* 賀正
* 起床9:00 血 圧129-69(56) 血糖値86 体重67.7kg
2016 1/1 170
* 十時に建日子たちが来て、雑煮で元旦を祝った。わたしは、餅を一つしか食べなかった。
建日子たちが、特製のラベル、むかしわたしが朝日子と建日子とを抱き上げた写真、をつけた清酒を土産にもってきた。嬉しいというよりフクザツな気分だっ た。朝日子も建日子も可愛かっただけに、深い痛みも覚えた。その酒を呑んだ。酔った。例年のように初詣に近くの天神社へ出かけたが、烈しい頸筋の痛みを覚 え、ひとり途中から帰って、寐た。この頸筋へ刺し込んでくる痛みは、過去にも数度覚えていて、いずれも死の恐怖に近かった。
いまは落ち着いている。
* こういう元日は、過去に記憶がない。ま、いろんなことが有っていいのだ、今日、いま・ここを生きるだけのこと。
思い寄らぬほどたくさんな年賀状を戴いた。わたしからは一枚も送らなかった。わたしに出来ることは何だろうと、もうそんなことも思わない。分かり切っている。生きている限り、したいことをしつづける。いやなことは、いや。
2016 1/1 170
* 両肩を万力に押さえ込まれたように、また、痛い。意識はあるが、失神にも近い。肩、石のように硬い。酒は飲んだが、食べ物は欲しくなかった。せめては ずむ話題でもあれば楽しんだろうが、無し。『美の回廊』の村上華岳観を読み直したり、「ユニオ・ミスティカ」を思ったり。寐て、初夢でも追うか。
* 味気ない元日が、つまらないドラマ「相棒」とともに過ぎゆく。こういう日々のつづく老境なのはもとより自明であり、だからこそ楽しみを創り創り、ごまめの歯ぎしりのように日々を歩いて行くのだ。人に求めても詮無い。自分で創るのだ。
2016 1/1 170
* 起床9:00 血 圧128-64(57) 血糖値94 体重67.9kg
* 建日子と三人で二日の雑煮を祝う。
☆ 傘壽 おめでとうございます
同封、小生傘寿の折、ハナを傘に見立てた文字どおりの遊印、お祝いのしるしとさせていただきます。
「風」の新しい印、日々心掛けていますが、仕上げ叶わず 来年(二十八年への宿題にさせていただきます。
どうか御健筆、よいお正月をお迎えのほど祈念申し上げます。 草々 神戸 木山蕃 拝
* 「傘壽越え」というエッセイに木山さん、「病気を持つことは、人生に用心深くなるが、逆にそれゆえ大胆になることがあると思う」と。その実感、わたしにも深い。
久しくも久しい。お元気で前を歩んでいって下さいますよう。
* もとよりムリは承知で朝日賞に東京新聞の報道姿勢を推薦しておいた。むろん当選はしなかったけれど、わたしの気持ちはそれなりに伝えたわけである。二 十九日帝国ホテルでの贈呈式と祝賀パーティに例年のように招かれている。行けるかな。俳句の金子兜太さんも受賞されている。が、なによりも八日の入院と手 術をパスしてこないと。
2016 1/2 170
* 起床9:30 血 圧138-68(58) 血糖値90 体重68.9kg
2016 1/3 170
* 村上華岳のことをいろいろに思いまた考えては書いたり話したりしていたのを見直している。
華岳はたまらなく懐かしい。そういう思いを惹く近代の画人は、少ない。無いといいたいほどである。好きな画人ならいるが。
文学の方で、溜まらなく懐かしいと思わせるのは、谷崎潤一郎とともに、実は志賀直哉が懐かしい。
しかしこういう回顧の思いに誘われているのは、どことなくわたしが心弱く傷んでいるからかも知れない。
三が日が、過ぎて行く。心はずまない、滅多にない詰まらない正月だった。初詣もしないで終えた。ほとんど何も美味しく食べられなかった、量も食べなかった、酒も美味くなかった。
気を取り直し、明日から、平常心で、また楽しみ楽しみ心ゆく仕事をして行きたい。 2016 1/3 170
* 起床10:00 血 圧139-62(61) 血糖値85 体重68.4kg
* 楽吉左衛門氏、池田良則氏、野呂芳信氏、妹の伊藤ひろ子、賀状來。あれこれと仕事しつつ、身疲れ、目疲れで、座ったまま何度も何度も寝入っていた。階段の上り下りにひどく疲れている。休もうか。
2016 1/4 170
* 今日はひときわ目ぢから無く、機械の文字がよく読み取れないまま。もう今日の機械仕事は、やめ。
2016 1/4 170
* 起床8:00 血 圧152-68(58) 血糖値92 体重69.6kg
2016 1/5 170
* 術前、すこし節酒しておこうと、今朝から行ってきも呑んでいない。明日明後日と節酒すれば、入院手術の八日をふくめ、けっこう酒気が抜ける。べつに辛くもない。とっておきのいい酒がある、楽しみにしよう。
2016 1/5 170
* 起床8:00 血 圧140-75(54) 血糖値92 体重68.0kg
2016 1/6 170
* 起床8:00 血 圧143-65(52) 血糖値73 体重67.7kg
2016 1/7 170
* 一昨日昨日そして今日も酒をからだに入れずにいる。止められてはいないが、ま、タマに休肝日もと、明日の入院、うまくいけば明後日の退院を利用してみ る。問題なく休酒出来ているのだから「アル中」の傾向には無いと分かる。とっておきの一升瓶が退院後の出番を待っていてくれる。
☆ 建日子 明日の誕生日を
心より祝います。おめでとう。おまえの生まれた日も嬉しかった気持ちもよく覚えています。
建日子を待ちて
母ひとりで産むにはあらで父も姉も一つに祈るお前の誕生
建日子誕生
赤ちゃんが来た・名前は建日子・男だぞ・ヤマトタケルだ・太陽の子だ
建日子退院
これやこの建日子の瞳(め)に梅の花
平和な誕生日を、怪我なく、めでたく迎えて祝って下さい。
いわば、新年の本番。
大切に、心ゆく一年を建設し創作して下さい、落ち着いて。
健康を祈ります。母さんを、頼みます。
明日、十一時に入院します。明後日には帰りたいと思っています。 父
