散。
2015 3・25 160
* 起床10:30 血圧142-63(54) 血糖値105 体重67.8kg
* 花粉の攻勢鼻へ猛烈、嚔をはじめたら止まない。
* 「無理はなさらずにと申し上げても、それこそ無理な話 どうぞ、どうぞ ご自愛下さいませ。」と新潟市の藤田千鶴さん。みなさん声を揃えてくださる。無理なく励みたいと日々願っています。楽しんでもいまして。
22015 3・26 160
* 昨夜はひょんなことで機械のなかみに深く手をかけてしまって、あげく、夜半まで眠れなかった。今夜は、はやく床に就きたい。「秋萩帖」を丁寧に読み上げたい、早めに。 2015 3・26 160
* 起床9:00 血圧129-59(60) 血糖値90 体重68.2kg
2015 3・27 160
* 九時。もう機械仕事に耐えない、目が。明日、能「井筒」みえるかな。聴く方に気を入れよう。
2015 3・27 160
* 起床9:00 血圧137-68(63) 血糖値103 体重68.3kg
2015 3・28 160
* 堀上謙さん、馬場あき子さんと逢う。かなりこっの躰にバテがあり、十分話せなかったが、馬場さん、選集の美しいのを褒めちぎってくれた、羨ましいとまで。
帰路は、めずらしく代々木までゆっくり歩いて、山手線で池袋へ戻った。終始、間があれば「秋萩帖」を読んでいた。
朝も昼もあまり食べていなかったので、保谷駅から「和可奈」へ寄り、肴で「神鷹」の燗と冷やを飲んだ。家までは歩けそうになく、駅まで戻って車に乗った。
帰ってから、ぐっすり寝入った。そのまま、機械の前へ戻らず、夜更けて床で校正し読書して、朝まで寝入った。
2015 3・28 160
* 起床9:30 血圧125-63(60) 血糖値91 体重68.5kg
2015 3・29 160
* 左後ろの腰骨に、起つつど猛烈な痛みがあって呻く。もはや、万全の躰ではいられないのだと半ばは諦めながら、気力はしっかり保てるように平生心をしっかり抱いていたい。
* いま、わたしの心底の切望は、……。とにもかくにも、このまま死にたくもなく死なれたくも絶対に無いということ。渾身の願いで、日一日、仕事を形にして行きたい。それがわたしの栄養なのだから。選集第七巻は、いよいよ処女作二編と、「罪はわが前に」「丹波」になる。わたしの小説世界は選集①から⑥に到るいわばロマンの世界と、次の⑦のしめる切にリアルな私小説系とに大きく分かれる。「罪はわが前に」は、その双方の大きな流れの源流である。他が焼かれた写真だとすれば、これは真に「原板」と謂うべきに当たる。祈る思いで、健やかであってと願っている。
2015 3・29 160
* 起床9:30 血圧134-77(62) 血糖値103 体重68.1kg
* 選集第六巻、責了紙送る。印刷所の方、もう一年は面倒をみてもらえそう。さ、湖の本も選集もどこまでやれるやら。やれる限りやって心残りを残すまいと願う。
* 少しく身辺の雑踏を片付けたり。呑んで居眠ったり。やや休息。ひとつには左腰裏の起ち居の痛みはげしく、そろそろと暮らしている。このところ、選集や湖の本の発送作業で過剰に重い荷を運んだり持ち上げたりしていたのが堪えているのかも。
2015 3・30 160
* 起床8:00 血圧158-71(50) 血糖値98 体重67.8kg
* 二時まで、床の上で校正し、読書した。朝も小一時間、校正した。
2015 3・31 160
* なんとなく芯が疲れていて、腹中が安定しない。モノを食べると気分がわるく、空腹に耐えているぐらいが落ち着く。麺類ダメ、肉もだめ、魚も。味噌や山葵漬けや鱈子などを肴に酒を飲んで熱源にしている。よろしいこととは思わないが。主食には、カステラやクッキーをホンの少しずつ。
妙に颯爽とした気分になるのは乗り慣れた自転車で、近所へおつかいに行くとき。近所は静かで車も人もすくない。多少目が霞んでいても不安がない。
2015 3・31 160
* 起床8:30 血圧140-66(59) 血糖値104 体重67.9kg
2015 4・1 161
* 起床9:30 血圧140-66(59) 血糖値104 体重67.9kg
2015 4・2 161
* 起床8:30 血圧121-63(57) 血糖値96 体重68.2kg
2015 4・3 161
* 起床8:15 血圧145-69(55) 血糖値106 体重68.9kg
2015 4・4 161
* 外出のせいか、目を使う校正過剰のせいか、がったり疲れている。機械から離れて、上のフーちゃんの論文を読んだり、送られてきたどれもおもしろそうな海外作の本を読むなどし、疲れ寝にでも寝たいと思う。この疲れ、所詮は眼から来ているのか、からだの奥深くで異常があるのか、ごく当たり前な老境なのか、判らない。なんとなく実感として、という物言いは齟齬しているけれど、ようやくに、死にながら生きている、生きながら死んでいるという併行併存状態に入ってきたのかも。『冬祭り』のはじめの方で「冬子」や「順」や「吉男」らと心幼いままに生きる死塗るについて話し合っていたのを、妙にしんみりと思い出す。
2015 4・4 161
* 起床8:45 血圧137-61(56) 血糖値93 体重68.3kg
2015 4・5 161
* 起床7:00 血圧124-61(57) 血糖値99 体重67.7kg
2015 4・6 161
* 暫くぶりに歯医者へ。、
2015 4・6 161
* 起床8:00 血圧141-71(53) 血糖値103 体重67.5kg
2015 4・7 161
* 「選集⑥」は、印刷所内の調整で、五月七日に本になって届くと通知があった。四月、すこし寛げる。しかし五月は病院通いも多く、よほどからだを追い使わねばならなくなる。
2015 4・7 161
* それにしても、日々に能力の消散と退化を具体的に感じること、こわいほど。人の名前を忘れるぐらいはいいが、今している厚意のすぐ次の段階が見えなかったりする。複雑な機械の使用など、だんだん自信がなくなっている。ホームページも、整理縮小するぐらいにしないと、もうやがて維持が利かなくなる。思えば当たり前の現象で、怯えることはない。ただ淡々と、出来ることを出来るように、大きく間違えないようにやって行くだけ。
機械のフドレス帳にも数百ものアドレスが入っているが、誰だろうと思う程度の名前は、疎遠が常態になっている名前は、消去していいと思う。機械を使い始めて以来十五年余の保存メールの夥しいこと。もう、全部消去して差し支えない「過去完了」メールなど、消去しないと何かで検索のときや、コピー貼り付けのときなど、何時間もかかってしまう。消しますよと報せるのも、一括して上げますよというのも、ヘンなもの、手間の掛かるもの。もう斟酌なく「過去完了」は整理し消去してしまおう。、
* 老いて鬱めいてきた昨今ですと告げてくる便りも、ときどき風のように機械を鳴らす。鬱は、つとめて凌がねば。
2015 4・7 161
* ホフマンの「黄金宝壺」、ゲーテの「美しき魂の告白」、そして誰であったかの「みずうみ」を、みな、読み終えた。たくさんな珍しい海外小説をもらっている、もう一冊二冊、読み始めている。
2015 4・7 161
* 起床8:45 血圧121-73(56) 血糖値102 体重67.5kg
2015 4・8 161
* 今日は寒かった。部厚なカーディガンを着重ねて暮らした。下半身が冷えた。体調が安定せず、一度、猛烈な苦渋を烈しく吐いたりした。困ったことだ。
そんな中でも『生きたかりしに』を読み始めるととまらず、中巻分の初校ももう半ば過ぎた。探索の旅路がいましも佳境には入ってきた。もう右顧も左眄もしていられない、吶喊して読み続いで行く。さて「湖の本」の読者がどう読んで下さるか。出来得れば、たてつづけに新作の小説を「湖の本」で出し続けて大団円に持ち込みたいが。ほぼ書き上げてある新長編の方は、いっそ最初の仮題のまま、『或る寓話 猥褻という無意味』で行くか。それでも、これを「湖の本」にするにはちと勇気以上のものが要る。
とにもかくにも、書き続けねば、いろいろと。ただただ時間が惜しい。時間が欲しい。
* 明日は妻が、地元病院主治医の意向をうけ、聖路加での元の主治医先生の容態と今後への助言を受けに行く。独りで行くと云う。わたしも十三日昼前に聖路加で糖尿の診察を受ける。
十六日の鴈治郎四代目襲名歌舞伎座のあとは、めずらしく静かに予定のない四月。こんなときこそ…、と、金澤などへと想うけれど、新・新幹線は超満員であるだろう。
* 病気が想ったより進んでいて落胆していますと、久しい友人からの知らせ、ガッカリする。お大事に。、
2015 4・8 161
* 起床7:00 血圧145-64(68) 血糖値96 体重67.3kg
* 聖路加病院で、妻の容態を主治医先生に話し、今後の方針を示唆していただいた。
明後日にCT検査をし、その結果を検討してどうするかをまた示唆ないし決定していただく。地元病院には循環器外科が無く、手術はできない。バイパス手術が必要か、可能か、目下は無用かなど。
* 帰路、聖路加からプランプラン歩いて、歌舞伎座脇の「YOU」で美味いオムレツとトーストと小ビール。市川染五郎クンに教わった店で、妻もわたしも二度目。食べ終えて、すぐとなりの「茜屋珈琲店」のカウンターでマスターと歓談しながら、美味い珈琲。出たばかりの、ある著者の五代目富十郎を書いた一冊を、マスターを介して予約した。近日の成駒屋襲名の芝居を観る日に、本、受け取りにきますと。もう始まっている襲名「がんじろはん」の看板の前で妻を写真に。
また、ぷらんぷらん銀座一丁目駅まで歩いて、有楽町線で帰宅。処方してもらった薬を駅前まで自転車で受け取りに行った。
* 往きも帰りも電車ではずっと「生きたかりしに」の校正。人はしらず、書いたわたしは、グイグイ引き込まれて読み直せている。『冬祭り』と同じほどの長編だが、校正の進度はめざましいまで。上巻を「要再校」にしたばかりだが、明日明後日にも中巻も「要再校」で戻せそう。
2015 4・9 161
* 夜来、体調ととのわず、あけがた、強烈な苦渋・苦汁がのどもとを衝き上げてきて目覚めた。水分を流し入れて凌いだ。出先でおそめの昼食をして、銀座一丁目へ歩いているときにも、甚だしい喉元への苦みに襲われ、地下鉄にのる前に、水分をとって凌いだ。夕食中にも同じく。昨日は、食事最中にかるく嘔吐したりした。
胃袋がないということに、容易になれないのか、胸焼け、腹のもたれや張り、が苦痛をともない、食べるよりも食べないラクを選択してしまう。エビオスを多めに常服することで凌いでいる感じ。どうも、まだまだ術後の生活が安定しないでいる。
2015 4・9 161
* 起床8:30 血圧156-75(58) 血糖値91 体重67.4kg
2015 4・10 161
* 起床7:00 血圧1 45-64(68) 血糖値96 体重67.3kg
2015 4・11 161
* 起床9:00 血圧125-64(58) 血糖値97 体重67.6kg
2015 4・12 161
* 明日は、一時半予約(生理検査の結果が出るのに一時間はかかる)。十一時には検査を終えておきたく、そのあと別館タワー五階の内分泌内科で診察を受ける。長く待つのは「校正」という仕事が有るかぎり、平気。仕事が捗り、いっそ有り難い。月曜なので美術館がダメ。出光美術館へは行ってみたいと妻と話している。
2015 4・12 161
* 起床7:00 血圧161-73(52) 血糖値93 体重67.6kg
* 十時半には検査を終え。しかし診察を終えて支払いをして三時半、さらに薬局で処方薬が出るのに三十分待ち、糖尿の薬は大袋に二杯。もっともハナから待つ覚悟で、校正刷りをたっぷり持っていて、ずいぶんハカが行った。湖の本の「生きたかりしに」初校は「下巻分」までしっかり読了、また選集⑦巻頭の処女作二作も、再校分を気を入れて読み終えた。
築地は、雨ざんざ。空腹。タクシーで松屋まで行き、八階の天麩羅「つな八」へ久しぶりに。手術後に二度出向いたが二度とも「味」がしなかった。今日は、やっとかなり美味しく食べられた。カウンターで、板さんと酒談義。奈良の酒がなかなか美味いんだよと褒めると、「そのとおり」とばかり店の奥から「赤巴」という奈良の酒をもちだし、コップ一杯、ご馳走してくれた。風味豊かで、ちょっと類のない美味。おかげで天麩羅も久々美味く口に入った。
機嫌良く、銀座一丁目から乗ったが、気が付くと平和台まで乗り越していた。小竹向原まで逆戻りし、保谷では雨中タクシーを待った。
2015 4・13 161
* 起床8:00 血圧136-71(54) 血糖値105 体重67.4kg
* 終日視力まったく不調、仕事にうちこめない。不自由の儘、やすみやすみ努めているが。疲労。
* 妻も、先日検査の結果からも、今日地元病院での診察からも、心臓血管のまたまたの拡張手術、避けられないようす。金曜日、再度聖路加で、先日検査所見見当の上、対応が決まる予定。
2015 4・14 161
* 起床8:30 血圧136-71(54) 血糖値95 体重67.3kg
2015 4・15 161
* 起床8:30 血圧136-71(54) 血糖値95 体重67.3kg
2015 4・16 161
* 起床7:30 血圧132-69(64) 血糖値100 体重66.5kg
2015 4・17 161
☆ 具合はいかがですか
秦兄 その後体調はいかがですか。
きょうは西村肇君のお声がかりで久しぶりに弥栄中学校の有志と京都パレスサイドホテルで昼食会を愉しんできました。
男性は奥谷智彦、瀬尾重宏、筒井信貴雄、西村肇、松尾良輔君と
女性 伊藤春子、内田豊子、木村悦子、松原須美、横井千恵子さんで
伊藤さんとわたし以外は高木先生の一組のメンバーで、年に数回会食をしているそうです。 過日西村君に中学の同窓会がしばらくないなぁと云っていたので誘ってくれたのでしょう。
兄の京都府文化功労賞受賞の件も報告しておきましたが、皆さん 兄の体調をたいへん心配しておられました。
内田さんらが兄あてにメッセージを書いていましたから、いずれスナップ写真が出来しだい西村君から届くとおもいます。
兄が話題の中心だったので取りあえずご報告をしておきます。
くれぐれもご自愛のうえ執筆にご活躍ください。 森下辰男
* ありがとう。男性一人、女性二人が、思い出せないが。
京都へ、いつ行けるのだろう。この疲労を思うと軽々しくは動けない。モノが確かに、クリアに見えていないのも危険で。
2015 4・17 161
* 起床8:30 血圧141-64(60) 血糖値80 体重67.7kg
* 一昨日の鴈治郎襲名の昼の部あと、「茜屋珈琲店」のカウンターへ。と、まあ。「ハイ墨牡丹でお待ちしてました」と。亡き加山又造さんの繪と指導とで出来たそれは美しい珈琲カップ。謂うまでもない、華岳絶筆の墨牡丹。マスターはわたしの「選集」第四巻でその作を見て呉れていての温かな心入れのご馳走であった。この店では、マスターとこういう付き合いが出来ている。珈琲もジュースも一律千円札をわたすと「ご縁(五円)」のお釣りが出る。出されるカップやスプーンの折りに応じていろいろに美しいことは、目をみはる。店内や手荒いの心地よい清潔さの中で見よい絵や壺も生花も。時に歌舞伎役者とも隣り合う。想えば久しいお付き合いだ、妻もお気に入り。
此の店でか、日比谷のホテル・クラブルームだと、芯から寛げる。以前は巖谷大四さんに連れてもらった、有名な漫画屋さんのよく集まってた「バー・ベレー」へ夫婦していつもくつろぎに出向いていた。人気のスーパーママ「すまちゃん」とも、家族ぐるみすっかり仲良しになった。娘朝日子が結婚しようとしていた相手も連れて行き、ひそかにママに品定めしてもらった。チッと、目にもとまらず小さく鋭く首を横にふられ、嘆息した。当たっていた。あのママも亡くなった。
昨日病院の帰りに妻と昼食した築地、若い夫婦でやっている鮓の「福音」も、とても気に入っている。第一に出る魚がとびきり佳い。もっぱらわたしは刺身で食べ、鮨飯は控えるのだが、切ってくれる次々魚の吟味と美しい包丁、仕出し、腕の良さ確かさに惚れている。酒は、ここでは八海山の冷やと決めている。酒器も清らか。ただし、値段は上等である。銀座では競り落として評判の鮪一切れが壱万円ということも体験していて、まさかにそんなにはならないが、なるほどねと肯く程度にはお札が要る。それでも、ちょくちょく暖簾をわけるのは、それだけの嬉しい満足があるから。久しぶりに昨日の魚は美味く原におさまった。食味が戻ってきたのかな。
2015 4・18 161
* なんとなく、ほっこりと休息気味に、じつは疲れている。なによりも眼が利かないのに、たくさんたくさん読まねば成らず書かねばならない。深い水の底から水面へと両手両脚でもがいている感じ。水面へ出れば息がつける。するとまたもぐるのだ。そんな繰り返しを、その実、求めて楽しんでいるに近いのだからしようがない。いま校正の仕事は「選集⑦」再校 「選集⑧」初校 「湖の本 生きたかりしに」上巻再校 下巻要再校戻しと私語の刻用意。五月の連休明けには「選集⑥」の発送があり、その用意もしている。これらの間に妻の入院手術日が決まるだろう。順調なら二泊三日で退院できる。無事の成功を真実願っている。
* 少し冷えてきた。
2015 4・18 161
* 起床8:30 血圧129-63(54) 血糖値90 体重67.5kg
2015 4・19 161
* 起床9:00 血圧128-57(59) 血糖値85 体重67.4kg
2015 4・20 161
* 明日はも遅くも七時前には保谷で電車に乗らねばならない。無事に向かいたい。今夜ははやく躰をやすませたい。
2015 4・20 161
* 起床5:00 血圧129-63(57) 血糖値96 体重67.6kg
2015 4・21 161
* 起床7:00 血圧126-65(59) 血糖値94 体重66.9kg
2015 4・22 161
* ゆうべは、十時間寝た。黒いマゴが二度三度わたしの布団へもぐり込んできた。あさ、テラスへだけ一度出してやった。これで三日続けて留守をさせてしまう。黒いマゴにも協力してもらっている。
* 無事、退院。暫くは造影剤を脚から入れた後遺症があるだろうが。深切な配慮と連携とで、恵まれ診療であった。感謝。
疲れはした。きのう十時間寝たが、まだ睡い。明後日には印刷所との打ち合わせ。五月七日に「選集⑥」が出来てくる。五月八日には、妻の術後の診察。五月もまた、忙しく仕事を追い仕事に追われるだろう。『罪はわが前に』などの「選集⑦」も桜桃忌ごろには出来るのではないか。しかもうち重なって「湖の本」では、新作の長編『生きたかりしに』が上中下巻で間隔を詰めて出来て行く。「選集⑦」と「湖の本」三巻の新作とは、文字どおり表裏して、一風あるわが自伝にも成るだろう。なぜ書くのかを値から答えることになるだろう。
* さ、今夜もすこし早めに床に就き、そこで校正を進めてベット有効な時間を生みだし新しい別の仕事に取り組みたい。
今日病院へ来てくれた建日子と三人で築地の「宮川本廛」で鰻を食ってきた。そのときに建日子に示唆した恰好の小説、彼は全然気乗りをみせなかったが、なんだかわたしが書きたくなってきたから不思議だ。時間も体力も無いので手が出せないけれど、いい着眼だと思うがなあ。働き盛りなら、わたしならむしろかるがるしく手を広げないで大作に取り組むのだが。
むかし、桜桃忌の日だった、吉村昭さんといっしょに、あれで桜桃忌会合からの帰途に一休みした店で、しみじみ云われたことがある。その際のわたしは太宰賞を受賞したばかりの新米作家だった。
吉村さんのいわく、新人の時は、手持ちぶさたにウロウロしていると、見透かしたようになんでこんなのが俺にと思うような、埃かゴミのような見当違いの仕事の依頼もくるものだけど、ぐっと堪え、んな時こそハラを括って纏まった大きな作を考えた方がいい、軽い、柄にもない仕事でクセになった人は、そこから抜け出て質的に伸び上がるのは難しく、そのまま埃まみれに頽れて行きがちだと。
わたしは、大事にそれを聞いた。
わたしも安易に作品作品と自称していた時期があったが、作と作品とはちがうことに思い至って心したのも大きな気づきだった、もつともその気づきは「売れる」ことには直結しなかった。我ながら恥ずかしい仕事、金になろうともそれこそしたくない仕事の最たるモノだった。
建日子に書いて見ろよとすすめた創作、これはその気にさえなればしっかりした追究が利く題材。ただし私小説にしては詰まらない。生み創り出すこと、一人の若いヒロインを。
2015 4・22 161
* 起床7:00 血圧136-67(56) 血糖値100 体重67.0kg
* 好天、温暖、散髪。気分よし。
* 明日午前、印刷所での打ち合わせ・顔合わせの為に、事前電送原稿や、持参原稿類の用意に終日取り組んでいた。視力は最低の眼精疲労、イライラしないように自制しながら、繰り返し繰り返し訂正もやり直しもしながら、やっと、まずまずの処へ持ち込んだ。
気が付けば、夕食もしていない。
2015 4・23 161
* 起床7:00 血圧130-65(64) 血糖値80 体重67.3kg
2015 4・24 161
* 十一時、印刷所で、担当者の引き継ぎを兼ねて、事務上の細部を打ち合わせた。なにしろ現状「選集」は⑥⑦⑧巻が進行中、「湖の本」は124.125.126三巻が併行して進行中で、交通整理だけでも汗をかき、進路が混乱しかねない。わたしの側では、これに先だって創作その他の仕事も優先して進めねばならない。疲れるけれども、吶喊するしかない。より慎重に注意深く在らねばならない、
* どこで道草も食わずに帰宅。疲れた。
2015 4・24 161
* 起床8:00 血圧1 28-67(53) 血糖値8 2 体重67. 2kg
2015 4・25 161
* どんどん仕事。しかし、躰も働かせないと脚力が落ちて戻らない。
2015 4・25 161
* 起床7:30 血圧139-65(54) 血糖値95 体重67.0kg
* 選集⑥の発送用意をしながら、新しい作や、各種の校正を順繰りに進め進めながら、視野が霞むとやすんでいた。
* 知らぬまに一日が過ぎて行く。もう十一時前。
明日は妻が地元の眼科へ行くと。明後日は、やはり妻が、聖路加での経緯報告かたがた地元病院で主治医の術後初の診察を受ける。
わたしは、五月の連休明けから重労働になるので、それまでは休養気分でいたい。
2015 4・26 161
* 起床8:00 血圧128-61(57) 血糖値91 体重66.5kg
2015 4・27 161
* 起床8:00 血圧136-57(60) 血糖値103 体重66.9kg
2015 4・28 161
* 十時半、もう目が見えない。機械から離れる。寝床に坐って裸眼で校正する。「湖の本」124上巻の責了が決した。これから連休に入って、明けると「選集⑥」が出来てくる。やがて続いて新作『生きたかりしに』の上巻が出来、中巻下巻も間隔をつめて出来てくる。「選集⑦」の『罪はわが前に』も六月から七月のうちに出来る。追いかけて「選集⑧」の『最上徳内』も出来るだろう。「間に合う」ようにむようにと願っている、何にという確かな予感はないのであるが。
2015 4・28 161
* 起床8:00 血圧132-64(60) 血糖値91 体重67.3kg
* 「生きたかりしに」下巻の再校ゲラが届いた。「選集⑦」のあとがき、後付けも届いている。いま仕掛かりの一山二山を越えて行ければ、幾分、胸がすく。心身すこし寛ぐだろう。薫風の五月、さわやかに迎えたい。
2015 4・29 161
* 今日をふくめ、あと七日八日、ほっと息をつきながら五月連休明けへ備えられる。ふらりと街へも一度二度出かけてきたいもの。泊旅もしてみたいが、ほぼ毎日の黒いマゴの輸液がある。最愛のマゴにもぜひ長命してほしい。
2015 4・29 161
* 起床8:00 血圧132-64(60) 血糖値91 体重67.3kg
2015 4・30 161
* 石神井公園fうちからも近い。
わたしたちも今年の櫻は、墓参のおりに青山で盛りすぎを眺めただけ。
連休のうちには、石神井池に並んだもう一つの、三宝寺池へでも、久しぶりに電動自転車で走ってみるかなあ。以前は普通の自転車で四時間も、時には五時間にも及んで走り回れた、多摩川の向こうへも、荒川の向こうへも、所沢の奥までも走れたが。
そう云えば、昨日、なみの自転車で小一時間、黒目の下流から落合川ぞいを上ってきた。久しぶりで気持ちよかった、が、終始視野は潤んでいて、なにひとつクリアに見えなかった。危ない気もした。道も人も車も、おおよそ何でも判別はできるのだが、まるで潜水しながら走っているようで風のそよぎは心地よかった。
* 気疲れか。病院の待ち時間に校正ゲラを読み過ぎてか。ちょっと安心してか。夕過ぎるまでぐっすり寝入った。
晩、録画映画「ル・ポストイーノ」を静かに。それはそれは、佳ーい、映画。そして哀しい。こういう第一級の作品に心ふれていると、どこかの国の総理の大見得の演説など、ただ、うそくさい。
「選集⑧最上徳内」につづく「選集⑨」の内容を決めた。「選集⑩」も、ほぼ心に決めた。
2015 4・30 161
* 起床8:00 血圧128-64(57) 血糖値82 体重67.5kg
2015 5・1 162
* 思い立って市の老人福祉館へ利用願いの書類を出してきた。遺憾にも談話室に、低いソファと卓としかなく、倚子での書き物・読み物机が無い。おばあさんたちが数人で盛んに大声で話していたのは平気だが。それでも、ともあれ持っていっただけの仕事はして、トイレを使い、幾つかの部屋をみてまわって帰ってきた。囲碁に熱中の二十組ほどが湯気の出そうに対戦の部屋があってびっくりした。いま、人と碁を闘わせて過ごす気も時間も無い。和室の大広間、洋室の大広間では民謡などの会合のようだった。
やっぱり、何処か気に入りの喫茶店を探すしかないが、目下、近在に一軒もそういう店が見つかってない。このぶんだと、やはり長距離の空いた乗り物がいちばん「校正」には好い。やれやれ。
2015 5・1 162
* 起床7:15 血圧145-66(58) 血糖値78 体重68.1kg
2015 5・2 162
