ぜんぶ秦恒平文学の話

身体のこと 2019年

* 起床6:30 血圧 155 – 80 (58)  血糖値 107 体重63.8kg
2019 1/1 206

* 独り 早起きし、戴いていた「獺祭」特製の酒と簡素な私のための煮染めで新年を迎え、そのまま、たまたまの時代劇映画を見て過ごした。

* つまらぬ作であった。武士になど生まれなくて、どんなによかったろう、わたしは「人」として生涯を終えられそうなのを、心安らかに喜んでいる。人が人 に仕える人生など、バカげている。刀など突っ立てて「男」がりながら、むだで無意義な殺生のまま命果てて成り立つ「士」道など、バカげている。わたしが赤 穂義士の討ち入りを受けいれるのも、主君の仇討ちというより、「無道の公儀」への決死の叛意をこそ是とみるからである。

* やれやれ新春早々から、不粋になった、が、戴いていたお酒は、美味かった。
2019 1/1 206

* 建日子来る。
雑煮 一椀半しか食えず。
初詣に出ず、仕事。小説に とほうもないアヤがついてきて ま、いいか。

* 元日など要らない。大晦日から、いきなり正月二日になればいい。

*,年賀状、今年も百枚二三十ほと゜も戴いた。
いっとう嬉しかったのは、お元気でありますようにとずうっと案じていた桶谷秀昭さんの、力ある毛筆大字の賀状の届いていたこと。まさしく、元気を戴い た。文筆家や各界人、読者、知友、東工大卒など。昔とハッキリちがうのは、出版社からの活版モノの無いこと。依頼原稿というモノを今世紀に入って、全然承 けてないのだから。ぺんへも協会へも委員会や会合へもまったく顔を出していない、もう死んだかと思っている人もいるかしれない、な。

* 終日 むしろ仕事に勤しみ、時に和久傳の「紅」を口に含み、そして…酒正月。要冷蔵で抱きかかえていた名だたる「獺祭」四合を夕方には独り呑みほし、さらに純米大吟醸の「金婚」「松竹梅」と、総じて七、八合ほども独り戴いた。
もう今日は寝入りたい気分、明けたなら、どこかへ独りで旅に出たい気分。
元朝朝一番の、なんだかややこしい名の時代劇映画がすっかり、わたしの気分を壊した。
建日子が来てくれたのに、なにひとことも親身のいい対話も出来ないまま。可哀想なことをしているが、わたしの気分は、途方もなくわるい。
明日には、どうか平常に戻りたいが。

* 小説、長編の第二部の部分をねちこちと検討して夜更かし。

* 夕食後、やや持ち直し、建日子と、更に酒を飲んで、いろいろ話した。
2019 1/1 206

* 起床7:30 血圧 138 – 63 (69)  血糖値 107 体重64.1kg

* お静かに二日の朝を迎へける
2019 1/2 206

* えいやッと、もう隣から大きな重い荷を六つもこっちの玄関へ運んだ。一度階段の上りへ転げかけた。上りで大過なく済んだ。心臓がすこし痛んだ。
2019 1/2 206

* 起床6:00 血圧  血糖値 体重64.2kg
2019 1/3 206

* 小説の、難所ではあるがわたしには格別興味深い、ま、穿鑿にうちこみながら、疲れると階下で「湖の本」封筒にハンコを捺していた。このハンコ捺しがま た草臥れる、単調な、しかし力仕事になる。で、疲れると二階へあがりまた小説世界を杖をひきひき探索する。そして疲れる。
入浴して、今度は「選集29」責了への最終校正を、眼を洗い洗いしつつ重ねる。読みかけの、湯気に濡れにくい本も選んでもちこむ。
2019 1/4 206

* 湯を出る直前、記憶力を確かめるために例の125歴代を神武から平成まで一気に称える。十代こどにアタマで刻んでいると間違えも惑いもしない。初世神 武から、崇神、安康、敏達、天武、桓武、醍醐、後冷泉、高倉、亀山、後小松、後光明、仁孝、そして今上平成の125代。十代ごとに何事が日本に起きていた か、自然に覚えてしまう。このごろ人の名が想い出せずに困ること増えているので、いろんなことを心がけ試みている。
2019 1/4 206

* 起床6:50 血圧 144 – 73 (59)  血糖値 104 体重64.1kg
2019 1/5 206

* ひとつ 景色面白い山を越えたが この山、三笠山のていで、山路は難儀にアトを引く。アトを引くそれに引かれ惹かれて踏破して行くのだが。その辺の同 人誌などに溢れているあっさりの私小説なら 話題は、身辺にも機械の中にも私語の日記にも いっぱいある。いっぱいあると、わざわざ書いてもショウがない と放っておく。疲れ休みに、そういうのを瞑目のまま頭の中で文にして想っている。いくらでも出来る、が、やはり佳い創りの小説は簡単ではない。容易に成功 しない。
そんなにガンバッた事が云えるのに、仕事を離れれば心身の茫然は惘れるほど。飲食の、何にもどれにも気も湧かず手も出ない。
八時過ぎだが、今朝も七時半頃から休みなく、幾いろもの仕事や用事をつづけてきた。

* 明治二年に生まれた秦の祖父は昭和二十一年閏の二十九日に亡くなった。七十九、ウソのような長寿だと惘れていた、小学校四年のわたしは。しかし秦の父 は九十一、母は九十六、叔母は九十三歳で三人とも気の毒に東京へ移り住まって亡くなった。たまげた長寿だった、わたしはまだ還暦にもなってなかったろう。 だが、満八十三、今は。母に届くのには、もう十三年も野越え山越えねば。「最後の長編」を今書いてますなんて言ってはならんわけだ。
2019 1/5 206

* 起床7:30 血圧 137 – 71 (70)  血糖値 95 体重64.1kg
2019 1/6 206

* 昨日わたしは、心身疲れたまま、或る一つの「史的で美的な推理」をほぼ「アソビ半分」に全うした、アタマの体操として。ちょっとキゲンはよかったのである。

* アレコレまったく忙しい。十七日には「湖の本」143が出来てくると、即日発送にはいるが、そのための用意もまた大方、躯を主に遣う。できれば、数日 の余裕をもって納品を待ちたいのだが、「選集」29巻を責了へコシを運んでおかないと、追うように「選集」30大冊の初校ゲラがドッサーと飛び込んでく る。
しかし何というても、昨日の「推理」も栄養にして長編小説を、しっかりした健康体で起たせてやらねばならぬ、第一に。或いは第二部まで「仕上げた」のか も知れぬが、それも「第三部(一応は<完>まで書けているのだけれど、まだ明らかに<未完>)」がシカと落ち着いてこそ云えること。まだまだガマンが大 事。
九時前。もう 二階仕事は限度。
2019 1/6 206

* 起床8:00 血圧 142 – 75 (71)  血糖値 95 体重64.1kg

* 七草粥の雑煮を二人で祝う。四日の午には焼き餅の澄まし雑煮を二人で祝った。十日過ぎには鏡餅を割り善哉を煮る。十五日には小豆粥の雑煮を祝 う。わが家の正月はその辺まで。今年はその頃に「湖の本」143巻めを送り終えるだろう、そうありたい。二月には「選集」第二十九巻が仕上がってくる。幸 いに恙なければ。いや先のハナシは今はすまい。
2019 1/ 7 206

* 起床6:00 血圧 149 – 71 (54)  血糖値 99 体重64.3kg
2019 1/8 206

* 七草粥も祝い終えて、世の中、平常の空気に、と願いたい。もう印刷所との年初の打ち合わせも終えた。角田光代のため歳末に頼まれていた写真も、何かしらん企画進行の事務所へ送ってある。
十七日から「湖の本」発送の準備も、ま、難儀な七割がたを済ませていて、宛名を封筒に貼り、印刷した挨拶を各個に切り分け、荷置きの隣棟玄関をくつろげておく、そして「補充」の宛名手書きを何十人分かすれば、済む。
それまでに、年初の外出、初春興行の歌舞伎座へ半日、また新年初の歯医者通いが有る。
だが、アタマの中は蜘蛛の巣を這い回るように書きかけの小説のこと。
2019 1/8 206

* 史記の「列伝」を、原文で少しずつ読み進んでいる。興味が湧き出る。『北越雪譜』は折しもあれという気候ではあり、達意と簡潔の名文にも惹かれてい る。頁を開いては好きにいろいろ読めるのも有り難い。『宗長日記』はやや期待はずれ、肝腎の連歌、発句が巧くなくて興ざめする。その点は簡潔を極めた『山 上宗二記』には脚注にもたすけられていろいろ具体的に興味深い。前の文春専務寺田英視さんの著『国風(くにぶり)』の、落ち着いての再読も、まま驚嘆を誘 われる。
小説はトルストイの『復活』へ埋没している。辻邦生の『春の戴冠』は、書きすぎの感。炊きあがったご飯の旨いのは米の粒立って口にさわやいで呉れるから。辻さんは米粒を押しつぶしてぎっしりべったり隙間無く書いて行く。ムダも書き詰めて省かない。重苦しい。
プラトンの『国家』は三分の二ほど、ペンを手放さずに読み進んでいる。十二年の二、三月の胃全摘後の病室で初讀していた。この三月に少し大きな検査が予定されているが、前を繰り返さなくて済んで欲しい。
2019 1/8 206

* 起床8:00 血圧 139 – 75 (55)  血糖値110 体重64.3kg

* 冷え冷え。自転車で寒風を衝いて郵便局へ、「選集」30用の挿画資料を投函に。
今日も いろんな仕事や作業を いろいろに推し進める日。簡単にやれていた機械の手順をふと忘れていたりする。ま、自然の沈下現象と嘆かない。
明十日は休息する。
2019 1/9 206

* 起床6:50 血圧 142-80 (59)  血糖値113 体重64.7kg

* 冷え冷え。 努めて食べていると体重も漸増。
2019 1/10 206

* 起床6:00 血圧 137-74 (59)  血糖値115 体重64.8kg

* 「アコ」に起こされてしまう、もっとも、昨夜はやはり疲れて十時には寝入ってしまった。よくねたという自覚で目ざめたらやっと零時過ぎ。次ぎに四時に手洗いへ。
2019 1/11 206

* 三月興行がまた高麗屋主翼の出し物で、一度で終日は避け、二週昼と夜と二度わけして予約を入れてきた。三月下旬には少しく大がかりな久々の検査が予約されてある、その前に春歌舞伎を楽しみたい。
俳優座から、やはり三月下旬、岩崎加根子らの稽古場公演の招待が来ている。観たい、が、聖路加の上部消化器の精密検査が挟まる。前に観るか、あとに行くか。
2019 1/11 206

* 宛名貼り、住所宛名の手書き追加分 が まだしっかり「作業」として残っている。まだ気は抜けず、一月十七日朝一の「湖の本」143納品と確認されて いる。前日まで、容易の作業が残りそう。これらの作業にはケッコウ重複という無駄も欠落ちという不足もついて回るのに気を遣わねば。ま、暮れよりも宅配も 遣ってくれるだろう。今日も、もう四時になった。時間ムダに出来ない。
夜分の睡眠では どうしても夢ともつかず物語の難所に絡んで寝ながら四苦八苦している。これにも疲れる。

* まだ三種の残余作業があり、あと五日で片づけておかねば。
九時過ぎた。もう機械の前では何も出来ない。
と云いつつ、気がかりの用を一つ根気よく果たした。32項目に分類して頂いた去年一年の「私語分類2018」分のメールを、きっちり別フォルダら保管した。感謝感謝。この用意は欠かすことができず、うかうかとは放置できない。
2019 1/11 206

 

* 起床7:00 血圧 137-74 (59)  血糖値115 体重64.8kg

* 障子外がほっと白んでいたので起きた。「アコ」が巻きつくように両足首に絡むのでホトホト歩けない。二階へかろうじて逃げ込む。
2019 1/12 206

* 昏睡しそうに睡い。九時半。早く寝てしまおうと思う。
2019 1/12 206

* 起床8:15 血圧 144-79 (70)  血糖値87 体重65.7kg
2019 1/13 206

* 匍匐前進のように書き進んでいる。ほんの数行に疲れる。錯覚で、まだ夕方の気がしていたが、八時半。
もう十時。じっと堪えて、目に見えたり見えないモノと向き合って。途方もなくヤヤコシイ蜘蛛の巣に絡まれながら匍いかつ匐いまわり、言葉を吐こう吐こうとえづいている。
2019 1/13 206

* 起床7:00 血圧 150-69 (62)  血糖値91 体重65.9kg
2019 1/14 206

 

* 起床6:45 血圧 149-79 (66)  血糖値96 体重65.7kg

* 吉例、小豆粥の雑煮を祝う。
2019 1/15 206

* 今夕は、今年最初の歯科通い。
2019 1/15 206

* 歯科から帰る。留守番の「マ・ア」大いに喜ぶ。「中華料理」でマオタイをたっぷり二杯。いま広い東京でもわたしのた めにマオタイ酒を常備してくれている店は、無い。幸いに妻はこの店が好きで、歯科の帰りというと此処へ寄り、妻は甘いめの酢豚を、わたしはマオタイを。 すっかり親しい店になっている。だいたいわたしは、食べ物やサンとはすぐ仲良くなる。ものを美味く楽しく食するには一等の心がけである。

* 保谷まで電車で寝入る。妻に揺り起こされた。わたし一人なら飯能辺まで乗り過ごしていたかも。
ご近所さんと、タクシー相乗りで帰宅。
2019 1/15 206

* 起床6:45 血圧 147-71 (56)  血糖値109 体重65.4kg
2019 1/16 206

* どう疲れたか、昼過ぎから夕過ぎた六時前まで昏睡していた。
明朝から、「湖の本」第143巻の発送という力仕事になる。いま七時過ぎ、しつこく胸焼けしている。休んだ方がいいかも。創作とも向き合いたいが。
2019 1/16 206

* 起床6:00 血圧 147-71 (56)  血糖値109 体重65.0kg
2019 1/17 206

* 七時過ぎ。もう二時間もすると「湖の本」143が出来てくる。左の腰に痛みがあり、本の重量との組み討ちが響きそう、予防のロキソニンなど服して。
2019 1/17 206

* 八時半 相当な強行軍だった、希望の予定分をこなし得たが。
明日もまた。二人とも、疲れたが、二人だから出来る仕事、それをよしとして来た、三十三年も。感謝あるのみ。

* 九時からの「NCIS」を観て、早めに床に就く。疲労を溜めてはならない。

* 睡い。
2019 1/17 206

* 起床7:00 血圧 147-71 (56)  血糖値109 体重64.9kg

* 発送作業を追い込んでいる。

* 疲れた。

* 三日で遂げてきた力仕事なら、五日掛ければよいのだが。
2019 1/18 206

* 起床7:00 血圧 147-73 (52)  血糖値100 体重65.2kg

* なにとなく瞼まだ重い。「北越雪譜」の拾い読みが格別の朝の読書、季節も真冬なればしみじみと雪国の情景が想い浮かぶ。吹奏楽器の静かな合奏を聴いている。
2019 1/19 206

* 起床6:10 血圧 148-73 (59)  血糖値105 体重64.9kg
2019 1/20 206

* 連夜 亡き人の夢を見る。
夜前は、中学三年時担任の西池季昭先生と話しながら、どこかしらを楽しそうに歩いていた。

* なぜか今日はふっ切って仕事に向かえない。気勢が無い。体違和が嵩じているか。分からない。食べられない。午にと、すこしムリして食べたが音も高く烈しくエヅいてしまう。苦しいまま、横になった。
二時間も寝たか。

* ジリジリと書き進む。なほあまりある昔。
2019 1/20 206

* 本当はもっと前へ進みたいのだが、気懈くて。腹が重怠くて。まだ七時にもならないが、睡れるなら寝てしまおうか。
2019 1/20 206

* 七時半過ぎて。体違和の不快 おさまらない。
2019 1/20 206

* 起床8:00 血圧 127-69 (53)  血糖値104 体重65.0kg

* コ゜ムで腹部を締めるのを避けズボンを吊ることにした。昨日の起床から今朝まで24時間の14、5時間も寝ていたことになる。よほど昨日は体調よろしくなかった。ま、なんとか仲よくからだとは付き合わねばならぬ。
2019 1/21 206

* 朝には少しラクであったのに夕近く、大相撲も中入り頃から体違和になやみ、妻がせっかくの夕食の何にも手が着かず気の毒であった。
よほど腸がどこかで狭く、食べた物が滞るのか。それで胸焼けもきつく、湯茶や野菜ジュースなど水分を大量に摂り、ときに緩下剤も入れて「腹通を計り」「放屁」も促している。
この「腸閉」気味は、七年前の胃全摘から退院後に顕著で、緊急に再入院したことがあった。外科医はあのとき「危険」を告げたが、あの時は、水分を摂るの が実に難しく、烈しくエズイてゲエゲエと吐くものも無いまま苦しんだ。病室では点滴に次ぐ点滴の日々であったが、あの折に幾分似ている。ただし今は水分は 大量に摂れるし、食事がまるで摂れないのでもない。工夫してなんとか出来る。快適に「腹通」してくれれば「ラク」になれる。栄養失調しないためにも、つま りは食べて、通して、適宜に出すこと、腹を減らすことを計り続けるのが大事で大切とわたし自身は見ている。
2019 1/21 206

* こうまで書いている内に寒気らしき震えがきて、かねて何度もの覚えに気が付き階下へはしって血糖値を測った。49。わたしとしても、新記録なみ甚だ危 険な低血糖値に、即、白砂糖を幾匙か口に含み、鰹の刺身でとっておき超精米の「獺祭」をダヴルグラスで三杯ほど。立ち直った。低血糖は放っておくとショッ クを起こし命に関わるが、気が付いて糖分を補給すれば、即、回復する。危なかった。まるで食べない、というのが危ない。ただ過去に十度近く体験的に低血糖 症状を覚えているので気が付く。気が付かずに寒気のように錯覚していると極めて危険、超特急の無蓋車で奔っているように、からだを取り巻く空気が白い繊細 な筋に見えて奔流する。110正常値で50を割っては論外に危なかった。
いま体感は回復している、測定はしていないが。
仕事のそばに、好きな「和三盆」の小粒を常備していると、摂りすぎてはいけないが、低血糖の予防になる。なによりも、何も食べないのは、よくない。
2019 1/21 206

* 起床6:45 血圧 145-61 (57)  血糖値105 体重65.0kg
2019 1/22 206

* 大きな蜜柑函ほどの嵩で、ドッサンと「選集」第三十巻の初校ゲラが届いた。ま、慌てまい。
腰を据え 小説の方を書き継ぎたい。食いついて放さず引き締めたい。目がよく見えて欲しい。
2019 1/22 206

* とくに兄分の「アコ」にこのモノの積み上がって満杯の仕事場をザンザンバランと踏み荒らされるのが困る。参る。

* ゆっくり湯に漬かって疲れをとりたい、但し校正しながらデス。
2019 1/22 206

* 起床6:45 血圧 150-77 (66)  血糖値106 体重64.2kg
2019 1/23 206

* 起床7:45 血圧 149-77 (58)  血糖値110 体重64.0kg
2019 1/24 206

* 午後になり疲労のためか何のためか知れず、横になり、奇妙の夢を見続けたまま朝かと思いながら夕過ぎた七時まで寝入っていた。数人のグループ、どうや らNCIS風の数人と、飛行機や船や列車や自動車で、いつも大量の鮮魚をどこかへ運搬しつづけていた。思い当たるなに一つない。類似の体験、雫ほども無い のに。そんな間に、案の定、白鵬、二敗目を喫していたという。今場所の優勝は見送りか、それでも良い。
2019 1/24 206

* ほんとうにわたしは八十三の老耄であるのか。わたしが毎朝毎晩苦慮に呻いて書き継いでいる小説はまさしく恋愛と思慕と愛欲の老境 「オイノ・セクスア リス 或る寓話」なのである、及びもつかないが、しかし目のマン前から瞬時もおかずいつも菲才のわたしを睨んでいる写真・谷崎潤一郎の晩年には絶妙の「夢 の浮橋」あり呵責ない「鍵」ありしたたかな「瘋癲老人の日記」があった。書き上げたい、そのためには容赦なく書ききれる体力を保たねば。疲れ果てて寝入っ ていては意味がない。
2019 1/24 206

* 起床6:00 血圧 156-83 (54)  血糖値103 体重64.0kg
2019 1/25 206

 

* 起床8:00 血圧 151-73 (63)  血糖値96 体重63.5kg

* よく睡ったと思う。睡るのがなにより眼に良い。仕事は捗らせるよりも今はキチンと良く出来るのが望ましい。慌てまい。子供の頃、だれともなく京都では「慌てる乞食は貰いが少ない」と聴きもときに自身に言いもしていた。
2019 1/26 206

* 起床7:15 血圧 143-77 (67)  血糖値92 体重63.6kg

* 上のデータは正常範囲にある。この水準で、他に故障の無いことを。
なにより井口さんを見習い散歩の習慣を持ちたいと願いつつ、骨髄に徹した不精者で。昔は、ただ食べる楽しみで街へ出たがそれが雲散霧消、眼が見えなくては美術館もしんどく。
2019 1/27 206* 堅い壁に身も気も削っていて、しんどい。ガマンの日々をもうよほど重ねている、が、ガマンしてアキラメない。疲れは、寝て癒す。六百頁にせまる「選集30」の初校も疲れを癒やすのによく役だってくれる。仕事をしているのが、結局は憩いであるのだ。
2019 1/27 206

* 起床7:00 血圧 154-71 (54)  血糖値74 体重63.5kg

* じりじりと、小説、前進。ひたすら行きつ戻りつ、先へ奥へ。
2019 1/28 206

* 起床6:45 血圧 138-70 (69)  血糖値95 体重64.3kg

* ま、値いとして、真っ当な数字か。
ただ、いまもつよい嚔を五連発。もっと良くない一兆候は就寝の姿勢で左腰やや背に近い真横で、瞬時太い針で突き刺される金属感強度の痛さに声を発してし まうこと。不思議に、それは繰り返さず、ウソのように平生は自覚がない。寝ていてやや左向きに姿勢を変え其処が下になる瞬時に灼けたような針先の痛さで声 になる。が、すぐ失せている。自分の目で其処が見えない。触れても何もないが皮膚に変化があるかどうか。皮膚というより深部が痛んでいる。この十日ほど前 に夜中初体験し、その後三、四度。夜前も悲鳴になりそうに瞬時のきつい金属感の痛みを自覚。いわゆる腰痛とは感じが異質。

* 千葉のe-OLDの勝田貞夫さんに戴いた、ふっかふかの温ったかな靴下を穿いている。足先の氷ほど冷えるタチで、この温み、云いようもなく安らかに嬉 しい。肌身に添うものを女の方に頂戴すると心持ち遠慮もするが、勝田さんは、わたしには兄貴分のふくふくと温かな、e-OLD。久しく会えていないのがと ても残念。
2019 1/29 206

* 食がすすまず、用意してくれる妻に申し訳ない。もっと努めて食べないとと思うが。今日は、蜜柑とアルコールばかり口にしていた気がする。からだは動か していないのに疲れて、五時頃の夕食後、十時半まで着のまま寝入っていた。目ざめて朝かと思った。このまま、もう一度寝に就くとする。破裂するような嚔を 連発したり。熱は感じていないが、寒い。
2019 1/29 206

* 起床6:40 血圧 145-69 (69)  血糖値84 体重64.4kg
2019 1/30 206

* ジリと半歩ほど、数行を書くのに半日、昼食後いままで気が付くし機械の前で睡っていた。安眠ではない。
2019 1/30 206

* 死なれた多勢が頭を過ぎって、思わず心身のこわ張っているときがある。その疲れがしみじみとある。

* 元・青山学院大学長、元・福田歓一東大法学部長の夫人、現・滋賀県知事の三日月大造さん、大阪の石毛研究室の石毛直道さん、歌人の尾崎左永子さん、京 都の陶芸家松井孝・明子夫妻氏、そして東海学園大名古屋図書館からも 「湖の本」143へ 受領等の叮嚀な謝辞や挨拶があった。

* 天理大からは「選集」二十八巻への礼が来ていた。

* 一箇所を通り抜けた、か。書こうとし思案し歯を噛みしめてしまい、痛くて。それぐらいはショがない。見えない疲労で瞼が塞がってくる。少なくももう数 カ所越えずに済まぬ難所が残っている。そう分かっているだけで助かる。とほうもないバカを遣ってるのかも知れないが、えやないかと半分がた諦めている。
2019 1/30 206

* 起床5:00 血圧 166-82 (60)  血糖値100 体重64.2kg

* 胸焼けを感じたまま点灯、読書し構成し、そのまま起きてしまう。冷え冷え。キッチンを温めておいて、二階へ。心身、まだ起動不十分。待つ。待つ。
待ちながらこの機械で使用しないと思ういろんなフォルダやファイルや重複分を思い切って削除していた。しすぎたかも知れないが、ままよ。容量のアキは俄然増えた。機械がすこしでもラクになってくれると佳い。八時半になった。朝食していない。
2019 1/31 206

* 起床7:00 血圧 126-74 (74)  血糖値114 体重63.5kg

* 穏和な季節のうつりゆきが日本国土のあたかも美徳であったのが、すっかりグローバルな乱調子に巻き込まれ、以前のままの季節感が感触しにくい。とほうもない損をしている心地。
2019 2/1 207

* 起床7:00 血圧 131-75 (77)  血糖値106 体重63.2kg

* ひとり先に寝室を出て冷え切ったキッチンをガスの応援も借り暖房する。テレビの報道は不快極まるニュースの蒸し返しばかり、すぐ宮澤明子の軽やかに楽しいピアノ曲に替える。

* 妙な夢を幾つも見ていた。
列車到着寸前に、京都へ帰る乗車券をとプラットホームの売場へ懸命に駆けつけると、二人の駅員が、今どんな小説を書いているのか「現代もの」なら内容を 聴取せよと当局に言われていると。わたしは笑って、江戸時代のばくち打ち二人を主人公の時代読み物だよと、逼る時間をあと二分と気にしながら財布から金を 出していた。
なんで、こんな。
また、「隔意ありてこと無く別れきし彼をふと気の毒におもふ可笑しさ」という、ま、自作であるらしき歌が夢にあらわれ、彼とは誰とも穿鑿しないのに、よく見知りの昔々同窓の男が、仲間らとひとかたまりにこっちをじろじろ見てくるのを、尻目に、立ち去っていた。
なんで、こんな。
2019 2/2 207

* 今朝は機械部屋26度にも暖房しているのに、背にも膝にもものを架けて寒さを凌いでいる。大寒か。
2019 2/2 207

* 通常の「湖の本」でほぼ四册分ほどに作が延びていて、何処かへ手を加えると内容上関連の箇所へも推敲や添削が必要になるが、九百枚に逼っている作の前 後の関連箇所を機械画面を前後させながら見付け出すダケでも狂いそうに目が回る。この煩瑣に気強く気永く耐えないと長編作は安定してこない。身のそばのプ リンターが故障し働かないのが、実に痛い。グチグチと愚痴るのもせめてのクスリと呑み込んでせいぜい気をとり直しているが。「尾張の鳶」はわたしの作意の 幾つかに乱交叉している幾らかに察しが付くらしく、鳶なりの「京都」で示唆も送ってきてくれる。摂れるものは有り難く摂りたい。
「湖の本」145頃には第一部をという目算は、むしろ放棄した方がいい、まとめて「選集」三十三巻の殿軍を任せるぐらいを考える。秦 恒平の文学世界を最期にむちゃくちゃに打ち崩してしまうかも、それも一興の、まさに「亂聲」か。
いま七時だが、何よりももう眼がしかと見えなくて、斯くも読むもママならない。ブルーライトはきつい。目をつむり腕組みし思案し、そのうちに寝入ってしまう。

* やっさもっさ頑張ったが、身が保たなかった。
2019 2/2 207

* 起床6:15 血圧 124-75 (72)  血糖値109 体重63.3kg
2019 2/3 207

* 午、ガマンしきれず、トッテオキ「獺祭」の一升瓶の栓を抜いた。数日日本酒を断っていた、ま、美味いこと。しんぼうが無いなあ。
2019 2/3 207

* 節分、わが家では夕過ぎて恒例の「福は内、鬼は外、福は内」の豆撒きを、年男でもある私が、入浴のあと、夕食の前に例年通り、一階、二階の全部の戸口や窓で、執り行った。
歳の数に一つ多く豆を食するのも定まりだが、これも例年、歳の端数に一つ足すだけに遠慮している、つまり八十三歳のわたしは、豆四粒を口にした。また香ばしく焼いた目刺しを食するのも恒例、美味い「獺祭」といい煎茶で、珍しく夕食の足しに、四、五尾も食べた。

* 八時半を過ぎている。入浴のママ校正もし読書もしたし、仕事は辛抱よく気を入れてかなり打ち込んだし、もう眼は限界。あとは成るままに気楽にすごして早めに寝たい。 2019 2/3 207

* 起床6:30 血圧 114-64 (77)  血糖値108 体重63.5kg
2019 2/4 207

* いよいよ、ほんとうの難関にさしかかった。どうなるか分からないが、遣ってやろゃないかと気張る。気張るしかないから気張る。何をどう、どのように書 けばいいかの見晴らしはついている。難儀は、ただただ視力の不備不足。そのためにはよく睡って早起きし、視野の明るい間に書き継いで行く
べし。今日はかなり集注でき、十一時になった。もう、中止。獺祭をすこし味わって、寝る。
2019 2/4 207

* 起床8:45 血圧 126-74 (76)  血糖値112 体重63.7kg

* 思いがけず、このごろに例無く、よく睡れた。夢の覚えもない。
2019 2/5 207

* もう十一時になる、ガンバッタものだ。しばらく前から執拗に腹痛を覚えている、こんな傷みは久しくなかったのだが。着衣の締め付けがキツイという思いをときどきしていたので、それだろうと思う。
もうやすもう。
2019 2/5 207

* 起床8:15 血圧 138-70 (59)  血糖値104 体重63.4kg

* 薫の、牛と少女の繪、美しく、色美しく、浄瑠璃寺の夜色とよく映えて、朝起き一番のこころよい対面。
2019 2/6 207

* 妙に体調、ことに腹部のととのわない、イヤな感じ。

* おう、夜も十時半を過ぎている。かなり気を入れていた、苦しかった腹工合も緩解か。もう、機会の二階は終え、階下仕事へ転じて、そしてあまり遅くならずに、やすもう。
2019 2/6 207

* 起床8:50 血圧 125-75 (72)  血糖値106 体重63.5g

* 薫の牛と少女に 見惚れて、機会に向き合う。
2019 2/7 207

* 払い込み票にもたくさんお便り頂くのだが、小さい字には視力が足らず、かつがつ拝見のみ。感謝します。

* 京の「華」さん、いい抹茶たくさんに添えて京のお菓子を数種も送って下さる。摂りすぎない限り、小粒に創られた糖分は仕事の間にもじつに有り難い。ありがとう。

* 近江大津の澤さん、珍しい選り抜きの近江のお酒二種に、見たこともないとても珍しい、美味しい酒肴を二種も添えて送って戴いた。大事に蔵していた名酒「獺祭」の大吟醸二升も飲み干したところで、喜んでいます。感謝。
ま、飲み過ぎないようにように気にかけながら頂戴します。
2019 2/7 207

* 起床6:15 血圧 138-77 (53)  血糖値110 体重63.4g
2019 2/8 207

* 起床6:15 血圧 138-66 (51)  血糖値101 体重63.7g
2019 2/9 207

* 指先の凍えて痛い寒気のなか、妻と、近くのセイムスへ「マ・ア」たちの砂や餌や、わたしたちの食べ物の補給に出向いた。ものの五分とかからない近さで、助かる。
帰って、昼食したが、進まない。仕方ない。

* 京都の羽生さん、俵屋吉富のわたしのことに好きな「柚餅」のはんなり赤いのや、雲竜、白雲竜などのほかにも、いろいろ京和菓子の粋を選んで送って下さった。持ほくほく。
2019 2/9 207

* 大小の地図を手にし、襖にも貼り、拡大レンズや懐中電灯で細い弱い眼と視力とを駆使・酷使しながら途方もない宙空をふらふらで彷徨っている。視線と視 野と視点とがどう定まって行くのか、いまぶんアテドが見つかっていない。仕遂げてゆくしかないが、眼がヒリヒリしている。腹もグズるように痛む。暖房して いる六畳の狭い部屋が今日はイヤに冷え込む。ただただ堪えているが、脳波はまだ繪らしきをまだシカと描きだしてくれぬ。少し、やすむ。寒い。

* 戴いた純良の雲丹で、戴いた「獺祭」二升の最後を醑んだ。鱈と、佳い白豆腐と水菜の鍋が口に優しく。飯は、喰わず。それでも、がっくり疲労している。明日、建日子の芝居、行けるかどうか。妻ひとりで、行ったことのない小さな劇場へ行けるか、心配だが。

* ニューズは、右も左もロクなことはなく、昔はもっともっと暢気に暮らせていたな、貧しかったけれどと嘆く。

* どうにもこうにも、一歩二歩が進まない。想と言葉とが容易に馴染まない。暗闇へ身を投げねばならないのに動けないまま、数行しか書けていない。ぐっすり寝てしまうのがいいかも。建日子の作・演出劇も覧てりたいが。
今日、久しぶり不覚にも健康の懸念を口にしてしまった。挫けてはいかん。一月前、歌舞伎座の帰りに三笠会館で撮った、すこし元気そうな写真を、関守石のつもりで置いてみる。

今年一月十日 銀座・三笠会館「秦准春」で
2019 2/9 207

 

* 起床6:40 血圧 140-74 (60)  血糖値103 体重63.5g

* 八時間ほどは睡ったか。夢にもものを思い詰めていて、起きぎわ、

さひつ瀬をいづくへ流れ行くはてぞ
はてもなぎさの佐比の磧(かはら)ぞ と。

* 独り早起きし、マリア・ピノシュのピアノを聴きながら棒茶を沸かし、食パンの半枚をバターとジヤムとで食した。雪というほどは無い、が、二階へ来て、暖房 の下にいても脚は冷え冷え。ヘリコプターらしき飛行音がゆるゆると遠のいて行く。機械の煮えを待ち、『法然上人集』の長い解題を読んでいた。
2019 2/10 207

* 日暮里まで建日子作演出の芝居を観にいった。印象は、「つか(こうへい)芝居」流にあまりに忠実げな「つか芝居」のシンの深刻味にほど遠い、いわば好き放 題な「演劇漫画」のようだった。殺陣の烈しさには感心したが、「今日日本のないし世界の諸問題」にはなんらコミットするところのない、「センチメンタルな 面白づく」で、きわどく被差別の問題などをはらむかと見せていながら、色つけ程度の彫り込みのないそえもので、「作・演出・演技」の全員がおおいに楽しん でいるとはよくわかるが、さて観終えた観客が、なにかきらっと光る日々の「生き」にかかわる「課題や感銘」を持ち帰れるといった舞台ではなかった。
まあ、「ようやるよ」という、それは一種の共感でも感嘆でもあるにせよ、そのレベルですべては停止していて、「愛」の「恋」の色を意識のツクリのようで いて、それさえただ飾り物のようでしかなかった。「面白く観たならいいではないか」と云われれば、「ハイ、けっこうでした」と応えるけれど、それだけ。
かつての「らん」という舞台に連携するのだと謂うが、「らん」をダシにして全員で「面白そうに遊んだ」というような印象、「らん」の迫力には遠く届か ず、「タクラマカン」や「月の子供」らが持っていた生のままの感動、泪をもよおした感銘、息苦しいほどの問題意識とは、べつのものに思えた。
厳しい感想だが、ウソは云えない。演出は熟達・達者で粗相ないが、科白は聞きづらく説得力に乏しかったが、運動会としてはお見事な全身の働きで。ま、それを楽しんで観てきたというのが、結論かな。

* 久しぶりに、池袋西武地下のカウンター「寿司政」を、妻と楽しんで帰ってきた。妻もわたしも手足の攣縮に困惑した。脚力も体力も失せつつあるなあと、 いかんなあと、思う。疲れた。わたしは昔から土地勘のあるほうで、馴染みの街なかで戸惑うことはないが、妻の感覚のチグハグなのには、いささか震撼を覚え た。

* 疲れに、吃驚している。つい寝入ってしまう。九時にもならないが。今日はもうこのまま休んで、明日は明日に気力を備えようと。
2019 2/10 207

* 起床7:10 血圧 132-65 (68)  血糖値101 体重63.3g
2019 2/11 207

* 食がほそくなり食べられないと嘆くご老人らの声も、テレビで情けないほど同感し嘆く思いにめげた。いまも一碗の味噌雑煮の餅二つが過剰で、二階へ上 がった今も腹具合が穏やかでない。食べない方がラクと、ツイ思えてしまうのが日常感覚では、理づめには不健康と嘆くしかない、しかしいろいろとたくさんは 食べたくない、食べられない。創ってくれる妻が気の毒で申し訳ない。

* 食前にきまりのインシュリンを注射しながら、夕食をほとんど、キャベツの煮たのをすこしだけしか食べなかった。全身がけだるいまま仕事していたが、着 の身着のまま横になりに下へ降り、それでも『蘭学事始』「山上宗二記」など面白く読み「選集」の校正もしているうちに疲れて寝入った、が、ふと違和感に目 が覚めた。左掌に覚えの震え、先日も襲われた同じ震えが来ていた。すぐ血糖値を測りにキッチンへ。案の定よほど、正常値の半分以下の低血糖値。すぐ甘味を 口にして震えはおさめた。
低血糖のことは、内分泌の診察時かならず医師に審問される。七年前の最初の手術、その後につづいた二度目の入院以降、ずいぶん久しく低血糖症状はなかっ たのに、この近か間に二度は宜しくない。ま、家でだと、気づきさえすれば白砂糖で回復できるが、一度、妻と聖路加からの帰り、松屋まで歩いているうち血の 気が引き、低血糖と気づかず喫茶店に入って休息したが目が舞い倚子から転げ落ちたりした。やっと低血糖と気づいて袋の砂糖を何本ももらいやっと回復した事 がある。
低血糖はコワイですよ、ショックが起きると命を落としかねないと聴いてきた。用心しないと。インシュリンを注射しながらろくに食べなかったのはまずかった。
2019 2/11 207

* 十時半。疲れた。眼、見えない。
2019 2/11 207

* 起床7:40 血圧 141-70 (62)  血糖値108 体重63.1g

* 朝から糖分過剰か。甘いのに目がない、酒にも。不摂生体質か。数値はまずまずだけれど。

* 「選集」29巻の出来へじりじり近付いていて、送り出し用意はほぼ出来ている。この間にナニとしても小説の大山を越えたい。今日も務めねば。しかし両の肩と頸筋が締め付けられ、痛い。よろしくない徴候である。しばらく、この姿勢のママ睡りたい、九時五十分。

* ひたすらガマンして、自ずからな行文の成り行くのを待っている。すでに夕五時。堪えるときは、そのまま手近な法然和上の「和字選擇集」を克明に読み進 んでいる。三浦梅園の哲に聴いている。鈴木牧之の「北越」譚に耳を傾けている。こうも優れていい本がたくさんあるのに、機械に観も心も売って「炎上」の怪 を貪って生きるなんてモッタイ無い。しかし読書には眼を用いねば済まぬ。目はひにひに弱る。

* 容易に展開しない。疲れてしまうと気づかずに睡ってしまう。いまも、てっきり床にいると感じながら熟睡していたが、ハと気づくとソファで睡っていたのだ、ゆっくり入浴し、しばらく階下にいたが、機械に融け込めぬママソフアへ逃げたらしい。
十時四十五分。
いっそ寝てしまった方がいい。明日は歯医者だと。一日一日無為に費消してしまう。ここで弱気になってはいかん。
2019 2/12 207

* 起床6:40 血圧 128-71 (73)  血糖値100 体重63.5g
2019 2/13 207

* 地図に見入るのが好きなわたしが、いろんな京都地図に眼を曝して、ほとんど昏倒しそうに眼球を痛めている。それでも、歯医者通いは失敬しネコたちと留 守番のママじりり、じりと書き進めて夕暮れに。妻は治療が長く、まだ戻らない。ナニがナニでも匍匐前進、ガマンして一字でも書いて言葉を創っている。はな しにならぬテイタラクかも知れないが頓着も躊躇もしてられない。しがみついて諦めない。腹具合、わるい。ふうっと戦時疎開の丹波の山奥暮らしが思い出され たり。ああこれはシナリオの「懸想猿」などを手繰り寄せているのかな。

* 夕食後、昏倒するように九時まで寝入っていた。もう、このまま休む方がいい。
2019 2/13 207

* 起床7:00 血圧 131-72 (75)  血糖値126 体重63.7g
2019 2/14 207

* しんぼうよく、根気よく、食いつくように、この十日ばかり難渋して書きついだ文章を読み直し書き直しまた繰り返していた、目が見えればもっと頑張れる かと思うが、此の文字盤もうすぐらい蔭のようで、ただ心当てに捺している。有効にコトが進んだのではない、コトを運ぶ瀬戸際へ辿り着いただけ。しかも、も う一と展開の想も萌していて、オイオイ、マダかよとすこしはボヤク心地ですらあるが。慾ハイはかかず意欲的には慣れる限りと願っている。想うだに難しい荒 い水際へ逼っている。疲れきらないようにしたい。しかし眼も腹も背も足腰もアタマも疲れている。酒も飲み尽くした。茶筅も遣わず熱湯に抹茶を匙で溶いて呑 んでいる。七時半。もう三時間は続けたい気だが、この仕事は想うだけではサマにならない。しかし想うだけでも 必要で有効な段階もある。そんな時は躯を横 にし夢うつつへ入り込む。わたしは、リアリストのではないリアリティを望んでいる。それは「ことば(文章)」で
つかむしか道がない。
2019 2/14 207

* 起床7:00 血圧 131-77 (64)  血糖値114 体重64.1g
2019 2/15 207

* 起床8:00 血圧 115-70 (79)  血糖値91 体重63.7g

* 難関を、ひとまずコジ明け、いくらかホッとしている。まだまだ先に幾つも通らねば済まぬ関はあるけれど。先は先。毎日前へ歩いて行くしか道はない。

* とはいえ明日の日曜ぐらい、街なかの人だらけは叶わないが、昼過ぎにも また寿司ぐらいつまみに近まへ出T:てみるか、などと。
むかし、よく、東京駅構内へ沼津辺から店出しの鮨屋の止まり木で、バカバカといろいろ喰いまくった時季があった。ちょっと佳い酒も呑ませた。鮨も東京駅も山手線も懐かしい。
先日、妻と、建日子の芝居を観に日暮里まで乗っただけで、ウソのように山手線が懐かしかった。
あした、「選集」30の校正刷りをたっぷり持ち、山手線を腰かけたまま二回りもまわってみようか。
六十年も暮らしてながら、東京をよく知らないと我ながら惘れる。
いまは上野も浅草もよっぽど遠くなり、気軽に、「杖」なしでは出向けそうにないとは情けない。   ゆーっくり、手足をのばして好きな湯に漬かれる銭湯 すら知らない。予約せず熱海までこだまに乗りながら、どこの温泉宿でも断られ、駅前の魚屋でひたすら美味い伊勢海老や刺身を食っただけで帰ってきたのを、 今もよく思い出す。焼き魚も煮魚も食べられない、鮨や刺身ばかり好んできたなあとやっぱり惘れている。

* 「杖」のはなしをしたが、胃全摘の手術後に二本ほど安物買いの銭失い電車などに置き忘れてきた。で、松屋で、妻に紫檀のやや高価な一本を買ってもらい 以来失くしていないが。杖というとわたし、漱石『彼岸過ぎ迄』に出てくる、なんでも蛇のアタマを握りにしたとかいう杖が初対面から気になり今も妙に忘れが たいばかりか、わたしも何かしら恁う、竹でも木でも何でもいい珍しいツクリの愛用に耐える杖が見つからんかなあと、ずうっと半ば夢見ている。古道具や古物 をあつかう店が無いのかなあと思いつつ、東京では知らない。今日の街中にはときどき古びた店があったものだ、落語に出てくるようなハナシにならない珍物も 店の隅や表に転がっていた。東京では、識らない。浅草でそれとなく探したが、表を厚い硝子戸で締めてあるような店では、弁慶が小野小町にやった恋文のよう なヤツは見当たらない。
仙人が背丈より高い「杖」をついてる繪などみると、どこかしらにわたしにも妙なシロモノが見つかりそうな気がするのだが。
そうそう長い自然木の杖は地面をつく先っちょがよく小さな二股になっている。あれは、杖の安定のためでない、蛇を抑えくるっと巻いて掴み取るのである。なんも、はや。

* あ、午。ちょっとノンビリしたのかな。
2019 2/16 207

* 起床6:20 血圧 129-69 (91)  血糖値108 体重63.9g

* 六時半には機械の前にいた。やがて十時。膝を蔽ってないと、痛いほど冷える。午を、独りで過ごすことに。寒気を冒して外出するより、ひたすら読み、そして書く。疲れれば睡る。ワインとビール。両方とも、瓶も缶も、手が切れるほど冷たい。

* 妻は、ご近所の女子会、つまりは婆ァ会へ、昼飯とお喋りに出掛け、留守居のわたしは「マ・ア」の徹底的ないたずらに翻弄されていた。やっと、三時、いま妻が帰宅、わたしは、へとへと。眠たい。
2019 2/17 207

* 四時過ぎから六時まで草臥れきって睡る。睡るのが、なによりの休息、イヤな夢に襲われなければだが。とは云え、夢はわたしのような物書きには財産でもあります。

* 今日一日、独りで留守の食生活は、「マ・ア」にも首を突っ込まれひっくり返され、なにもかもムチャクチャ、最低も最低。仕事の前進がその御蔭と思うことに。
「マ・ア」は堪らなく可愛いくて、べつべつの個性がとても面白い、が、狭苦しい家の中で、日々に成長しつつの運動不足の不満もあろう、それはそれは兄弟仲よく暴れ回る、回る。戸外へ出してやりたいが、固く禁じられている。わたしまで、フラストレーション。

* 来週は、またまた、力仕事で数日追われるだけでなく、聖路加へも行かねば。
そして早や、弥生三月。結婚して満六十年になる、昼と夜と二日かけて歌舞伎を楽しみ、下旬には、内視鏡検査などを受けねばならない。胃全摘から、まる七年。無事に通過したい。
ま、それまでには今日メドの立った長編小説(選集の大冊一巻分)に、せめて表題を決めてやりたい。ただ何としてもこの作、作家秦 恒平の晩節を真っ向蹴散らして、狼藉を極めている。「湖の本」という売り本には、とても出来まい。
2019 2/17 207

 

* 起床8:15 血圧 155-75 (71)  血糖値108 体重63.9g
2019 2/18 207

* さ、今日も、また、一つでも二つでもケッタイな長い小説の何箇所かに味付けをしてやりたい。まだ十時半なのに、きつい目薬のせいか目がヒリヒリする。
2019 2/18 207

* はるか昔、四国からちいさなボクを連れて東京へ転職してきた、創刊以来の愛読者胡子文子さん、みごとに成熟した新鮮そのものの土佐文旦を五キロも送ってきて下さった。胸焼けがきついので、新鮮な柑橘類は嬉しい。ありがとう存じます。
2019 2/18 207