* NCISをつづけて二作観ていた。十時。ピアノを少し聴いて、もう、やすむ。
モーツアルトのバイオリンソナタのピアノ伴奏が素晴らしい。マリア・カラスのアリアに聴き惚れた。
2016 1/7 170
* 起床7:00 血 圧143-65(52) 血糖値73 体重67.7kg
☆ hatakさん
無事のご退院をお祈りしています
真冬日の札幌より maokat
☆ 無事に
施術終え退院されますよう。 尾張の鳶
* 感謝。
* 九時前のバスで保谷駅へ。十時過ぎ、妻に処方されていた薬を築地の薬局へ予約しておいて、十時半、聖路加病院へ。入院手続きは妻に一任。十一時前、十階の病室に入る。聖路加へは四回目の入院。東に、ビルのあわいを隅田川がゆったり流れていた。
午後、何時頃だったか五階の手術室へはこばれた。終始わたしはめを閉じたまま身を任せていたが、何の苦痛もなく、検査結果は申し分なしと診断された。動 脈から心臓の近くへ施術があったので左手首から失血のオソレがあり拘束もされ、心電図もモニターされ、点滴もされていたが、順調に体調ととのっていった。 妻が疲れぬように、帰ってもらった。
選集⑬の再校ゲラをたっぷり持ち込んでいたのを全部読み終え、さらには退屈しのぎにと持ち込んでいた「小倉ざれ歌百首」もつくっていった。聖路加の個室にはもう四度目で慣れており、医師も看護師も職員もみな親切なので、不安感はなにもない。
2016 1/8 170
* 起床6:00
* 術後経過好調、早朝に医師が動脈側、看護師が静脈側の看視を解いてくれて。朝食を済ませたら、もう退院可能となった。医者の曰く「強心臓」ですと。九時前には支払い等もすませて退院、一路、独りで帰宅。
大量にゲラを読んできたので、眼だけが疲れている。
まず、心臓と循環に関しては事なきを得られて幸いであった。
2016 1/9 170
* 昨日は手術後、真夜中まで、病室のベッドで、裸眼、200頁近く再校ゲラを読んだため、さすがに今日は視力が宙に濡れて浮かんでいる。九時まえだが、今夜はもう休息しよう。
すでに湖の本128送本用意に掛かっている。二十二日朝に出来てくる。
この週明けは、月曜午後、腫瘍内科のCT検査、泌尿器科の利尿処方に、またも聖路加へ。水曜午後にも、今度は聖路加眼科へ。そのあと、楽吉左衛門から招 待の三越本店「萩・楽」展のレセプションに顔を出してみるつもり。さらに次週の火曜午後にも、腫瘍内科と循環器内科の診察。疲れないように要領よく湖の本 発送用意をしておかないと。二十二日の晩は、初春歌舞伎座、幸四郎の二条城の清正、久し振り玉三郎の吉田屋夕霧。待ち遠しい。 2016 1/9 170
* 起床9:00 血 圧145-69(60) 血糖値87 体重67.7kg
2016 1/10 170
* 来週は、なんの楽しいワケもない病院等への外出が月水金と断続する。疲れてしまうと、翌週末からの発送が身に堪える。やすみやすみ、ワクワクしながら事を運びたい。休めるときは休むようにして。
* ピアノを聴きながら、うたた寝していたようだ。からださえラクなら、うたたねもまた良いものだ。今はマリア・プレシュがピアノを弾いている。弾いてくれているという感じ方でもある。
2016 1/10 170
* 起床8:00 血 圧135-72(57) 血糖値83 体重67.7kg
* 十時過ぎに家を出て十一時半には腫瘍内科指示の腹部CT検査。一時前には終えて、一時半予約の泌尿器科で、利尿の処方薬をもらい、築地 の薬局で「フリバス」といういつもの薬を受け取った。朝から食餌摂取を禁じられていたので、銀座へ出て、例の三笠会館、ここは何時に入ってもまともに食事 させてくれる処で、二階のフレンチ「榛名」へ久々に上がった。
今日は何が何でもしっかり喰うぞと肚をくくり、飲み物はキールロワイヤルとブルターニュの赤ワイン、佳いメニュのランチを、魚も肉も、サラダからデザー ト、ブティフールとカフェまで、意欲的に喰った。もうこの上はムリというほど満腹した。近来、そういうことは皆無で、いつでもどこでも食は進まなかった。 今日は頑張って進めた感じ。「アミューズブーシュ」「鮮魚貝類のサラダ仕立て」「真鯛のポワレと冬野菜 ブールノワゼットソース」「黒毛和牛フィレ肉のグ リル ボルドレーズソース」「季節のデザートヴァリエ」「ブティフホルとカフェ」 シェフ自信のデジュネ トラディション。コ゜スもよかったが、注文した キールロワイヤルとワインとが堪らなかった。美味かった。
座って帰りたかったので、銀座一丁目までもどり、幸い西武線へはいる地下鉄で、寝もしないで校正を楽しみながら保谷まで。
子尿奇禍のドクターによれば、今日のCT検査も、ざっとみて「落ち着いてるようですよ」と。とにかくもわたしは聖路加病院に今世紀初めから通って今も各科のお世話になっている。電子化されたカルテで、どの先生もみな私の容態は分かっている。
2015 1/11 170
* 明日は妻が地元病院の循環検査。明後日の水曜午後も、また私が築地へ病院通い、眼科。そのあと五時、「楽・萩」展のレセプションに。当代の楽吉左衛門 は逸材、行けば楽しめるのだが、妻の体力がどうか。金曜は、夕刻にこれも二人で歯科。十九日にはさらにまた聖路加の腫瘍内科と循環器内科へわたしのダブル ヘッダー。いやでも歩く運動にはなるが疲労も加わる。湖の本の発送が、すぐ続くが、用意できるかどうか。居直ってゆっくりやるしかない。
2016 1/11 170
* 起床8:00 血 圧148-71(54) 血糖値95 体重67.1kg
2016 1/12 170