* 今日から連休になるらしい。連休あけには「選集⑥」が出来てくる。どきどきしている。こんどの送りでは、妻を疲れさせるわけに行かず、たとえ100あまりでも、ゆっくりとと。追いかけて新作未発表長編の湖の本が「上中下三巻」つづけて出来てくる。「選集⑦」も併行して出来てくるだろう、どきどきする。元気でいなくては。
2015 5・2 162
* 起床8:15 血圧127-69(57) 血糖値91 体重67.5kg
2015 5・3 162
* 起床7:00 血圧151-75(55) 血糖値92 体重67.3kg
2015 5・4 162
* 霞んで見えない目をやすめやすめ、今日も書いて読んで、そしてテレビもながめていた。テレビに出てくる人の見当はついても顔が見えない。
これでは、自転車が危ない。疲れる自転車での遠出は、したくても已めた方が良い。
2015 5・4 162
* 起床7:00 血圧141-77(52) 血糖値86 体重67.0kg
* よっぽど疲労が溜まってか、一日中何度も居眠りした。仕事は進んで行くのだが、そのぶん律儀なほど疲れものこる。目がよく見えないので疲労は加わるばかり、それでいて、やっぱり仕事していることが、そのときが、気分はいい。やめようとか、投げ出そうとかは想わない。胃のない腹具合の重苦しさへ疲れがのしかかる。これには参る。
* トイレの手洗いに溢れるように、アメリカ岩南天の白い花房も、わびて青い葉色のかたちも、優しくて。ほっとする。眺めたままふうっと眼を閉じて行く。
* 十時半。もう寝よう。今朝は九時半まで寝床にいた。寝ていない。眼のいい起き抜けに、床に坐ったままゲラを読むのだ。働いてしまうと浅間血圧はすこし高くなる。
2015 5・5 162
* 起床9:00 血圧135-58(67) 血糖値85 体重67.3kg
2015 5・6 162
* 起床8:00 血圧138-64(59) 血糖値86 体重67.4kg
2015 5・7 162
* 思っていた半分も荷造りできなかった。脚に造影剤を入れ、そこから心臓血管にまでステントを入れた妻の片脚は、ややに回復していてもまだまだ広範囲に紫斑が浸潤したまま、痛みも消えたわけでない。その体調を片膝立てで庇うようにして重い本を荷造りかるのは、健常時のようには行かない。明日は午后にまた聖路加で診察を受ける。悪化が進んでいないことを願うのみ、歩行をむしろ禁じられている状態なので、むろんわたしも同行する。続いて土日、郵便局がしまる。その間に、荷造り分を溜めるようにする。
2015 5・7 162
* 起床8:00 血圧139-75(57) 血糖値82 体重67.0kg
* 朝一番に、用意の荷造り本を腕車で郵便局へ運ぶ。明日明後日の土日は荷造りだけ。
* 昼すぎには聖路加へ。妻の循環器内科の検査と診察。歩かない方がいいと云われており、築地までタクシーというのもオーバーなので、極力短距離の所もタクシーを利用する。当然、付き添って行く。軽快してるといいのだが。幸い以前の右腕動脈瘤のときの激痛は訴えていないが、緩やかな痛みと広範囲の紫斑は目立つ。
病院の待ち時間は恰好の校正どきで、待つのは苦にならない。
* 幸い事なきを得て、病院から帰宅、七時。帰り、気に入り野の築地「更科蕎麦」で、妻は鴨南蛮、わたしは蜆をたっぷり煮込んだ深川蕎麦で、升酒を二合。
病院でも、電車でも、たっぷり校正出来た。病院通いで時間をロスしたということが全然無く、目先も気も変わって自然歩きもするので、上乗。日比谷のクラブへ寄ろうかと思ったが、ま、あっさりと蕎麦がいいと。
さ、明日明後日の土日を利して、送本作業を終えてしまいたい。十八日には、「湖の本124・生きたかりしに」上巻が出来てくる。その発送用意もしなくては。
なにより、健康。
2015 5・8 162
* 起床8:00 血圧125-69(66) 血糖値77 体重67.1kg
2015 5・9 162
* 起床7:00 血圧130-62(54) 血糖値90 体重67.0kg
* また、歯一つ、落ちる。齢、少なくなるばかり。明日夕、暫くぶりに歯科へ。
2015 5・10 162
* 起床7:00 血圧139-69(62) 血糖値98 体重67.3kg
2015 5・11 162
* 歯医者、また当分通わねばならない。次回は25日夕方。
帰路、中華家族でマオタイ二杯。妻は好みの酢豚など。
2015 5・11 162
* 起床8:30 血圧123-65(60) 血糖値85 体重67.1kg
2015 5・12 162
* 明日は朝から聖路加、十三時予約の感染症内科、わたしの診察日。ま、ドクターに顔を見せに行き、仕事の話などし、たっぷり処方薬をもらってくる。検査結果は、ずうっと安定している、が、油断はしていない。
ドクターに差し上げた繪が、二階チャペル入り口のすぐ右の壁に掛かっている。日本の画家が、キューバの夏景色を描いたみごとに質感を湛えた小品。小品ながら、堂々の存在感にあらためて感じ入っている。このあいだ妻の診察に付き合って行った日にみつけた。お
、いい繪じゃないかと近寄ってみると、わたしが京都の星野画廊で見つけて買ってきた秀作だった。妻も、あらためて感じ入っていた。明日もまた繪に逢ってこよう。
明日は、嵐かなあ。
2015 5・12 162
* 起床7:30 血圧130-63(63) 血糖値98 体重67.2kg
2015 5・13 162
* では「最上徳内」の第八章をかかえて、気永に聖路加での検査と診察を受けてくる。暑くなるとか。帰りは涼しいビヤホールなんか、いいかな。
* 検査良好。支払いして処方薬を薬局で受け取ったのが一時半。築地の「玉寿司」で、「極み」の鮓で「山田錦」と特醸秋田の「まんさくの花」をしっかり呑んだ。いい気分で、新富町駅ホームの倚子で一寝入りしてから地下鉄に乗った。乗り越すよりいいと算段。電車でも「最上徳内」をおもしろくズンズン校正できた。
* ロスの池宮さん、東京の友人を介して菱川師宣ゆかりのお酒二本を頂戴していた。ちょくッと呑んだ。どうも食べるより先になる。腹が張らないから。
2015 5・13 162
* 起床7:30 血圧128-62(61) 血糖値86 体重67.4kg
* 選集づくりのピッチを早めているのは、云うまでもない「命あるうちに」と思ってで、他に理由はない。非売本であり、私の、ま。ビタミンなのだと思っている。第九巻の原稿読みにかかる。ガラッと様子が変わる。
2015 5・14 162
* 起床7:30 血圧129-65(61) 血糖値99 体重68.6kg
2015 5・15 162
* 起床8:30 血圧131-69(51) 血糖値85 体重68.1kg
2015 5・16 162
* 起床6:00 血圧128-63(48) 血糖値93 体重67.9kg
* なぜか六時に起きてしまった。「下巻 126」跋と後ヅケの責了紙を速達で送った。これで長編『生きたかりしに』の校正作業は終了。よく頑張った。選集⑦もぜんぶ手を離れている。選集⑧の『最上徳内』初校了にもう50頁。選集⑨は、入稿前の原稿読みに集中。おそろしいほど忙しかった今年の前半。慌てているのではない。何に、とは言いにくいが、「間に合い」たい。それだけ。
2015 5・17 162
* 早起きしたぶん、仕事もはかどり、眼の休息に敢えてうたた寝の数も重ねていた。明日からの一週間、病院通いも俳優座の芝居もはさまり暑さも雨もあるだろう、疲労に負けないようにしたい。梅雨もちかづく。冷暑の落差はげしいこの時季は老境には障りやすい、
2015 5・17 162
* 起床7:00 血圧143-68(56) 血糖値86 体重68.0kg
2015 5・18 162
* ものすごい勢いで、今日は夜まで、発送予定の大半を荷にした。
明日は聖路加なので、夕方からあとにしか仕事が出来ない。
明後日は、午后に、レマルク作の芝居を観に出かけるので、せいせい午前中しか仕事が出来ないが、夜には、作業をほぼ終えられるかも。
2015 5・18 162
* 起床6:30 血圧143-75(63) 血糖値86 体重68.0kg
* 受付の親切と機転とで午後一の予約を午前最後へ送ってくれ、一時間余もはやく眼科検査と診察とを終え、点眼薬をたくさん出してもらってまた三ヶ月後と。
* 昼食の選択をしくじり、何となく疲労して三時ごろ帰宅。見えない眼で自転車をつかい郵便局へ本を送りに行ったあと、残りの発送仕事にかかったものの、あたまも手も遅々としてはたらかず。どうも切り替えがうまく行かない。夕食もかたちばかり終えて、今晩、もう一踏ん張りする。
2015 5・19 162
* 十時半、機械の前へ戻ってきた。疲労して、今日体調非常にわるい。明日、朝に仕事して、午后に劇場へ、帰宅して晩にまた作業を続けねばならない。相当ハードだけれど、弛んでしまうと回復しにくくなる。何を措いても、やすむことにする。
2015 5・19 162
* 起床6:30 血圧128-68(63) 血糖値89 体重68.3kg
* 午前、頑張る。
* 紀伊国屋ホールでの俳優座公演、レマルク戯曲「フル・サークル」を深い共感と喝采とで観てきた。今日ただいまの日本国民に訴えるもっとも適切な主題であり舞台であり、レマルクの傑作小説の強烈な自由と平和への志向・殉情を少しも損なわず歪めずに彼自身で成した劇作であった。いまの、怠惰で優柔で卑屈なほど安穏に安住して今日から明日への真の恐怖世界を想像すら出来ない日本人、ことに青年、中年を、これほど叱咤し忠告している舞台は無いであろう。
わたしは眼が不自由で、舞台も霞んで見えていたが、だから俳優達のうまいのへたのなどは却って問題外となり、息づかい激しい歎きの、怖れの、不安の科白の一つ一つを耳から胸へ畳み込んで聴き味わっていた。最大級の拍手を率先送ってきた。しかし、おそれていたように、劇場内の反応は、わたしの祈るような思いの共感や認識とはやや懸け離れ、温度の高まらないもどかしさがあつた。現代というより、今日から明日へ生きぬかねばならぬ日本人の足もとを激しく揺るがしている現実の危機、それと共振させ踏み込んで観ている人が少ないなあと感じた。あーあと、寂しさをさえ覚えながら、妻と、劇場を離れたが、俳優座、制作の人とはしっかり握手してきた。
2015 5・20 162
* 起床6:30 血圧141-71(63) 血糖値102 体重68.1kg
* 午前、「選集⑧ 最上徳内」を要再校で戻した。ひどい直しはなく、早く進みそうな気がする。華やいだロマンではない。が、日本の近世近代現代に深く食い入った問題作になっている。こういう歴史も広く認識されていたいと切に願うのであるが。
よほど出歩きたいとけさも六時半には床をはなれ、ロスの池宮さん、バルセロナの岩見さんへ送本し終え、さらに「徳内」を要再校で全編送り返して……、さて、動きも敢えず、今は機械の前でうたてねしていた。いっそ、イヤになるほど熟睡してみるか。
2015 5・21 162
* しごとらしい何も今日は出来ず。晩は、何度も何度も見てきた潜水艦映画をハラハラしながら見ていた。黒いマゴに輸液したら、本など読んで、リーゼを服して、寝よう。
2015 5・21 162
* 起床9:00 血圧122-63(58) 血糖値92 体重68.2kg
* 朝一番に、銀行から、選集⑥と湖の本124との支払い送金を終えてきた。二つが一気に来て金額が張ったが、張ろうが張るまいが、見返りの収入はゼロなので、出来るだけを出来る間は続けるというだけのハナシ。自然とお金が無くなるか命が無くなるか、うまくバランスしてくれるだけを希望している。
日盛りながら暑くもなく、行きは駅まで市の花バスで。帰りは妻と歩いて帰った。銀行での支払い事務は、用紙への書き込みなどが煩雑で、こっちは数字も見にくい視力なので、妻に付き合ってもらわねば出来ない、情けないが。
2015 5・22 162
* 「夕顔」を読み、「月の定家」の一の「しゆんぜい」を読んだ。もう眼が見えない。 2015 5・22 162
* 起床7:00 血圧142-68(56) 血糖値90 体重68.5kg
2015 5・23 162
* 眼の見えないこと、京は甚だしい。機械で原稿を読むのにとても苦労。
幸い校正も途切れていて。すこしゆっくり街あるきしてこようか。
2015 5・23 162
* ご近所から、脂の乗った美味しいいさきを戴いて、妻が、なかなか上手くおろしてくれたのが上乗、お酒がうまく飲めた。昼には饂飩で腹が張って苦しかったが。酒、そして美味い肴が、いま一番口に合う。空腹のままに好い栄養の入る工夫が大事らしい。腹の靠れる食事は苦痛のもと、禁物。むかしはよかった、何を食っても美味かった。
2015 5・23 162
* 今朝は七時前に起きた。世間様とは比べようもないが、早起きすると午前の仕事がはかどって有り難いが。機械の仕事は目にこたえる。それでも「選集⑨」の機械での原稿読みは欠かせない。明日からまだ十五篇もをとにかくも読んで調えて、入稿へ。さながらに人生を生き直している心地。
2015 5・23 162
* 起床7:00 血圧136-73(61) 血糖値84 体重68.1kg
2015 5・24 162
* 起床8:45 血圧138-68(64) 血糖値84 体重68.3kg
2015 5・25 162
* 危うく歯科約束の時間に遅れかけた。まだ当分歯医者通いから解放されない、終わるかなあと思っていると、歯が欠けたり抜けたりする。あらゆる医療機関のなかで、通っている歯科との縁がダントツに永く久しく、数十年。
2015 5・25 162
* 起床6:45 血圧136-69(57) 血糖値87 体重68.3kg
2015 5・26 162
* 明日はまた、正午予約で、聖路加へ。腫瘍内科。顔を見せに行く。それでもよほど外来で待つだろう。
世の中、暑そう。不快な熱中症に気をつけねば。
2015 5・26 162
* 起床6:30 血圧128-72(60) 血糖値88 体重68.5kg
2015 5・27 162
* 各務原の山中さんより、「三千盛」の特と超特の二升頂戴。じつは日本酒が、ずうっと切れていて。まことに嬉しく、感謝し、ちくと二、三杯きこし召してから、診察を受けに築地の聖路加へ。
* 正午予約で、診察室から声のかかったのが午后二時。めずらしく校正ゲラが無く、「生きたかりしに」上巻を読み返してきた。生母の短歌を多く点綴して、わたしの歌もところどころに置いたのが、唱和ではないけれど呼び合っていて、ときどき胸を熱くした。また後半の七十頁に及ぶ大和路、近江路の旅を建日子と倶にしていたのも、子と父とのかけがえない懐かしい記録になっていて、この小説がただもう一途の探索で終わっていない余裕も見せていると、喜ばしい気がした。
幸い、検査データ、肝臓ほか全てに問題なく。次の診察は九月。
何一つ道草食わず、帰宅。暑さに草臥れるが、少し元気にもなっているか、と。
とはいえ、頸のまうしろから肩が重く痛む。やはり疲労と思う。すこし休む。
* たっぷり三時間半も寝潰れていた。二階で妻のピアノが鳴っていた。ひとりで混ぜ鮓を少し食べた。
2015 5・27 162
* 起床8:30 血圧116-60(64) 血糖値98 体重68.7kg
* 一度も目覚めず一夜眠った。
2015 5・28 162
* 起床8:00 血圧139-67(52) 血糖値92 体重69.0kg
2015 5・29 162
* 金澤では井口哲郎さんはじめ逢いたい方がたくさんおられ、新幹線も通ったこと、行ってみたいはヤマヤマだが、お祭り騒ぎらしい新幹線もしんどいし、京都よりも遠い。新幹線なら、熱海、水戸、せいぜい仙台、名古屋が限度と、それもまだ一度も試みていない。血圧も、血糖値も、検査値によくないところ無いと聞いているが、かすかに貧血が自覚できる。疲れると、よろっとする。電車やバスの乗り降りに注意している。一つには眼鏡をいくら掛け替えても、裸眼でみるに等しく、クリアな世界は朝に目覚めてのせいぜい三十分どまり。眼科で、例のカタカナや記号を読むときだけは視力1.2とか1.1とか、「視力よく回復していますね」でさよならになる。「ま、やすみやすみお仕事して下さい」で、では三ヶ月後に「また、いらして下さい」と。困るんだなあ。ま、わたしの咎であるのだろう。上田老秋成も、右明を失し、次いで両眼盲い、辛うじて左明をかすかに回復したと謂う。やれやれ。
2015 5・29 162
* 起床8:00 血圧139-67(52) 血糖値92 体重69.0kg
2015 5・30 162
* 起床7:30 血圧148-75(56) 血糖値94 体重68.1kg
2015 5・31 162
* 起床7:00 血圧143-64(60) 血糖値97 体重67.61kg
* 聖路加へ一時半、利尿の処方箋をもらいに出かける。
2015 6・1 163
* 飲まず食わず帰ってきた。もっていた「徳内」再校ゲラ、全部読んできた。「後拾遺和歌集」の最後の撰も終えてきた。
* とても疲れた。次の歯医者を今日と間違えていて、一週間後とまた覚え違いして、じつは明日の夕方だった。だいぶモーロクしてきた。疲れる。湖の本の発送用封筒に、必要のない「書籍小包」印を全部捺してしまったのもかなりアタマへ来る失策だった。
2015 6・1 163
* 起床9:15 血圧128-63(64) 血糖値98 体重67.8kg
* 朝一番に美味しい焼きあなごをたっぷりと頂戴した。さっそく焙って、ちくと一献のいい肴に戴いた。善哉。
2015 6・2 163
* 起床9:15 血圧128-63(64) 血糖値98 体重67.8kg
2015 6・3 163
* 起床9:00 血圧143-69(64) 血糖値90 体重68.8kg
2015 6・4 163
* 六月にはペンの総会があり、たしか藝術至上主義文藝学会では前会長、現会長と詩人との鼎談「創作と研究との」ウンヌンというのがある。久しぶりに顔を出してみようかなど思うけれど、徹底して出不精になっている。
* どう試みても掲載に成功できなかった「電子文藝館」への作の掲載に成功した。ああ、よかった。さらに習熟し流暢になれば、掲載したい作が、寄稿がたくさん在る。明日、また試みる。今夜はもう目が見えない、あてずっぽうにキーを敲いている。
2015 6・4 163
* 起床8:15 血圧143-67(62) 血糖値89 体重67.9kg
2015 6・5 163
* 起床7:30 血圧130-66(51) 血糖値101 体重67.7kg
2015 6・6 163
* 起床7:45 血圧118-62(60) 血糖値90 体重67.3kg
* けっこう自分たちのボケてきているのを、夫婦して苦笑している、いろいろと。なでしこジャパン四年前の大健闘再放映を見て感激していた。ま、よい。感激したのだ、わるいことでない。
2015 6・7 163
* 明夕、また歯医者に通う。右下に一本欠けており、左下奥には歯がない。この無いのはそのままらしいが、右下の欠けはいずれ差し歯にでもするらしい。
2015 6・7 163
* 起床7:45 血圧133-66(58) 血糖値91 体重67.9kg
* 午前午后 仕事。もうやがてまた歯科へ。
* あっというまに治療が済み、帰りに、五時開店のどの店にも立ち寄れず、まっすぐ帰宅。結句、その方がからだは安まる。お酒はもう一本残っているのだし、家でゆっくり呑めれば結構だ。
2015 6・8 163
* 起床7:45 血圧147-82(59) 血糖値90 体重68.0kg
* この二三日、涼しい。長袖が欲しくなったり。それも梅雨に入って、むしろ蒸し暑くもなるだろう。美味い酒、けろっと一本(四合)飲み干した。
2015 6・9 163
* 起床7:00 血圧138-71(57) 血糖値87 体重68.3kg
2015 6・10 163
* 九時半、黒猫やまとに今日の分、渡した。明日配送敗走とはゆかぬそうだが、一両日で届き始めるだろう。
一種の重労働で、八十前の夫婦、疲れましたが頑張りました。
2015 6・10 163
* 起床8:00 血圧133-67(55) 血糖値98 体重67.9kg
2015 6・11 163
* 六時前。中巻発送おおかたの作業を、強行して終えた。あとは、後始末の程度で済む。さすがに疲れた。妻に気の毒したと謝っている。
* 「選集⑥」の発送に始まった「湖の本上下巻」をふくむ一連の大仕事は、次いで「選集⑦」の出来と発送、さらに「下巻」の出来と発送で一段落する。ふうーっと、肩で息をしている。
2015 6・11 163
* 起床8:00 血圧133-67(55) 血糖値98 体重67.9kg
* また、百枚足らずの原稿束を見つけた。原稿とともに、いろんな覚え書きが挟まっていて、冒頭には「俊成と建礼門院右京大夫」との関わりを意図するらしい六箇条のメモが先立ち、しかし二枚目からの断続した原稿五枚は、あきらかに、後年「月の定家」の「さだいへ」の章を導いたらしい内容である。
次いで、レポート用紙五枚の裏に、 「嘉応元年(一一六九)十一月。 大嘗会屏風筆者に 伊経(と朝方)」に始まり、「天福元年(一i に三三)七月十三日 尊円阿闍梨 老躯をおして来訪 新勅撰集への撰入を頼む。 亡父俊成の追憶から 千載集 撰の頃の思い出など話す。この時、右京大夫のことも話題となる。」の記事以下 明らかに藤原定家の日記への心覚え箇条抄録らしきが「十一月二十五日」付けまで、続いている。
藤原定家を「小説」にまたは「評論」にと心がけていたと察しられる。講談社にいた鷲尾君から新書への書き下ろしを頼まれていた記憶があるが。相性悪くて放置し、書くなら小説でと思っていただろう。
さらに八枚に渡って、鎌倉初期の大勢の系譜や関連をふまえて実に大勢の人名や感地位官職等がさまざまに列挙ないし図譜化されていて、それを見ていくと、私の関心が、俄然として「雲居寺跡」または「資時出家」の方へ傾いていたらしいことが推察できる。かなり詳細に及んだ時制の流れへの作者なりの認識をも書き留めている。そのあとへ、小説原稿として書き進めつつも、関連の人名を系図・系譜化したものが多々交じり、渡しが何を思い何を書いて行こうとしていたかが、詳細に見えてくる。すでに書き写した中断原稿「原稿・雲居寺跡」に先行してであろうか、相当量の草稿が残されてある。とうぜんに、まだ書き写していない「資時出家」や、後年に書き上げ選集にも入れたあの「風の奏で」へ到る私の探索や構想やまた挫折のあとなども読み取れるだろう。
とても今の視力で、この全部を電子化しておくことは出来ないが、あたう限りやっておこう。
2015 6・12 163
* ほっこり疲れて、今日はよく居眠りした。
2015 6・12 163
* 起床9:30 血圧122-59(58) 血糖値106 体重67.6kg
2015 6・13 163
* 疲れか、今日もよく居眠りし、一度は横になって熟睡。時間は惜しいが、休息も大切、目のためにも。
眼鏡、遠用四、室内用一、機械用一、読書用一、サングラス一 家の中でも始終携行しているが、そのハタラキは、まったくデタラメで。視野は、つねに濡れたように滲んでいる。裸眼のほうがクリヤに感じるときも。現に今も、機械にむかい裸眼。比較的に文字が見えている。わたしの目玉は、抗癌剤以降、むちゃくちゃに動揺し続けているとしか言いようがない。
2015 6・13 163
* 起床7:00 血圧134-66(53) 血糖値98 体重67.8kg
2015 6・14 163
* やはり食はうまく進まない。美味いと感じることがなく、健康配慮で強いて食べようと努めているだけ。ワインを干し、ルに手を出し、虎の子のようにだいじにしてきたシャンペンの口も切った。なるべく蛋白質をと心がけるのだが、肉へも生魚へも手が出ない。回復してきた健康をまた壊してはならないと、とにもかくにも要心はしている、が。
2015 6・14 163
* そういえば、このところよく録画した映画を楽しんでいる。「キングダム オブ ヘブン」もよかった。今日の昼間に見た、クィネス・パルトローらの「恋に落ちたトェイクスピア」が、シェイクスピアの「ソネット集」を読んだおかげで、とてもとても興味深く面白かったし、晩に見た、大好きなジョディ・フォスター主演の「コンタクト」にも心揺すられかつ魅された。活字を長時間読んだり書いたりしていると眼がイカレてしまうので、目のお休みに佳い映画を見る。よく選んで録画してある映画に比べると、テレビドラマの低調・俗悪にはウンザリする。
2015 6・14 163
* 起床7:45 血圧120-64(57) 血糖値93 体重67.8kg
2015 6・15 163
* 起床8:00 血圧138-67(64) 血糖値93 体重67.5kg
* あれやこれや、していた。夕刻から、歯医者へ。帰路、「中華家族」でマオタイを、「VIVO」でウオッカと赤ワイン。
2015 6・16 163
* 起床9:15 血圧110-59(60) 血糖値97 体重67.8kg
2015 6・17 163
* 「吉備の人」有元さん、美味しそうなお餅を送って下さった。お餅は「二つ」も食べれば他にたいして食べなくても十分「一食」に足りる。体重を67キロ台に保つことを健康体の基本に置いている。もう少し減らしてもいいが、体力を落としてもならず。
しかし、なによりも「歩く」を初めとして「からだを使う」こと。出不精になり、家に居座って「読み書き」仕事ばかりでは弱る一方。誘って貰ってでも出歩かねば。
明後日の桜桃忌は、木挽町へ出て歌舞伎を楽しみます。
2015 6・17 163
* 起床6:00 血圧130-71(56) 血糖値94 体重67.7kg
* サーバから、登録住所の間違いを電話で指摘してきた。
もう何年ものあいだ、請求書など郵便物はちゃんと我が家へ届いていて、支払いを滞らせたことも無い。
しかし、そう電話で言われて、郵便物を見直してみると番地の一部が確かに間違っていた。しかも、これまでわたし自身は不本意な思いをしたことがなかった。言に届いている郵便の我が家への宛名を確かめたりしない、その必要がない。
とにかく訂正手続きをしたいが、この手続きがややこしそうで、読み慣れない横文字たくさんな書き物の読みづらいわたしは、途方に暮れる。メールで、わかりよく教えて欲しいと、お願いしたところである。
