ぜんぶ秦恒平文学の話

食べて飲んで 2022年

* 賀正。東村山の写真家、近藤聰さん、元旦早々に東村山の地酒一升をお年玉のように下さる。
2022 1/1

* 野沢利江さんお心入れの鴨鍋の美味をふたりで楽しみ、味わい、ご馳走様。ほっこりと温まりました。ありがとう。
2022 1/1

* なんだか充実の元日、二日で、それなりに「疲れ」もしたけれど、満ち足りた。美味いお酒も、大晦日、元日二日の三日で一升瓶を明けたのは、ま、適量であったよ。よしよし。
2022 1/2

* つつがなく三が日のお雑煮を美味しく祝った。海(削り鰹) 山(小芋) 里(大根)を餅に添え、京の白味噌雑煮にして祝うのが久しい秦家の習い。これを建日子が大好きで、よくお代わりしている。建日子には有り難い嬉しい「母の味」なのだろう。
2022 1/3

* 四日午の「焼き餅」雑煮もめでたく戴いた。年賀状もなお數増して届いた。

* 一日、何という何もせす過ごしていた気がする、夕食後に、歴史的に編集したショパンコンクールでの名だたる演奏を聴きながら、地酒「東村山」にも酔うて卓に伏し、寝入っていた。もうすぐ八時になる。
2022 1/4

* これは、歳末来ほぼ三合強、三日で一升程度の美味しいお酒に身を任せての、ま、健康な酩酊なのだろう。食べても居る。体重も増えている。
八時半。今夜はもえ機械クンに一礼して階下に落ち着く。寝てしまうか、寝入る前に決まりの本八冊を読むか。半分寝入っています、もう。
2022 1/4

* ご近所の大山産、わたしの部屋の電灯をみて、勉強中なんだと、玄関まで、ぎんなんを沢山添えて好物の紹興酒を届けて下さったと。感謝感謝。
2022 1/13

* 夕食の僅かなワインに酔い、機械の前へ来て、寝入っていた。ソファへ腰を落とし、手近の小さな漢詩選を読んでいた。今今に謂う「詩」は私にはおおかた味わいにくいのに漢詩には時に胸打たれる。
道徳は天訓を承け   盬梅は眞宰に寄す
羞づ監撫の術無きを  安んぞ能く四海に臨まん   大友皇子
天智天皇の悲運の皇子、弘文天皇として叔父天武天皇に巻頭へ逐われたが、天子の「述懐」と謂うに足る。当節の政治家に噛んで含めてやりたい。
2022 1/23

* 仕掛かりの創作を先へ先へとしかと顧みながら今日も進めていた。歯は痛く、肩も背も痛く、酒も切れて、食欲が無い。重りのように疲労を頸に巻いている。
2022 1/24

* このところ ずーっと私の方が早起き、それもやや過ぎて早い。キッチンを瓦斯と暖房で温めて茶を煮る。茶は私の好きな、井口哲郎さんにいつも戴いている、加賀棒茶、これが朝の生気を呉れる。有り難し。
2021 1/31

* 感染の蔓延、猖獗は度を増している。妻ともはなしだが、私は、われわれはとうに早くに感染しているモノと自覚の上で万全を期して、検査を受けて引用を強いて決するよりも、相成る限りの事故対症に知恵を用いようと。
私は、喉の、熱の、痛みの、鼻汁の、倦怠の、といった在来経験豊富な状況には、何の躊躇もなく、売薬ながら、喉、咳、発熱専用薬、風邪薬、龍角散のようなのど薬、を適宜と即座とに用意して即、服用している。 加えて、酒もビールもウイスキーも、日本茶も薬用と信頼して日々に愛用している。そして指先を洗い続け、マスクも、寝ている間も外さない。ごく近所への外出にも手にはビニールの手袋をし、帰れば即、棄てている。すべて、自分は既に感染しているかも知れないが、断乎として自宅で対応して、間違っても入院して家庭の破産には向かわないと。
自分は感染していないという過信よりも、すでに感染しているかもしれないという予測に即して日々の暮らしを護ることに留意している。正しい用意だと考えている。
2022 2/3

* 日もまちがえ、今日は九日九日の水曜と覚えていたが。水曜には生協からお酒が少し届く。一週間はとても保たない。イライラすると酒へ遁れたくなる。きのうは台所の料理酒を貰っていた。
2022 2/8