* 退院した十日の夜に、とうどう曲亭馬琴の大著『南総里見八犬伝』岩波文庫の全十巻の再読を果たした。四年前の春、二度目の入院中から読みはじめ、遅々 として進まなかったが投げ出しはしなかった。一つには馬琴のあくどいほどの文体、クセの強い熟語の猛烈なアテ読み、細緻にわたるルビの読みづらさももとよ りとして、総じて文庫本の字の小ささに悩んだ結果、十巻本に少なくも三年半の余もかけたことになる。感銘は、初読の折りの新鮮な驚嘆に軍配上がり、再読で は大筋の把握は利いたけれど、文学としての魅力はとぼしく、胸を、繰り返しつかまれることは無かった。繰り返して再々読めば読むほど感嘆を深める源氏物語 や寝覚などの、また雨月や春雨などの物語の凛然・毅然とした感銘にくらべると、稗史の臭みは弁護の仕様がない。まことにご苦労を極めた大作であり偉とする に吝かではないが、文藝としては「くどい」というに尽きる。趣向の塊であるが自然味にはよくよく掛けたままの演説読み物になっている。
ま、二度も読めば、もう足りている。幸いに高田衛さんの稠密な労著『八犬伝の世界』に終始手を引いて貰って、いろいろに頷けた、有り難かった。けれど、繰り返していうと、心底からの感動も感嘆もなく、仰山な驚きばかりがあった。
同じ十巻本の、馬琴も大いに斟酌したであろう『水滸伝』の再読を今思っている。
* 金、土、月、水、金、火と続く「病院」通いは、さすがに過剰で、身の疲れも気の疲れも、のしかかって来る。その先へ湖の本の送り出し。ようやるよと、我ながら感じ入る。フウ。あすは眼科。この眼、すこしは何とかならないか。
* 疲れた。
グノーの「フアウスト」を三枚の晩からACT5まで機械に入れた。歌劇はおおかたは独唱でないので、声楽の交錯する魅力に身をずけてただ聴いている。解 説を利用すれば歌詞の訳があるけれど、そんな窮屈さで音楽は楽しめない。詞としての意味の通らない、純然の音楽と声楽との時間を黙然と呼吸しているのが好 い。目は見えないが音は楽しめる。
2016 1/12 170
* 起床8:00 血 圧148-71(54) 血糖値95 体重67.1kg
* 眼科の検査と診察を三月上旬まで延期して貰った。一息入れたかった。眼の状態は、ちっとも宜しからず、右眼では視野はまぶしいほど白く明るく、縦軸線は蛇行する。左眼では視野は黄色じみていて、視線の蛇行はない。
2016 1/13 170
*三越本店での「萩と楽」展のオープニング・レセプション、楽しみにしていたが、どうにも気分体調整わず、失礼することに。残念。
2016 1/13 170
* 睡眠時間が足りないとは思わないが、熟睡出来ていない。心労感のきつい重苦しい夢を見すぎて、夢中、懸命に何かに答えたり何か言葉を紡いだりして、げっそりと草臥れる。
2016 1/13 170
* 小休止はするが渋滞はなく、着々と。大ごとも雑用も。
今夜は早めに機械をはなれて、からだを横にし熟睡を待ちたい。今夜の黒いマゴ殿の輸液も終えた。
2016 1/13 170
* 起床8:00 血 圧138-67(59) 血糖値94 体重68.5kg
* スクラム組んで、見境無くひた押しに押していたような、今日。ものごとの成るときは、そんなもの。ドンマイ。つまり気にしない。
睡魔は遠慮無く襲ってくる。
* 体調、すこぶる宜しからず。けだるくて、しんどい。十時。機械仕事、やすむ。
2016 1/14 170
* 起床9:00 血 圧149-67(62) 血糖値87 体重68.5kg
* 小豆の雑煮を祝う。京の酢茎も戴いた。小梅の茶も。鶴を彫んだ干菓子も美味かった。
鏡割りの善哉も十一日に祝った。七日七草粥も四日焼き餅の雑煮も、三が日の味噌雑煮も、みな型通りに祝ってきた。どうしても蛤が手に入らず、年々少しずつ事そいで簡略にはなってきたが。元日には気分悪く、初詣もせずに正月が終えた。
* 効率よく事を運んでいる。
夕方、久し振りに歯科へ。
帰途、「リオン」でフレンチ。前菜に美味い牡蛎、スプに輪をかけて美味い魚味のスープ。メインに黒毛和牛のフィレ。ここでキールロワイヤルからアルゼンチ ンの赤ワインに替えて。たっぷりの珈琲で、デゾートに珍しい二種を選んだ。胡桃をくるんだケーキが美味かった。
* 駅前のナガノ眼鏡で、電池切れなどの時計を七つも、全部入れ替えて時間を合わせてもらった。なんだか、えらく裕福に感じた。
2016 1/15 170
* 起床8:30 血 圧124-71(57) 血糖値91 体重68.4kg
* 昨日に続いて妻が歯科へ予約していて、わたしは一月後といわれていたが、夜中に歯の一箇所が二度痛んだので、念のため同行して、歯痛薬を塗布してもらってきた。
帰路「中華家族」でわたしは例のマオタイ、そして酢豚とラーメンとを半々で。杏仁豆腐をサービスして貰った。
往来の車中や店で、「朗唱劇」の台本を校正、心持ち良し。
帰って暫く、うたた寝していた。
2016 1/16 170
* 今日は睡魔にも負けて(酒の所為でもあるが)怠けてしまった。「なよたけのかぐやひめ」をきちんと読んだだけ。読みはじめた「忠義水滸伝」百巻本に吸い込まれるように入っていった。
2016 1/16 170
* 湖の本128の出来までに余す五日。うち、火曜十九日は聖路加で心電図をとり、循環内科の診察と、CT検査結果を見ての腫瘍内科の診察と。発送用意がかつがつ間に合うかどうか。からだをやすめやすめ、働きたい。金曜は今年初の歌舞伎座。
2016 1/16 170
* 起床10:30 血 圧133-71(60) 血糖値94 体重68.3kg
* なにかしら集中力を欠いて、ダル重い。腹部不穏を調整できず、仕事に手が着かない。十分寝ているので睡眠不足はないのに、ともするとうたた寝している。
からだを横にすると、モノが読める。水滸伝などに打ち込める。ゲラも読める。
床から起つと、いけない。
街歩きへ出ようともしない。メールもしない。ソーシヤルネットもワケ分からずに使えなくされている。テレビの前へゆくと、コロンボだのポアロだの NCISだのフォイルだの。かと思うと、お肌、ブルンブルン、まさに、なんと、おいしーい、などと喚かれてばかり。国会も、ダメ。