* 起床8:20 血圧 137-66 (71)  血糖値93 体重64.6g

* 昨日、しはらくぶりに、切れていた純米吟醸の酒をセイムスへ仕入れに出た。仕事も前へ進んだのでヤケな酒でなく、しみじみと。が、半日で四合瓶をスイと空けて仕舞うたのは、自粛を要する。
2019 2/19 207

* 午後、歯科へ。帰途、江古田でマオタイを、たっぷり。美味し。帰宅して、睡し。
2019 2/19 207

* もう夕方から目がよく見えず、仕事に入りきるのに苦渋を噛み続けたが、もう、限界、出来ない。まだ九時なのに、このままもう休む。明日を頼むとははかない希望のようだが、やはり明日はしかと迎えたい。
2019 2/19 207

* 起床6:30 血圧 139-71 (68)  血糖値91 体重64.4g

* 早寝し早起きす。インシュリン4単位注射し、粥を温め海苔と魚粉副えて食し、猪口に二酌、ビタミン、乳酸錠等々、ほぼ20錠を服す。
二階で、機械容易に稼働せず、『近世畸人伝』の中江藤樹、貝原益軒そして僧桃水の伝を読む。藤樹、益軒はとくに「畸」とせず、ほぼ識る範囲にあり。
桃水とは初対面、処世行状慈愛溢れ経験豊かに、その「畸」は敬するに余りあり。晩年洛北鷹峯で酢売翁となりて終わる。人の大津繪に描きし阿弥陀を陋屋に贈りしに、
せまけれど宿を貸すぞやあみだ殿
後生たのむとおぼしめすなよ    と。
「七十餘年快哉」 遷化時の遺偈の末に、
眞歸處作麼生(ソモサン) 鷹峯月白風清   と。
2019 2/20 207

* 九時だが、もう、とうに眼が利かない。休むしかない。『和字選擇集』で、世自在王如来のもとで高才勇哲の法蔵比丘のついに極楽浄土を成し遂げたのを読む。久しく、勝れて尊いフィクションと読んできた、今は真率に尊いと読み取る。
2019 2/20 207

* 起床7:45 血圧 153-72 (55)  血糖値101 体重64.1g
2019 2/21 207

* 書き下ろしの第三部を ずうっと読み下して行きながら、適切な補筆や修訂をしている。

* 夕方になると、めっきり疲れ、夕食への意欲がほとんど失せてしまい、冷奴の四きれに削り鰹をかけ、伊達巻きを二きれ食べて棲ませてしまう。食後、そのままの姿勢で暫く寝入っていた。
二十五日にはわたしが聖路加へ出掛け、翌二十六日の朝一には「選集」29巻が出来てくるが、妻は午後には定期の診察へ地元病院へ。その診察無事を心より願っている。「選集」の送り出しを無事に、疲労困憊せずに着実に済ませたい。
三月には、満六十年の結婚記念日も来るが、不安心をかかえての腫瘍内科のカメラ検診などが下旬早々には予定されている。幸いに凌ぎたいと願っている。胃全摘の手術を受けてから満七年の検査になる。

* まだ宵の口、七時までにもう少し。もう少しは頑張ろう、目の衰えも押し切って。こんどの長編は、どう受け取られるか極めて懸念はされるけれど、わたし としては動機の強い、所詮は書かねば済まなかった境涯を構造的に、美的かどうかは別として、組み立てようとめちゃに頑張った。本人だけが、ホウ・ホウ (好・好)と少し喜んでいる。どんな組み立てか予想できているだれ一人もいないだろう。それに励まされ、ま、今晩ももう少しは頑張ります、まるで受験勉強 の生徒のように。

* 九時になる。機械の光にはもう眼は限界。また明日に。
2019 2/21 207

* 起床8:30 血圧 151-72 (68)  血糖値101 体重64.1g

* 時間多く睡れたが、夜中胸焼けし。水分を攝り、さらに龍角散を用いたが、噎せて咳き、困った。ハと気づいたら、八時半になっていた。
2019 2/22 207

* まだまだ、手が離せない。息を呑み堪え堪えながら読み継いで手を加え、いろいろと思い直している。いつでも通常することで特別な何事でもない けれど、いちばん気を遣う段階で、投げ出すことはできない、躓き躓き、しかし通り抜けねばならない。それに煮た怖い細道を夢で何度か通り抜けたことがあ る。
八時半。疲れた。朝も昼も晩もまともに食べた、食べられたと云えない。よく謂うゲップなんてモノではない、あの十倍も、表現できない凄いツマッた嘔吐音 で食道から空気を吐き出している、一日中。さながら破裂音を吐いては、ぐったり疲れる。食べるからか、食べないからか、分からない。
2019 2/22 207

* 九時過ぎた。もう、いけない。やすむ。
2019 2/22 207

* 起床8:00 血圧 136-68 (70)  血糖値115 体重64.0g
2019 2/23 207

* いい酒が入ると、何あらがいもなく寝入る、七時間半、二時間ときに三時間も。

* 第三部を叮嚀に読み進んだ、最期の最後の大事に想う少なくももう一場面を創り出さねばならない、その仕事の直前箇所まで書き込み書き直し読み直してき た。かけるかしらんともう歳ご案じてきた箇所は乗り切った、と思う。もう少しだ、重いけれどもそこを担いで通り越したい。
眼も眼だが、ものを食べるとすさまじいのどが破裂音をあげて在りもしない空気を吐き出したがる。ときにいくらか食べた物も戻ってきそうになる。これに困惑、これに迷惑する。滅入る。
それでも今夜は、柔らかに柔らかに炊いた妻の握り飯を二つも食べられた。卵のスープも一碗吸った、あとで、えづいたが。越乃寒梅もすこし頂いた。そしてすぐまた機械へ来た。わたし一人が懐かしくて、他の人にはほとんど意味も無さそうな他界へわたしはいそいそと駆け込む。

* わたしはほとんど健常な理性も悟性も喪いかけていて、片脚はもうこっちでない側へ引っ掛けている心地がする。

* まだ先へ行くか。今晩は休むか。すこしだけ階下でお茶を飲んでこよう。
2019 2/23 207

* 九時半。もう今夜はダメ、眼も何もかも働いてくれない。明日の日曜に、また。
月曜は午後一番に聖路加病院へ。火曜からの選集送り出しが待っているから、遊んでは来れない。「選集」29は、せいぜいご縁の久しいしかもこれまで送れてなかった読者へ差し上げたい。なにしろ150册しか作らないのだし、手元にも残さねばならないのだし。
「選集」30は、大勢の「文学・文学者」を読み、また「美術・美術家」を語った大冊になる。対談や講演よりもより直接のことばで読みかつ語っている。やがて初校を戻せる。
2019 2/23 207

* 起床6:30 血圧 140-74 (69)  血糖値108 体重64.8g

* 夢見、宜しからず。

* 揚げかき餅二片、ワインとチーズ二片、小粒の和三盆二粒。独り早起きしての朝食。「マ・ア」も起きてこない。冷え冷え。

* 今日は血のめぐりわるいか、焦れたように筆先が渋り渋り衝っかかってばかり。こういう時はどう疲れようと諦めず、意地になってこっちからも衝っかか る。退がれば追い込まれ、むちゃくちゃになる。わたしは、原稿用紙の時代から、「書けない文士」の見せ場のような、書きかけの紙をくしゃくしゃに丸めて投 げ散らすようなことはしなかった。原稿用紙20行のほとんどが書き損じの真っ黒でも明いて行には文章を試み続けた。破れば負けと。
今日は朝からもう夕方まで、苦戦。
2019 2/24 207

* 米の飯が針のように口に突き刺さっていた。正常の水加減だと云われてもとても米の飯が食えなかった。で、水加減を25%も増したという飯で握り飯にしても らうと、米が柔らかに刺激的でなく、もともと米の飯の好きなわたしが、昨日今日海苔で巻いた握り飯を美味しく食べている。昨日は二つ、今晩は三つも食べ た、ただし、他はもう何も口に入らない。しかし、米の飯が旨いと口に入ってくれるのは久々に嬉しい。鮨屋の鮨飯もわたしには口に障るのです。妻が気の毒。
2019 2/24 207

* 小説を続けたいが、さきに湯に入れと。では、「選集」を校正しながら。中村光夫「日本の現代文学」も読み進みながら。明日の二時過ぎには、暫くぶりに、築地の病院へ通います。

* 湯をあがったあとも機械の前へ来て。小説にさらに場面を加えていった。十時過ぎ、もう今夜はヤメて。
2019 2/24 207

* 起床7:00 血圧 139-73 (73)  血糖値105 体重64.8g

* 明日の「選集」29の納品に備える用意の内、腰を痛めて苦手な力仕事が残っていた。ロキソニンのお世話になりながら、午前中に片づけておかねば。昼過ぎには築地へ出向かねばならぬ。

* 『選擇念佛集』の数行ないし一、二頁に心持ちの静まるのをごとに感謝している。
まだ九時にならぬ。さ、力仕事を終えて来よう。

* 汗っぽい力仕事から、小説へもどってきて、ここはいっそ必要とおもわれる感傷の虚空へ暫時身を寄せていた。が、もう病院へ出掛ける用意に。

* 五時に家に帰る。

* 夕食、うまく入らず。機械の前で寝入る。七時過ぎ。明日からの用、がある。手順にもかなりの変更がある、そのうえに妻は明日が循環の診察日。疲れない ように、疲れないように。そう思いながら、やっぱりわたしは小説世界へしのび入っていた。願ったようには明日までに仕上がらなかったが停頓していたのでは ない、作者の慾も出てきている。ま、ゆっくり遣ろう。
2019 2/25

* 起床7:00 血圧 142-66 (60)  血糖値103 体重65.3g

* 握り飯が食べられるようになり、テキメンに体重が増えている。
朝一、回収の瓶や缶を外へ出す。わが家の酒の瓶の多いことに恐縮する。昨日、医師に、ま、二合ぐらいにと云われてきた。このところ、多いときは五合も減っていた。美味い酒は美味いので。ありがたい。
2019 2/26 207

* 想や描写が、気分ちぎれちぎれになるのは不味く、小説の進捗は「選集29」の送り出しを済ませてからに。
本は重い、石のように。選集はことに重い、三册で一包みを三包みも持って運ぶと腰へ痛みが食い込んで来る。余納分もともに七十包ほども玄関へ受けいれて積むだけでもしんどい。
もう四巻。なんとか元気に創り上げ送り出したい。

* 十時をすぎた。今日は送り出せなかった。もう、寝る。
2019 2/26 207

* 起床7:00 血圧 149-86 (67)  血糖値104 体重64.1g

* 昨日の働きとはいえ体重減り過ぎている。なにかの間違いか。
2019 2/27 207

* 不快症 つまりは不快感に堪えないという病状に罹っている気がする。
小説世界へ戻りたい、ないしは読書三昧に入りたい。

* 二日がかりで五分の三ほどしか、郵便局と新しい契約での送り用意ができなかった、工夫が要りそうだ。
是までは、北海道から沖縄まで一律だった。それが、①都内 ②関東東北北陸東海 ③近畿 ④四国中国 ⑤九州 ⑥北海道 ⑦沖縄 に分別して、それぞれ別料金で送り出さねばならない。煩瑣でありしかも凄いと云いたい合計送料になる。
三十三巻完結まで、あと四回。それでも、何としても、しかと、送り出したい。
九時半。疲れた。もう、床について、やすもうと思う。佳い夢が見たい。
2019 2/27 207

* 起床6:45 血圧 134-74 (66)  血糖値115 体重64.7g
2019 2/28 207

* 昨夜一時頃、異常を感じて血糖値はかれば、覿面に46という異様の低血糖。白砂糖などで処置してまた寝入った。なぜか。素人考えもよろしからず、体感 あれば対応して早速に回復するというばかり。それにしてもこの数ヶ月に、四回は相当な低血糖に落ちている。飲食の傾向と関連しているかどうか。
2019 2/28 207

* さ、今日一日で送りだしが終えられるか、すこしムリか。「東京都内」は人数多く、最期にまわった。
九時 階下へ降りる。

*妻もよく頑張ってくれて、無事に送り出しを終えた。二時二十分。
いつもながら、作業そのものはともかく、郵便局との折衝には神経が疲れる。ほとほと眼も疲れている。ミステークも多いことと嘆かわしいが。

* 次の「選集」第三十巻送り出しまでに(「湖の本」を意図的にすこし間をあけているので)仕掛かりの長編二つの一つを、先ずは心ゆくまで仕上げたい。
「選集」第三十一巻、何を以て編むか、よく考えねば。

* 堪らず寝入っていた。五時半。まだ、グタッとしている。
2019 2/28 207

* 起床6:45 血圧 149-71 (71)  血糖値93 体重64.2g
2019 3/1 208

* 七時すぎ。まだ宵も宵の口、だが、グタグタに疲れている。「寓話」は、とにもかくにも難所を通り越してきた。その気なら今晩にも仮のエンドマークがつ いている其処まで「読む」だけなら読み上げてしまえる。しかし、もう少し腹をくくって其処へ行き着きたい。逸るまいと…・

* 選集でほぼ作だけで520頁ほどでおさまるだろう、選集は400字用紙の頁2枚に当たる。1000枚はすでに越えているが、搾れる限りは搾りたい。急 ぐ必要はない。少し温存して『清水坂(仮題)』を再稼働!に懸かるのも良い。腹にある別の新作にしかと色目を遣ってみるのもいい。
何にしても健康と視力だ、近所の眼科へ通おうか。
2019 3/1 208

* 起床6:15 血圧 149-71 (71)  血糖値93 体重64.5g
2019 3/2 208

* 起きぬけの手は冷たい。右手にだけちっちゃな手袋を暫く使っている。
2019 3/2 208

* 起床7:15 血圧 152-78 (65)  血糖値103 体重64.4g

* 起きているのか寝た心地なのか分別なく午後になる。
2019 3/3 208

* 湯を遣い 夕食し ただただ睡くて寝入ってしまう。芯から疲れ切っている。目が覚めて九時だが、今夜はこのまま寝て仕舞いたい。
2019 3/3 208

* 起床7:30 血圧 155-84 (66)  血糖値107 体重65.1g

* めずらしく夜中一度も手洗いに立たず、ふと目ざめて、そのままま起きた。いま九時半、機械がやっと稼働。やれやれ。
2019 3/4 208

* まだ八時半なのに、眼が利かない。強いて進むと額の左右に固い痛みが来る、ムリが利かない。もう、持たない。
2019 3/4 208

* 起床6:45 血圧 164-91 (69)  血糖値91 体重64.9g
2019 3/5 208

* 散髪屋の九時開店前に出向いて寒い中で待っていたが、今日は休みと。
2019 3/5 208

 

* そばでラジオを再開したが、何番組か知れない、デスクジョッキーと音楽とが連続するらしい。おしゃべりの独特な風を、聴き流している。別世界に片脚を踏み込んだ気分になる。

* 江古田の歯科へ。帰りに、銀行から幸四郎へ歌舞伎座の券の支払いをすませ、はじめての魚の店「魚功」へ入ったのが成功、珍しく「魚」をしっかり二人で食べた。いい店だった。ネコ・ノコ・黒いマゴのために鉢植えの花を買って帰ってきた。

☆ 色川大吉先生、同志社国文学教授田中励儀さん。今治の木村年孝さん、作家の杉本利男さん、調布の中野完二さん、それぞれにいいお便りがあった。が、 転写紹介の視力が無くなり、残念。他に、奈良女子大、神奈川近代文学館、昭和女子大日本文学科、早稲田大学図書館からも受領の挨拶があり。
2019 3/5 208

* 起床6:00 血圧 152-80 (75)  血糖値97 体重65.8g

* しっかり魚貝を食べてきて体重を戻している。血糖値は上がっていない。今朝は胸焼けも全然無かった。六時には床を出た。テレビの報道はみな血なまぐさくウ ソくさく。朝早のテレビ各局爽やかに企画してもらえぬか。世界はなまぐさく動いていて、そうは行くまいが。

* 法然「和字選擇集」を読み進んで、気分を澄ませる。

* 九時 予約の散髪屋へ自転車で走る。明日は歌舞伎座へ。今年三月は、天皇・皇后最期の「平成」三十一年中のわたしたち結婚六十年、皇太子夫妻としてのご成婚より、ホンのすこし、われわれが早かった。よくぞまあ、六十年。感謝も感慨も深い。
2019 3/6 208

* 起床6:30 血圧 153-76 (69)  血糖値98 体重65.0g

* 機械に向いているうちに、胸を左右から強烈に締め付けてくる息苦しくもきつい痛みに仰天、かろうじて妻の舌下錠「ニ トロ」をもらい、辛うじて切り抜けた。何故か分からぬまま、恐怖を覚えた。「ニトロ」で苦痛を躱した体験は長い過去に二度三度あったけれど、今朝のような 胸を絞って強烈に締め付ける痛みは初体験、仰天した。ま、「ニトロ」の御蔭で落ち着いたので、すこし怖かったが、歌舞伎座へ。

* 歌舞伎座、孝太郎と鴈治郎の「女鳴神」 幸四郎の一人舞台「傀儡師」は、二つとも、つい、うとうとした。大切りの「ども又」をさすがに白鸚が、そして女房 の猿之助がもらい泣きさせるみごとな舞台を充実の演技と感動で実現してくれて、感激した。あまり好きでない演目であったのに、大高麗屋と巧者の澤潟屋とが 実力の共演かつ競演でしっかり盛り上げてくれたのには、感謝を覚えた。

* 帰りの寄り道も西武地下の「寿司政」で好きなだけを握らせ、菊正宗一本を明けてきた。
2019 3/7 208

* 起床7:00 血圧 157-80 (58)  血糖値104 体重65.7g

* 午前十一時前、ひたすらに睡い。

* 一日中 なにとなく混乱気味にすごし、眠気に惹かれて寝ていること多し。零時近くなって機械の始末をした。
2019 3/8 208

* 起床7:30 血圧 150-82 (70)  血糖値108 体重65.2g

* もうずうっと、花粉に鼻をやられていたと気が付く。風邪かと思い、熱は出ないのにと案じていた。

* 就寝まえ、あしたは出掛ける何用もないなと確認できると嬉しくなる。外出用がいまは拘束と感じられるから。なーんにもしなくても咎められるわけでなく、だから仕事に好きなだけ向き合える。この歳になって覚えた幸福である。「幸福を追わぬも卑怯のひとつ」。

* かるーい頭痛があるか。風邪も、か。
2019 3/9 208

* 天皇さんはじつに立派な平成天皇として皇后さんとともに日本の敗戦後にまっすぐ生きてこられた。退位されても立派な上皇陛下としてお揃いで御長命が願われる。
わたしは退位のできる立場にない、その気もない。命の果てるのを、読み・書きのまま迎えるだけ。頭と手とがせめて長生きして欲しい。
2019 3/9 208

* 起床7:30 血圧 147-77 (65)  血糖値79 体重65.7g

* 二度三度機械の始動に躓いた。やれやれ。

☆ 肝を冷しました。
ご無事に歌舞伎座からお戻りで何よりでございますが、歌舞伎座ではなく 病院に直行なさるべきだったと、半ばあきれながら 本当に心配しております。
おどかすようですが、心臓の強い痛みは心筋梗塞の前兆の可能性もあるのではと存じます。明日病院で診察をお受けください。聖路加までは遠いので 奥さまのかかりつけの病院でもかまいません。次に同じような痛みがきたときには、ニトロだけですむでしょうか。

わたくしの切なるお願いです。まだまだ完成させたいお仕事がおありなのですから、そしてご家族のためですから、どうかすぐに、明日病院で検査をお受けください。

それから次にもし同様の強烈な痛みが来た場合、便意をもよおすようなことがあればその場でもらしてください。以前お医者さんがそう書いていた記事を読みました。トイレにいったら命とりとのこと。心筋梗塞の特徴だそうです。奥さまの場合も同じことです。

明日は月曜日ですから、どうか診察にいらしてください。検査で何もなければ安心できます。とり急ぎのお願いです。 春  一つ根に離れ浮く葉や春の水  虚子

* 恐縮です。ありがとうございます。
根っからの病院嫌いで 行かずに済ますヘリクツばかり育んでいます。
十三日に聖路加へ行きます、内分泌科の血液と尿の諸検査があり、その評価と指導をうけておいて、結婚の満六十年を自祝、ついで二十二日、カメラ等々腫瘍 内科七年目の検査を受けます。問題が有れば否やもなしの入院でしょう、それまでに、新しい長編を、活字にしてしまえるよう用意を終えたいと。
ありがとうございます。いま、脈は確かにきちんと打っています。疲れは拭いようありませんけれど。

* すべき仕事が、創作と編輯とで輻輳してくればくるほど、交通整理にアタマを使う。編集者時代からのわたしの基本の方法といえる。これをしくじると見境いがつかなくなり全てが雑然となる。

* まだ十時過ぎだが、機械仕事からは撤退し、安眠のために落ち着きたい。夢見のわるさで疲れるのは叶わない。しかし床についてほんを読んで、電氣をけしてから、つい、いろんなことを場面として展開として想像する。静かな心でいないので夢見はややこしくなる。やれやれ。
朝、やれやれ。夜も、やれやれ。よくない。
2019 3/10 208

 

* 起床6:40 血圧 163-78 (73)  血糖値95 体重65.5g
2019 3/11 208

* 起床6:40 血圧 147-81 (67)  血糖値88 体重65.4g

* 機械の目覚めは、ひたすら「待つ」のみ。急くと、混線してしまう。
2019 3/12 208

* 新作の長編 昨夜11:45 一通りの原稿整理が出来た、けれど、まだ手放せない。今日も、さらに集注したいが、十三日は病院の診察日。
そして十四日は、「結婚満六十年」 歌舞伎座を二人で楽しむだけ。
六十年めは、「ダイヤモンド婚」と謂うそうだ。

妻をえて六十年生きてダイヤといふ
宝石になんぞ触つたこと無く      恒 平

とっておき、時代ものの「オールド パー(=老いボケ)」で祝うか、呵々。

* 二十日からは、二十二日に胃全摘後満七年の諸検査を受ける心用意に入らねば。

* 馬渡憲三郎さん、熟れてきた土佐文旦をたくさん下さった。

* 腹に圧を感じ、今日はあさから左頤の根にぐりっと痛みが抜けない。
なにであろうと立ち止まっていられない。

* 夕食のあとまた機械の前へきているが、とかくすると寝入っている。明日は余儀ない外出、疲れきらぬうちに心身をやすめたい。左頸の根が無気味に痛む。気の晴れる何か無いモノか。
2019 3/12 208

* 起床7:30 血圧 149-77 (69)  血糖値106 体重64.4g
2019 3/13 208

* 聖路加への途中、左胸に圧を感じて不安だった。腫瘍内科(主治医)に近状を告げる手紙を持参し、二十二日の検査に心電図を加えて欲しいと依頼。
内分泌科で、最近の低血糖連続と心臓部の急の痛みを告げる。インシュリン注射の夕食前分を中止し、日を改めて心エコー等の新たな検査を予定、診察も三ヶ月間隔だったのを一月後に予定。
ま、わたしの持論だが、病院へ行けば新しい病気にしてもらいかねないが、ま、念を入れて検査して貰うのは必要だろう。入院騒ぎにならぬ程度で状態が分かるようにと願っている。病院通いが増えた。

* 院外薬局での処方薬を受取り、なんだかワケわからず病院から築地本願寺、歌舞伎座、松屋などへ、ボー然と歩き続けて、何一つ食べる気にならず、銀座一 丁目の地下鉄へ降りる間際の店で、転院にウサンくさそーに見られながら、明日の「結婚満六十年」へ気持ちばかり、妻に、花やかに長ーい軽ーい、何というか 襟巻きのようなものを見つけて買った。明日の歌舞伎座行きにうまく纏えるだろうか。とても、むさい爺いの買い物とは、若い女店員には見えなかったようだ。 九千円ちかく。へえ、高いんだと感心した。

* 実に実にめずらしく、今日の病院通いに校正するゲラが無かった。で、読みかけていたトルストイの『復活』を持って出た。いやもまう、抜群に読ませる。 飜訳の日本語がしっかりのキマッていて、格が高い。著名な翻訳家の日本語は、まことサマになっている。トルストイの小説の運びのみごとさにも感嘆する。読 んでいて嬉しくなる。作に止まっていない、匂い立つほどに「作品」があるのだ。

* 銀座一丁目で地下鉄に。五時半にもなっていて、満員、それでも席を譲ってくれる女性があり、小竹向原まで立たなくて済んだ、有り難かった。よほど弱って見えるか、いつ外出しても九割がた席を譲って呉れる一に恵まれる。有り難い。
2019 3/13 208

* さ、明日は、好きな「盛綱陣屋」などの歌舞伎座を、六十年の「ダイヤモンド」と楽しんでくる。
2019 3/13 208

* 結婚満六十年 「ダイヤモンド婚」とやらを、朝、赤飯と、もづくの汁で、ふたりで祝う。

けふの日を稀有のふしぎとよろこびて
数かさね来し春をことほぐ
菱田春草画 帰樵によせて
老いまさる心の萎えは労はりつ
はげましつ夕焼けの山を下りゆく    恒平

* 手のとどく近くに、戴いたカレンダーから切り取った春草画の「帰樵」を、日々にいつもしみじみ眺めている。微妙な色彩の夕焼けいろがわたしのンメラでうまく写せないのが残念。

* 起床7:30 血圧 137-67 (64)  血糖値106 体重64.7g

* 風邪というより、強烈に花粉に目も鼻ものどもやられていると気づいた。
胃全摘のあと数年は 花粉症を感じなかったのが。戻ってきたか。
2019 3/14 208

☆ お元気ですか、みづうみ。
昨日の病院ですが、「心エコー」の予約だけでいらしたのですか?
専門医師の診察ならびに現況の心電図をとるという最低限の検査はなかったのでしょうか。急ぐ必要はないという医師の判断であれば ひとまずの安心ですが、痛みがおありの場合 ふつう心電図くらいとるものではないかと思います。
もし簡易検査もなかったのなら、ご安心なさるためにも、お近くの病院でよいので至急ご受診なさるべきだと思います。
それから ニトロは 奥さまからもらうのではなく、ご自身ですぐに服用できるようにいつも携帯なさるべきでしょう。
お節介ではございますが、この件書かずにはいられませんので、どうかお許しくださいませ。
今日の晴れやかな青空は ご結婚六十年を寿ぐものでございましょう。

どうぞ楽しくお幸せなお二人の祝日をお過ごしくださいますように。そしてくれぐれもご無理なさいませんように、お元気にお戻りください。  雲  少年の見遣るは少女 鳥雲に   中村草田男

* ありがとう存じます。
2019 3/14 208

* 「雲」さんの警告が的中 歌舞伎座で、体調不安、「盛綱陣屋」はかろうじて観たが、つぎの所作事「雷船頭」を終えたところで、のこる高麗屋父子の出揃う 「弁天娘女男白波」を、稲瀬川勢揃い 景気よろしくと大いに楽しみにしていたが、急遽失礼し、日比谷のクラブで食事や休息もみんな諦めて、そのままタク シーで帰宅した。間近い聖路加とは分かっていたが、救急へ跳び込むのはイヤだった。家に帰って、すぐ床に就いた。
2019 3/14 208

 

* 起床6:30 血圧 149-70 (57)  血糖値92 体重64.7g

* 昼夜通しでも平気で楽しめた歌舞伎を、演目二つを辛うじて見えぬ眼で観たのがやっと、メインの大切りを失礼し、飲まず食わず、家までくるまで帰ったなど、初体験。ほんものの老後開幕か。ま、ふつうの成り行きと受けいれる。

* 平常心で、とにかくも、いまのうちに長編の脱稿に集注したい。
諸検査は、腫瘍内科二十二日の上部消化管内視鏡検査や心電図などから始まる。ひきつづいて別の日に内分泌科糖尿低血糖関連の心エコー等の検査が続く。

* 「病院へ行くと、新しい病気を呉れる」というわたしの持論と苦笑が、この先でわるく実現しませんように。いままさに小説のなかでも、同様のそんな所感に触れて書いているのを読み返している。

* あーあ。ふらーっと、ひとりで京都へ帰ってきたいナ。大好きな、わたししか見たことの無いような山中一本の大櫻満開が、目に見えてくる。
古い家屋ではあったが、売らずに持っておればよかったなあ。

* 鼻へきていると感じていた花粉症がモーレツに眼へも来始め、仕事にならず泣いている。
もう十五年ほど以前か、上野の博物館へ行っての花粉の烈しさに仰天した覚えがいまもって猛烈だが、あんな事になったら堪らんなと歎きながら原稿を読み進んでいる。
2019 3/15 208

* 十一時。もう、最後の場面へまで来た、明日には読み上げられよう、か。

* 寒気と、ひどいくしゃみ。眼、痒い。もう機械の字が読めない。
2019 3/15 208

* 起床8:20 血圧 153-75 (63)  血糖値100 体重64.8g
2019 3/16 208

* 体調は朝から、芳しくはない。朝食も、バナナを一本だけ、抹茶を、自分で点てて二碗。下半身が冷え込む。
十時過ぎ。自身憧れの小説世界へかけこもう、隠れてしまおう。現世のザラザラにはもう飽き飽きしている。

* 昨日、地元で、久しくご厄介になっていた眼科の佐藤先生からお菓子を送って頂き、真実恐縮した。眼はサンタンたる状況のママ聖路加眼科にかかっていたが、愛想が尽きて行かなくなり、しかし佐藤先生へ火曜には微妙に遠い距離がつらくて久しく行ってないのである。
いま、この機械の側のおおきな笊に、なんと十個の眼鏡が雑居していて、現にもう一つ最新に調製の眼鏡をかけているが、どの一つも視力に合っていない。最新の眼鏡すら、今や、眼から三糎も浮かせば鮮明で、普通に掛けては視野が曇っている。ほとほと諦めてしまっている。

* 医学書院の編集者時代に「臨床眼科」という月刊誌を担当したこともあった、が、その頃から、なんとなく医学のなかで眼科学というのが一等頼りない、眼 の外側へガラス玉を添えて能力を補助しているだけのように信頼感が薄かった。どうもその罰が当たっている気がするが、とはいえ、眼鏡というモノの高価と あっけないほどの役立たずは、あまりに情けない。縁を切ってしまうことも出来ない。ほとほと困惑しています。
2019 3/16 208

* 胸苦しさがぬけず、かるい頭痛もぬけない。睡りたいが、なかなか、そうも行かない。病院へは行きたくない。病院では、仕事が出来ない。
秦の父も叔母も母も、病院や施設で死なせた。無残で、なんとも申し訳なかった。
2019 3/16 208

* 茫然、このまま睡りに落ちそう、で、睡れない。心臓に、人の掌がひたと置かれた鈍い感触。ずうっと根をつめてきた疲れか。病変か。

* 機械の転送機能に不安あり、どうなるか。コンテンツの全部、別に保存はしておいたが。

*とにかくも入稿だけでも無事にしたいと。懸命にややこしい機械と話し合いの交渉を続けている。
2019 3/16 208

* 可能なら、からだは懈いしニトロの世話になりかねないけれど、明日、戸外の空気を吸いに独りで出かけてみたい。気分転換のためにも。
妻も、どこへ7o出かける用があるらしいし。弁当になる太巻寿司も夕方、買っておいた。

* 十時半。もう、休まなくては。
2018 3/16 208

* 起床8:20 血圧 155-80 (63)  血糖値96 体重64.7g

* 花粉にはギャフンだが、家に独りは今はイヤで。

* 「選集 第31巻」を、もう思い切って入稿しておいた。全身気怠く重いが外出する。うまく気が変わるといいが。

* 横浜中華街行きが来たので乗ったが、とてもとてもそんな遠くへはしんどく、池袋で降り、もう疲れきっていたがそのまま上野方面へ乗って居眠り。鶯谷か らタクシーで浅草へ、肉でもと思ったがとても下車の元気なく、そのまま有楽町まで。下車してもなにも食べたい元気なく、目の前雑沓のビックカメラにふらっ と紛れ込んだ。カメラのための専用電池をと地下二階へ。しかし。そんな電池はとうの昔から製造していないと。仕方なく、五階へあがり、故障して動かないプ リンターの代わりを店員に教わって買った。送ろうかと云われたのに持ち帰ることにした。けっこう大きくて重くて、「きく川」で鰻でもと思ったが、みな時間 外の閉店。ヘトヘトのまま有楽町から直通の電車で保谷へ戻った。三木さんの『今物語』が興深くて助かったが、保谷駅では疲労困憊。タクシーが待っていてく れて辛うじて帰れた。妻も帰っていた。煎茶で軽食はしたが、心身グッタリ。やっと二階まで買ってきた機械を持ち運んだ、もう五時。このまま、寝る。
歩け歩けと云われるが、まるで歩けなくなっている。しかし『今物語』も杜翁の『復活』もおもしろい。

* このぶんでは、フラッと新幹線へとびのって、京都へなど、夢の夢のよう。なにより視野があまりに暗く濁っていて、ホームも階段も危い。
さ、せっかく買ってきたプリンターが、うまく、チョー古ぼけた機械に接続し作動してくれるかどうか。それもとても今は荷をあける気にもならない。

* 留守中、メールで、まことにモットモに、モーレツに、叱られていた。
もし妻の体調がこうなら、仰有るよう慥かに、引っ担いでも病院へと思う、まったくその通りと思 い、お叱りに感謝しいる、のだが。
それでもわたしは病院より、日曜の人出の街へひとりで出て行った。
妻は従姉を中野の病院までお見舞いに行き、しかし従姉はもう退 院していて、「から振り」だったと。かなり笑える。
胸は重い。腹は渋い。ガスは抜けている。便意も尿意もまともにある。
要するに、ただ、シンドい、ので、寝に行く。

* 食欲無く、横綱相撲の二番も見ず、五時半から、二時間近く寝ていた。
寝ると、とにかくも視野は明るくなる。生き返った気が少しする。そのまま機械へ来た。
2019 3/17 208

☆ 鴉に
HPを読んで。
叱咤激励の言葉を書いても鴉は聞いてくださるでしょうか。
鳶は茫然と言葉を失いそうになります。
お身体の平穏を何よりも祈ります。
そして納得いくまで仕事を進めていかれるよう。
今日関西から戻りました。東大寺のお水取りも見ました。京都、まだ寒かったです。 尾張の鳶

* 鳶は、トビ舞われて、まこと羨ましい。ま、鴉のわたしよりも十ほどは若いといえども。
そういえばわたしの今より十あまり若かった喜寿には、京の南座へまで芝居を観に出かけたのだった。
京都はまだ寒いと。わたしはこのところ始終「寒い」。二階で25度にも暖房していて、背に膝掛けを巻いて胸でとめている。階下へ休息におりると暖房が 切ってあり、震えてまた二階へ逃げる。寒がりでもあるが、いまは体熱を疲労に奪われているのだろう。十一時になる。もう、寝よう。
2019 3/17 208

* 起床7:20 血圧 167-80 (59)  血糖値104 体重64.7g

* 一時 血圧の低いのが気になったが、このところかなり高め推移している。
2019 3/18 208

* 九時半。もう機械を離れる。眼を休めねば。
2019 3/18 208

* 起床7:30 血圧 160-83 (68)  血糖値103 体重64.3g
2019 3/19 208

* 「亂聲」には、新作長編『オイノ・セクスアリス  或る寓話』のため、作者自身を鼓舞すべく、想像の限りをつくしたモーレツな試作歌がならべてあり、お行儀のいい方々にはとてもお勧めできない、顰蹙を買うだけと警告もしてある。
それもあり、この「老いの・性的生活」を寓話として書き上げた長編新作は、森鴎外先生唯一の発散作「ヰタ・セクスアリス」のあとを慕って発禁などという厄はさけたく、「非売本」の「選集」へ入れてしまうと決めた。
これまでも、自分もふくめ200部(150部限定)しか製本していないが、それだけの「装幀・造本」であるとともあれ自負している。願わくは収録の中味も相応した仕上がりでありたいと、ま、懸命に努めてきました。

* 一方、相次ぐ予定の『清水坂(仮題)』は、或いは早い時機にまず「湖の本」で発表し、「選集」最終巻 になる第三十三巻に、まだしゅ収録されてない小説の何作もと併せ締めくくりたいというのが我が皮算用である。そのためには、何より、健康な気力と想像力 と。癌の胃全摘から、満七年を恵まれた。三日後に、腫瘍内科で、上部消化管の内視鏡や循環系の諸検査を受け、四月三日には内分泌科で心エコー検査も受け る。一つ一つ、また一つ一つ。
2019 3/19 208

* まだ八時半だが、どうしてももう眼が見えない。機械から離れる。寝るか。テレビでも「聞く」か。
2019 3/19 208

* 起床7:15 血圧 142-74 (70)  血糖値100 体重64.0g

* 眼痒く 鼻はむずむず。花粉の猛威、ぽかぽか天気の予告につれて襲来。
2019 3/20 208

* 起床8:15 血圧 127-74 (71)  血糖値90 体重63.2g

* 体重、胃全摘後七年の最低値にちかくなった。あまり、食べていない。白粥一膳に味をつけ、もずくのスープを一碗、二碗ほど。時にたらの芽の揚 げたのを美味いと感じる。間食も減っている。酒も無ければ呑まない。以前のわたしは時として食べたいために生きているのかと我ながら失笑したが、今は、美 味しく食べられる何かないかと思いあぐねるほど。妻はさぞ困っていよう。
2019 3/21 208

* さて、いよいよ明日から、去年いらい予定のカメラ等の検査が始まる。検査は、しないよりした方がいい。
わたしは人間ドックなど思ったことも無かったのに、ある診察日に零れたようにこの言葉を口にし、医師は即座に予約を入れてくれたのが、なんとお正月の五 日。その日の一発の検査で二期胃癌確実と診断されたのだった。むかし医学書院で永く専門誌「胃と腸」発行の責任者だったわたしは、「胃癌」の「まだ二期」 ならなんとかなると思い、むしろ手術日の早いのを望んだ。すでに満七年を無事に過ごしてきた。だが、人体は胃や消化管だけでは無いのです。きちっと検査を 受けたい。

* 八時。明日の検査が済むまで絶食。 明日は朝が早い。もう休む。
2019 3/21 208

* 起床6:00 血圧 145-79 (72)  血糖値99 体重63.8g

☆ 明日の
カメラ、無事 痛みなどなく終えますように。お休みなさい。  尾張の鳶

* ありがとう。カメラ体験、数度目か。神武 綏靖 安寧 から大正 昭和 平成 までを数回諳誦していると終えます。

☆ 病院に行かなければ
絶対癌にならないというジョークがありますが、そんなことをしていたら生活の質が耐えがたくなるだけです。必要なことはさっさと済ませて、いつものみづうみの一日をお過ごしになっていただきたいと願うばかり。
心エコーの前に心電図だけでも早めにと思います。
本日の検査、良い結果で無事に通過しますことを切にお祈りしています。
すっかり春めいた良いお天気ですが、花粉症対策万全でお出かけください。
霞  一斉に衝きだす鐘の霞みけり  虚子
66ghf
* 感謝。花粉症「対策万全」如何に。教わりたし。惨憺。
初櫻 罪はわが前になげに咲く  みづうみ

* 八時四分の新富町行きに妻と乗り、満員の中で席をゆずってもらい、指定よりはやめに病院入りして、心 電図をとり、問題なく、次いで内視鏡をのみ、問題なく、しかし腫瘍内科での診察では、「癌」「悪性腫瘍」の心配よりもいま遙かに心臓の安定が大事、すぐに も循環器科へかかるようにと。即座に、腫瘍内科部長から循環器内科部長へ初診の申し入れもされた。先生の曰く、癌や腫瘍などはともあれ続けて打つ手がある が、心臓は「急変の懼れ」があるからと。まことにモットモな警告で、腫瘍内科の次診は半年後、循環器の初診はこの四月早々にと決まって帰ってきた。
眼科受診を抛擲し、感染症内科は卒業したのに、また一つ新たな通院が加わった。
聖路加病院はまことに清潔に美しく明るい病院で、その点は気も晴れ行楽気分でさえ通える、とはいえ、糖尿、前立腺、腫瘍内科、それに心臓不安の継続受診とはやはり重い荷物。
病院へ行くと、新しい病気を呉れるとはわたしの皮肉にひがんだ感想であるが、当たらずとも遠くはない。
さて次は、近日中に「心エコー」検査に出かけ、すぐ日を変えて低血糖の続いた内分泌科へねじを巻かれに行く。否応なく歩きに出るわけです。運動運動。

* 食道上部に異変をやや案じていた不安が綺麗に否定されたのは、有り難かった。

* 妻と築地を歩いて、木村屋本店で自慢のサンドイッチを買い、近くの「宮川本廛」で絶品の鰻蒲焼きと、いかにも鰻屋らしいうまい酒を楽しんで、一路、車中寝たまま帰ってきた。「マ・ア」大喜び。やはり疲れていて、二時間ばかり床に就いて寝入った。
2019 3/22 208

* 十一時。温かな一日だったのが、冷えてきた。ゆっくり睡りたいが、夢にも、「清水坂」の古来今往を、物語りながら歩きたい。私ならではの物語り方をさらにさらに見出して行きたい。もう、ほんとうに良かろう、好きに好きに書いても。語っても。一厘の損得もかかわりない。
2019 3/22 208

* 起床7:45 血圧 146-72 (61)  血糖値88 体重63.7g
2019 3/23 208

* 今日も濡れ衣のような疲労に、二度三度寝入っていた。もうそれは、効果の服薬と思い、受けいれている。
十時。もう階下へ。

* そうそう、この半月ほど、はやくに亡くなった安田武さんの岩波新書で『昭和青春読書私史』を時にくすくす笑いながら頷き頷き、あまりによう似ていると思い 読み継いでいる。ことに『モンテクリスト伯』や漱石に始まっているだけでなく、たとえば田山花袋への接近と、人と作品の評価が変化して行く経緯など、あま りにもわたしの実感とぴたっといっしょなのに嬉しくなっている。
このことはまた書く。もう眼が、だめ。
2019 3/23 208

* 起床7:45 血圧 146-72 (61)  血糖値88 体重63.7g

* 今朝は思い切り冷える。暖房しながら膝も背も蔽っている。
2019 3/24 208

* 起床8:00 血圧 152-79 (70)  血糖値87 体重63.2g

* いくらか、ぼーぉッとしている。寛いでいる気でいるが、朝から疲れているのかも。倚子に腰掛けた両脚が25度暖房の狭い部屋でも冷え込む。左胸に軽くしかし衝き立って来る痛みがある。姿勢がわるいのであろう。
2019 3/25 208

* 心身ともに、苦しいほどでないが、重い。懈い。睡眠は足りているはずだが。気が晴れない、外気が吸いたりないのだろう。三時。また寝入っていた。
2019 3/25 208

* 一時間を超すゆったりとした入浴で、からだの懈さがやや抜けた。十分な水分をそばに用意して、のぼせないように気をつけている。

* 終日気怠く、入浴、『復活』と『蘭学事始』をゆっくり読んで休息した。
2019 3/25 208

* 起床8:00 血圧 128-74 (67)  血糖値100 体重63.2g

* 機械クン、容易に動き始めてくれない。ひたすら、待つ。辛抱が、一。
2019 3/26 208

* 七時すぎ、となりで妻がピアノを鳴らし、夕食を食べ損じてきつく噎せたわたしは、あと、睡魔に身を寄せていた。成るようになるのだという気分が働いている。抵抗すると苦しくなる。夢をみるのも時にいい道案内になる。
2019 3/26 208

* 十時過ぎ。もう眼が書き仕事はさせてくれない。あとは、思案また思案。
2019 3/26 208

* 起床8:10 血圧 159-85 (81)  血糖値96 体重63.2g

* 今朝も、機械クン、容易に動き始めてくれない。ひたすら、待つ。辛抱が、一。
2019 3/27 208

* 起床7:50 血圧 141-75 (69)  血糖値101 体重63.5g

* 目が痒いので目を閉じてしまう。瞑目の時には相応の功徳と安静があるが、仕事が出来ない。
2019 3/28 208

* 起床7:40 血圧 145-73 (56)  血糖値97 体重63.6g

* 午前、少しうたた寝もしていた。寝るのを、少なくも気持ちは拒んでいない。睡れるのは有り難いと思っている。
2019 3/29 208

* ひたすら睡りへ落ち込む一日だった。抵抗しかねる。
2019 3/29 208

* 起床7:30 血圧 157-86 (73)  血糖値101 体重63.4g
2019 3/30 208

* 睡い。終日うたた寝している気がする。
2019 3/30 208

* 起床8:15 血圧 161-89 (70)  血糖値100 体重63.2g
2019 3/31 208

* グタッとし、仕事が停頓ぎみ、前作に必死に齧り付き寄せ切った疲労が抜けないか。いらつかないで、花見にでもと。
明日、江古田二丁目の歯科へ。あの大通りは豪快な桜並木になっている。満開に近いだろうと、期待。帰り、その脚で街へ出ようか、とも。
わたしたちの唯一と謂っていいゼイタクは、日比谷のクラブで二十年余も会員であることと、しかも出向くのは年に多くて十回あるか、少ない年は一、二回しか行かずに、一年一年終えていること。
行けば美味い洋酒が、多いときは三種も置いてあり、食事も好きに美味い物が選べる。今年度は、しかし、度も通ったろうか。
ゆけばゆっくり寛げる。気持ちよく迎えてもくれる。ペンクラブや協会へ出向いていた時代は、東京會舘での会合のあと、よく独りで気軽に、隠れに行った。独りの時はよく校正がはかどった。

* 仕事にならない今日一日だった。心身共に不調。抵抗できなかった。
やがて、十時。弥生尽。
睡りたい。
2019 3/31 208

* 起床7:15 血圧 172-84 (60)  血糖値95 体重63.3g
2019 4/1 209

 

* 神戸歯科へ。江古田二丁目のバス通りは大木の櫻並木が満開に近く。
帰り、江古田の「中華家族」で、マオタイをダヴルで二杯、まことに美味し。
妻は、マーボー豆腐と酢豚。妻が大のお気に入りの店。すっかり馴染んで、家で食事しているよう。マオタイを常備し呑ませてくれる店は、いまどき東京でも、絶無に近い。
2019 4/1 209

* 起床6:45 血圧 172-84 (60)  血糖値95 体重63.3g

* 「マ・ア」に起こされ、早く機械の前へきたが、機械は容易に云うことをきいてくれず、一時間ほど辛抱よく待っていた。

* 気怠い体調のまま、ややこしい作業を、郵便局への自転車走もふくめ、あれこれし終えて、もう四時半。ぐったり。
明日はまた築地へ。「心エコー」とやら。何が飛び出して来るやら、新しい病気など贈り物に呉れませんように。
湯に漬かって、せめて20頁ほども再校ゲラを読みましょうか、それとも『復活』を読み継ぎましょうか。この六月の桜桃忌まで、よほどモノスゴク煽られつ づけそう。比較的わたしは梅雨入りには負けないが、逆に妻は五月六月にへばることが多く、それにも神経を病む。やすやすと暮らしたい。

* 十年がかりの長編の二つが錯綜し、身の回りに関連の参考資料や試筆やメモや地図・地誌の類が混在し幾山にもなって気が狂いそうなので、入浴後だった が、時間かけて整理と分別とをこころみ、なんとか二た山に分類した。さてそれですぐ効能があらわれるでもなく、湯冷めして心地悪くなってきた。
明日の通院・検査のために、十時半、もう機械を離れる。
2019 4/2 209