* 起きて、機械へ来て、あれこれして階下へ降りようとして、覚えのある異様な消耗体調に驚いた。血糖値47、危険極まる低血糖、直ぐ白砂糖で対応して、朝食。
このところ朝食は、白餅二つを熱く緩め、砂糖、削り鰹、醤油で食して、あとは宇治か静岡の佳い煎茶と決めている。常用には好きな「加賀の棒茶」が切れたので、この数日は「はこ茶」と謂うのを用いているが、これはさほど美味くない。珈琲、紅茶は、別の機会にしか喫んでいない。時選ばぬ少量ずつの愛飲は、清酒。時折り缶ビールをはさみ、セームスへ行く機会あれば、気軽に口に含める廉いカティサークで洋酒の香を嗅いでいる。
食欲は極度にうすく、無いに等しく、いわゆる米の飯での食事は、していないようなもの。極端に、煮ても焼いても魚は昔から苦手で、鰊蕎麦や鱈の鍋ぐらいか、ただし寿司刺身だけは旨く、これは頼めば配達してくれる。久しいコロナ蟄居で買いに出ないので、生協の配達物以外、まともな肉にお目にかかっていない。
野菜。青い野菜は子供の頃から、母に口へねじこまれるほど、大の苦手。それでも、卵や薄揚げで和えたきゃべつ、玉葱、葱、もやしなどはむしろ好きで、丹波への疎開暮らしで覚えた椎茸は好物、松茸は大好き。豆類はまあまあ。
絶ッ対にダメなのは、煮た茄子。漬け物の茄子は大好き。かぼちゃはヘキエキ。
こんな次第で、妻にはお気の毒な日々の食卓なのであります。
2022 2/12

* 少量の酒類で寝入ってしまうようになった。それとわかれば、それでよい。
2022 2/15

* 早起きし、いつものように暖房し、ガスで湯と茶を沸かし、その前に体重を量り、そのアトで血糖値と血圧を測る。他へ者の残りを温め、猪口に数杯の清酒で独り朝食する。「マ・ア」の朝食は八時と決まっているので、妻は、それまでは寝かせておく。こんな早朝にはつとめて海外ニューズを聞いておく。西欧もアジアも昏迷に喘いでいる。
2022 2/18

* 早く起きた。今今の体調では、午前を永く用いるのが佳いか、と。キッチンをガスなどで温め、湯・茶をたてながら血糖値など測り、着替えし、服用の夥しい数の錠剤等を揃え、熱い茶に好きな梅干しや紫蘇を含ませて呑む、清酒も、一勺猪口に、一献。朝食は、妻が起き「マ・ア」が食事時間の八時に、階下へ降りてとる。私の希望で、だいたい、白い丸餅を二つ、白味噌或いは鰹出汁で煮て食するのが、決まりのよう。
2022 2/19

* 元気と謂える体調ではない。少し酒を入れると、そのまま、椅子の儘、寝潰れている。目覚めも宜しくない。
2022 2/24

* 村上開新堂さん の 何度頂いても見事に美しく豊富に詰め合わされた上等のクッキーを大きな一缶で頂戴した。まるで美術品。感謝感謝
2022 3/1

○ 俵屋吉富の 雛菓子の彼に美味しいことは。機械のそばへ戴いて、お茶も用意して疲れを癒やしている。美味い糖分は力に成る、まこと。
2022 3/5

* 聖路加。検査と受診。更科そばで 牡蠣揚げ 蕎麦 桜鯛刺身と酒。

* 電車、ひばりヶ丘まで乗り越す。 疲労の極。
2022 3/7

* ひとり早起きして、茶を沸かし、僅かな残り物で朝食し、酒は払底料理酒を盗んで数勺、テレビで何はともあれウクライナでのロシア侵攻の暴状を見聞く。
2022 3/9

* 妻と散歩かたがた、郵便局から、頼まれていた藁谷敏晴さんに『親指のマリア』など、また読書家と聞く丸山宏司くんのお嬢ちゃんに文庫本など、送る。日和り明るくもう寒くなく、梅、桃、水仙、早咲きの桜など目も楽しみ、近くのローソンで米の美味いと以前に感じた握り飯など買い、ゆゆると帰ってきた。