このままだと引きこもりの老鬱にやられる。
驚いたことに東京で五十七年暮らして、あそこへ行ってみたいなと思う先が、思い当たらない。
京都なら、選ぶのに困るほど歩いて行きたいも歩きに行きたい先があり、しかも何度繰り返し出かけても飽きない。
祇園、建仁寺、六波羅、清水坂、清水寺、清閑寺、小松谷、太閤坦、日枝神社、智積院、法住寺、養源院、三十三間堂、博物館、タクシーで泉涌寺即成院、戒光寺、悲田院、来迎院、観 音寺、泉涌寺本堂、泉山御陵、雲竜院、東福寺、通天橋、三門、本町、東福寺駅から四条、南座、祇園町、母校、八坂神社、円山公園、釣鐘堂、知恩院、三門、 瓜生岩、青蓮院、粟田口、瓢亭、南禅寺三門、永観堂、法然院、銀閣寺、詩仙堂、曼殊院、 タクシーで出町、墓参、糺の森、下鴨神社、同志社、御所を南へ、 鴨川西堤を三条大橋まで、先斗町を四条へ抜けて、縄手から新門前の家へ。
その紀なら一気に回れるが、どの一箇所も其処をだけ目的にしていっても楽しめる。
懐かしくて、いくらか気も晴れる。やれやれ、京都がほんとに遠くなってしまった。
ま、幾らも新しく創作し、とびきりの古典や名作を読み返し、自信のいい本を作り続けるしか元気の道がないようだ。たんに東山べの一画を思い出してみたに 過ぎないが、挙げた名どころの一つ一つにわたしは無数の物語を持っている。そんなのを書き始めたら二百まで生きねばなりまへん。
2016 1/17 170
* 起床8:50 血 圧133-68(60) 血糖値89 体重67.8kg
* 封筒への宛名貼り込みを終えた。明日は、腫瘍内科の診察と、心電図付き循環器内科の診察。みっちり時間が掛かるだろう。残っている作業 は、追加分の宛名書きと、出来本の受入用意。うまくすれば二十日中に用意出来、木曜二十一日は、束の間の休息可能かも。二十二日に湖の本128納品、しかし晩は初春歌 舞伎。湖の本発送は土曜日からになる。
2016 1/18 170
* 起床8:00 血 圧130-59(57) 血糖値97 体重67.5kg
* とても寒い。それでも築地へ出向かねばならぬ。散策のつもりで行こう。
2016 1/19 170
* 腫瘍内科、問題なし。循環器内科、問題なし。
十二時前に、生理検査、心電図検査受け、両科の診察を終えたのは三時半。循環の方は放免された。空腹の極であったが、困っている人のために手の施しようもなく家を出て来た情けなさで、食事する気もせず、一路帰宅、五時前。
一時前に、わざわざ聖路加副院長の林田先生が外来で校正している私の処へ来て下さり、写真をみて問題ないと思う、大切なのは日常生活に運動・歩行を規則 的に取り込むことで全身状態を高めて欲しいと、縷々忠告された。秦さんは創作や執筆の仕事がほんとに好きなんだ、また次々のお仕事も感服にたえないモノ で、その年でそんな人は珍しいんだが、それだけに、いっそう健康であってください。歩きましょう! と膝を優しく叩かれた。はいはいと、首をタテに振って きました。
2016 1/19 170
* ほんとは今日の帰路、三越本店へ寄って楽焼と萩焼とのコラボレーション展を観てきたかったのだが、出がけの陰気な気分が響いて、そんな気になれず、疲 れもしていたので(電車でも外来でも一心に校正して目玉はバサバサに乾いていたし、)帰ってきた。凍てた雪道で転ぶのもイヤだった。保谷など、雪道は朝の ママに凍てて滑った。
あす、あさってはどうかな。
2016 1/19 170
* 起床8:00 血 圧134-76(52) 血糖値79 体重67.7kg
* 音をたてて一昨日降り積んだ大屋根の雪が物干しやテラスへ落ちてくる。
冷たい。指先の出る長い手袋を使ってマウスを握っている。家では例年より厚着とは思わないが、外出の時は、ヒートテックの薄い肌着を下に着込んで出掛ける。
* ルソーの「孤独な散歩者の夢想」を読み出している。愛読てもなく愛読書にもならないだろう、ルソーは事実の如何を問わず自身を大勢の、いや世界じゅう の他者から悪意に満ちた迫害や厭がらせや苛めに遭い続けてきて、老境の今も変わりないが、ようやくそんな実情を無視しつつ平穏に当然に生きて行ける道と方 法を自分は見つけ得たと、この本で、本気で吐露し続けている。
ルソーはこの世界に近代という新時代の扉を押し開けるに足りた思想家であった、それは認められる。その一方で、粘着性の強い粘液質の性質や言動や思想ま でも大勢の、ことに体制的な人たちから厭悪されがちだったのは事実のようであった。代表作の「エミール」を読んでも「告白」を読んでも、わたしも妙に馴染 めず好きには成れなかった。
いま読んでいる本は、彼の死に近い晩年の夢想・感想の本であり、しんどい荷を負い続け老い逝きし人という印象、捨てがたい。、あ、そうか、あなたはそん なふうに考えるんだと、と胸をつかれることも多くて、賢い人なんだと正直に感じ取れるが、何を励まされるという本ではない。それなのに、こういう被害感覚 のまま世間に怯え世間を嫌って暮らしている人は、本当はじつにじつにかずおおいわけで、そんな人が、お、こういうふうに思えばいいのか、考えればいいの か、やりすごせばいいのかと、かなり教えられることのある本とも謂える。わたしのように「騒壇余人」を自覚して生きてきた作家・文章家からみて、うん、分 かるよそれという言辞もたくさん含んでいて、奇妙に興味も持てるのである。ときどき書き抜いてみたいが、この岩波文庫の文字の小ささ、7ポか、視力の落ち ているときは全然読めないので困る。今も、そうなんです。キイの字は手探りで拾えている。
「水滸伝」は8ポほどか、それに行間がやや広い。しかしなにしろ漢文学、難訓字はルビに頼るのだから、これまた大変ですが、根が講釈。面白く、聴くように読んでいる。 2016 1/20 170