* 起床6:45 血圧 112-69 (105)  血糖値115 体重63.1g

* 血圧測定値の前日との差異が目立つ。体重、術後七年の最低値。血糖値のことは分かっている、前夜床に就く前に、小さい猪口ではあるが三盃呑み込んで寝た。胸焼けはせず、一度も起きず、朝の尿意で床を離れた。

* 天気はどうか。 昼前から、聖路加病院へ向かう。今日は診察なしの「心エコー」検査だけ。天気が良ければ隅田川の櫻を眺めてきたいが。
なにかしら、現世というではなく、今日の日本にも人間世界へも掴んでいたものを手放してしまったような失望感がある。隠栖への思いが兆し始めたのか。
2019 4/3 209

* 隅田川の花見もかねて、つまと聖路加病院へ。わたしは一時半から三十分ほど「心エコー」の検査を受けた。心電図とも併せての診察診断などは十七日に、内分泌科で。
晴れ晴れと好天。寒いというほどでなく、櫻はどこも、よく咲いて七、八分か、病院の別館から河原へ出て大 橋を佃島へ渡り、佃煮や塩昆布など買い、河岸の桜並木を嘆称のあと、ふと見つけた「シェ・モア」という店で、遅い午食のピザに、ビールと佳い赤ワイン二種 を。そして気分良く、コーヒー。教わった道を月島へ戻り、有楽町線でスーンと帰ってきた。ま、ひどくは疲れずに済んだいい花見でした。
2019 4/3 209

* 八時。鈍い頭痛で、情けなく疲れている。妻の方がさほどもなく帰り着いた。
明日はなにも外用が無いと思うとほっこりと安心する。こんなことではハナシにならない、思い切って少し遠くまでと思うが、仔猫(とも、もうとても云えな い)「マとア」とに永い留守番は、元気ハツラツだけにかえっておっかない。独りでとなると、わたしはケイタイという機械すら一度も所持したことなく、物騒 なメイワクをかけたくはない。やれやれ。
2019 4/3 209

* 起床8:00 血圧 125-70 (77)  血糖値104 体重63.2g
2019 4/4 209

* 心身の萎えたような疲労に負け、睡眠へ沈んで過ごした。しゃきッと目が明いてられない。
2019 4/4 209

* 起床8:00 血圧 134-64 (77)  血糖値89 体重63.0g

* 妻、八十三歳に追いつく。めでたい。五月六月の不安定気候をつつがなく乗り越えて欲しい。お祝いの赤飯が歯痛で食しきれなかった。わたしの食のほそいこと、無きに同じい。

* 夜中、上左の歯茎腫れて痛み、ヒノポロンでしのぐ。あけがた胸焼けた。へんに視野がほのくらい。
朝食後 ロキソニンでいろんな痛みおさえる。卓効あり。
昨日は、ほとんど寝て暮らした気がする。一昨日、8800歩の出歩きが堪えたか。
夜中の夢に、弥栄中学の頃の給田みどり先生を、京都の頃の家に迎えたはいいが、押入れ内の梯子段をあがったところの祖父の箪笥の前へ座布団をだし坐って頂いたのは何とも奇妙。箪笥の中のいろんな祖父蔵書について辨じていた気がする。
ほかにも妙な夢をみていた感じ。忘れている。
2019 4/5 209

* いわば栄養失調ということか、ガックリと困憊し、起ち振舞うのも億劫で。成ろうなら寝入りたいが、そうもならない。妻の誕生日で、ほんの近くへ「買い 物」に出ないかと誘われたが謝って勘弁して貰った。一緒に録画最新の「NCIS」を愉快に大笑いしつつ絶妙の脚本・演出・演技に満足したが、さて晩飯に寿 司を取って喰うのも重苦しく、やめた。困ったモノだ。

*  「選集」30の再校がまだ半ばへ行かない、「選集」31の新作長編の初校はこの週明けに届く筈。そして書き下ろしの小説『清水坂(仮題)』にいま苦 戦の最中にいる。「湖の本」144巻の入稿も手がけておきたいし、この十日過ぎからの、新たな循環器科の、また低血糖気味の内分泌科での 新検査データを 踏んだ診察も気が抜けない。
苦しい四月、五月になりそうだ。いちばんは食べて体力を戻すことか。今朝の体重は、術後七年余の最低であった。あんなにウマイものの食べたがりであったのに。これでは、妻を支えてやりにくくなってしまう。
春風や闘志いだきて丘に立つ  虚子
ぐあいに久しく、やってきた積もりなのだが。
六月、三谷幸喜作の歌舞伎座初登場、九月白鸚の「ラ・マンチャの男」の予約もしてある。崩折れないよう、シャンと立たねば。
2019 4/5 209

 

* 今日も、休息の一日になったて、穏やかな、平和な妻の誕生日だった。十一時。ゆっくり休みたい。夕方のロキソニンが効いてくれて、いま歯も痛くない。
2019 4/5 209

 

* 起床7:40 血圧 140-79 (68)  血糖値90 体重64.0g

* 晩がたの六時半も過ぎている。じりじりと仕事もすすめた、校正もし本も読んだ、が、いまは気怠い。夕方、また新しく始まった「刑事(警視正)フォイ ル」の最初をうしろ半分ほど観た。これは英国製の、地味だが優秀作で見始めたらやめられない。米国製の「NCTS」と好一対。

* 正直に言うと、もう寝入りたいが、床に就くとかならず枕べに山積みの本へ手が出る。いまはトルストイの『復活』 安田武の『昭和青春読書私史』 に先 ず手が出る。 今日、笠間書院が送ってきてくれた中世古典文学全集の新刊中二作の一つ源氏物語「蓬生」の巻の別巻といえる作も直ぐにも読んでみたい。陽気 は暖かであったのにすこし寒気を感じている。『清水坂(仮題)』をもう少し上って行きたいけれどからだは傷めるわけに行かない。寝入れと躯は命じている。 しかし上野千鶴子さんに貰っている新しい単行本は代表作に上がりそな力作で、呼び込まれている。
熱っぽい。
2019 4/6 209

* かなり体調沈んできた。もう、休みます。
2019 4/6 209

* 起床7:30 血圧 156-74 (70)  血糖値96 体重63.3g
2019 4/7 209

* 起床7:00 血圧 149-72 (67)  血糖値92 体重64.0g
2019 4/8 209

* 起床7:00 血圧 162-84 (65)  血糖値101 体重63.4g
2019 4/9 209

* 『オイノ・セクスアリス』の初校、数十頁いっきに読んでみて、十年も推敲し続けた甲斐があったと、すこし、ホッとしている。
十一時になった。もう休む。
2019 4/9 209

* 起床7:30 血圧 150-76 (75)  血糖値89 体重63.9g
2019 4/10 209

* 明日は十時には聖路加病院に行かねばならぬ。かなりの朝早に家を出ねばならぬ。循環器科は患者多く、イヤほど待たされよう。幸いにも読みゲラは山ほどある。重くても持って行く。
2019 4/10 209

* 明朝が早い。十時過ぎだが、もう休まねば。
2019 4/10 209

* 起床6:00 血圧 150-89 (65)  血糖値78 体重62.9g

* 術後七年余、体重最低値ほぼ4キロ減った。

* いま、七時四十分。延々と待つを覚悟で、聖路加病院での久々の「循環器科」診察を受けに出向く。校正刷りを山ほど持って行く。

* 診察は、問診だけ、聴診も触診なく、またしても四月中に、「核」の字のついた、半日余もかかるという検査を受けに、今度は朝の九時(今日 は十時半)に通院、その結果の診察は、また日を替えて通院。その間に、別科診察予約もあり、今や病院は診断や治療の前に、文字どおり「検査病院」になって いる。無事平安は願われるが、通院疲れも重なるばかり。わたしの仕事も分断を余儀なくされて相異や根気を集注しにくい。からだの現況が、ほぼ安心で念のた めの検査なのか、実は不安なのかも、よく分からない。
今日、いわゆる開業医の先生はどう患者に向かわれているのだろう。京都では、いわゆる病院害に居など一度も行ったことがなかった、すべて掛かり付けの開業の先生を頼みにしていた。

* とにかくも疲れました。次の聖路加は、15日早朝九時 次いで17日午後、次いで25日午ごろ。 ふーッ。幸い幾ら待ち時間があっても、校正のゲラもずっしり溜まっている。
2019 4/11 209

 

* 咀嚼した食べ物が胃袋でさらにこなれて十二指腸から小大腸で吸収される。その途中の胃袋が無くなり、食べた物がいきなり腸へ流れ入る。腹部に違和や不 穏を覚えるのはむりなく、咀嚼し難い細い麺や薄い菜葉や歯で噛みづらい固い食べ物はいきなり腸へ溜まる。肉でも安手のうすいものは煮るとかえって固くな る。
で、昨日の帰りに西友で最上の肉を買って帰り、この夕方に久々に柔らかに美味い牛肉をすき焼き風に口にした、が、余の副えものはむろん、肉も、ホンの小さな数きれしか食べられなかった。腹に堪えるのです。
食べるとしんどくなる、とは、えらい損。胃袋は、大事に大事になされまっせよ。

* 病者を介護されている読者や友人達が、とても気になる。無事でと願われる、ぜひにも。
2019 4/11 209

* 起床7:30 血圧 143-73 (72)  血糖値104 体重63.9g
2019 4/12 209

 

* 起床8:15 血圧 145-73 (72)  血糖値110 体重62.9g
2019 4/13 209

* 明日は、水分は水か湯かしか呑めない。十一日の診察に次いで、明後十五日の心臓血管の検査は、検査だけに半日はかかると予告されている。その結果の診 察日は二十五日。それまでの、十七日にも内分泌科で心エコー等の結果診断がある。築地通いは、疲労もありどうしても一日マルがかりになってしまう。入院は したくない。
2019 4/13 209

* 起床8:15 血圧 145-73 (72)  血糖値110 体重62.9g
2019 4/14 209

* 明日早朝の検査のため、お茶(カフェイン)を禁じられ、八時前、もう食事もできない。
明朝、六時半ごろには出かけることになる。もう、仕事はやめて、早めに寝む。
2019 4/14 209

 

* 起床5:30 血圧 158-80 (82)  血糖値 体重62.1g

* 検査疲れを見舞って下さり、感謝。

* がっかり。
詳細に、いろいろに、たくさん「日録」として書きおいた全部が、いちいち「保存」していないうちに、一瞬なにか機械か手技かの事故で、全部消え失せた。
書き直す気にならないほど、朝六時十八分のバスで保谷駅へ、そして九時から午後二時半に病院を出るまで、必要な休止期をはさんで「三次・三種」の「核」 という文字のついた永い検査に疲れきった。帰路、冷えたビールが呑みたさに都心をあてなくとぼとぼ歩きまわって、へとへと。辛うじて有楽町のビックカメラ で必要なプリントインクを買い入れ、夕方も五時に手の届いての帰宅だった。

* 検査結果の診察診断は、二十五日に循環器科の部長先生がされる。京の段階では何一つ分からない。
明後十七日には内分泌科が「心エコー」などの検査結果を診断してくれる筈。検査、検査、検査。なにかしら統一的な視野で有機連携の利いた検査をして欲しいが。病院という企業が各科で検査を競っているなど、よもや無いと思いたい。

*

* こまめに記事「保存」しながら書かないと、なにかの拍子に書いた全部が消え失せる。分かっていて、こういうミスをする。「元に戻す」「やり直す」という編集力識ってながらそれも忘却して、無に帰してしまう。

* 何のどう云うための検査なのか、何をしているのか、わたしは言われるままの姿勢で、ベッドの上でただ瞑目してやり過ごすので、何がどう為されているか 一切記憶にない。なにかしら「核」という文字の使われている検査室であった。腕から造影剤を入れ、何かを、今日は心臓を中心に「撮影」していたのだろう。

* 間が明くので、A3の校正ゲラも沢山持っていたが、病衣のポケットにも入る岩波文庫「復活」を持っていたのは良かった。校正もたくさん、「復活」もた くさん読めた。トルストイという作家の凄みすら感じる取材、観察、描写、表現、批評の豊かさ美しさ厳しさ濃やかさに感嘆、驚嘆。基督教會や聖職への、また 為政・上位者らへの辛辣で正当を極めた批判など、ただただ同感し賞讃する。まだ「復活」半ばにも達してないが、相次いで『アンナ・カレーニナ』『戦争と平 和』もぜひ読もう、読み返したいとワクワクさえしている。「読み返したい本」が、あまりにあまりに多くてボケてなどおれない。

* それにしても「病院」が、聴診や打診の診察診断などかき消え、「病院」でなく「臨床検査院」になってきている。

* 我が国で「臨床検査」という言葉が存在意義と地位をもち、東京大学病院医学部に初めて組織の一隅として「臨床検査室」ができ、同時に、わたしの勤めて いた医学書院に「臨床検査」という専門医学誌が創刊されたのが、ちょうど六十年前のことであった。東大臨床検査室を創設し指導した先生を編集委員長に迎え た医誌「臨床検査」の初代の編集製作担当者が、入社して間もなかったわたしであった。東大の先生は癇癪持ちでそれはコワイ人であったが、わたしは少なくも 編集製作上の筋はいつも守った。いつかオッカナイ先生も大方譲って任せてくれた。六十年の昔だ。懐かしくも、気が遠くなりそうでもある。いったいわたし自 身、どれほど臨床検査を数々受けて来たろう、仰天ものである。
2019 4/15 209

* 夜前の睡眠不足を、今夜は補いたい。
2019 4/15 209

* 起床7:30 血圧 149-74 (66)  血糖値110 体重62.9g
2019 4/16 209

 

* 機械の前にいると、霞んだ視力でいろいろに仕事している、気も入れて。階下へ休みに降りるとぐったりしてしまう、疲れきっているのだろう。どこがどう わるいという自覚はほとんど無い、ときおり胸に手を置かれているような気がする程度。食欲が薄く、信じられないほど食べる量が少ない。これが宜しくないに 決まっている。今晩も煮た葱を10切れほど、煮た百合根を10ほど、そして厚揚げ豆腐の煮たのを二きれほど、それだけで飯へは手が出ない。酒は、日に、 二、三合入っているかも。
大きめに見て、栄養失調の気味はあるのかも。

* また明日も十一時頃から、聖路加へ向かう。内分泌科の医師、新しい人に替わる。明日、初対面。きまりで、血液と尿の精密検査がある。また、待ち時間用の校正ゲラをたくさん持って行く。文庫本は必要ないだろう。

* 夕飯後に、録画の映画「ホビット」の出だしを20分ほど楽しんだ。続きが永い。楽しめる。下らない殺しドラマや漫画よりも指輪物語はよほど本格に映画美が楽しめる。

* まだ九時だが、機械は閉める。校正がある。
2019 4/16 209

* 起床7:10 血圧 142-77 (67)  血糖値111 体重63.09g
2019 4/17 209

 

* きのう 川柳の速川和男さんに北海道の愛らしいケーキを戴いた。出入りの大工さん、めずらかに出来た「どら焼き」を玄関までもってきて呉れました。

* あと二時間もせぬうち、聖路加病院へ今日も向かう。

* それでも朝仕事は続けていた。

* 駅まで歩いて、10:55保谷発に乗り新富町まで。血液・尿などの生理検査は正午過ぎには終えていたが、内分泌科の新担当の女医診察室へ入ったのは、もう三時に手が届きそうだった。校正して待っている眼が霞んでしまっていた。
生理検査には何の異常もなくキレイであったが、先日の「心エコー」「心電図」一昨日の半日に及んだ「シンチ検査」とやらの診断・診察は循環器科の主治医 がするはずと。それは今月25日のまたの通院日のはなし。検査先行、診察治療は後れるということ。糖尿のための処方箋二枚をもらって院外薬局へ。此処でも 小一時間は待たされ、「お大事に」と送り出されたときはもう、四時。
朝食はごく少なかったので、昼ぬきの四時ではかなり消耗していて、それなのに、ゆらゆらとあてどなく歩いて、へとへとで三笠会館にたどり着いた。空腹だが食欲無く、何年ぶりかの焼きそばで瓶出しの老酒をのみ、やはり校正もしていた。
五時過ぎて外へ出たが疲労困憊、手指は攣ってねじれ、脚もあぶなかったが、こらえて丸ノ内線までやっと歩いた。席をゆずってもらい、池袋まで瞑目。池袋での西武覧への乗り換えまでがまことに辛かったが、幸い準急で座れたのは大助かり。
なんとか、倒れも転びもせず、へとへとのままタクシーで家に帰り着いた。

* それでも、持参の「選集30」の再校分は100頁近く、それぞれに長い五つの論攷、しっかり読んできた。この進行は、いまぶん、大いに助かる。まだ、もう100頁は読まねばならないが。
家に帰って、さて夕食に何を食したやら、ころっと忘れている。何を食べたろう。

* 十時半。 やはり、ずうっと機械で仕事を続けていた。もう、休もう。
2019 4/17 209

* 起床6:15 血圧 141-79 (60)  血糖値117 体重63.4g
2019 4/18 209

* 十一時になる。よう頑張った、が、もう寝たほうがいい。
2019 4/18 209

* 起床7:00 血圧 155-77 (59)  血糖値112 体重62.9g
2019 4/19 209

* 長編『オイノ・セクスアリス 或る寓話』510頁分の「初校」を終えた。感慨有り。目をつかい、思案・判断をわずかな日子で重ね、さすがに心身ともな疲れ切っているが。
『黒谷』一編を副え、「再校」でもきちんと推敲した上で、六月十九日の桜桃忌を期し、作家生活「満五十年」記念の「紙碑」として、『秦 恒平選集』第三十一巻に収めたい。
「跋」ももうほぼ書き上げて置いた。

* 六百頁にも及ぶ「選集第三十巻」の「再校」分も、なお百数十頁読み残していて、なによりコレを先ず「責了」にし終え、早く本として送り出したい、五月中にも何とか。

* 目の霞みには五種類の目薬を時にあわせ使い分けているが、目まわり洗滌の綿が比較的瞬時に視野を明るくクリアにしてくれる、ものの三分間と保たないけれど。暫時でも視野が明るむと嬉しくはある。
もう、十時半になっている。寝みたいが、寝床でまだ校正もしたい、『復活』も読み継ぎたい。
2019 4/19 109

* 起床7:45 血圧 132-77 (72)  血糖値98 体重63.7g
2019 4/20 209

* 寒季には部屋に入れてある大きな重たいベンジャミンの鉢をを、妻と協力してテラスへ出した。明るい日光を浴びて、いかにも嬉しそう。
2019 4/20 209

* 起床6:30 血圧 132-77 (72)  血糖値98 体重63.7g
2019 4/21 209

* 少し、ホンの少ぅし身辺に積んであった雑物を分別処分にまわした。とにかくも棄てることを躊躇っててはハナシにならない。

* マウスの握り用に右だけのちっちゃな毛糸の手袋を使ってたが、その季節も過ぎた。来る寒季まで抽斗へ。同じような手袋の片方だけが五種類ほども階下に あった。なぜ片方を失うのか。分からん。この冬の外出には、指先だけが外へ出る手袋で通した。杖を使うのに、たださえ痺れている指先の掴みがにぶいと危険 なので。それももう仕舞っておける。もうはや暑くもなりつつある。
2019 4/21 209

* あれこれと仕事は捗らせたが、体調不穏、疲労感の重みに困惑。春雨が皐月雨に、そして梅雨へ向かうこの季節、よほど心して日々を過ごさねば。
2019 4/21 209

* 起床8:15 血圧 136-72 (60)  血糖値101 体重62.9g
2019 4/22 209

* あれこれ、どれも必要な推進作業に手をつけ手をつけ過ごしてきた。機械はなかなか快調には云うことを聞いてくれないが、お願いしお願いして協力して 貰っている。大事な用件に触れたメールが時に停頓して飛んでいって呉れないのに閉口。ガマンして同じ作業も繰り返している。疲れる。

* 晩の食事も進まなかったが、そのあと、録画してある映画「シェルブールの雨傘」 出会ってこのかた十度も観てきたのを、また心籠めて観た、すこしも変 わりなく感動した。名品というに躊躇わない。この映画を真実感動して何度でも観られる自身を嬉しいほどに肯定できる。ラストシーンへ向かう熱い感銘が輝く もののようにもうこんなに老いたわたしを励ましてくける。音楽のよろしさも美しく静かに耳に残る。

* 後追いもう一つの長編の合い寄るふたつの流れに、主題を創り上げて行く明瞭な結び目が一つ、ハッキリと立った。
九時。 もう機械の字が見えない。やすみたい。
2019 4/22 209

* 起床7:50 血圧 122-64 (65)  血糖値81 体重63.1g
2019 4/23 209

* 妻の定時診察、恙なく、ホッとした。留守番をしながらいろいろ仕事した。すこし遊んでもいたが。

* 目がまったくダメなときも、強引なほどいわゆる目ヤニをこすり取ると視野が明るく澄んでくれる、永もちはしてくれないけれど。
明日、もう一日、家でゆっくり出来る。「選集」関連の印刷所からの届きものが幾つかあるらしく連絡を受けている。明後日は聖路加循環器科で、このところ諸検査結果による何か診断がなされるだろう。無事に通り過ぎたいが。

* 美味い食事がしたい。何を出されても食欲が動かないのは情けない。

* 九時。ガクッと頸が落ちそうに疲れている。もうやすんだ方がいい。
2019 4/23 209

* 起床7:50 血圧 125-61 (73)  血糖値92 体重62.7g
2019 4/24 209

* 九時半。明日の病院通い、また朝の十時台には出かけるので、もう機械からは離れる。

* 身近で介護や看護を必要にしている人、自身が病み疲れている人、一つにはわたしの高齢のせいもあるが、年を追い月日を追って増えている気がする。胸の痛いことである。
2019 4/24 209

* 起床7:30 血圧 121-72 (72)  血糖値116 体重63.0g

* 十一時前には病院へ、築地へ、出かける。『或る寓話』第一部の再校ゲラがもう届いているのを持って出かける。循環外来は待つ覚悟で行かねば。その用意はぜひ必要。
診断の無事を願っている。
2019 4/25 209

* 一時半過ぎての診察で、心臓には十分血が回っていますと、つまり「無罪放免」してもらった。よかった。投薬も必要なく次回診察も云われなかった。
疲れてはいたが帝国ホテルのクラブ今年度の手続きをし、地下の北京飯店で気分のいい美味い遅い昼食をしっかり食べ、有楽町駅までの途中で妻にわたしの気 に入った何というのか分からないが白い綾織りのような上着を土産に買って、一路、帰宅。とはいえ、有楽町線の中で「校正」しているうちに、両脚が攣り両掌 も攣って宥めるのに苦労した。ずっと以前、激痛で辛うじて途中下車してホームに坐り込み往生した覚えがある、幸いそこまで行かず、とにかくも保谷まで持ち 堪えた。やれやれ。
ま、心臓への血管に、最低でもステントをいれるべく入院かも知れぬと案じていたのが、きちっとした検査を重ねた結果として放免されたのだから。愁眉をひらくとは、こうかと有り難かった。
世間は十日もの長い休暇に入る。ま、気分はお相伴のかまえで、無駄なく時間を仕事に宛てて頑張りたい。

* 帰宅したら、映画製作で岐阜県で仕事に追われているという建日子が、寸暇を利して顔を見世にだけ来てくれて、幸い帰宅のわたしとも顔を合わせ得て、また車で帰っていった。顔が見られてよかった。
2019 4/25 209

* 起床8:45 血圧 113-54 (66)  血糖値98 体重63.1g

* 夜中、それぞれ五キロ近くなっている「ま・あ」が、廊下と寝室とで疾走の大運動会をやってくれ、往生した。で、近頃では例になく朝寝してしまった。
2019 4/26 209

 

☆ お元気ですか、みづうみ。
昨日の検査結果を とても心配していました。ご無事で嬉しく 安堵いたしました。入院も手術もしないにこしたことはございません。
それでも、老若男女、誰も安心安全な身体ということはございません。
益々のご用心とご配慮を お願いします。
ニトロは奥さま任せになさらず、常にお傍に置いてくださいますように。
勤勉もほどほどになさってくださいますように。
くれぐれもご無理なさいませんように。

取り急ぎお祝いのメールを送らせていただきます。
雨   蜆汁昼止むといふ雨細し  貞峰

 

* ありがとう。正直のところ ほっとしています。
帰路、めずらしく奮発して「北京飯店」の「北京ダック」や佳い紹興酒など、すこし贅沢し、いい酔い心地でよろよろと帰宅しました。水分が涸れたのでしょう、電車の中で手足が攣ったのをなんとか堪えました、校正しながら。水分は出歩くとき必ず多めに持つようにしています。
お疲れなどは、癒えていますか。十連休は、例の海外であろうかと想っていました。お大事になさいますよう。
2019 4/26 209

* 九時だが、機械からは離れて、校正し、読書し、早めに寝入りたい。疲れることには何の変わりもなく。睡るのも仕事のうちと思っている。
2019 4/26 209

* 起床8:00 血圧 132-69 (73)  血糖値88 体重63.0g

* 寝てか覚めてか夢見るように多くを想うていた。うまく生かせるといいが。

* 身辺に積み溜めたさまざまをとかく惜しみまた気遣うのはやめ、思い切って処分すべく、仕事のあいの休息がわりに選別している。想うよりたやすい作業でないのに困惑しつつ。

* 機械がここまで作動するのに今朝は格別時間が掛かった、画面もほの暗い。
ま、待つ。じっと待つ。
2019 4/27 209

* 近くの「セイムス」へ買い物に行った。「マ・ア」たちの排便用の砂袋を三袋も買うととても妻は運べない。自転車の前後に載せ、しかも引いて帰る。ついでに妻は他の買い物もする。ビールとウイスキーも買った。

* ダブルで二杯も啜ったろうか、実に午後のほとんどを寝入っていた。自分にそれを許すほどの安楽感、ま、いいではないか。

* 極端に目と共に歯ぢからも失せていて、食べにくい。軟らかいの固いのとが微妙に混じっていると、おじやや粥ほど軟らかい食べ物もかすかな固い混ざりもののために歯が痛み、食べられない。つくってくれる妻に申し訳ない。

* 書き進んでいる作に展開を予期はしているのだが、手を掛けて前進するには、力(りき)の蓄えがどうしても必要。充電をじっと待っている。

* 健康でさえあり得れば、今のままでいい。
2019 4/27 209

* 起床8:30 血圧 139-73 (51)  血糖値90 体重63.2g
2019 4/28 209

* 仕事の交通整理が 急に必要になった。整理してみると、てを着ける順序の微妙なアトサキに気が付き、慌てて前後を間違えてはならないと、視野ができ た。この十連休とやらを、わたしなりにうまく利用して整理をつけたい。六月下旬まで、慎重に、惑い無い順序でカタを付けて行きたい。
聖路加の診察が、三ヶ月おきの「糖尿病」と「前立腺」の二科にしぼられ、「腫瘍内科」は半年に一度の検査になっているのがありがたい。
問題は、眼科。近所に眼科があり、かつては掛かり付けだった市内の眼科は、江古田の歯科よりも気分として通うにかなり不便に遠く、自転車を走らせて怪我があっても困る。
掛かったことのない近所の眼科を試みて、せめて点眼薬だけでも欲しいが。
2019 4/28 209

* 起床7:45 血圧 140-72 (55)  血糖値82 体重63.8g

* 時代が変わる動くなどと、今更思わない。自身最期への「常の日々」が始まるだけ。その意味で、「平成」の果てる明日以降を、わたしは「恒平」元年の開始と思おう。

* なんとなし、グジャグジャと過ごしていたようだが、交通整理にしたがい視野は明るみ、進むべき仕事はきっちり進んでいる。
新聞雑誌は今の視力ではまったく読めない。テレビも、顔より聴き慣れた声で誰それと分かる按配で、大きなテレビ画面に貼り付かないと「観て」は楽しめない。このところ耳に届く話題は一辺倒、あれやこれや面白づくの穿鑿に興味なし。
明日には、今上両陛下に「ごくろうさまでございました」と敬意と感謝ささげ、御健勝を願うだけのこと。新しい天皇さんたちのことは、さきざきに俟つだけ、いま何かと口を出すのは遠慮が行儀であろう。

* もう十時になる。疲れている。
2019 4/29 209

* 平成三十一年(二〇一九)四月三十日 火 「平成」を今日終え、明日より改元

* 起床7:15 血圧 140-71 (65)  血糖値90 体重62.9g

* 明日からは、思い新たに「恒平」の日々、歳月を、生きうるかぎり生きる。
2019 4/30 209

* 本を読み、そして静かに穏やかに寝よう。
2019 4/30 209

* 起床7:00 血圧 151-82 (70)  血糖値110 体重63.6g

* 時代が変わる動くなどと、惑わない。私自身最期への「常の日々」が始まるだけ。続くだけ。
その意味で、「平成」の果てた今日以降を 私の 「恒平」元年が始まったと思おう。
2019 5/1 210

* 小雨の中 江古田の歯科へ。みちみち、躑躅の大むらさきが盛んに色映えていた。
ぐらつく歯を、抜け抜けと、二代目の若い女先生にせめ立てられたが、黙して受けず。歯よりも、あたまのしっかりしている間に仕事をしたい。
思えば、この歯科医院にもう五十数年も通いつづけている。わたしとそう年齢の差の無かった前の神戸先生が亡くなって、さ、もう十三年にもなろうか。
帰路、練馬駅で寿司を。寿司は寿司のママだったが、店は別店に替わってしまっていて、落ち着かず。江古田ではフレンチと蕎麦のいい店がつぶれてしまい。気に入った食べ物店がこの数十年にいったいどれほど姿を無くしたか、無常の思いにかられるほど。

* 神戸の岡田昌也さんに、「新茶」二缶を頂戴した。村上開新堂のクッキーが美味しい。

* 十時 よほど疲れている。休息も休息にならない。躯をよこたえて、寝入れれば寝てしまうにしくはない。
「清水坂」がきつく、道に迷っているよう。隘路では焦らない、すぽっと抜け穴が見つかることもある。「オイノ・セクスアリス 或る寓話」はその御蔭を何度も受けた。
目が霞むと頭も霞む。小説世界には霞むという妙味も無くはない。
2019 5/1 210

* 起床7:45 血圧 133-68 (65)  血糖値104 体重63.5g

* 往時渺茫の思いに駆られる。芯にまで疲れが積んでいるのだろう。何を慌てることも驚くこともない。片端なりに面白い八十余年だった。夢にもこんなに長生きすると思ってなかった。まだ幾らか残りを楽しませてもらえるだろう。
2019 5/2 210

* 起床8:30 血圧 138-70 (70)  血糖値89 体重63.3g
2019 5/3 210

* わけもなく ただただ疲れて 心身はたらかず、情けない。「清水坂」の上り下りに苦しんでいる。
このからだでも京都へ帰れて、歩けて、空気を吸い色を見、もの音が聴ければ、カタはつくだろうに。やれやれ。
2019 5/3 210

* 朝は、セイムスで買った鈴カステラを三つほどと紅茶で済ませた。昼は、やはりセイムスで仕入れた「正麺」とやら中華蕎麦を、落とした卵一つを掬い呑 み、麺はほとんど噛めなかった。クッキーの柔らかい小さいのを十ほど間食した。晩は、ふつうの豆腐を冷や奴にして半丁ほど、若布と麩と蕨と竹輪の柔らかに 煮たのを小鉢の半分ほど食べた。酒は無かった。午後、機械の前で気づかぬままほとんど昏睡していた。階下の床へ移動したが、宅急便が届いて。
2019 5/3 210

* 起床6:20 血圧 127-73 (47)  血糖値94 体重63.8g
2019 5/4 210

* 起床8:40 血圧 147-69 (56)  血糖値99 体重64.1g
2019 5/5 210

* 八時半。終日、京都縄手の「梅の井」で、昔の同級生と話し込んでいた、いや長いハナシを聴いていた。聴きながら書き取る難しさ。歯を噛みしめている痛さ。
2019 5/5 210

* 起床8:40 血圧 134-72 (56)  血糖値102 体重63.8g
2019 5/6 210

* よく寝たが、奇態に過ぎた夢を見る。何がわたしの脳裏に棲みついているのか。

* 明日の10連休あけを見越して、仕事の宅急便二包みを送った。
さ、六月の桜桃忌へ向け、忙しい日程がつづくだろう。わたし自身には変わった何事もない。人との縁がますます薄く遠くなるだろう、が、自然な成り行き。

* 湯を出て、八時半。ほっこりしている。湯では、「清水坂」関連の参考本三冊を見えない目で読んでいた。今夜はもう根気が尽きている。寝入った方がいい。
世間の十連休を、わたしらは一日半日として便乗もとくべつ楽しみもせず、いつもどおりに家にいた。家にはそれは仲良し兄弟のアコとマコとがいる。今日は、わたしも一緒に庭へ出ていた。ふたりとも路上へは、警戒心つよく、出たがらない。
2019 5/6 210

* 起床8:00 血圧 140-69 (62)  血糖値105 体重63.7g
2019 5/7 210

* 「清水坂(仮題)」の胸のまん中へほとんど乱暴に吶喊した。くだくだとモノのまわりを嗅ぎ回っててもどうにもならんと。吶喊すれば何処かに痛い傷も出来る。血も流れる。踏み越えて行くしかない。筆先に勇気がなかったのだ。

* 十一時。疲れた。
2019 5/7 210

* 起床9:15 血圧 132-71 (58)  血糖値107 体重63.5g
2019 5/8 210

* まだ七時まえだが、許されるならすぐにも寝入りたい。がくっと頸が前へ落ちそう、まるで土壇場。何としても 面妖にして奇怪な清水坂を跳び越えたい。そんな清水坂が だが 好きなのだ。
2019 5/8 210

* 起床8:15 血圧 143-71 (59)  血糖値91 体重63.5g
2019 5/9 210

* 起床7:30 血圧 135-68 (54)  血糖値91 体重62.4g

* 体重落ち込む。夜中に胸焼け無くも、体力の充ち来る無し。
2019 5/10 210

* 起床8:15 血圧 129-66 (59)  血糖値102 体重62.5g

* 夢はみていたが ほぼ安眠。丸餅、二つ食す。。
2019 5/11 210

 

* 昼食もろくに摂れず疲れを覚え、横になった。胸焼けの不快で目がさめると、午後三時。心身に元気がない。
機械にも変調。昨日より何度か、奇妙。
2019 5/11 210

* なぜか不穏に胸が重い。冷暖房をとめた。頸が硬い。
2019 5/11 210

* 起床8:20 血圧 129-72 (57)  血糖値98 体重63.1g
2019 5/12 210

* 起床7:15 血圧 129-72 (57)  血糖値98 体重63.0g
2019 5/13 210

* 起床8:10 血圧 143-69 (57)  血糖値114 体重63.4g
2019 5/14 210

* まだ九時前なのに、芯がゆるんで、疲れが手足へ回ってきている。たくさん「読んで」疲れたか。ムリはすまい。なんだか、南座わきの鰊蕎麦が食べたくなった。京都へ帰りたい。
2019 5/14 210

* 起床8:15 血圧 133-64 (61)  血糖値101 体重63.2g
2019 5/15 210

* 起床7:40 血圧 132-70 (61)  血糖値86 体重63.3g
2019 5/16 210

* 松本紀保らの意欲的で批評に富んだ小劇場劇を新宿御苑西木戸前で見てきた。お母さんの松本白鸚夫人もみえていて、思わず嬉しい声をあげあった。もう何 年も前から紀保芝居は欠かさず、時に同じ劇を二度も観たりしてきたが、実に舞台女優として悠々とかつ頭抜けた逸材である。
妹の松たか子は大劇場で壮大壮烈に演じ、松本紀保はあえて小劇場で卓抜の実験性をみせ、意欲抜群の「新演劇」を創造し類いない魅力を発揮する。敬服している。

* 新宿御苑前で地下鉄を降りるなど、何十年ぶりだろう。白鸚夫人とも感謝の声を掛け合ってから劇 場を出たときは、よほどわたしは疲れていたが、二本目の杖のように付き合ってくれた妻をやはり日比谷の北京飯店へ連れて行き、先日満足した料理や北京ダッ クその他を御馳走し、久々にふたりで五階のクラブでほっこりひと休みしてきた。「北京」では紹興酒を、クラブでは18年物シーバスリーガルの残り少なく なってた瓶をカラにしてきた。
銀座から、なんだかよく分からない、近年走り始めた座席指定の急行西武線に乗って帰ってきた。

* 九時。
明日から、「選集」「湖の本」のいろいろも加わって。うんと忙しくなる。気も体もよく休ませておきたい。
2019 5/16 210

 

* 起床8:45 血圧 125-65 (61)  血糖値88 体重63.3g
2019 5/17 210

* 昨夕 日比谷のクラブで若い子に繰り返し「お痩せになった」と言われた。永い人生で太った、また太ったと謂われ続けていたのに。たしかに手術の直前は 86.6キロほどあったのが、けさは63.3キロ。それでも六十年前の新婚頃よりは少し上か。鉛筆が服を着たようとさえ謂われていた。ま、尋常に復ってい るのかと。

* 午後 暫くのあいだマコをうしろに籠に入れ、アコを前籠に入れて紐をもち、自転車でごく御近所を走って疎との空気と眺めとを楽しませてやった。楽しん だかどうかは分からないが、思ったより温和しかった。あばれもしなかった。家に帰ると、卓の上でふたりともホッコリ寝入っていた。
2019 5/17 210

* それにしても尾張の鳶が思い立てばすいと京都へ飛べて、北山からまた七条の博物館で大部の「一遍聖繪」が鑑賞できるとは。新宿御苑近くまで出向いただけで草臥れている鴉は、なんという弱さだろう。
2019 5/17 210

* 起床7:30 血圧 133-65 (57)  血糖値95 体重63.5g
2019 5/18 210

* 新長編の二部、三部そして「黒谷」の三校請求の用意をした。印刷所へ必要なメールも送った。『清水坂(仮題)』を先へ運ぶための心用意をした。かなりフクザツではあるが不可能では有るまい。

* もう十一時。とにかくも、やすみながらも、止まってはいなかった。
2019 5/18 210

* 起床9:15 血圧 126-61 (60)  血糖値93 体重63.5g
2019 5/19 210

* 起床7:45 血圧 130-74 (62)  血糖値91 体重63.5g

☆ 陶淵明の短詩句に聴く。

靄靄堂前林   靄靄(あいあい)たり堂前の林
中夏貯清陰   中夏 清陰を貯ふ
凱風因時來   凱風 時に因りて來り
囘颷開我襟   囘颷 我が襟を開く
息交逝閑臥   交を息(や)め逝いて閑臥し
坐起弄書琴   坐起に書琴を弄す

營已良有極   營み已(をは)りて良(まこと)に極まり有り
過足非所欽   過ぎ足るは欽(ねが)ふ所に非ず

遙遙望白雲   遙遙として白雲を望み
懐古一何深   古(いにしへ)を懐(おも)ふこと一に何ぞ深き

* モーツアルトのバイオリン・ソナタ集を、ヘンリック・シェリングとイングリット・ヘブラー(ピアノ)で満喫しながら陶淵明の詩句に聴いていた。朝の至福。
もう久しく新聞を見ない。字小さくてまったく読めず、見出しにも心惹かれない。無くて何差し支えもなく、乏しい視力を新聞で費やすことはない、読まねばならぬ本、読みたい本はまだ山のようにあるのだ。
テレビは大画面の五十センチ前へ近寄って観ている。いい映画、いいドラマ、いい自然美、そして芸能花舞台や相撲・競走・跳躍などの他は、天気予報で足りている。耳はちゃんと聞こえている。いい音楽にはよろこんで向き合う。
2019 5/20 210

* 「選集」第三十巻 二十七日に納品と。すぐ追いかけて 「湖の本」144巻も出来る。「選集」第三十一巻も追いかけている。長編『清水坂(仮題)』もどうかして満足に仕上げたい。
この酷暑予想の真夏 きびしいぞ、よほど深長に躯を労らねば。
2019 5/20 210

* ひたすら読み直し読み直し、その間にひらめきやきらめきに出くわす幸運に恵まれて物語に味が添ったりする。じっとガマンは、必要で有効。しかし頸が痛んだり腹が重たかったり、イヤな思いとも縁が切れない。脱兎のように時間が奔りかけている。転ばぬように。

* 睡い。睡るのがなによりという心地でいる。寝床で本が読みたい。
2019 5/20 210

* 起床9:10 血圧 135-75 (70)  血糖値93 体重63.5g
2019 5/21 210

* 「選集」第三十巻 二十八日に納品と。すぐ追いかけて 「湖の本」144巻も六月十一日に出来てくる。「選集」第三十一巻も追いかけてくる。
この酷暑予想の真夏 きびしいぞ、よほど深長に躯を労らねば。
2019 5/21 210

* 起床7:15 血圧 132-67 (61)  血糖値100 体重63.2g
2019 5/22 210

 

* とにもかくにも、小説の話だが、懸案のように気に掛けていた一つの仕掛けをコソッと作の中へ埋めた。訳だって生きて欲しいが。
一時、もう眼は霞みきっている。階下で、洗ってこよう。洗ってはいかんという説もあるのだが。目拭き綿は使いにくい。目薬は、のむルテイン錠のほかに七種類もいつもポケットが身のそばにあるのだが。

* わたしは小説でいつも大事な探しものをする。見つかってくれると書き上がるが、見つけられないと泣く思いをする、今回も「清水坂」で、探しあぐねている。むろん、諦めていない。

* 明日には「選集」第三十一巻『オイノ・セクスアリス 或る寓話』の三校が出揃い、これを読み終えれば、いよいよ選集もあと二巻になる。第三十二巻の編 輯を慎重にはじめて、むろん多くが溢れて遺ることになるが、悔いない編輯で美味く結びたい。一巻は小説集になるが、最期の一巻をどうするか。いい智慧が欲 しい。
この二十八日からの『選集』第三十巻送り出し用意はきっちり出来ている。
六月十一日からの『湖の本』第144巻、創刊三十三年記念、作家生活満五十年記念の発送用意も、当日までに、まず余裕をもって仕上がるはず。
十年を掛け、脱稿へしかともち込めた非売本150部特別限定美装本『選集』第三十一巻『オイノ・セクスアリス 或る寓話』(全)は、おそらく、六月末には送り出せるだろうと思う。森鷗外先生の『ヰタ・セクスアリス』と向き合えますかどうか。

* 力を蓄えたく、今夜も、火花のような着想を探り探り睡ければ早めに寝てしまいたい。
2019 5/22 210

* 起床8:00 血圧 130-67 (65)  血糖値97 体重63.2g
2019 5/23 210

* 選集31巻になる『オイノ・セクスアリス 或る寓話 ・ 黒谷』の三校が出揃い、現状、直しの無いきれいな校正刷り三通が、夕方四時半ごろ、手もとに 出来た。念のためもう一度通読してから、オロシ(責了・昔風には下版)たい。出来不出来は作者としては口を緘じておくが、ま、本当の意味でマル十年かけ仕 上がったわけで。「忽ち(=かつ悠然)一樽の酒と與(とも)に」と、戴いた「獺祭」を独り賞味し、そのまま八時半までぐっすり寝入っていた。

* すこし今、胸押さわり気味に息苦しかったが、落ち着いた。もう一度、仮眠でなく熟睡したい。
2019 5/23 210

* 起床10:10 血圧 129-66 (65)  血糖値87 体重63.9g
2019 5/24 210

* 七時過ぎに目覚めかけたのをそのまますやすや睡りつづけて三時間ちかく、嬉しいほどな快眠であった。おもしろい佳い夢も幾つかみた。まだ小さい建日子 と、石壇からぴょんと跳びっこをしたら、わたしは空を泳ぐように十数メートルも跳んだりした。建日子と母親とが歩いて行く、その頭上半メートルほどをわた しは泳ぐように浮かんで翔んでいた。ほかにも、若々しいバカバカしいような面白い夢をみていた。目ざめて十時過ぎにはおどろいた。「長尾」の黒いマコと 「花尾」のアコとが「起きなさい」と傍へ来ていた。
2019 5/24 210

* あれだけ寝たのに、疲れは心身を朽ちた綿のようにする。
九時。もう機械から離れ。寝室の床に坐りこみ、ずっしり重い責了用の「選集31」ゲラをよみつづけ、疲れたら久間さんの小説の先を楽しみながら、寝入ろ う。昨夜の『NCIS』の密度には感嘆、ああいうのを観るとありふれた他の和製ドラマは観る気がしない。実は近時、スポーツ実景も相撲と駆けっこしか観な い。
海外の、大きな鉄道駅や空港におかれたピアノを、誰彼となく自在に演奏して行ってくれるのが楽しみ。そして日野正平の自転車の旅も。

* メールの往来も、仕事向き以外はほぼ無くなり、妻以外に、人と顔を見合って肉声で話しあうことなど、ゼロに近くなった。アコとマコとの対話が、とても貴重。そして想像の世界でのたくさんな対話。
2019 5/24 210

* 起床8:30 血圧 129-58 (56)  血糖値100 体重63.5g
2019 5/25 210

 

* 十時半に近い。もう、へとへと。からだをラクにして、その分をつかってすこしでも必要な「読む」を進めるだけ。
2019 5/25 210

* 起床10:00 血圧 121-67 (63)  血糖値99 体重63.1g
2019 5/26 210

* 美しいものに、可能な限り一の創りだした美しい優れた作品が観たい。
せめて上野の東博常設館・東洋館を静かに歩きたい。どんなに佳いだろう。観て歩くだけで二時間はかかるだろう。往復にもそれ以上はかかる。
それでも 佳い物が観たい。五島美術館や国立工藝館やその他、いくつか招待が来るのに、臆病になり一人歩きができないとは情けない。
結局 何より心ゆく楽しみはすぐれた作品を読むことに尽きる次第。
いいお天気に、晴れやかな富士山が観たいなあ。
2019 5/26 210

* 明日も猛暑らしい、街へ、築地へ出かけて行くのが気の負担だが、うまく切り換えて街を楽しんでこれるといいが。二時前後には前立腺診療、解放されるだ ろう。どこぞ涼しいところで「選集31」の責了紙をたくさん読んでこれると佳いが、どこが快適といって、結局、聖路加病院の明るい外来が一等涼しかろう。
2019 5/26 210

* 起床7:00 血圧 125-68 (72)  血糖値94 体重62.9g

* 明日、選集30の納品、送り出しというのを失念しかけていて慌てた。今日の聖路加はさっさと帰ってくる。かなり躯が、腰回りが痛いので、重い本の扱いだけに気をつけないと怪我をする。

* どうかしたかなと案じていた人から、メールがあった。からだも、機器も損ねていたと。
猛烈な熱暑が懸念される。人も我らも用意用心が大事。
2019 5/27 210

* 処方薬を受取って二時半、そのまま池袋までもどり、西武地下の寿司政で朝昼抜きの空腹を満たしして帰宅。歩きまわらなかったので、いつもの通院よりは 元気余して帰宅。明日からの三、四日間が「選集」30回めの送り出し。これを済ませて、もう三回。慎重に体力とよく相談しながら無事にし終えたい。
2019 5/27 210

* 本の納品前は、なにとなく落ちつかない。
一つには狭い上に狭苦しく。ものを片づけ片寄せしながら働かねばならない。早く休もうと思っていたが、いつ知れずもう十時半になった。
2019 5/27 210