* 明日はまた聖路加へ。遠い。人出とも行き交いたくなく、折角出るのだとも思う。明日済めば聖路加は両科とも六月になろう。コロナ禍の安心な鎮静をひたに願う。

* 郵便やメール等々への謝辞はこの際失礼させて貰い、一気に、もう仕掛かりの次の創作へ踏み入りたい。  と、謂いながら、ローソンで手に入れたスコッチに凭れこんで、五時過ぎまで寝入っていた。体が固まって、頸や背が痛む。
2022 3/10

* 本に読み疲れたら寝入った。熟睡したとも出来なかったとも分からない。独り六時過ぎに起き、いつものように茶を淹れる、昔から秦家の風だ、私は朝一番の熱い茶が好き、ほうじ茶で無く番茶、時に佳い煎茶がうれしい。今朝は煎茶にした。なにも食べず、いつもの服薬分は服した。血圧のことは分からない。血糖値は正常。
2022 3/18

* 駅ピアノを楽しみながら朝の番茶を喫。昨今では、最良の時間か。
2022 3/26

* 要再校を戻し、追加の入稿分を送って、この数日の悪戦苦闘を抜け出た。妻は定期の受診に近くの病院へ、わたしは 帰りにセイムスへ寄り、廉い洋酒を買って帰り、妻の帰宅後にしたたかに独り寝入って、午后三時。よほど気重いのが安まったか。さて手を休めていた、それも余儀ないことだった創作の方へ立ち帰る。
2022 3/28

* 手指十本の指先ヵ゛じんじん鳴るように痺れている。寝が足りなかったか、一時まで本を読み続け、夜中手洗いに二度おき、六時二十分には床を出た。すくなくも「七時間睡眠」を護らないと疲労が溜まる。その上に働いてくれる歯が上も下も大半無く、食欲払底に輪を掛ける。まさしく看板通りに「読み・書き・読書」だけで生活している。結構なこととも感謝して好いのだが。
2022 3/30

* 尾張の鳶、京の鰊蕎麦や阿闍梨餅など いろいろに沢山送って頂きました。よく食して、栄養失調を脱せよと。ありがとう、感謝感謝。
2022 4/3

* 朝、赤飯で祝い、 晩はワインで海老、貝、蟹を食しながら、谷崎先生の名作市川崑監督の『細雪』を岸惠子、佐久間良子、吉永小百合ら豪華版で、松子奥さんもしみじみ懐かしく、なにもかも懐かしく、堪能した。
昭和十三年の頃を描いていて、時代は未曾有の戦時へ傾いて行く寂しさと切なさを見事に描き尽くしていた。同じ大阪ものでも、『暖簾』などとは根から視野が変わっている。吾々にはあまりに縁の遠い豪奢なくらしだが,余計に時節の傾きが胸に迫る。
2022 4/5

* 石川・能美の井口哲郎さん、特製芳醇の蜂蜜を五合の余も入る瓶で送って下さる。何度も頂いて、私には欠かせない美味い健康食。有難うございます。お元気でご無事にと、切にいつも祈ります。
ああ、久しい親交だなあ。そういう方々が全国に、有り難い極みと思います。
2022 4/10

* 「湖の本 157」進行のための要初校・要再校等の郵便物を送り、能美市の井口哲郎さんへもお便りした。投函の序でに近くのローソンでちっちゃな洋酒、いろんな握り飯、三個、卵サンドイッチ、丼どん兵衛、乾電池、妻へのリポビタン等々、買って帰った.庶民感覚の気任せの買い物を気まぐれで楽しんだか。校正往来をひとまず遂げた気軽さで。

* 昨夜は。九大今西祐一郎名誉教授から「枕草子」読みに関わり頂いていたお手紙への返信のまに夜更けていた。床に就いて更に『ファウスト』『水滸伝』『参考源平盛衰記』を読み耽って、二時過ぎて寝た。目覚めたら七時。明るい夜明けがすっかり早くなった。食うや食わずの朝食して、自転車でポストへ、そしてローソンへ。
2022 4/11

* 亡き橋田二朗先生のお嬢さん有子さんから、柔らかな、京の初筍を頂戴。さっそく若布と煮たり、出汁の利いた筍飯に炊いたり、美味しくご馳走になった。食が進んだ、ありがたこと。
2022 4/16