* 二階では機械仕事、目が疲れると階下でやはり目を使いながら、校正。朝昼は元気でも夜分になるとげっそり疲れている。手洗いに入っても、便座で両膝に 両肘をおいてガクッと首を垂れてしまう。抗癌剤でシンドかった頃と変わらないガックリ姿勢になる。からだが、はやく休みたいも寝たいと言うている。
今日は比較的、これでも気楽には過ごしていたのだが。ひとつには自分で書いた渾身のシナリオ世界の辛さに打ちのめされているとも謂える。なんという「こんな私でした」であったか。
そういえばこの第一私家版の出来たとき、同じ課の女子編集者にみせて感想を求めたとき、翌日、本を返され、「怖かった」と一言、聴かされたのをありあり 思い出す。まさに地獄を身に抱いていたのだった、あの時はしかし、それが自覚出来てなかった、はぐらかしはぐらかし抱き込んで反芻していたのだと思う。
2016 1/20 170
* 起床9:10 血 圧144-75(62) 血糖値97 体重67.1kg
* よく晴れている。暖房が容易に効かない。やす香のお友達から贈られたMISSONIのすこぶる軽くて温かな手ざわりを愛して肩から掛け、胸まえでパッチン で摘んでいる。上半身、まことに暖かくやす香が肩へ来ている気がする。なによりも肩を包んでまったく負担にならず、軽くて当たりのとても柔らかに温かなこ と、が嬉しい。
2016 1/21 170
* 起床8:10 血 圧117-58(89) 血糖値97 体重67.0kg
* 湖の本128、出来て届く。玄関内へ運び入れた。玄関外が凍てて滑りやすいので、早くから妻と凍りついたのを湯で流すなどかなり労力をつかった。北向きな ので雪がなかなか溶けない。20册の本包みを二つずついいとしの小父さんが運び込んでくれるのをわたしが玄関に積み上げて行く。小父さんに転ばれてはタイ ヘン、気を遣った。
送り出しの作業は、すべて明日から天候を眺め眺め落ち着いて進める。
選集第十一巻ももう刷了になって今朝の内に刷りだしが届いていた。引き続いて、もう二月上旬にはこれも送り出さねばならない。なにも急ぐことはなく、ゆっくりゆっくりと言い聞かせている、自分に。
2016 1/22 170
* 起床9:00 血 圧154-69(65) 血糖値98 体重67.1kg
2016 1/23 170
* 起床9:00 血 圧144-71(66) 血糖値95 体重67.3kg
2016 1/24 170
* 大関琴奨菊、十四勝一敗で幕の内最高初優勝を遂げた。賞賛に値する一途の敢闘であった。大関栃東の優勝いらい日本人力士十年目の優勝とはすこし情けないが、それほどモンゴル横綱たちの強さが際立っていた。ようやく琴奨菊が賜杯を手にしたのは、祝着。
もうわれわれも本場所を国技館で観戦する体力と根気ががなくなってきたと思う。もとどおり、またテレビ桟敷で観戦し続けよう。八海山で和可奈の鮓。
暫く機械のまえでうたた寝していた。
Glenn Gould Legacy に聴き惚れた。ピアノ曲がしみじみ身に沁みる。
一気に作業を頑張って妻も私も、したたかに疲れている。熟睡をむさぼりたい心地。 2016 1/24 170
* 起床8:30 血 圧123-55(68) 血糖値99 体重67.3kg
2016 1/25 170
* 起床8:30 血 圧133-50(54) 血糖値79 体重67.2kg
2016 1/26 170
* 掌が一面の深い皺で乾ききり痺れている。今日、やがて夕刻の六時、これまでに一体何度持ったり取ったりしたものを取り落としたろう。
それでも、倦まず弛まず仕事をし続けていた、お酒も飲みながら。着々。それでよろしく、慌てることも急ぐこともない。着々が、結果的にはいちばん間違いなく早く済む。
* 追加の発送作業に今日一日をかけて、今し方、用意を終えた。疲れで、また歯が傷みかつ痛んで閉口している。十時半。もう、一休みしないと、潰れそう。しきりに歯が傷む。
それでも、やっと一週間ほど、骨休め気休めのゆとりが持てそう。極端に出不精になっていて、よろしくないが。
2016 1/26 170
* 起床8:15 血 圧148-77(60) 血糖値79 体重67.2kg
2016 1/27 170
* 起床10:10 血 圧134-61(61) 血糖値81 体重68.1kg
* 下の前歯がグタグタ弛んで、気味わるい鈍い痛み。スープ様のモノしか食事できない。
2016 1/28 170
* 昨日の晩、堀上謙さんの電話、小 一時間も話したろうか、じつは下前歯がぐらついてて喋りにくくて閉口した。閉口していては電話にならないのでいろいろ話した。堀上さん、糖尿の調子よくな くて薬の他に注射をいいつかりベソかいていたが、薬を飲むより注射の方がよほどいいと思ってきた。体調次第で注射の量を按配するなど日常やってきた。糖尿 で注射と話したトタンに日大の大国教授、喰ったり呑んだりすれば注射の量を按配素りゃいいんですと。いらい、気軽にやってきた。薬ではそういう調整はしに くい。そもそも、体重が86キロもあった頃はどうしようもなかったが、胃袋と一緒に体重が20キロも減ったら、たちまちに糖尿の方も、医者がホメテくれる ほど正常範囲に安定している。注射の単位も少ない。要は体重のようです。
堀上さんの電話、声も言葉も明晰で何の乱れもない。それなのに、病院では三時間前に何を食ったか、云えなかったらマイナス1点だのなんのと、テスト責め にあっては認知傾向がどうのとおどされてばかりいるらしい。バカげている。患者で実験しているのだ、八十幾つにもなって物覚えわるく物忘れが日増しにヒド イのは、当たり前の話で、わたしは全く気にしていない。話せるし、読めるし、書けるし、鑑賞できる。堀上さんもわたしに輪を掛けたなにしろ朝日新聞の記者 で先生で物書きで能狂言は舞台にも立てるほどだ。なにがマイナス一点か、と、わたしは医者に腹を立てた。大学病院の医者はも患者を検査物体に思ってそう扱 う。聖路加はそれが無いのでわたしはもうそろそろ二十年近く通っているのです。