悩ましいことは、いろいろ有ったり起きたりする。
* どこへどう落着するのか分からないが、先方の請求を入れてあれこれした。疲れた。食欲も無し。
* 今朝は六時から仕事をはじめて、一段落させたところへサーバーからの電話。ウーン。機械のキーは、ま、半ば指が自在に打ってくれる。しかし、読む方は、しんどい。
* 高史明さん岡百合子さんご夫妻、元中央公論粕谷編集長の奥さん、基督教大並木教授、俳人清沢冽太さん、歌人持田鋼一郎さん、読者小滝英史さん、また諸大学から便りがあるが、今日は疲れがひどく、あちこちで居眠り、便座の侭でも熟睡してしまっていた。そして、目が見えない。どうもいけない、が。 日から日へ、成るようになって行く。
* 日本酒がほしくて、ちかくの店へわざわざ買いに行った。それほど疲れていて、酒をすこしのんで寝入っていた。かなりの品数をおいたスーパーに、純米酒がたった一種「沢の鶴」だけというのに驚いた。聞こえた銘柄でももな醸造用アルコールを使っている。味はかなり落ちる。
* もう、寝る。
2015 6・18 163
* 起床6:30 血圧131-61(60) 血糖値93 体重68.3kg
* 朝一番に、山形のあらき蕎麦さんから、すばらしい桜桃、たっぷりの四バックを、今年も頂戴した。甘い。美味い。出かける前に、妻と五つずつ戴いて。
* 思い静かに、今日は終日木挽町で歌舞伎を楽しむ。少し遅くなるが、重金敦之さんに教えてもらった店へ、行ければ行ってみたい。
2015 6・19 163
* 起床8:00 血圧135-71(54) 血糖値84 体重67.8kg
* 快晴の朝。山形の桜桃、村上開新堂のクッキー、赤ワイン少杯で食事。耳を離れない映画「ゴアの恋歌」のナレーションと歌をまた聴きながら黒いマゴに輸液。マゴは、昨日の吉兆の焼き物などを大喜びで食べたらしい。留守番を頼むよと頼めば、どんなに外へ出たがっていても即座に心得て終日家を守っていてくれる。
2015 6・20 163
* 起床8:45 血圧141-69(59) 血糖値90 体重68.3kg
* 朝から視野曖昧のせいかほっこりと気怠い。機械仕事は遠慮した方がいいか。
2015 6・21 163
☆ いつも
ご本を お送り下さいまして ありがとうございます。
秦さんの選集(第四巻)は とても興味深く 又 美しく 簡潔な文章を味わい乍ら かたつむりのような速度ですが じっくり読ませていただいています。 が、さすがに もうすぐ読破(!)します。 繪を描く者の端くれながら、希代の画家達の 繪を描く心 苦悩に触れて とても勉強させていただいています。 それにしても 秦さんて ほんとうにすごい方だと 今更のように思っています。 闘病中のお身体とは とうてい信じられないエネルギーにも驚きます。 でもどうかお身体 ますますご自愛下さいますように。
今日は 主人の新作 玉葱 を少しばかりお送りさせていただきます。ご笑味いただければ嬉しいです。
又 ゆっくり お便りさせていただきます。 草々 明 妻の従妹
* こういう来信を披露しているのを嗤っている人、多いと思う。それは構わない。なぜ、これを忙しい中でもつとめて励行しているか。
わたしは趣味で文学をしていない。一生の本業として文学を仕事にしており、その文学生涯半ばから始めた「湖の本」は今では一巻2500円も頂いて、百三十巻・創刊三十年ももう目前。しかも「騒壇餘人」をはっきり公称し、文学の世界にいながら、あえて文壇や出版とはほぼ全面離れ遠のいたままで、創作や著述は当然、本の製作も出版も配本も、みな一人で、妻と二人で、続けてきた。親しい知己、有り難い知己、いい読者だけが、わたしの誇らしい財産なのである。
この、近代文学史に類のない、純文学作家の文学活動・出版活の実績がいかなるものであるか、ありうるかは、これまたわたし自身が記録し証言しておかねばならない「文学史上の義務」がある。そして、わたしの「文学」が何であり得て何であり得ないかを、わたし以外の人の言葉で(たとえどう偏っていようとも)知れる限り相応に証ししておきたい。もののかげで、ひそひそと自己満足だけで趣味か道楽のようなことはしていられないのである。批判は幾らでも受けるが、浮かれてしていることでは、毛頭無い。
* 問題は、目が見えなくなってきていること。
* この機械もかなり怪しくなってきた。物騒な何か、寿命・時勢・頭の弱りなどとあだかも競走しているような按配。どこまで行けるか全く分からないが、走るよりは歩いて歩いて、元気に老いたい、生きたい。静かに自然に死にたい。
2015 6・21 163
* 起床8:00 血圧150-66(48) 血糖値91 体重68.0kg
* 選集第七巻、出来。送りだし始める。
* 郵便局へ腕車で二度大きな荷物を運んだ。暑かった。
送り出すためには、本の発兌頁に印形をまず慎重に捺さねばならない、これに神経と腕ちからを使う。印を捺した本を妻が一冊ずつ丁寧に荷にし、わたしが封印する。それらを或る程度の冊数まとめて腕車に載せて細い坂道を郵便局へ運ぶのである。かなり疲れる。ほんの微妙な5グラムほどの重さの差で、一冊350円の送料が460円にはね上がる。460頁からかつがつ464頁で仕上げねばならない、そういう建頁の決めて行き方などは編集・製作経験がなければ容易には出来ない仕事なのである。
* 戴いた桜桃に元気をもらい、京の菓子や岡山の「ひめのもち」に力をもらいながら、晩方になると震えるほど疲れがたまり、浴槽で低血糖を感じたりした。
明日も、明後日も、根気の要る作業がつづくが、第七巻の出来は、感慨深い。
さ、早く、と言ってももう十一時前だが、寝よう。昨夜は寝そびれて夜中にもゲラを読み続けていた。
2015 6・22 163
* 起床5:00 血圧139-69(54) 血糖値96 体重67.8kg
* 寝そびれて、四時半に黒いマゴを外へ出してやってから、ずっと「徳内」を読んでいた。
一仕事して、九時には今日の重い一便を腕車で郵便局へ運んだ。こういうとき、自動車の使える人はラクだなあと嘆息しながら、ま、運動運動と呟いてガンバるのである。蒸し暑くて一往復で汗みづく。
2015 6・23 163
* 日照りになり、自転車で荷を運ぶのも汗だく。日中症が危ない。妻は、これから地元病院へ。気をつけて。
2015 6・23 163
* 起床8:00 血圧1 19-6 4(54) 血糖値86 体重67.4kg
* 朝、照りつける坂道を重い腕車のバランスに難儀しながら郵便局へ。荷造りしてもう一度通えば、今回一、応済む。よしよし。怪我無く終えたい。腕・脚力は相当に用いて元気が出るだろうが、熱中症にやられるタチなので、間隔を空けて終えたい。
2015 6・24 163
* 起床8:00 血圧126-6 4(54) 血糖値97 体重68.3kg
2015 6・25 163
* 「活きたかりしに」の下巻は、七月六日に届ける予定と凸版印刷株式会社から連絡が入った。この完結と発送終えれば、しばらく、ふうっと息がつけるだろう。仕事は次々に続くけれど。
* 疲れ切っている。眼も見えない。字も読めない、本も読めない。九時。寝入るか。
2015 6・25 163
* 起床8:30 血圧122-75(61) 血糖値92 体重69.0kg
2015 6・26 163
* 雨に降られながら、歯医者の帰りに、食事はしたくなく、「vivo」に寄って、ウオッカ、それに白と赤とワインを。このスタンドの小さな店は、酒のプロという自負で営業していて、しかも安心できる値段で、親しめる。美味かった。チーズを少しだけ。
2015 6・26 163
* 起床8:30 血圧131-63(55) 血糖値98 体重68.3kg
2015 6・27 163
* 起床9:30 血圧121-69(48) 血糖値92 体重68.1kg
* 四時半に一度起きて五時からの、なでしこジャパン対オーストラリア戦の前半だけみてまた床に戻った。
2015 6・28 163
* 選集⑦で、おかしてはならないミスをしていた。故人に成られた林「富士馬」さんの名を、目次とあとがきには正しく、本文のところで「富士夫」と間違えてしまった。申し訳ないことをした。
編集者気質で、人の名と電話番号はウソのようによく覚えたが、この一年二年ほど人さまの氏名が思い出せなくて困っている。氏名は間違えては失礼と肝に銘じていてそれでも思い出せなくて困り、あやふやに表記して気が付かないのに実に困る。年齢のせいにだけしたくないが、争いがたく間違えやすくなっている。仕方ないとは思っていない。
* 暑い部屋につい冷房なしでいると、いつ知れず息を忘れそうなほど草臥れているのに気付く。部屋の中での熱中症をいつも意識している。
2015 6・28 163
* 美味い蕎麦と美味い酒・肴と、美味い菓子とで、今日を過ごした。なんと有り難いことだろう。
2015 6・28 163
* 起床7:30 血圧143-72(55) 血糖値98 体重67.4kg
*六時過ぎから寝床のまま「徳内」そして短編集の校正をし、また本を読んでいた。朝、目覚めたときは、ものの縦線もまっすぐ見え、この一ッ時だけがクリアに快調なので、その時に少しでも仕事もしよう本も読もうと。
いま最も惹かれて勉強しているのは韓国のまだ伝説伝承に彩色されていた上古史。著者に信用のおける適確な叙述・斡旋に導かれて「韓」の由来までたいそう興味深く読み進んでいる。不勉強な無関心のまま久しく来て、わたしは「朝鮮」という名が「日向」「日本」「日立」などとすっぽりかぶってくる陽明・陽光の清潔を意味するとすら推量もしないできた。なにしろ「朝鮮」という言葉を口にするのすら差別的な感覚が先行し遠慮してきた。韓国というようになって、喉のつかえが外れたような便宜をさえ感じてきたのだ、何ということだ。彼の國の太古にあって「熊」が「神」に等しいつよい大きい意味をもっていたことも、初めて識った。中国大陸を背負い、日本列島を目前にした三面を生みに包まれた半島とは地図で諒解していて、高麗・新羅・百済また任那などに分かれていた程度は知識していても、とてもその先へは自発的に入ってみようと出来ないままだった。
その反省が、主にはアイヌのことを書いた「最上徳内=北の時代」に、伊藤楊子ならぬ「イ・ヤンジァ」という可憐なヒロインを呼び出すことに繋がった。それでもその後も、近年までわたしは朝鮮にほとんど知識も関心も深め得ていなかった。「い・さん」「トンイ」「ホジュン」「馬医」のような向こうの歴史ドラマをつとめて観るようにし、独特な朝鮮文字発明の物語劇にも心惹かれて、まともに韓国史を勉強してみようと思って、三十年も前に買っておいた上下巻の専門書に向かい始めたのである。おもしろい。もっと早くにこの最近国のせめて歴史は知っておくべきだった。
* 胃癌の手術入院時に二度目を読み始めた「南総里見八犬伝」が、三年を経過してやっとあと岩波文庫で一巻まで来た。馬琴先生の病的なしつこい稗史癖には閉口してしまう、一度目は物珍しかったが。同じ巻数でも「水滸伝」や「指輪物語」や「戦争と平和」など感銘しきりにグイグイ読んで楽しめるのに。馬琴のくどいくどい筆致は病的なまでしつこい。それでも、夜来読んできたなかに「兵は凶器である」と喝破した箇所があり、深く肯いた。安倍総理に思い当たって貰いたい。
2015 6・29 163
* 起床7:30 血圧124-66(56) 血糖値103 体重68.2kg
2015 6・30 163
* 起床9:30 血圧136-64(57) 血糖値90 体重67.5kg
* よく寝た、いろんな夢をみたが覚えていない。
2015 7・1 164
* 起床7:30 血圧130-70(58) 血糖値93 体重68.6kg
2015 7・2 164
* サッカーなでしこジャパンがイングランドに勝ち、決勝戦でアメリカと戦うことに。前回ワールドカツプ決勝戦の再現。健闘を!
ゲームを見ながら、入金事情を点検しながら宛名の貼り込みを終えた。妻にさらに再点検してもらっている。このごろ、わたしが、ちょくちょくイージィミスをしでかす。上中下巻、間隔をつめて送り出してきただけに「未入金者」は現状かなりの数になる。
非売の選集はもとより経費は総額支出が当然で、ごく少数の熱心な希望讀者には一冊経費相当をご支援願っているのだが、「湖の本」は買って頂いている、しかし、現状は大幅赤字になっていて、三十年近く、百三十巻に近いのだもの、収益のことは半ば最早度外視している。何冊も未入金の人には、もう送本しなければよいと割り切り、ただただ久しいお付き合いの今後も続く方々に、深甚感謝している。「文学活動」としては、各界の知己、大学、短大、高校、研究施設、図書館等への寄贈を大事に考えているが、幸い、九割九部がた喜んで受け容れられていて嬉しい。眼が届かずに洩れている学校があれば、お声を掛けて頂きたい。とにかくも無用の出血負担を減らすためには、製本部数をむりなく漸減することも当然考えている。幸い、掲載原稿はまだまだ有り余っている。書き下ろし小説の新作も何作か用意しているし、未刊行エッセイはわたしも驚くほど大量待機していて、百五十巻はらくに越えて行く。
とはいえ、わたしたちの健康からも、賢い潮時は考えつつ「選集」の良い形での増刊を平静に心がけ続けねばならない。
* ともあれ「生きたかりしに」下巻、来週月曜受け入れの発送用意は間に合う。土曜か日曜には、すこし気散じに外出できるだろう、か。
この二三日のわたしの主食は、カステラ、コーンフレーク、味好い饂飩、さらに和菓子、開新堂さんに戴いたクッキーなど。幸い三千盛や獺祭など美味い酒が半主食になってくれて、酒の肴は豊富にある。ただ、たくさんはとても食べられない、満腹すると苦痛に呻くようなこともある。すこしずつをしきりに食べ、すこしずつをしきりに飲んでいる。幸いに、暑さのおかげかこれまで一缶飲めなかったビールが喉をおいしく通ってくれている。赤いワインは相変わらず、お薬と思って日に一度は少量口に含んでいる。
2015 7・2 164
* 起床7:30 血圧132-74(58) 血糖値95 体重68.2kg
2015 7・3 164
* 起床7:30 血圧144-68(62) 血糖値102 体重68.1kg
2015 7・4 164
* 起床9:30 血圧149-73(71) 血糖値93 体重67.5kg
2015 7・5 164
* 起床7:30 血圧141-67(71) 血糖値95 体重67.2kg
2015 7・6 164
* 起床7:30 血圧121-65(60) 血糖値89 体重68.1kg
2015 7・7 164
* 起床8:30 血圧141-64(59) 血糖値79 体重68.3kg
* 散髪してきた。すっきり。今日は妻が診療を受けに行き、わたしは留守居。創作と校正と、片付けや整理を。戦後直ぐの唄を聴きながら。
2015 7・8 164
* 起床7:00 血圧138-65(53) 血糖値102 体重68.5kg
* 朝食に、完熟の大きな桃一つと祇園会の粽ひとつを。そして赤いワイン少し。早朝に寝床で公正に励んだので、十時半、もう目が霞んでいる。機械仕事はムリらしいので、ゲラ校正に向かう。選集⑧の再校を終えてから全編丁寧にチェックして責了へ向かう。
2015 7・9 164
* それにしてもよく飲んでいる。戴いた「三千盛」も「獺祭」も「北の誉」も、買ってきたウイスキー「富士山麓」も、うれしく飲んでしまった。「辰」兄が、このごろは飲み会でなくお食事会になるのがツマランと嘆いていたが、気持ち、分かる。ただしわたしは飲み会という会にはほとんど縁を結ばずにきた。「ひとり酒」がたいていで、話し上手の「おんな酒」にはめったに出逢えない。
飲むと寝るようになった。幸いに、いっとき寝入ると視力がやや回復して、次の仕事へかかれる。八割九割は無難に危なげない家での酒になっている。
今日はなぜか左の肩が強烈に硬くて痛い。
それにしても、よく降る。こんなときは、晴れ晴れした山がみたい。
2015 7・9 164
* 起床8:00 血圧146-73(54) 血糖値94 体重68.6kg
2015 7・10 164
* 楽しみに時間かけて進めてきている小説の、尚子の先の隘路を拾い上げてみた。まだ沢山有る。沢山を繪に織り上げてみたいのだ、難しいが。
幸い、今月中は、すこし余裕が出来る。旅をするなら、今だけれど、遠くへは行けない。日帰り。それでもいい。しかし地震と放射能とは叶わんなあ。
2015 7・10 164
* 起床7:00 血圧132-68(55) 血糖値102 体重68.6kg
2015 7・11 164
* 起床5:30 血圧138-71(50) 血糖値97 体重68.8kg
2015 7・12 164
* 明日は午に聖路加で検査と診察、引き続いて、新橋演舞場で染五郎、勘九郎、七之助らの「アテルイ」を楽しむ。病院から劇場への綱渡り、無事に渡りたい。
染五郎は、九月歌舞伎座の秀山祭(曾祖父初世中村吉右衛門の記念興行)にも、金太郎クンとともに出演、昼の部を、もう予約した。演目が気に入った。
2015 7・12 164
* 起床6:50 血圧136-66(63) 血糖値89 体重68.2kg
* 猛暑の一日を出歩くことになる。無事でありたい。
2015 7・13 164
* 糖尿の検査、良好、ただ腎臓のデータがいつもより良くないのは、水分摂取の不足、そして塩分過剰でしょうと。思い当たる。お酒をからだに入れるならその分もひときわ水分をとり脱水を防がないと。わたしは一度は「強度の脱水」で命を落としかけ、胃全摘の手術時に匹敵する緊急入院をやむなくした。
今日の築地から新橋演舞場まで日陰を縫っての徒歩行、暑かった。時事通信社の玄関外で半時間近く座り込んだ。
2015 7・13 164
* 日比谷のクラブに入り、例のエスカルゴ、角切りステーキで遅い晩食。妻は赤ワイン、わたしはブランデー。
ゆっくり帰宅した。手紙などたくさん。それも置いたまま、就寝。
2015 7・13 164
* 起床9:0 血 圧120-66(66) 血糖値94 体重67.5kg
* 明け方、つよい胸焼けに辟易した。
* 途方もなく暑い。今夕も江古田の奥まで、歯医者に通う。
2015 7/14 164
* 歯科への通い、暑いのにも参ったが、風の激しさにも面食らった。空は明るく晴れ渡っていた。
それとなく木蔭をつくる日照かな
閑かさや日照の坂を二た折れに
海棠の紅(こう)も翠も梅雨の花
帰りにバー「VIVO」でうまい赤ワインとおすすめのサッポロビールを、ブルーチーズで。そのあと、まつたくの気まぐれでラーメンをひざびさにどうか知らんと小さい店へ入ったが、失敗。
帰宅後、豆腐の味噌汁だけを。これまた食べ方がわるくて、苦しいほど執拗にえづいた。
2015 7/14 164
* 起床9:00 血 圧135-66(64) 血糖値102 体重67.8kg
2015 7/15 164
* 深い濃い静かな闇が恋しい。
* とても疲れている。シンから疲れている。処方薬を薬局へ受け取りに行っての帰りに、鮓の「和可奈」で、せめて心地よい銚子一本もと思って出かけたの に、とてもそんな気になれず、ゆらゆらと家に帰ってきた。暑さと脱水も、ある。それよりも、だが、安倍政権のとめどないゴリ押しの悪政、その前に萎縮し服 従して理性と正義の声ひとつ挙げられない自民党員らの惰弱と卑怯とに、身も腐りそうな吐き気を覚えるのだ。残念だが国会を取り巻く体力は、ない。しかし、 目は背けないぞ。
2015 7/15 164
* 起床8:00 血 圧133-65(64) 血糖値98 体重68.8kg
* つよい雨音がきこえたり、静かであったり。颱風ラッシュ、梅雨は上がりそうにない。
2015 7/16 164
* 国会で安倍暴法は多数に乗じて可決された。与党は、六十日戦術で参議院で決まらなくても衆議院で再可決を明らかに狙っている。そのための昨日今日の強行採決なのは明らか、なのに野党は結束して今日の可決前に動議を連発して徹底抗戦するだけの気力も見せなかった。
オーラの淡い岡田民主党の言いぐさ、聞いていてアホカイナと思うその場限り。「憲法違反の疑いがある」なんてことを言っているのでは、失笑の前に苦々し い。あきらかに安倍自民らの強行は憲法違反そのものではないか。民主党は一刻も早く例えば長妻を起てて、脇に強い賢い女性議員を配すべし。
* さ、眼をいたわり、熟睡の一夜を願おう。
2015 7/16 164
* 起床7:00 血 圧135-69(58) 血糖値110 体重68.8kg
* 雨は明かり、飛行機が飛んでいる。関西は台風禍のさなからしい、平安に通過して欲しい。
2015 7/17 164
* 起床7:00 血 圧139-73(57) 血糖値94 体重68.3kg
* 指先、足裏の痺れ、すこしも改善しない。眼の不安定も言語道断。とにかくも不調のスキをすり抜けすり抜け仕事をしている。間に合うか、間に合わないかもと いう気持ちにつきまとわれ、文字どおり生き急いでいると感じながら、成るように成るだけのことと諦めている。諦めながら、したい仕事があれこれと脳裏を往 来するに任せている。
2015 7・18 164
* 起床7:30 血 圧118-59(58) 血糖値97 体重67.7kg
2015 7・19 164
* 神戸の岡田昌也さん、巣のついた蜂蜜を下さる。感謝。満腹せぬように食べ物と量とに気遣っている。蜂蜜は少量づつで元気が貰える。村上開新堂さんの クッキーも美味しくかつ極く少しずつと紅茶とで十分食事になる。甘味は量をじょうずに考えてさえいれば、体力が保てる。体重が安定していれば、少量の麺類 も楽しめる。
と、言いながら、昼食を食べ損じて苦しいほど吐瀉してしまった。食べずに空腹が気分いいのに、ちょくちょくとモノに手を出す。意地汚いのである戦時り欠食貧小僧は、老いても。
2015 7・19 164
* 起床8::15 血 圧131-72(71) 血糖値102 体重67.6kg
* なんとはなく気はくつろいでいる。大きな節目の第十巻を入稿したこと、昨年四月に第一巻が出来ていらい一年数ヶ月、やれば出来ることと分かってはいたが、それでも夢のようだ。
梅雨も晴れたし、九巻の校正ゲラをたくさん持って、乗り物の遠出など試みようか。
もうずいぶん昔、新幹線で熱海まで行きながら不案内で温泉に入れず、駅前魚屋の食堂へ入って、大きな伊勢海老などしこたま美味い魚を食った覚えがある。なんと行き当たりバッタリのわたしであることか。
ま、それもいい、それがいいと思っている。
* 日照りは、さすがに避けた。街中をうろうろして食べ過ぎなければ体重は減る。なによりも体重を増やしたくない。それでも、ほんとうに久しぶりに、胃全 摘以降は初めての筈、東京駅構内、昔は再々馴染みであった沼津から見せ出しのカウンター鮓とここ暫くぶりに日本酒を楽しんだ。
ゲラは趣向の短篇ばかりで、校正しやすかった。
帰宅して体重を量れば、出歩きの効果は明らか、ひさしぶりに67キロを割りそう。
暑かった。かなり参った。何故に今日が休日なのか、分からない。
2015 7・20 164
* 起床8::45 血 圧111-54(53) 血糖値104 体重67.3kg
2015 7・21 164
* 起床7::45 血 圧139-63(64) 血糖値103 体重67.9kg
* 恐るべき照りつけ。郵便局へ自転車で三分を走るのが怖いほど。
2015 7/22 164
* 熱光線をしたたかに浴びて、三時すぎ保谷駅まで出向き、駅構内パン屋の喫茶コーナーで校正しながら、凸版印刷の営業さんを待った。四時過ぎに出会い、仕事半分歓談して、五時過ぎには辛うじてバスで帰宅。かなり疲れた。
2015 7/22 164
* おそい晩飯のアトは機械に向かい、「或る雲隠れ考」の原稿読みに励んだ。それはもうわたしには懐かしい作であり、苦心と玄人に明け暮れながら書いては 直し書いては直した小説である。それでも、今と隔たる五十年の重みは険しく、読み読み読みながら、微細なところで気配りの手を入れていた。「文学の文章」 とは「音のない音楽」だとつくづく思う。音の濁りやはずれを丁寧に直して行く。作家として表へ立って以降の作では、いま読んでもほとんど直しを要していな いのに。だが、その推敲作業じたいがとても嬉しく楽しいのである。そうか、こうか、やっぱり…などと呟かんばかりに、キイを使ってはことばの流れや走りを 正して行く。
* 十時半。さ、もう、今夜は、少し音楽を聴いて、そうだ松たか子の「みんなひとりぼっち」でも聴いてから、からだをゆっくりやすめよう。猛烈な暑さだった、戸外は。バス停から西日へ向いて家まで歩いた五分ほど。よろよろしていた。
明後日は、またそんな夕方に歯医者へ通わねばならない。次の水曜には聖路加の眼科へ通う。ほどよく雨が降って欲しい、嵐はイヤですけど。
2015 7/22 164
* 起床6::00 血 圧125-69(60) 血糖値97 体重67.7kg
2015 7/23 164
* 今朝は六時前に床を離れ、ずっと読んだり書いたり、いっとき録画のヒッチコック映画の部分を観ていたりした。眼を使わずにはなにもできないなりに休ま せてもやらねば眼は堪らない。映像は、本や機械の文字を読んでいるよりはすこし負担がかるい。それもだめなら居眠るかさまざまな音楽を聴いている。大きな 画集を身のそばに置く場所なく隣家にむざむざ死蔵しているが、幸いいい画家を特集したカレンダーを何種類も貰っているので、その月が行ってしまっても繪や 写真は取り置いて、やたら貼り付けてある。栖鳳、御舟、土牛、靫彦、古径など。それらと一緒に澤口靖子のポスターや谷崎先生ご夫妻や、愛おしい亡きやす香 の写真などを、首をぐるぐるまわしながら狭い書斎で、なんとはなくほっこりと自足しているのである。これで書き物机が置けたらなあと嘆息する。とにかく、 とてもまともに歩きもならない。
2015 7/23 164
* 起床8::30 血 圧130-61(58) 血糖値101 体重68.4kg
2015 7・24 164
* 望月太左衛さん、浅草の花火へ今年も誘って呉れている。手術の年からは、三年、行けなかった。
行ってみたみたい気がしている。天上の孫やす香とものを言い交わせる機会だ。明日だ。
* 今夕は、これから、またまた歯医者だ。とてもとても解放されそうにない。
* 右下にまた入れ歯一つ。