* 朝の煎茶が佳い。食べたいとは思わない。 いま必要なのは脚力を失わぬこと。

* 投函などの用事無しに 好天下 自転車で走ってみた。脚を使わねば自新車は走らない。歩くよりどうかは計り知れないが脚力抜きに自転車では走れないが、乗れるという自信はあった。絶好の好天にも誘われた。まずは小学校の西へゆっくりまわった、記憶に無い鬱蒼の森があった。西武線へまで南行して、アネア獣医院まで戻って、そこからバス道をを東向く、シャトレーゼ向かい坂を北向、福泉寺のさきで西へ向いて、もと獣医院の前をぬけて、天神社てまえ、何十年来、気に掛けながら入ったことの無い中華料理の店で、自転車を置いて初めて店の扉を押した。存外な、意外なほど清潔に明るい店内なのに喫驚好感した。食べられるとは思えず、ラーメンも炒飯も半分ずつ残したが、好感を持って店を出た。優に五十年は店の前を通って気に掛けながら、ほんうに初見参だった。腹を空かせておいて今後を楽しみたいような中華料理店であったのは、京の自転車走の佳い収穫だった。下保谷では食べられる店が久しく久しく見つからないで居た。
脚力は、まずまず相応に未だ温存していると自信が持てた。
それでも、帰って、小一時間の余も寝入ってた。
2022 4/25

* 和佳奈の寿司、そして妻と、オードリイ・ヘプバーン、ヘンリイ・フォンダの映画「戦争と平和」を、じっくり楽しんだ。
2022 5/8

* 朝のワインでか、朝食後に寝入っていた。もう夕方か、湯を遣おうかと床を出たら、まだ午前十時半、びっくりした。
2022 5/16

* 食べたくない、のには妻が困り私自身も困惑している。秦の父は炊きたての白い飯が「美味い」「美味い」白飯だけもよく食べた。米そのものに差があるのかとも想うが私自身の口中衛生が宜しくないのだ。
2022 5/24

* 食べないでの三日に及んだ力仕事で、疲労は極、体重は2キロも減った。腹は頼りなく、目は疲れ切っている。こんな日々を続ければ自滅しそう

* 尾張の鳶  京都から、鰊蕎麦をたっぷり、それに吉富の和菓子を二種送って来てくれました。ありがとう、深謝感謝。 京都へしみじみ、帰りたい。しかし、暮らしの基盤が出来ていないので、私が希望の、書いて、出版して、送ってという仕事は、東京でしか出来ない。
2022 5/25

* 佐々木葉子先生 宇治極上の煎茶の缶を送ってきて下さった。ありがとうございます。
2022 5/28

* 村上開新堂さん 宮中へ納められていると聞くクッキー満杯の一缶を下さる。
同志社美学先輩の半田久さん、これは美味い柔らかいと驚嘆の粽菓子を下さる。
2022 5/29

* 所澤の藤森佐貴子さん 佳い和菓子を副えて、  秋田市の 志立正知さん、中野区の安井恭一さん、大阪府茨木市の石毛直道さん も お手紙を下さる。
山陽小野田市の歌人高崎淳子さん「今年の新茶は美味なのでお送りいたします」と 山口の「防長茶」を贈って下さる。
2022 6/3

* 小口に酒と洋酒とを含んでいたのが利いて、いま、もう参じ近くまで繰り返し寝入っていた。睡ければ寝て良いと、甘やかすのではなく我が身に赦している。なるまま、あるままにむ努べきを務めればよいと。
2022 6/6

* 高校時から私家版期までの筆名「菅原万佐」由来の一人当時樋口万佐子に、たまたま出てきた菅原万佐著『斎王譜』の端本(「斎王譜=慈子」のみを欠いた)を山科へ送ったところ、「宇治上茶」の礼があった。また国民学校いらい大学までの同窓冨松賢三クンから京の名だたる名菓二種を頂戴した。こういう付き合いが今も続けられる身の幸を眞実感謝する。富松君とはごくの近所育ち、貰った手紙には、家から家をつなぐ白川狸橋の名もあらわれ、たちまちに七十数年を翔んで遡れる。
2022 6/11

* 午後一時半を過ぎているが、起床以降大半を寝入っていた気がする。酒に弱くなっているのだと覚悟していたが善い。時、所きらわず落ちるように寝入っている感じ。
2022 6/12