2016 1/28 170
* 起床9:00 血 圧140-71(63) 血糖値83 体重68.4kg
2016 1/29 170
* 起床8:00 血 圧168-74(63) 血糖値97 体重67.5kg
* 夜中、黒いマゴの面倒をみてやっている最中、コトッと下前歯正面三本が落ちた。うち一本は生来の歯だった。
十一時に歯科へ。入れ歯以外に策なく、今日のところは片方掛けで差し込んでおき、入れ歯の出来には一週間かかると。
帰路「リオン」に寄って昼食、せいぜい奥歯で食べていたが、メインの皿が出た頃に、あえなく歯はまた落ちた。やれやれ。喋りにくいのでせいぜい無言の行 をマスクで塞いで置くしかない。ま、いいか。
2016 1/30 170
* 起床8:30 血 圧149-62(59) 血糖値84 体重67.8kg
* まったくの歯抜け爺になった。眼の縁は点眼のおかげで赤らんでしまい、見られた面相ではない。気付かずに背もよほど丸くなった、身丈は縮む一方で、五㎝ のうえも縮んでいる。物忘れもとくに今今のことで物忘れの早いのには惘れるが、わたしは気にしていない。あたりまえだと思っているし、とに書くもまだかい て考えることが出来ている。それで、よろしい。
2016 1/31 170
* もう二月が来る。あすは、大きく歯抜けのままに、聖路加の内分泌、感染の二科で診察を受けてくる。また一日仕事になるか。二日には歯医者。入れ歯の用意らしい。むやむや。
* バルビュスの「地獄」 ダンテの「地獄」 ルソーの「孤独な散歩舎の夢想」と「社会契約論」 バグワンま「一休」 そして、「水滸伝」 みな、面白く興味津々楽しんで読んでいる。ときに入浴中にも読んでいる。
* さ、もう休もう、十一時になる。床に入ってまた読むのである。
2016 1/31 170
* 起床8:15 血 圧149-62(59) 血糖値84 体重66.9kg
* 冬ざれの狭庭に降りて雉鳩の時うしなひつ啄みありく バス停で
* 十二時前に病院に入り、すぐ生理検査。検査結果が出るのにほぼ一時間かかり、診察はその結果後になる。内分泌の診察予約一時半、それが三時に。諸結果は 良好、問題なく。引き続いて二時半予約の感染症内科。ここも全く問題なく。感染症内科では全身状態を検査で把握し、ビタミン薬が三種処方されている。これ を有り難く受けに出掛けている。
築地の薬局で処方された両科の薬など買い取って、四時半。
なにしろ歯抜けで、気勢はあがらない、それでも玉寿司に入り、二合の酒で佳い刺身を奢り、牡丹海老と真鯛を一貫ずつ握ってもらった。病院でも校正し続けていた「四度の瀧」を寿司店で仕上げた。
地下鉄へと歩く途中、「一杯のワインでもけっこう」と誘っている店で赤ワインをたっぷり一杯。空腹のあとで、すこし利いた。のに、もう数軒先の店でハイ ネケンが呑みたくなった。この店、注文しないのに大きなビザとポテトチップを出してきた。ま、いいかと半分ずつ喰って呑んだ。美味くはあったが、酔いまし た。
新富町駅で、幸い座れたが、徐々に胸苦しくなり、保谷で下車の頃、かなり辛くなっていたが気を張って階段をおり、タクシーに乗れた。ま、なんとのう無事 に帰宅できラッキーだった。空腹でのハシゴは危なかった。水分を持ってなかったのが堪えた。帰宅して水とお茶をたっぷり呑んで、常態に復した。 やれや れ、でした。
2016 2/1 171
* 上の四年前のわたしの「顔」 胃全摘入院の「明日は退院」という晩に自分で撮ったが、手術前と変わらない表情をしている。このすぐ一月後ぐらいから一年間 「抗癌剤」を気張って服したが、その重篤な苦痛は思い出したくもないほどだった。ドクターの方が案じて間隔を縮めてくれたほどだった、が、一度もやめたい とは考えなかった。転移癌が以降再発していないのもそのおかげと信じることにしている。
が、副作用は「眼」にそして「歯」に来て容赦なかった。
いま四年後のわたしの日頃の「顔」は、四年前のと比べようなく、まるで別人、表情に「リキ」と「ハリ」を失い、ひ弱くなっている。
ま、やせ我慢をいえば、それは「顔」だけの話。文学との日々は、たくさん仕事していた盛年期(…じつは、わたしには、そういう「盛年」の自覚や意識が、 ついぞ無かった。文壇の空気からはまるで逸れていると思い決めて、そのように生きていた。)よりも元気でいる。意識も自覚も乏しかったわりに、なんだか評 価もされていたのかなあというあれこりに今頃思い当たることもある。東工大教授ま話が降って湧いたり、ペンの理事にひっぱり出されたり、作家代表団で中国 やソ連へ旅できたり、百册を越す本を出版できていたり、湖の本が三十年もつづけられたり、など、今にして、ふーん…と思い至ったりしている。人生とは、そ んなもののようです。
2016 2/1 171
* 起床9:00 血 圧129-68(57) 血糖値94 体重67.1kg
2016 2/2 171
* 二月八日に入れ歯が入るまで、歯抜けのママと。風通しがよろしい。
2016 2/2 171
* 起床8:30 血 圧130-66(63) 血糖値87 体重67.6
2016 2/3 171
* もう機械から離れたい。黒いマゴに輸液して、すこし寛ぎたい。
今日、黒いマゴが、外で。わたしの足もとから運ぼうとしていた大きな荷へむけ、少なくも一メートル半ものほぼ直線の放尿をみせてくれた。みごとな勢いな ので見ていて嬉しかった。元気なんだと嬉しかった。もう二年ちかく、輸液を毎日の日課にしてきた。彼とはお互いに愛おしい身内である、まぎれもなく。
2016 2/3 171
* 起床8:50 血 圧156-71(56) 血糖値81 体重67.6
2016 2/4 171
* 明日からの選集⑪の送り出し用意、ほぼ全部できた。
もう限度いっぱい、十時半だが、明日も期して、機械からは退散のほかない。