帰路、「中華家族」で、マオタイと妻がおすすめの酢豚で、小説「孫次郎」を校正。保谷からバスで帰る。
2015 7・24 164
* 起床7::00 血 圧129-65(58) 血糖値99 体重68.2kg
* 太左衛さんの親切な花火へのお招き、いちどは参りますと返事したが、医師は、まだムリでしょうと。行くは行けても帰りの疲労、群衆の波間で転倒してはと。諦めた。
この辺で、グイと一歩前へ出たい、そうすれば京都までもと思ったのだが、仕方ない。あまりの日照りで暑すぎもする。
家での仕事を楽しみながら進めたい。
2015 7・25 164
* 起床6::30 血 圧133-61(61) 血糖値103 体重67.7kg
2015 7・26 164
* 冷房していても、フウーッとしんどくなりそうな暑さ。25度にさげた。階下で、すこし休憩してこよう。家の中で熱中症にやられそう。
2015 7・26 164
* 起床7:00 血 圧131-64(57) 血糖値91 体重67.5kg
20157・27 164
* 今朝床から起きて以降、ときどき針で刺すような(ツ、ツ、チクチクッという)疼痛が、左肩と乳との間で繰り返す。脈にもすこし結滞が見えている。きのうは終日、ダル重かった。血糖値が低いのかと疑ったが。
ま、やすみやすみ、過ごそう。
2015 7・27 164
* 起床7:00 血 圧125-61(64) 血糖値98 体重68.2kg
* 夜通し、「セコハン娘」と「星の流れに(こんな女にだれがした)」の言葉とメロデイとが眠りを波立てた。寝ている間もわたしの脳か心かは激し い喜怒哀楽に揺れる。或る意味では健康な反応なのでもあろうと堪えている。静謐な眠りをわたしはほとんど知らない、昔から知らない。想像が眠りを揺りたて る。思案にも耽る。あきらかに眠っていながら、わたしはわたしを試み続けている。「木ヘン」の漢字を三十字、「サンズイへんの漢字を」「クサかんむりの漢 字を」二十字などと。人は思うだろう、カンタンだと。やってごらんなさい「木ヘン」の漢字を三十、たちどころに言うてごらん。出来ない。「サンズイへんの漢字を」「クサかんむりの漢字を」たちどころに二十も出せる人は、まずいない。やってごらん。
わたしの掌小説に「数をかぞえる」はなしが有る。わたしは、昔からその「ヘキ」があり、いまでも、歯医者がわたしの歯をがりがりやりつづけて いると、指を折っている。歴代天皇の名を順に呼び出しているのだ。かと思うと百人一首の歌を、作者の名を五十あげよと自分に命じたり。外国映画の男優女優 の覚えている名を数えたり。少年時代は源平藤原北条足利徳川歴代の名をみな覚えていた。そのなごりの波が今も夢を揺らすのだ。あまりつらいとリーゼ(安定 剤)を一粒服する、三日に一夜ほど。
わたしのこの頃に、喜怒哀楽の喜は残念だがすくない。怒は突出する。哀も噴出する。楽は、努めて創りだしている。まだ日々に衰えていると思っていない が、年々にとまで老衰の感覚が引き延ばせているか、そうは問屋がおろさないと観念している。そして、何にとも言い得ぬまま、「間に合いたい」とささやかに 願っている。
2015 7・28 164
* 眼、最低調、テレビにうつる人の顔が判然としない。はん失明状態に陥ってきたか。間に合うのか。
十時だが、もう休むことにする。もう文庫本など字が小さく、しかも潰れたような字にみえて、読めなくなった。
2015 7・28 164
* 起床9:00 血 圧143-69(55) 血糖値94 体重68.4kg
2015 7・29 164
* 起床8:30 血 圧132-66(55) 血糖値96 体重69.0kg
2015 7・30 164
* 「選集第八巻」は八月十七日に出来てくる。
「選集第九巻」の跋文を入稿し、「選集第十一巻」の本文も入稿した。「選集第十二巻」本文はすでにゲラになっていて、今日から校正し始めた。
「九」の再校、「十」のゼロ校が出てくるまでに、「湖の本127」のことも考えたい。在庫をより広範囲の高校へも送り出したい。それよりも新しい小説にねっちりと取り組みたい。したい仕事、有りすぎて困るほど。目は、わるくなる一方。
2015 7・30 164
* 起床9:30 血 圧135-71(56) 血糖値91 体重67.9kg
* ながい睡眠あとの目覚めでは視野はくっきりと明るい。ものの縦線も垂直に見える。或る程度の回復は可能なのだ。だが、目の盛れ屁午前の二時間も保たなくて視野は滲み薄墨んでくる。
2015 7・31 164
* * 起床8:50 血 圧128-65(56) 血糖値99 体重68.4kg
2015 8・1 165
* 起床8:30 血 圧132-69(57) 血糖値97 体重68.7kg
2015 8・2 165
* 起床7:00 血 圧127-65(52) 血糖値101 体重69.0kg
* 晩、東工大の卒業生夫婦二た組と久しぶりに会った。四人にご馳走し、わたしはひたすら飲んでいた。まったく酔わなかった。九時半、四人をクラブから送り出し、ひとり席に戻り、少し静かに呑み足してから帰ってきた。行きも帰りにも電車で校正のはかがいった。
* 昨日京都の伊藤隆信さんからおいしい佃煮の類を頂いた。その前日には京都から電話を頂いた。いい読者はほんと身内だなと嬉しかった。
* さ、ゆっくり寝よう。
2015 8・3 165
* 起床8:30 血 圧133-67(54) 血糖値98 体重67.8kg
2015 8・4 165
* 酒の味は、こちらの健康体が前提ではあるが、まちがいなく美味い物は美味い。昨夜はアイスクリームのほかは、酒だけを口にし続けていた。シャンパン、竹鶴、シーバスリーガル。身に沁みて美味かった。拍てば響く客をまた呼びたいもの。
2015 8・4 165
* 起床8:30 血 圧133-67(54) 血糖値98 体重67.8kg
2015 8・5 165
* 起床8:00 血 圧128-66(54) 血糖値99 体重69.0kg
2015 8・6 165
* 起床10:00 血 圧136-68(68) 血糖値93 体重69.0kg
* 暑さは昨日よりラクか。体重増が気になっている。ムリをしても出歩いた方がいいかも知れぬ。血圧も血糖値も安定している。体重が増えれば総じて数値は悪くなる。堪えて67-8キロ台を維持したい。
出歩くに足るゲラ仕事はどっと増えてきた。暑いが。行くか。いや。やっぱり、断念。今夕の歯医者も十日に延ばして貰った。
* 結局は半歩一歩もとてもそとへ出られない熱暑のまま、もう九時半、まだ冷房の機械部屋がむうっと暑い。歯医者も日延べして貰った。出歩いてみたかったが、とても、成らぬ気温だった。
* で、小説を書いていた。小説の校正もしていた。テレビもみないで、疲れたら居眠った。気が向くと、やたら辛い味を肴に、払底の日本酒の変わりにワインの栓を抜いては呑んだ。ビールは栓を開けると飲み干さねばならないが、ワインなら少し呑みがきく。
食の方は、ほとんど食らしい食へ気が動かない。食べれば、太る。太りたくない。しかし呑んでも太ると分かっている。いやはや夏は、こんなにも危険な季節になってしまった。
* 目さえ見えれば、本は幾らでも読みたい。今日は、滑稽本の式亭三馬「浮世床」人情本為永春水の「春告鳥」を読み始めた。田中共古の『砂払』に押し出されたのだ、「春告鳥」は以前に読んで、うっとりさせてもらっている。
しかし視力は、やはり一に創作用に大事にせねば。なにもかも機械のデイスプレイを睨んでの疲れる一方の目使いなのだから。しかし小説を書いていると、苦心もあるが深々と意気の動くのが観じられる。此の路を歩いて行くしかないなあと思う。
* もう機械をしめようというときに、音楽や唄を聴く。主にピアノを聴く。トランペットの曲にも好きな一つがある。マドレデウスを幾つか聴く。しめくくりは、ペギー葉山の学生時代、芹洋子、倍賞千恵子、それから小鳩くるみの「埴生の宿」で終える。
やすらかに眠れますよう。
2015 8・7 165
* 起床8:30 血 圧132-65(55) 血糖値98 体重69.5kg
* 体重、よくない。運動不足。気温すこし和らいでいるか。出かけよう。
* 「選集⑩」初校が出て来た。「⑪」も追いかけてくるはず。「⑨」は再校中。「⑧」はやがて本が出来てくる。
「湖の本」は、しばらく休憩。
* 「親指のマリア」を東博で観てきたと、メールを貰った。わたしも久しぶりに絵の前に立ってみたかった。
* 不忍池、蓮の葉が溢れて、花も。昨日とはかなりちがい日照りではなかった、風もあった。実に久しぶりに池之端の中華料理に入ってみた。300mlの紹 興酒はいいが、料理は、ちまちまとした懐石中華で、最後も麺でも灼飯でもない白飯とはイカサナイ。ほとんど機嫌を損じてまだ日の高いうちに帰ってきた。食 い物はずれは、食が進まないだけにもとても残念。ま、電車で校正が進んだのだから、よしとする。
2015 8/8 165
* 視野がうすぐらく、鬱陶しい。心身の芯に疲労が溜まっているのだろう、実際の健康回復状態と実感とのいやな感じのズレに、ともすると無用に立ち止まっ てしまう。自身の潮目が読めなくて、突如として沈没しそうな危惧も抱いている。気概とはべつに抱いている。「生きたかりしに」で、思ったより多数の故人と 向き合わねばならなかった。存命だった人の大方が、作が本になった今、亡くなっている。
同世代、わたしよりも明らかに若かった人にも、亡くなった何人もいる。ま、同世代では強くは言えないが、若い人に死なれている苦痛は重く、痛い。
もう、いいじゃないか…。そんな声をときどき聞く。
2015 8/8 165
* 起床8:30 血 圧125-66(58) 血糖値97 体重68.3kg
2015 8/9 165
* これまで手を出さなかった江戸の「洒落本」も読み始めた。ことに庶幾の秀作と目されている「跖婦人伝」を気を入れて読みたい。目を大事に大事に。
2015 8/9 165
* 起床8:00 血 圧129-65(75) 血糖値109 体重68.3kg
* ピンポン玉ほどの種のない美味い葡萄を五つ六つ戴き、チーズを少し、赤ワイン少し、で朝食。服薬九種。点眼二種。
2015 8/10 165
* 夕刻、妻と、歯医者へ通った。帰路、練馬で鮓を。しばらくぶりに日本酒を呑んだが、一合の酒を妻と分けて、酔いが早かった。疲れているのかも。黒松白鹿の純米吟醸、だった。帰宅して、大きな葡萄を五つほど。すっきりした。
今日から、ちかづく「選集八巻」送り出しの用意に。炎暑下、郵便局への本運び、えらい労働になるが。
* 芯から疲労しているな、これまであまり感じたことのない夏バテだと感じている。ガタッと潰れそうな心地。仕事に打ちこんで突貫したい。
2015 8/10 165
* 九時半。松たか子の唄を聴いていた。さ、もうやすもう。
2015 8/10 165
* 起床9:00 血 圧125-64(64) 血糖値94 体重68.8kg
* 隣棟で玄関をふさいでいる重い本包みを二階へ六、七度かけて運び上げた。一度一度、腰骨が陥没しそうに痛烈に堪えたが、すこし休みすこし休みして仕遂げ た。これで少なくも次回「選集⑧」を受け容れることが可能になりホッとした。腰の痛みは、作業後、不思議なほど拭ったように失せてくれた。
2015 8/11 165
* 起床8:00 血 圧135-67(58) 血糖値97 体重68.4kg
2015 8/12 165
* 起床8:00 血 圧111-70(48) 血糖値95 体重68.7kg
2015 8/13 165
* 起床8:30 血 圧124-61(60) 血糖値90 体重68.8kg
2015 8/14 165
* 昼には、二人がかりで、「湖の本」の一部を、百五十校ほどの高校へ送り出した。
* 小説も、気儘に前へ前へ押し出していた。
* 九時半、もう眼が見えない。
2015 8/14 165
* 起床7:00 血 圧133-68(59) 血糖値100 体重68.5kg
2015 8/15 165
* その一方で、小説の進行に乗っても行ったし、月曜からの「選集⑧ 最上徳内=北の時代」送り出しの用意もほぼ終えた。
岩波書店の「世界」に連載の今度の長編は、趣向の構想を生かしつつも天明の田沼政権による初の蝦夷地探検等の史実および近代日本の動向へも真面に踏み込んでいる。せいぜい東北・北海道方面へ送りたいと思っている。
「選集⑨ 掌篇・短篇小説集」の校正にも励みました。
十時半、もう視力はほぼ失せている。眩しい機械からは離れる。
2015 8/15 165
* 起床6:45 血 圧139-68(52) 血糖値89 体重68.5kg
2015 8/16 165
* 終日 思い立った「湖の本127」編輯の作業で、視力酷使、もう画面の字が見えていない。
2015 8/16 165
* 起床6:50 血 圧115-56(73) 血糖値101 体重68.8kg
* 朝一番、夜来の雨中に「選集第八巻 最上徳内=北の時代」出来てきた。力仕事の一番手、玄関に受け容れ積み上げた。しかし雨脚に蹴られながら 大切な本を郵便局へは運べない。荷造りにとどめ。時間を、今日は「湖の本127」編輯にあて、概ね用意が進んだ。ただしひどく目を使ってしまった。
2015 8/17 165
* 明日予約の聖路加眼科、日延べして貰った。点眼必要分は十分足りている。
* 雨が降りついでいる。明日も雨だと、運ぶより、荷造り(妻がしてくれる)重点になる。いずれは運ぶのだから、構わない。人手にわたるのが少し後れるだけのこと。もう十一時半。ゆっくり熟睡したい。
2015 8/17 165
* 起床9:00 血 圧128-65(56) 血糖値97 体重68.6kg
* 黒いマゴの朝の輸液を済ませ、すぐ、日照りのもと、最初の便を郵便局へ運んだ。選集八巻は通常送料350円より頁数多くて460円かかる。送料もさりながら本が重たい。郵便局へは歩いて五分あまり。一往復すると汗みづく。
2015 8/18 165
* 機械での書き仕事で目が消耗してくると階下で、郵便局へ運ぶよりも、荷造りに集中した。テレビを見ながら聴きながら、作業が出来る。フランス語のきれいにきこえる録画の映画「危険な関係」を楽しんでいた。ジェラール・フィリップとジャンヌ・モローがけしからぬ役を。
* もう目が見えない。キーの字が読めない。やすむことに。
2015 8/18 165
* 起床8:00 血 圧144-68(54) 血糖値104 体重68.4kg
* 焦 げる日照りのもと、今日最初の便を郵便局へ運んだ。こんなことを、もう繰り返しては行けないなと思いながら腕車を押し牽きして坂道を往復した。妻もグロッ キー気味、今回の送り出しは気長に少しずつより仕方ない。予定では小説・創作だけで十七、八巻と思っていて、すでに十二巻まで進行中だが、ゴールインに到 れるかどうか。
2015 8/19 165
* 明日、ないし明後日には送り作業終え得よう。ゆっくりやすみたい。
2015 8/19 165
* 起床8:00 血 圧144-68(54) 血糖値104 体重68.4kg
* 疲れないようにゆるゆると作業し、また機械原稿を根気よくつくっている。食はなるべく細く、水分はたっぷり摂っている。
* 気温やや穏やかとはいえ、郵便局へたどり着くとへたってしまう。昨日は、腕車の一度目、途中、荷の重みが掛紐を前方へ延ばして俯いてしまい、暫くはニッチもサッチで行かず閉口した。
明日もう一回運んでとに書くも終えるだろう。
前巻の折りは一日に三度運べた日もあったが、今回は昨日の二度が限度。一つには荷造りの妻も疲れる。雨も降ったし、で、日数を掛けてよしと腹を決めた。 前巻時の倍の日を使うことになる。だが、そのぶん、機械仕事にも随分励めた。「湖の本127」に多分間に合うのではと楽しみにしている。
2015 8/20 165
* 起床5:30 血 圧124-66(68) 血糖値87 体重68.2kg
* 送り出し、終了。ほっと一息。これからは、専ら、創作と校正と、編輯。
* 雨に降られながら、街へ。サマにならない涼しい格好、濡れて平気の格好で。蒸し暑く、頭痛がするほど疲労した。
2015 8/21 165
* 疲労しているなと感じる。食がすすまない。食べたいとあまり思わないのは、いいことではない。
2015 8/21 165
* 起床9:00 血 圧132-52(65) 血糖値102 体重68.2kg
* 朝一番の余儀ない力仕事で痛烈に腰が痛み、ものすごい暑さと照りとに悲鳴をあげ、半分の仕事もできずダウンした。参った。
2015 8/22 165
* 機械がかつてない危機に陥った。一太郎保存している超大量のファイルが開かない。書きかけの新作小説等も画面に再現できなくなっている。単純なよたし の機械いじりミスなのだろえが、まったく手の施しようがない。さわればさわるほど混乱し機能停止する。幸いホームページもメーネルも働いているが、ワープ ロ機能の一太郎にストライキをやられてはわたしの仕事は大停頓する。
もう、いい加減にしろとという機械からの退職慫慂か。ま、曲がりなりに、消え失せたものに魂を消すことなく、できることをやって行くしかない。やすめ、と謂うことだろう。
なにしろこの機械は、WWWで、信じられないほど錯雑名回路で情報が走る。どんな具合でヒョイと道が通じることもある。
困るのは、根気よく機械の出す情報の字が、この弱り切った眼で読めない、読みづらいこと。
ある未発表の小説の中でわたしは、会社の相談役に隠居して息子夫婦と孫娘とに経営をまかせてているが、このマゴ娘というのがコンピュータの達人で、車内 の全部の機械機構を采配している。そういう孫娘がほしくて堪らなくてそんなことになっている。もう東工大生は頼めないし、、どうにもならなくなったら新し い機械を使うしかない。
* ほとほと、疲れた。これで視力清明ならきりっとしていられように。
2015 8/22 165
* 起床7:00 血 圧124-61(56) 血糖値95 体重68.3kg
* 小雨の中「選集」⑨⑩の前付け、函表紙等の入稿に郵便局へ自転車で。一帯多年の大道路工事が成って、途中に一箇所幅広い横断歩道ができた。
2015 8/23 165
* 明日は、午后一に、聖路加の検査と診察。すこしは涼しいと有り難いが。
2015 8/23 165
* 起床7:00 血 圧131-71(57) 血糖値105 体重68.4kg
* ビスケット二枚の朝食で築地へ。病院に四時間。薬局に三十分。食欲無く、よろよろ歩いて歩いて食べる気がせず、結局、帰宅。ただ疲労。医師は、極力歩くようにと。
2015 8/24 165
* 歩け歩けと医者にいわれても、京都だと家を出れば、歩きたいところばかり。東京では、歩いてみたいところまで電車で行かねばならぬ。永井荷風の散策は、そんなあんばいだった。結局、東京で歩くとは、電車に乗って目的の方面へ移動することのようで、億劫。
あしたの天気は分からないが、さしづめ西武線を奥へ行くか、副都心線で横浜へ行くか、有楽町線で木場のほうへ出てみるか、それらが保谷住まいでは効率的 だけれど、そんなの歩くとは謂わない。ぞっとしない。横浜中華街のあの雑踏、食欲のあまりに乏しい今のわたしには、心騒がしいだけで閉口。新宿から甲府の 辺まで乗るのはよかろうが、新宿までが億劫。西武線の奥の方で山を眺めてくるとか。飯能に東雲亭が無くなっているのが惜しい。秦の母や朝日子も一緒に天覧 山へ登ったのを想い出す。
* 少し世界陸上を観て、リーゼを服して、ぐっすり寝よう。
2015 8/24 165
* 起床8:30 血 圧116-59(62) 血糖値102 体重68.0kg
* ひんやりと曇って涼しいなか、自転車で郵便局へ走る。横断歩道一つを通過できると、往復に数分で済む。往きは坂を下り、帰りは脚運動。
勝手なもので、ひんやりしていると、あ、ラクだ、と思って仕事の前へ落ち着いてしまう。
2015 8/25 165
* ほぼ七時間眠るようにしているが、昨日今日、眠い。今朝も気がつくと機械の前で居眠りしていた。黒いマゴも、わたしのすぐ斜めうしろ、黒い革の柔らかいソファの上で、全身柔らかそうにまるくなり、ぐっすり寝ている。
2015 8/25 165
* 十時半。今日は、完全に出そびれて、家にいた。家の中までむちゃに暑いので出たくなるのかなと想ってしまうほど、涼しい一日に妙にボーゼンとして暮ら した。「生きたかりしに」にエピローグの必然を請求されてもいる。どうなるかなあ。父が書けるだろうか、実は書き続けているのだけれど。
それよりも、例の「ある寓話 ないし猥褻という無意味」というのへ、大纏めへむかう筆を日々に使っているのを仕上げへ磨きたいし、順調に来ていた或る物語がいまぶん停頓しているのが気になっている。書けば書くほど自身がボロボロに崩れて行きそうな懼れもじつは抱いている。
ま、よく眠ろう。明日には、「三千盛」が届くと。ありがたい、暫くぶり日本酒が飲めるのだ。食欲へ美味く繋がってほしい。
2015 8/25 165
* 起床8:00 血 圧149-66(78) 血糖値96 体重67.9kg
* 夜中、つよい雨の音が断続し、朝寒む小雨のなかで故紙回収の手伝いに大量の「紙」をきまった場所へ運んだ。裏の白い大量のゲラを処分するのは 胸が痛い。裏白の紙は使えるのにと。しかしそんなことを言うていると家が傾く。紙の塊は岩のように重い。我が家の故紙提供量は半端でなく、それを幾つもの 荷に紐で括り出す妻の労力も半端でない。回収所へは雨に濡れてわたしが運ぶ。黒いマゴに手伝ってもらうわけに行かない。子供を二人しかつくれなかった不運 が八十夫婦の肩にのしかかっている。息子に嫁もなく、孫もいない。老境がもたれ合って、行けるところまで行くしかない。怪我しないよう、ひたすら気をつけ て暮らしている。
2015 8/26 165
* 起床6:00 血 圧136-70(58) 血糖値91 体重68.0kg
* 群馬のS君から電話で、銀座での個展に来てほしいと。体調の不安を言い、しんどいと断った。
「選集⑧」分の凸版支払い、九月秀山祭通し分の支払いなども急がねばならず、そういう事務は苦手でかつ慎重でなければならずいつも妻の同行を頼んでい る。頼みッ放しもならない、銀行窓口での本人証明がぜひ必要になる。で、昼前によろよろと保谷駅までバスをつかい、終えたアト近くの洋食店へはじめて入ってスープと 唐辛子のきいたパスタを食べてきた。妻は辛くないのをいろいろちゃんと食べていたが、わたしはなかなか腹におさまらず、ストレートのウイスキー少しがいち ばん美味かった。コーヒーも美味かった。
駅から、二十分がとても歩けず、タクシーで帰った。
* 昨日、国文学資料館の今西館長から『生きたかりしに』へ熱い言葉を戴いていた。
さらに昨夜遅く、一読者のメールが届いた。『生きたかりしに』を読んでの、原稿用紙でなら50枚を上越すいわば評論であり、就寝をあえて延ばし衰えた視 力をあえてして読ませてもらった。そして、深く頭を垂れた。感謝した。褒められているからではない、作者として願えるかぎりを親切かつ深切に、よく読み 取ってもらえていたから、だ。文学の批評家でも学者でも研究家でもない、ただ久しい「いい読者」のお一人としてわたしの作によく馴染んでもらってきた。 『生きたかりしに』はやがて『選集第十二巻』として纏める予定だが、およそこのまま併載してみたいほどに感じている。
以下に、作にかかわる一記念のつもりで、長文ながら掲示しておく。但し、この原稿はおおよそ前後に分かれ、後半にはこの筆者に障りになりかねない記述が交じるのを、若干按配させて貰う。
2015 8/27 165
* 昨夜は睡眠が短くて、疲れた。明け方も好睡眠でなく、無理に早起きしてしまった。凸版の支払い、また湖の本の新入稿が出来たのだから、満足して眠りた い。日本酒特醸の三千盛、開新堂の絶好クッキー、そして美味い葡萄とプリン。今日はそんなところで一日を過ごした。視力の衰え、日増しに増して行く心細 さ。
2015 8/27 165
* 起床9:00 血 圧140-68(73) 血糖値96 体重67.5kg
2015 8/28 165
* 起床7:00 血 圧136-66(58) 血糖値97 体重68.1kg
2015 8 29 165
* 昨夜も熟睡とはゆかなかった、今夜は、まだ十時半だが疲れは重く、リーゼを服して寝よう。ず、
2015 8/29 165
* 起床8:30 血 圧133-72(59) 血糖値85 体重68.6kg
* とても眠い。機械の前で、なにもしないで昏睡していた。眠ると、視野はいっとき明るい。眠ってては仕事にならない。
2015 8/30 165
* 眼鏡なりの二倍拡大眼鏡を買った。それだけでは霞んでしまうが使用している眼鏡の上へ引っかけると、やや明瞭に見える。それだけでも助かる。
小説を書き進めていた。
なにもかも ためらわず進めたい。
2015 8/30 165
* 起床8:30 血 圧159-67(65) 血糖値101 体重68.5kg
* もう二度も機械の前で寝入っていた。寝惚けというが、宜しからぬこと。
* 外出したかったが、気が乗らず、結局、午后もまた寝入っていた。
これは自分一人の決心しだいなので、どう転んでも怪我はないが、そうはならぬ場合もあるだろう。たとえば相撲の面白さは、いまのわたしなら、実際に国技 館へ見に行けばなおなお、掛け値なく「相撲は立ち合い」だと言いきるが、初心の頃は「仕切り・立ち合い」が退屈で堪らなかった。
しかし「立ち合いの気合い」ほど、なにかにつけ大事なものはない、相撲でだけではない。「気合い」が逸れていては、少なくも仲間仕事はうまく行かない。ましてやセームタイム・セームプレースと謂われるデートなどそうであろうなと、遠目に想像する。
あの人とは「よく気が合う、合わない」などと謂うようだが、これって、根深い性格の差異なんかではあるまい、ちょっとした互いに「合わせる気遣い」がよくもあしくも響くのだろう。