* 祇園甲部御茶屋の女将、弥栄中学の同級生橋本加壽子(かあちゃん)、まことに美味しい塩昆布を二種送って呉れた。(かあちゃん)の発音は「母ちゃん」とはぜんぜんちがう、まさしく祇園町ふう独特で、二倍三倍に懐かしい。それににしても昆布とは斯くも美味いモノかと感嘆。大阪の塩昆布のうま味は野性的男性的に強い。京都のは、「女文化」の優しい妙味。ホッと甘味も添い、鰹の匂いも添っていて。
2022 6/13

* 桜桃忌も間近く、私を文学の世界へ公に呼び入れてくれた太宰治文学賞から五十三年目を迎える。はや仙台の遠藤恵子さん、みごとな桜桃をっぷりと二パックも贈ってきて下さった。しみじみ嬉しく妻と戴く。和歌山の三宅貞雄さんもまみとに珍らかな装いの日本酒を下さり、謹んで端の両氏奈良の前へ祀った。
この歳とも成れば世間から遠のいて寂しい老境を歩んでいてもそれが普通なのかと思われるのに、私は幸せに賑わいも暖かみもあるありがたい老境を賜っている。感謝のほか無い。
2022 6/15

○ 獺祭で祝ってくれて 感謝 ありがとう。
「獺祭」は、詩文を創るのに多くの参考書をひろげならべる意味でもあります 獺が捕った魚たちをひろげ並べるのを、転じて、「祀る 祝う」とみたらしく。我々書き手、創り手には、ま、縁のある「祝い」ごと、謝謝。「獺祭」は最高に美味い酒と思っています。しかも、とびきりを選んで呉れて。感謝。
實は 昨日桜桃忌に届いてて、しかし、そのまま棚に飾っていたのだが、真夜中に、ひそとキッチンへ入り、独りで、静かに荷を開け、勺枡で二杯、じつに美味しく戴きました次第。ありがとう。
今日二十日、カーサンと厚生病院へ。ふたりとも、目下は、しいていえば何かしら弱点も無いわけでないが、ま、「ほぼ健康体」と謂うに同じと。カーサンはやや前かがみになり、トーサンは食べないための、栄養失調と。
ヘトヘトに疲れながらも、必要なら長時間「仕事」をつづけています。ただし視力は衰弱、眼鏡新調が必至、そして上下とも歯の無い有様、何としても二人とも歯科通いしなくては。
心行く 仕事を重ねられるよう。 元気でね。
何としても もう永くはないよ、トーサンは。
建日子として、聞いておきたい、知っておきたい、相談しておきたいこと有れば、早い内に。カーサンの体力不足を、若い助力で、なんとかして支えて遣って欲しい。
2022 6/20

* 能美市の井口哲郎さん、芳醇の蜂蜜を大きな瓶で下さる。こんなに元いつも驚いて頂戴しながら、いつとなく瓶が空いているから有難い。有難うございます。

* maokatn 名酒贈り下される。感謝。おもえば、沖縄の小島での研究暮らしから、北海道へ、そして関東へと。久しいなあ。

* キイを叩く二本の腕の、笹のような細さ。皺皺の手のひら、ジンジンと鳴って痺れる指先。やれやれ。妻は食べてと言う。食べられない、少量で腹が閊える。
2022 6/24

* 梅若万三郎家 ありがたい漬物を下さる。この時節、念入りの漬け物は極く貴重で、飯にも酒にも まことに嬉しい。
筑摩書房とのご縁いらい極親しい元編集者、新鮮な香気にはち切れそうに立派な桃を大きな箱に六顆も戴いた。桃、梨、枇杷、桜桃、西瓜、トマト 子供の頃を想い出しても懐かしい夏の美味。感謝。
紅書房主の菊池洋子さん、いつもながら、選りすぐりの洋菓子を下さる。食の進まない私には、ありがい佳い糖分になります。感謝。
2022 7/5

* 羽生淸さん、京、鶴屋の夏菓子に添えてお手紙を戴く。
2022 7/6

* 下関の大庭碧さん、涼しげな菓子を送って下さる。感謝。
2022 7/6

* あれにもこれにもそれにもと、手を出さねば、向こうで黙ってて呉れないような「仕事」が、きつい手を伸ばして身に逼る。みな、すぐにも先へ先へ運びたいのだが、体調はまことしやかに宜しくない。「書き継ぎたい」と「寝入りたい」とに挟まれ、呻いている。四国の星合さん、大成さんから、特産の小豆島素麺や佳い出汁つき讃岐うどんをたっぷり頂戴した。上にも下にも歯の無い口の奥へ、佳い味の麺類は呑み込まれてくれる。感謝。
2022 7/20