* 起床7:00 血圧 120-59 (65)  血糖値95 体重62.8g
2019 5/28 210

* 今朝、選集30の納品待機。暑い数日がつづく。かなり躯が、腰回りが痛いので、重い本の扱いだけに気をつけないと怪我をする。怪我するなよと声を掛けて貰っている。始終脚に絡んで甘えているマゴたちがいる。注意に注意して過ごさねば。
本の受け入れまでの緊張は毎度の通り。受け容れてしまうと、ころっと気軽になれる。
2019 5/28 210

 

* 三册束の荷をキッチンのテーブルへわたしが運び、妻が開封してわたしが10巻ずつに積み上げ、一巻ずついろいろの印形で捺印し、10巻積みで茶の間へ 運び込む。妻が予定の送り先名簿にしたがい地方別に「ざっと荷」に仕上げてくれたのをわたしが点検の上で荷造りし、地方別に玄関へ運び出しておく。あとは 郵便局の集荷を待つ。簡単なようですべて力仕事、手早くラクにはとても進まない。ほっこりと疲れる。ことに今回の造本では、函と本身との釣り合いが窮屈 で、捺印のためにいちいち本を函から取り出すのがかなりの力仕事になるのがシンドい。函入りの特装本はここが微妙に難しいのである。

* 八時過ぎ。今日は、二人ともやすみやすみ先を急がぬ程度にそれぞれの作業を積んだ。
雨季は、妻の体調のあまり元気でない時季、事を急ぐより、ゆっくり休み休み、途中で一度睡って貰って、ま、予定の三分の一弱ほどをやっと荷にしたが、今日は郵便局の集荷は求めなかった。明日に廻した。

* なにより困惑したのは、函と本との仲が悪く、つまりキチキチの寸法で融通無く、印影を本に入れるべく。函から本をだすのに力一杯振り出す始末に、閉口した。疲れ果てた。ツカ出しの妙味こそ函入り本の味わいなのに。ちょっと恥ずかしい。

* この疲労からして、どう考えても、予定の「あと三巻」で「限界」と見切り「選集」は打ち上げにするのが穏当と思う。むしろ、よくもよくも佳い装幀で三 十巻までも大冊の束を、若い誰の手一つも借りず何もかも老夫婦で送り出せてきたものよと、我ながら少しビックリ気味ですらある。悔いなく全うしたい。たく さんな編み残しの出来るのは仕方ない、それもいわば豊年満作の文学生涯と賀していいだろう。
2019 5/28 210

* 起床7:40 血圧 125-65 (66)  血糖値90 体重62.7g
2019 5/29 210

* 意味無く、いらいらしつい声が嶮しくなる。なんとも、なさけない。

* なにかウロが来ていて、何をしてイイのやらが分からない。歯を食いしばるので歯が痛む。これもみな「清水坂」症状なのではないか。落ち着いて落ち着いて立ち向かいたい。
先に、とに書くも「選集」30を送りえてしまいたいのが、うまく捗らない。ガマンしてガマンして。

* 幸い脚は痛まないが、今回、腰がきつい。結局三日で可能なことを四日掛けて、というふうに諦める。すぐ引き続いて「湖の本」発送があるだけに、躯を 労っておきたい。早めに横になり、こころよく寝入ること。六時過ぎだが、もう、視野が滲んでいる。力仕事だけに歯を噛みしめがち、歯の根も痛い。

* だれかの歌であったか。
夢の世やああ夢の世や夢の世やああ夢の世や夢のまた夢

* 八時四十分 疲労困憊。
2019 5/29 210

* 起床7:40 血圧 131-64 (60)  血糖値92 体重62.8g
2019 5/30 210

* 郵便局が、無事に難なく荷を持って帰ってくれるか。送り用意はすべて調い、荷は玄関に積まれてある。夫婦して、ヘトヘトまで頑張ったが、局の手に無事に渡すまで気が抜けず、渡せば息がつける。
そしてすぐさま、次の「湖の本」145の発送用意を仕遂げねば。まず宛名印刷を、郵封に貼り込むことになる。入れる挨拶を、個々にカットしなくてはならない。
2019 5/30 210

* 「選集」第三十巻 送り出し終えた。ささやかに二人で祝った。
しかし疲れた。二時間も、寝ていた。
あと、三巻。無事に創り無事に送り出したい。やすみやすみ、という大事さを痛感している。
2019 5/30 210

* 疲れやすまらず、歯も痛む。十一時。
2019 5/30 210

* 起床8:40 血圧 130-73 (69)  血糖値90 体重62.5g
2019 5/31 210

☆ 御選集30巻 本日頂戴しました いつもながらの御厚意に感謝します 今年はいろいろな意味での記念の年なのですね
御体調の加減で 外食が叶ふなら 一献差し上げたいと思つてをります 御近況お知らせください   寺田生    前・文藝春秋専務

* ご厚意に感謝有るのみ。
このところの疲労感はただごとでなく、食欲もなく、病院以外に外出する元気がわかない。なんとか「十九日桜桃忌=作家生活満五十年」には、歌舞伎座夜の 部を楽しみたいと心用意しているが、この十一日には「湖の本」144巻・ 創刊満三十三年記念の一冊を送り出す手はずを今も妻が頑張ってくれている。
今日も午過ぎて、機械の前でうたた寝しているうち、刃物で刺すほどの、胸、いや喉もとの「焼け」に堪えかねて階下へ駆け下り、水と茶とを一気に沢山(ペットボトルの二本分ちかく)呑んで、やっと落ち着けたというあんばい。
なにしろ、扱うモノが本で、本は時に石のように重い。フタリいる猫の手も借りたいが、そうも行かない。

☆ ご丁寧な返信を賜りまして有難うございます。
御昨「清水坂」がいつ出来上がるのかーーーー楽しみに いえ もっと強い関心で待っています。
八十を優に超えて、その意欲にただただ感嘆です。
体力が最後まで持続することをお祈りして、お待ちしています。2019年5月31日    藤

* まことに体力と気力の日々であるしかない。
しかし昨日、私より丁度十歳うえ九十三歳の色川大吉さんには、宮澤賢治にお触れの一冊を頂き、まだまだお仕事なさろうというお気持ちが熱いほどであった。
藤さんは、小学校は六原校か新道校の卒業生であったろう、「清水坂」は知恩院下で育った私よりもまさしく身近。どんな予想と関心で脱稿を待って下さるか、それがまた私の楽しみにもなる。

* また胸(のどもと)焼けがしてきた。さきごろ、カメラを嚥む上部消化管検査は無事にパスしたのだった。ま、水分を摂りに撮るようにしよう。
2019 5/13 210

* 起床8:15 血圧 131-64 (60)  血糖値92 体重62.9g
2019 6/1 211

* 書庫から、『浄土三部経』を久しぶりに持ち出した。勿体ないが、横になって、「阿弥陀経」を二通り読んだ。
ついつい、躯を横たえたくなる。そのまま程よく寝入ってしまう。気よりは躯の要求であり、したがおうとしている。
2019 6/1 211

* 起床7:50 血圧 129-65 (51)  血糖値101 体重63.0g
2019 6/2 211

* 水でも湯でもなく まるで泥に泛び沈むような疲労感とは、むやみに闘わない。闘えば負ける。

* 視力のある間は幸い、日本語でならいかようの読書にも入り込める。処分する前に読んでおきたいと思う本が、数百册できかない。そのほかに重い事典、字 典、年表、写真集のような参考書が多く、これまた手に執っては見ている。書庫にはいると、つい出られず、ネコたちが呼びに来る。
2019 6/2 211

* 疲れに負け、「清水坂」途中で坐り込んでいる。
鏝でもあてたような喉もとの灼け、ソーダ水でからくも逸らしている、が。
2019 6/2 211

* 起床8:30 血圧 129-67 (47)  血糖値92 体重62.9g
2019 6/3 211

* 建日子の呉れたカメラ、やはりマニュアルがないと使い切れない。なにしろ目が見えなくてちっちゃな色薄い字は何一つ読めない。以前に建日子の買ってく れたパソコンも、マニァル無く、まるで使えないままに放置されている。機械音痴なので、指導書が有ってさえあやふや、無くては、何も覚えきれない。頭も悪 く成りすぎている。
2019 6/3 211

* 起床7:00 血圧 125-65 (73)  血糖値86 体重62.8g
2019 6/4 211

* 明日は歯科医へ。

* 何にしても食欲が出て美味しくものが食べられないと衰弱してしまう。
2019 6/4 211

* 起床8:45 血圧 131-62 (68)  血糖値102 体重61.8g

* 体重 胃全摘直後の66キロ台から61キロ台へ減り、今朝、最低を記録。
2019 6/5 211

* 齢の歯、また二つ落ちた。老耄 見る影もない。いいのだ。五体に、観て欲しい見せたいなにが無くても、命は意志として働いている。しょせん無心とは縁 がない。おもひ という火の消えるまでは生きて行く。今日は歯医者の日。「付けやい歯」を入れる入れると医師は躍起に言うやろな。やれやれ。

* 水曜は江古田駅近辺で目当ての店は休店。で、気楽な馴染みのスタンドバーVIVOで、ウオツカを二杯、妻は赤ワインとコーヒー、キールロワイヤルは二人で分けた。
2019 6/5 211

 

* やはり外出すると、疲れる。帰宅して機械の前へきた途端に倚子のまま寝入っていた。目ざめたら九時過ぎていた。

* 六日後には「湖の本」144が届く。また、力仕事になる。「選集」ののこる32、33巻の最終編輯にも智慧を搾らねばならない。不用意に転倒などせぬように、夫婦とも病んで躓かぬように。
2019 6/5 211

* 起床8:50 血圧 124-64 (68)  血糖値97 体重61.8g
2019 6/6 211

* 郵便局へ、送本と投函に自転車で。炒りつけるような日光と暑さ。坂道を歩いてではとてもとても。自転車だと下りはらくらく、実は上り坂も普通になら苦 にならない。日に何十回?と家の短い階段を上下している御蔭かも知れない、脚力はある。しかし歩行には杖が欠かせない。視野の鈍さか二本脚だけではよろ付 くのです。
眼鏡は、新調して十日ともたず視野が滲み、むろん車も人影も道路も家々もその存在はまちがいなく把握できるけれど「クリアにものの見える」ことは無い。全体に、茫然としている。それでも生きては行けると思うことにしている。
けど、六月初めにしては暑すぎる。
2019 6/6 211

* 起床7:15 血圧 127-59 (53)  血糖値99 体重62.5g
2019 6/7 211

* さて、ワケもあり、今度の「湖の本144」は、高校へは送り控えることもあり、製本分のかなりの量が手元に残ることになる。それをともかくもこの狭い 家のどこかに保管しなくては成らず、その場所をどこかに明けねば成らず、つまりそれはえらい力仕事になる。今朝はその苦行に立ち向かうしかない、それが何 とかなれば、アトは納品を待てば済む。腰は、脚も、よほど痛むだろう、息も切れようが、それも、私の仕事。

* 痛み止めロキソニンを噛みながら、西の棟のとにかくも玄関を広げてきた。湖の本の、選集の重い荷包みを、結局は30包みほども狭い曲がり階段を二階へ 運び上げた。かろうじて、十一日の納品の25包みほどは玄関へ仮置きできるだろう。一度、降りる階段を踏み外しかけてギョッとした。危うく踏みとどまっ た。
20196/7 211

* 迷路じみて逸れかねなかった「清水坂」を、どうにか、相応の路へ引き戻せた、引き戻せつつ、あるのかも知れぬ。
心身とも今朝から働きすぎ、すこし左胸が重い。三時半。すこし横になってもう残り少ない『オイノ・セクスアリス』三校を読み終えてきたい。

* 京の「清水坂」が、凄みを帯びて世界をひろげ、かけ、た。だが、まだ物語は紡がれねばならぬ。今夜はもう、むしろ、立ち止まろう。
2019 6/7 211

* 起床9:30 血圧 125-59 (60)  血糖値93 体重62.6g
2019 6/8 211

* 今日は、やすみなく仕事していた。おなじ疲れるのなら、こうして疲れればいいと思う。
2019 6/8 211

* 起床7:50 血圧 132-74 (50)  血糖値91 体重63.0g
2019 6/9 211

* 朝から、明後日の『湖の本144』受け入れのために、サマザマに力仕事をつづけ、腰が潰れそう。
とにかくも片づけねばモノが収まらない。視野不良でよろめく者には廊下も階段もいたるところ不用意にちょっとしたものも置けない、つまづくので。大概は 狭い中でなにかに掴まれるけれど、慣れた階段でも危ない。二階の靖子ロードで蹴躓くのは叶わない。重いアルバムを廿册ほども書架に立てかけられては、書架 の下半分が使い物に成らず、アルバムに蹴躓いて倒れてくると脚頸や脛を痛める。これも、なんとかガンバッて片づけ、靖子ロードを無事に歩きやすくしたが、 なんとアルバムたちの重かったこと、ロキソニンを噛み砕きたくなった。
さ、せめてもう一年か一年半、身も心も保ってて欲しいが。
2019 6/9 211

* 久しぶりと云うより、何十年ぶりに、ジャック・ライアンものの映画「エージェント」を観た。むかしはそんな海外物の読み物も読んでいた、東工大への往復の電車の中などで。
明日もう一日休息できても明後日には「湖の本」震撼の発送にかかる。今回は、少し謹呈送り先を減らすつもり。

* 十一時過ぎている。もう、やすみたい。.
2019 6/9 211

* 起床8:40 血圧 144-65 (48)  血糖値86 体重63.5g
2019 6/10 211

* 起床7:45 血圧 155-72 (55)  血糖値102 体重63.2g

* 九時前、「湖の本」144納品さる。

* 一時半 昼食を終え、午後の作業に掛かる。
2019 6/11 211

* 七時過ぎ、もう一踏ん張り台所で作業してくる。ふたりのネコたちがしきりに傍をかけまわるのが、哀らしくて気の紛れ、安めになっている。

* 九時過ぎまで頑張ったが、限界の疲労で、ひとやすみ。珍しく、プライムニュースがかなり真っ当に安倍、麻生政権の、年金不安と老境生活の破壊的惨状を 推察した金融庁(政府)の検討結果と警告を「報告」として「受け取らない」などというバカ露呈のチンドン発言を批評し批判していたのを当然と聴いていた。
安倍と麻生との底抜けのバカさ加減は、近代史にも桁外れに幼稚な不見識露出で、ただただ情けない。一日も早く、この政権には交代を強いてでも実現したい。七月の参議院選挙を国民は聡明に生かしたい。
2019 6/11 211

* 起床7:00 血圧 153-69 (49)  血糖値87 体重63.5g
2019 6/12 211

* 今日の作業を終えた。疲れで、歯が疼く。
下旬か月初の『選集31』送り出し用意を念頭に、なにより「清水坂」の難路迷路をかき分けねば。
2019 6/12 211

* 起床8:45 血圧 152-74 (58)  血糖値97 体重62.6g
2019 6/13 211

* 暑い日なかを自転車で郵便局へ、そしてセイムスへ妻の買い物の荷物運びに。うちの子らのための砂袋を三つだけでも重い。目薬等の薬以外はわたしのものは少ないが、かつがつ自転車付き二人で持ち帰れる嵩があり、暑さに当てられた。

* 食事に行こうと誘っておきながら、着替えた妻が迎えにきたときはソファでぐっすり寝込んでいた。もうその気になれず。申し訳なかった。『清水坂』へ向 き直り、手を入れ、思案し、いま、プリントしている。機械画面のママでは長い前後を見わたして手入れするのが難しい、し難い。現在すでに「湖の本」の一巻 相当の量にまで展開していて、先はまだ作者にも不明。
2019 6/13 211

* 起床7:30 血圧 127-62 (53)  血糖値94 体重62.5g
2019 6/14 211

* 食は進まず、美味い酒は減って行く。いい酔いは睡眠へ誘う。
入浴し、また腰を据えて「清水坂」へ脚を運ぶ。もう十時半か。
2019 6/14 211

* 起床8:00 血圧 134-65 (62)  血糖値100 体重62.54
2019 6/15 211

 

* 雨の中、自転車で、理髪店へ。スッキリと刈ってもらい、これで桜桃忌の歌舞伎座へ気持ちよく出かけられる。六十年の結婚記念日にも歌舞伎座へ行き、観劇中に気分わるくなり急いで出て車で帰宅したのを思い出す。
今度は無事で楽しめますように。
2019 6/15 211

* 知らずしらず 歯を喰いしめて仕事していると、ほっと息を抜き口を明いたときの歯の痛みったら、ない。跳び上がりそう。
2019 6/15 211

* 進んだ、のではないが、かなり混雑していた「清水坂道」に、見通しの整理がかなりはっきり付いた。先へさらに進まねばならない、根気よく。苦労? それはない、かなり愉しんでいる。
九時半、もう視野の何もが眩しく滲んで、よく見えない。
2019 6/15 211

* 起床9:45 血圧 129-63 (52)  血糖値87 体重62.5kg
2019 6/16 211

* きつい胸焼けを堪えながら睡魔に身を委ねていた。休息にならないと苦笑。
機械も、起動に父を極め、ぼんやり待っていた、辛抱専一と。あれれ、もう午になるよ。
2019 6/16 211

* なぜか喉もとが灼けるよう。そして、ともすると寝入っている。もう夕方、六時過ぎている。夕食、茶碗蒸しを二椀。それと高野豆腐と干瓢とを少しだけしか食べられなかった。
録画してあった「刑事フォイル」の、優秀なりに暗澹たる戦後英国の国際事情や犯罪に気が滅入った。と言って「寅さん」のようでばっかりも戴けない。
2019 6/16 211

 

* もう十一時半。また、明日に。疲れた。
2019 6/16 211

* 起床8:00 血圧 126-67 (50)  血糖値98 体重63.4kg
2019 6/17 211

* 起床7:20 血圧 139-68 (54)  血糖値85 体重63.2kg
2019 6/18 211

* 八時過ぎ。がっくりと気分わるい。躯の中が棚落ちでもしたよう。痛いでもつらいでもないのだが。

* 明日は、第五回太宰治文学賞受賞、満五十年の桜桃忌。
すこし、気も躯ものびやかに迎え、過ごしたいもの。歌舞伎は、部外の劇作家による歌舞伎座へ初登場の新作。面白くありますように。
三月の結婚満六十年を祝っての歌舞伎座では気分がわるくなり、途中で劇場を出、途中日比谷で休息と思ったのも玄関で断念して車で帰宅した。もうこの体調では何が起きるか分からない。
今夜はもう仕事も置いて、横になり、沢山な本の拾い読みを愉しみながら寝入ってしまおうか。本は枕もとにさまざま山積み。今日は書庫から岩波文庫プラトンの「饗宴」を久しぶりに持ち出してきた。
岩淵宏子教授からは編著の女流文学全集新刊が贈られてきている。「清水坂」文献も「瀬戸内」文献や地図も、大小いろいろ積んである。地図や海図は見飽き ないが、字の小さいのには音をあげる。コワーイ、コワーイ、コワーイ事を創造し幻想しながら夢を見るのも、今は役に立つ。
それにしても、五十年、処女作へ着手からならほぼ六十年、よう生きて来れたなあと少し惘れ。せめてもう少しはと本音で執着しているような己れにも、惘れている。 、
2019 6/18 211

* 六月十九日 水  桜桃忌
第五回太宰治文学賞受賞 以来 作家生活満五十年

* 起床7:00 血圧 126-61 (51)  血糖値91 体重63.3kg
2019 6/19 211

* 元気ハツラツとは謂えない、歌舞伎座へすらすこしく億劫の気味。からだに力が無い。
2019 6/19 211

* 盛大に拍手を送っておいて、日比谷へまわり、おきまりの賽ころステーキと蝸牛などを食してきた。18年もののシーバスリーガルが美味くて、ダブルで幾 つか呑んだが、けろりと酔いもしなかった。帰宅は十一時になり、玄関で「アコ」「マコ」待ちわびていた。生きた命が家に在る嬉しさと頼もしさを感じる。
2019 6/19 211

* 起床7:45 血圧 127-62 (48)  血糖値91 体重63.2kg
2019 6/20 211

* 今、私に大事なのは、次の長い新作を書き切ること。そのためには歩いて食べて健康を維持すること。分かってます、つもり。

* 剣客商売 と NCIS の晩です。

* 十時。もう機械からは離れねば。
2019 6/20 211

* 起床9:00 血圧 131-68 (68)  血糖値88 体重62.8kg
2019 6/21 211

* 五時に手水に立ち、まだ早いと床に戻ってから、よく寝た。ただしイロハ歌留多を撒くようにちぎれちぎれの夢を見続けであった。何一つ覚えないが、ふしぎなモノです、夢は。
2019 6/21 211

* 機械の不調で、印刷所への大事の入稿を伝える詳細なメールの送付に躓き、全く同じ作業を二度苦労して繰り返した。もう半盲の手探り仕事になっている。十一時が過ぎた。 2019 6/21 211

* 起床7:30 血圧 136-69 (55)  血糖値89 体重63.6kg
2019 6/22 211

* 八時半。やすもうか、もう。「清水坂」で粘ろうか。

* 桜桃忌を祝って歌舞伎座で妻が買ってくれた「和三盆」で旨い新茶を戴こう、わたしはお茶で眠れなくなるということは昔から、ない。

* 少しずつ、おっと間違えた、違った、仕舞った、忘れたということが増えている。困ります。やすみます。
2019 6/22 211

* 起床8:20 血圧 147-82 (51)  血糖値90 体重63.3kg
2019 6/23 211

* 夕食の前か先かも忘れたがぐったり疲れて、一時間半ほど寝入っていた。
その間も機械は通電のママにしていたが、デスクトップが惨憺たるさまに変わっていて、ビックリ。 ともあれ進行中のものは別のナントカいう機器に緊急コ ピーしたが。目下は、テスクトップ画面だけの惨状なのかもっときつい打撃を受けて危機にあるのか、分からない。ホームページのこの画面などは、少しくアタ マを働かせてまともに引き出せた、が、何より案じられるのは創作中の仕事、その安全と継続可能の確保はぜひ必要。
使用できていない別のパソコンへ、大事なモノは移転保存しておかねば。それが、出来るかどうか頼りない。
これから『清水坂』画面を引き出してみる。それとメールの機能など通信が現状、双方向可能かと思われるが、確認したい。

* マイ・コンピューターは辛うじて働いてくれる。HP画面も取り出せる。
表紙画面になにかしら異常を告げるらしき文字が乱入していて、使用不能に陥っている。警告の字が白けて重なり合って見えない。

* ま、惨事ではあるが、機械に用をして貰うだけは、まわりくどく手を使えば可能という、現況。このHP私語がはたして送り出せるのかどうか、不安。

* 送り出せたように思う。
2019 6/23 211

* 起床8:30 血圧 140-75 (55)  血糖値100 体重63.1kg
2019 6/24 211

* 起床8:30 血圧 140-75 (55)  血糖値100 体重63.1kg
2019 6/25 211

* 起床8:20 血圧 155-77 (57)  血糖値84 体重63.2kg
2019 6/26 211

* 回収の朝、重い重い故紙をわが家はいつも莫大に路上へ運び出す。荷造りは妻が、運ぶのは私。ほんの少し家の内外が片づくのが功徳。
2019 6/26 211

 

* よほどボケてきている証拠のように、帝劇の「ラ・マンチャの男」は日付も願ってとうに予約したとばかり思っていたのが、出来てなかったと分かった。やれやれ。ま、この芝居は少なくも三公演は繰り返し観てきたので、アキラメはつくが。
物忘れはよろしくない兆候ではあるが、著しい。けれどまだガンコに頑張ると、物の名、人の名、思い出す。
2019 6/26 211

* 起床7:30 血圧 140-65 (57)  血糖値91 体重62.7kg
2019 6/27 211

* 起床7:15 血圧 129-64 (56)  血糖値87 体重63.2kg
2019 6/28 211

* 台風は直には感じないで過ぎたが、暑いなあ。それでも戴いた「大和櫻」を階下へ降りるつと、文字どおりに猪口 猪口とやっている。
2019 6/28 211

* 起床6:15 血圧 134-65 (59)  血糖値94 体重63.0kg
2019 6/29 211

* 右脚が攣って、そのまま起きた。毛布一枚を除いて寝たのが、わるく冷えたか。
機械のご機嫌を伺いながら白楽天を拾い読んでいた。少し足もとから冷える。
2019 6/29 211

* さすがに、疲れやすく、交替で 横になっている。食がすすまず お酒がすすむ。量は抑えているつもりだが。
2019 6/29 211

* 起床8:45 血圧 128-62 (62)  血糖値85 体重62.9kg
2019 6/30 211

☆ 世田谷線は路面電車
昨日は午前から三軒茶屋へ。
沿線の立葵は、小雨に濡れそぼって尚、凛と華やいでいました。
この月末、小文二本を活字にしましたが、同人誌「群系」の特集は「八・一五の青い空 戦争と文学」。目次と巻頭言を添付しました。
冊子、よろしければお送りしましょうか。
夏越の今日は、曇りがちのようです。   九

* 「尚、」「凛と」と云うから、陳腐な説明になる。文学の「研究者」に、こうした悪文にちかい駄文を書く人が、けっこう多い。文学の「表現・文章」にかかわる専門家のつもりであろうに。
いまは目のためにも時間のためにも、当面「必用のない紙誌」の類は手にとっていない。新聞など何ヶ月も読めていない。楽しみたい各種「文庫」作品や「調べ」仕事のために視力を労り節約している。ニュースの類いは、仕方なくテレビかラジオで。
2019 6/30 211

* 正午。

* もう 午になる。 出かけてみたいけど。 さて、何処へ。何にしても西武線の駅に、まず接触以外に無い。久々に電動自転車で、さいたま向けへ走ってみるか。
2019 6/30 211

* 起床9:15 血圧 122-65 (58)  血糖値83 体重62.9kg
2019 7/1 212

* おそい朝食に 「卯時酒」ならぬ京の「五建ういろう」特製「小豆みなづき」を戴いて七月を迎えた。
すこし足し加えたい用を思いついたので、今日も落ち着いていられない。

* 一気に用を足した。

* ペンの堀武昭さん、ホテルオークラの涼菓を、箱根のテルさん、両 屋是清の和菓子を、京の橋染織家橋田有子さん吟味の塩昆布を送って下さる。ありがとう存じます。
塩昆布で美味しく、午、お酒が味わえた。良い塩昆布は実に美味い。
2019 7/1 212

* 起床6:00 血圧 132-67 (51)  血糖値87 体重63.2kg
2019 7/2 212

* 早くに目覚め、まだすこし睡いが、「選集31」の受け容れ用意に力仕事(邪魔になるあれこれの片づけ・片寄せ)もして、腰の痛み止めも一錠口にした。起きて働いていると{マ・ア」は喜ぶ。寝かせておきたい妻にも、起きてと盛んに催促に行く。ゆれゆれ。 2019 7/2 212

* 夕食後、二人とも疲れて、妻は眠り わたしも横になって「復活」「饗宴」「沙石集」「住吉物語」「傷つけられた青春」を、少しずつ面白く読んで休息した。またひき続き仕事した。作業は明日がヤマで、明後日には終えたい。

* メールをもらい、介護の日々を慰めた返信などの記録が、機械からみな消えている。どうなっているやら、奇怪な機械。こんなこと謂うとまたガタつかれるかな。十時・もう寝よう。
2019 7/2 212

* 起床830 血圧 135-71 (57)  血糖値90 体重62.1kg
2019 7/3 212

* 晩 疲れてしまい 横になり、睡らず読書。なによりも天野哲夫の『禁じられた青春』の昭和と戦争時代の批評が刺激的に興味深かった。これは、なみなみの本でなく、私自身で切実に追体験可能な貴重な証言本である。
2019 7/3 212

* 起床830 血圧 135-71 (57)  血糖値90 体重62.1kg
2019 7/4 212

* 最後にとっておきの名酒「獺祭」を一升瓶のママ、唐津のグイ呑みについて、今宵は心底落ち着いた。あれやこれやを難しく踏み越え踏み越えして、今日明日を送りつ迎えつするしかない。うまい酒には、恍惚、励まされる。飲み過ぎだけはかなり厳格に気を付けてる氣ですが。
2019 7/4 212

* 起床8:10 血圧 129-64 (55)  血糖値82 体重62.3kg
2019 7/5 212

* 近くの天神様かしらん、盛んに太鼓を打っている。雨通り過ぎ、眩いように晴れている。
夕刻には 暫くぶりに歯科へ通う。
2019 7/5 212

 

* 目の調子 わるい。

* 歯科へ。
帰りに、久々に「中華家族」でマオタイにありつく。美味い。
2019 7/5 212

* しばらくぶりに外出して、マオタイも身に沁みて ほっこりしてしまったよう。十時になる。

* みんな みんな 健康に 元気でいて欲しい、しみじみとそれを願う、そればかりを願う気持ちでいる。
2019 7/5 212

* 起床7:20 血圧 136-64 (54)  血糖値89 体重63.3kg
2019 7/6 212

* 始終口にしている所謂 元気 が無い。なんとなし 沈鬱または意気を阻喪している。ただに疲れているだけか、理由があるのか、分からない。こういうときは放っておいて気の向くままに寝たければ寝、飲みたければ飲み、読みたければ読めばよい。
2019 7/6 212

* 何ともいえず心身とも疲れている。仕方ない。こういう時は、いっそ気楽に休も。
2019 7/6 212

* 十時になる。横になり、いろいろ読書して寝入りたい。次の外出は、十七日の聖路加内分泌。気をらくにしながら「清水坂」をはみ出す勢いで書き継いで行 きたい。この作が「選集」を締めくくる長編になるだろう。まだ何も楽観はしていない、悲観もしていない。なにに近いかというと、楽しんでいるのかも。短編 が一つ書けている。のこる二巻の選集のおそらく一巻半は小説で尽くされ、「けじめ」っぽい文献は少しになるか。周章てずに、しっかり編輯したい。
2019 7/6 212

* 起床8:15 血圧 138-65 (54)  血糖値96 体重63.1kg
2019 7/7 212

* 少なくも自身で人間ドックを予約して出向いた2012年以降、一度も京都へ帰っていない。それ以前の記憶で確実なのは古来稀の七十歳誕生日、2005年12 月には今度の長編巻頭の南座観劇のままに妻と帰京しているが、それ以降は全く記憶がない、帰京すべき用事も幸便も無かった。まるまる十四年間は京都へ帰れ ていない。たとえ帰京の折りに恵まれても多忙のママ先ず二泊がいいところで、日帰りは始終、たいてい一泊で東京へ舞い戻っている。昭和三十四年、一九五九 年に上京、就職結婚して、氏一九六九年に受賞して作家生活に入り七四年に二足の草鞋の片方をぬいだが、とても左団扇でなど暮らせなかったし、書きに書いて 書き捲っていたので、作家業の余のヒマなど有り得べくもなかった、そして東工大教授への招聘があった。ま、京都には親たちも家ももう無かったし、二十余年 勤めた京都美術文化賞の選者も体力と時間を惜しみ、辞して退いた。
2019 7/7 212

* 終日、「眼花を病む」ザマのままであった。八種類も点眼薬をポケットにいつも容れているが、結局は聖路加で貰っていた「ヒアレイン」「タブロス」「フルメトロン」などに即効性がある、か。
2019 7/7 212

* 起床7:45 血圧 143-66 (55)  血糖値90 体重63.2kg
2019 7/8 212

* 起床8:20 血圧 137-66 (65)  血糖値103 体重63.2kg
2019 7/9 212

* 手元に溜まった長編第二、三部での完結を手順良く印刷製本へ回送しなくては。それが済むと、此処暫くは選集の新入稿は待機のまま、「湖の本」の発送を 終え、心ゆく創作へ気を入れて行く。次の新作も考えている。郵便が来ていたが、ソレも物の下になってか、見つからない。妻は疲れて寝入っている、「マ・ ア」もいっしょに。雨季から暑季へ、我々の苦手な季節だけに、ただ無事に乗り越したい。

* もう、祇園さんの神輿洗い。鉾巡幸の日、わたしは聖路加内分泌の診察日。やれやれ。
2019 7/9 212

* 九時。眼 花曇りで、なにもかもアテずっぽうでキイを捜している。
2019 7/9 212

* 起床8:00 血圧 135-68 (56)  血糖値81 体重63.0kg
2019 7/10 212

 

* 早い夕食後、昏倒したように六時半近くまで寝入っていた。
少しく機械前の身辺を模様替えし、ラジオで録音盤が聴けるようにした。いまもマリア・ジョアオ・ピレシュでモーツアルトのピアノ曲が聴けている。
ソクラテスら(プラトン)は人間に必需基本の教養として 詩歌、音楽そして体育と言い続けていた。わたしには自身を体育する励みがなく、成年以後もなかった。一時期、一日に数時間も自転車で遠乗りを楽しみ続けたのが例外というに近いが、もうそれは危険極まりない。
詩歌(文藝)への、また幸いに器楽曲や舞台音楽への嗜愛は失せていない。
2019 7/10 212

* 起床7:40 血圧 127-65 (58)  血糖値107 体重63.2kg
2019 7/11 212

* 「なんでも貯蔵庫」のような機械のなかを散策していたら、「2011年9月24ー30日」の「私語」がポコンと独り立ちしていた。何故か分からない が、この日付は、その歳末、聖路加診察で自発的に先生に「人間ドック」を紹介してもらった年の秋に当たっている。明けて正月五日の検査で二期胃癌間違い無 しと診断された。九月にはもう毎度のように腹痛に悩まされていた。今度の長編主人公吉野東作氏も同様に胃癌で入院している。ちょっと面白いので、吉野氏で はない、秦 恒平氏の当時の「私語」をそのまま此処へ再掲してみたい。
八年余の「昔ばなし」であるが、八年後の昨日今日にもえげつなくブリ返しているモンダイに触れていもする。忘れてはいけない。

ーー☆ーー

* 二○一一年(平成 年)九月二十四日 土

* 頭痛が無いわけでないが、鎮痛剤を口にせず晩まで過ごしてきた。仕事もし、気に掛かっていた用事も幾つも片づけた。妻と、かなり大事な相談もした。
師走に、七代目幸四郎の「曾孫」に当たる染五郎、松緑、海老蔵、三人での日生劇場公演が決まっているのが、今から楽しみで昂奮させてくれる。師走はわが家の祭り月でもある。元気を取り戻して、ぜひ楽しみたい。
いい劇場でいい芝居をみて、好きなものを食べて帰るという。概してものぐさなわたしの、これはささやかな贅沢で、他にはこれという何もしないで満足している。ほかに何が欲しいだろう。孫だなあ。
* 明日、思い切って「湖(うみ)の本」新刊分通算第109巻を、ぶっつけに入稿する。

* 九月二十五日 日

* 大江(健三郎)さんや山本太郎くんらの「反原発デモ」が成り立ったのは頼もしかったが、まだまだこの程度で満足していられない。漠然とした反対の声の結集から、より具体的な、子供にも理解できるほど明確なポイントを幾つも掲げながら前進したい。
こと原発に関しては、譬えば「便所のない豪邸」に同じだとわたしは謂った。かりにその場凌ぎの便所はあっても、集約された屎尿処理場のおよそ一つも国内に存在しない建設ラッシュだったと指摘した。
しかも原発の爆発により広範囲の要避難地域が必要となり国民の生活基盤を奪うだけでなく、自然や大地を汚染している。汚染を機械的に大地から剥ぎ取って も、剥ぎ取られたその汚染物の処理には全く手が着かない、つまり重大な危険物をただ場所移動しているだけで、何一つの解決策も見当たらないまま無策に政府 は、原発は、棒立ちのママ、なおあつかましく原発の擁護や稼働や新設をすら機会あらば口にしようとしている。その意味で新・野田内閣は、前の菅直人総理よ りも悪質な底意を優先させながら動こうとしている。

* どこかに、国の買い上げた県規模ほど広大な囲い地をもち、原発由来の譬喩であるが有毒屎尿を少なくも数百年規模で埋設しうる大施設を用意すべきだろ う、日本列島国土の中でどこにそれが可能か、為政の人はおそれず考慮して欲しい。当然に原発の無反省な新設はもとより全廃し、休止施設の再稼働よりもより 確実な廃炉計画を鮮明にすべきだ。

* 原発のために関わった推進・反対の大勢の学者達の国民的な大討議とともに、政府機関へ喰い入ってきた良心無き御用学者達の一掃も、視野に入れて実行した方が佳い。

* 東電の傲慢なウソ体質も徹底糾明しつつ、不幸な爆発の経緯を正確に白日に曝すとともに、発電と送電との分離経営を絶対に実現すべきが国会・内閣・財務・経産の国民への義務である。
分かりよい目途を立てて広い理解を糾合しながら、ただ花火のように打ち上げて終わらない継続した反対と監視の運動が続きますように。原水爆反対や禁止へ の多年の活動エネルギーが、原発反対の動きへ効果的に流れこむことを期待したい。
* 経済界奉仕第一の新野田内閣をわたしは警戒している。原発で謂えば菅内閣よりもよほどアトもどりしてしまうのではないか。少し舌のまわらないもどかし さは有るが、「アメリカ語」政治とのバイリンガル追随のグローバリゼーションが、世界的に行き詰まりのママ、それでも相変わらず無反省に、超近視のまま引 きずり回されるだろう「日本」の内閣と「日本経済人」たちとの、政治にも生活にも思想にもひよわい理想無きファッション感覚が、ますますこの列島の基盤を 沈下させて行くだろうと、もう、いくらか投げ出したいような心地でわたしは、いる。

* 昼過ぎ、鎮痛剤一錠のんだ。痛みがなければ、もう普通に近い。全身に活気が帰ってきてはいないという程度。「湖(うみ)の本」の通算109巻を入稿した。ゲラの段階で、組み付けに少し、いやかなり、工夫を要するか。

* 白鵬、十三勝二敗で二十度目の幕内最高優勝を遂げた。横綱に勝った琴奨菊は三敗ながら、来場所の大関を手に入れたろう。もう一人白鵬に勝った稀勢の里も来場所次第で大関も不可能でない。ようやく日本人力士擡頭の気配か。
わたしも体調に負けていられぬ。気の持ちようを晴れ晴れと動かす方へ身を向けたい。停頓していた心気を一新したい、だが、ともすれば睡魔に見舞われている。

* 相撲の世間だけでも、大きくモノゴトが変わって行く。なにもかも変わって行く。当然だ。
幸いわたしの人生は、ものごころついて以来、「読む」「書く」「本」そして「文学・文藝」であり、そういう分母に乗って、数々の「人」世間が、分子のよ うに去来した。幸なのか不幸なのか知れないが、分母は一貫し、どうやら終焉まで変わるまい。が、分子のほうはありとあらゆる意味で「しおどき」がちかづい て来ている。すくなくも囚われのない物静かな、少し心寂しいほどの日常に落ち着いて行くだろうし、それがいい。

* 九月二十六日 月

* 朝、いきなり「訃報」と題名、発信者には弥栄中学時代「友人の姓」だけあって本文を欠いたメールを受けていた。家族からの報せか、本人が誰かわれわれ共通の知人の訃報を告げようとしたのか、分からない。カナダにいる田中勉君に問い合わせている。
もう、こういう報せは日常事になろうとしている。気を病みすぎないよう落ち着いて報せに聴かねば。
* 秦の母は九十六歳まで生きた。その伝にしたがえば、妻も私にも、なおまだ二十年二十一年もの余命がある。さすがに信じようがない。何をして、または何 はしなくて、残る日々をどう暮らして行くか。それが窮屈な枠組みを自身に強いるのではなく、たぶんにふっくら柔らかい時空のなかで、なるべく心ゆく楽し い、おもしろい日々を味わって行きたい。なにより不要モノ、不要コトを惜しまず捨てて行くこと。もう広い世間は要らない。

* 二葉亭四迷の『平凡』を(=「ペン電子文藝館」のために)校正していたが、正字に忠実に、難儀な宛字に読み仮名をとなると、容易に捗らない。読み仮名は必要だが、正字は新字にという原則で紹介しないと、あたら若い読者を困らせそうだ。

* 疲れが溜まっていてか、午后いっぱいを寝入ってしまった。まだからだに活気がない。

* 愕いたことに、もしかして福盛くんの訃報でもあるかと案じて、カナダの田中君まで問い合わせてみたのが、じつは当の田中勉君の訃報であったと、夫人光子さんから報せが届いた。なんという悲報か。言葉を喪っている。
田中君のことはもう繰り返しここにも書いてきた。新設新制の京都市立弥栄中学に文字通り新一年生として入学した年、同級生だった。以来六十年もの親交 だった。高卒からのちにカナダへ渡って久しく。近年、重い辛い病気をしたという便りを貰っていたが、それも回復への道のりと想っていた。寂しい。五体、固 まっている。

* 九月二十七日 火

* 左後頭一部に苦痛でない程度の、やや執拗な軽い鈍頭痛が残っている。鎮痛剤を入れなくて一晩の睡眠が可能な程度だから、だいぶ落ち着いているけれど、違和感ははっきりまだ有る。
勉さんのことなど、どうしようもなく想いを扱いかね、悲痛払うに払いかねる。家に閉じこもっていてはいけない。ゆっくりゆっくりでもいい、乗りもので遠い空の空気を吸ってくるといい。
日記に向かっていても、ほんとうに今日が九月二十七日かどうかすら自信がもてない。
* 訃報は混線していたのだが、いまさき、あらためてカナダの田中光子さん(勉さんの夫人)から私宛に夫君逝去を報せるメールが届いた。言葉もなく参っている。付されて届いたトロントの日系新聞の弔意の記事等、残念ながら文字化けで読み取れない。

* re 言葉もなく
うちのめされ、固まっています。想いはただただ弥栄中学の昔の思い出に張り付いてしまい、勉さんの笑顔を食い入るように見つめています。いけません、今 は、恥ずかしながら物書きが言葉をぜんぶ喪ってしまい、身震いばかりです。 奥さん。お悲しみ、お察しするばかりです、たくさんたくさん泣いて上げて下さい。ごめんなさい、よくない慰め方だと思いながら、わたしも泣いています。堪 忍して下さい。今は堪忍して下さい。 秦 恒平

2002.03.20 田中勉と。京・祇園・千花で(の写真入る)

* 九月二十八日 水

* 底知れずなにかに惘れはてている。これは、どういうことか。気力の萎えか。
* 強くはないがしつこい左頭痛は常在している。深部でない、表在痛。我慢を強いられるほどではないのだが集中力を妨げる。

* 人気の市川亀治郎が伯父の「猿之助」を襲名するのは期待していたことで、めでたい。父・段四郎が元気な間にいい猿之助になってくれますように。初めて 猿之助と共演の若い亀治郎の舞台(=風呂場のなめくじ役)を観た日から、踊れるいい役者だと間違いなく期待してきた。期待は少しも裏切られていない。こと しは「油地獄」のお吉でしっかり見せた。
病める猿之助は二代猿翁になるとか。それでよい。初代猿翁の舞台も懐かしく忘れていない。新猿翁は事実上もう舞台は勤められまいが、病んでからも存在感 豊かに一門を束ねていた。坂東玉三郎の応援も大きかった。笑也、笑三郎、春猿などイキのいい女形が育っていて、男役には右近、段治郎、それに壽猿などがい る。新猿之助にはガンバリ甲斐のある一座だ。
それに加えて仰天のニュースだ、佳いニュースだ。
久しくも久しく四十五年も父子絶縁であった猿之助長男に当たる映画俳優香川照之が歌舞伎界に新加入し、市川中車の名跡を継いで来年六月から歌舞伎舞台を 践むというのだ、容易なことではない、容易なことではない、が、なにかしら心嬉しい。新中車の息子も團子という懐かしい子役名で同時にデビューすると。
新中車母の浜木綿子も案じるように本当に文字通り「容易なことではない」のだが、映画界で実力を認められてきた蓄えの上に資質の新発見を願い、期待した い。妻など、今からもう観たい観たいと、新猿之助、新中車、新團子、二代猿翁も含めて堂々の襲名興行の成りますようにと祝っている。佳いニュースだ。記者 会見のようすも嬉しいほど、よかった。

* むかし若かった猿之助と幸四郎とが一つ舞台で共演した日、「早慶戦」などと声の上がるのも楽しく聴いた。幸いいま若い染五郎と中車になる亀治郎とは気があっている。高麗屋もあげて澤潟屋を応援してくれるだろう。

☆ 願いをこめて。  吉備の人
長らくご無沙汰しました。おかけする言葉がみつからなくて今日まで過ぎました。体調のすぐれない方にふさわしくないと承知しながら敢えて清酒をお届けす ることにしました。秋の気配も色濃くなりつつあるときなので、秦さんがお酒を口にできる日の早く来ることを願っています。

* 有難う御座います。嬉しく頂戴します。

* 馬場あき子さんの新歌集『鶴かへらず』を頂戴した。

うらぶれた汚れた孔雀冬ざれの日本にゐて日本に似る

大根を抜かれし跡地しみらかに陽は射せり慰められてゐる安堵感

さきの歌、ちょっと思い付きの感あるが。あとの一首にとくに共感するが、「しみらかに」は所得ているだろうか。楽しみに読ませて貰います。感謝。

* ジェンダーの視点から見た沖縄と副題して、「上野千鶴子に挑」んでいる島袋まりあさんの『日本のポストコロニアル批判』が興味深く、また手厳しい。教えられている。

* 書庫にはいると、国文学そして歴史それも中世を論じたいまや古典的な本が数あるが、そして私自身も熱心に中世を考え語り書いてきたのだったが、蔵書と してみる多くの昔の中世論は、いまでは影が薄くなっている。わたしはもともと日本史をいつも裏側から、支配者より支配されている側から観てきたので、過去 のでなく近来の活溌な中世論にこそ大いに啓発され励まされる。
何と言っても網野善彦氏や横井清氏や川嶋将生氏らの中世研究に教えられ鼓舞されてきた。京都で感触してきた中世が生き生きと起ち上がってくる。多くの論 攷や論文がじつに生き生きと面白い。さてさて、その功徳がどうかして今も取り組んでいる小説(=仮題清水坂)に美しく反映して欲しいモノだが。

* 幸いに猛烈な颱風はひとまず去って呉れ、烈しい夜雨を戦くように聴くことは、とまれ免れている。ただし夜雨はいつも激しいわけでなく、秋ふけゆく夜の雨は人によりひとしお寂しかろう。
晩唐の詩人に四川での「夜雨 北に寄す」がある。北にある妻か恋人かが、いつお帰りかとはるばる問うてきた。

君 帰期を問ふも未だ期あらず、巴山の夜雨秋池に漲る。
いつか共に西窓の燭を剪り、却つて話さん巴山夜雨の時。

李商隠の好きな唐詩です。

* さてバグワンといえば、なによりわたしには「心」を語ってくれる人だ。彼は司祭でも僧でもない。彼はひとりの覚者ブッダとして、一言一言わたしの眼をのぞきわたしの手をとって話しかけてくれる。当分の間、バクワンに「心」の事を聴こう。

☆ バグワンに「こころ」を聴く。『存在の詩』より
スワミ・プレム・プラブッダさんの翻訳に拠りながら

あらゆる問題の根本となる問題は「心」だ。
心の本性がわからない限り
おまえは人生のどんな問題を解決することもできまい。
心こそが問題なのだ。

ひとつひとつの独立した問題を解決しようなどとしないこと。
そんなものはありはしない。
心そのものが問題なのだ。
しかし、心は地下に隠されている。
私がそれを「根」と呼ぶのはそのためだ。
根はつねに不可視でありつづける。隠されている。

決して目に見えるものと戦わないこと
さもなければ、おまえは影法師と戦っていることになるだろう。
それでは、おまえが自分自身をすりへらすことはあっても
おまえの人生にはこれっぽっちの変化も起こり得ない
同じ問題が何度も何度も何度も持ち上がることだろう