「うてば響く」か「うてど響かない」かは、やはり「気合い・気遣い」の問題だろうと思うし、案外に容易で無いとも思う。ひとにしてもらおう、ひとに決め てもらおうでは、兵隊は知らず、お互い同士では成る話も成らなくなる。「成ると成らぬは目もとで知れる けさの目もとはは成るめもと」と都々逸はうたう。 目もとなど見たくても見えないまま「気が合う」とは、簡単なことではない。友情や愛情という妙薬がきっとものを言うのだろう。一目惚れという不思議もあれ ば、百年の恋も一瞬に褪めるとも謂う。恋も愛も容易でない。その難しさゆえに昨今では恋も愛もとびこえていきなり「付き合う」習い慣いが人の世をおおって いるらしい。「人柄」「人品」「人格」なんて言葉は有名無実の死語と化しかけている。「気合い」なんてもはや神秘に属し、若きも老いもスマホのラインで踊 り狂っているらしい。
2015 8/31 165
* 起床8:30 血 圧141-69(54) 血糖値104 体重68.5kg
* 岩手八幡平の伊藤幸子さんから、名酒「鷲の尾」一升、いただく。このところ三千盛、久保田の二升をご機嫌で飲み干した。もう一升三千盛のとっておきを今日から戴く。いつも、ほろ酔いとはめでたい。
* また夢を見ていた。死なれたくない、死なせたくないと、夢で想っていたが、人の顔も名も、見も、知れもしなかった。
2015 9/1 166
* 起床8:00 血 圧134-70(60) 血糖値101 体重68.2kg
2015 9/2 166
* 今日も、せっせと、いろいろ仕事した。なにがどう纏まり仕上がって行くのか、まだわたしにも言いきれない。
なんだか、しきりに新幹線に乗りたい。ひかりだと、いきなり名古屋になってしまう。こだまで、小田原か熱海か新富士、せいぜい静岡へんまで乗って帰って きたい。熱海では温泉宿にはみな振られたが、ヤケクソでとびこんだ駅前魚屋の食堂で、新鮮な刺身や焼き物と一緒にそれは大きな伊勢海老をまるっぽ食べたの が、忘れられない。熱海というと貫一お宮や温泉よりも伊勢海老を先に思ってしまう。
静岡市内には生みの母方の遠縁が三軒あり、三軒とも訪ねたことがある。もう一度行ってみたい。
* 明後金曜には、しばらくぶりに歯医者へ。週が変われば、これもしばらくぶりに歌舞伎座の昼の部へ。帰りに、うまく時間があえば朝日にいた食の大通重金さんに紹介されたフレンチへ寄ってきたい。食欲がうまく湧いてくれればいいが。
2015 9/2 166
* 起床10:00 血 圧133-67(53) 血糖値102 体重68.9kg
* 朝から、いささか落ちつきなく作業など間違えてばかり。余計に手間ヒマがかかる。休憩すべし。
2015 9/3 165
* 起床8:30 血 圧127-71(64) 血糖値101 体重68.3kg
* 体調の違和を覚えながら、ふわふわした心地でいる。よけいなことはどうでもいいと思っていながら、何がどうでもいいことか分別していない。要するにバテているということ。こんなときは、成るようになっていればよい。
2015 9/4 166
* 今夕はしばらくぶりの歯医者。炎暑下の熱中症をはばかって、間隔をあけてもらっていた。
2015 9/4 166
* 娘のように思っている歯医者さんに、叱られた。入れ歯というのは、めったに外さない方がいいように勝手に決め込んでいたが、再々外しなさいと。あんまり永く外さないでいたから、また一本支え歯が落ちた。やれやれ情けない。今度は一月ほどオヒマを戴いた。
帰りに、妻も望んで、久しぶりに「リオン」でフレンチのディナー。赤い美味いワインデザートもたっぷり。佳いメニュだった。老人向きに料理も量もシェフ が按配してくれるので、ほどよく満腹。シェフが妻と同じに冠動脈にステントを挿れたり、不調だったりで一時期店が閉まっていて心配だったが、恢復いちじる しく、少しお祝い気分で食事してきた。よかった。
いい便りやいただき物。歯医者娘には叱られたけれどフレンチは上乗、すこし明日への活力ができました。むずかしい隘路へ踏み込んで行かねば。
2015 9/4 166
* 起床8:30 血 圧126-64(68) 血糖値107 体重68.3kg
* 朝一番に、妻にもわきで手伝ってもらい、大量の荷を隣の玄関へ移送した。ものが増えて行く分を有意義に減らしてもゆかねば成らない。いずれにしもきつい労力消費になる。しかし運動にもなる。
2015 9/5 166
* 午后にも、また、腰に激痛のくるほど力仕事をした。為すしかない仕事はためらわず仕てのける方があとあとのために良い、幸い労働途中の腰骨が崩れそうな痛みも、存外に早くおさまってくれる。痛みの痕跡も消えていてくれる。
* 今日もいろいろ仕事を手がけて少しずつ前向きに運んだ。もう十一時近く、目は限界。それでも機械から離れれば、すこしは校正ゲラが読めるだろう。
2015 9/5 166
* 起床8:00 血 圧125-64(63) 血糖値98 体重68.6kg
* 朝一番に、寝室を密封して燻蒸。
2015 9/6 166
* 葡萄と桃と、日本酒三千盛を楽しんでいる。
2015 9/6 166
* 起床7:00 血 圧145-75(69) 血糖値102 体重68.7kg
2015 9/7 166
* ハネてのあとのお目当てにしたフレンチは、六時から。二時間半を銀座で費やす体力はわたしにも妻にも切れていたので、松屋の宮川本廛で鰻にビール。さ けを呑む元気がなかった。銀座から一本で七時前に帰宅、タクシーを待つ間かすかに雨。往きも帰りも車内で「有楽帖」の校正がはかどった。 2015 8/7 166
* 起床7:00 血 圧132-61(54) 血糖値110 体重69.1kg
* 湖の本の都立高校等に宛て発送用意を、一日、テレビなど見ながら難なく終えた。 2015 9/8 166
* 九月九日 水 重陽
* 起床8:15 血 圧135-64(56) 血糖値89 体重68.7kg
☆ 陶淵明 九日閑居より
酒は能く百慮を祛(はら)ひ 菊は解きて頽齢を廃す
如何ぞ 蓬廬の士 空しく時運の傾くを視るや
塵爵に虚罍(きょらい)を恥じ 寒華は徒らに自ら栄ゆ
* 今日も美味く呑んだ。おもえば、このところ四升の美酒を、日に二合半平均呑んでいた。そばで心配されなければ倍も呑んでいたかも。ただし呑んでいるだけではいない。
2015 9/9 166
* 起床8:00 血 圧138-71(62) 血糖値100 体重68.1kg
2015 9/10 166
* 起床7:50 血 圧118-60(57) 血糖値100 体重68.0kg
2015 9/11 166
* 起床9:45 血 圧133-61(72) 血糖値103 体重67.9kg
* 明け方六時前だったか、震度5弱のつよい地震が来た。震源は東京湾で、最も強く揺れたのは東多摩、つまり我が家の辺であったらしい。大過なく過ぎてくれてよかった。
2015 9/12 166
* 起床7:45 血 圧117-64(59) 血糖値98 体重67.9kg
2015 9/13 166
* 起床7:45 血 圧123-56(56) 血糖値105 体重67.5kg
* 精力を仕事へ振り向けていると、此処での「私語」はつい手控えている。あれもこれもとは行かない。フェイスブックやツゥイッターがまるまる機械上で操作不能に陥っているのがむしろ幸いしている、あんなのに手と時間とをとられていては、ことが運ばない。
それにしても書くも読むも調べるも、眼・視力を使わなくては何も出来ない。小さい字など潰れたように読めない。いちいち小さくも12級ほどに文字を拡大して機械での読み書きをしている。
* 「資時出家」を書き続けていた。疲れると横になって、「親指のマリア」を初校しながら、そのまま寝入ったりもした。かなり夏バテがしている。仕方ないことと、逆らわず疲れたら休み休み自分の仕事をむしろ楽しんでいる。
2015 9/14 166
* 起床7:45 血 圧121-61(57) 血糖値100 体重67.7kg
2015 9/15 166
* 眼が見えないので文字を大きくした。もう機械仕事は、今日は限界を超えている。やすむしかない。
2015 9/15 166
* 起床8:00 血 圧129-66(69) 血糖値95 体重68.5kg
* 夜中 久しく経験しない寝汗をかいて驚いた。この数日、ときどきクシャミをしていたが。とくべつ今も違和は覚えていないが。
これから、今日は聖路加二科の診察を受けに出かける。
* 二科の検査結果は問題なく、癌の残存を思わせる癌マーカーにも問題はみられなかった。ただ、左胸上部のかるい圧迫感を報告したのに対し、循環内科の検 査と受診を指示された。問題ないとは思うが丁寧に対応した方がいいだろう、明後日にと言われたが、結果十月六日に診察ときまった。なお年明けて早々にCT 検査三日後に腫瘍内科の診察と。胃を全部とって三年半、また診察を受けるかが科が増えるとは。
* 処方薬を手に入れてから、だらだらと歩いて、松屋八階の「つな八」で天麩羅。これが少々ぞっとしない揚げようで、烏賊の硬いのにがっかりした。
天麩羅職人の腕前は烏賊の揚げようできまるというのがわたしの持論。コリコリの烏賊天にはガッカリして、酒もしっくり来なかった。わたしも存外に疲れていたのだろう。
往きの電車でも、二つの外来でも、薬局でも、そして松屋銀座から帰りの電車でも、ずうっと校正し続けていて、保谷駅へ電車を降りたときから、胸が圧しこまれるように苦しくなってきた。タクシーを待っている間、かつてない、地面に尻を落としていた。
玄関へ入って、妻にすぐニトロを貰った。
いまは、もう落ち着いているが、明日の俳優座稽古場の「ヘッダ・ガブリエル」の招待、残念ながら電話で辞退した。どのドクターも口を揃えて歩いて下さい と奨める。のに、ますます出不精になり、両国秋場所の大相撲も、茶屋からす奨めてきたけれど今回は辞退した。明日、六本木まで重い芝居を観に出かけられか 自信がなくてお断りした。かなり惜しいけれど。
2015 9/16 166
* 起床8:00 血 圧131-65(60) 血糖値98 体重68.6kg
2015 9/17 166
* 聖路加病院へわたしも優に十五年余、妻はもっと永くお世話になってきた。家からは甚だ遠いが、いまでは有楽町線一本で行けるし、綺麗な明るい病院で陰気な負担がなにもなく、場所も築地で、やや行楽気分で通える。病院管理は聖路加昔からの金看板でとくに看護体制は親切を極めている。医学書院勤務の大昔からよく知っている。
今は建物も、高い二つのタワーも含め、外来も病棟も広大に調っている。なかに礼拝堂が少なくも二つあり、院内の到る所に繪がかけてある。じつは私の寄贈 した繪も、外来二階のチャベル右すぐ脇に懸かっていて、小品の風景ながら、ぴしっとよく決まって、作品ゆたかに美しく、院内で屈指の秀作とわたしは喜んで いつも眺めてくる。
わたしはいま、この病院で、癌術後を看視してくれる腫瘍内科(オンコロジー)のほかに内分泌内科で糖尿の、感染症内科で総合予後を、眼科で緑内障・白内 障・視力の推移を、泌尿器科で前立腺症の予後を診て貰っていて、さらにまた循環器内科へも行けと、いま、言われている。そのほかに臨時のIT検査や心電図 等の検査がわりこみ、いずれはまた内視鏡で腸をまさぐられるであろうと覚悟している。
外来・病室・検査・会計等々の大きな建物は、二階の端で隅田川寄りの二棟の高いタワーへ、もう一つの端でいわば聖路加本館へ廊下で繋がれている。ことに この本館への渡り廊下は明るく温かく、美しく草花や聖画で飾られ、その一部分でときどきに小物や小品画などの店が出る。一昨日の通院日には、女ものの自然 石を用いたネクレスやイアリングなどを展示していた。淡い青に澄んだやや大きめの、また見るからきらきらと光に燃えるような石のと、二つを妻のために買っ て帰った。お歳はと聞かれ八十と答えると、売り手のお姉さんはなんだか嬉しそうに笑ったのが愉快だった。あとの天麩羅のまずさをやや帳消しにしてくれる買 い物だった。
29日には眼科へ。
2015 9/17 166
* ひょっとして、次々回の「湖の本」新刊には、すこし異様できあるが新作の小説集が編 めるかもしれない。その気で、つとめたい。少なくも遠からず実現の気運をつかみかけている。 国会など、いやみな変な一日だったけれ ど、仕事は着実に動いてくれた。しかし頭と手先だけ動いていて体はちっとも運動していない。体重の増が気になる。
* 「私語」転送がうまく機能していないか、たんに送り忘れていたのか。デモに参加かと問われていた。群衆に揉まれれば、転倒は免れ ない。わたしはわたしなりの戦いを「私語」と「出版」とで続けているつもり。外出は、病院通いで沢山。今日の俳優座稽古場公演も残念ながら辞退したが、か らだは安まった。明日は出なくてすむなと確認できると、ホッとする。家には黒いマゴもいる。
2015 9/17 166
* 起床8:30 血 圧139-76(54) 血糖値99 体重68.3kg
2015 9/18 166
* 郵便局で用をすませ、帰りにスーパーでちと紙函入りの日本酒を買って帰って、少々。それから自転車で市役所へ走り、要用のために印鑑証明をとってきた。近隣に広大な新道路がはしったのを利用していった。ますます風情のない走りになった。
2015 9/18 166
* 起床8:30 血 圧139-76(54) 血糖値99 体重68.3kg
2015 9/19 166
* 起床8:00 血 圧147-66(53) 血糖値83 体重68.9kg
2015 9/20 166
* 今日は朝から眼がよく見えず、なんとなく呆然と睡魔のおとずれに身をまかせがちで。ついつい純米「澤の鶴」の一升瓶を傾けながら、選集⑨の送り出し用 意になどに、ゆっくり、かかっている。湯に漬かって目を温めながら、選集⑩の校正をするか。今は、なによりこの初校を終え、印刷所に戻すこと。選集⑪も⑫ も初校が出来ているのだ。
湖の本127の再校も出そろっている。願わくは湖の本128は新しい小説集で出したいと願っていて、そのためには緊張し集中して原稿を創り上げねばならない。
2015 9/20 166
* 明治の内田魯庵による八犬伝と馬琴への長編の批評も面白く読んだ。
いまは細字としか言いようのない文庫本はよほどでないと読めなくなった、字が見えないので。最も困惑するのは必要あってひらく辞典が読めないこと。参る。少しずつ物忘れが増していて、漢字が書けなくなっている。読む方はまだ大丈夫だが。やれやれ。
2015 9/20 166
* 起床7:45 血 圧137-66(58) 血糖値97 体重68.9kg
2015 9/21 166
* 目が不自由で仕事に没頭しにくい、これが障碍。ま、秋成もそうだつた、大なり小なり物書きに生きた老境は目の弱りに苦渋している。
2015 9/21 166
* 起床8:00 血 圧140-66(56) 血糖値87 体重69.4kg
* もう夕暮れ、大相撲はそろそろ大関、横綱の出番だろう、わたしは、朝から折りさえあえば二階へ来て小説「チャイムが鳴って更級日記」に食いついて仕上 げに熱中してきた。熱中というと聞こえはいいが、じつは眼がすぐ疲れて見えなくて、途中何度もやかまざるを得なかった。階下で、天海祐希の刑事ドラマや例 の「相棒」などを観ていたがてれびの大きな画面の俳優達の顔さえみにくく滲んで歪んでいる。辛抱しきれなくなるとまた機械の前へ戻るが、なかなか原稿が霞 んで滲んで歪んで掠れて、うまく読めない。自分の文章だから出来るので、半ば以上はアテズッポウで字を探っている。
この調子で、いつまで眼が持つか、間に合うか、分からない。抗癌剤「ts1」が眼への深刻な副作用を持つらしいと確認されてきたのは昨今で、新聞がそん な記事を大きく出していた。自分でガンとして服用と選んだのだから文句は言えない。せめて眼鏡がもうすこし合って欲しい。いま七つ使っている眼鏡の只一つ も視力と視野とを助けてくれない。青山の保谷眼鏡へ半日一日も早く行ってみなければならない、もう土壇場に間近い。
☆ メールありがとうございます!
嬉しく拝見しました。
お寺の事、私でお役にたつことでしたら、何なりとお申し付けください。
また東京へ行けそうでしたら、ご連絡します。
ご体調、お眼ともにつつがなくお過ごしになれますようお祈りしています。
それでは、また…
ありがとうございました。 みち 秦方従妹
* 情けない私語を聞かせてしまった。
もはや癌細胞の有無よりも、眼の効力と仕事との熾烈な競走状態になってきた。しかも青山の保谷眼鏡が遠くて億劫におもわれ、それより少しも早く仕事を進 めて行きたいのが先立っている。静かな心で日々を待ち日々を送りたい。バグワンを読みたいと思うが、どの本も活字のインクが淡くて。それでも出来る読書は しつづけたい。韓国古代史のような気の遠くなる遠方の論考であっても、ときどきテレビの韓国歴史劇などに、あ、これこれと思い当たって嬉しくなることもあ る。ドラマで「花郎(ファラオ)」という呼び方に目も気も止めていたのが、ちゃんと解説されていて、しかも観たことのあるドラマの場面ともきっちり符合し ていたりして、嬉しくなる。これまで、大方の韓国歴史劇がいったい何時の頃の事件事態か読み取りにくかったが、この「花郎」なる選り抜きのハンサムたちが 六七世紀、日本でなら聖徳太子や大化改新の昔に相当していたかと知れて、小さく手を拍ったりしている。
* 目のことで、まだかすかに希望も持ち現に機械の前以外の場所で大量の「初校」「再校」「責了」の仕事が出来ているのは、結構な照明そして裸眼視がまだ しも効いてくれるんらで。これが出来なくなったら「選集」も「湖の本」も断念廃業しなくてはならない。無理が招いた視覚消耗とはいえず、抗癌剤一年連用が よほど堪えたのだが、わたし自身が強く求めて服用したのであり、その点は自分の腹に収めている、愚痴は言わない。胃癌の場合にはふつうに抗癌剤というと 「ts1」が用いられる。むかし「胃と腸」の編集主任として専門の研究医臨床医二十数人と毎度編集会議をもち定日発行を守り続けていたが、その折りの先生 のお一人が、わざわざお手紙を下さって抗癌剤はおやめなさいと忠告して下さったのを、感謝しつつ押して自分蟹服用を望んでしまったのだ。前車の轍ともなれ ばいいが。
2015 9/22 166
* 起床8:00 血 圧148-72(56) 血糖値87 体重68.3kg
* 三時間ほどしか寝なかった。眠れないので、何時間も掛け、一気に「親指のマリア」本文を初校し終えた。
朝起きて測ったらちゃんと体重が減っていた。ほんのポッチリ朝食して、すぐ、選集「第十巻」要再校のゲラ整理を、ほぼ終えた。跋文を書けば、うんとハカが行く。要再校のゲラは明日にも送り返せる。創作やべつの校正へすこしラクに向き直れる。
2015 9/23 166
* からだの不調がしつこく、気は晴れないが、ま、この齢だものそんなものと思ってしたい仕事へ仕事へ気を向けている。この「私語」ほどの濃い太い字だとわるい目でもそこそこ機械でも読み書きできる。工夫して工夫してやって行くより無い。
* 休みに降りた階下で、録画してあった亡き中村勘三郎の「髪結新三」を懐かしく面白く楽しんだ。同じ舞台をわたしたちは歌舞伎座で堪能している。白子屋 の番頭忠七に亡き芝翫、矢田五郎源八に仁左衛門、大家には亡き富十郎という豪華版に加えて新三に角科される白子やお駒は玉三郎、中剃りの勝には染五郎。何 度もいろんな役者で観てきたが、まずは最高の顔ぶれ。だが肝心要の勘三郎亡く、成駒屋も天王寺屋も亡いのだ、ひんなにも面白い芝居を観せてくれたと言う に。松嶋屋の仁、大和屋の玉の健勝を祈らずにおれない、若き高麗屋の染五郎には歌舞伎を背負って大活躍して貰わねば。ことし顔見世の高麗屋父子の勧進帳、 楽しみにしている。
* 十一時。夜前の睡眠不足を補わねば。
2015 9/23 166
* 起床9:45 血 圧148-69(54) 血糖値100 体重68.1kg
* 郵便局へ二人で歩いて、それぞれの用事を済ませてきた。長袖のシャツ一枚でやや涼しすぎたが歩くぶんには、まず、よし。
2015 9/24 166
* なにをしても、どんな眼鏡をかけても話にならない「水目」状態に、思い立って一つを試みてみた。と言うのも、わたしの右眼だけで見ると視野の垂直線は ひどい蛇行様に曲がりくねる。左眼だけだとそれが無い。両眼での視野が滲んでぼやけて著しく疲れてすべて不鮮明なのは。この右眼の悪しき影響なのだろう、 か。で、右眼を黒いもので塞いでしまって遠用眼鏡をかけて見ると、まるで見えなかったテレビガメンがクリヤに普通に見えた。視野のまともさは久しく忘れて しまっていた明るさと鮮明感に近かった。
急いで機械の前へ戻って書きかけの小説へ戻ってみたが、字がかなり能く読めて鮮明だ。ただ、片目である。機械のキイへの手出しにも安定感は欠け、また小一時間もすれば片目の左眼も疲労してくる。
それにしても、一つ、モノが見えたのだ。ダメな右眼は黄斑変性で手術した眼だ。同時に白内障の手術もしたのが右眼だ。
さ、どうするか。やはり片目での機械操作はひどく疲れる。それのみか、片目では、家の中での歩行にもグラツキが来て、これでは戸外歩行は、たださえ杖でもよろけているのに、かなり危険になる。まして自転車は、自殺行為に成りかねない。
さ、どうするか。
* 十時半。もう機械からは離れよう。
2015 9/24 166
* 起床10:00 血 圧137-75(68) 血糖値104 体重67.9kg
2015 9/25 166
* 右眼を眼帯で塞いだまま二階へ上がろうとし、途中の曲がり角でよろけ、転倒、かろうじてもちこたえた。上りでまだよかったが。階段の下りでよろめき落下したら、大怪我で済まなくなる。片目では危ないと身に沁みた。早く身に沁みてよかった。
2015 9/25 166
* 起床9:00 血 圧138-66(62) 血糖値88 体重68.1kg
2015 9/26 166
* 起床8:15 血 圧127-64(57) 血糖値87 体重68.5kg
2015 9/27 166
* 見えにくい眼で、原稿を創ったり、読み返したり、校正もしたり。芯のつかれる日であったが、もう十一時半になる。からだを横にして、さらに読める限り ゲラを読み、韓国古代史も読んでみる。外出しないのは、歩かないのはいけないのだが、出かけなくて好い日がつづくと得もいえず心やすく過ごせる。昨日駅前 通の文具屋まで妻と歩いて少し重い荷のかいものをしてきたが、歩くのが少し辛かった。いい徴候ではない。
2015 9/27 166
* 起床8:30 血 圧131-82(72) 血糖値96 体重68.7kg
* 「華」さんから匠壽庵のそれぞれ小粒の佳い干菓子が二種類届いた。一つ一つをしっくり賞味できて気が利いた京菓子、妻が喜んで戴いた。さすが、京菓子。感謝。
* 湖南市の小田敬美さんからは、例年心入れの梅干しと梅酢とを頂戴した。子供の頃から梅干しも梅酢に漬かった紫蘇も大好きであった。梅酢だけを清水や湯でわったのも、なまじのジュースなどより美味しい。感謝。
* 妙に暑い。黒いマゴも、うなも、べつべつに気に入った場所でぐっすり昼寝している。わたしも原稿に疲れて、眠い。
* 明日は十一時、久しぶりに聖路加の眼科。午后、何時頃に放免されるだろう。先日は松屋の天麩羅に失望してきた。もう銀座界隈は見限って、上野か浅草へまわって。天庄、米久、高勢あるいは香味屋へでも。そんな元気があればいいけど。
デモには行かない。それよりも次の選挙、また選挙まで少しでも元気に生きてやる。いまのところ、されが一の決意。もし「壊憲安倍政権」への大規模な法廷闘争があれば、がんばって援助したい。
2015 9/28 166
* 浴室で一時間、校正。一つには体重を絞りたくもあり。幸い血圧はずうっと正常ないし低い目。「選集⑪」の初校好調に進んでいる。
2015 9/28 166
* もう十一時。明朝九時過ぎにはバスに乗る。聖路加眼科。いろんな検査をするらしい。やれやれ。
九月も、もう行く。
2015 9/28 166
* 起床6:00 血 圧145-69(55) 血糖値93 体重68.1kg
* 眼科の検査と診察、診察予約が十二時なのに十一時半に済んだ。なんにもなしの旧態依然で、点眼薬を三種類、いままでどおりタップリ処方された、だけ。愁訴する元気もなくて、例になく早い解放を、ま、歓迎して病院を出た。
* あとが良かった。ついに「シェ・モア」にかわるフレンチの佳い店に行き当たった。朝日の記者だった食の大通、重金さんに教えて貰った松屋裏の店。昼は どうかなと心配して地下へ降りてみたら歓迎された。シェフともこもごもおしゃべりを楽しめたし、何よりもワイン二種類の美味かったこと、そして前菜もとよ り、肉の美味かったこと、久しぶりにフィレの最良を堪能した。量も按配して貰ってきつくなく、パンもデザートも美味かった。広い店ではないがめずらかな佳 い繪も幾つも観られ、ほくほくと嬉しく帰ってきた。
十二月に二度ある自祝の日の一度は此処でしようかなと思ったりした。
* 昨日、建日子が薩摩のみやげに、焼酎ではない薩摩では珍しい純米の清酒をくれたのが、すっきりと美味いのも喜んでいる。
* さ、十月を迎える。二日夕刻には暫くぶりに、歯科。六日には聖路加循環内科で念のための診察を受ける。七日には妻も聖路加へ。二人とも、診察までにかなり待たされそう。
十五日には、幸四郎の「ラ・マンチャの男」を義妹もいっしょに楽しみ、翌日からは「選集第九巻」の送り出しです。数日で終え得たいと目論んでいるが。
じりじりと歳末へ日脚がはやい。
2015 9/29 166
今朝起きが早かったので、心身を、ほどほどに、やすませたい。
2015 9/29 166
* 起床8:30 血 圧131-63(72) 血糖値97 体重67.9kg
2015 9/30 166
* 字を読んでする仕事ばかりの仕事、機械の字は大きくしてあるけれど、ゲラの字はそれが出来ないし、新聞や辞書は拡大鏡を頼らずには読めない。それ以上に、複視、乱視、滲みにヘキエキする。点眼と洗眼とで凌いでいる。
2015 9/30 166
* 起床8:30 血 圧135-67(60) 血糖値84 体重68.3kg
* 久しぶりに13路の碁をうち、機械に、負けました。ちょっと楽しかった。
* そのあと、あれこれしながらも疲れがちに休みがち。休めるときに休んでおきたい。 2015 10/1 167
* 起床9:30 血 圧141-71(53) 血糖値94 体重68.5kg
* 歯医者へ行く。
2015 10/2 167