* 京舞の井上八千代さんから、お便りとお志の酒肴として美味最上のお漬け物を戴いた。八千代さんのお宅は、私の育った秦から、西向きにホンの百二、三十メートル、南流して新橋へそそぐ清い白川を跨いだ新門前通りの西之町にある。八千代さんのお父さんは京観世の家元片山九郎右衛門さん、お兄さんが私には大学専攻の先輩、観世流仕手方の片山慶次郎さん、此の八千代さんの初世井上八千代お祖母さんと、秦の、私の叔母茶の宗陽・花の玉月とは、古門前通り元町に校門を開いた市立有済小学校の、はるか昔の同級生だった。私等はみな、その久しい後輩で同窓。祇園甲部の芸妓舞子は一人のこらず井上流京舞を習って「都踊りはよーいやさあ」と花咲かせてきた。日本の文化はほんしつにおいて「女文化」と謂い切るわたくしもまたその土壌に育ってきた、たぶん、今も。
2022 7/26

* 暑いという。猛暑という。それなのにわたしは、寒けがする。熱は測らないが、躰を燃やすエネルギーが、つまり欠損仕切っているのだろう。用意してくれる食べ物の、半分とも、喉を通らない。
2022 8/19

* せいぜい米の飯だけでもと梅で細く海苔巻きにして貰ったりし、心持ち体重かリバウンドしているか。仕事の状況は、ザワザワといろんなものが轡をならべている。こういう状態は落ち着かないもの、うまく抑え静めながらなることから始末を付けて行くしか無い。焦れてはいけない。
2022 8/21

* 持田晴美さん 旅先の会津若松から、地元自慢の美酒一升をドッカーンと贈って下さる。
* 仙台の遠藤恵子さん 仙台自慢の いろいろに像ちして美味い酒肴の蒲鉾をやはりドッサーンと贈って下さる。

* 有難う存じます。
2022 9/13

* 右上腿の痛みは退かない、と歯に苛烈に痛む。もう理由も分からない。横になって読書へ逃げ込むしか無く、それも及ばないまま呻く。何なんだコレは。蟲食われのあくどいのにやられているのか、もっと内的なものか。理由よりも、効果の或る痛み止めが欲しいが塗り・貼りぐすりも呑むロキソニンも効いて呉れない。温めながら撫でさすってばかり。逃げ込むのは、今日の午後までは坪谷善四郎の『明治歴史』前巻。岩倉具視らが薩長藝と組んで「倒幕の密勅」を得るのと将軍慶喜が「大政奉還」の表を呈するのが、図らずも「同日」だった問い歴史の大きなドラマ雅組み上げて行く『明治維新」図の下絵の凄さ、おもしろさ。
それさえも拒もうする心身の痛みと弱り。食べない食べたくないというこの所の悪習が衰弱を加速していて分かっているのに、口へモノが運べない。東京の米は不味い、今日の白飯を不味いと思ったことは無かった。東京の番茶は不味い。京都で日々の番茶をまずいなどと思わなかった。 東京には野菜が無い。京都の野菜は味わいも豊富であった、葱でも玉葱でもキャベツでも芋でも。
2022 9/23

* 村上開新堂の山本道子さん、季節の「杏菓子」を下さる、お手紙も添えて。感謝。 2022 9/28

* 実に不快な、曾て見知らぬよその母子に、わが家を、家庭を、妻をももろとも撹乱占領されてゆく不快に家を出、見知らぬ市街をさまよい歩く夢で、目覚めた。三時半。
そのまま起きてひとりキチンで少し酒を呑み、二階へ来た。
もう一度寝るか、このまま起きてしまうか。何故こうも夢見が悪いか。
2022 10/2

* 往年の弥栄中で理科を習ったいま琵琶湖畔在の佐々木(水谷)葉子先生、美しくも見事な京菓子と甘酒とをお手紙も添えて下さる。有難う存じます。
「尾張の鳶」さんも京都から、見事な鰊の蕎麦を六食ぶん、ほかにも老舗の京菓子などを大きな箱にとりまとめ送って下さる。好物の京南座脇の「鰊蕎麦」で、食足らずのやせ細りに美味い「活」を入れて戴く。ありがとうよ「鳶」さん。
2022 10/11