心は決して平和には成らない
「無心」は平和そのものだ
が、心自体は決して平和でも静かでもありえない
心はまさにその本性からして緊張と混乱なのだ
心は決してクリフーではありえない。
なぜなら、心は本性がすなわち混乱であり曇りであるからだ。

決して「静かな心」など達成しようとしないこと
さもなければ一番の最初から
おまえは不可能な次元に向かっていることになる
「こと」のはじめは、まず心の本性を理解すること
それからはじめてなにかが為されうる。

* わたしは、いの一番にこの『存在の詩』を手にしていながら、こういう根の注意を聞き飛ばして「静かな心」が欲しいと願っていたのだった、あの漱石の『こころ』の「先生」のように。一度や二度ひらひらとものを読んだだけでは、聞いただけでは、ほんとにダメだと思う。

* 九月二十九日 木

* 捜しものは相変わらず見付からないまま、また、もっと今が今に大事に取り纏めた創作資料が見付からない。よくよく衰えが進んでいるのか、身辺にモノが 多すぎるのか。広い場所で整頓できているとは言えない、狭い上に、モノの上に下にモノが、つい、置かれて記憶から落ちてしまう。やれやれ。
ま、また手間・ヒマを掛ければ再度の取り纏めが不可能ではないのだと半ば諦めている。たいていのものが機械の中へ電子化されてあるのでそれが出来る。

* 体調が本復に近いとすら言えないのだが、気分からも普通へ近づいて行きたいので、久しぶりに、ゆるゆる出歩いて来ようかと思っている。乗り物の中で読 み返してみたいモノを取りそろえてあったのが見付からないのだ、ま、ぼおッとして来いということか。
* ひどい腰痛もなく、なにより朝にはあった頭痛もなくて、帰って来れた。たしかに疲労はあり、西武線の中でよろけたり、保谷駅の構内ですうっと目の前が 白くなったり仕掛けたけれど、元気は元気、外出してよかった。本の一冊も持たなかった、何も読まなかった。ぼおッとしているのがよかろうと思っていた。

* 吉備の人から、名酒「八海山」一升頂戴していた、なんと有り難いこと。嬉しいこと。

* 岩橋邦枝さんから『評伝 野上彌生子』を戴いていた。

* 秦建日子の、朝日新聞だかに出たという河出書房のどでかい広告を、妻がご近所から貰っていた。例の女刑事行平夏見もの四連作を並べていて、通算してだ ろうか百何十万部のベストセラーだと。親父には逆立ちしても出来ない芸当である。すくなくも養ってやらなくて済む大親孝行者だ。そんなに売れなくてもいい から、ますます佳い作、作の品の賞味できる作をこころがけてくれますように。

* かなり汗を掻いて捜して、一つ、今や大事な方の失せモノを見つけ出せた。ほっとしている。幸い頭痛も出ていない。安眠して、明日九月三十日を迎えたい。

* バグワンに聴く。 『黄金の華の秘密』より
スワミ・アナンド・モンジュさんの翻訳に拠りながら。

人間は機械だ。機械に生まれついたわけではないが、機械のように生きて、機械のように死んで行く。社会によって、国によって、組織化された教会や寺院に よって、既得権益を有する者達によって、比喩的に謂うのだが、催眠術にかけられているからだ。社会は奴隷を必要とする。社会の一員となり文明を身につける プロセスというのは、すべて深い催眠術に他ならない。
おまえは自分の内にある肉体以上の何かを知っているだろうか。生まれるよりもまだ先に自分の中にあった何かを観たことがあるだろうか。
人間は不死の存在たりうるが、肉体と同一化しながら生きているために、死に囲まれて生きている。社会はおまえが肉体以上のものを知ることを好まない、い や許さない。社会が興味をもつのは知能も含めておまえの肉体だけだ──肉体は利用できるが、魂は社会のためには危険なのだ。魂の人はつねに危険なのだ、な ぜなら、魂の人は一個の自由人だからだ、社会は彼を奴隷に貶めることが出来ない。魂の自由人は単に機械である人間達がつくりあげた社会、文明、文化の構造 に拘束されない、拘泥しない、それらに仕えねばならぬとは考えない。考えないで済ませうる自由を生きている。それらのものが謂わば監獄であることを本質的 に見抜いている。彼は群衆の一部ではありえない、彼は個として存在し、それらの監獄様のものをべつの生命として個のために活かそうとするしそれが出来る。
肉体は機械化した群衆の一部だ。だがおまえの魂はそうではないし、そうであってはならない。その魂は自由の香りを帯びている。
社会からすればおまえが魂であろう、魂を得よう観ようとし始めたら、たいへんな危険だ。社会はおまえの生のエネルギーがただ外へ外へ流れ続けて欲しい。金 や権力や名声や、そういったものに興味を持ちそれらに奉仕し跪いていつづけて欲しい。社会はおまえが生の内側に入って行くことをどうかして妨げたい、そし てその最良の方法は、自分は内側へ向かいつつある、入りつつ有るという偽りの仕掛けをおまえに提供することなのだ、ここに、じつに難儀なトリックが無数に 考案される。はっきり言う、巧妙で偽善そのものの落とし穴、罠だ。観てごらん、どんなにそれが多いか。

* わたしは映画「マトリックス」をありあり想い浮かべる。

* 九月三十日 金

* 昨日岩橋邦枝さんに頂いた『評伝 野上彌生子』の冒頭で、大いに感銘をうけたのを、ぜひ記録したい。
彌生子は漱石の弟子であった。漱石の絶筆に『明暗』のあることは誰でも知っているが、彌生子の処女作がまた「明暗」という百二十枚ばかりの作で、彌生子 は漱石の懇切丁寧な五メートルにもなる巻紙での手紙をもらい、宝物のように終生これを語っているが、自作のほうは彌生子自身見失っていて、死後に発見され 全集の補遺により活字にされた。
わたし・秦は漱石先生の批評と激励の手紙の中で、ことに心肝に響く「ことば」と「声」とを聴いたと思っている。すこし此処こ書き写させて頂く。本当に本気で小説を書こう、創作しようと決意した人ならば、こころして聴いて欲しい。

☆ 岩橋邦枝著『評伝 野上彌生子』の冒頭に聴く。

第一章 師・夏目漱石──作家になるまで
野上彌生子は、長篇小説『森』を執筆中の(齢=)九十代の日記にしるしている。(もんだいは幾つになつたではない。幾つになつても書きつづけることである。)
彼女は、夏目漱石に師事した明治期以来、昭和六十年(一九八五)に九十九歳十一ケ月で急逝するまでたゆまず書きつづけて生涯現役作家を全うした。

彌生子は、昭和四十一年の〝漱石生誕百年記念講演〃「夏目先生の思い出」のなかで、夏目漱石から貰った長い手紙をところどころ読みあげて披露した。六十 年前、二十一歳の彼女が初めて書いた「明暗」という題の小説を漱石に見てもらったとき、漱石が懇切に批評した手紙である。(人物の年齢は、誕生日前もその 年の満年齢を記す)
漱石全集の書簡集に、明治四十年(一九〇七)一月十七日付野上彌生子【当時は八重子】宛の「明暗」評の手紙が収録されていてその全文を読むことができる。次のような書きだしである。

《   明暗
一 非常に苦心の作なり。然し此苦心は局部の苦心なり。従つて苦心の割に全体が引き立つことなし
一 局部に苦心をし過ぎる結果散文中に無暗に詩的な形容を使ふ。然も入らぬ処へ無理矢理に使ふ。スキ間なく象嵌を施したる文机の如し。全体の地は隠れて仕舞ふ。  》

このように箇条書きで、漱石は作品の批評とあわせて、文学者になるということの根本義を噛んで含めるように諭している。懇切叮嚀な批評と教えは、七箇条にわたる。
《明暗は若き人の作物也。(略)才の足らざるにあらず、識の足らざるにあらず。思索綜合の哲学と年が足らぬなり。年は大変な有力なものなり。》《余の年 と云ふは「文学者」としてとつたる年なり。明暗の著作者もし文学者たらんと欲せば漫然として年をとるべからず文学者として年をとるべし。文学者として十年 の歳月を送りたる時過去を顧みば余が言の妄ならざるを知らん》
この作者の若さでは《人情ものをかく丈の手腕はなきなり》、だが《非人情のものをかく力量は充分あるなり。絵の如きもの、肖像の如きもの、美文的のものをかけば得所を発揮すると同時に弱点を露はすの不便を免がるゝを得べし》と激励をこめて教えている。

中略

彌生子は、所在不明になった「明暗」の原稿について四十歳の頃すでに、その古原稿を覗いてみたこともないので何を書いたかよく覚えていないと小文「二十 年前の私」にしるしているが、漱石からもらった「明暗」評の長い手紙のことは、生涯にわたって何度も感慨をこめて書いたり語ったりした。次に引くのは八十 七歳のときの述懐である。
《もし先生が、お前にはとても望みはないから、ものを書くなんてことは断念した方がよからう、と仰しやつたら、私はきつとその言葉に従つたらうと思ひま す。さうすれば、作家生活には無縁のものになつてゐたはずです。ところが、さうではなく、いろいろ御親切な教へを受けたこと、わけても、文学者として年を とれ、との言葉は私の生涯のお守りとなつた貴重な賜物でごさいます。》(『昔がたり』解説)
彼女は九十二歳の談話でも、もし漱石から文学など考えずにずっと細君業をすべきだという手紙をもらっていたら、自分はなんにも書かないですごしたのではないかと思う、と語っている。
彌生子はもともと作家志望ではなかった。《知識慾には駆りたてられてゐたが、自分でも作家にならうなんてことは夢想してもゐなかつた》(「その頃の思ひ出」)という彼女が小説を書きだしたのは、夫の野上豊一郎から聞く漱石山房の木曜会の話に触発されてのことであった。

* もっと読み続けたいが、措く。
《才の足らざるにあらず、識の足らざるにあらず。思索綜合の哲学と年が足らぬなり。年は大変な有力なものなり。》《余の年と云ふは「文学者」としてとつたる年なり。明暗の著作者もし文学者たらんと欲せば漫然として年をとるべからず文学者として年をとるべし。》 漱石
《わけても、文学者として年をとれ、との言葉は私の生涯のお守りとなつた貴重な賜物でごさいます。》 彌生子
これだ。文学に志すというなら、これだ。趣味で何が出来るだろう。

* もう一つ、岩橋さんの叱咤も聴くべし、(もんだいは幾つになつたではない。幾つになつても書きつづけることである。)

* いろんなことに雑然と手も出し口も出しているわたしだが、確実にこう思っていて疑わない、「よけいなことをしでかすより、三行でもいい、佳い文章を書きたい、いつまでも書いていたい」と。

* 「小説が書きたい」「書いたから読んでほしい」と、少なくも永い間に数十人ないしもっと多くに頼まれた。だが「文学者として年を」とった、とりぬいてきたいったい何人がいただろうか。世に出る出ないはべつごとである。

* 「湖(うみ)の本」通算109巻の棒組初校が出てきた。ちょっと手を掛けて「組み付け」ねば成らないが、手はもう付けている。根気よく、少し大胆にするしかない。

* いましも妻は懸命に「秦恒平参考文献・輯」に連日連夜取り組んでくれている。「論攷」「書評」「批評」「世評・アナウンス」に分類して、保存してきた 限りを電子化してくれているところだが、その総量の多いこと多いこと、出てくるわくるわの何というか「頼もしさ」に、妻はスキャンし、校正して読み、或る 意味で楽しんでさえいてくれるようだ。まだ、百の一つにも当たらないほどで、「湖(うみ)の本」創刊以前の、以後も含めて、どんなふうに秦恒平の創作・著 作・人間が批評され観察されていたかがこわいほど覿面に読み取れてくる。有り難いことだ。
今日はたまたま見つけた「古典遺産」№33という1982.10月の雑誌巻頭で、「座談会・秦恒平著『風の奏で』を読む」という長篇を手渡しておいた ら、興がわいたか直ぐさまスキャンし、一通りの校正までしてくれた。平家物語研究者として知られた今はない梶原正昭教授をはじめ加美宏、小林保治教授三人 で、わたしの小説を専門の研究者・学者の立場から大量に読み合わせてもらっている。
おそらくわたしの熱心な読者でもこんな文献には目も触れたことないだろう。表題などのデータだけでなく、出来る限り本文内容も読んで貰えるように用意しているが、なにより総量の多さにわたし自身が仰天している。嬉しい悲鳴である。

* なにをどう疲れたのか、夕食後の六時半過ぎから真夜中の日付の変わる間際まで熟睡していた。枕で抑えるためもあるが、少し左に頭痛が出ているが、堪え られぬ程ではない。起きあがって、ふっと手を触れた資料棚の一皿に、ちょうど手をかけはじめた「湖(うみ)の本」新刊分の支えになる、昔の歌帖数冊がもの のしたから出てきたのも心強い。

☆ 九月尽   播磨の鳶
九月が過ぎ去ろうとしています。八月末の「発病・不調」から一か月、やや安心かと胸なでおろしつつも、一昨日の記述、カナダの友人の訃報に接しての鴉の悲嘆を思います。どうぞ彼の分までも、まだまだ「執念」く書いてください、生きてくださいと願うばかりです。
先に送った文章(=ヨーロッパ紀行『レオンの宿』「e-文藝館=湖(umi)」に収録済み)に、「佳いよ。」といただいた一言は、本当に初めてのことで した。嬉しいと素直に受け止めます。鳶は救いがたく単純人間でもありますから。同時にいっそう心して暮らし、ものごとを見つめたいと自ら戒めます。
先日浄瑠璃寺に出かけた時のこともただただ備忘録として書いたのですが、そこからどう展開したものか、まだ時間がかかりそうです。
明日は神戸で詩の朗読がありますが、これは以前書いたものの中から選んでいこうと思っています。
何故か、メールの通信に問題があり、コンピューター不調。本当に機械音痴で途方にくれます。それにワードの使い方もこのコンピューターでは不慣れで困っています。
十月、元気に過ごせますように。鳶は元気ですよ。

* 昨日、漱石が初めて野上彌生子に与えた書簡、その冒頭で、読んだ、
「才の足らざるにあらず、識の足らざるにあらず。思索綜合の哲学と年が足らぬなり。年は大変な有力なものなり。》《余の年と云ふは「文学者」としてとつたる年なり。もし文学者たらんと欲せば漫然として年をとるべからず文学者として年をとるべし。」
「文学者として年をとれ、との言葉は私の生涯のお守りとなつた貴重な賜物」
というのが、痛切な妙薬のように頭で鳴っている。二十歳のモノに、まだ若い、三十、四十になってから書けなどという助言でも叱咤でもない。あくまで「書く人間としての覚悟で」日々を生きよ、「年をとれ」と漱石は忠告している。

* 八月二十九日に苦しみはじめ九月二十九日に久しぶりに独りで街へ出た。しんどかった九月が逝く。

ーー☆ーー

* 書き初めて二十余年、欠かさぬ秦 恒平の「日録 私語」の 一見本。 原発 歌舞伎 バグワン そして漱石などに心惹かれて書いている。ふくつうでなく異様な頭痛を訴えている。癌の手術以降、そんな頭痛は無い。
2019 7/11 212

* 起床7:50 血圧 127-63 (63)  血糖値91 体重62.8kg
2019 7/12 212

* まるで出歩かないので、いつのまにか財布がカラ同然。明日から土、日。ちょっと出歩く気になったが、電動自転車で久々に走ってみるか。何か食べたい か。食べたい何も無い。南座わき松葉屋の鰊蕎麦がふっと恋しい。食べる気も食べたい物もないので、今度の長編ではたくさん「爺さん」に食べ歩かせた。京で の昔はわたしは余分なお金はまるで持てなくて、妻とのデートもひたすら「歩き」とせいぜいラーメンだった。小説では、わたしの行ったこともない佳い店で、 「爺さん」よく食べに食べていた。懐郷の思いが能く利いた。
東京では、むかしは寿司の「きよ田」がわたしたち最高の佳い贅沢だった。辻邦生がはじめ連れて行ってくれた。大きなパーティ会場から、小学館の会長に誘 われ二人で出向いたことも、御茶ノ水大入学祝いに朝日子に御馳走してやったことあった。井上靖、山本健吉等々で静かに賑わう超特級の寿司店であったが、店 主が病気で亡くなってしまった。わたしが沢口靖子が贔屓と知るやたちまちに会社に掛け合って畳半畳大の写真や献辞入り署名の額写真などを幾つももせしめて くれたのが、今この部屋にも、「靖子ロード」と称している二階廊下にも、デーンと懸かっている。
この「きよ田」代替わりの店が同じ場所で開いているとちらと耳にしている。「きよ田」初代は伝説的にしられた名人で、わたしたちが仲良しだったのは、二代目。
美味いいい寿司が食べたくなった。
「きよ田」のほかではやはり小学館会長に連れて貰った銀座の「すし幸」、気楽にとまり木でというなら たまたまとびこんだ東京駅構内で、沼津から店を出していた店でよく喰いよく飲んだ。懐かしい。まだその店、あるかなあ。懐かしい、が、さて食欲が湧かないのが情けない。
2019 7/12 212

* 起床8:20 血圧 140-75 (61)  血糖値95 体重63.0kg
2019 7/13 212

* もう数ヶ月 歩行にも動作や作業にも問題ないのに 右足首にかすかな骨の違和を覚えている。ことに階段の上り下りの時にかすかな違和感がある。怪我が加わらぬよう気を付けている。

* 眼鏡に大小二種のサングラスを重ね、ブルーライトの眼への刺激を避けている。おかげで視野はうす暗い。これでいいのか意味無いのか、分からぬ。
2019 7/13 212

* 視野の滲み崩れは無いが、機械の画面、ちょっと暗すぎるかな。

* 疲れて参りかけたので横になりに行きながら、そのまま天野哲夫の『禁じられた青春』下巻を戦後も、東京裁判の後まで、残りも僅かまで引き込まれ読み進 み、「あとがき」も感銘と共に読んだ。上巻はどこへ行ったか、昭和十年生まれの自分に即し、昭和初年生まれの著者の前半分は処分したのかも知れないが、綿 密に、緊密に、 親密にとすら謂えるほどに「耽読」してきた。人生の最後へさしかかり生きてきた若き日々の日本を思い出したくなれば、この一冊にまさる名 著は無いであろう。書庫の何千册をカラにしても、この『禁じられた青春』下巻一冊は惜しんで残すだろうとさえ思う。

* ついで吾が『オイノ・セクスアリス 或る寓話』三部のなかの、東作氏が入院中にプラトン『国家』に刺激されて書いた健康と死とにかかわる長い吐露の文 を慎重に読み替えして、やはり「老い」の述懐として「病と死」とにかかわる思いはこの作に不可欠と感じた。この吉野東作氏の述懐は、はからずも作中の若い 「雪・雪繪」と書かれている女性に微妙に突っかかられていて、作の行方と転回を促している。若い人の気持ちは別として「老い」をかかえ「病い」をかかえた 読者には面倒でも読み切って貰えるといいのだが。

* さらに次いで、いよいよ『饗宴』が、巫女ディオテマとソクラテスとの「エロス」についての対話に入ったのを歓迎して、興味津々読み始めた。

* 結局、横になったままの読書で、睡らなかった。

* 夕食後、妻がピアノを鳴らしているあいだ、たっぷり入浴、校正、佳い読書また佳い読書。

* 九時半。疲労のママ、機械をもう閉じる。明日のために。
2019 7/13 212

* 起床7:50 血圧 131-66 (60)  血糖値88 体重62.7kg
2019 7/14 212

* 視野湿潤のせいか、ボーゼンと疲れている。自分でも何をしているのか分からない。やすむしかない、残念だが。

* 六時過ぎまで寝ていた。寝入る前に女性文学全集で瀬戸内晴美、三浦綾子の短篇を少しずつ読み始めたが、眠気に負けた。

* 夕食に、桃、すこぶる美味。

* 七時 ショパンを聴いている。腰が痛む。

* また桃を戴いて。十時前。横になりたい。
2019 7/14 212

* 起床7:50 血圧 131-66 (60)  血糖値88 体重62.7kg
2019 7/15 212

* 起床8:30 血圧 139-61 (70)  血糖値92 体重63.6kg
2019 7/16 212

* 小雨をおして自転車で郵便局へ本を送り出しに。行きは下り坂、戻りは上り坂。疲れが芯へ来る。
2019 7/16 212

* わたくしの ふらつきも宮下さんと同じで。とにかく、よろよろする。術後から躊躇いなく杖を頼んで、これは役に立っている。杖の御蔭で階段り昇降が安 定もし力にもなってくれる。明日は、久しぶりに杖を頼りに聖路加病院での諸検査を受けに出向く。血糖値はごく安定している。

* 天候が異様に異例つづきで、世の中とともに鬱陶しい。祇園祭の頃は空が抜けるように青く、そして叩きつけるように心地良い夕立が駆け去っていったりしたものだが。

* 捻ったように左骨盤の下あたりに筋肉痛。倚子との相性か、たんに行儀が悪いのだろう。小説の前で立ち往生しているのが響くのか。
2019 7/16 212

* なぜ こう グッタリ するのかな。
2019 7/16 212

* 起床8:00 血圧 142-67 (51)  血糖値84 体重63.5kg
2019 7/17 212

* さ、聖路加の受検・受診に出かける。

* 2時過ぎの検査に、なんらの異状無し。寝前のインスリン注射一単位減る。

* 家を出るときはバス停まで時間を気に懸けほとんど小走りだった。
病院を出るときは、もう、よろよろ。ほとんど決断力もないまま日比谷の一階食道へ入ったはいいが、真向かいの三人の女連れ、こっち向き真正面の相撲取り ほどの一人、両脚を広げてノーパンティの縦一線。美味い酒も御馳走もはなしにならぬ不快さのまま、飲まず食わず店を出た。
近くの「寿司さんまい」でもっぱらまぐろと生牡蛎で二合のみ、帰ってきた。街へ出るといろんなことにがある。疲れてなければもっと歩くだろうに。どうしても銀座から、上野へも浅草へも脚がのびない。
2019 7/17 212

* 夕食したとすら覚えず寝つぶれ、両脚の痛い攣縮で十時半に目ざめたが、がっくり疲れきっている。この機械をまた明けるにも時間がかかり、ともすれば瞼が重く落ちる。休むが勝ちか。
2019 7/17 212

起床8:10 血圧 142-75 (59)  血糖値89 体重62.9kg
2019 7/18 212

 

* 夕食もほとんど摂らず寝入り、喉もとへの強い胸焼けで目ざめた。今晩の「剣客商売」は情に篤くこころよかった。久しぶりに観る宍戸錠だった。主人公の藤田まことはとうに逝去、宍戸は如何。たしか同じ母校の出であったような。
2019 7/18 212

* 起床8:50 血圧 124-63 (72)  血糖値86 体重62.8kg
2019 7/19 212

* 起床8:50 血圧 124-63 (72)  血糖値86 体重62.8kg
2019 7/20 212

* 妻と連れて ネコ兄弟の「アコとマコ」のため、大量の砂や餌などを、近くのセイムスへ買い出しに。砂袋を三つも買うととても持ち運べないのでわたしは自転車。
ついでにスコッチを買ってきた。役所広司が広告している「正麺」も買った。
ネコたちとの共生がどんなに幸せかは、日々に身に沁みて満喫出来ている。同時に同じ母から産まれたという兄弟の仲佳さはうるわしい限り、眺めるだけですさみがちな人間は感嘆し感謝してしまう。

* 何をしてこう草臥れるのか、分かりません。もう十一時。
2019 7/20 212

* 起床8:00 血圧 121-58 (62)  血糖値90 体重62.7kg
2019 7/21 212

* 猛暑に負けそうになりながら、投票所まで歩くのを避け、自転車で独り参議院投票を済ませてきた。建日子が来ていて母子で歩いて投票に行くだろう。
卒倒しそうな暑さ。往復して十分とかからない自転車走なのに疲労困憊。情けない。

* 世上、無残な、また理不尽に不快なニュースが続出している。日韓のあいだにも愚かしいような揉め事が失せないでいる。この蒸し暑さと似通っている。
かまわずわたし自身の仕事に励もう。と、思っても疲労困憊。情けない。

* 建日子が岐阜の土産に持参のしぼりたての酒に美味く酔った。建日子が心ゆく仕事で満ちたり、元気でいて欲しいと願うばかり。
朝日子が和装の最近らしい写真を機械の中で建日子が見つけたらしく、母と息子で驚嘆していた。わたしは見ていない。

* わたしは今ほんとうに何を望んでいるのだろう。死んでしまった人の方へばかり想いが傾くのも健康でないが。こんなことを書いていてもつい歯を食いしばっていて歯が痛む。
2019 7/21 212

 

* 食欲なく、鶴龍が白鵬に勝って後、疲労のママ床へ寝に行ったが、つい本を数册読み、それでさらに疲れて眠れもせず。八時、予想通りの参議院選挙速報には驚きもせず。わたしの投票した野党の二人は、当選。
自転車で暑い中を投票所へ走ったのは、徒歩でより良かったがけれど、それでもガックリ疲労。せっかく建日子が帰って来てたのに、さほども話せぬまま、忙しい彼はまた仕事へ戻っていった。

* 今晩はもうとても何にも手がつかぬほど。まだ八時半だが、睡りたい。こんなことで、わたしが寝ついてしまったりしてはどうにもならないが。
2019 7/21 212

 

* 起床8:00 血圧 121-58 (62)  血糖値90 体重62.7kg
2019 7/22 212

* 午前の十一時 すでに眼が霞んでしまい。

てさぐりに生きてこの世のおもしろさなさけなさをぞわらひくれめや
2019 7/22 212

* 起床8:30 血圧 139-62 (54)  血糖値84 体重63.0kg
2019 7/23 212

* 何時頃からか知れない、いま、三時半を過ぎていて目ざめた。眠れて良かった。疲れれば眠るに過ぎた薬はない。願わくは夢も見たくない。人と話したい、 声が聴きたいと思う。ちっとも出かけないのでそれがない。メールは声がしない。私用の電話を掛けるのが、掛かってくるのも、昔からむしろ苦手で嫌い。編集 者の仕事では電話をかけるのが本分で、わたしは実に電話仕事で能率を上げていた。その反動で私用の電話が嫌いなのだ。

* 颯爽という二字にいま憧れる。グッタリしている。
京都へ帰りたい。祇園、円山、清水坂、泉山、東福寺。歩きたい。博物館に入りたい。盛京亭で炒飯が食べたい、松葉で鰊蕎麦が食べたい、千花で酒がのみたい。小学校も中学も廃校という、なんということだろう。なんということだろう。

* がくっと頸を垂れて…、もう永く目をつむったままでいた。生気が湧いてない。この世に、在るべきものが一つまた一つと失せて。はやくおいでと呼ばれ る。大嫌いな歌だった「オールド・ブラック・ジョー」りようだ。だが。も少し待ってほしい。も少し待って欲しい。いま、わたしの書いている作のヒロイン は、「颫由子」だ 嵐なのだ。

* 九時。終日 寝つぶれていた気分。そして、夢は不快。目ざめても心身とも不快。機械も不調。

* テレビで気分をと思っても、観たいものが観られない、無い、あまりにツマラナイ。ミケランジェロとユリウス四世の「華麗なる激情」のような美しいものはめったに覗けない。政治、芸人、くすり・商売、台所ばなし、なってない殺し・刑事もの。
仕方なく、ひとりで音楽を聴く。
2019 7/23 212

* 夢を見ずに寝入りたい。  機械画面の字が 川波のように流れ動いて見える。
2019 7/23 212

* 起床8:15 血圧 141-70 (56)  血糖値81 体重63.9kg
2019 7/24 212

* 故紙回収の朝の力仕事、腰骨に響く。三百册を超す淡交社総色刷り写真は豪奢で多彩な趣味の雑誌、地域の図書館には分に余るか受取らず 思い切って故紙 として半分近くつまりは捨てた。勿体ない。ま、一冊一冊の重さよ。二階から持って降りる身の危険、怖い。場所さえあれば幾重にも活用しまた観て楽しめるの に。
価値ある書籍や雑誌が文化財として保持できず廃棄されていく日本の現実には、断末魔の卑しさがが耳にこびりつく。内閣の総理や副総理の文化水準のテイ ノーにちかい現状が、文化を誇った日本の終末期を情けなく例示している。半世紀ともたず、電子器機以外の文化財は、法隆寺も清水寺も八坂神社も他国へ買わ れてしまっているかも知れぬ、嗚呼。
2019 7/24 212

☆ 秦 恒平さま
メールありがとうございました
週末に1か月余ぶりで入院から戻ってきました。もっとも手首のギプスと肋骨五本のバンドは、まだ半月ほどはとれそうにありません。
成田駅の外階段で、乗るバスが停留所に着いていて、あわてた挙げ句がこのていたらくです。お恥ずかしいことです。頭をうたなかったのが、不幸中の幸いです。これからは、年齢相応に慎重にいきます。
秦さんの、万全ではないご体調の中での踏ん張り、私語の刻などで拝見し、私ももう二仕事でも三仕事でもしなくてはと思っています。

どうぞお元気で。  長島弘明  東大名誉教授 近世文学

* 転んではならぬと、それは四六時中願っている。それでも何が起きるか知れないと用心している。長島さんのアタマは貴重品なのである。
2019 7/24 212

* 起床8:15 血圧 141-70 (56)  血糖値81 体重63.9kg
2019 7/25 212

* 起床7:20 血圧 125-64 (70)  血糖値95 体重62.6kg
2019 7/26 212

* 熱暑の中 併せて10キロを超えている「マコとアコ」兄弟を自転車の前後ろに載せて、なにかしら必要らしき定期の注射に連れて行った。重いよりも、暑いに閉口した。簡単に済んでよかった。

* 望月太佐衛さん、浅草明日の花火に例年通り招いて下さったが、とても体調およばず、感謝して辞退。七月二十七日は、娘朝日子の誕生日、孫娘やす香の命日。嗚呼。
2019 7/26 212

* 「湖の本145 オイノ・セクスアリス 第二部」の表紙。本紙の刷りだしが届いた。第三部完の「私語の刻」等初校も届いた。大きな仕事が「選集」につづき「湖の本」でも煮詰まってきた。七月末から八月は、發送という力仕事で疲れるだろうが、一山を無事に乗り越えたい。
印刷所も 少し長い夏休みがあるらしい。わたしたちもすこし休んでいいと思うが。二十九日からの「湖の本 第二部」発送は済ませねばならない。
今朝 すこし外へ出ただけで、文字どおりの「炎暑」にあきれた。なんとか食の薄いのをガンバッテ食べないとノビてしまう。食べに行きたい先は街にはないわけでないが、出かけるなど、とてもとても。

* 新しい物語の大事な一面に必然の結着を付けえたかという時に、建日子がふらっと立ち寄ってくれた。それはもう嬉しいことであった。だべっていても佳い のだけれど、三人と「マ・ア」ふたりも入り、気楽に「剣客商売」の新しいところを二つ観た。建日子は機嫌良く付き合ってくれる。商売柄、でてくる俳優達の こともさすがによく識っていて、親二人はホウホウと感心して聞いてもいる。こんな団欒がもういつまで出来るのかと案じつつ、建日子の方に怪我なかれ病むな かれよと心よりわたしは祈っている。
きげんよく、車で帰っていった。ながく引き留めたのかも知れない。

* さて、もう一度小説へ戻ってみる。
放っては置けない小説世界必然の一の成り行きを掴み取れた、これはわたしには有り難い。もう今夜はやすめる。
2019 7/26 212

* 起床8:00 血圧 135-72 (60)  血糖値95 体重63.0kg
2019 7/27 212

* 朝、なにも食していない。十時半。すこし空腹か。

* 夕方までに三度仮睡している。月末の力仕事をしかと越さねば。
2019 7/27 212

* いまや「清水坂」を離れて怕い旅をしている。無事に帰れるかどうか。不案内の旅先を懸命にものまなびしているが、視野のいたみが凄い。怕さもこらえ道中もこらえ、生還できればいいが。

* 九時半を過ぎた。調べ読みと冷房とで胸苦しくなってきた。明後日には「湖の本145」が出来てくる。
2019 7/27 212

* 起床8:45 血圧 136-65 (62)  血糖値97 体重62.8kg
2019 7/28 212

* この書斎は冷房しているが、襖一枚と木のドアを押して廊下へ出ると、湯に沈んだ暑さ。仰天。
2019 7/28 212

* 起床8:00 血圧 135-68 (53)  血糖値99 体重63.8kg
2019 7/29 212

* 九時に「湖の本145 オイノ・セクスアリス 或る寓話 第二部」 納品され、即、発送作業に今日とりあえず夕刻過ぎまで取り組む。なかなかの表紙絵で、楽しんで眺めて貰えると佳いが。わたしは気に入ってます。
作業のあいだずうっと、録り溜めた「剣客商売」を連続で聴いていた。渡部勤と大路恵美の若いヒンビがなかなかよかったのを再認識した。藤田まこと 小林 綾子、平幹二郎、梶芽以子等々も役にはまっていて小気味いい。このドラマはドラマのほかに川や舟や川原や河岸や農家などがナマでふんだんに見られて楽しめ る。
音楽では疲れる。いろんな人の声(意味のある言葉 科白)だと、耳に落ち着いて届く。現代のドラマの物音や爆音や叫ぶ科白はイヤ、邪魔になる。
発送は単調な繰り返しの手仕事と過重な力仕事との繰り返し。妻が封筒に封をし、册数を数えながらダンボール箱に「決めた数」分を間違いなく荷詰めしてくれる。玄関まで、その重い一箱一箱をはこんでおけば、宅急便が集荷に来て一度に持ち帰ってくれる。

* 夜分は休もうと思う。

* 昨日もらった胡子文子さんの土佐のお酒、あまりうまくて、例になく五合瓶を半日で空けてしまった。日々の白楽天の、酒好きに見習っている感じ。
2019 7/29 212

* 起床8:40 血圧 138-62 (57)  血糖値87 体重64.2kg
2019 7/30 212

☆ 白楽天の詩句に聴く

憂方知酒聖    憂へて方(はぢ)めて酒の聖なるを知り
貧始覺錢神    貧して始めて錢の神(しん)なるを覺ゆ

行藏與通塞    行藏(=身の進退)と通塞(=運不運)と
一切任陶鈞    一切 陶鈞(=轆轤 造物主を謂う)に任す

* 朝一番に瓶缶を戸外へだしに出、猛暑にヘキエキ。「一切任陶鈞」もラクではない。

* さ、また作業に。

* 夕方 作業終える。高校宛て寄贈を遠慮し、「セクスアリス」を遠慮された読者も数十人あり、送る数が少なくなり、その分がラクであった。宅急便、郵便の仕事とも終えて、ホッとしている。あいにく近くの鮨屋が休日、クッキーと美味いワインとで妻と乾杯。
暑さもあるが、さすがにジリジリと力仕事が心身に響いてきている。せめてもう少し、もう少し、頑張りたい。『オイノ・セクスアリス 或る寓話』「湖の本」版「完」の第三部は、八月中に感謝を込め呈上本を送り出せると思う。
さ、それまでに新作長編をなんとしても粘って脱稿したい。「これは、まぎれない秦 恒平だ」といってもらえる長編を、ぜひ二作続けて御覧に入れたい。

* 吉備の人、有元毅さん、見事に美しいマスカットと桃とを送ってきて下さった。真っ先に、とびきりの眼福を喜ぶ。ありがとう存じます。お寂しい日々でしょうかと、いつも、心より穏和な毎日を遙かに願っております。

* 湯に漬かって、怖い本を読んでいた。怖いなあ。
2019 7/30 212

* 頑張ろうかと思ったが ムリ書きして混乱しても仕方ない。じいっと、想う ということが大事、びっくりするような展開が想いに舞い込んでくる、そういうことは、まま有る。からだは仕方ないが想い・心が草臥れていてはどんな妙も真実も取り逃がしてしまう。
2019 7/30 212

* 起床8:40 血圧 138-62 (57)  血糖値87 体重64.2kg
2019 7/31 212

* 夕食時、暑さに当たったか全然食欲無く、味噌汁の汁だけを飲み、大根おろしにシラス干しをまぜて食べて終え、そのまま床で横になったが、すると本を読 みだし、『アンナ・カレーニナ』『沙石集』『蘭学事始』『大和物語』『大和物語の人々』の「としこ」論などに読み耽っていた。

* 読まれているかも知れぬが、ちょっと、イズめくお尋ねをする。
「一 思ひもよらず」「二 さもあらん」「三 子細なし」
これは、何のことでしょう。
ヒントは、何かの名前。三つには関連がある。

* ハイドンの弦楽四重奏曲を聴いている。思いのほか身深く草臥れているらしい。老耄の度を早足にしないためにもアタマはよく使い、からだは労ってやりたい。

* 上記お尋ねの真相、さる高徳の「お上人」に、つづけて生まれたお子への「命名」であります。最初の子を、「思ひもよらず」と。さりながら二番目には、 「さもあらん」と。三人目となると、「子細なし」とは明快な。『沙石集』に、「上人の子を持つこと」として出ていて、笑えました。
2019 7/31 212

* 十時過ぎた。暑さに参らぬように、安眠したい。七月尽
2019 7/31 212

* 起床8:40 血圧 138-62 (57)  血糖値87 体重64.2kg
2019 8/1 213

* それにしても、猛烈な暑さ。冷房も効かないほど。
キッチンは家の中で熱中症にもっとも危険な部屋と教えていた。わたしは階下へやすみに行くときはキッチンの定位置にすわるが、そこへ行くと途方もなく草 臥れてきいるということに、やっと気か付いた。冷房の向きからはずれていて、湿度がヤケに高い位置にわたしの座席は在る、そこへ坐って酒を楽しむのであっ ては、冬なら知らずこの酷暑、へとへとになる。わたしは慢性の熱中症できたのかも知れぬ。ホンの半メートル斜めの妻の席は、冷房がときに効きすぎるほど。 やれやれ、三界にわが安座は無きや。
気がついて良かった。
2019 8/1 213

* 起床8:10 血圧 137-63 (56)  血糖値85 体重63.5kg
2019 8/2 213

* モラッタメールの字が見えなくなってきて困惑。まだなんとかキーは指先の記憶で拾っているがどれほど粗放になっているやら心配。大きめのザルに、十もの眼鏡が入ってて、その時々に合うのを捜しているが、それが良い方法とは思いにくい。
2019 8/2 213

* 自作の長編、ジリッと動いた。夜前、眠りながらもずうっとこの作のさきを思い続けていた、おかげでジリッと動いた。何をし、なにを読み書きし、なにを観ていても、アタマにあるのは、この、ジリッと、の先へであるが。
今日もやはり暑さ負けしていた。せいぜい食しもしていたけれど、疲れた。
2019 8/2 213

* 起床8:10 血圧 137-63 (56)  血糖値85 体重63.5kg
2019 8/3 213

* どこに坐っても、冷房していても、吸い込まれるようにふうっと瞼をとじて しまう。この、異様なほどの気象にいらいら逆らっては危険。慢性の軽度熱中症と思っている。わたしは、むかし親にも「茶くらい」といわれたほど、日常の番 茶、箱茶、棒茶、煎茶の類を、何でもよく飲む。脱水は、怖い。胃袋をなくした退院後、家で水分がうまく飲めずに強度に脱水し死にかけた。病院では点滴続 き。家では飲むしかない。ある日から、すうっと飲めるようになった安堵の感覚、忘れない。
2019 8/3 213

* とてもとても炎暑の夕刻から、遠い江古田二丁目まで歯医者へ通うのは二人ともつらく、九月まで延期して貰った。
少しでも涼しくなるなら、いっそ夜分にふらりと日比谷辺まで出てみたいなと思うが。とてもとても。
2019 8/3 213

* 金縛りに遭っているように、ボーゼンと腕組みして機械を睨んでいる。
遠雷か、花火を打ち上げているのか。
2019 8/3 213

* 機械の前へ戻ったが。体調、異様に、変。やすむ。
2019 8/3 213

* 起床8:15 血圧 137-67 (75)  血糖値 86 体重63.9kg
2019 8/4 213

* 起床9:15 血圧 136-69 (55)  血糖値 78 体重63.4kg
2019 8/5 213

* 機械の運転までにほぼ二時間近く試行錯誤を繰り返していた。そういう事態へわれわれ、機械と私とはさしかかっている。「もういいだろう」といわれているのか。ま、平然と辛抱して行くだけ。
2019 8/5 213

* 岩手・八幡平の歌人伊藤幸子さん、「鷲の尾」という珍しいお酒一升を下さる。さっそく戴く。

* 夕刻の歯医者予約、九月へ延ばして貰う。

* 昔の唱歌を聴いていると自分の力が想像以上に衰え弱まっているのを実感する。秤の重さが現世側で著しく軽くなっているのを予感する。もうちょっと、も うちょっと、待って貰いたい、もう身の回りを片づけようの始末しようのなど考えない、しておきたい仕事をしておきたい、待ってもらいたい。待ってもらいた い。
2019 8/5 213

* ニコラス・ケージの、おはなしにならない味無い映画を観てしまった。やれやれ。おまけに右眼を傷めてしまった。やれやれ。
2019 8/5 213

* 起床8:10 血圧 131-73 (57)  血糖値 81 体重62.6kg
2019 8/6 213

* 朝食後から、機械の前でじっと目をつむりりつづけて。十時半になったが、わたし自身に始動のけはいがない。活気とは適切な二字だが、わたしに今その活気が消えている。どうするか。なあんにもしないでいるのがいいと思う。
2019 8/6 213

* 起床7:30 血圧 144-65 (57)  血糖値 93 体重63.3kg
2019 8/7 213

* 「美感」の謂えるわが髭面ではないが。ま、どうでもよいと思っていて、どうでもよいことには不精者で済ましている。
2019 8/7 213

* この猛暑、これこそもの凄いと謂うしかない。冷房のこの部屋から二階廊下に出ると入浴とかわりない湯の暑さ。疲労困憊、階下で横になり、読書に気を紛 らわせないと卒倒してしまいそう。しかしまあ『アンナ・カレーニナ』の叙事と表現への作者の把握の強さ正確さには驚嘆、疲れも忘れるほど。

* この熱夏、家を半歩一歩出るのも危険、家の中ででも熱中症かと怖くなる。からだの芯から崩れるような感覚。医者も、家からは出るなと奨めるほど。
昔の夏はこんなでなかった。一夏中で、30度越しはせいぜい三日もあったろうか。
今は、日ごと、40度にまで逼る。そんな中での甲子園球児達。応援の人たち。無事を願う。
井口先生深い御縁の星陵高校、得点1で勝ちぬいた。あのゴジラこと松井君も井口先生の生徒だったように覚えている。光陰、矢の如しです。

* 愛知の久米さんから、立派な葡萄のいろいろを戴いた。歯の利かないわたしにも葡萄は有り難い果物です。感謝感謝。
所沢の藤森佐貴子さんからはお洒落な焼き菓子を戴いた。歯に優しく、わたくしの有り難い「主食」になってもらえる。有難う存じます。

* 清らかなほどのショパンを聴きながら、からだはグタリ、吾が小説世界への吶喊をそれでも再三再四試みています、が。フウー。眼鏡を眼から 5センチも 離すと機械の字づら鮮明とは、これいかに。青山の保谷眼鏡まで出向いて八万数千円も支払ってきた最新の眼鏡ですが。眼鏡のせいでなく、わたしの目玉が壊れ ているのでしょう。
なにか、手があるのでは。階下で床に横になり角川文庫のちっちゃい活字本を読んでいる内に、だんだん読みやすく字がクリヤになる。しかし、それはスタン ド・ランプの電球・電光のせいかも。天上の室内照明では視野がギラついてくる。世に謂うブルーライトが決定的にいけないのか。パソコン画面はいけないの か、この部屋の室内照明は階下の寝室と同じ。それがいけないのか。
余分なことにばかり惑わされている。
いま室内灯を消してみた。裸眼でほぼ画面の字は読めるが、キイは観にく。何かいい工夫が利かないか。

* やす香一の親友 かおりさんから、石神井の「ちひろ美術館」へ一緒にとお誘いがあったと妻に聞いた。
ああ、残念だが、この炎暑に外出は、八十過ぎたよろよろの老夫婦にはやはり危険すぎる。家へお迎えするには、次の「湖の本」発送など控えて、家中を縦横無尽のアコとマコともいて、お客様に坐って頂ける余地もない。
ウーン。
も少しいい季節に会いましょうねと妻は返事したという。ま、仕方ないなあ。

* 快調な出だしからやや停滞し冗漫に流れかけるところを、思い切りさらに整理したい。今は周章てず急かず、キビキビした運びの中へ面白みを注ぎ入れたい。今なら幾ら手を掛けてもいいのだから。急くまい。
九時半。もうやすもう。
2019 8/7 213

* 起床7:00 血圧 136-65 (51)  血糖値 83 体重63.7kg
2019 8/8 213

* 八月九日 金  長崎原爆の日

* 起床6:15 血圧 135-68 (52)  血糖値 100 体重63.7kg
2019 8/9 213

* 自分の剃刀では鬚も剃れない顔になっていた。自転車なら一分で行ける馴染み床屋へ、とうとう走った。歩いてなら暑さで倒れてしまいそう。

* 村上開新堂さんから、真夏のお見舞いを戴く。
凄い 暑さ。二階の廊下に立つと、ものの数分で熱中症で斃れそう、危険も危険。
2019 8/9 213

 

* 美味そうに食べますねと、小説のなかでのハナシだが、「秘色」「みごもりの湖」などの昔からよく羨ましがられた。こんどの『オイノ・セクスアリス 或 る寓話』でも、贅沢にとは思わないけれど、実に多彩に美味い店で美味い食事を楽しみ続けた。京都だから出来たし書けたし楽しめた。京恋しさ懐かしさをそれ でよほど慰めていた。わたしは、ひもじく育ったので、食べたい人のまま大人になり老人にもなったが、掌をひっくり返したように癌で胃全摘の以降は、もう七 年半になるのに、地を払ったように食べられなくなった。食べてはいけないなど云われていないが、食欲が文字どおりに払底してしまった。ただ思い出は生きて いる。うれしいほどフンダンに生きている。京都時代に美食など出来なかったが、勤めをもち、また作家生活に入っての帰京の機会はまさに食べる機会であった なあと思い出す。

* 六十年も暮らしているのに、東京はあまりに貧相にしか知らない、もう二十年、寿司の「きよ田」が無くなってからは、あまりに平凡に帝国ホテルで、その クラブで、しか贅沢はしていない。佳い店を識らないのである。昔の編集者は、ただただ飲ませる店へ連れてくれたが、編集者の趣味は概して味気なかった。 「きよ田」は抜群に好かった。 2019 8/9 213

* 起床7:45 血圧 135-66 (56)  血糖値 97 体重63.8kg
2019 8/10 213

* この日ごろになく、倚子に掛けていても、腰が、両脇から真後ろへ輪なりに痛む。参る。寝た姿勢で仰向き左右に傾いて本を読むのが響いているか。
それにして『アンナ・カレーニナ』第一篇を読み終え、こんなに人の作をで怕いほど本気でドキドキした嬉しさは実に実に久しぶりの気がする。