* 起床8:00 血 圧148-65(59) 血糖値99 体重67.9kg
2015 10/3 167
* 起床10:20 血 圧136-65(63) 血糖値110 体重67.8kg
* 六時半頃いちど目覚めたが、もう少し寝ていようと。棒立ちに眼をみはるほどの夢にあい、目覚めた。
夜前かなりおそくまでゲラを読んでいて、その上に高句麗や百済の官制や官職などの特徴を本で学んだりしていたので、眼のためにはよく寝入っていたのはよかった。しかし、うまくは言えないがまさに棒立ちに息を呑む夢であり寝覚めであった。
2015 10/4 167
* 自身の健康が、回復しているのか停滞しているのか、よく判らない。自信はもてていない。深々と疲れるし、食はすすまず、極く小食に自制ししてしまって いる。大目に食すると苦しくなる。酒量もむしろ減っているか、減ってないまでも酔いが早く、いつしれず寝入っている。体重だけでみれば68キロ台を維持し ているのはむしろ堂々のもの。血圧も血糖値も安定し、諸検査値はむしろどの医師からも良好と謂われている。自覚的には視野・視力以外に目立った器官的苦痛 は感じていない、手先や足裏の痺れぐらい。
仕事でムリを重ねているから疲れるのだと謂われれば、まず確実にそれは肯定せざるをえない。しかし仕事の為の頭も手もからだも休める気は無い。
2015 10/4 167
* もう眼が利かない、機械から離れる。
* あすはまだ家にいるが、あさっては聖路加の循環内科へ十数年ぶりに受診に行く約束。循環外来の待ちは超弩級、よほど大量に校正ゲラを持ち込まねば。七 日から一週間は落ち着けるし。天気のいい日に一度は出歩かねば。十五日は「ラ・マンチャの男」を義妹と三人で。その翌日には「選集第九巻」が出来てくる。 何日か、数日も、荷造りしては郵便局へ運ばねばならない。
2015 10/4 167
* 起床9:20 血 圧147-73(56) 血糖値87 体重68.2kg
* 獅子の仔の兄弟(えと)の三(み)匹に目守(まも)らえつ
われは尿(しと)する夜半(よは)の便座に 遠
* 家中でいちばん好きで落ち着く手洗い。便座につくとやや伏し目のまんまえに三匹の仔ライオンが揃ってわたしと視線を合わせてくる。可愛くて、いつも話しかけている、「げんきでいろよ」と。太郎、次郎、小次郎と名が付けてある。
ライオンのすぐ真上に、犬のヘンリーと猫のモーリーの漫画像が夫婦然と座って微笑んでいる。大好き。さらにその上に、太刀を横たえた横綱白鵬と日馬富士との腕を張った立ち写真が大きい。見上げては、「はやく快くなって、またガンバレヨ」と励ます。
そして、しばしば、そのままの姿勢でへたな歌を按じる。妻が、きれいに花を挿して置いてくれると自然と気持ちゆっくりする。
* 昨日、家の内の照明をいくつか取り換えた。
2014 10/5 167
* さて、明日の午后は聖路加の循環。ひたすら、診察「待ち」に行く。いま自覚的に故障は無い。
2015 10/5 167
* 起床8:45 血 圧147-66(54) 血糖値94 体重68.0kg
* 受診という実感があまりないので、今日は聖路加病院をかりて「親指のマリア」再校に励んでくる。あとのことは何も考えてないが。
* 現状を冷静に見ていると、一種の栄養失調かも、と思ったりする。食欲が無く、朝などもビスケット一二枚と少量の蜂蜜や飲み物と大量の服薬やインスリン 注射で済ませている。食べると、腹が張ってしんどくなるので、つまみ食いの程度、量を極度に抑えたくなる。体重も増やしたくない。ワインを薬用のように口 にしている。ビールはもう冷たくなってきた。
* これやこの生くも死ぬるもわけもなく
知るも知らぬも泡ときえゆく 有即斎
* もっぱら、新作、京の清水坂と瀬戸内海を繋げるような物語に、熱をこめて向かいたい。百枚は書けているが、さ、もう倍にもなるか。
* 胸部レントゲン、心電図、エコー検査を受けてきた。さらに十一月には胸部CT検査を受ける。ただし、念のためと想われる。聖路加通いが際限なく続く。
* 帝劇モールの「きく川」で蒲焼き、菊正正一合を二本。それでも、往きも帰りも病院でも「親指のマリア」読み続けていた。
2015 10/6 167
* あすは妻がおなじ聖路加の循環内科へ行く。聖路加の親類になったような按配。保谷からは電車一本とはいえ近くはない。行って帰って、やはり疲れは重い。すこし横になってくる。
* 秦家菩提寺に関わる向後一切を長男秦建日子の差配に委ねた旨、京都へ通知した。建日子も承知してくれている。この数年、わたしが京都へも一度も帰れて いない。妻の体力にも限度がある。このままではお寺への失礼や不都合を生じかねない(もう生じている)ので、然様決した。やや肩の荷をおろせて、ほっとし ている。
2015 10/6 167
* 起床8:30 血 圧129-67(58) 血糖値 体重68.5kg
*妻。聖路加へ。目も乾き仕事にもならず、ぼんやりと酒など近所へ買いに出かけ、どうしようもない、怠けザマ。このところ久しく、いえでのウイスキーとい うと名前買いして「富士山麓」。だいたい四日で飲み干している。最近は腸へ沁みるのをさけて、オンザロックにしているが、却って量がいきそう。
2015 10/7 167
* 夕食後、短時間ながらぐっすり、校正要の電灯も消さずに寝ていた、晩がたから、書き進んでいる新しい小説に、かかっていた。十時半。もう眼は乾ききっている。
いま新しい作として仕掛かっている小説は、いずれも長編必至の、三作。
そのほかに、手をかけてやらねば可哀想なような旧作の中断ものがざっと見でも七、八作もナントカしてよと呼んでいる。命がもつかなあと少なからず案じながら、どうにかなるものはどうにかしてやらねば。ま、そわそわすまい。
明日からちょうど一週間、気をらくに努めてでもマンゼンと過ごしたい。
2015 10/7 167
* 起床8:00 血 圧141-68(52) 血糖値96 体重67.9kg
2015 10/8 167
* 妻が、今日は地元病院へかぜ気味ででかけ、留守中、わたしはどんよりと腹具合がわるく疲れ臥して二時間も黒いマゴと寝ていた。
2015 10/8 167
* 十一時半。ずうっと、自分の新しい小説を読みつ書きつしていた。もう目が乾ききっている。 2015 10/8 167
* 起床9:00 血 圧119-67(58) 血糖値81 体重68.0kg
* 終日疲れ気味に横になっている時間長く、そんな時も寝入っているより校正したり韓国古代史を読んでいたりした。
いま、頸のうしろ付け根のへんが、とても痛む。何度アタックしても隘路を突き抜けない気分で頸から肩が痛む。
* 一日、元気でなかったが。
2015 10/9 167
* 起床8:30 血 圧117-59(52) 血糖値76 体重68.8kg
* ヘンデルのメサイアを機械に取り込みながら、いま、マリア・カラスを聴いている。からだが全然働こうとしない。
* 朝いちばんに、岡田昌也さんに丹波黒の枝豆を頂戴した。蛋白質でありわたしの栄養源にことに有り難いいただき物と妻は云い感謝している。たしかにいまのわたしはいくぶん栄養失調しているのかも知れない。
今朝は、きのう吉田宗由さんに頂いたブルーベリーで少しパンを食べ少し赤ワインを飲んだ。奇妙な夢ばかり見て熟睡に欠けている。
* 終日体調不良。どうこうと指さすように不調を指摘できないが、無力感。食べると、えずくように苦しい。液状のモノしか入らないような不快感にとらわれ、仕事へ気を注げない。
* 時代と政治に対する不快感が身に巻き付いて、明日への溌剌とした希望が持ちにくい。つまり自分の「仕事」へ逃げ込もうとする、それがいやだ。そういう 仕事は生彩を喪いかねない。いまわたしを和らげているのは、誰の曲、誰の演奏と知れないピアノ曲だ。一曲終えて拍手が湧いている。浅井菜穂子であるらし い。ちからづよい演奏、深い音色だ。嬉しくなる。
* このところ気まぐれのように13路の碁を機械に挑戦するのだが、三度闘って三度ともあれれと負けている。三度とも優勢と思っていたのに負けている。二 度めの一度は、たった一手の油断で大きくひっくりかえった。負けて悔しいという執着ではないが、形勢判断と、要所でのツメが甘くなっていると云うこと。せ いぜい年のセイにしたいところだが、そうではない、機械の方が強いだけ。
2015 10/10 167
* 起床8:30 血 圧127-61(60) 血糖値85 体重69.1kg
2015 10/11 167
* 機械の前におれる時間が極度に少なくなってきた。視野が保てないのだ。やすみやすみ根気よくするしかない。
大きな手術のあと一年余も、手洗いにはいると便座で、太ももにふたつの肘をつき掌は前で組んで、がっくり頭を落としていた。それが辛うじてラクであり安 息にちかかったからだが、いつか上体を前倒しにしていることも減り、からだをしゃんと起こしていた。それがこの三ヶ月ほど、遠い以前に戻って、とかく、が くりと頭を前倒しに垂れている。なんとなく健康への自信が薄らいでいる。検査値は好いといつも云われているのだから、いくらか老鬱の気味なのだろうか。
2015 10/11 167
* 起床8:00 血 圧145-69(56) 血糖値89 体重68.2kg
* とほうもない高い瀧山を二度も三度も登る夢 をかなりクリヤに見つづけた。幾條もの凄い瀧のまぎわの急峻を何人かで這うように登っていた。あまり危険で引き返したりまた登ろうとしたりした。だれかが 「雷魚」と呼んでいた、鯉の十倍ほどの大きな魚を仲間の一人の若い女性が水に跳び込んでまる抱えにしてきた場面も、魚の大きさや顔つきまで明瞭に、しかし その女性の顔は朧ろでしろい衣服で若いとだけ見えていた。
文壇人らしきがつどうらしき食べ物か飲み物の店の土間に、大きな墓碑らしきが何基も建っている夢も見た。誰のとも何のとも判らないのに、真ん中にひときわ大きい碑の表にだけ秦の父の姓名が読み取れた。無気味だった。
* むかしから夢が嫌い。夢など見えなければいいのにと思い続けてきたが。ま、たまには願ってもない夢も、本当に稀まれにはみるが、五年に一度ほど。毎夜毎夜、理解しがたい奇妙・奇怪な夢を見てしまう。とても疲れる。
2015 10/12 167
* 起床7:50 血 圧143-70(53) 血糖値90 体重67.9kg
* 照井良彦さんへ選集第四巻を送り、岡田昌也さんへ礼状を送り、ついでロキソニン一錠を服しておいて西棟玄関を塞いでいる選集第八巻を十五冊ずつ三度、二階 へ運び上げた。腰骨が折れそうに重いが、頑張ってしまう。あいついで配本の希望があり、予備の私蔵本にも気配りしている。九巻の出来まで、用意日はもう明 日しかない。明後日は義妹と三人で幸四郎の「ラ・マンチャの男」を楽しむ。このミャージカルの初体験は十数年前の帝劇からの招待だったらしい、今度の「有 楽帖」に永い記事がある。以来、四、五回も観てきたろうか。ヒロインは松たか子のことが多かったが、今年は初めて会う女優で、それも一つの期待と楽しみ。
2015 10/13 167
* 起床7:45 血 圧143-66(61) 血糖値94 体重69.0kg
* あさっての選集第九巻受け容れ用意は、ほぼ確実に出来ている。
第十巻責了への用意も着々。第十一巻のために口絵の按配を思案中。
さすがに本の出来てくる前々日、前日はわたしもかなり緊張している。一つには妻にもわたしにもたしかに重労働なのである。湖の本のほうは宅急便が集荷し てくれるので、数は多くて緊張は緊張阿でも選集への緊張とはちがう。郵便局への運び入れ幾往復もは正直きつい。運動になるとくらいに思ってやっているが。
あいにく妻が数日前から咳いている。明日妹との観劇も咳き込まないかと心配らしい。ま、ガンバルしかない。
2015 10/14 167
* 起床7:30 血 圧152-75(52) 血糖値82 体重69.2kg
2015 10/15 167
* 幸い咳き込むことなく妻も感嘆し落涙していた。
わたしは、空腹なのに食欲なく、帝劇となりの地下で、やすい中華料理、というよりわたしは紹興酒と餃子だけで済ませてきた。妻は、またも酢豚定食。よほど酢豚が好き。 2015 10/15 167
* 起床7:45 血 圧148-63(58) 血糖値98 体重68.2kg
2015 10/16 167
* 起床9:30 血 圧154-74(66) 血糖値93 体重68.4kg
2015 10/17 167
* なんとなく油の切れたような疲れがある。ひとつには視野と視力が定まらない落ち着きの無さに参っている。
このところ血圧がすこし高めに推移している。
人と会って話す、対話し歓談するということが、ペンの委員会や理事会や文壇の集会・宴会に出かけていたときは盛んにあった。有りすぎたほど有った。今は、なにしろ家の外へ出ない。電話がきらいで仕事の必要もみなメールで済ませている。
そういえば元保谷市長が顔を出して欲しいと先日頼んで見えた。とても歓談といった機械とは想われない。いきおいもちまえの「部屋」へ創作の中の人達をつい呼び出しては話し込む。
* 見えない目で、「秋成八景」の序の景を、光る白紙にプリントの原稿と照合しながら、苦闘した。仕方なく、転じて、ひさしぶりに、編集管理職の昔の春闘 を顧みに想い出していた。凄みの体験だった。あんな修羅場も潜ってきたんだなあと。その気になれば医学書院体験からはいろんな小説世界が覗けるのに、「清 経入水」や「風の奏で」にすこし利用した程度だったが、烈しい春闘だった代謝直前の体験は、退社してすぐ「亀裂」「凍結」「迷走」の三部作にした。しばら く、これを読み直してみよう。
2015 10/17 167
* 起床8:00 血 圧141-67(62) 血糖値91 体重68.7kg
2015 10/18 167
* 眼が見えないので、音楽をいろいろつまみ食いしていた。ピアノ曲はグレン・グールド、ホロビッツ、ピレシュ、 バイオリンは千住真理子、そして五十嵐喜芳の「オー・ソレ・ミオ」でスカッとした。
2015 10/18 167
* 起床8:00 血 圧140-78(58) 血糖値102 体重67.2kg
2015 10/19 167
* 起床8:50 血 圧140-68(61) 血糖値96 体重67.7kg
2015 10/20 167
* 「歩き」半分と思い立って、妻と上野の都美そして日本橋三越での截金展へ。ところが、都の美術館に到着したところで、創画会展も新匠工芸会展も明日開会、三越のも明後日から開会とわかって、お手上げ。わたしのボケであった。がっくり疲れた。
仕方なく西洋美術館で常設展だけを観てきたが、館の都合で展示はつねの半量だったのに、それでも多すぎると思った。しかし選り抜きの近代前と近代との絵 画であり、新たな所蔵品もならんでいて、満足した。ドルチの「悲しみのマリア」もひときわ美しく、コローの風景やミロの抽象なども、或る女流画家の「自画 像」などいくつもの肖像画や聖画にも胸にひびくものがあった。八十の爺と婆とは無料で見せてくれた。謝々。
西洋美術館の外庭には「カレーの市民」「考える人」などが静かにゆっくり観られる。「地獄の門」も懐かしかった。
* もう移動の元気なく、久しぶりに精養軒のレストランで特別記念のメニュを、食べきれるかなあと二人とも危ぶみつつ頼んだ。赤のいいワインも。
前菜もスープも魚も美味かった。なんと、老人二人が八割がた食べた。仔牛肉、雉肉など三種類の肉のメインディッシュはすこし多かった。いくらか黒いマゴのおみやげにした。五種類ものデザートも、珈琲、紅茶も、しっかり賞味。満腹。
* 上野の街を歩く余力はなくて、池袋へ、直に帰った。西武でも座れた。往きにも帰りにもわたしはちゃんと校正した。出来るところでは出来るだけ仕事しておくのが、結句、ラク。但し、間違えねば、である。その辺がだんだんアヤシクなる。間に合うかと、用心している。
2015 10/20 167
* 起床7:00 血 圧137-72(55) 血糖値93 体重68.2kg
2015 10/21 167
* 起床9:00 血 圧128-63(60) 血糖値104 体重67.6kg
2015 10/22 167
* 起床9:00 血 圧134-74(63) 血糖値92 体重67.6kg
2015 10/23 167
* 起床8:30 血 圧134-60(61) 血糖値105 体重66.8kg
* 胃全摘の手術から三年八ヶ月、久しぶりに朝の体重が手術直後の66キロ台へ沈んだ。ま、増えるよりはいいだろうと思っている。
2015 10/24 167
* 起床9:00 血 圧146-66(64) 血糖値94 体重67.9kg
* 「湖の本127」発送の用意に、何としても西棟から東へ、東棟から西へと、重い本包みや郵袋包みを運び替えないと作業が進まない。二棟あって 広いようで、実は西棟は本の山で歩くのも不自由なほど、それをやりくりやりくりしている。東棟は住まいだが、階下も二階も、まともに歩けないし座れない。 昔は毎日のように編集者や記者や読者や東工大の学生を迎えて飲み食いしながら歓談にあけくれたが、今は、わたしと妻とで座れる場所がやっと。たまに息子が 帰ってきても座らせる場所を明けるのが、難儀。
そんなわけで本の発送時は、家は修羅場となり、そのなかで八十の夫婦が奮戦する。
奮戦のための用意がすでに重労働で、それを、今朝は二人して、なんとか実行した。して置かないと、万事停頓してしまうのだから、仕方がない。どう疲れて いても、約束の日には本が出来てくる。狭い玄関に山積みの本を抱いて寝るわけに行かず、可及的速やかに送り出したいが、そのためには家中を使っての「用 意」が、種々ある。
宛名印刷して封筒に貼る、その封筒に住所印や謹呈印を捺す。
送り状を少なくも三、四種類も書き分けて、印刷しカットして用意して置かねばならない。
払い込み用紙も郵便局から手に入れて、ハンコを捺しておかねばならない。
ガムテープやビニール袋も買っておかなくてはならない。
今朝の東西交互の運搬には、まえもって痛み止めのロキソニンを服しておかないと、腰の激痛で潰れてしまう。潰れて転んだりすれば、命に関わる。
観ようによれば秦の「妄執」に見えるだろう。どう見られようと、涼しいものである。わたしは敢えて踏み出した「騒壇余人」でありかつ小説家でありエッセ イストであり、歌集「少年」の昔から文学を生き続けてきた。歩み已める気はさらさら無い。近代文学史に稀有どころか絶無の「秦 恒平・湖の本」現在127巻、継続三十年で、なおなお続くなど、そんな「作家の出版」は世界中に例がない。趣味や道楽で出来ることでなく、なによりも読者 に受け容れられる「作」が「質的に創造」されねば成り立つわけがない。妄執で出来るような簡単なことでない。妻を巻き添えにはしたくないが、わたしはこの 「戦場」で戦死できればその上の望みは無い。
2015 10/25 167
* 昼食、うまく食べ物が腹へとおらず、吃逆、はげしく嘔吐く。だいたい毎度のこと、で、食事そのものへ気がすすまない。
2015 10/25 167
* あすは、また聖路加病院へ。うまくすれば午后に三越での截金展、上野の展覧会二つへ回ってみたいが、月曜だが。
2015 10/25 167
* 起床8:00 血 圧137-58(61) 血糖値82 体重68.9kg
* 聖路加、糖尿、良好異状なし。
* 日本橋三越本店で、惜しくも海外で客死された截金人間国宝の江里小夜子さんの娘朋子さんの截金展を観てきた。小夜子さんが截金で有名になるよりずっと 早く、わたしは「畜生塚」で、あたかも小夜子さんのような截金の才ある少女を主人公を書いていた。のちに小夜子さんと知り合い、選者をしていた京都美術文 化賞を受賞してもらい、夫君と三人で鼎談もした。惜しみて余りある不幸だった。今日の展覧会に小夜子さん、つまり朋子さんのお母さん作になる二十五年前の 大棗を観てきたが、じつにみごとで、もう三十年もすれば重要美術品に挙げられそうな輝きにみちた名品だった。その一点に出逢っただけで三越本店の日本橋ま で足を運んだ甲斐があった。
もうそこで疲れて、よろよろと、どこへ立ち寄りもならず、銀座一丁目から地下鉄で保谷まで帰った。朝、柿ひとつ食べたきり、飲まず食わずで帰宅して五時近かった。
2015 10/26 167
* もう眼が限界を切っている。リーゼを服して、ゆっくり寝入りたい・
2015 10/26 167
* 起床9:00 血 圧137-68(59) 血糖値82 体重68.8kg
2015 10/27 167
* もう眼がダメ。寝るしかない。朝の寝覚めいちばんに緑内障の目薬をさし、眼鏡をかけた瞬間のあかるく鮮明な視野。このところ幸福感の極まる瞬間であり、寝室のじつにこまかな何もかもが歪みもなく奇跡のように新鮮に見える。
残念なことに、起きて三十分ほどしかそれが保たない。あとは、潜水して見ているよう。機械で原稿を読み続けていると、文字がだんだん消えて行く。瞳を灼 かれたように、機械から立って離れたとき部屋の中が見えないまま白く灼けている。しかたなく階下へそろそろ降りて、テレビの前でぼんやりしている。ゆうる りと視野がもどってくる、が、もやもやのままでしかない。
日記の字を思い切って大きくしてかつがつ書けている。画面だけが辛うじて見えているが、よそみをすればなにもかも灼けてギラギラしている。「ああ、いいで すね視力も戻っていますね」とだけ聞きに病院へ行くが、それは検査のはなしで、上に書いたような実情にはとりあっても貰えない。
2015 10/27 167
* 起床8:30 血 圧135-68(63) 血糖値90 体重68.7kg
* 朝いちばんに妻を手伝い回収される故紙を山のように運び出す。再利用されるものと期待して。もう裏白紙を山のように貯蔵していても詮無い。書き込むのは機械に、で済む。それでも紙は惜しい。
2015 10/28 167
* 湖の本127は十一月十日の搬入と決定。
午后には、選集第九巻の支払いに銀行へ。こまごまとした用紙への書き込みが出来ないので、妻と散歩かたがた駅前へ。糖尿の薬を受けとりに薬局へも寄る。
* 朝起きの諸データは良好なのに、軽い軽い朝食をコーヒーで済ませたとたん、ぐったりと前進不穏。何なんだこれは。
* 銀行はけっこう手間取った。凸版への支払いと、家計の通帳へ次年分を纏めて移すのと。これで一年気を病まなくて済ませる。会社を退職して以来、そういう決まりにしてある。
細々と「銀行くさい」あれこれ書類に書き込むのが、苦手。目が見えなくて、ますます苦手。それで妻に付き添って貰う。
会社時代、仕事の能率をあげる日々の工夫では人を驚かせ、また効率もあげたが、伝票ふうのものをこまごま書くのは嫌いで、じつに下手であった。「一律」 にやらされることが、国民学校の大昔から嫌いで、右向け右、左向け左を間違えては怒られた。組の全員で徒手体操をさせられるのが、苦の種だった。級長に指 名されたとき、号令を、右、左、かけ間違えるのが苦で、先生に頼み込んで副級長に替えてもらい、家に帰って親に怒られた。いくら怒られても、いやだった。
「もらひ子」という、自伝ふうのものを読み直していると、性格の生涯直りっこなく小さいときからガンとして根付いていたらしいことに我ながら惘れてしまう。
* とにかくも選集第九巻まで滞りなく支払った。いま、収入はビタ一文無いに同じ。支店長が出て来たので、みんな使い果たして死ぬ気だからね、と。まちがいなく、そうなる。八十のつぎの目標はせいぜい、東京オリンピック。ほそぼそと夫婦シテ命脈をつなぐだけ。
2015 10/28 167
* 発送の郵袋にはんこ捺しをはじめた。苦手な仕事。二日ほどで出来るか。
明日は、できればフラッと出歩きたいが、体力があれば。
2015 10/28 167
* 起床8:30 血 圧135-65(59) 血糖値83 体重68.7kg
2015 10/29 167
* 今夜は大の気に入りの「NCIS」を楽しみながら、京都の羽生教授に戴いたとびきりの京菓子で、美味しい茶もしみじみ楽しんだ。
* もう十月も行ってしまう。
2015 10/29 167
* 起床7:30 血 圧153-75(60) 血糖値95 体重68.6kg
* 「利があれば理はなくていい。理があっても利がないなら、影法師。人は理でなく利で動くもの。」
明け方の夢の中でこう決め付けてくる声に、苦しいほど懸命に抗っていた。こういう夢は疲れる。
むりに起きてしまい、「早春」という旧作を読み直していた。はずかしいことを素直に書いて誤魔化していなかった。「もらひ子」(「丹波」)「早春」(「罪はわが前に」)は、総じて『客愁』とでも題していい自伝になっている。ウソ(仮構)を書いていない。 2015 10/30 167
* 起床8:30 血 圧155-74(50) 血糖値96 体重68.5kg
2015 10/31 167
* 起床8:15 血 圧144-66(53) 血糖値85 体重67.8kg
* 国立能楽堂に入ったとき、少年友枝大風の能「経正」の中途だった。姿はよかった。いいシテに成るだろう。
野村萬の狂言「磁石」、喜劇として笑えるものではないが、萬の狂言顔が見られるだけで、ケッコウであった。彼ひとりの姿態だけで狂言になっている。
視野のいい席をもらえていた。
能「砧」の昭世は、前シテをまこと稀有にあたりまえの女に演じてドキドキさせ、後シテは怨みの女を徹して演じながら一転、法に救われて立ち直り、端倪すべからざる痛烈な幽霊を見せた。さすが。
馬場あき子と掌を握りあって、互いに「懐かしい」おもいを 分かちあいつつ、労られ労られ別れてきた。なんだかもう私が死人のように見えていたようで あった。昔を知った人がいなくなるばかりで。懐かしい、と。たしかに、そう。思い出せる限りの顔、顔が、能楽堂にいない。「ああ、来てくれてたのねえ」と いう馬場あき子の寂しさがわかった。
「鵺」は失礼してきた。能楽堂の外へ出ると、もう、一歩一歩をゆっくりゆっくり踏みしめて歩くしかなかった。思えば、朝、トーストの僅かなカケラを口に しただけでも夕方五時過ぎまで何一つ食べてなかった。空腹感は覚えたが食欲はまったく無く、咳き込まないよう飴を一粒と水を一口。それだけて帰ってきた。
* 卵の出汁巻きを少し食べ、特醸の三千盛を二三杯あおって機械の前へきたもののそのまま寝入っていた。