* 読者の方々、いろいろに頂戴物を送って下さり、なんのご挨拶も私自身ではしていないが、感謝市いたく恐縮もしている。
それでも「作家」に成り立ての頃、当時名高かった「蝦蟇センセイ」のたってのお薦めで東横女子短大の「おしゃべり」講師としてたか一年間だけ務めた時の女學生、卒業後暫くして故郷広島県の山手へ帰ってった、懐かしい吉原知子さん、土地の名産、色美しく皮まで甘いすばらしい大粒なマスカット幾房もを贈ってきて呉れたのは、ひとしお嬉しかった。まことに愛らしいいい気立ての女学生だった、忘れない。あれから50数年になるが、お互い歳のことは思うまいよ。

* 放送局のディレクターで、何度もお世話になり家族ぐるみ親しかった、今は亡い松井さんの奥さん、瀟洒な画家でもある由紀子夫人から、私の極端な「食足らず」を案じたように、、おうと聲も出たほど精撰された「葛湯」をたくさん頂戴した。感謝感謝。
大阪の久しい読者、河野能子さんからも、選りぬきの、いつも、美味軽妙京の名菓「穏池煎餅」を、嬉しくこの程も頂戴している。 ありがとうございます。
2022 10/15

* 此の弱り果てた疲労感は、何から来るか。食べないからか。食べると妙に苦しい。ときに微かにも空腹なのかと感じるのだが、要はシルなら呑めるというアンバイ。
2022 10/16

* あれこれしていて、まだ朝の七時二十分。頂いた「つぶあん 黒糖 虎の助」とある大きめの歯当たり柔らかな包み菓子を、機械前、冷えた茶で「朝飯」に頂いている。
2022 10/17

* 東村山の写真家、近藤聰さんお葉書そしていつもの名酒一升をお送り下さる。時世というのか、フィルムカメラと「全て縁が切れ淋しい毎日」と。「デジタルの印刷写真はいまだになじめない」と。「マリオ・ジャコメッツイ」などに「心奮われていいます」と。
2022 10/27

* 神戸市の信太周先生、例のあれこれと懇切のな手紙を頂戴。美味精到の稲庭うどんも戴いた。恐れ入ります。松原市の岸田準二さん、練馬区の持田晴美さんらも。
2022 11/7

* 信太先生、「稲庭うどん」をたくさん下さる。

* 京都の羽生清さん、京の名菓とお手紙下さる。
2022 11/9

* 下関の大庭碧さん、赤間の「雲丹と、外郎菓子をたくさん送って来て下さった。外郎は子供の頃より食べやすくて好き。ことに赤間の「雲丹」は是ピンサレが五倍も美味くなる。感謝、感謝。
2022 11/17

* 石川の井口哲郎さん、豪快な「山の芋」を六つも送って下さる。摺り下ろして,私、喜んで戴く、感謝。『湖の本 160』届いたろうか。
2022 11/22

* このところ 頂戴モノ數有り、恐縮し感謝している。
なにともなく心賑はひためらはで文りがたく品もうれしく
かく老いてやそしち爺と婆の日々を人のおもひに励まされ生くよ
井口哲郎さん・みごとに丸い山芋  水谷葉子先生・とらやの羊羹  持田晴美さん・美しい手籠の盛り花  山本道子さん・帝も召すと聞くクッキー  富士も佐貴子さん・超珍味の鰻生姜  ロス暮らしの池宮千代子さん・京都出来の最中  鳥井きよみさん・静岡の蜜柑八キロも  井上八千代さん・超愛づらかな酒肴「ほたるこ」 大庭緑さん・赤間の雲丹と外郎と

卑しくて謂うのでない、「湖の本」にも「私語の刻」にも共感して下さり私たち老耄の日々懸命を激励してくださるお手紙であり頂き物なのであって、「市井の作家」として今も生き続け得ている「幸せな老い」よと、ただ嬉しいのである。
2022 11/29

* 午、高麗屋白鸚さんから歳暮の「鶏すーぷのラーメン」を戴く。時季で、なにかと頂戴モノあり、大益貞子さんの各種に調理の「鰻、京都の伊藤隆信さん、大柿と蜜柑をそれぞれに箱で。地元眼科の佐藤千里子先生、帝国ホテルの各種スープを。有難う存じます 2022 12/2