* 瀬戸内海を右往左往してる最中に 京都宇治の伊藤さんから、じつに久々 の電話に呼び出された。もう昔に東京勤めから京都へ帰ったぬそとで、京都へ帰ってこい、帰るべし派の人で。電話の中味は、とても信じられない異様な、「京 都市」という名称が某大企業の画策で変わろうとしていると。それはないでしょう、あってならないと思うが。とにかく情報が欲しいと頼んでおいた。あり得な い、あってならぬコトとわたしは思う。

* 十時前。もう限度へ来ているよう。ぐっすり寝入りたい。
2019 8/10 213

* 起床7:45 血圧 135-66 (56)  血糖値 97 体重63.8kg
2019 8/11 213

* 真夜中、二階廊下に電灯の消えてないのに気づき階段を上がりきろうとしたときスリッパでけつまづき脇の柱で左の鬢をゴンと音がしたほど撲った。降りるときでなく良かった。音に驚いたが瘤にもならなくて良かった。

* このごろ、不快ではないのだが、妙な夢を見続ける。ま、夢ぐらいいいだろう。

* 午前十一時 なぜか瞼が落ちるほど睡い。夢疲れか。
妻も散髪に行ってきた。十五日は以前から予約の八月三部制の歌舞伎、サテ 幸四郎十代目の何を観るんだっけ。幸い歌舞伎座へは、電車にさえ乗れば日なかを歩かずに入れる。
2019 8/11 213

* 起床7:15 血圧 135-66 (57)  血糖値 81 体重62.8kg
2019 8/12 213

* 朝から心身きりっと立たず、かすかな吐き気ににた感じで項垂れ、いい始動を待っている。ショパンのいろいろを聴いていたが、いまは倍賞千恵子の「かあ さんの歌」を聴いている。わたしの幼時に「かあさん」はす重すぎる秘密の禁句だった。倍賞千恵子の歌を聴いているとこの歳になってなお泪ぐむ。
2019 8/12 213

* 起床7:45 血圧 129-64 (59)  血糖値 95 体重62.0kg

* 体重が、胃全摘以降、4キロ半落ち、最低に。朝、ビスケット一枚と蜂蜜のコーヒーしか口に入らず。午は、卵を浮かせたかけ蕎麦をすこうし。空腹感が、無い。
2019 8/13 213

* 起床7:45 血圧 121-68 (68)  血糖値 88 体重61.4kg

86キロもあったころ、夢にも叶うまいと諦めきっていた当時理想の体重60キロへ接近してて来た。はたして良いのか、体力の衰えに過ぎないか。リバウンドしても食べねばいけないか。食べることに意欲がゼロに近いのは、健康な事でない。
2019 8/14 213

 

* 音高う雨が来ている。西へは台風が襲うと。わたしの暗い視野はいまは西へ西へ向いているのだが。
午前の十一時過ぎ、あまりに睡い。ソファに潰れていた。起つにも酔っぱらい同然。飲んでいないのに。これではどこで転んでも仕方ない。『古代海人の世界』へ沈没していて、正気でない。自分が誰だか分からなくなる。

* 痩せたメリットで、少々痒い躯の、どこへでも爪先が届く。

* 篠崎仁さん、梨をたくさん下さる。歯をいたわり、ジュースにして美味しく頂ける。有難う存じます。
2019 8/14 213

* 「唐物語」も「沙石集」も、その他どんな本もみな相応におもしろく幾らでも読んでしまう、ただ、ぐったりからだを横にしてでないと、疲労感に負けてし まう。そして寝入ってしまう。ただ暑いから、だけではない気がする。体力がないと創作に妥協や尻込みがでかねない、それを恐れる。

* 梃子入れにまた夜分を費やし調べ読みに集中した。腹具合、よろしくない。
明日ははやめに出かけねばならず、からだも休めておかねば。

* 機械の不調とめどなく、ただ辛抱して「待つ」のみ。
2019 8/14 213

* 起床6:10 血圧 130-68 (61)  血糖値 97 体重61.7kg
2019 8/15 213

* 起床9:20 血圧 134-65 (59)  血糖値 88 体重61.9kg
2019 8/16 213

* ちょっと横になるとさのまま寝入ってしまう。からだが活気をうしなっている。手をひろげて何かにさきを阻まれているような。
2019 8/16 213

* 起床9:10 血圧 132-68 (61)  血糖値 88 体重62.5kg
2019 8/17 213

* 夜中に何度か目ざめてはいるのだが、半醒半睡のまま小説のさきを夢中にまさぐっていて、朝の目覚めが遅くなる。何にしてもこの悪気候、睡れるなら十分に睡っていたい
2019 8/17 213

* 手指尖の腹が十本とも痺れている。指尖をつかった細かな仕事はみな出来ない。機会のキイが叩けるだけ幸いとすべし。

* 凄いというしかない暑さ。地球が、ではあるまい、人間が地球を狂わせているのだ、末期症状。恐竜たちは人間の歴史を何万倍も生きてなお死に絶えた。人 間にはそれが来ない、無いと思うのは傲慢で無思慮だろう。地球は、確実に人間を遠からず罰して滅ぼすだろう。詩や美術はむりだろう、せめてどうかして技術 を尽くして美しい音楽だけでも遺し伝えたいが。

* 失神しそうなほど蒸し暑い。ジジジ、ジっと書き進んでは戻ってまた書き、ひだるく潰れそう。休まないとキイの字も見にくい。一気に行くのか。躊躇い待ちつつ機を獲て出るか。

* 昨晩もらった京の「大文字」の写真は美しく胸にも目にもしみて、泣けそうだった。

* 懸命に用意してくれる食事がほとんどとれなくて妻に気の毒、だが食べられない。食べたくない。私も、困る。息切れの「清水坂」に祟られているのか。ほ んの一の思いつきというか不審というかに取りつかれて、今度の小説は、いうならば中学高校の頃にはもう頭にあった疑念の持ち越しなのである、何というしつ こさか。最初の疑念は、ものの一、二行の言葉で示せる、のに、いま問題の「清水坂」はとうに厚めな「湖の本」の一巻分を超えていて、まだしばらく脱稿とは 行くまい。難しい理屈を述べ立てて論攷しているのではなく、面白い物語に展開していると胸を張って佳いのかも知れないが、なんだか尋常ではなくて、書いて いる当人がぐるぐる巻に締められている。
でも、立ち往生してられぬ。一気呵成と謂う。一気呵成こそ必緊肝要の難所を、いま、突っ切らねばとてもモノがのどを通らない。

* 一、二歩をとにかくも跳び出した、かも。
もう目が見えない。
2019 8/17 213

* 起床8:10 血圧 128-62 (61)  血糖値 87 体重62.0kg
2019 8/18 213

* 心身両面で、ヘバッている。湯に漬かっても疲れただけ、何の知恵も涌かない、突き出てくる衝動が何もない。ショパンにだけ慰められている。コンソメの スープ一杯と柔らかな目玉焼き一つ。それ以上の食欲がない。二十一日からの第三部完の「湖の本146」を送り出せば、十日でも二週間でも旅のできるほど気 は楽になるのだが、この暑さとこの体力では危険なだけ。
小説はほぼ申し分なく進んで、最期を迎えようとしているのだが。アタマのなかで平凡な常識が働いては困るのであって、そいつを蹴飛ばす勢いで真っ暗闇へ跳び込みたいのだが。今月は27日に聖路加へ出かけるが、雨が降って少しでも涼しいといいが。

* どんな大昔になっていることか、千葉の勝田貞夫さんと六義園に遊んだ日にわたしの撮った写真を最近葉書にして送って頂いた。その勝田さんの佳い温顔と六義 園の静かな情景がわたしの目さき三、四十センチの間近にある。ショパンもいいが、勝田さんのまだ髪は半白の温顔にいつも逢えているのは、まこと心和んで嬉 しい。小磯良平描く某少女の繪もいいし、手づから献辞を書かれて金原一郎社長ご自身わたくしのデスクまで持参謹呈頂いた「告別」式用の温顔も、とても懐か しい。仕事しながらこの八十三翁、少年のようなセンチメントで身近手近にいろんな人やネコたちの写真や繪を置いている。
わらって下さい。

* まだ八時半だが、すっぱり 今晩はこの場を切り上げよう。
2019 8/18 213

* 起床7:20 血圧 136-64 (53)  血糖値 82 体重62.1kg
2019 8/19 213

* 早めの昼食と謂うほども食せず、一時前まで寝潰れていた。
2019 8/19 213

* 起床7:00 血圧 136-62 (52)  血糖値 84 体重62.8kg
2019 8/20 213

* もう今夜は時間切れ、明日の労力作業のためにも、まだ八時半でしかないが、さっぱりともうアキラメて、休息しておこう。今度の小説は、この直前の「セ クスアリス」とは大違い、ひたすらの物語であり、だからラクとはとても行かない「クソ」とつきそうな「hatac」に旋回したお話なのですが、書き手が目 をまわしててはならず、「セクスアリス」の方は疲れという不安なく書き終えられたが、今度のは。じつに辛抱を要している。やれやれ。
2019 8/20 213

* 起床7:10 血圧 133-67 (53)  血糖値 90 体重62.1kg
2019 8/21 213

* さ、「湖の本」146 長編『オイノ・セクスアリス 或る寓話』完結編の発送作業を始める。無事にこのヤマを越えたい。本の重さをイヤほど分からせら れる重労働。このところの腰の痛みはかなりのもの。ロキソニンのお世話になるしかなく。他のことは、暫く忘れて、集中。九時。納品間近い。

* 九時きっかりから作業をはじめ、六時前に第一便を宅急便に託した。わたしよりも妻が疲労した。果汁やビタミンや強壮薬をのませ、水分をたくさん摂らせ て、やっと凌いだ。シャリ少なめの特上寿司の出前を頼んだ。妻はよく食べられたが、わたしは美味いと思いつつ残した。どうも満腹は気分に添わない。
作業中、ひさしぶりにアネット・ベニングの絶品、マイケル・ダグラスの「アメリカン・プレジデント」わ心底楽しんでいた。ついで、なんと「ターザン」を 観聴きし、さらに次いで気に入り山本耕史らの「薄櫻記や「剣客商売」を見聞きしていた。幸いに事前の用意が万全に出来ていると、発送の作業中はそういう主 に耳のまた目の楽しみようがある。
明日、さらに発送作業を続ける。ダンボール函に荷造りした湖の本を60册の重さを、繰り返し返しキッチンから玄関へ持ち運ぶ。腕力はあるなあと納得しな がら腰の痛みに気配りし続ける。もうこの仕事も永くはなかろうなあという気分が、渚へよせる小波のように寄ってくる。「選集」は何としてもあと二巻で予定 の目標に達する。「湖の本」は具体的に創作・執筆活動の舞台であるだけに、極力続けたいが、出血の増はがまんするとして、老夫婦の体力がどこまでもつか。
2019 8/21 213

* やはり疲れている。

* 九月十日過ぎ、秀山祭の座席が送られてきた。真中央二列の角席とは絶好。「寺子屋」と「勧進帳」が一晩に観られる。体調 調いますように。にしても、もう九月の声を聞いてるのか。ふたりとも、入院騒ぎになどならぬように心したい。
2019 8/21 213

* 起床6:50 血圧 138-73 (58)  血糖値 89 体重62.5kg
2019 8/22 213

* 起床6:45 血圧 133-66 (53)  血糖値 89 体重63.3kg
2019 8/23 213

* 「書く」ことをのぞいて、いま所用は次の火曜に聖路加へ通うだけ、とは、うそのよう。ま、そう極端でもないのだが。とにかくも『オイノ・セクスアリス 或 る寓話  湖の本144-6』の仕事は終えた。『選集題三十一巻』としても収まりがついている。この解放には、心底、ほっとている。とっておきのワイン二 本の二本とも栓を抜いてしまった。
さ、次が待っている。次の次も待っている。
残暑はまだ過酷だろうが、今日は小雨。機械の不調など成るようになると気を取り直して、前へ踏み出そう。
どうもわたしは、気持ちよく見た目もよく「枯れてみせる」ことなど出来ない男。なまなましいほどまだ「こども・新制中学生」少年のシツコサが遺ってい る。それも、よしとしよう。欲しいのは、少しは動ける「体力」なのだが。せめて、少し遠くまで電車に乗りたい。よく晴れた富士山を新幹線からでよい、近く で観あげたい。
2019 8/23 213

* 尾張の鳶、「松葉」の鰊蕎麦を送ってきて下さる。せびったか催促したかのようで申し訳ないが、鰊の妙味を味わいたい。感謝感謝。美味しいモノを頂くと 理屈抜きに嬉しがるというのは、これはもうあの「戦時」「戦後」少年の餓えていやしい尻尾の残りなのである。お金はその気があれば何とか稼げるにしても、 美味い物はかくべつということ。朝日子や建日子らには分かるまい。

☆ Re: Re: めったにない佳い(=大文字等の)写真でした、感謝。
京都からの写真、喜んでいただけて幸いでした。
発送が済んで一息、「清水坂」の難所に集中される頃でしょうか。
八月も下旬に入り、確実に少しづつですが暑さが和らいできました。大気が不安定とか、昨夜はかなり強い雨で、今も部屋は薄暗い。
昨日珍しく街に出て友人と何時間も話し、帰途に松葉の鰊蕎麦をクール便で送りました。お店で食べるものとどれ程違いがあるかは分かりませんが、どうぞ食してみてください。
神戸の詩の集まりに一年ぶりくらいで参加しました。あまりのご無沙汰でしたが。先の京都アニメの事件に対して世界から20億円ほど寄付が集まり、多くの人が献花に訪れ、アニメの影響力の大きさを再確認しましたが、
同時に詩の影響力のあまりの微小を痛感しています。
それは詩に限らず文学一般にまで言えることでもありますが、言葉の持つ力を弱めてはいけない、言葉の美しさを喪ってはいけないと強く思います。
身辺、多くの事があり、対処しきれないとつい悲観的に感じますが、何とか過ごしています。元気に過ごしています。
器械の不調、いくらかでも回復しますように。やはり根本的に状況を改善しなければならないのでしょうか。
くれぐれもお身体大切に、大切に。
夏の終わりは殊に留意されますように。   尾張の鳶

* ありがとう。

* さっそくお午に頂いた。香ばしい鰊が歯にも合って、美味しく一食。感謝。そして、ぐっすり昼寝してしまった。

* 送り作業のアトは、どうしても腰へ痛みが来て残る。季節的に例年皮膚の一等弱り出す時機にもなって、残暑を耐え抜くのはなかなかの難儀。気をちらすに は結句読書がいい。本当は散歩しないといけないのだが。「マ・ア」を家に閉じこめているのも心苦しい、が、好きに外歩きさせるのは厳禁されている。

* 心身ともに衰えている。すぐ横になりたい。
鴎外先生の『ヰタ・セクスアリス』を「金井湛」君が遊廓へつれてゆかれ、はなはだ受け身に童貞を投げ出して帰宅したまで、ほぼ九割がた読んだ、帝大を最 年少最短で卒業し公助の留学候補になっている時機で、それまで女の手を取ったともましてキスしたとも無いが自慰に類した経験は持っているらしいし、寄宿舎 で何度か襲われた様子も見えていたが。まことに淡々と、むしろまことに冷淡な性的青春が当然のように書かれてある。残る一割ほどの十頁足らずに何が書かれ ているか記憶にないが、先生の文学生涯でこれが唯一の「発禁」に合った作と聞くと、今ではとても信じられない。わたしの今度の作を同時期に出していたら作 者のわたしは絞首刑にされたかも知れぬ。
鴎外先生はもっぱら成人して行く少年における「性欲の発芽」を順次追われている。それが「セクスアリス」になっている。
国民学校(小学校)一年を終えたはるやすみに何用でか秦の父はかなりとおい木津川添いの担任の女先生宅へわたしを連れて行った。用向きなどわたしには何 も分からず、しかし人生を刺激する一大事が起きた。辞去の際に女先生はわたしに謂わば現代語訳された『古事記』一冊を下さり、これが私のその後の読書・思 索・好学の決定的な推進力になり、ほとんど全編、少なくも神話部分は諳誦した。二年生になって先生はよく指名して教壇に立たせ「おはなし」を命じられたが わたしの話嚢には古事記が詰まっていて、いくらでも話せた。
当然、みそさざいに教わられた男神女神の「あなにやし」の性も性格に察した。鴎外先生または金井君ならぬわたしは、戦時中の当然として入浴は父や母に連れられ銭湯の女湯へも男湯へも当たり前に通って「見聞」は濃やかであった。

* なぜか、上半身、両腕が、締め付けられるように肌寒い。冷房していないのに。夏風邪か。

* 無用にがんばるまい。
2019 8/23 213

* 起床8:00 血圧 122-61 (70)  血糖値 90 体重62.0kg
2019 8/24 213

* 昨晩は、体不安なまま寒気さえ覚えながら、七時八時には床に就き、12時間以上も寝込んだ
。夢も見なかったようだ。まだこめかみなどにずきずきの痛みが残り、回復感は乏しく瞼は重い。腰も痛む。ま、用心はしつつ放っておくのが触らぬ神に祟り無 しか。幸いに是が非でもと心急く用は書きかけの作しかなく、これはただ堪えて気と機のいたるを待つのみ。果報は寝て待てと謂う。

* 機械の前へ戻ってきても、からだもあたまも働こうとしない。とても気怠い。敷いて午を食して腹が懈く重い。やっぱりここは読書を楽しんで切り抜ける か。ショーペンハウエルの哲学はいまのところ気分を励ますタチのものでない。鴎外先生の発禁作は、もはや完全に現実感を喪いきっている。かつては「名作」 とよめたような読者もあったろうが、今では博物館のガラスケースに入った肉や神経の働きを蒸発させた乾いた骨のように面白い「歴史」というだけである。三 四郎君は今も生きているが金井湛君はただの記憶に化している。
2019 8/24 213

* 腹が重い。瞼も重い。気も重い。

* 入浴、湯に踏み込んだだけでゾクと寒気がした。風邪か。
2019 8/24 213

* 起床8:10 血圧 113-52 (83)  血糖値 99 体重61.9kg
2019 8/25 213

* 明日午後の診察(いつもご簡単)に築地へ出るが、幸いに校正のゲラが無い。めったにない期間なので、書きかけの「清水坂(仮題)」原稿をプリントし、 読めるかぎり外の空気なり場所なりで読んできたと用意した。かなり煮詰まっているので、「長編」と謂うほどには成らないのかも知れぬが、しっかり書き込み たい、なにしろわたしの作である、とろとろと坂道を水の垂れ流れるような簡単ななロモノではない。わたしの作を読み慣れ愛好してきてくださった方々には 「清経入水」や「秘色」の昔と読みあわせてくださるだろう、そういう最新作にしたいと願っている、難渋してはいるのですが。
2019 8/25 213

* とにかくも明日の心用意に。寒気や熱無くて出かけたい。杖つきなれて七年半、外で転倒したことは二度、脚の攣縮に参ったこと数度、これは好成績の方かも。しかし疲れ果てて人混みの路上にへたぱり込んだことも数度ある。楽しい気分で他出を喜ばないと。

* さ。もう機械を離れて、寝床で読書を楽しもう。今日、秋成全集で「区柴々副微」「麻知文」そして「膽大小心録」を拾い読みしてことに「録」の面白さに声を上げた。昔から好き。「秋成好き」の原拠になっているや知れない。
「アンナカレーニナ」では大障碍の競馬でヴロンスキーが愛馬を死なせて落馬失格した。アンナが大観衆のなかで取り乱す場面がつづくのであろう、悲劇が始 まる。書いている小説へ関連してくる怖い参考書も繰り返し繙いている。さしあたり「アンナ・カレーニナ」を明日も外出へ持ちだす気でいる。

* 「松葉」の鰊蕎麦も、最高級というカステラも。銘酒も、有り難く戴いています。京都にいた子供のむかし「鰊」などに口趣味は全くなかったのに、東京で 数十年暮らすうちに「松葉の鰊蕎麦」がめっちゃ好きに成っていた。寿司の「和加奈」がわたしのためにと、酢出前を注文するのに添え、ときどき鯛の「兜煮」 を奢ってくれる。有り難いことです。
2019 8/25 213

* 起床7:50 血圧 124-66 (79)  血糖値 93 体重61.2kg
2019 8/26 213

* 正午前には、病院へ出かける。幾分でもいい外出でありますように。

* 散々の街歩きだった。何を食したいとも食するともなく、歯が痛んで、ビールを少し呑んだだけで食べ物は只払いだけで帰ってきた。どこかへ落ち着いて原稿をユックリ読み返すことも出来ないまま、五時に帰宅。不愉快の極のまま帰ってきた。生きた心地もしないとは、これか。

* 果報は寝て待つか。

* 寝て待つどころか、横になっているうち、両手首、両脚に執拗な攣縮、水分不足であったか。へとへとに疲れて帰った感じ。もう九時半。からだを労るしかない。
2019 8/26 213

* 起床8:30 血圧 133-70 (68)  血糖値 85 体重61.8kg
2019 8/27 213

* 昨日の空しい街歩きの疲労は無残なほどであった。寝込むしか、どうしようもなかった。街歩きがほんとうに下手になった。気が付くと、杖を突いた弱法師 のように街道路に茫然と佇んでたりする。ハッと気づいて、情けなくなる。意志も意欲も喪失してただ立っている、気忙しい人通りの中で。

* わたしが寝過ぎていると思うらしく、「マ・ア」が、或る程度の時間が過ぎると、交互に、足の先を噛んだり頭を小突きに来る。察しが早く、気分わるく不調で寝入っていると、心配そうに傍へ来て観ている。歴代のどんな子もみなそうだった。
2019 8/27 213

* 起床7:30 血圧 118-73 (80)  血糖値 93 体重61.9kg
2019 8/28 213

* 機械画面が出すブルーライトは致し方ないが、室燈、補助燈のブルーライトはぜひ回避すべく、先ず室燈は消し、機械のキー部分を照らす補助燈には、昔昔 の100ワット電球(これしかもう残って無くて)を利用、熱気と眼への眩しさとは、大きい厚い堅紙を間に壁に立て、ともあれ防禦に、成功。おかげで、機械 画面はもともと明るく、キイの字もとても読みやすくなった。
ブルーライトの両眼への病悪影響は 経済効果のみ先行暴走させず、機械漬け、スマホ・ケイタイ漬け日本人、ことに青少年の未来の視力衰弱を恐れて、もっと国家・国民として本気で対策すべきだろう。

* わたしは、携帯電話もスマホも曾て一度も持ち物にしていない。
マイ・カーも一度も持ったことがない。人に怪我させるより、プロの運転手を傭った方が、つまりタクシーで用を足すのが賢明と、夫婦ともに若い時から思っていた。映画製作や演劇演出や放送に関わっている建日子には無くて済まない必需品だろうが。
2019 8/28 213

*やがて十一時半とは驚いた。疲れていて当然。
2019 8/28 213

 

* 起床7:30 血圧 136-66 (73)  血糖値 96 体重62.0kg

いまも心通ふ いとし 黒いマゴ 去年の今朝 見つめあふ
九月までがんばり 七日午前 看取られて 静かに卓上で逝去
2019 8/29 213

 

* 朝食後、かろうじて機械の前へきたが 人事不省に近く、眼をとぢたまま。
やっと目をあいたが。瞼重し。昨夜、読書消灯したのは一時半ごろ。つまり、ただに寝が不足と思うことに。

* 床にあぐらで、気を入れて何種もの文献を読みあさっていた。いまさらそれらのどれこれを使う気では無いのだが、夏ばての頭、刺戟しないと。長時間、赤ペン 片手にいろいろ読み耽っているあいだ、黒いマコは、(一年前に見送ったのは「黒いマゴ」で。そっくり。)わたしの足元で両手足をあげ腹をだして安心で気楽な熟睡を楽し んでいた。この子は、わたしに心ゆるして警戒も不快感も全然みせず、しんじつ馴染んでくれている。うれしく心なごむこと、この上ない。
2019 8/29 213

* 井口さんお心入れで頂戴した、金澤の、「方丈」と銘した落雁を上煎茶で口にしつつ、暑さ負けの不行儀なわが恰好、申しわけないと苦笑している。この暑さ、九月いっぱいも続くのかなあ。

* 九月早々の六日には、検査のために朝の九時には来て欲しいとの指示通院がある。七時には電車に乗らないと、通勤時間帯には思わぬ事故があったりする。五時台に起きる覚悟。やれやれ。
2019 8/29 213

* それでも十二日には、秀山祭。久しぶりに、しかも、新幸四郎の弁慶と寺子屋の源蔵が楽しめる。三月には、体調を損じ、舞台途中に、タクシーで帰宅した。そういうことの無いように願う。
十月には、二世新白鸚の帝劇「ラ・マンチャの男」のいい席が用意されてきた。楽しみ。
もう一つ期待しているのは松たか子の新しい舞台だが、座席、余り希望が持てそうにない、人気だからナア。果報は寝て待とう。

* こうして気を他へ逸らしながら、なんとかなんとかと小説の先を想うのだが。読む、読む、読んで活路を得たい。すこし、休息。ショパンが美しい。それに しても印象的にとびきり美しいメロディも字音ではに描き取れない。或る箇所、ピンポポ ピンポポ ピポピポボン ときこえるのだが。

* 読み返す。読み返す。どんな効果が期待できるか分からないが辛抱して読み返しながらいろいろと想っている。
この『清水坂(仮題)』は、07.02.12の始筆と記録されている。今日は19.08.29である。なんという永もちの執着か。つまりそれほど面白いと受け容れて書いてきた、ただ、同時期にあの『オイノ・セクスアリス 或る寓話』が横へ並んで走り出した。

* しゃーないや、ないか。一つは仕上がったのだそれを肯定しておいても一つに粘るだけ。欲しいのは、根性より体力。
2019 8/29 213

* 起床8:00 血圧 135-76 (79)  血糖値 96 体重62.0kg
2019 8/30 213

* 元「新潮」編集長坂本忠雄さん、京・鳴瀧の作家川浪春香さん、千葉・鎌ヶ谷の篠崎仁さん、ご挨拶のお葉書やメール有り難く頂くも、夕刻にしてもう目が見えず、葉書の細字がまるで読み取れない。立命館大学、山梨県立文学館からも「湖の本146」受領の来信。

* 何となしにふらっと西向きに新幹線に乗れるなら乗ってみたくなっている。京都に宿がなければ近江でも奈良でもよく、もっと西へ向いてもいい、瀬戸内海が観たい。

* 入浴後のハダカの体重がきっちり62キロ。明朝は、61キロ台に減っているか。戴いた京菓子などで糖分を入れているので持ち堪えるかも。

* 十時前。できるだけ、がんばった。もう限界。
2019 8/30 213

* 起床7:00 血圧 132-65 (66)  血糖値 94 体重61.3kg
2019 8.31 213

* ポストまで自転車で。やや下り坂道を利して矩形に走ってくると、らく。

* 四時。もう視力が落ちて。すこし休憩。

* 妻にも夏バテが見え、今夕以降休息させ、わたしも横になり、トルストイ、プラトン、ル・グゥイン、司馬遷「史記列伝」講義を読み継ぎ、そっと機械の前へ戻ってきた。とにかくも明日来る九月を先ず無事に乗り切りたい。猛烈な残暑よりは、無事の雨を待つ。 2019 8/31 213

* 起床7:40 血圧 127-60 (67)  血糖値 94 体重62.2kg
2019 9/1 214

* 九月早々、よほど気をたしかに据えて対応して行かねば、わが家の「人間」二人の健康と体力は、剣呑と見えている。

* 私の「異様」は毎夜の夢に現じている。とても信じられない不穏で奇矯で劇的な、夢、夢、夢。まずは夢から、私は狂い始めているのか。

* 何もかも仕遂げて行こうとなど、厚顔で強慾。少しは仕残して行くのが愛想だろうと、咎められているのかも。これは、気弱なのか。
2019 9/1 214

* 新作の方、機械仕事に楽なように大きな字で書き進み、あらましだが、いま96頁まで下書きできている。手入れ分も含めもう20頁書くと「章」を変える のだが、変えなくて「書き上がる」なら書き上げたい、今の機械原稿でいうと700行更に書き下ろすのだが、可か不可かの見通しは立たない。この仕事に魘さ れて奇怪な悪夢に夜々疲労してしまうのだろう、だが仕方ない。
願わくは、わたしも妻も健康を維持し、躓いて入院騒ぎになどならずにいたい。そうなったら、ほぼもうお手上げになる。祈る思い。
2019 9/1 214

* 起床7:20 血圧 132-61 (75)  血糖値 94 体重62.5kg
2019 9/2 214

* 一時過ぎ。心身に弾みなく、手も足も出ず、疲労。
2019 9/2 214

 

* 「方丈」二字の額とは いろんなお寺で出会える。京・真葛原高台寺の「方丈」二字も立派だったと憶えている。落雁「方丈」お茶とよく合いましたよ、感謝。
私は 胃全摘で退院してすぐ「杖」を使い始めました。最初のは気に入らず、二本目は妻に紫檀の一本を買ってもらい、今まで愛用している。階段の上り下りにはとくにラクでまた安心できる。
2019 9/2 214

* 起床7:20 血圧 124-64 (56)  血糖値 91 体重61.9kg
2019 9/3 214

 

* 体労・心労、諸事思うにまかせず、不安不調。ただ瞼が重い。
2019 9/3 214

* 黒いマコの草噛み過剰による嘔吐がおさまってホッとしている。
妻にも躓いて貰いたくない。わたしはナニとでも頑張れる。
2019 9/3 214

* 起床7:40 血圧 124-60 (73)  血糖値 93 体重61.5kg
2019 9/4 214

 

* 起床7:50 血圧 130-69 (66)  血糖値 88 体重62.1kg
2019 9/5 214

* 目の見えなくなる大きな障りは、視力低下というより、いわゆる瞼の「目やに」だと想う、失明近くなっても、ともあれ「目やに」を強いてはぎ落とすと視野がたちまち明るくなる。
如何なのは、「目やに」の襲いかかる早さ、しつこさ。そして「目やに」に卓効の目薬が無いか見つからないこと。

* いいお酒のハカがゆくセイもあろうが、一つにはしごとの動きがとれなくて、寝入ってばかりいる。堪えて忍べば済(な)す有りと期待している。
2019 9/5 214

 

* 「アンナ・カレーニナ」が辛くなってきた。いま私の校正刷りがないので、明早朝六時起き七時出の聖路加へもこれを持って出るのだろうが、気鬱なほどアンナの事態は悪化して行くはずで、いっそ「戦争と平和」を、連れて読みだすか、久しぶりにレマルクで感動しようかとも。
明日早朝の診察後(よほど待たされても午までには解放されよう)、街でどう過ごせるか、近来、いつもいつも銀座のばかげたムダ歩きでぐったりして帰って いる。渋谷新宿はいや。上野浅草と想うけれど、アテなしに歩いて疲れ果てるのも帰路が危なく。昼飯だけ済ましてさっさと帰るか。夏ばては深刻。
2019 9/5 214

* 起床5:30 血圧 121-62 (59)  血糖値 78 体重63.1kg
2019 9/6 214

 

* 七時台の通勤電車の満員は昔のママで、新富町までの一時間強、ドアの隅に押し込まれ貼り付いていた。
諸検査を済ませてから結果の出るまで一時間余を「アラビアンナイト」ほ読みながら待って診察を受けた。
諸臓器等の検査結果は宜しく、触診聴診も受けて問題なく、腰の痛みはあるが背骨はしっかりしていると。また半年後に受診と。
腫瘍内科まで副院長の林田先生がわざわざ尋ねて見え、ハグして仲よく久闊を叙した。
投薬などなにも無く、十一時前。
さてどうするかと築地の街中で茫然と立ちん坊のあげく、麹町の中華「登龍」へと思いつ新富町駅へ入ってきた地下鉄が、直通の「保谷」行き。麹町で降りそ びれ、しかし流石に空腹で、池袋西武地下の美味くない寿司を少し摘んで、正一合の「菊正」を。妻の夕飯用にと「聘珍樓」の折り詰めを買って帰った。
真夏のカンカン照りという暑さ、タクシーへ逃げ込んで帰宅。友人 原知佐子(女優)のハガキが来ていた。
2019 9/ 6 214

* 妻は中華料理を温めて夕食にし、わたしは少し酒を飲んだ。
2019 9/6 214

* 五時半に起きて、病院へ通った。疲労はなすすべなく重い。睡りたい。
2019 9/6 214

* 起床7:30 血圧 123-63 (59)  血糖値 81 体重 62.25kg
2019 9/7 214

* 先行きは見えてきた、が、まだ繪にする難しさが残っていて悩ましい。促成栽培はしたくない。
冷房しない部屋で寝入ると汗をかく。
2019 9/7 214

* 夏バテをなんとか凌いで、早く立ち直りたい。
2019 9/7 214

* 九時前。なぜか背中びっしょり、汗。暑いのか。わたしの体調か。気の焦りは禁物。落ち着く落ち着く。少し 休んでくる。
2019 9/7 214

* 起床8:00 血圧 115-58 (55)  血糖値 88 体重 62.70kg
2019 9/8 214

* 事実問題として、起床から七時間半のうち五時間以上、執拗な夢に揺すられながら寝潰れていた。汗をかき、本も読めない。
病徴は無いと医師に頼もしく明言されていてこれというのは、重度の夏バテか。「食べる」と「疲れる」といった悪循環もある。小説の難関を突破できないのも神経を痛めているか。映画「ザ・ロンゲストデイ」でのリチャード・バートン率いる難関爆破のシーンが懐かしまれる。

* せめて音楽が聴きたいのに、ラジオでのCD操作が巧く行かない。ほんとうならテープの音楽も聴ける筈なのに。廿年のうちにマニュアルも見つからなくなっている。まさしく老耄。
六日、築地の帰りにも、有楽町のビックカメラは近いのに、あの、地下二階から六、七階もの超雑沓店内で欲しいモノに行き当たるなど堪らなく気遠く、立ち寄る気になれなかった。まさしく老耄。

* ホメロスの「オデュッセイ」は読んでいるが長大な「イーリアス」は未読、ただ映画「トロイ」では繰り返しブラッド・ピットのアキレスを観ている。ブラト ンの大作「国家」は二度も読んでいるので、ホメロスという大山もかつがつでも踏破してみたい。が、今晩は、まだ八時半なのに、もう目が霞んですっかり疲れ ている。夜半には強い台風が来るとか。
2019 9/8 214

* 起床8:00 血圧 125-64 (52)  血糖値 85 体重 62.85kg
2019 9/9 214

* 起床7:10 血圧 136-66 (65)  血糖値 94 体重 62.00kg
2019 9/10 214

* 炎熱、空気が燃えているかと。今日はひときわ暑くて眩い。ポストへ投函まで、自転車の往復五分ほど。
裸眼で走っている。かけて視野のクリアになる眼鏡など、一つも無い。重々検眼し高価で調達しても、一週間、十日ともたず視野がにじむ。
結句、市販の目まわり清浄綿で瞼を拭うのが一時的にも効果が速い。市販の注入薬と称する何一つも気休めにもならない、いっとき清涼感を感じるだけ。

* 午後、妻がいつもの診察を受けに近くの病院へ。わたしは脱稿へ踏ん張る。夜前、床の夢うつつでは、おおかた結末までの繪や道筋が見えていた、が、夢は夢。
この部屋、26度冷房でも汗ばんで、暑い。戸外は、35度近かったのではないか。

* 37度とか、酷暑を越して、悪暑。病院へタクシーで出かけた妻の帰りを案じながら、仕事にならず、「マ・ア」といっしょに映画「ホビット」の呆れるほ どな映像美に浸っていた。わたしは、超長編小説の「ロード・オブ・ザ・リング」は二度三度読み通してきたが、前作に相当している「ホビット」という作は読 んでいないので、映画がかくべつ面白かった、それもまだ前半で、後半も録画してある。観てしまわずに居れない。あんな映像がみな「創られ」てある奇蹟のよ うなみごとさに、ただ感嘆。歳をとって気が良くなったのか、わたし、気前よく感嘆している、最近。感嘆とは、良い意味の贅沢と同義語かも知れぬと思うよう に、思えるようになっている。
2019 9/10 214

* 今日は家にいても暑さに負けた。芯から参って、だらけた。せめてもと参考書を読んだり小説を読んだりしていたが。
明日一日をさらに休息するか、明後日は秀山(初世・吉右衛門)祭。勧進帳、寺子屋、松浦の太鼓を新幸四郎や歌六で観る。楽しみに待ってきた。老人が二人して歌舞伎座でダウンせずに済みますよう。

* 九時四十分。なぜとなく、ほおっとして、ぼおっとしている。
2019 9/10 214

* 起床7:00 血圧 128-70 (53)  血糖値 89 体重 62.00kg

* 夜前は、映画「ホビット」最後の決戦まで、堪能するほど観てから、日付変わって、何冊も本を読んだ。天井の明るい電灯だとブルーにやられ、すぐ目が霞 むのに、スタンドの昔電球に替えると逆に視野視線は落ち着いて文庫本も読みやすくなってくる。理解には苦しむが、見える、読める、のはほんと有り難い。
2019 9/11 214

* 日照りの中を、妻と、近くの「セイムス」へ必要なまとめ買いに行き、何より「マ・ア」たちの重い砂
を二袋など家へ運んだ。これも運動に類するが、今、グッタリしている。
2019 9/11 214

* 一天にわかにかき曇りと謂うとおりの風の夕立と雷天気。台風被害の地域にこの上の厄が加わりませんように。

* 食、あい変わらず進まず。今日は酒もいまひとつ味わい薄く。
食後、火野正平自転車の「こころ旅」の風景をしみじみ快く楽しむ。いい番組だ。
大きな駅構内に置いたピアノを、好き勝手にいろんな人が手慣れた曲を弾いてゆく「写真」も、楽しめる。

* この私めの心身は、しかし一向に弾まない。始動しない。ガマンの時。走り書きのメモで、まだ必要かと思われる時や場や事件の検討を続けている。機械の不機嫌が直って欲しい。

* 三時間ほどもじっと堪える心地で、さまざま、いろいろに思案の文章を別枠で工夫していた。やがて日付が変わる。
2019 9/11 214

* 起床8:40 血圧 114-64 (60)  血糖値 92 体重 61.85kg

* 夜來 マコ、吐く。悪食の気味あり、防ぐには大人の用心あるのみ。材質の区別なく紐状のモノは何でも口にしているらしい。妻は後始末に追われて、疲労。横になっている。わが家の食生活は、いまやわたしの食欲不振が響いて、実も形も失いかけている。心身老朽か。困った。

* とにかくも「清水坂(仮題)」を仕上げること。根気をあつめ搾ること。
2019 9/12 214

* 九時に引けて、即、クルマで久しぶりに日比谷の「クラブ」へ落ち着いた。みな、歓迎してくれた。
例によってサイコロ・テーキと蝸牛、コーヒーとアイスクリーム。
わたしは少し残してあったブランデーの瓶をあけ、口を切った18年のシーバス・リーガルでも少し楽しんだ。
妻は出かけの時よりむしろやや元気、わたしは疲労でややユラついていたので、帰りは日比谷から家まで車を使った。
悪食で体調を損じていた黒いマコも、お兄ちゃんのアコとの留守番のうちに元気回復していて、これは何よりの安堵だったが、さすがに妻は長途の車が堪えて疲労、みな、なにもしないで床についた。
ま、だんだんこういう外出も、身に堪えて控えめになって行くだろう。
2019 9/12 214

* 起床8:10 血圧 124-67 (65)  血糖値 80 体重 61.5kg

* 安眠を妨げる一は、下肢の痛みや攣縮、そして腰の痛み。明け方から妻も苦しげ、わたしも下肢の痛みに困惑、ま、なんとか八時までは眠れた。「マ・ア」も手ひどくは起こしにこず、いい子だった。

* もう久しく 新聞を手にすることすら無い。内閣改造? 無関心。
台風水害の人たちをこころよりお気の毒に想いやるばかり。

* 何としても残る九月の間に新長編を脱稿したい、気を入れて向き合い続けたい。が、疲れで頸筋に痛み、軽い頭痛も、帯同して歯も。歯ぐきの痛みはイヤだが、疲れが引くと直ってくれる。夏ばては、しつこい。
月末までの他用のアテのない時日を、生かしたい。
そう思いつつ、夕方前から四時間も夢も見ず寝入っていた。背から肩・頸へのかすかな痛みから、歯も痛んでいたが、今は軽快。作の結びへ、要点要所への補足メモを数十項、文章として書き出しておく。

* 十一時。また疼いてきた。明日へ繋ぐ。
2019 9/13 214

* 起床8:10 血圧 121-61 (55)  血糖値 85 体重 61.55kg
2019 9/14 214

* 「清水坂(仮題)」最終段階のメモを やや補修しつつ 箇条に整理した。これへ情理と表現を加味しつつ、仕上げ脱稿へ躙り寄りたい。

* 一寝入りのあとの大相撲も贔屓の遠藤が負けたところで機械の前へ。そして、そう、ぐぐっと躙り寄った。慌てまい。七時半になる。少し息を入れる。

* 八時半。一時間ほどやすんできたが、歯は浮いて痛み、目は霞んで。でも、もう少しでも。

* 九時半。もう少し進んでもいいが、限界。
2019 9/14 214

* 起床7:20 血圧 133-66 (52)  血糖値 79 体重 62.0kg
2019 9/15 214

* 機械に向きあうても、心身に、ことに腹部に全然チカラが無い。八時間近くは睡っていたが、夢の中でも「仕事」をアレコレ吟味しつづけて疲労していた。行けば行くほど貼り穴へ擂り粉木を突っ込んでいるような気がするのだ夢の中でも。
なにか楽しみが欲しいが、いま、音楽も聴けない、機械が正しく使えなくて。読書は、正直なところ目がまっさきに疲れるし。

* 手先が病的に震える。体験したことがないほど。糖分を攝っている、効果に信頼があるではなく。さっきまで、横になり、「千夜一夜物語」「アンナ・カ レーニナ」「プラトン・国家」「ヌ゜ラトン・饗宴(読了)」「法然・一枚起請文」をそれぞれ面白く、興味深く読んでいた。烈しいくしゃみを繰り返し、洟が 出ていた。寒くはない。が、今も両腕・手先がかるくではあるがビリビリ痺れている。乗り切らなくては。
また機械、一時停止して階下へ。小説「清水坂(仮題)」に祟られているかも。頸が凝ってきている。
午まえ、十一時過ぎ。

* 午に中味のあるスープ、ワイン、糖分をとり、機械へ来たが、寝入っていた。醒めて、「一枚起請文」を録画保存し、 サテ、一時半だが。まだ視野も頭も重苦しい。やすみに行く。

* いま、十時過ぎ。食事もせず、おやみなく睡っていた。
2019 9/15 214

* 起床8:50 血圧 118-64 (68)  血糖値 78 体重 61.9kg
2019 9/16 214

* 昨日は朝から夜まで最悪の疲労で、ほぼ一日中寝入っていて、今朝もゆっくり寝ていた。いま、昨日に較べやや軽快している。それでも、うしろ頸が硬い。
2019 9/16 214

* なにかの弾みか右のうしろ腰をかるく挫いた痛み、ロキソニンで抑えているが。
2019 9/16 214

* 起床8:00 血圧 128-59 (54)  血糖値 82 体重 62.55kg
2019 9/17 214

 

* 昨日は冷え、今日は暑い。
よっこらしょと重い大きな「複」式の機械を場所的には多大の犠牲を払い此の機械の近くへ、とにかくも置き電源を入れた。テープ一枚のフルート曲を無事に 聴いて楽しめた。テープというのは裏表無かったかなあ、どう転回するのだったっけ。ま、ともあれテーブが聴けると分かった。
次は、CD。ラジオは人の声がうるさく、また聴きたくないことを聞かされるので、まず使わない。なにしろ機械の指示文字がわたしの目では小さくて薄れ霞んでて見えないのを、頼りない勘と慣れで凌ごうと。
2019 9/17 214

* 起床7:40 血圧 119-63 (61)  血糖値 76 体重 61.30kg
2019 9/18 214

* どうしてもせずに済ませない用事が家にはあり、大概は力仕事でモノを持ち運びしたり置き直したり、時に脚を取られて横転したりする。生きて暮らすことの余儀ない通り道と心得てるまで。それでも、しんどい。
疲れて休息に階下に降りても下らない喋くり番組や安い犯罪、時代劇、かと思えば安倍やトランプノの貧相な顔があらわれ、安息の場は睡眠しかない。情けな いことだ。なにも自分が、トルストイのような素晴らしい世界を創作しているとまで云わないが。結局は、いいものを「読んで」気を静め清めようとしている。 いい音楽と、よく出来た映画だけは楽しめる。慰められる。食べ物が、このリストから落ちてしまっている。酒は呑みすぎると仕事にも躰にも障る。
2019 9/18 214

* 夕食はすすまなかった。ワインとR1とをまぜて呑み、鎌倉の橋本美代子さんに頂戴した絶好の葡萄ピオーネを妻に皮をむいて貰い五つ粒美味しく食べた。大方の食物は、糸蒟蒻や煮椎茸でさえ歯が痛んで噛めないのである。
水曜は生協の配達日で、日本酒の届くのを、日本の内ほぼ一本飲み干した。
2019 9/18 214

* 歌舞伎座の売店で妻の買ってくれた「和三盆」の一函を、仕事の間い間いに楽しんでいたのがのこり少なくなってきた。純良の砂糖は他に替えがたく甘(うま)い。和尚が隠し小僧がぬすむ気持ち可笑しくわかる。
2019 9/18 214

* 起床7:30 血圧 133-69 (59)  血糖値 86 体重 61.80kg
2019 9/19 214

* 昨夜は 疲れ寝に床に臥した。いまは昔、京都へ帰ったとき妻と 丹波亀岡から戦時疎開してい た山間の「杉生」(昔は京都府南桑田郡樫田村、今は大阪府高槻市とか。)まで訪れた。亀岡市のひっそり閑とした料亭の広間で食事し、保津川沿いに嵯峨へ 戻っていった。そんな夢をかなり克明に見ていた。市内三条の三島亭ですき焼きを食した時は、もう妻は疲労困憊していた。楽しいままに気の毒なことをした と、今もときおり思い出して話しあう。
2019 9/19 214

* 能管は まことにケッコウです。ただ惜しいことに、誰に戴いたか、ひょっとしてあの名張の囀雀さんであったか、テープへの録音に何箇所か躓きがある が、そんなことは気にしない。声・詞にも旋律にも聴き煩うなにもなく、ただもう佳い笛の音色だけが走り流れる。「書き」にも「読み」にも絶好の音色が嬉し い。少し少し要所へ書き進んでいる。ただし歯が痛む。痛み止めの厄介になり午食に階下へ。
2019 9/19 214

* 昼食後、機械の前で2時過ぎまで熟睡。まだしかとは醒めていない。からだが要求しているなら、と、思っている。

* 四時過ぎまで一行二行と進めてきたが、眼が霞み、心身の疲れでむかつくような不快感。やすむしかない。

* 少しやすんでいたが、ふとまくら元の「大和物語の人物」の「右近」を読みだしたら面白くて読み終えた。
そのまま夕食へ、出汁味の良く利いた汁に卵二個を溶いた一杯だけで済ます。

* 強いていえば結語まで用意はあるのだが文章にかたちづくるのが日に五行十行しか成らない。それも創る楽しみと思って堪えている。いいフルート曲が鳴っ ている。耳は聞こえるが眼は霞んでいる。十時半。やすむ。床に就けばまた『アンナ・カレーニナ』に息苦しく、しかし魅されて引っ張られそう。
2019 9/19 214