2015 11/1 168
* 起床8:15 血 圧132-60(60) 血糖値87 体重68.5kg
* 強い雨が降りついでいる。はじめての劇場を探して行かねばならない。冷え冷えしている。あと二時間のうちに小降りになってほしいものだ。
*上野駅入谷口の奥の「上野ストアハウス」で「遊戯空間」公演(構成・演出・美術 篠本賢一)の、近松原作「心中天網島」へ招かれ、妻と観てきた。最前列の真ん中に席をもらっていて視力の弱さを嘆かずに済んだ。ご招待は主役小春を演じた早野ゆかりさん。
なまなましく、みずみずしく、舞台の佳い「シンボル」として、不要無用に動いて熱演負けしないで、美しく強く濃く「存在」していた。そのおかげで、他の人物達は声高に、烈しく、動き回っても、舞台に小春という求心力が在りえた。
間をずらして時と場面を繋いだり説明を省いたり、篠本の構成演出美術の、簡明に力ある成功だった。いい舞台に出逢ったと、二人とも喜んで来た。
治兵衛クンの奇妙な科白訛りが、浪速言葉と思うとあまりにちぐはぐなのだが、それさえ舞台の魔法のように、滑稽そのものが神妙に真実だった。
妻は大阪育ち、わたしは京ことば。そんな自前に固執していたら、舞台に生きた妙機が味わえない。
贔屓の引き倒しでなく、進行に伴い徐々に存在感と動感を発揮しだした治兵衛クンの根気が、ものを言っていた。
原作をほぼまったく端折らず、「橋づくし」まで聴かせてくれた、嬉しい懐かしい入れ込みだった。
篠本は、あの懐かしい亡き観世栄夫さんの弟子だったとか、能にも親しんできたという。
ああ、ひょっとして観世夫人恵美子さんとも久しぶりに劇場で逢えたのかもしれないと、胸を騒がせた。
もとより、もっともっと工夫の仕様もあるのだろう、再演も期待したい。
* ひとこと早野さんにお礼も言って帰りたかったが、ま、成り行きで劇場の外へ出てしまったので、そのまま入谷を歩き、上野駅を迂回し、上野末広亭に立ち 止まったが夜席に間があり、すこし先の辻の「天壽づ」へ数年ぶりに入って、久々にうまい天麩羅を揚げてもらった。酒もビールもうまかった。
先日の精養軒の帰りは広小路からタクシーで池袋へ走ったが、今日は文明堂の前から都庁駅乗り換え練馬まで環状線に乗った。これが失敗で、揺れる地下鉄に 疲れ、練馬駅で両肩頸の激痛にへたばってしまった。死ぬときはこんなにキツイのかなと思った。立ち上がれず、人にも助けられてホームの休憩室で妻の心臓の 薬をわけてもらい、どれほどの時間か永休みして、かつがつ保谷駅へ帰れた。幸い、タクシーがすぐ来てくれ、家へ戻ったときには、ほぼ回復していた。昨日の 能「砧」 今日は能めく歌舞伎の新劇人による「心中天網島」。かなりの重さだったということ。こういうこと、独りで出ていても、軽度でも、ときどき有る。
2015 11/2 168
* 起床8:15 血 圧132-60(60) 血糖値87 体重68.5kg
2015 11/3 168
* 起床9:15 血 圧133-65(56) 血糖値87 体重68.8kg
2015 11/4 168
* 昨夜の前半に叫ぶほどの夢を見た。後半には、あとで思えば嬉しくてほくほくする夢を見ていた。覚めてからそう思えた。
2015 11/4 168
* 起床9:00 血 圧140-68(61) 血糖値89 体重68.4kg
2015 11/5 168
* 起床9:30 血 圧134-65(58) 血糖値89 体重67.7kg
2015 11/6 168
* 折良くというも癪だが、欠けて落ちた歯をもって、歯医者に行く。入れ歯を外していると、ほとんど上下の歯で噛めるところが無い。このままだと流動食以外食べられなくなるが。ま、何とかしてくれるだろう。
* 何とかしてくれたのだろう、何とか、ま、落ち着けてもらった。
帰路、フレンチの「リヨン」へ寄って半量のコースで大満足。サーモンの前菜がとろけるほどバカに美味く、ブイヤベースの海老一尾がまた美味かった。南ア フリカの赤ワインも一休の美味さで、なんとわたしよりも妻の方がうまそうによく飲んだ。メインの肉で満腹、妻は二きれほど黒いマゴへのお土産に。わたしは デザート十種から二品選んで、たっぷりのコーヒーに満たされた。妻はいつも紅茶。「リヨン」から江古田駅まではゆっくりゆっくり歩いて十分ほどの腹ごな し。あわてず急がず江古田から座れそうな電車を待って乗ってきた。席を譲ってくれる人が西武線には必ずといえるほど、いる。ありがたいこと。
歯医者へは、今度は十二月。
2015 11/6 168
* 歯医者に出かけた途中から凄いほど喉が渇いていた。「リオン」で水もたくさん飲んだ。何時間もたつのにまだ喉がひりひり乾いている。やれやれ。
明日明後日をやすんで、月曜はまた聖路加、火曜には「湖の本127」が出来てくる。一週間後にはやはり聖路加で胸のCT検査。発送作業を、あまり急ぐまいと思う。
2015 11/6 168
* 起床9:00 血 圧128-67(58) 血糖値97 体重67.2kg
2015 11/7 168
* なに疲れなのか、ぐたぐたに、しんどい。眼からの疲れなのだろう、全身疲労のぐあい。
2015 11/7 168
* 起床9:30 血 圧124-64(58) 血糖値88 体重67.7kg
* 夜中、手脚に異状を感じ、低血糖を疑い、起きて、血糖値54と確かめて甘味を摂った。ビールも一缶。その後の睡眠は穏常だった。今朝88。十分、まだ低かった。
2015 11/8 168
* 明日は、聖路加の感染症内科を受診する。手術直後このかた何の問題も見つかっていないが、安心を買いたく、欠かさず受診してきた。いつもより予約時刻おそく、三時。遅くなれば、すこし骨休めして帰り、明後日の新刊「湖の本」到着に備える。ガツガツと発送を急がない。
2015 11/8 168
* さ、入浴してゆっくりゲラを読み、九時から「刑事フォイル」を観る。
2015 11/8 168
* 起床7:45 血 圧139-68(59) 血糖値90 体重67.8kg
* 朝一番、黒いマゴの輸液十日分を獣医へ買いに行く。もう一年半、欠かしたことがない。黒いマゴももうわたしたち八十夫婦に並ぶか追い越したで あろう。ひたすらにわたしたちを親愛し信頼し、いささかの会話もできる。理解はすこぶる良い。毎晩妻の床にはいり、五時頃に一度外出を望み小一時間内には 戻ってきた、ぐっすり妻の横で寝入る。留守番を頼むと、わたしの仕事部屋へあがってソファで寝ている。かえると玄関へ出むかえる。今日はご近所でゴミ出し の日だからねというと、外出を我慢して待ってくれる。日当たり良好を愛して、日向があると静かに横になっている。けっしてツメも立てなくなったし、噛むこ ともない。噛むときは親愛と信頼をこめてやわらかにそっと噛む。
われら最愛の身内である。
* さ、夜来の雨もあがっている、聖路加へ。
2015 11/9 168
* 感染症内科での諸検査に欠点は無かったが、先日池袋駅でへたばった胸苦しさを報告すると即座に心電図、胸部レントゲン検査を言い渡された。幸い、問題は見出されなかったが、無症状の梗塞もあるから今後も注意するようにと。
* どう帰ろうか食べようかと築地を歩いている内、妻に恰好の服を見つけて買い、また少し歩いて鰻の「登三松」へ入り、飯抜きに蒲焼きを三串、美味い酒を 二合、病院でも読んでいた「生きたかりしに」選集初校を此処でもゆっくり読んできた。店を出た隣が、以前、通りすがりに妻に藍染めの服を買って帰った店 だった。銀座一丁目まで歩いて有楽町線にのり、幸い座って帰れた。ただし危うく小竹向原での乗り換えを忘れるところだった。小雨が来ていたが、保谷駅から うまくタクシーに乗れた。
2015 11/9 168
* 疲れを溜めないよう、今晩は、気分ゆっくりする。
2015 11/9 168
* 久保田さんの下さった本は、中世の文学版『源平盛衰記』の第七篇、頭注ほか、よく行き届いて
写植本であり至極読みやすい。
わたしの永く所蔵の本は史籍集覧版『参考源平盛衰記』で五十巻ほどある。異本の多いことは平家物語の大きな特徴で源平盛衰記事態が大変な異本の一種だ が、わたしの所持本は「参考」の題の示すとおり平家物語の数多異本の異なる記事・本文を関係各所に挿入のていで満載してあり、専門家には垂涎の参考書なの である。「観奕堂蔵」本であり、いまでは容易に手にも取れない、全編「木刻字」本になっている。誤記誤植のおそれも無くはないが、厖大な噂・風聞・推量と ともに平家物語の細部をクリティク抜きにかき集めてあるのだから、面白いことは限りない。一級の記事から憶測ものの三文記事まで平等に取り込んであるのだ から、噂大好きの清少納言もビックリの珍書。
ゆっくり気分で、たっぷり、そんな「参考源平盛衰記」を、熱心に楽しんでいた。
機械のスクリーンを観ているとたちまち眸が灼けてくるが、木活字本は眼にもやや軟らかくて、字も大きくて(挿入文は小さくなるが)読みやすい。程度の良い講釈を聴いているようで、しかも要点がよく押さえられているのは流石である。
2015 11/9 168
* 起床8:45 血 圧131-63(63) 血糖値101 体重67.5kg
2015 11/10 168
* 起床10:00 血 圧132-56(55) 血糖値102 体重67.6kg
* あけの五時頃になると、きまって黒いマゴが外へ出たがって啼く。ラスへだしてやると、小一時間もせぬうちテラスへ帰ってきて入れてと啼く。この二度起こされてのアトがきつい。寝込んでしまう。
ま、がまん、がまん。
* 今日の歌舞伎座は夜の部なので、出かけるまで発送の仕事をしてもよかったが、昨日奮励の疲れがしっかり遺っているので、「本日休日」ときめている。眠気がのこっている。
2015 11/11 168
* 十時半、帰る。「鮎や」の鮎甘露煮すこぶるワインに合って美味い。疲れぬける。
* 明日も、がつがつ慌てないで、残り「湖の本」を送り出す。遅くも明後日で終えているだろう。
* よく寝みたい。
2015 11/11 168
* 起床9:00 血 圧128-61(61) 血糖値95 体重67.5kg
* 昨日中断した「湖の本127」発送の仕事始める。
* 今日の作業は、単純に本を封筒に入れるだけで済まず、昨日の半分にも足らぬ分に時間を掛けた。夕食後、近くへ酒を買いに行き、鮎の甘露煮を賞味。気分良く、あと、一時間余り機械の前で居眠り。夜も、つづく作業へ。
京都の従妹から、本が届いたとメールが来ていた。花小金井からも。
2015 11/12 168
* 週末、しばらくぶりに、ふらりと街歩きに出てみたいが。
来週月曜午後は、冠動脈CT検査。その後は、月末まで、すこし気分的にもゆとりできるか。
2015 11/12 168
* 起床9:00 血 圧125-61(58) 血糖値86 体重67.5kg
2015 11/13 168
* 起床8:30 血 圧136-68(57) 血糖値78 体重67.7kg
2015 11/14 168
* 今日は一日の大半を小説新作のためにつかっていた。史料も参照していたので、もう眼ぢからはさんさざんに消耗し、痛みすら湧いている。もう機械を離れたい。十時半。階下で、「選集⑫」と「湖の本128のゲラを読むか、ボンヤリとテレビでも眺めてみるか。
2015 11/14 168
* 起床9:30 血 圧126-67(72) 血糖値94 体重68.7kg
* 寒さへ向かうほど機械起動に随分時間が掛かり、「待つ」ことを教えられる。眼をいたわって瞑目するか、手の届くところの詩や歌を読んでいる。今朝は、詩を読んでいた。
詩の鑑賞は、むずかしい。手に余り思いに余り、佇立しぼんやりする。書庫には戴いた詩集が何十冊もある。も少し身近においてしばしば手に触れたいが場所なく、数冊しか座右におけない。
幸い、古典和歌は十分楽しめる。古典は行くも楽しめる。漢詩も楽しめる。ぜいたくに楽しめる。流れる時間のアチコチに泡のように浮かぶ空白を、それらは美しく満たしてくれる。日本の現代詩は、そんなときわたしに向かい、いつも幾分手厳しい。
それでも「読む」。詩よりも詩人をわたしは愛しているのだと気付く。この気づきこそが「詩」なのかも知れぬと頷く。
2015 11/15 168
* 夜、入浴後に「刑事フォイル」を楽しんでから、機械へ来て、グノーの歌劇「フアウスト」を聴きながら、心身をやすめている。
明日は、午後、聖路加で胸部循環のCT検査を受けてくる。診察はないので、早めに解放されるだろうが、月曜なので帰りに美術館、というのはムリだろう。 食べ物の店も、三時過ぎではまとみな店ほど開いていまい。三笠会館のイタリアン、東京駅の沼津の鮓か、丸の内外のビアホールでイタリアンか。校正が出来て 明るい、気軽な店がいいならレバンテか。ところが食欲はあまり無いのだ、つい飲む方へ気が走る。
* さ、黒いマゴに輸液だ、もういちど「刑事フォイル」の一番新しい前後編を、観ながら。
2015 11/15 168
* 起床8:30 血 圧125-66(57) 血糖値81 体重68.1kg
* 聖路加へ、胸(冠状血管)のCT検査受けに。十一時に循環内科へ入り、投薬され点滴されてから放射線科へ行き、CTスキャン。結果による診察は十二月一日午後に。
* 歌舞伎座へ寄り、来年干支の愛らしいお猿を地下の売店村で買った。
* ゆらゆら歩いて、三笠会館中二階のイタリアンに寄り、「スペシャルメニュー」でキールロワイヤル二杯とイタリアビール一本を飲んだ。キールとデザート が美味かった。折角黒毛和牛の調理にいまいちの親切が不足と感じた。前菜の青菜や根菜も、野菜のスープも、苦手。酒を賞味しつつ、校正ゲラをしっかり、た くさん読んだ。
酔いは残っていたが、丸ノ内線でも西武線でも座れて、その間ずっと校正していた。校正しているとからだもシャンとしてくる。保谷駅からはいつものように車をつかった。六時ちょうど頃の帰宅だった。
2015 11/16 168
* 起床9:30 血 圧129-58(51) 血糖値95 体重67.6kg
2015 11/17 168
* 國學院大、東海学園大、中京大、お茶の水女子大、多摩美大、山梨県立文学館等から、また、元東大法学部長福田歓一夫人、もと「新潮」編集長、もと「世界」編集部の高本邦彦さん、俳人清沢冽太さん、歌人堀江玲子さんらの懇切な来信があった。
疲れが出て書写の視力無く、失礼する。視野が水に浮かんだように濡れて揺らめいている。機械からのギラギラをシャットアウトできれば眼疲れが減るだろう か。裸眼での校正だと、機械疲れより明るく運んでいるのだが、創作の仕事はみな機械ですすめざるを得ない。瞑目して視力を休ませていると、つい寝入ってし まう。
2015 11/17 168
* 起床9:30 血 圧127-60(59) 血糖値99 体重67.9kg
2015 11/18 168
* どうしてこう疲れが濃いのだろう。腕で胸を抱えて眼をとじると、すぐ昏々と寝入ってしまい、はっと機械の前で目を覚ます。今場所は相撲もまともに観ていない。
2015 11/18 168
* 起床8:10 血 圧138-63(60) 血糖値95 体重68.1kg
2015 11/19 168
* 疲労感に気崩れのまま、それでも佳い映画を二つ観た。
溝口健二監督の「祇園の姉妹」は山田五十鈴十八歳の爆発的なデビュー作で、穏和な祇園の藝妓である姉(梅村蓉子)の生き方に焦れもし叱咤もしながら回転 の良いアタマと弁巧とで精彩を放ちながら爆弾のように生きる妹を演じ尽くして、じつに見応え、聴き応えがあった。なにと言おうと場所は今日の祇園花街、使 われる言葉は女も男も完璧でケチのつけようのない生の京ことば、祇園ことばで、聴いているだけで懐かしさにうっとりしてしまう。主役は京ことばかとすら思 えてくるほど、五十鈴のもの言いの怖いほどの出し入れ駆け引きに、感嘆また感嘆。徹した彼女らの側からの勝手で胴欲な「男はん」らを否定否認の泣きながら の憤怒で終わる幕切れは痛切で、たいした説得力の画面だった。幼來熟知の祇園町でもあって、懐かしさにまみれながら、フェーッと声も出そうな、事実声の出 た凄みの名作だった。
もう一つは。
谷崎潤一郎原作の「鍵」を、先々代の鴈治郎、京マチ子、仲代達也、叶順子で撮った、これまた、凄みの作で、俳優も映像も展開も万全の上に、谷崎という作 家の堅剛な人間批評のおそろしいまでの追究に、あらためて胸ぐらをつかまれ通しだった。監督の大樽の底を突き抜いたような解釈にもわたしは賛同している。
いい映画は、無尽蔵にある。いい小説は、そうは行かない。
2015 11/19 168
* 起床10:10 血 圧106-53(60) 血糖値103 体重67.9kg
* のどもとの灼熱感に悩みながら目覚めた。なんだか生物だか医学だかのテストをされていて、ちっとも予習してなかったので問い自体も分からない有様に悩んでいた。
枕元にはいつも飲み物を用意してあり、冷えた茶をのどの奥へ送って持ち直した。
テレビはISのパリテロ一辺倒、コメンテーターの感触はみな同様で、予備知識のラチを出ない。便乗して、むしろ政権官憲の国民の自由制限ないし搾取へと、動き出したげなのが不快。
2015 11/20 168
* 眼が見えないと仕方なく音楽を聴く。聴き始めると、仕方なくどころではない惹きこまれて次から次へ聴く。グノーの「ファウスト」をはじめに、マリアカ ラスを聴き、宮沢明子のピアノ、菅野茉莉子のピアノ、グレングールドのピアノ。体のすみずみへ音の魅力が栄養のようにしみ通る。
さ、もう機械から離れよう。黒いマゴの輸液をして、TBS十一時ニュース・トゥデイ膳場貴子さんの顔を見、声を聞いてから、やすもうと思う。
2015 11/20 168
* 起床9:20 血 圧131-80(54) 血糖値102 体重67.9kg
2015 11/21 168
* 二種類の初校と再校と、そして新しい小説の進行と。しかし視力の混雑と低下のたびに休息せねばならない。
テレビは二メートル半ほどのせきから見てきたが、一メートル以内へ席をすすめねば成らなくなっている。
目疲れが原因か、全身の体調違和があってか、活気がない。宅急便へゲラなど送り出しに二分とかからないところへ自転車で走るか、黒いマゴの輸液を獣医院へ買いに行くか、郵便局へ、以外にまったく歩いて外出していないし、その気にもならない。
目さえ利いていれば仕事はいくらでもしたい。いま書いている小説は、二つとも、いや三つとも、それぞれにわたしには面白く運んでいるのだが、メいっぱいうちこんでられなくて、とかく時間がコマギレになってしまうのがつらい。
すこしやすめ、ピッチを落とせと天命なのかもしれず、ま、やすみやすみ、むしろアタマの方を使っていたい。家で妻と以外に、人と顔を見合って話とあうということが、ゼロに近い。酒もつい一人酒になっている。
* 仮題だが、かりに「清水坂」といっておく、と、「或る寓話」と、を今日も読み返しつつ少し書いた。前者もすすんでいるが、もう一山は少なくも越えねば ならない、後者はほぼ仕上がっていて長く、どう公表するかに迷っている。新しい小説を書き継ぎつつ、資料も整理しながら、湖の本も選集も出し続けねば。な んだか時間と競走しているようで。
十時半。もう機械の前は限界。
2015 11/21 168
* 起床7:20 血 圧120-67(54) 血糖値102 体重69.0kg
2015 11/22 168
* 食べにくい。美味くても、出された量が食べられない。それでいて、口に合うかるいものを間食している。纏めて食べると腹が張ってつらくなる。もどしそ うになる。アルコールへの反応が早くなっていて、家では少量のワインや缶ビールの大祭一つでも酔いが早くくる。妻は、安定剤のリーゼ(二日に一錠宛て、就 寝前)をよしたらと言う。一理あり、とうぶん、少し眠りにくくてもそうしようと思う。種類はリーゼの効き目を強めるのである。ゆうべは用いなかった。あけ がたの目覚めのあと、眠れなくて、結局すこし早く床を離れた。
* 夜前の夢に朝日子が帰ってきて、寝泊まりもし、親子みな嬉々としてしんから仲良くはしゃいだ。一抹の不自然もなく嬉しかった。
朝日子が夢にわたしたちへ帰ってきたのか、わたしたちが夢に朝日子を呼び迎えたのか。
名前を捨てて改名しているという朝日子のこのごろを、全く、なに一つ、わたしは知らない。
2015 11/22 168
* 起床9:00 血 圧141-62(58) 血糖値107 体重67.4kg
* 寝付けなくて、四時まで。三時頃からは、床の中で二作の校正で眠れぬ時を過ごした。気分は平穏で、健康な感触だった。三時半と四時ごろにきまって新聞配達 などのバイクが通り過ぎる。黒いマゴはきまってそれに誘われて「外へ出して」と啼く。妻がマゴを出してやったのは気付かずに寝入っていたらしい。安定剤の 「リーゼ」をほぼ二日に一度就寝前に服していたが、妻に注意されて中止し、薬効をからだから抜いた。睡眠量は足りないが、頭の「シャンと感」は戻ってい る。
ま、問題は、視力不足と視野の水っぽい揺乱。右眼だけの視野は真っ白く、縦線は蛇行して見える。左眼視野は薄く濁った黄色に近い、が、縦線の歪みはほと んど無い。こういうことを訴えても眼科は、視力回復してますね、で、済んでしまう。例のあの、レンズを取っ替え引っ替えの検査の時は、たしかに1.0か 1.2まで読めるが、検査が済めば、その視力はまるで効かずに、水の中を歩いているように視野が濡れて揺れてしまう。
せめて裸眼での校正や読みが出来続けるといいが、この数日は読んでいる文字が、潰れて見えることがあり、そんな時は仕事を投げ出すしかなくなる。
2015 11/23 168
* おもに小説「清水坂(仮題)」にとりくみ、目がダメになると横になるかテレビを観るともなく眺めていた。小津安二郎の「東京物語」にまた泣かされた。 柳智衆、原節子、東山千栄子、山村聡、三宅邦子、杉村春子、香川京子、大阪志郎、東野英治郎等々、さながら郷愁にもにた懐かしい人達。美しいモノクローム の映像。
2015 11/23 168
* 視野は濡れて崩れているけれど、も少し、「ある寓話」を読みながら前へ進めたいが。今日は「清水坂」で、と。
2015 11/23 168
* 起床9:45 血 圧129-68(59) 血糖値88 体重67.7kg
2015 11/24 168
* 今日の眼の酷使はまたは不調は限度へ来ていて、今も、キイの字はほぼ見えないままで書いている。
「清水坂」の先へ展望がひらけ、そして、晩には、必要も感じて急に思い立ち、わが三十二歳時の「創作ノート」を手書きの大学ノートから写し始めた、が、 大変も大変、たった数行を読み且つ書き写すのに、一つには視力無くて手書きの字が読めない上に、機械上の画面もほぼ見えなくて、宛て推量で見えないキーを 叩くのだから、ま、時間がかかって絶望的になった。たまたま用があって部屋へきた妻が、見かねて横でノートを読み上げてくれ、辛うじてわたしはキイを打っ ていった。正しい字が出ているかどうかも妻が背後から確かめ確かめしてくれて、やっと一頁半ほどを機械に書き写した。優に小一時間はかかっていたが、独り で読んで書き読んで書きしていたら、小一時間では頁の三分の一も進まなかったろう。心がけているのは、割愛しても、大学ノートのビッシリ書きで二十数頁あ る。しかし、是が非でもその作業を活かしたいのである。「湖の本129」は一月半ばにもと予定していたが、かなり遅れるかもしれない。作者でもあり、しか し編集者でもあるわたしは、遅れても、その方が良いと判断している。機械用に距離を測ってつくった眼鏡がまるで役立たないとは、どういうことなのか。怪談 である。青山までも、ツクリ慣れた「保谷眼鏡」まで出かけなければ仕方ないのか、遠いのでなあ。
* 九時だが、もうとても何も出来ない。少なくも機械からは立ち去らねば。
2015 11/24 168
* 起床9:00 血 圧126-64(70) 血糖値92 体重67.9kg
* 午前、眼の比較的働く間にと、妻にノートを読んでもらって、昨日の分より多くノートの電子化をはかった。数十年前の認識であるが、変更を必要とせず書けていて、愚管抄に没頭した昔が今のように甦る。
こういう熱のある仕事が、当然のように作家生活にはいって直ぐはじまる、「秦 恒平の中世論」と呼ばれたような中世観、「花と風」「女文化の終焉」「趣向と自然」「中世と中世人」などの著書へ繋がっていった。わたしの作家生活は、 「慈子」の徒然草をも経過しつつ、なにより平家物語、平曲、梁塵秘抄、そして愚管抄等に最初の太い根を得ていたのだった。
2015 11/25 168
* 起床8:45 血 圧139-65(54) 血糖値104 体重67.8kg
2015 11/26 168
* 起床9:30 血 圧105-59(70) 血糖値108 体重67.1kg
2015 11/27 168
* 書きたいことがあっても視力がすり切れている。徹底的に視力に応じて仕事以外の書き物は抑制するしかない。
赤間うに関のうにたべ酒たべて浅き夢見てあご撫でてゐる
2015 11/27 168
* 起床8:00 血 圧116-57(63) 血糖値104 体重68.3kg
2015 11/28 168
* 執筆中新作「ある寓話(仮題)」 「清水坂(仮題)」 仕上げないし修整中の未発表旧作「資時出家」「初稿・雲居寺跡(中断 付・創作ノート)」「チャイムが鳴って更級日記」「秋成八景 (序の景)」「青い雛人形(中断 付・創作ノート)」その他十指余 選集校正中、十二巻「生きたかりしに 付・生母短歌抄」 十三巻「迷走 課長たちの大 春闘」「お父さん、繪を描いてください」 選集原稿編輯中第十四巻。
このホームペイジ「闇に言い置く 私語の刻」のほかに、いま、猶予無く進行を迫られている仕事が最低で上に挙げただけは、在る。投げ出すことは出来な い。少なくもわたし自身には無意味ではない、仕上げて即座に人類や地球と最期をともにしようとも、である。目が潰れるが先か、日本の政治に潰されるが先 か、命果てるのが先か、分からないが。願わくは明後日の胸部・循環CTの結果診察が無事であって欲しい。かすかに気にはなっているので。