* 岩波の「世界」に長編小説『最上徳内 北の時代』を連載させてくれた高本邦彦さん、お洒落にくみあわせて處観も周到に用意の「讃岐うどん」と「信州そば」を下さる。
和歌山のお久しい三宅邦雄さん珍しい銘柄の清酒二升下さる。写真家近藤聰さんにも「東村山」有難く頂戴した。
2022 12/4

〇 秦 先生
私の高校(栃木高校)、早大の先輩が先代社長だった飯沼銘醸(株)の
純米大吟醸「杉並木」をご送付申しあげました。
社長曰わく、「日光の伏流水と厳選した栃木の米で仕込んだ自慢の酒」の由、
ご笑味いただけましたらさいわいです。
来年も良い年でありますように。   篠崎仁

* 努めて、日に二合ほどにと思いながら、多いときは五合ほど美味しく楽に行きます。
お酒の美味いうちは元気なんだと都合良く思うことにしています。
ましてお初の銘柄ですと、ついニコッとします。 篠崎様 感謝します。どうぞ 日々お元気においでで在りますように。秦 恒平
2022 12/9

* 赤飯と、近藤聰さんに戴いた「杉並木」という大吟醸純米酒を、妻は朱盃で、私は井口哲郎さんに戴いて好きな、干支のイノシシを綺麗に描いた加賀の名盃で、一献ずつ祝い合う。
六十五年前、夕ちかく、真如洞の宏大な山坂墓地を一緒あちこちしていて、付けた見事な黄葉のまだ生き生き美しい一枝を戴いて新門前の家に帰り、裏の茶室に湯を立て、大きな水盤に清水を張り、持ち帰った冴え冴えと黄葉みごとな一枝を横たえた。炉端に盤を置いて、わたしが茶を点て、妻は一亭一客の席にいた。
茶のあと、求婚し、即、容れられた。美味い茶、佳い釜の鳴りであった。半間の床には十四世裏千家家元揮毫の軸『語是心苗』四文字が架けてあった。

* 天野敬子さんに 甘い枯露柿を、長ァい綱に編んだのを戴いた。それはそれは甘味
美味。四国今治の木村年孝さん、愛媛のじつに美味い、夏蜜柑ほど大きな蜜柑を大きな箱で送って下さる。果実は私の不健康を癒やしてくれる。
昼食の前後にやや酒を過ごして寝入り、三時に目覚めた。
2022 12/10

* 高城由美子さん干し柿など、戴き物がいいろに。な、「湖の本」と「作家/秦」とへ親しんで下さってのこと。有難いことです。
2022 12/19

* 頂戴しているお酒で乾杯し、赤飯を祝う。はるばると歩いて来た。
這ったのでも駆けたのでもない。歩いて来た。並んで歩いていた筈のあまりに大勢の姿が、もう、ない。そして「まあだだかい」とも聞こえる。小声で、「まあだだよ」と返事している。「まあだだよ」

* 八十七歳の朝を、妻と、祝った。赤飯。そして小滝さんに頂いていた「松竹梅」特別大吟醸酒での乾盃がじつに美味かった。妻のいもうと、琉っちゃんからのお祝いも、一入嬉しく。
2022 12/21

* めったになく、一人で、郵便局ポストへ「湖の本 161」を入れに、杖も忘れてポクポク歩いた。ローソンへも脚をはこんで、握り飯やサンドイッチを気まぐれに買って帰った。美味いものは何もないのだが。「買う」というめったにない事をしてみたまで。 2022 12/21

* 戴いたお酒の美味いのを含んでは寝入り、含んでは寝入り、ほとんど終日寝入っていた。もう九時半。目覚めたときも、朝夜転倒、朝かと想って、まるで日なか。やれやれ。ま、そういう日々も自然な老いと思おう。
2022 12/22

* 野沢利江さん、例年暮れの鴨鍋を送って下さる。元気でいて呉れますように。
2022 12/29

* 櫻小次郎クン、電話で、玄関外へ一品置いて置きましたと。めずらかな清酒一升。有難うよ、有難く。来年は、ぜひ、顔をあわせ談笑を楽しみたいと、約束。
2022 12/29

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