* 起床7:00 血圧 123-62 (55)  血糖値 88 体重 62.15kg
2019 9/20 214

* 三時半、徹しての推敲は「当然の今後」として、それでも、「越えて」きたと思えるまで海・山の難渋はやっとやっと通り過ぎたか。
心身へとへと、鼾をかいてホンの暫く寝たらしい。胸もとが焦げたように灼けてめざめた。
息を入れ、収束を図る。慌てず。
2019 9/20 214

* 冷えると、朝から思っていたが。五時過ぎて、暑い。
食は細く、汁しか呑めない。
入浴。目を洗い洗い、「千夜一夜物語」を二夜三夜分、 『アンナ・カレーニナ』 出産後のアンナの部屋へブロンスキイがとびこんで来るところを読んで気分を換えた。  2019 9/20 214

* 起床7:30 血圧 128-68 (65)  血糖値 81 体重 61.65kg
2019 9/21 214

* いくらか胸がつまって、寝足りないか瞼が痛いほど重い。らくな道は無いようだ。
2019 9/21 214

* 書庫へはいると疲れるようになった。夥しい戴き本に宛名や献辞が添っていて、その大方は仰ぎ見た先師先達でもう亡くなられている。思い出に胸がつまる。つい立ったまま、歯を食いしばっていて痛み出す。疲労が加わる。書庫には引き留める魅力と魔力がある。
疲れで目が明かない。機械から離れた方が、きっと、いいのだろう。いま、テープは「スターバト・マーテル」(と謂ったか)を聴かせてくれている。女声のこの世ならず美しいこと。荘重な合唱も交互に。
2019 9/21 214

 

* 神戸清心女子学院大、京都ノートルダム女子大 から「湖の本」受領の来信。府中の斎藤誠一さんからも。
二時。なんという疲労感。

* 二時間余睡る。眠りを誘うのに、ホメロス「イリアス」を第三編の前まで、「アンナ・カレーニナ」のレーヴィン、キチイのめでたい嬉しい結婚式までを、読んで。
大相撲、乱戦を楽しむ気はなく。
疲れと歯の痛みとで食べられる物もなく、やはり出汁を利かして溶いたた卵汁に味付けした麩を浮かして。歯医者へ行きたいが、その前に長編、可能なかぎり結びかその直前まで運びたいの、だが集中できない。
いまは、誰の作と知れない、むかしむかし人に貰ったのだろう、テープのピアノ曲を聴いている。昨晩の圓生「三十石」は楽しかった。「妾馬」を聴こうかな、たまたま他に芝居話の「淀五郎」「猫忠」などが手近にあるが、笑いたい。

* 六時半、少し少し滑り出るように「前へ」いや「終わりへ」と動いている。

* 八時十分。 長編の新作『清水坂(仮題)』「初稿」 脱稿。 すぐ、徹底的に全文の推敲 第二稿作成に取り組む。本題は決まっている。
2007・02・12 の着手作であった、よくガマンして書けたと、ヒロインに感謝する。乾杯したいが、日本酒も洋酒もワインも麦酒も飲み尽くしていた。いい日本茶を、妻と。

* 圓生の「妾馬」を聴いている。終えたら、ぐっすり寝入りたい。腹具合、少しよろしくない。瞼が重い。
2019 9/21 214

* 起床7:30 血圧 124-71 (67)  血糖値 80 体重 61.35kg
2019 9/22 214

* 歯は痛むが、久しい重荷をなんとか運べて、さすがに今日は気持ちが明るい。まだ推敲という次への道のりはあるが、やっと歯医者へも行けそう。顔も洗い鬚も剃れそう。
2019 9/22 214

* 起床7:20 血圧 134-65 (65)  血糖値 86 体重 61.40kg
2019 9/23 214

 

* たしかに、食べねば体力は落ち疲労は増し違和感に悩まされる。分かっているのだが。睡眠はとれているが。

* 気を入れ、ロキソニンで歯痛はおさえ、脱稿の初稿を読み続けていた。正午。上尾君にもらったフルート曲で雑念をはらっていた。
2019 9/23 214

* 歯は痛むが、何としても一昨日までのあの重圧からはすこし遁れている。目は霞んで、いろんな目薬を気休めのように垂らしている。

* 階下で、ひとり、贔屓だった米倉涼子の「ドクターX」再放送を一回分観てから、何の本も読まぬまま五時半まで熟睡。すぐ二階へあがり、また新しい原稿を読み返していた。

* 湯につかりたい。

* 湯の中で、桂郎俳句を晩年の夫人が撰註された一冊を、感じ入って味わっていた。 2019 9/23 214

* 結局、晩も卵二個を溶いた出汁スープだけしか口に入らなかった。明朝の体重、一段と下がってしまいそう。
2019 9/23 214

* 起床7:45 血圧 123-67 (76)  血糖値 86 体重 61.1kg
2019 9/24 214

* かろうじて呑めるもので朝食、体重は最低に落ちてきた。歯痛さえおさまれば食べたくなるだろう。
2019 9/24 214

* 今日も昨日の続き。
もし歯医者が来ても良いとなれば、江古田二丁目、沼袋まで出向くが。
彼岸休みか、連絡付かず。痛み止めで凌ぎ、能管の音色に惹かれながら、順調に(と思う)初稿を読み進み推敲し、正午になった。昼食はろくに出来そうにないが、階下へ。 2019 9/24 214

* また自作を検討しに二階へ。歯は痛く、食事が出来ていないので全身に力がないが、打ち込んで読んで行く。
2019 9/24 214

* 浴後の体重が、とうどう、60キロを割りそうだった。明朝には確実に59キロ台へ沈みそう。それ自体には、しかし、気を病んでいない。もう3キロほど は減った方がいいのでは。ただし食せずに、では躰は弱る。歯の痛みをのけてもらって、うまいものが食いたい。それもこれも新作の本当の仕上げが先。
2019 9/24 214

* 起床7:00 血圧 111-62 (76)  血糖値 93 体重 60.5kg
2019 9/25 214

 

* 季節病かも知れないが、からだ中になにかしら毒のまじったような不快感を覚えている。

* 「三」へ入っての新作の「読み」に難渋。此処は、よく読まねば。機械の面では内容の前後や重複を検索しにくい、「三」だけをプリントして読み直した方がいいか。
歯が痛む。じりじり暑くなってきた。

* やっと、夕方、歯科に予約できた。
2019 9/25 214

* 痛んで揺れる奥歯をまた一本抜かれてきた。痛みが取れたら食べたい一心であったが七時半まで食べてはならぬと。仕方なく帰ってきた。明後日、また行かねばならぬ。

* 機械に入力したが始動の遅いこと遅いこと。なにもなにも、じっとガマン、そして待つ。待つのが良い。

* 久しぶり 本当に久しぶりに「食事」でき、酒も飲め、食後の二時間を熟睡できた。ともあれ、やれやれ。これで、眼がよく見えてくれればと願うのだが。

* 十一時。疲れたか、「三」を半分、しっかり読んできた。視野が暗い。疲れた。しかし、京都へ「帰って」いる心地でも、あり。
2019 9/25 214

* 起床6:00 血圧 129-71 (69)  血糖値 100 体重 60.8kg
2019 9/26 214

* 夜前は床に就いてから本が読みたくて、六册の本を気の赴くまま読み継ぎ、一時半を過ぎていた。トルストイの小説はかなり踏み込んで絵画を語っていた。 ル・グゥインの小説は、「不死・死なない」人のいる世界へ旅していて、怖いほど面白かった。千夜一夜の物語も巧みに官能的であった。禅の話者の佛教論は 「梵我一如」の説を烈しく糾弾していて肯かせた。「大和物語の人々」のうち「桂皇女」たちにかねて心惹かれていたので、その詳細な論究が面白かった。壮大 なホメロスの世界では、神々も人々と一緒に敵味方で戦闘していた。

* 機械のブルーライトに負けてしまう視力が、寝室の昔ながらの電球の明かりだとモノが読みつげる。有り難いがおかげで寝そびれ、三時に一度めざめ、また 「大和物語の人々」論を読み進んだ。浅い眠りのまま六時には、もう寝諦めて、こっそり床を立ち、二階の機械へ来た。が、機械だと、たちまちに眼が霞み出 す。

* 朝食は、大粒の葡萄を六つ七つ、それだけ。煎茶を二煎。また二階へ。九時前。今朝は袖無しでは肌寒い。両の掌は、もう久しく、胃全摘以降、抗癌剤以 降、びりびり音がしそうに痺れつづけている。メール、来ない。メール、書かない。フルート曲を鳴らしたまま推敲しつづけている。
この新しい長編、名作でも秀作でもないが、何がこれを私に書かせるのだろう。何かしら喪ったもののあるのを取り返そうとしているのか、死ぬより先に。

* 少し、眠りたい。

* 眠らぬまま、好調にと云わずともなんとか順調に最終章「四」のほぼ半ばまで,読み込んできた。このさきは全編の最難所にになるが、むなしく海没しないよう舵をとりたい。四時半になろうとしている。慌てず、急ぐまい。
明日夕方にはまた歯医者へ行かねばならない、「その前に」などとアワを食わずじっくり読み続けねば。

* 結局、眠らなかった。夕食には錦糸卵で蕎麦を半人前の半分ほど食し、入浴して「アンナ・カレーニナ」のレーヴィン新妻のキチイが、病み衰えた夫の兄の 病牀をまこと賢く優しく見舞いたすけるのに感嘆した。作者のここで命や病や死生にかかわって述べている高次の「批評」が胸によく届いた。ますますキチイが 好きになった。
ホメロスの神々も介入の戦闘は、殺伐。ソクラテスは「国家」の弁論でホメロスを高くは見ていない。なにしろ克明を極めている。そこへ行くとシャーラザッドの物語りは洒落ていて面白い。

* 新作は、もう煮詰まってきている。
2019 9/26 214

* 起床8:10 血圧 125-68 (75)  血糖値 97 体重 60.35kg
2019 9/27 214

* 佳境と謂うには凄いところへ奔ろうとしている。一気に行くだけ。だが、夕方には歯医者。ここまで来て、慌てまい。ただただ機械クンのご機嫌よかれと願っている。いまはショパンのノクターンに魅されている。が、十二時半、昼食になにか腹へ入れないと、体重、沈下の一途。

* 案じていたよりは難所を描き徹していた。気を抜かず仕上げたい。三時前。

* 歯科のあと、江古田の「中華家族」で久しぶりにマオタイを。しかしもう手に入らないという。そうだろうと思う。時計・眼鏡のナガノで用を足し、七時過ぎには帰宅。
2019 9/27 214

* 起床9:05 血圧 136-76 (72)  血糖値 92 体重 60.15kg
2019 9/28 214

* 視力をたすけて15級の字で『清水坂(仮題)』は書き進めてきた。書き上げた今、本にする際の10級にあらためてみると、推敲・添削のせいもあり思っ たより本分量は縮まり、ま、いつもの「湖の本」一巻分で纏まっていると知れた。それはそれで問題はない。三稿めを作りながら読み進んでいる。
お午になっている。
2019 9/28 214

* 十時になる。目はもう霞みに霞み、処置無し。「よみがな振り」作業は、叮嚀に「読む・校閲」にはいいが、先へすすむのがたいへん。全四章と見ている が、まだ二章の半ばにしか届いてない。早くても明後日まではこの作業に没頭することになる。いまのところ、作自体に渋滞や怪我は見つかっていない。

* 音楽を聴き、圓生の芝居咄でも聴いて、もう、やすむ。
2019 9/28 214

* 起床8:30 血圧 135-70 (58)  血糖値 88 体重 61.00kg
2019 9/29 214

* いま、もう午後二時。新作のちょうど半ばまで、読み仮名をふりながら読み返してきた。かなを打っていると安直にとばし読みが利かないのが、今回推敲の狙い。

* 「マ・ア」の砂など買い足しに妻とセイムスへ買い物に行く。

* 夕食もはさんでブツ続けに原稿を読み手を掛けて、八時、視野さえ明るければもう十五分もかけて第三章がまとまるだろうに、キイの字も画面の字も暗い。すこし休んでくる。前作でも今作でも、私自身はちっとも白けていない、はまった感じが不快でなく、取り込まれている。

* 第四章へも筆が及んで、此処がふんばりどころ、明日一日を大事にここへ振り向けたい。今、もう九時半。
2019 9/29 214

* 起床8:10 血圧 144-71 (62)  血糖値 83 体重 61.40kg

☆ 「プラトン著『国家』により ソクラテスに聴く」

「もしすぐれた人物たちだけからなるような国家ができたとしたら、おそらくは、ちょうど現在、支配者の 地位に就くことが競争の的になっているのと同じ仕方で、支配の任務から免れることが競争の的になることだろう。そのときこそ、真の支配者とはまさしく、自 分の利益や名誉ではなく、被支配者・国民の利益を先に考える。
わたしは断じて賛成しないのだ、「正義とは強者の利益だ」という「不当な政治」にはね。

* 一ヶ月、プラトン最大最重要な著書『国家』の文庫二冊本の「上巻」から聴いてきた。
この大著の全編を、わたしは二度読み終えたところ。胃癌全摘の手術を受けに聖路加へ入院した日から読み始めたのだ、もう七年半の歳月が過ぎた。正直なところソクラテスの曰くに、全面賛成していない自身も自覚している、女性観などは。
この七年の間に、顧みて「湖の本」を36巻分、平均600頁に逼る『秦 恒平選集』を第31巻まですでに刊行してきた、書き下ろしの長、短篇も刊行し、また現に脱稿しつつもある。
目は暗く歯は大方無く体重は術後より現に7キロ近く減っている。往時からすれば 27キロも減っている。歩行に杖は欠かせず、荷物は、戴いた背負い袋で負うている。食は進まない、昔と変わらないのは、「酒飲み」だけ。幸い血糖値も血圧も尋常で助かる。
生きてきた と、しみじみ想う。感謝している。創作にも読書にもなお意欲あり、好奇心も知識欲すらまだまだある。
こうして「自身の既往」を敢えて反芻しいしい、自身を励ましている。妻にも建日子にも助けられ、ふたりの「マコとアコ」猫とも、それは仲良しである。みなみな、怪我すまいよと願う。

* もう九時になる。懸命に、読んで読んで、添削、推敲、満足したわけでなく、明日にも視線をさらに深くして。へとへと。だが、間違いなく一両日で入稿で きると思う。やはり待って頂いている「湖の本」の読者へ先にお届けしたい。『選集』は、第32巻の巻頭へ、余の長短幾つもの作と一緒に収録したいと思って いる。これきもう、あの『オイノ・セクスアリス 或る寓話』とはまったく相異なる物語になっている。.
2019 9/30 214

* 起床8:20 血圧 150-70 (55)  血糖値 92 体重 61.35kg

* 血圧高い。服薬でやや調節した。
2019 10/1 215

* 廃校にされた母校、元の、祇園石段下の弥栄中学の跡地に奇妙奇天烈な巨大な腸(はらわた)のような建物ができて、その迷路へ呑み込まれて四苦八苦抜け 出せない夢をみた。とにかくも私のみる夜ごとの夢は尋常でない。へとへとに疲れることも。稀稀に時に優しい嬉しいめも見るが、たいがいは魘される。魘され ながらもそこに何か発見や発明はないかなどと思うのだから、根からややこしい人間なのだと惘れる。
2019 10/1 215

* 起床8:30 血圧 136-72 (57)  血糖値 77 体重 61.0kg
2019 10/2 215

* 新刊の「湖の本」147 うしろへ、長めの「私語」になるが補充したいと、九月ひと月の「私語」を読みかえし、根気よく用意した。量的にいま少し検討して 入稿するが、これは急がない。それにしても、わたしの「私語」表記にすさまじい乱れや誤記の多いことに気づいて、ガクッ。一つには、視力の無さ、視野の暗 さで、文字盤が見えていない。アテズッポウでキイを押している。ま、仕方もないと。
ともあれ、ほおっと呼吸(いき)をしている、今は。階下へおり、いいお茶で好きな松露を口に含もうよ。
2019 10/2 215

* 起床8:00 血圧 139-71 (55)  血糖値 86 体重 61.0kg
2019 10/3 215

* さすがに、それでも少し寛いでいる。
仕事というのは、終えるのが妙薬である。「剣客商売」を観てきた。酒が美味し。
2019 10/3 215

* 師走の国立劇場は、白鸚の「盛綱陣屋」と。おもしろい歌舞伎である。予約。今月は、「ラ・マンチャの男」がある。十一月には、松たか子の芝居がある。病院と劇場とが、私の外出
2019 10/3 215

* 起床8:00 血圧 135-73 (72)  血糖値 89 体重 61.25kg
2019 10/4 215

* どう疲れたか、昼食後熟睡し、醒めて今も茫然。暑い。自分でも 何をしているのやら判然しない。
2019 10/4 215

* 三時。蒸し暑くて堪えられない。階下へ逃げる。

* 今日の異様な暑さはじつに危険でさえあった。卒倒するように寝入るとか助からなかった。目ざめたのは、七時。食事などほどほどに、湯に漬かった。『ア ンナ・カレーニナ』三册の二册(文庫)を読み終えたが、もう悲劇は濃厚に足早にアンナを取り包んで、悲惨の様子。つらい読書になって行く。
転じて『千夜一夜物語』へ移ると、なんとこれは奇態にのどかな不思議に楽しい世界であることか、心浮き浮きしてくる。
いわゆる貴族の社交社会のなんといういやらしさだろう。アラビヤン・ナイトでは、王様や教主や姫君達が平然と貧粗に変相しては下層民に仲間入りしてどん ちゃか騒ぎを心底楽しんでいたりする。昨今、中東は多くの危ない火種が耕作して物騒を極めているのだが、このシャーラザッドの千夜一夜の物語を楽しみ読破 してからは、どうにも、この世界と此の人たちへの好意を見失うことがわたしは出来ないでいる。ひれからすると皇帝時代のロシアの、モスクワ、ペテルスブル グの貴族らの社交世界など吐き気がしてくる。明らかにトルストイにもその思いが深く強く兆している。『復活』のネフリュードフ、『アンナ・カレーニナ』の レーヴィンにそれが色濃く窺えて、それに惹かれトルストイの文学世界に心惹かれるのである。
2019 10/4 215

* ああ、それにしても今日午後のまきついてくるような執拗な暑さは怖いほどで、斃れるなという参りようでひたすら寝入ることで、やっとかわした。危険 だった。この先の老人生活としては夏の暑さをどう乗り越えて行くかに叡智をかけねばならない。寒さにはまだしも着込むという術があるけれど。
2019 10/4 215

* 起床7:15 血圧 140-72 (58)  血糖値 84 体重 61.45kg
2019 10/5 215

* グレン・グールドのピアノの颯爽快速感に魅される朝の嬉しさ。

* とはいえ、体調の違和拭いがたく、散漫にやすみやすみし、横になったまま手に触れる本を読みあさる。
アンナ・カレーニナ流浪・孤独を深める痛ましいまでの女の悲惨、打ってかわってキチイとレーヴィンの真実味溢れる結婚生活幸福な日々、の、対照に胸を穿たれる。読み進むのも怖い小説、しかもみごとな把握と表現の構造美。
鴎外先生のやっと二十歳台の『ヰタ・セクスアリス』を読了。堅牢にして流暢な叙事叙述。「名作」と受け取る人もあるようだが、セクシイな何物も特段には 書かれていない。これが鴎外唯一の発禁小説であったとは、時代やなあ。わたしの『オイノ・セクスアリス 或る寓話』の方が文藝作品として冒険と発明とがあ るのでは。
芥川龍之介が編集した「近代日本文藝読本」の最初の二巻から、鴎外の飜訳「老曹長」、加藤武雄の「薬草の種」が佳い感じに胸に沁みた。この六巻本は買ってしばらく乗らなかったが、今では恰好の読み本としてかすかに敬意も払いながら愛読を重ねている。
ホーマーの長巻も長巻『イーリアス』 神々も神の子も兵も激戦激闘、死屍燦爛。それにしても女神さんたちの贔屓側に別れての敵対戦闘意欲の凄みに辟易の気味。あまりに大長編。
プラトンの大作『国家』分厚い二巻を後ろの詳細な解説までふくめ、再読を終えた。たくさん教えられた。仏陀、基督、ソクラテスと子供の頃から頭にあり、 その時機時期に応じて心して触れて読み継いできた。八十余年、心に残って、より近付きたいのは、バグワンへの親炙もあり、禅。

* 晩の八時。グレン・グールド速度感に彩色された精確なピアノの鳴りに今も魅されている。

* しかし、何としても、心身懈い。あせるまい、明日は涼しすぎるかもと予報されていて、較差にさらに傷められないようにしなくては。眠るのはクスリと思っている。わたしが寝入っていても、だれ一人困りはしない、これは幸せというモノであろうよ。
2019 10/5 215

* 起床8:30 血圧 148-74 (62)  血糖値 88 体重 60.95kg
2019 10/6 215

* 起床7:45 血圧 142-70 (58)  血糖値 86 体重 60.90kg
2019 10/7 215

☆ 十月
朝夕少し涼しくなりましたが、まだ汗ばむ日が続いています。
『清水坂』脱稿は嬉しい事でした。安堵と幾らかの解放感と寂しさ?・・複雑な心境かと察します。きっと再び何かを書き始めでしょう。鴉はそうしているのが自然なのですから。もっとも 日々のHP自体が書き続けていること、そのものの軌跡です。奇跡です。
「どうあがいても とり返しつかぬことがある。生まれてきたということ」と書かれています。深くため息しつつ、わたしも強く思います。
夏以来わたしは薄い霧の中を歩いてきた感があります。霧は晴れず、ただしこれからはその状況を受け止めて、今より強く生きなければ。
九日より 暫く日本を発って遊んできます。
くれぐれもくれぐれもお身体大切に 秋の気配を楽しまれますように。  尾張の鳶

* 孫たちを迎えて賑やかになると前便にあったので、メールも控えていた。この鳶は、しかしかなり自在に「日本を発って遊んで」これる魔法の絨毯の持ち主で、羨ましい。もっとも私はそう海外に憧れない。まして体力も無い。読書で十分。
2019 10/7 215

* 誰の何のなど考えない、しみじみ美しいフルートの曲を繰り返し今朝から聴き続けている。東工大の頃の上尾敬彦君のプレゼント、彼ならではの選曲の優しさも嬉しく。
で、私はいま何をしているか。濯鱗清流。もっぱら入稿原稿づくり。
「選集第三十二巻」の小説原稿がもう順序に配列されている。入稿の前に、処女作から最新作まで。とはいえ、手書き原稿から器械へ写せるなら、もう何作か が埋もれているのだが。間にも合うまいし、本にそれらを含む収容力もない。やはりそれは何れ「湖の本」で初出刊行を考えた方がよい。 「選集第三十三完結 巻」の編輯は難しい。書誌、年譜、随筆等々、自身に関わり深い資料的原稿をつくりながら新作の短篇等を拾い採るか。
慌てまいと思う、ただそりためには体調と健康とは維持していないとし損じる。「選集」を早くアガッてラクになりたいという気分もある、にはあるが。
2019 10/7 215

* 起床7:45 血圧 142-70 (58)  血糖値 86 体重 60.90kg
2019 10/8 215

* 左右の足首辺にかすかな違和を感じつづけ、しかも触れても何らの徴もみえず、歩行等に何の支障もなかった。ただ階段の昇降時にかすかな違和を覚えていた。
今、右足首のやや高めに小さな發赤と弱い傷みを感じた。この季節に珍しくない虫食い風の發赤なのか、骨から来ている發赤なのか、分からない。違和といえ、今は微々たるもの。少し様子を見る。打った等々の外傷という自覚は全くないので。

* 夜十一時になる。今まで寝ていた。今日は、ほとんど寝ていたような。夏疲れをみな吐きだしているならいいが。

* 右足首の違和感は失せている。よし。まだ睡さはある。
2019 10/8 215

* 起床7:15 血圧 133-73 (69)  血糖値 87 体重 60.95kg
2019 10/9 215

* 今日も寝てしまわぬよう、体調をよく塩梅しないと。
目に見えず、いや目に見えても、前へ運ばねばならぬ仕事は交錯している。手を抜くと混雑し膠着してしまう。明朝には、「湖の本」147最新作の初校出と通知が有り、日常作業がしばらくぶりに校正を軸に回り出す。どんな風にゲラが出てくるか、楽しみも心配も。

* 掌で塞いでみると、黄斑変性で、白内障とも手術した右眼はほどクリアだが、左眼はよほど白内障が進んでいるかと。聖路加では入院ということになろうが、近所の医院では日帰りで手術しているとか。行くか。
2019 10/9 215

* 起床7:20 血圧 156-79 (64)  血糖値 90 体重 61.15kg
2019 10/10 215

* 帝劇での松本白鸚「ラ・マンチャの男」に感激をまた新たにしてきた。もう歳を重ね隔てては数度も観てきたが、一度も期待を裏切られたことがない。前から三列真中央の角席という絶好の席をもらっていた。目の弱い私も不自由なく胸を熱くして観終えてきた。嬉しかった。

* 朝、餅一つ。午、食わず。観劇後も結局何も食べずに帰ってきた。ほんの少し晩飯には蕎麦を啜った。さすがに空腹感はあるが、食べたくもない。
2019 10/10 215

* 起床7:50 血圧 141-73 (62)  血糖値 88 体重 61.35kg
2019 10/11 215

* 破壊的に猛烈な台風が巻頭へ接近と聞いている。無事を願う。
2019 10/11 215

* 起床6:30 血圧 135-78 (70)  血糖値 84 体重 61.2kg
2019 10/12 215

* 昨日からずっと雨が降り次いでいる。今日も暮れて来るに従い大風が警報されている。在来にない度を過ぎて猛烈な颱風だと。何れもいずれも、無事でと願う。
2019 10/12 215

* 二代松本白鸚丈の「句と絵で綴る」句文集『余白の時間(とき)』が贈られてきた。句も絵も高麗屋の文字通りに大好きな得手で、楽しさに溢れて、墨書も みごとに流暢。いままでも何冊も本をもらっている。その文筆の滞りなく胸に届くのをよろこんで躊躇いなく日本ペンクラブの会員にも推薦したのが、さあ、も う昔のこと。文筆の妙は白鸚さんだけでなく、奥さんも、松たか子も、十代目を襲名の新・松本幸四郎も佳いエッセイを折に触れてしなやかに、生き生きと、多 彩に書かれている。
この前の、あれは幸四郎として最後の本であったか、自分は「いま、ここ」が大事で好きだと表紙にもでていたと思う。
私も、歌集『光塵』の結びに近く 2011・8月「病む」と題しながら、「いま・ここ」に生く と二首を成し、9月1日にも、
「いまここの生きの命よ秋さりぬ」 と書いている。年明けて、二期胃癌が見つかった。
私にも「いま・ここ」の強い思いが常にあり、それなくて「生きる」ことは無い。

* 烈しく降っている。稀に見る颱風は 静岡へあがるとか。海に近い冨士あたりへ、高波が心配。
2019 10/12 215

* 「釣りバカ日誌」の初回を楽しんでいたが、嵐はげしく雨もはげしくなって、テレビも写らない。無事を願う。
2019 10/12 215

* 起床7:40 血圧 138-77 (70)  血糖値 87 体重 59.6kg

* 体重、胃全摘以来はじめて60キロを割り込む。今朝も、出汁澄まし椀に白餅一つ。されで満腹する。
2019 10/13 215

* 起床7:15 血圧 128-65 (57)  血糖値 83 体重 61.0kg
2019 10/14 215

* 起床7:30 血圧 133-66 (65)  血糖値 86 体重 60.75kg
2019 10/15 215

* 十月半ば。秋たけなわは、これから。暴風雨も、もう終えたなどと油断はならない。心して厳しい秋を用心しつつ暮らさねば。

* 初校を返送した。

* 兄のアコ、テラスから脱走。こういうこと、一度は必ずと思っていた、遠くへは行けまいと安心しているが、書庫上の草むら、さぞ新世界で面白かろう。弟のマコは度胸無く、木登りして書庫上へという心配はいまのところ無い。
ひとしきり探訪したと見えて、書庫のエプロンからテラスへ飛び下りご帰還となった。

* 気温上下に煽られて疲れる。疲れると、寝ることに。

* 箱入りのようなあまり美味くない純米一升酒をセイムスで買ってきたのが、瓶と違い中の減りぐあい見えず、一日で、五合見当飲んでしまっているらしい。一日、二、三合におさえねば。
2019 10/15 214

* 起床7:00 血圧 127-65 (62)  血糖値 92 体重 61.0kg
2019 10/16 215

* 起床8:00 血圧 162-82 (63)  血糖値 80 体重 60.6kg

* 血圧が高い。
2019 10/17 215

* 今日は、歯医者。
帰りに、最後の(もう一杯しか無くなり、もう手に入らないという)マオタイを、名残惜しんでくるか。

* 歯医者を、今日、失敬して行かずじまいにした。何とも今日は歯をがりがり遣られたくなかったので。 代わりに、「オイノ・セクスアリス 或る寓話」最初の 「ひとこそみえね」「ながくもがなと」「八重垣つくる」の三章を楽しんで読み返した。こういう「語り口」での長編を一度ぜひ書きたいと願っていた。「語 る・騙る」おもしろさを堪能してみたかった。
書いて良かった。書いておきたかった、もう一つの大きな願いは、云うまでもない若い女性との赤裸々な性行為の描写ではなく、「倶會一処」の願いであった。
2019 10/17 215

* 起床7:45 血圧 150-79 (58)  血糖値 74 体重 61.0kg
2019 10/18 215

 

* 起床9:20 血圧 138-77 (68)  血糖値 82 体重 61.8kg
2019 10/19 215

* 今朝、明け方の夢に懐かしい人たちと出会っていたが、誰で何処でがまるで分からなかった、胸のワクワクする嬉しい出逢いに相違ないのに、何もシカと把 握できなかった。気分だけが靄のようで、残り惜しく目覚めた。なにしろ、人と、会わない話さない。出かけないのだから当然。用もなくボーっと出かけるのが 漫然と懶い。不健康やなあと思いながら「静かな」ジャズの吹奏を聴いている。建日子の呉れた一箱のジャズ十枚には「Jazz Ballads」とある。わたしはBalladsの意味も知らない。思いこんでたより十枚ともまことに静かな演奏なのはBalladsゆえであるのか、それも分からない。「ジャズは喧しい」と思いこんでいたのは何故かも説明できないが、とにかく此の「Jazz Ballads」は静かで、読み書き仕事に邪魔にならず有り難い。すこし眠気ももよおしてきた。
2019 10/19 215

* 長時間 原稿を読み続けていたので、目が霞みきっている。五時過ぎ。
夕食シして、九時半まで疲れ寝していた。そのあとは、ホビット映画の文字通り凄いのを観て過ごした。 十一時半。
2019 10/19 215

* 起床6:45 血圧 159-85 (49)  血糖値 82 体重 62.65kg
2019 10/20 215

 

* 明け方の五時台から執拗に「マ・ア」に起こされた。仕方なく、ファビュラス・ベーカーズとか云ったか、ピアノ抜群のジェフ・ブリッジス兄弟と好きなミシェル・ファイファの映画を半ばまでまた観ていた。彼等のピアノもジャズというのか、そういうことは分かりません。
努めて食べている。血圧は高めに、血糖値は低めに推移。
妻は、ご近所のお婆さん達とおしゃべり昼食会とか、タクシーに乗ってちょくちょくどこかへ出かける。このへん、五十年のうちに、お気の毒にお爺さんはおおかた亡くなり、連れ添いの家のほうが少ない。五十年……
2019 10/20 215

* 起床6:45 血圧 159-85 (49)  血糖値 82 体重 62.65kg
2019 10/21 215

 

* 芯が疲れているか、どうも気勢が出ない。九時前。もう階下へおりよう。明後日には、しばらくぶりに聖路加の検査と診察。天気がわるそうでウッとおしいが。
2019 10/21 215

* 起床7:00 血圧 130-76 (61)  血糖値 83 体重 61.95kg
2019 10/22 215

* 「湖の本」148 入稿できるまで用意できた。
ショパンのノクターン同じ曲を いろんな楽器でさまざまに演奏しての20曲を聴きながらも、あすに備えて 今夜は すこし早めにやすみたい。
2019 10/22 215

* 起床7:30 血圧 144-80 (62)  血糖値 84 体重 61.5kg
2019 10/23 215

* 二時の診察予約だが、前に検査があり、結果の出るのに優に一時間かかるので、十二時半には血液・尿の提示が必要になる。早くから出かけねばならない。

* 二時までたっぷり外来で待った。
「オイノ・セクスアリス」の湖の本一を、90頁まで読んだ。ここまでだけで、一編の私の論攷になっていて、読めない人にはともかくも、私としては、腑に落ちて、変化も主張もある演説ふう読み物になっていると満足した。
ここがしかと読めない人に、此の長編小説は、猫に小判だろうと思う。五十年の作家生活の一つの「達成」のようにすら書き切れていると思えた。五十年前では決して書けなかった。
これよりアトの、「湖の本」でいう、二へ、三への展開、ことに若い「雪絵」という女性との性の没頭などは真実味に満ちたお愛想のようなもの、長編創作の核心は、別にある。大方の読者は、赤裸々な性の表現で喜んだり惘れたりされたらしい、それも作者の仕掛けであった。

* 検査の結果には、何の問題もなかった。

* しかし、実に危ないことも有った。エスカレーターでよろめき、後ろ向きに転倒しかけた、直ぐ後ろの壮年の男性が支えて下さり事なきをえたが、女性で あったり人が居なかったりしていれば大事になっていただろう、片手に杖、もう片手にモノを持っていて、エスカレータを掴めていなかった。怖いことであっ た。怪がなく<て助かった。

* 朝。ほとんど食べていず、診察が終わり、院外薬局で処方薬等々を手に入れた時は三時半。食をもとめて銀座をうろついたが、時間も時間でまともな店は休 んでいて、鳩居堂へ寄ったり万葉洞へ寄ったり、眼鏡の紐を買い替えたりしながら、西武で食べ物を買って帰ったものの、不味いもので話しにならず、要するに 酒だけを飲んで、機械の前へ来たという次第。こんなことでは体力・体重は失せて行く一方。
2019 10/23 215

* やはり外出して草臥れている。5000歩ほどは歩いている。
2019 10/23 215

 

* 起床7:00 血圧 128-65 (72)  血糖値 103 体重 61.2kg
2019 10/24 215

* 起床7:40 血圧 135-69 (76)  血糖値 93 体重 61.55kg
2019 10/25 215

* 無数のシワを刻んで両掌指が音のしそうに痺れている、あの胃全摘の手術以降、ずうっとである。病院でレスタミンをもらっては塗っている。
そうはいえ、一時期歩行もままならなかった常時、腰、膝、背、肩、頸の痛みが、ここ二、三年ほぼ治まっている。疲れが嵩むと痛みは生じるが、だましだましの緩い痛み止め錠剤を一錠口に含む程度で遁れられる。これは、ありがたいこと。体重沈下が役立っていると思っている。
2019 10/25 215

* なんとなく、なんとなく時を過ごして、まだ七時だが、寝入りたい心地。寒くもある。おおきなくしゃみを何度もした。
2019 10/25 215

* 起床7:40 血圧 135-69 (76)  血糖値 93 体重 61.55kg
2019 10/26 215

* 大雨が行って、秋晴れ。もう、「マ・ア」兄弟ぬきの私たち「秦家」の日々など考えられない。家中の障子紙は破り尽くされているが、排泄の行儀は正し く、なによりもわれわれ大人を愛してくれている。朝、も少し寝ていさして欲しいが、起きて起きてがあの手この手でくる。今朝は妻にまかせて、わたしは朝寝 させてもらいました。

* 亡くなった懐かしいたくさんな人をしきりに想い出すが。なんと、遠いことか。

あなたとはあなたの果てのはてとこそ
吾(あ)に知らしめて逝きしかきみは    恒平

* それにしても夜前の夢のなんとフクザツ・カイキであったことか。大きな討議の会の二つ三つを京の市内でかけもち奔走し、文字通り「途方」に暮れていた。化け物は出なかったけど。

* 一日、よく仕事していた。
2019 10/26 215

* なにかしら最期の命を削っているような心地がする。
2019 10/27 215

* 起床8:00 血圧 145-72 (59)  血糖値 95 体重 61.25kg
2019 10/28 215

* 手持ちに沢山なすでに材料の在るのへ目を向け、次へ、次の次へ、心はせて。そして疲労は濃い。濃くても仕方ない。快いことを、思うなり読むなり書くな り聴くなりして疲れは払う。他にどんな道があるか。繪は好きなのに画集はあまり手にしない。重いのも苦手、何としても印刷された繪は割り引かれる。美しく 鳴るピアノや弦や笛は、そしていい歌声も、ありがたい。
2019 10/27 215

* 起床7:30 血圧 148-79 (63)  血糖値 82 体重 61.4kg
2019 10/28 215

* 「清水坂」を上げたあと一世に色んな仕事に手を付けたので、ズシーンと腹に一発拳固を食ったようにしんどい。なんとか、脂濃い食べ物も口に入れてい る。いまいちばん食べやすいのは、いい出汁でこっくり似た「麩」です。いっとう食べて歯にも腹にも抵抗なく、味よう口に合う。こどものよう。
2019 10/28 215

* 起床7:50 血圧 167-85 (66)  血糖値 73 体重 60.7kg
2019 10/29 215

* 「清水坂」再校に気を入れすぎてか、午後を四時過ぎまで、困憊寝。
2019 10/29 215

* 十月、はや余す、二日しかない。
八月、九月、最新作小説の仕上げにシンから疲労困憊したのは、ま、当然の仕儀。そして仕上がり入稿し校正の、十月。思いの外の疲れの執拗に驚くが、思っ た以上に天野哲夫氏の『傷ついた青春』の反芻が心身に堪えた。忘れていたい、しかし忘れがたく忘れてもならぬ「敗戦」への回顧というよりキツイ追体験の日 々だった。当然にも愉快ななに一つも甦ってこない思い出なのである。
もう二日の十月、相応のとじ目を見付けねばならぬ。
2019 10/29 215

* 起床7:50 血圧 167-85 (66)  血糖値 73 体重 60.7kg
2019 10/30 215

* 起床7:45 血圧 118-69(76)  血糖値 91 体重 61.2 g
2019 10/31 215

 

* 心はともかく身に活溌の生気を欠いているのは否めない。億劫でも歩きに出ないと。思いついたら即、フイと出かけられる、そのためには相応の服装をしてないと。これが邪魔くさい。
わたしは元来が着たきり雀で。背広もジャケットも、ズボンも、たいがいなシャツも、靴も服も、みな「前世紀」のもの、それで平気。三十年前の写真で着て いたシャツなど、平気で昨日も今日も着られる。出費を惜しむのではない、そういう買い物は邪魔くさくて好かないだけ。「着洒落」という気が全然無い。昔か ら無い。建日子が呉れれば、息子のおふるでも喜んで着ている。冬になってのジャンパーなど青年のように若いが、気にしない。
これだから、出かけたければすぐそのまま出られそうなのに、出来ない。家では、いつも、それ以上にほとんど寝たまま起きたままでいる。むかしは来客が あった、いまは来客に座ってもらえる畳半分の余地もなく、玄関での立ち話で帰って頂いており、自然とわたしの日常は不行儀の見本、それでは幾らなんでもふ らっとも外出できない。自転車で郵便局か宅急便かしかなく、この行儀を「改革」しないと躰を働かす、いや、人なかへ出てゆく外出は、無理。
2019 10/31 215

* 起床7:40 血圧 132-65 (56)  血糖値 80 体重 62.2kg
2019 11/1 216

* 起床7:45 血圧 138-81 (58)  血糖値 76 体重 62.55kg
2019 11/2 216

* あす、体調に不安は無くないが、千駄ヶ谷へ、招いてくれた友枝昭世の能「井筒」をみにゆく気でいる。帰りには雨になりそうと、しかも日曜で、クラブヘ 寄り道の楽しみもない。新宿の夕暮れを雑沓に揉まれてみてもツマラナイ、池袋で五時すぎになろうか、ま、お能一本やりで帰ることになろうか。すばらしい 「井筒「を楽しみたい。
2019 11/2 216

* 起床8:00 血圧 139-65 (66)  血糖値 87 体重 61.4kg
2019 11/3 216

* 「マ・ア」の挑発と攻勢とで、起こされる。抵抗しているとかえって寝過ごす。

* 今日は、一も二もなく慎重に国立能楽堂に入る。前座の「翁」は遠慮し、ひたすら「井筒」に向き合ってくる。体調のもちますように。帰りは雨らしい。一 時開演だが、二時迄に入るつもり。季候も季候、今日は背広で行く。まだ社宅の頃につくった背広、永くついつい愛用してきた。やせ細ってきたので、胃全摘前 の背広などダボダボ。なにしろ86キロもあった。今は60キロ少し。高校三年生の頃の体重。いまの身幅に合う服はありません。必要もありません。
2019 11/216

* もう出かけられるが、疲れはすでにあり、消耗をおそれ、もう三、四十分やすんで、出かける。とろとろと瞼が落ちてくる。少し歩いてシャンとするか。
季候の冷えで、この古馴染み機械、作動可能の画面までに十分はかかる。いかにも老人同士のようで可笑しい。待つ。それのみを覚える。たしかにもう待っているのだなと思う。残り惜しいか。まだ、もう少しは。
昨日、階段で左腰がカクっと小さく落ち、びっくりした。膝も怖いが、腰の抜けるのはもっと怖い。気を付け付け歩かねば。荷物を多く持たないこと。背負い鞄を軽くしておくこと。今日の帰りは雨という。折り畳みでも傘は荷になる。
2019 11/3 216

* 幸い、雨に降られず帰って来れた、が、帰路、満員電車の中で途方もなく「恥ずかしい」思いをした。あんまりなので、書かないで置く。(ズボンを、ベルトでなく、前後で吊っていた、その背後の留めが外れたのです。参ったよ。)
2019 11/3 216

* 起床7:30 血圧 120-69 (72)  血糖値 83 体重 60.9kg
2019 11/4 216

* 起床7:50 血圧 143-67 (58)  血糖値 90 体重 61.45kg
2019 11/5 216

* 「待ち待ち」読む文庫本の字が、もうちと大きいと有り難いが。音楽はまさしく音の楽しみ。昨日からモーツアルトのフルート協奏曲がこころよい。
ものぐさになってはいけないのだが、テレビのニュースの類を見たくなくなり、藝のない有象無象のバカはなしもイヤ、コマーシャルもいや。新聞は目をいた わり全く手にも触れない。視力は、機械仕事と楽しみの読書用にだいじにしている。耳は利く。佳い音楽があるので真実ありがたい。
2019 11/5 216

* 新しい物語を、跡絶えずに書き継いで行く気でいる。病院、医院のほかで人と口を利くことが久しく無い。昨日、川口君の電話で暫時話したのが稀有。一つ には、入れ歯が落ち着かず、喋りにくくて。仙人のような通力はまったく無くて、妻と「マ・ア」とだけの「お仙」めく日々に身を浸している。もう、このまま 黙然と気軽に残年を楽しむだけ。
それでよい それでよいとよ 寒鴉
2019 11/5 216

* 起床7:20 血圧 134-73 (68)  血糖値 97 体重 60.9kg
2019 11/6 216

* 歳をとると夜眠れないと聞いてきたが、朝までよく寝る。「マ・ア」につつき起こされねば、いつまで寝ているやら。寝入る前の読書が利くのか。しかし夜 をこめてアタマに歌が甦り続けている。一夜で幾つもの歌ではない、ほぼ一つの歌詞(の一部)とメロデイが反復している。ゆうべは「フランチェスカの鐘の音 が」「チンカラカンと」と反復つづいて、わたしは「チンカラ」はいかん、「キンカラ」がいいと抗いながら「やっぱりチンカラか」と反省したりし続けてい た。これは安眠とはいえないか。
朝早や、冷え込んでいた。

* けさは、「A couple of (二つの)」「A part of(の一部分)」というのを復習した。couple が「夫婦」の意味となどとうに意識から落ちていたなあ。
2019 11/6 216

* 午后へかけ「選集」第32巻のため少し根をつめ、頸周り固くなり、疲れで目もふさがってきた。今夕は歯医者の予約。すこし根気を和らげてから出かけたい。
明日には「湖の本」137三校が届き、「湖の本」138の初校も届くという。歳末へかけて目一杯の忙しさになる。
これは楽しみの方だが、今月には池袋芸術劇場での松たか子公演、また歌舞伎座では幸四郎・染五郎父子の「連獅子」がある。聖路加で前立腺の診察もある。うまく乗り切って行かねば。私が保っても妻が疲れ切ってはハナシにならない。二人分気を配らねば。
季節はずれに新芽が立つようにあれをこれをしたいという創作の欲も。浮つかぬように。
2019 11/6 216

* 起床7:30 血圧 144-72 (58)  血糖値 77 体重 61.7kg
2019 11/7 216

* 好きな店、佳い店、むろん飲食の店のことだが、移り変わりははげしく、こっちの身動きもママならない。根岸の柳町に日本めく洋食の「香美屋」があっ て、わざわざよく通ったが、もう、鶯谷駅からあそこまで歩くのはしんどいことだろう。鶯谷駅の改札外にあった蕎麦の「公望荘」は博物館などへの恰好の足場 だったのに、なくなっている。よく蕎麦で酒を飲んだ、上野公園との往きや帰りに。
浅草でのすき焼きももう何年も行かない、行けない。浅草はどうしても雑沓を歩かねばならない、人に突き当たったり当たられたりは剣呑で、距離もあり遠慮している。
浅草や上野で妻と何度も寄席に入っている。妙に侘びしく、けれど気の晴れる場所であだったが。
2019 11/7 216

* 起床7:00 血圧 145-73 (74)  血糖値 90 体重 60.8kg
2019 11/8 216

* どういう疲れであるのか、責了紙を宅急便に託したあと、二時頃から、軽い夕食をはさみ、いまもう夜十一時前まで、潰れたように寝入っていた。今日のうちに休息しておきたいという気もあったけれど、こんなに寝入っていたとは。

* 寝入りながら、もう半年も「かすかに(痛みも不快もない)違和」を覚えていた右足首に初めてかすかな「痛み」を自覚していた。目ざめての起立・歩行に問題はなかったが、痛みの如き違和感はかすかだが有るのを、ここに記録しておく。
もう、このまま、また床に就く。
2019 11/8 216

* 起床7:30 血圧 147-73 (66)  血糖値 82 体重 61.25kg
2019 11/9 216

* しばらくぶりの「湖の本」発送になるので、手落ちなく用意したく。急がないということも大事。

* 頸筋が固まるほど、気を張っている。必要もないのに、とはいえ、あれこれと気ぜわしい用事は次から次へ涌いて出る。

* テラスへ出していたベンジャミンの、大きな鉢に大きく育ったのを、十一月になると、寒気から庇い来春まで狭い居間に入れてやる。これが、重い重い力仕 事。毎年のわたしの用事で、今しがた無事に今年も部屋へ収めた。狭い部屋がますます狭く、天井を枝がこすって傷つけないよう、例年、一苦労する。とても妻 の手と力とでは出来ないだけに、わたしの体力・健康のバロメーターになっている。いつまで此の重い嵩高い出し入れが出来るか。ま、今年も無事に遂げた。