2016 2/4 171
* 起床7:30 血 圧139-63(54) 血糖値89 体重68.2
* 一瞬グゥオーっと揺れて、跳び起きた。
2016 2/5 171
* 起床9:10 血 圧142-64(64) 血糖値86 体重67.6
2016 2/6 171
* 起床9:10 血 圧144-78(57) 血糖値104 体重66.4
* こまめに体を働かせ、短いけれど廊下をキッチンから玄関へ荷造りした本を抱いて再々往復したのが運動になってか、体重は四年前の胃全摘直後に減った。理想的にはいま一段65キロ台へ落としたいが、難しい。
2016 2/7 171
* 起床9:10 血 圧134-59(55) 血糖値86 体重66.6kg
2016 2/8 171
* 今夕は、下真ん中三本の入れ歯が出来ているはず、江古田へ出向く。上出来ですように。
* 見た目は綺麗、だが心地好いとはとても云えない、下前の三本入れ歯。上にもとびとびに五本入れ歯、抗癌剤の紛れない副作用かと、ま、諦めてかかりガマ ンして付き合うのみ。イヤになったらいっそ風通しよく外してしまい、食べ物は咀嚼なんぞ諦め、すべて呑むように啜るようにと思う。幸い、酒にもスープや汁 にも不自由ない。神経を尖らせず、のほほんと受けいれて、あるがまま、なるがままに、する。
2016 2/8 171
* 書きかけの小説の二つに取り付いて今晩は過ごした。
* もう少し此処に書きたいものを持っているが、もう眼がもたないので機械から離れる。
2016 2/8 171
* 起床8:30 血 圧132-63(64) 血糖値97 体重67.1kg
2016 2/9 171
* 起床8:30 血 圧133-65(57) 血糖値102 体重66.5kg
2016 2/10 171
* 起床9:00 血 圧131-72(56) 血糖値96 体重66.7kg
* 嗣治やマネやルノワールらの「猫」の名画をテレビで暫く愉しんだ。永く見ていると取り付かれそうなので機械の前へ来た。ここでも目の前に妻が描いた亡 き「ノコ」の繪が、亡きやす香の幼な顔の鉛筆画など、まあなんと他にも、本はむろん、いろんな繪や写真や道具や資料や雑物やダンボールが氾濫していること か。おかげで、と思うことにしているが、たった六畳間が奇妙にもこもこと暖まっている。もう片付けようなどと思わない、目当てのモノを見つけるのにかなり 苦労はしても、である。
2016 2/11 171
* この数日、体調好ましからず、やや異様な腹部不穏を、まるで頭痛を病む感じに感じている。
そんな時こそ仕事にのめりこむのが一番。仕事から離れると、今も、ものょ絞るようにきゅうッと腹が痛んでいる。あの手術以前には、かなり長期に慢性的に 腹が痛み、とくに胃癌診断まえに顕著だった。たぶん胆嚢炎の痛みだったかと思われるが、胃全摘。胆嚢摘除後、ずうっとずうっと腹の痛みは皆無だった、た だ、腹の張りには苦痛を覚えてきて、今の不快感もそれに類しているのかも知れないが、気持ち悪い。
* 入れた前下歯は、まるで歯茎に乗っていますだけという按配で、舌さき一つでもその気なら外せてしまう。飲食・活舌、みな不自由。食べるにも呑むにも現 状なら歯は外しての方がマシ。要するに支えの歯に支えの金具がカチッとまだ納まってないのだ、段々に調整して貰うしかない。
2016 2/11 171
* 起床10:30 血 圧136-65(55) 血糖値88 体重66.4kg
2016 2/12 171
* 上の歯も下の歯もはずして、昼食に蕎麦を茹でたが、まったく咀嚼不能、全部をただ啜って嚥み込むしか出来なかった。飯でも肴でも肉でも野菜でもパンでも 菓子でも、噛んで味わうことは全く出来ないと分かった。上と下にたとえ歯を入れても咀嚼はしにくく、なにより味わう力が薄れている。せいぜい飲めるもので 元気を補充しないと。
それとても、たいした事ではなく、あるがまま成るままに、いくらでも知恵はつくはずのこと。気に掛けてはいない。面と向いての人づきあいはだんだん遠慮がちになろうけれども。
2016 2/12 171
* 起床9:00 血 圧139-65(55) 血糖値97 体重66.8kg
2016 2/13 171
* 今日は、ひときわ眼の具合わるく、手紙も葉書も読み取りかねるほど見にくい。やれやれ。
2016 2/13 171
* 野田仕立ての台本は弓の達者のよう。ゆるゆると人魚を追いつかまけつ極端なまで遊び心を漂わせて慌てず急がず、そしていつか矢をつがえ、引き絞り、狙い 定めて射放つ。「人魚」の物語が「人間魚雷」への痛切歎きと怒りとに変じている。劇場を埋め尽くした若い人、中年の人、初老の人でさえもあの軍政権による 我が「人間魚雷」の強行暴発は直かの記憶にはあるまい、いま八十の私たちも国民学校以前の聞きかじりでしかなかったが。それだけに野田秀樹の用意は新調で 死かも激しい祈願をさえ籠めていた。感じ入ってわたしは瞼を泪で熱くした。松たか子や阿部サダヲらの熱演好演に拍手を惜しまなかった。いい観劇になった。 いくらか寸を短く、短兵急に攻めていたとも云えないではないが、この「アベノリスク」でこてこてに焦げ付いている昨今を背景にみれば、やはり露わなほど主 題「逆鱗」の訴求は必要なことであった。
建日子と一緒に観たのも、お互いに、よかった。松たか子、期待に背かない力演で、しかも演技にゆとりも静かさもちからも漲っていた。
* はねたあと芸術劇場の近くの地下に、大きな生け簀のある広い生魚店に入り、たっぷりと山盛りの刺身などを堪能した。今夜は建日子も飲めたし、よく食べ た。池袋というのは、我々にも建日子にも最も出逢いやすい場所。閉店の十時半まで、心地よく食べかつ話して楽しんだ。黒いマゴにも肴のお土産を忘れなかっ た。
2016 2/13 171
* 起床10:05 血 圧125-54(55) 血糖値100 体重67.6kg