十二月九日、翌日には婚約して五十八年めが来る日に、「選集」切り目の第十巻『親指のマリア シドッチ神父と新井白石』が出来てくる。二十一日には満八十歳になる。それまでには自愛の長編作を、僅かな数ではあるが、各界に向け「記念」に送り出せるだろう。
ことしは、おかげで『生きたかりしに』を送り出せ、不幸の末子もようやく亡き生みの母に出会えた。大勢の方々によろこんでも戴けた。久しぶりに「マウド ガリヤーヤナの旅」を読み返していたときも、その他の色んな作ででも、何度も何度もあの「母」と対話してきたことを否む気はない。母からにげつづけたわた しだが、母を告発したりは、しなかった。
へたばらずに、いい師走、いい新年をともども迎えたいと、行く霜月のうちにも祈願している。
2015 11/28 168
* 起床9:30 血 圧133-60(58) 血糖値96 体重67.5kg
2015 11/29 168
* 起床8:00 血 圧129-65(57) 血糖値97 体重67.6kg
2015 11/30 168
* 郵便局の用のあとすこし自転車で走ってみたいと思いながら、ダル重い気分で結局帰ってしまった。
あすは、二時半から循環の診察、循環は概して待ち時間永くかかる。校正ゲラをたっぷり以て出る。昼食をさきに銀座でしてから聖路加へとも思っている。気を変え変えながら楽しい気分で外出の機会を生かしたい。
十時。もう、やすむ。
2015 11/30 168
* 起床8:30 血 圧131-62(61) 血糖値96 体重66.8kg
* 胃全摘いらい三年十ヶ月、今朝、手術直後の66キロ台体重へ戻った。瞬間的ではあろうけれど主観的には66キロ台でいたいと思っている。今朝の諸データはまず理想的。
そして今日午後には、胸部循環CT検査後の診察指示を受けに行く。午を銀座でと思っていたが、診察前の食事は避けようと、予定変更。
2015 12/1 169
* 聖路加では永く待たされはしなかったが、CTの結果は、ひどくワルイというではないが血管の細まっている箇所が少なくも一箇所有り、(妻が何度も実施 されてきた)ステント(針金ようのもの)を入れて拡げましょう、入院して下さいと。今月はとてもその気分でもなく時間もないので、正月八日にと一応打ち合 わせて、なんだか何種類もの薬を処方されてきた。びょういんというところは、病気をなおしてもらう所でもあり、しかし病気にして貰ってくる所でもあるとい うわたしの日頃の思いどおりで、いささかウンザリしている。しかし、このまえ芝居の帰り、池袋駅で人にも心配かけたほど座り込んでしまい、幸い妻のニトロ を三錠も含んで立ち直ったというコトもあるにはあった。もう数ヶ月、ほんのほんの時々だが、ふうっと左上胸部に手を置かれたような圧を感じてはいて、それ を口にしての循環での初診になり、諸検査もしてきての今日の診断では、ニゲルことも出来まいか。一度はパスして様子をみるか、たとえ一泊でも入院は必要な 手術であり、イヤなことに、妻は二つの病院で二度手技の失敗に遭い、きつい腕の痛みや、仰天するほどの真紫の片脚になったりしている。腕のミスでは国立埼 玉病院まで転院入院して、やっと痛みが抜けたが、遠くて、毎日の見舞いもたいへんだった。妻に見舞わせるようなことになってもイヤだが、ま、今年のうちは 忘れていようと思う。
* 帰りにまた三笠会館で今度こそぱスタをと思いながら、出て来たのはパスタには違いないが猫の耳のような不味いもので閉口した。キールロワイヤルだけが美味かった。
往きも帰りも、三笠会館でもしっかり校正をしてきた。
2015 12/1 169
* とにかくも無心に創作や本作りに溶け込みにくい事情に縛られかけていて、鬱陶しい。いったい何の何処までわたしは「間に合う」のだろう。「間に合い」 たいことがあまりに多くて、ほんま、ショウのない落ち着かない爺になってしまったものだ。だが、このまま歩けるだけ歩いて歩いて行きたい。
* 十時過ぎらしい。もう機械を閉めよう。気弱にならないように、と。「ドクターX」でも観て休息し「デーモン」に元気を貰おう。明日は明日。明日は明日。
* わたしの秦へ貰われていった四歳、五歳前後の写真をみると、頬っぺたもフックラとし、上の、生母の顔や眼ににている。かすかに斜視になっているのだろ うか。わたしも小さいとき秦の大人達にかすかな斜視気味を随分心配された記憶がある。年が行くにつれその気味は消えていったらしいが。
2015 12/1 169
* 起床7:00 血 圧126-63(64) 血糖値105 体重66.9kg
* 副作用満載の処方薬四種類、服する気になれない。血管の細まりが75%では危険とされている。わたしの指摘された血管は25%以下の水準1。少なくも来年 四月までは、一回パスしたい気持ち。午前中に地元病院の循環、妻の主治医に意見を聴きに行こうと思っている。
* 秦さんにとって「仕事」は生きの命。その命を大切に守り続けながら、治療も受けてというのは、知己の言である。
お体が大切です。発送作業も、パソコンに向かうお仕事も、頑張り過ぎていないかと案じています。適度な 休息と運動、栄養を心がけてとって下さい。最善の道を選ばれますことを願っていますとは有り難い忠告である、が、いま立ち止まって休んでしまったら、もう 立ち上がれなくなるだろう。
* 地元病院の医師の判断では、今の今差し迫った病状ではないが、軽度といえ血管の狭窄はCT検査は指摘しており、さらに局所の検査をして、場合に依れば ステントで拡げておくのは望ましい処置と想われる。今日の明日にもという心配はなく、新年の早い目にというなら検査と手技は受けておいていいのでしと。予 測した通りの助言で理解も届いた。聖路加での処置を落ち着いて受けようと思う。
2015 12/2 169
* 起床8:00 血 圧136-63(58) 血糖値97 体重67.4kg
2015 12/3 169
* 起床7:00 血 圧126-71(66) 血糖値94 体重67.9kg
2015 12/4 169
* 印刷所から、例年のカレンダーをはやばや頂戴、来年は小林古径画の特輯。
奈良の上村敦之さんからは、この歳末は、敦之さんの花鳥画に、書家たちが、一つには漢詩を、一つには和歌を書いて、大きなカレンダー二册をすでに戴いて いる。相撲茶屋からも、大関に照之富士の加わったカレンダーを貰っている。ひしひしと師走の風情。年があけたら、入院。やれやれ。
2015 12/4 169
* 選集⑩の出来に、あと四日間のゆとり、ただし玄関に積まれた本を、隣の二階へ上げておかないと動きがとれなくなる。本は重い。その重い包みを持って階 段を数往復しなければ。もう力任せに重量を持ち運ぶことを調整しないと、血管狭窄などはひどくなる一方だ。妻はすでに同じ手術を五回繰り返して、二回手技 のミスに遭っている。わたしは初回の体験になる。しかし、すべきはしておかねばならぬ。階段の六往復なら十往復にして一度の荷重を減らすのがいいか。わた しは従来、一回荷重をめいっぱい多くし、上り下りの回数を少なくしてきた。腕力に自信があったから。しかし腰の痛みはえげつない。骨折しては困るからな あ。
2015 12/4 169
* 起床8:30 血 圧153-68(53) 血糖値90 体重67.9kg
2015 12/5 169
* 西棟での階下から二階へ本の運び上げ、強烈な腰の痛みをこらえ、妻にも手伝って貰って、予定通り終えた。ほかにも片付け仕事ができた。
東の住まいの方でも寝室で模様替えをし、押し入れに余裕をつくって、少々だが、片づいた。ほっこりと疲れた。
2015 12/5 169
* 起床7:00 血 圧130-61(57) 血糖値82 体重67.1kg
* 両脚の攣った痛みのまま起きて、録画してあった大河ドラマ「平清盛」第一回を観ながらひとり朝食。やはり佳かった。物語の出のよさだけでなく、写真と して見応えがあり、白河、鳥羽、待賢門院、正盛、忠盛、祇園女御、清盛母などなど、そして清盛幼年の平太も、実在感を見せていた。平氏というまだ下層の、 しかし力も持っていた侍風情がよく表現されていて、教わる心地がした。
* 寒い、今朝は。
* やっと三歳の愛らしいやす香像と、死の前年十九のやす香の写真とを機械の左右に向き合って眺めている。
新しい本が出来てくるまでに、今日をふくめて三日。この辺が、湖の本でも選集でもいちばん緊張もしソワソワもする。楽しみというより、どうか無事でと待つ気持ち。第十巻は大冊で、持ち運びも重い。
2015 12/6 169
* ホームページ以外は一太郎を使ってものを書いているが、機械にドンなわたしは、一太郎画面のマッシロに両眼を灼かれてギラギラと視野が眩しく燃えてく る。どうかしたら、ホームページと同じような視野にすこしは優しい色調にならないかと願うのだが、調節の方法が分からない。ホームページの文字のバックは 浅い緑色に文字黒、それも最近はサイズを上げている。それと同じに出来れば入稿作の読みが楽になるだろうに。よまずに入稿は出来ない、選集一巻分は原稿用 紙で千枚にかなり大きく剰るのである。
堪え兼ねて、読みかけの小説をホームページの中の予備頁に貼り付け直して読むことを思い付いたが、眼には格別優しくなってくれた。一太郎で画面の色調整がどうかして出来るといいが。マニュアルを読むなどの眼の苦労が堪えがたいのである。
試みて、出来そうで居ながら、実際には成功しない。
* で、一太郎は諦めて、積極的にホームページ画面を利用してみようと思う。可能のようである。
* 今日もよく頑張ったと思う。十時半。機械からは離れよう。階下で、明るい電灯を用意すれば裸眼で校正は出来る。本も読みたい。
2015 12/6 169
* 起床8:30 血 圧135-65(51) 血糖値80 体重67.4kg
2015 12/7 169
* 名酒「越乃寒梅」の一本目を、山葵漬、鮭のほぐし、烏賊素麺、黒豆などで、しみじみと五合ちかくも飲んだ。新年の手術の日まで、バイアスピリンという お酒はいけませんよという薬を毎日用いているのだが、ま、一合までならと医者は言い、なら二合までは良かろうと勝手にきめているが、今日は「英気」を養う という勝手な都合を付け、楽しんでいる。
2015 12/7 169
* 起床10:30 血 圧154-72(65) 血糖値97 体重66.9kg
* ゆっくり朝寝した。血圧が少し高い。
* 終日、いろんな仕事、そして酒。
* 明日からの選集送り出しに備え、からだ休めておきたい。
2015 12/8 169
* 起床8:00 血 圧135-78(62) 血糖値99 体重67.3kg
* 九時前、「秦 恒平選集 第十巻 親指のマリア シドッチ神父と新井白石」が出来てきた。明日の、われわれ自祝の日と、二十一日の傘寿とを、自愛の長編(京都新聞朝刊連載)で記念することが出来た。シドッチと白石と並んで、いやそれ以上にもわたしは「長助とはる」という兄妹に大事に心こめて書いた。描いた。
* もう、送り出しの用意をすすめている。荷造りしておけば郵便本局から集荷に来てくれる。それが譬えよう無く有り難い。たとえ十分足らずで行けるにせよ、急な坂を重い重い本を何度も近くの局へ運んだのだ八巻までは。あれは辛かった。心臓にもこたえたと思う。
急ぐという用ではない、明日の自祝も、明後日の歯医者通いもはさんではさんで、週明け十四、五日に完了していれば、八十歳の誕生日が来る。ただ無事を願うのみ。
2015 12/9 169
* 起床8:00 血 圧138-67(59) 血糖値88 体重67.2kg
2015 12/10 169
* 起床7:00 血 圧158-77(59) 血糖値84 体重67.5kg
* 朝まで、よく降った。午まえ、冴えわたる。 午過ぎ、一回目の集荷があった。もう一回はまだ用意半ば。明日に出来るか、明後日になるか。
新年の入院、朝八時半とは、ラッシュアワーの遠距離でもあってあんまりなので、十一時に替えてもらった。用意さえできていればわたし一人で行けるが、杖 と荷物と電車満員では危険が過ぎる。気になっていたのを、妻が折衝してくれた。
2015 12/11 169
* 歯医者の帰り、ひさびさに「中華家族」で、マオタイをダヴル二杯、美味く。帰ってすら関うにの絶品を嘗めながら無垢の越乃寒梅を。あと、機械の前で気持ちよくうたた寝していた、なんともう十時近い。
* 全くその売り口上もなにも聞かず、江古田の眼鏡屋で、機械に向かうとギラギラと眼が灼けると言うと眼鏡の上から被せる眼鏡を出してきた。一万二千円だ と言う、が、かけた眼鏡の上へピタっと重なるのが気に入り買ってきた。さ、何らかの功徳があるかどうか、功徳あって欲しいモノだ。
2015 12/11 169
* 選集第十二巻「生きたかりしに」の本文を、読み終えた。「あとがき」に少し手を入れた。
* 日付が変わってしまった。熟睡したい。
2015 12/11 169
* 起床9:30 血 圧145-62(66) 血糖値90 体重67.9kg
* 第十巻の送り出しを完了した。妻が半ば手伝ってくれた。これで今年の外向きの仕事はほぼ終えた。進行中の校正往来が、随時に済されて行き、二十一日に八十歳になり、二十五日に松本紀保らの座敷舞台、観客は二十五人という芝居を楽しむ。
年が明ければ、とにもかくにも八日に入院し、検査手技・手術を受けて経過がよければ翌日には退院する。とにかくも細い細い血管へ異物を入れて行くのであ るから、手技ミスも起きる。妻は、これまでに二度も痛い目に遭っているので安心安心とも言ってられないが、問題ないモノと楽観している。
歳末、すこし、気楽に過ごしたいものだ。
* 昨日江古田のナガノ眼鏡で、なにものとも確かめもせず、眼鏡の上から掛ける補助的な眼鏡を高く出して買って帰った、が、昨夜の仕事、今日の仕事にこの 補助、幾らかは役立っているような感触がある。機械やテレビ画面の途方もないギラギラの白灼が和らげられて、字が見えている。視野もたんに眼鏡だけだと 陰って霞むのに、補助を二重にかけると、画面を見ていられる時間が長くなっていると感じる。目覚ましいまでの改善とは行かないが、すこうし眼がラクなのか も。
2015 12/12 169
* 起床8:00 血 圧143-67(66) 血糖値94 体重67.4kg
2015 12/13 169
* 体調はとても安定していると思い切れない。烈しいほどの胸焼けに夜中も目が覚め、昼間も襲われる。
* 仕事だけはしっかり続けている、落ち着いて落ち着いてと自身に言い聞かせながら。 2015 12/13 169
* 十二月十四日 月 討入
* 起床8:30 血 圧136-62(52) 血糖値90 体重68.6kg
2015 12/14 169
* ぐったり疲れている。眼も疲れている。
そんな中で、バグワンの「一休」に聴いて聴いて、落ち着いている。心底、傾倒できる。また少しずつバグワンの声をここへ写したい。
2015 12/14 169
* 起床9:30 血 圧132-66(64) 血糖値85 体重67.9kg
2015 12/15 169
* 起床8:30 血 圧143-68(52) 血糖値97 体重68.0kg
2015 12/16 169
* 起床8:30 血 圧138-75(57) 血糖値93 体重68.6kg
* 散髪
2015 12/17 169
* 起床8:30 血 圧163-75(55) 血糖値89 体重67.7kg
* 血圧高め。
2015 12/18 169
* 一月の、きわどく手術で日を替えて貰った初春大歌舞伎の座席二枚、届いた。入院を無事に乗り切って、「二条城の清正」を楽しみに観たい。
2015 12/18 169
* 選集第十二巻「生きたかりしに」は全部揃えて責了用意が出来た。わたしの余命ははかりしれない。出来るだけを、着々と進めて行くだけ。
2015 12/18 169
* 起床9:30 血 圧139-65(58) 血糖値91 体重67.7kg
* しんしんと寒い。
2015 12/19 169
* 起床10:30 血 圧129-63(58) 血糖値83 体重68.0kg
2015 12/20 169
* 湖の本128のあとがきを今、電送した。いま、それを此処にひらくのは先走っているけれど、日付の意味も私なりに重いので述懐・私語の意味で転写しておく。
☆ 私語の刻 湖の本128
今巻の主な編輯意図や経緯については、巻頭に十分述べておいた。後段には気儘に或る一年の「京都散策」を添えた。四方八方から大もての「京都」のこと、なにを加え得てもいまいが、秦にこんな「京都」がと思って下されば有り難い。
このあとがきを、実を言うと平成二十七年(去年)の師走に書いている。明日二十一日には、傘壽、満八十歳の誕生日を迎える。
明けての春四月には、妻も傘壽を迎える。つつがなく互いに達者に暮らしたい。
傘かりて老いの余りを相合ひにゆきゆく年の瀬は冴えわたる
しんしんとさびしきときはなにをおもふおもひもえざるいのちなりけり
幸い「秦 恒平選集」も、この師走半ばに、第十巻、長編『親指のマリア=シドッチ神父と新井白石』を無事出版できたし、「秦 恒平・湖の本」も、此の今回本が第一二八巻、年明けて六月桜桃忌までには、第百三十巻まで用意の編輯も出来ていて、じつに「創刊・満三十年」を迎える。
同じ一人の著者の創作とエッセイとを、騒壇余人、著者自身の手一つで、順調に「三十年、百三十巻」もを、趣味や道楽でなく国内外の読者の方々、各界、各 大学高校研究施設等へ送り続けられた、かような「文学・出版活動」が近代以降の日本国内で達成された前例をわたしは知らない。体力と気力との続く限りは 「書き」つづけ、「出版」しつづける気でいる。
胃癌と診断されて胃の全部と胆嚢を手術で喪って、満四年がちかい。手術後にも、癌の転移がなお認められ、一年の抗癌剤服用に堪えた。その後さいわい癌の 再発は認められていないが、眼も歯もひどくなり、食はすすまず、聖路加病院だけで腫瘍内科、感染症内科、内分泌内科、眼科、泌尿器科、そして今度は循環器 科での検査のために新年早々に四度目の入院が待ち受けている。この四年、一度も京都へ帰れず、今年(昨年)二月の京都府文化功労賞の受賞式にも欠席した。 ほんの小旅行すら一度も出来なかった。いつも全身疲れていてしんどいのである。
しかし、文学・文藝の、がオーバーなら「書いて」「本にする」仕事は、むしろ壮年期にもまして渋滞も停頓もなく、信じられないほど多彩に多忙に元気いっ ぱいに次から次へ積み重ねて、送り出している。それで、わたしはいいのである、どんなに疲れてしんどかろうとも元気に満ちている。
次の「湖の本」も、また一癖有る珍しい小説の出版になるはずだし、創刊三十年を記念の作には、ごく恣まな長編の「珍」新作を提出できようかと頑張っています。ムチャクチャ叱られそうだけれど、ガマンして下さい。 秦 恒平
* 清流社で「京都、上げたり下げたり」を美しく製作して下さった佐藤宏子さんから、ふぐをはじめ故郷山陰の一夜干しをどっさり八十のお祝いに頂戴した。
大阪の河野能子さんに戴いた亀屋良永の大の好物「お池煎餅」を口にふくみながら、雄町米で吟醸した美味いお酒を戴いている。
* 散歩にと思うが、冷えすぎている。郵便局へ投函に走った、ハンドルをつかむ手先が凍えるようだった。
2015 12/20 169
* 起床7:20 血 圧144-72(54) 血糖値83 体重68.2kg
* ひと日ひと日 日長になり行く日に生(あ)れき
いとも夜長の夜に逝くらむよ 冬至傘壽 自祝
* 昨夜建日子、猫の「うな」とともにワインを携えて来る。乾杯。日本テレビでの建日子作オムニバス風の夜ドラマを観た、が、……。
昼間、すこしずつだが映画「ロード・オブ・ザ・リング 指輪物語」の真ん中編を楽しんでいた。すばらしい映像と想像力とに感嘆また感嘆。原作者から放射 されてくる強烈な動機とオーラとが美しく伝わってくる。これぞ創作、これぞ藝術品。建日子には、顔を洗って初心に立ち帰り出直すほど真摯な創作者精神が望 まれる。いまや建日子こそ「日の出づる人」として断乎起たねば、起ち直さねば、と、父は願っている、しんどいことだろうが。
昨日は、よほどお酒を飲んだ、といっても一日で三合ほど、たいしたことはない。むろんからだにも響かなかった、仕事もした。眼を遣わずに済む仕事はわたしにはあり得ない、そこが今は泣きどころだが、あきらめて腹を括っている。
2015 12/21 169
* 起床9:20 血 圧137-70(58) 血糖値86 体重67.8kg
2015 12/22 169
* 起床9:00 血 圧144-65(56) 血糖値91 体重68.1kg
* 歳末最後の故紙回収に大わらわで荷に括った故紙を道路へ運び出した。毎度のこと沢山になるが、荷造りは妻が、運び出すのはわたしが、する。選集の校了 まえのゲラなど、そのまま読めるので惜しむ気もあるが、さて積んでおくと床が抜けそうに重く溜まる。湖の本の責了紙ももはや保存しても仕方在るまいと目を つむって故紙として提供することに。これが隣の棟に山のように残っている。処分すれば、すこしでも床面積が回復する。
2015 12/23 169
* クリスマスとは縁無く暮らしてきた。明日のイヴ、大賑やかなのだろう、街へ冷やかし半分見物に出るなら、どこかなあ。もっとも明後日には病院に用事が あり、そのあと、街なかでちょっと珍しい「お座敷で」「客席は二十五」というの芝居を妻と観る。そのあともう六日も今年はある。のーんびりしたい。
2015 12/23 169
* 起床8:45 血 圧140-69(59) 血糖値90 体重67.8kg
2015 12/24 169
* 起床9:00 血 圧153-75(59) 血糖値90 体重67.6kg
2015 12/25 169
* 選集⑩の製作費を支払い、一路聖路加病院へ向かって一月の入院手続きを践み、内分泌科で用事を済ませてから、タワー一階で濃厚なシチュウをベルギーと イタリアの味なビールで遅い昼食にした。四時前、昭和二十六年に建った二本家屋「鶏由宇」の二階へ上がり、座敷を舞台にした「みそじん」公演『ドアを開け ればいつも』を、隣室から観てきた。岩瀬晶子、大石ともこ、松本紀保、吉田芽吹の四人「姉妹」の芝居で、じつに四人とも上手く、成りゆきに感じ入り涙もあ ふれた一時間半、歳末をしっかり定めてくれた逸品の劇であった。すでに亡い母、たまたま留守にしている父、そして明日は母のための法事に長女、三女、四女 がそれぞれの暮らしから父と次女との昔ながらの家へ参集、いかにも遠慮のない姉妹らの会話劇が、座敷の舞台を巧みな出し入れでまことにそつなく不自然なく 展開して行くのが「劇的」でもあって、ふうっと胸を絞られもした。おみごとな好演、たしかな舞台の進行で、「藝術」の域に達していた、敬服した。おめあて で出かけた松本紀保のさすがの存在感と自然な科白に十分満足した。
とてもとても商業演劇ではない、なにしろ観客は二十五人しか入れなくて、木戸銭も気の毒なほど抑えてあって、いささか恐縮した。
佳い舞台に出会えて、ほんとうに良かった。
* 六時前の築地から銀座へ歩いて、わたしは二十一日のかわりに妻とご馳走を大いに楽しんでかえりたかったのだが、どこもクリスマス景気、二人とも草臥れ て銀座一丁目から一路保谷行きで帰ってきた。保谷で、近くの洋食屋へ寄ったが、妻は美味しいと言い、わたしは口に余り合わずに、駅でショートケーキだけ 買ってタクシーで帰宅。往きと帰りの電車で、「湖の本」128を責了の直前まで読み込んできたのは、収穫。
2015 12/25 169
* 十一時になる。黒いマゴに輸液してやり、ゆっくりやすもう、残る歳末にはさしたる用もないく、気が向けば独りで街へも出てみよう、入ってみたい店もいくちも見つけてきた。
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* 起床8:30 血 圧138-62(54) 血糖値92 体重67.6kg
2015 12/26 169
* 起床9:30 血 圧136-63(63) 血糖値104 体重67.4kg
* 冬休みという懐かしい言葉を思い出している。
2015 12/27 169
* 起床9:00 血 圧139-63(59) 血糖値94 体重67.7kg
2015 12/28 169
* 就寝前に、「平宗盛」の生涯を、みっちり、詳細に復習した。疲れて、眼、もうまったく見えず。
2015 12/28 169
* 起床8:30 血 圧147-72(64) 血糖値80 体重67.1kg
2015 12/29 169
* 起床9:00 血 圧131-66(59) 血糖値92 体重67.6kg
* 二人で池袋へ。東武と西武とで雑煮のための京の白味噌、吸い物のための蛤を買い、パルコで、池田良則さんに戴いた祖父池田遙邨の版画と、妻が描いた建日 子小学校の頃の肖像画のために額縁を買った。 西口のメトロポリタンホテル地下の「ほり川」で昼食に鮓を食べ、タクシーで椎名町駅まではしって、帰宅。 けっこう疲れた。
建日子像、額にうまくおさまった。大きい遙邨画は慎重に、晩に、収めようと。
せまい我が家だが、繪はいろいろに。真作のほかにも、幸い我が家は贅沢に造られた美術カレンダーを何種類も戴くので、月日がめぐるにつれ捨てがたい絵や 書の複製がたくさんのこる。古径や御舟や栖鳳や靫彦や松篁らのそんな写真絵を、あちこちに画鋲で捺して楽しんでいる。谷崎先生夫妻の写真も、沢口靖子の写 真も、ある。妻や建日子ややす香や猫たちの写真もある。もうなにもかも雑然としているが気分はあたたかい部屋で仕事をしている。
なにやら疲れて、機械の前で寝入っていることもある。
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* 起床9:00 血 圧154-73(51) 血糖値84 体重67.9kg
* 新年が「来る」のではない新年へわたしが「行く」のだ杖ついて 遠
* 朝いちばんに桐生の住吉一江さんから例年のように下仁田の美味しい葱をどっさり頂戴した。
近年は簡明に簡素な煮〆だけ煮て、どこかのお節料理を妻は買っている。暮れは暮れ、正月へは揃ってわたしらの方から参る。迎える新年でなくわたしらが出向いて行く新年なのだ、土産はないが、と感じている。
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