* 「湖の本」発送のための、肩の凝る、しかし不可欠の用事の一つも終えた。一つ一つ、用事は遂げて行く。それが一等の確かな早道。
2019 11/9 216

* 起床8:15 血圧 146-74 (57)  血糖値 95 体重 61.9kg
2019 11/10 216

* 昼すぎ、「マ・ア」のための買い物に行ったついでにウイスキーも買ってきた。さしたる量とも思わなかったが、ぐっすり寝入ってしまい、大相撲が中入りになっていた。
皇室のバレード様の行事もあったらしいが、それにはあまり関心がなかったものの、なにもかもおいて午后を寝入っていたとはビックリ。体調を損じていないか。
2019 11/10 216

* いま難しいのは、私も妻も、それぞれにどう「休息」したり「楽し」んだりするか、のように思われる。体力を労りながら、惜しみなく時間も費用もかけたい。
もうよほど昔になるが妻は「先に死なせてあげる」と云ってくれた。有り難かった。先にゆく気の私ひとりの願いをあえていえば、もし死後があるのなら、テ ラスの隅でやすんでいる「ネコ」「ノコ」「黒いマゴ」らと、そして、懐かしい京都の街や、東山や白川ですごしたい。妻にもいずれは来てほしい。
2019 11/10 216

* 起床8:00 血圧 145-72 (49)  血糖値 81 体重 62.3kg
2019 11/11 216

* 二階から降りると妻は「発送用意」などに疲れて寝入っていた。「マ・ア」も妻のそばへ遣り、一人台所で休息し、また機械へ戻って奇怪な物語を古い古い文献などから掘り起こしていた、が、もう疲れた。床に就くには心もち早いが、やすもうと思う。
2019 11/11 216

* 起床7:45 血圧 138-73 (70)  血糖値 80 体重 61.6kg
2019 11/12 216

* 「湖の本」148の初校を80頁ほど励んだ。晩飯を食わず、スコッチ「バレンチン」を生のママ呑んでいる。も少し美味いのを買うべきだったと思いつつ、もうボトルの、四分の三も呑んでいる。愉快酒とは云えぬ。不快酒。ま、愉快なことなど、もう、そうは有るものでない。
2019 11/12 216

* 起床7:40 血圧 143-74 (66)  血糖値 80 体重 61.2kg
2019 11/13 216

* このところ、かすかに気がかりで不安を覚えてきたのは、胸の、心臓というより肺ではないかと感じる苦痛がある。機械へうつむき加減な時間が長く、杖で 出歩いても自然にうつむき勝ちで胸をせばめ抑えているせいであろう。呼吸の不安は感じていないので、朝の血圧は高め推移なので心臓への負担というほうが当 たっているかも知れぬ。消化器には違和の感じはない。病院での生理検査に胸部が含まれていないように思っている。
ま、一には、上半身の姿勢、そして胸を広げることが一であろう。

* このところ、戴いている郵便等への始末もきちんとついていない。
昨日は、年末の挨拶のふうにして、川崎の異母妹伊藤ひろ子の夫が急逝と通知があった。痛ましい。父の葬儀いらい会っていない、もう四半世紀の余も前か。
ロスの池宮さんからも香川の星合さん、山形のあらきそば、淡路の田島征彦さんからも便りを貰っていたし、昨日は松本幸四郎の来年のカレンダーが届いていた。例年とちがった工夫があった。
なにかしら、なかば茫然とも暮らしているのか。

* 午后、池袋の藝術劇場で、松たか子主演、野田秀樹作・演出の「Q」を観てきた。感想は明日に。
帰宅後、連続の「ホ・ジュン」録画分だけを観て、二階へ。ところが機械に向かいながら寝入り、ソファに腰かけて眠りつづけ、それでも堪らず階下の床で熟睡し、気づいたら十一時半になっていた。

* 「国家はなぜウソをつくか」と、エスパス・ビブリオで話される、ペンの昔の同僚委員だった(と思う)梓澤和幸氏に、聴きに行きたいが体調かなわずとメールしておいたのへ親切な返信があった。
「尾張の鳶」の浄瑠璃寺、岩船寺等への小旅行写真も届いていた。

* が、もう、もう一度寝る。明日は歯医者。
2019 11/13 216

* 起床7:45 血圧 134-74 (72)  血糖値 85 体重 60.75kg
2019 11/14 216

* 痛烈な のど奥の渇き痛みに目が覚める。相当量の水分と、鬱金や乳酸系のクスリ、青汁なみの粉茶など呑んで凌いだ。この、痛いほどな渇き・乾き感は、 持病かのように比較的頻発する。胃袋が全摘されて無いことと関わっているのかどうか。医師はあまり関心を持ってくれないが、一度、上部消化管の検査をして くれたときは、異状があるとは診断されていない。
2019 11/14 216

* 三時過ぎ、独りで江古田の奥までの歯医者通い、出かける時既に疲れていて、四時半約束の時間ぴったりに着いた時は、ぐったり。医者は来るのかと案じてか、家へ電話していた。やれやれ。
年内に、下の入れ歯を大幅に造り替えるのだとか。やれやれ。
帰りのバスが遅く、待つまにさらにぐったり。空腹ではあったが食欲なく、それでも、どこでどう食べて帰ろうかと思いつつ、「ビボ」の前を通ったら顔なじみの店内から声が掛かって、通り過ぎるのもと、カウンターで例のウオツカをダブルで一杯。
立ち寄っていい食べ店が三軒ほど有りながら、魔が差したように行き当たりバッタリに慣れないラーメン屋に入ってしまい、ビールの中ナマも頼み、案の定、麺もビールも半分と消化できず、疲労困憊のママ、よろよろと江古田駅へ。幸い保谷行き各停が来てくれ、坐って行けた。
疲れを躱すにはわたしの場合、持っているゲラを読んで校正すること、その間は他事を忘れられる。七時には家につき、「剣客商売」 あまり面白くなく。やがて九時。大門未知子の失敗しない手術に励まされたい。
2019 11/14 216

* 起床8:00 血圧 136-70 (65)  血糖値 84 体重 61.2kg
2019 11/15 216

* よかれあしかれ、元教授のわたくしですら若く元気であったなあと、いささか「今」に銷沈している。胸に重石がかかったように鈍い窮屈感がある。モーツ アルト天来のフルート協奏曲二番にただただ思いを預けている。いい音楽の美しさに、ただ、ひたっている。言葉ではないが「美しい詩」に極まっている。
2019 11/15 216

* 書きかけていた北越や山陰を舞台の小説、手近に在るはずの文献を見失い、立ち往生している。いったん見捨てざるを得ないか。

* こころ重いが、これが老いの日常というものか。せめてやすやすと寝入りたい。本の発送をひかえると、出来て届くまで胸を圧されるよう。生涯、用意万端に気配りしては疲れてきた。トクな性分でない。バグワンに叱られッぱなしなワケ。

* 九時半。もう今晩は躰を横にしよう。異母妹の夫は、自動車を道ばたに止め、背をうしろへ傾けた姿勢で「心筋梗塞死」していたと。敬虔なキリスト教徒であったと。天に召されたものと。嗚呼。
2019 11/15 216

* 起床9:15 血圧 153-75 (59)  血糖値 77 体重 61.8kg

* 血圧の高めと胸の圧迫感とが気になる。血糖値はきわめて安定。食べないのだから。 2019 11/16 216

* 石川・能美市の井口さん、素晴らしい、ごっつい、すり下ろして卵と溶いてなど食べる山芋を何キロもの大きさで送って下さった。食の進まない私に、これは噛むという歯の負担もなく、ご親切の賜物です。有難う存じます。さっそく戴きます。
こどもの頃、自然薯と呼んで母がすり下ろしていたのは細みの薩摩芋大であった気がする。井口さんに戴くのは一つ一つが黒い岩塊のように重く、大きな存在感。そして美味い。感謝。

* 最新作の物語「湖の本147」の発送までに、十日を切った。心して用意を詰めておかないと気が騒ぐ。その間にも、幸四郎・染五郎父子の「連獅子」を観 に行く。体調、かならずしも自信に満ちていないので、用心しいしい過ごす。発送は、想像をこえた重量との格闘になるので。
2019 11/16 216

* どんなツラで過ごしているか、先日妻との歯医者帰りに江古田の肴の店へとび込んだ時の、比較的疲弊していない感じのを晒してみる。
食べないで、ただ酒を呑んだ。二合徳利を二度あけたかも。部屋ごと酔ったように写真があかい。
2019 11/16 216

* グタグタに疲れた。「連獅子」の楽しみ、大丈夫かなあ。以前、一度途中で退場し帰宅したことがある。

* 仕事を前へ進めて、十時前、もう、やすもうと思う。床で、本が読みたい。明日は日曜。あと、八日の余裕、九日目に「湖の本147」納品され、発送作業 に。月末までに五日。五日掛けてもいいと思って過剰に疲れないようにしたい。師走を穏やかに、無事に冬至の誕生日を迎えたい。
2019 11/16 216

* 起床8:45 血圧 138-72 (62)  血糖値 87 体重 61.8kg
2019 11/17 216

* 今日は、終日繰り返して或るひとつことを心がけ試みながら、どうしても書き取れなかった。気が乗らないとはこれかと思いながら、とうとう九時前、あす の体調と気分のためにも、しつこく追うのをやめた。かわりに、網野善彦の手つかずでいた単行本の遺著を、新しい勉強にと読み始めた。
2019 11/17 216

* 起床8:00 血圧 149-71 (65)  血糖値 85 体重 61.25kg
2019 11/18 216

* 朝の十時半頃に鰊蕎麦を一碗食して、その後は歌舞伎座会場前に珈琲とちっちゃいサンドイッチを三切れほど食べて、劇場でカップ酒一杯だけ。さすがに空 腹のまま、いつものクラブでの食事を楽しみに日比谷まで車に乗ったが、いぞホテルの前で妻は空腹でなく「食べない」と云い、ガッカリしてそのまま廻れ右で 銀座から地下鉄、西武で、飲まず食わずの空腹のママ帰ってきた。
歌舞伎座も大切りでつぶされ、期待の食事と酒も「食べ無いハナシ」になり、落胆と空腹、つまらぬ成り行きで終えた一日。帰った家でも、食べたいようなナニも無いまま、もう十一時半。
2019 11/18 216

* 起床7:15 血圧 139-76 (67)  血糖値 96 体重 61.5kg
2019 11/19 216

* 昨夜は異様な高血糖と強度の脱水症状で、両手指は曲がり捩れ、両脚も曲がり捩れて堪えがたく痛み、とにかく大量に水分を補給し、ビタミン、強壮剤摂取など応急に思いつく限りの手を打ち、最後にロキソニンで痛みを抑え、辛うじて、三時近くから寝入れた。
七時には目ざめた。痛みや異状は失せていた。眠気と疲労感は残っている。
2019 11/19 216

* 七年半もまえの抗癌剤の作用がいまも残るかと怪しむほど、両てのひらが日々ジンジンと痛いほど痺れる。指先が利きにくく、頁をめくり薄紙を扱うのも、ワタシャツのボタンにも辟易する。
2019 11/19 216

* 気骨の折れた仕事を書き終えて電送入稿。 あと、もう少し力仕事と気を遣う用事が残っているが、あと好都合にもう五日間の余裕がある。間に合うだろう。

* 疲れて午后を寝入っていた。
電送分が、通らない。困惑。困惑。こっちのおツムが混濁しているのか。困惑。
2019 11/19 216

* なにかしら晴れやかに心楽しむことが欲しい。自然の大きな景色を久しく見ていない。電車に乗るしかないが、思えば、池袋への西武線、聖路加への地下鉄のほか、久しく山手線へも乗らない。これらでは大きな自然は望めない。
上野の東博本館か東洋館のなかを、とぼとぼと、やすみやすみでも半日ほど歩いてみたいが。目が見えるかな。京都の博物館が恋しいほど懐かしい。「瓢鯰図」「早来迎図」「倶生神像」「崇福寺址の舎利容器」なにもかも懐かしい。思い出とは一種の毒のように想われる。
富士山を新幹線から観たいが、天気がよくないと無意味になってしまう。
2019 11/19 216

* 起床7:50 血圧 145-85 (63)  血糖値 68 体重 61.15kg

* 血糖値が低すぎる。血圧は高め、体重はやや減少。
2019 11/20 216

* 携帯電話をとうとう持つことになったが、マニュアルの字が小さく、多様に大量で、当分は役に立たない、立たないままでありたいもの。
2019 11/20 216

* 赤間の「うに」でお酒がのめて、昼すぎ、気分良く一寝入りした。モーツアルトのフルート曲が終始こころよく。

* 驚いたことに、夕食後、なんとなく横になり、そのまま、いま十一時過ぎまで寝入っていた。今日は、昼と晩の大方を寝て過ごした。からだの要請ならば、応じ得てよかった。
2019 11/20 216

* 発送前の大方の用は終えた。あとは謹呈分の追加若干の封筒宛名を書けばよい。残る四日半、本業へかかれる。
手に入れた「携帯電話」の学習も。だが、これはとても苦手。いつになったら使えるか分からないが、外出時の緊急に、家と、妻と、建日子「とに」、乃至「から」通じさえすればよいのだから。
2019 11/20 216

* 起床7:50 血圧 125-64 (59)  血糖値 86 体重 62.55kg
2019 11/21 216

☆ 雲丹といふ赤間の浦のめでたきをかしこし酒に戴いてをる

* 気分優れず、茫々と昼間を過ごした。着替えて出歩いてみたいと思うけれど。とても億劫で。横になると、亡くなった人たちのことが想い出され、じつに知 り人、懐かしい人の大半というより殆どが亡くなっている事実に胸を衝かれてしまう。思えば自然当然の現実なのではあるが。

* これは大事、在るべきもの と思うものの容易に見当たらないことにも参る。みんな捨ててしまえば諦めがつくとも思いこむ。老いの愚痴であり、バカげているが、バカが事実なのだから困惑する。

* 今日も、よく云って 休養 で終える。アンナ・カレーニナの無残な最期はちかづき、レマルクでは愛おしい若者達やユダヤ人が国境を越えつ戻りつ懸命の 逃亡の日々を送り迎え、ホメロスは潰えるトロイと死んで行くアキレスをうたいあげて行く。わずかに源氏物語の「玉鬘」巻が優艶なもののあはれを美しく描い てくれる。
昨夜の夢見も、むごいほど不快だった。精神不安定といわざるを得ない。やれやれ。老耄も極まり行くか。バグワンの声と言葉とが、遠くで 小さく 聞こえている。
2019 11/21 216

* 起床8:00 血圧 144-73 (59)  血糖値 75 体重 62.25kg
2019 11/22 216

* 発送前は、本が納品されるまでヘンに緊張し気疲れする。本が届くと、空気が抜けたように平常(ふだん)に戻れる。
2019 11/22 216

 

* 思いのほかの雨降りだった。
わたしは、活気が失せ、何もしていない。音楽も聴いていない。
高栄養・高蛋白をわたし自身が受け付けていないのだから、妻には気の毒。下関の美味い雲丹で、生協のお酒は身に沁みているけれど。

* もう二日、休養する。三日目には「湖の本」最新刊が出来てくるが、その当日も翌日も病院通い、きっと疲れてしまう。ま、なんとしても慌てず急がず、十 一月中に「発送」という力仕事を終え得れば、祝い日の重なる師走も、なんとかお祭り月に出来ようか、討入り前の十日には、久々の国立劇場、「近江源氏先陣 館」 盛綱通しの座席がもう届いている。
2019 11/22 216

* 起床8:00 血圧 144-73 (59)  血糖値 75 体重 62.25kg
2019 11/23 216

* 起床8:00 血圧 160-83 (59)  血糖値 79 体重 62.2kg
2019 11/24 216

* 午前十一時、もう目が霞んでいる。
2019 11/24 216

* さ、何がどうあろうと明日朝の一番に最新作の小説本が出来てくるが、玄関に積み上げるだけ、何ほどのことも出来ぬまま発送は見合わせて聖路加病院へ受 診に行く。何時に帰るなどと強いては考えず、遅い昼食を何処かでして、一日休むほどの気で出向く。まだ何が何とも分からん携帯電話の必要がないのを願う。
さきの『オイノ・セクスアリス 或る寓話』は読者の皆さんの受け方はともかく、私自身は終末期を記念する代表作の一つという気でいる。なによりも、私でなければ誰にも書けないまでに性に逼って表現した、書いたと思っている。
つづく今度の作は、作も、書いてよかった、書けて善かったと思っていて、お届けするのに気は弾んでいる。扉裏に掲げた 河上徹太郎先生、野呂芳男博士の言に背いていないと思っている。作者の私自身が最初の読者となり、出来本を真っ先に手に、聖路加病院へ出かけたい。
まだ八時半だが、もう休養してしまう。
2019 11/24 216

 

* 起床8:00 血圧 146-65 (72)  血糖値 94 体重 62.1kg
2019 11/25 216

 

* 「湖の本137 花方」 届いた。  では、築地(聖路加病院)へ向かう用意を。

* 早めに解放されたので、三笠会館に入って食事した。ステーキ肉を150グラム、しっかり食べたが、以前に二度来た時のように、美味いという実感にはならなかった。
「花方」は気持ちよく「一」を読みきった、が、この程度でも、「難しい」と謂われるのだろうか。
「語る」「もの語る」という「方法」にわたしは「好奇心」というほどの好みを、いまも持っていて、前作でも、今度の作でも「語る」楽しみでハナシを運んでいる。そういう「作」がこれまでにも多かったろうか、そうでもないと思うが。

* 出先で携帯電話、取り出してみたら、マックロ。「充電」出来てなかったらしい。充電すると「何時間」程度もつのかも分からない。機械かわたしか、どっちが頼りないのか。
2019 11/25 216

* さ、発送へ姿勢を転じたい、が、明日夕方にはまた歯医者へ通わねばならない。やれやれ。

* 十時近くまで荷造り仕事を。まだまだ些少。明日へ譲る。「オクニョ」「ホ・ジュン」などを言葉だけ聴きながらの手仕事。疲れた。
2019 11/25 216

* 起床8:00 血圧 146-65 (72)  血糖値 94 体重 62.1kg
2019 11/26 216

* 朝一番から三時まで フル回転で発送作業をつづけ、歯医者へ。どういう次第やら実に簡単に今日はここまでと解放されたのが四時すこし過ぎ。帰っても食 い物はなし、どの見せも五時開店で、閉口。街へも出る気なく、保谷へ帰っても何もないので、江古田駅の界隈を仕方なくブラブラしていて、小さなタコ焼きの 店で、生まれて初めてタコ焼きなるモノをビールで。六つの二つをのこして、ようやく五時になったので、気に入り「魚功」のカウンターで、生牡蛎を八つ、一 合の酒で豪勢なほど多彩な刺身盛り合わせ、満腹し満足した。初めて家へ携帯電話した。ちっちゃい文字が見にくくて困る。
いまの西武線江古田駅は電車の便がよくなく、混んだ各駅停車であちこちで通過待ちしたり追い越されたり、ま、七時過ぎには帰宅し、すぐ発送作業を二時間余、継続。機械の前が冷え冷え。まだ明日一日では送り切れまい。温かく、寝入りたい。
2019 11/26 216

* 起床8:00 血圧 146-65 (72)  血糖値 94 体重 62.1kg
2019 11/27 216

 

* ガクッと疲れて、夕方で、作業の手が止まってしまった。この分では明日いっぱい掛けてしまいそう。紙の本といえども嵩になると石のように重いが、前回 発送までは重さを味わうほどの心地であったが、今回は、荷にした55册分の一箱を持ち上げるのに「重いナ」と感じ、これまでは玄関まで廊下を持ち運ぶのこ とも出来たが、今回は腕車に載せて運んだ。幸い、腰へはまだ来ていないが、歩行、前屈みになりがち。
昨日は、ケイタイの記録によると3000歩ほども歩いていたそうだ。歩くのがいいのだろう、まだ自転車が使える。ご近所の観察では、私、「サッソウ」と自転車で走っているそうだ。曾ては、膝や腰や肩の痛い時期があったのに、今は階段の上がり降りなど、苦にしていない。

* 晩の七時になる。もう少し、階下で、ガンバレルだけ作業してみる。

* と、云いながら、今晩、少しも事がすすまなかった。気が萎え、ガッカリしていたのだ。夕方までに何函に何百といった纏まった数字分の荷造りが出来てい て、それを集荷に任せた時、じつは、加えて、やや半端ながら40册ほども読者分の荷造りが出来ていた、その分を送らぬまま済ませた。
「湖の本」という私の仕事は、一日半日でも早く、一人でも多く、間を明けず読者のみなさんに「作」物を、本を、送り届けたい、観て、読んで頂きたく気を 励ませて出版し、一心に本造り・荷造りをしている。せっかく何百册かの上へ40余人分も用意が出来ていた分を、ついキリのいい数や函にこだわり送りそびれ て、大げさなようだが、グタッと気が萎えた。待って頂いている読者に申し訳ないような気がした。
そこで、気が萎えるのが私の弱さ、気疲れのヘコミだとも思う。明日、また頑張ると今は思っている。

* 少し早いが休息しよう。
2019 11/27 216

* 起床8:00 血圧 125-66 (73)  血糖値 96 体重 62.0kg
2019 11/28 216

* 肩の荷は、ともあれ、おろしたが食は進まない、せっかくの妻の用意にもすこし箸を付ける程度で終えてしまう。空腹ということが無く、腹が、食べよと望まない。
2019 11/28 216

* この四日間は、ほとほと草臥れた、気草臥れであった。一息ついたら、次へとすぐ取り組みたい。
2019 11/28 216

* 起床8:30 血圧 123-63 (73)  血糖値 99 体重 61.8kg
2019 11/29 216

* 夢見がどうしてこうも凄いのか、わたしはもはや下意識で狂い始めているのか。
バグワンへ戻りたいと思う。
美しいものが観たいと思う。この日録の冒頭をかざっている写真のどの一枚も我ながら美しいと思い、美しさを薬用のように心服している日々であるのだが。
もう師走、目前。
美しいものを観たい、せめて目に触れたい。

* 一時半。ぼうッとして機械の前に腰かけ、ときどき寝入っている。
2019 11/29 216

* 芯の疲れは入浴ぐらいでとれず、ともすると眠気に負けている。
2019 11/29 216

* 起床9:15 血圧 137-76 (62)  血糖値 100 体重 61.95kg
2019 11/30 216

* 起床8:20 血圧 125-55 (61)  血糖値 112 体重 62.2kg
2019 12/1 217

 

* 九時。まったくの霞み目で、機械の字がもう拾えない。休まないと。
2019 12/1 217

* 起床7:50 血圧 138-77 (57)  血糖値 98 体重 62.3kg
2019 12/2 217

* ここに「恒平」元年としてあるのは、
今年が、私・恒平の死期をかぞえる最初の年であるという気持ちを示している。先のことは、考えていない。

* 起床7:50 血圧 138-77 (57)  血糖値 98 体重 62.3kg
2019 12/3 217

* 起床7:20 血圧 140-80 (64)  血糖値 96 体重 61.3kg
2019 12/4 217

* 起床7:30 血圧 147-75 (61)  血糖値 94 体重 62.3kg
2019 12/5 217

* 朝なのに、両眼の底から 湧くように疲れが来る。モーツアルトに憩っている。
2019 12/5 217

* 左胸の一点に 刺すように叩いてくる痛みがある。俯せがちに胸が鈍い痛みで重い。

* 歯科へ。下の入れ歯作り直しが出来た。

* 江古田「魚功」で、妻とたっぷり晩食が出来、帰宅。大門未知子「ドクターX」を観る。
2019 12/5 217

* 明日は、散髪を予約。深まり行く歳末、成るまま為すままに、いろいろに。
2019 12/5 217

* 起床7:20 血圧 136-68 (66)  血糖値 87 体重 63.2kg
2019 12/6 217

* 「魚功」の刺身盛り合わせは多彩で、しかもステーキ肉ほどに分厚い。刺身魚の薄いのは興ざめで、魚肉を食うという佳い実感には厚みが何より、むかしの銀座 「きよ田」以来、応えてくれる店に久しく出会えなかった。いま、満足している。生牡蛎も白子なども美味かった。それで体重が増えた。
昨日の歯科の往復、つとめて歩いて、5000歩近かった。歩ける時は歩くように心している。体疲労はカバーできる。心疲労がからだにコビり着かぬようにしたい。
2019 12/6 217

* 今朝、寒い。家には「マ・ア」兄弟がいて、ヤンチャに揺さぶられながら気持ちは穏やかに温かい。嬉しいことだ。
2019 12/6 217

* 起床7:20 血圧 156-73 (59)  血糖値 77 体重 63.2kg
2019 12/7 217

* 起床6:50 血圧 156-73 (59)  血糖値 77 体重 63.2kg
2019 12/8 217

* それにしても、寒い昨夜だった。床の中でからだも手足も冷たかった、部屋はしっかり暖房し続けていたのに。こういう寒い冬が私の誕生日の冬至から年越えの春三月まで続くだろう。寒いのは堪えよう、自然災害のありませぬように願おう。
2019 12/8 217

* 携帯電話は買って貰ったが、どうすればどう使えるか役立つかがテンと分からず、マニュアルの字も機械の指示盤も小さくて読めず見えず。掛けもしないか ら掛かってもこず。自分の電話番号も覚えていない。機械バカは健在。パソコンも、馴染みのしかし満身創痍の超古道具だからカツガツ働いてくれているが、新 品を買っても使いこなせまいと想う。
2019 12/8 217

* 起床7:3 血圧 156-73 (59)  血糖値 97 体重 62.9kg
2019 12/9 217

* 暖房していても 倚子の下半身が冷たく寒い。想えば長年かけてきた小説・物語の仕事が二つ終えたのだから、関連の参考資料を適宜片づけ処分も出来る。 次の小説に手がかりの作が三つほど閉口して動き始めていて、度の一つないし二つにてをかけてゆくかを決め、関連の資料を手近へ集めねばならない。「信じら れない話だが」と書き始めている今度は山と川の物語へ気を入れようかナと思っている。ま、この師走はすこし英気元気を養って過ごしたい、とはいえ、新年早 々にはもう「湖の本」148の発送用意と、「秦 恒平選集」第三二巻めの校正作業が始まる。輻輳しての製作と出版刊行とは、鐵のように重い。

* 思えば去年には、寝室に立ち並んだ二つの背の高い衣裳箪笥、洋服箪笥を、地震での転倒を懼れて、一つは、まるまる私一人の腕力で居間へ運び移し、より重いもう一つは、上下を二つに分け、背丈を低めて横に並べるという「馬鹿力仕事」が独りでやれた。今は、とても無理。

* ところが今は「マ・ア」兄弟に障子を破られ衣服を噛み切られ積み重ねた大事の薬箱などをひっくり返さ れ、仕事部屋へ侵入され、朝ははやくに起こされ、躾どころか さまざまなあとしまつに往生している、可愛くは可愛いのだが。兄弟の意気はぴたり合ってい て、ボケ老人は太刀打ちならない。疲れる一因です。

* 先日 新しく造って入れられた下の入れ歯、ハズして清拭しておいたらちゃんと嵌らなくなって、正しく閉口、いや開いた口が塞がらない。仕方なく新調以前ので「不十分」に間に合わせているが、明日の国立劇場、困るなあ。
2019 12/9 217

* 起床8:3 血圧 156-73 (59)  血糖値 91 体重 62.2kg
2019 12/10 217

* 今日は、私たちの求婚が成って、満62年の記念日。
国立劇場で、高麗屋父子らの歌舞伎芝居を楽しむ。白鸚の「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」 幸四郎の「蝙蝠の安さん」。高麗屋お心入れの二列目角席、演技と真向かえる絶好席で十二分に心底楽しめた。感想は、明日に。幸四郎夫人とも夫婦それぞれに快く歓談、先月の幸四郎・染五郎父子上々出来の「連獅子」のことなど。午食は食道で、多彩な和食、たべきれなかった。

* 三宅坂から皇居に沿うて、日比谷公園越えにホテルに入り、クラブで安息。お祝いにと、シャンパン、美味いワインを振る舞われ、感謝。エスカルゴや、すこぶる美味のサーモンなどでスコッチを楽しむ。
日比谷から、タクシーで帰宅。「マ・ア」は大喜び。

* まる一日の外出でやはり疲れる。歯も傷む。ゆっくりやすみたい。実を云うと、昨夜中、右鼻から濃くてかなりの鼻血が出ておどろいた。
2019 12/10 217

* 起床8:30 血圧 156-73 (59)  血糖値 91 体重 63.1kg
2019 12/11 217

* 昨日の国立劇場は、開幕、父白鸚(九代松本幸四郎)の「近江源氏先陣館 盛綱陣屋」で、しどころの多い見映えの作劇に可憐・聡明の子役高綱一子小太郎 の「先代萩」に匹敵の子方芝居があり、松本幸一郎君 みごとでした。いつも抜群の熊谷や松王丸をみせる白鸚にひしと嵌った盛綱は実に物静かに毅い知情意の 表現で耀いた。弥十郎の和田兵衛は、なにとしても左団次が懐かしい。楽善の北条時政も衰えが気の毒だった。盛綱、小太郎に匹敵して、出のところでオーっと 息を呑ませたのは盛綱母、小太郎祖母の微妙。ことに出のところで盛綱の願いを聴くところの文字通り微妙なのを美しく演じて観せた。注進の幸四郎が冴え冴え と若い武士の器量をみせ、猿弥の息吹藤太もまさにお手の物の嵌り役を楽しませた。魁春の高綱妻・小次郎母も、高麗蔵の盛綱妻も、ま、尋常。十分楽しめた、 一つには第二列、花道寄り中央角席は、文字通りの「芝居場」ぜっこえの観客席で、盛綱と息づかいも目配りもまるでこっちも共演しているほどの。観劇の醍醐 味を存分に御馳走になった。感謝します。

* 二階の食堂ですこし贅沢に昼食して。

* 次はあのチャブリンの名作「街の灯」を下敷きに脚色の、実に久々の再演「蝙蝠の安さん」を幸四郎がたいした戯態のたしかさで、不思議に胸へ来るいい喜 劇歌舞伎を創ってくれた。その意欲と意気込み通りの出来に、素直に讃辞を夫人に言い置いて来れた。一つには二列下手中より角席という席が嬉しかった。
十代幸四郎、襲名して颯爽と真摯に舞い踊り演じて、美しいいい役者でり。子の市川染五郎があの成長ぶりだもの、当然か。

* 十二分楽しんで、なんと、タクシーの拾えぬまま帝国ホテルまで日比谷公園を通り抜けて歩いたのには、夫婦して吃驚。
クラブで、満六十二年昔のプロポーズを、シャンペンと本場の赤ワインで祝ってもらい乾杯、食事もして、タクシーで帰宅。
ま、不足を言えば、肝心の新調下の入れ歯がハズしたら入らず、以前のを代用して済ませたことと、歯茎が痛く、ロキソニンを遣って凌ぐしかなかったこと、です。
2019 12/11 217

* 多用できないがロキソニンの鎮痛効果は速い。
2019 12/11 217

* 起床7:50 血圧 144-74 (59)  血糖値 113 体重 62.5kg
2019 12/12 217

* 私たちは生涯クルマという文明の利器の所有とは無縁で過ごす。だからアオラレた災難は知らないが、映像でみているかぎり低劣に悪質な暴行と見える。珍しく厳罰方向へ立法が用意されているとか、朝のテレビで聞いた。これは、よかった。

* あいかわらず携帯電話は、全然役立てられない。電話するという「ボーケン」も、家・妻・息子・義妹、地元病院、聖路加病院、歯科医の電話番号を妻が打 ち込んでくれただけ。何歩歩いたかだけは自然と破壊が知らせてくれる。そのために、ポケットに入れたまま、まだ全然使えていない。自分の番号だけは判じ文 にして覚えたつもりだが、此処へ開かすわけには行かない。やれやれ。
機械が勝手にチカッと光ったりする。何じゃこれは。明けると「お知らせ有り」などとあるが、わたしは、パソコンでの20余年の独り決めで、知らないメー ルや通知やメッセージは全く無視して即消去してきたように、携帯電話での「お知らせ」にも一切振り向かないと決めている。
2019 12/12 217

* 昼前から「心医 ホ・ジュン」の煮詰まって行くらしいのを観、どんな昼食をしたか忘れ、スティーブ・マックイーンのドタバタと疲れる映画を観てしま い、追いかけて、ウオッカのための純水めあてに北極へ「氷山」を捕捉に行く氷ハンター船の御苦労を観ていて、まるまる疲れ果てた。これも休息の撃ちと。昨 夜遅くのロキソニンいらい今朝からは歯痛和らいではいるがいつどうなるか分からない。やがて早い夕方の四時になるが、からだを横にしたい気分。
2019 12/12 217

* 明朝早々に江古田の歯科へ呼ばれている。痛い歯は困るし、いればの差し替えが順調に出来ぬのでは困惑する。江古田二丁目まで乗り物三つを乗り換えて行くのが苦痛になっている。今晩はもう休んで明日朝に備えねば。
2019 12/12 217

* 起床7:00 血圧 144-74 (59)  血糖値 113 体重 61.9kg
2019 12/13 217

* 10:15までに来るようにとの厳命と聞き、はやくに出たが早すぎるかと、江古田から40分の道を歩いて10時に歯科医院へ入った。また下前歯一本を 抜かれ、麻酔され、そのお蔭で新造の下前入れ歯がおさまった。昼前に解放された。いささかアタマに来て、江古田へ戻ると「中華家族」の酢豚で強烈なマオタ イとフェンチューをダブルで一杯ずつやり、帰ってきた。家でも日本酒を些か。
腰かけたまま寝入っていた。

* 機械の前で、暖房していても、寒いほど。
2019 12/13 217

* 幸い、歯の痛みが静まっている。

* 煙草とは生涯無縁で終える。
で、一服というとき私は、ツイ手近な本をつかむ。
今も、ひょいと手の届くところに置いた古い(これも秦の祖父鶴吉遺品の)小さい掌大の和綴じ本を手にした、題簽に、『新編熟語字典』とあり、イロハ順 に、四百数十頁に亘り四段組みで無数の熟語が、意訳付き列挙してある。明治三十九年十一月十日に大阪の精華堂書店から頒価の記載もなく出ている。百年を優 に越して古色のいたみもあるが、今日の文庫本より小ぢんまりと軽い和紙の、手に柔らかな感触はまことに快い。
ぱっと開いた最初に、「桑」の熟語が三つ目に附いた。
「桑門」 これは「ヨステヒトナリ」とあり、坊さんのことと識っている、が、
「桑梓(サウシン)」が 「フルサトノコト」とは識らなかった。「桑楡(サウユ)」が 「ヒノカクルルトコロヲイフ」とも識らなかった。
熟語をたくさん嚢中に蓄えおくことは 昔の知識人には最重要な勉強であったやも知れぬ。日本語の文章に漢語のメリハリをつけてちょいと威張るには「熟語」は最適の見栄えでありえたろうから。
2019 12/13 217

* 起床8:30 血圧 157-85 (55)  血糖値 97 体重 63.0kg
2019 12/14 217

* 歯はなんとか沈静。昨日一本抜けた歯の陥没孔が入れ歯のかげで、ポカっと開いている。成るようになる。

* 膝下が冷え、寒い。目は 朦朧としている。

* 携帯電話で初めて、ロサンゼルスの池宮さんと用もなく歓談。
入れ歯沢山の口では、口八丁のなんとか女史のように、話しづらかった。
2019 12/14 217

* 起床8:00 血圧 134-62 (80)  血糖値 96 体重 62.8kg
2019 12/15 217

 

* 変な と、云うておくしかない夢を見た。なぜ、こうだろう。夢のなかでもう狂っているのか。

* 午后を通して、夕暮れまで寝ていた。

* だんだん、無かったようなミステークが増えて行く。よく用心して生き延びるしかなく。

* 後始末のようなことばかりしていた一日で。しかし、後始末は省けない要事であって。
2019 12/15 217

* 起床8:40 血圧 144-61 (69)  血糖値 96 体重 63.1kg
2019 12/16 217

* 起床8:00 血圧 143-70 (62)  血糖値 96 体重 62.8kg
2019 12/17 217

* 起床9:20 血圧 138-71 (55)  血糖値 106 体重 62.5kg
2019 12/18 217

* もう新春の歌舞伎座 夜の部絶好の座席券が届いた。約束の歯医者への途中で、支払いも済ませた。
帰りの江古田VIVOでロゼワインを二杯のみ、保谷駅のスーパーで買い物して帰ってきた。

* モーツアルトのピアノ協奏曲 21 23番を 心地穏やかに聴いている。目は霞みきって、おはなしにならない。
2019 12/18 217

* 起床9:20 血圧 138-71 (55)  血糖値 106 体重 62.5kg
2019 12/19 217

* 父のちがう一等上の兄の孫娘がうんと以前に東京まで会いに来てくれたことがあった。それきりだったが、結婚したという葉書が来ていて、携帯番号が出ていたので掛けてみたらかかったので驚いた。驚いててはハナシにならないが。元気そうで、子供ももう二人と。
次いで、階下の抽斗でなにやら紐をみつけたので、手に滑り落ちやすい携帯になんとか付けたいと。フツーならぜったい出来ない人が、奇蹟のように、ややこしい一つの小さな穴を利してうまく取り付けられたから、大雨になりそうだ。妻は髪結さん。帰ってきたら自慢できる。
2019 12/19 217

* 韓流連続の「心医 ホ・ジュン」も 「剣客商売」も 「ドクターX 大門未知子」終回も、それぞれ楽しんだ。「NDIS」は明日に。廣島県北の、むかしの東横短大生が送ってくれた地産ワインを、「大門未知子」を観ながら美味しく戴いた。

* さ、床に入って今度はお休み前の読書です、七册ほど。
2019 12/19 217

* 起床8:40 血圧 150-71 (54)  血糖値 107 体重 63.0kg
2019 12/20 217

* 八十三歳の夜を満たして、更けゆく。ガクッと頸も肩も落ちて疲れている。九時二十分。もう疲れて持たない。十時前だが寝よう。
2019 12/20 217

* 十二月二十一日 土 満八十四歳になりました。

* 起床8:40 血圧 148-72 (59)  血糖値 102 体重 63.2kg
2019 12/21 217

* 十五年半もの昔ばなしだが、齢重ね、老いの坂に杖つきながら、思いは呆気ないほど変わりも伸びもしていない。よくもあしくも「やれやれ」の誕生日です。
朝から、久しく久しい読者からの お祝いを戴きました。

☆ お誕生日 おめでとうございます。
甘いものはお体によくないかとな…と思いながら、 でも ひと粒くらいは召上がっていただけたら うれしいです。
どうぞ よい1日をお過ごし下さいませ。   鎌倉   橋本静一 美代子

* フランスのかな「プラリネ」という(=なんにも知らなくて。御免=)チョコレートの美しいリボンの包み。ありがとうございます。

* けふの日をけう(稀有)のふしぎとよろこびて
数重ねきし歳をことほぐ  恒平
2019 12/21 217

* 京の「華」さんに祝って貰った名酒「京生粋」で妻と乾杯し、昼の「赤御飯」を祝い、食後には鎌倉の橋本さん御夫妻からのチョコレートをいただいて、美味しさに感嘆、感謝。コーヒーも美味く。

* 晩には、建日子が、夕食を一緒にしに来てくれる。有元さんに戴いた「越乃寒梅」、光明寺さんに頂戴の珍しい「甕覗」の杓酒を、こころよく楽しませて頂く。愛らしい「マ・ア」もたちも食膳のまわりを賑わわせてくれるでしょう。

* 建日子が、いろんなお土産持参で、誕生日祝いに来てくれ、夕食をともに。
いろいろ話し合えて、嬉しく、心づよく。また来て欲しい。
娘・朝日子(改名して押村宙枝とか)のいないのは、寂しいかぎり。もう還暦の大大人のはず、心穏やかに日々幸せでいるのだろうか。
祖父母として逢うこともならない孫の押村みゆ希は、三十歳近いはず、もう結婚しただろ うか、母親にも成っているのだろうか。私たちの血筋を嗣いでいってくれるのは、この孫しかいないのに道で出会っても分からないだろう、最後に顔を見たのは姉の、亡きやす香と雛祭りをしていった陽気な高校生だったが。

* 藤澤の妹が 携帯へ 祝いの電話を呉れた。ありがとう。携帯の初体験ながら、機械のあけようも聴きとりようも頭に入ってなく、手間取った。妻に助けてもらった。とてもあんな工合に永く電話ではよう話さない。慣れるだろうか。
2019 12/21 217

* 起床8:00 血圧 151-79 (71)  血糖値 91 体重 62.85kg
2019 12/22 217

* 倚子で機械に向いていると、腰したが暖房していても冷え込む。

* 八十四歳(やそよとし)堆(つ)みに堆みにし身の垢に
なに刻まんな恥を上塗って     恒平
2019 12/22 217

* 何故とも知れずガクッと疲れている。疲れるのはしようがない、どう、やり過ごせるかだ。食はややすすみ体重も頬のそげた感じもやや戻っているが、疲労 感が視力の弱りから来る限り、それでもこの仕事をしている限り、有効に手が打てない。せいぜい濡れた綿で目を拭う程度。点眼薬の効果はごく短い。それでも 寝床で昔の電球スタンドで本を読むと、うそのように、ラク。機械から出るライトは、よほどいけないらしい。
2019 12/22 217

* 起床8:20 血圧 134-69 (74)  血糖値 87 体重 62.35kg
2019 12/23 217

* 「夜更けまでの音楽」と売り込みのジャズ・バラーズCD10枚を建日子が呉れていたのを、一枚目の「バイバイ ブラックバード」から鳴らしている、静 かで、しみじみ。
ジャズを聴いたり とうとう携帯電話を持ったり、わたしも動いている。蠢いているというべきか。   ま、携帯電話は 外出時の家族連絡用、緊急病 院用につかうのが、私に精一杯。実感で、なめらかに話せない。

* 今宵はもう二時間余も 二階で、六畳一間になにもかも積んで重ね並べたゴチャゴチャのまん中で、建日子の呉れたジャズ・バラードに心身をあずけ、ナー ンにもせずただやすんでいる。こんな時間は絶えて無かったこと。このわたし自身の体温で温めたような狭い部屋が好きなんだと、しんみり、納得。
階下へ降りると、キッチンには『選集32』一冊分600頁もの初校ゲラが手つかずで積まれ、「湖の本148」一冊の再校ゲラが、早く早くと待っている。いいんだ、この暮れはゆっくりしたい、と。
しかし、新しい創作の方が、チクチクと針で尻を突くように催促してくる。これは放っておけんのです。
やすむ。今晩は何が何でもやすみます。
2019 12/23 217

* 起床8:15 血圧 128-68 (91)  血糖値102 体重 62.65kg
2019 12/24 217

* 駅の 西友まで買い物にゆき クリスマス・イヴとはちがうが、たっぷり刺身など買ってきてくれ、夕飯を、蛤汁と、酒とビールとで心地良くすませた。世界中が穏やかな年の瀬であってと願う。
2019 12/24 217

* 天野敬子さん ビックリの、甘い美味い吊し柿をたくさん下さる。妻は歓声、私も引き込まれて一つ、堪能。ありがとう存じます。

* 能の梅若万三郎さん、雅に見映えの佳い洋菓子を下さる。
京・神宮道の星野画廊さんから、軽妙な京味横溢、永年馴染み惹かれてきた煎餅のひと缶 戴く。
感謝感謝。

* 時代も嶮しい時代で貧しく飢えて育ったからか、人間の根もいやしいのだけれど、賑やかに頂戴物があると小学生中学生のように嬉しがる。笑われ窘められているのだが。人さまと顔合わせて賑わうという日々でなく、心寂しくいるのかも。

* よく働いた、疲れた。九時半だが、階下へ。もう、「マ・ア」たちと、やすみたい。
2019 12/24 217

* 起床8:15 血圧 139-69 (58)  血糖値96 体重 62.7kg
2019 12/25 217

* 歳末の回収に故紙の括り荷を沢山出す。
2019 12/25 217

* ほっこりと昼寝、機械、例の不調。建日子 言を尽くしてぼろぼろのぼろ機械で「危ない」と言うていたが、なんとか、なんとかはなってきた。ぼろ慣れと いうもの言いは聞かないが有りそうに信じてきた。慣れ愛という表現も無くはないと此の機械を愛している、聴いているか、古古機械よ。

* 京都府文化賞受賞者らを来賓に例年の府主催新年会の招待が来たが、まず、今回も行けるという実感がない。頼めば宿予約は斡旋してくれるので、好機ではあるのだが、二月六日午前に授賞式、午后交流親睦会、酷寒の京都。一月十日までに返事をとある。夢だけ見るか。
2019 12/25 217

* 起床8:15 血圧 136-75 (61)  血糖値107 体重 62.65kg
2019 12/26 217

 

* 原善君 携帯へ電話くれる、なかなかうまいことスット「受信」へ至らず、モタモタした。会いたいと、わたしも思うがそう元気でなく、その時々の体調と よく相談の上で着替えしたり履き物を考えたりしなくてはならない。じっとしてれば若い人なりにアタマも働いてくれている気でいるが、動くとなると老耄との 安全な相談が欠かせなくて。
昔のように来客をスイと家にあがってもらいもてなせるといいが、建日子の一人ですらどうどこに坐らせるかを考えるような物置同然の家になっている。「マ・ア」たちの障害物運動会にはもってこいなのだが。
2019 12/26 217

* 海をくぐってきたので、今度は山や川を探訪したいと願っているが、出向く体力はない。魔法使うしかないか。

* 十時半を回って行く。そろそろ休憩。
2019 12/26 217

* 起床8:15 血圧 141-79 (66)  血糖値98 体重 62.75kg
2019 12/27 217

* 義妹の贈ってくれた、なんと謂うか「頸の輪」でほかほかと暖かい。ひところ、この機械部屋に暖房も無かったころの痺れるような寒さだったことを、ウソのように思い出しかねている。

* 夕方になって 台所流しの排水が詰まり、我々の手に負えず、業者にきてもらい、改善と復旧やっと成る。もの凄い汚れ詰まりが戸外にまで、と。肝が冷える。こういうことが水使いの「暮らし」には時ならずしかも必ず起きるのだ、用心を欠いていると。賢くありたいもの。

* 手ひどく疲れた。幸いか、ひところよりは食の嵩が増えている。体調のほんとのところはよく分からないが、毎日毎日を迎えて行くだけのこと。
2019 12/27 217

* 起床8:00 血圧 141-79 (66)  血糖値105 体重 63.2kg
2019 12/28 217

* 起床8:00 血圧 134-71 (70)  血糖値100 体重 61.85kg
2019 12/29 217

* 起床8:15 血圧 146-73 (60)  血糖値99 体重 62.4kg
2019 12/30 217

* 恒平元年(二〇一九)十二月三十一日 月  大晦日

* 起床8:00 血圧 146-74 (52)  血糖値84 体重 63.2kg
2019 12/31 217

 

* 入浴、無精髭をあたる。妻の心入れの蟹で建日子の呉れた岐阜の美味い酒を。自筆年譜を、建日子誕生から太宰賞授賞式の日まで克明に読みこみ、校正。
往時、渺茫の思いのまま、まだこれからとも思う。

* 十時半、風が鳴っている。ジャズを聴いている。

* 心静かに新年、恒平二年を迎えよう。トクベツの感懐もない。静かに靜かにと願うだけ。
誰も誰も、心も身も健康でと祈る。
新年を迎えて鳴りわたね京の除夜の鐘 聴きたいなあ。
2019 12/31 217

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