2016 2/14 171
* 起床7:30 血 圧139-70(58) 血糖値77 体重67.5kg
2016 2/15 171
* そぼふる雨の中、歯医者へ行ってきた。少し下の歯がいまぶん落ち着いている。行くまでは食べるたびに、食べなくても、簡単に落ちた。少しは落ち着いて 貰いたい。帰りに「中華家族」で。わたしはマオタイ。妻はいろいろ。いつも杏仁豆腐をおしまいにサービスしてくれるのが冷たくて快い。
朝日子の小さかった頃いらいの歯医者さん通い。半世紀を優に超えている。江古田駅前もすっかり変わった。
2016 2/15 171
* 起床7:45 血 圧156-74(54) 血糖値90 体重68.0kg
2016 2/16 171
* 「湖の本130」入稿直前まで用意を進めた。もう、眼がダメ。
2016 2/16 171
* 起床9:00 血 圧134-72(56) 血糖値97 体重67.5kg
* 「湖の本130」創刊三十年記念原稿を入稿した。キャッチボールのボールはいま、みな、印刷所の側へ行っている。反動で、仕事の大波が来る用意をしてない と、きっとヘバる。発送も、相次いで迫ってくる。とにもかくにも、今年の桜桃忌が、おおきな中仕切りになる。その辺で息もつぎたい。
* 選集第十一巻分の支払いを銀行で済ませてきた。往復、二人で歩いた。もう何年も往復歩いたことはなかった。往きに、喫茶店ペルトのとなりに饂飩やが出来ているのを見つけ、昼食に入った。唐津のやきものを気持ちよく飾った店で、いい出汁、うまい饂飩だった。気に入った。
2016 2/17 171
* 機械の前でつかれて居眠りし、倚子からずりおちそうに尻が痛かった。眼を覚まして、機械からは横向きに、このごろ見つけたら取り出し紙袋に分けて、書 きかけながら始末を付けていなかった作や、関連の詳細な創作ノートをさまざまに積み上げた書き物の類を、また散逸しないようにとどこかの抽斗へ一括したい と思いつつ興にもひかれて点検していた。
2016 2/17 171
* 起床9:00 血 圧135-67(53) 血糖値99 体重66.8kg
2016 2/18 171
* 起床9:00 血 圧138-56(52) 血糖値93 体重67.0kg
2016 2/19 171
* 夕食後、食卓の前で昏睡したように眠りこけ、遁れるように寝床へ潰れた。
朝か、まだ暗いな、妻も黒いマゴも起きたのかなと錯覚。十時半だった。
ぐっすり寝入って目覚めたときの視野はウソのようにクリアで、生まれ変わった気がして、じつに嬉しい、が、すぐ混濁して行く。強度の眼精疲労か。
2016 2/19 171
* 日付が変わる。なんとなく休息に近い一日であったか。そうでもないか。
2016 2/19 171
* 起床8:45 血 圧132-71(63) 血糖値82 体重66.7kg
2016 2/20 171
* 命が惜しくなったわけでないが、鬱勃として胸でも腹でも末期の噴出を期して疼いているいろんな「作」の動機に向き合っていると、もう、やすんでなどいては間に合わないと思うようになっている。これは焦りとはちがう。命との直面である。
2016 2/20 171
* 今晩はバッハのピアノ協奏曲をくり返し聴きに聴いていた。今も第五番。目がダメなら音楽が楽しめる。くだらない映画やドラマより遙かに純粋に楽しめる。音楽にかかわる知識などまるで持ち合わせないが、佳いなあと没入でき、それで十分。もう十一時半。
2016 2/20 171
* 起床8:45 血 圧142-69(60) 血糖値88 体重66.8kg
2016 2/21 171
* 本の納品を大量に受け容れるには、東棟玄関を明けて残本を西棟へ運び、西棟玄関を明けるために玄関に積んだ選集、湖の本を書庫へ運び込み、また二階へ 運び上げて位置を記録して保管しておかなければならない。これは相当腰や背筋へ堪える重労働で、湖の本本25部一包みだけでも重いのを、二包みは抱えて巻 によりそれぞれの位置へ移動させる。
今日、それをし終えて、選集⑪と、追っかけてくる湖の本129の運び込みに備えた。いちばんきつい仕事を、とにかく曲がりなりに終えた。
次は、郵袋の注文。選集用は「十字架と呼んでいる大きいのを買いおかねばならない。湖の本には、一冊用と二冊用の二種類の封筒をそれぞれ幾箱も買って、 宛名やいろんな印を捺して発送に備えておかねばならない。荷造りと発送のすべても身体労働で、かなりの運動量になる。荷造りした六十册ぐらいな湖の本はダ ンボールに入れて廊下鳶を繰り返すのが常である。幸い選集の送り出しに二十日近い余裕があり、書いたり読んだり出来るのが有り難い。
2016 2/21 171
* 夜分、根気仕事に集中したが途中まで。疲れた。
2016 2/21 171
* 起床9:45 血 圧129-66(56) 血糖値98 体重67.08kg
2016 2/22 171
* 教徒の桐山恵美子さんから、千本玉壽軒の名菓「西陣風味」に据えて「和三盆」をたっぷり頂戴した。目下、糖尿の方は順調に正常値域を持している。お菓 子もお酒もしみじみ戴いている。食はあまり進んでいないが、むしろ抑えているというて良いか。はらの張りは辛いので、つい。
2016 2/22 171
* 昨晩來の根をつめた仕事を継続していて、もう殆ど機械のキイが掴めない。五時過ぎ。夕食へ降りて、やすむ。
* 十一時半。もう、機械から離れる。よく仕事をした、ただし楽しい方を。苦しい方は、お休み。
2016 2/22 171
* 起床9:00 血 圧132-65(60) 血糖値88 体重67.0kg
2016 2/23 171
* コン詰め仕事をいっそ一日中楽しんでいたが、目には堪えた。まだ終わらない。
* お宝鑑定を見ながら(テレビもよく見えないのだが)黒いマゴに輸液。わたしが膝に抱いて妻が注射。うまく行かないと液が外へ洩れる。かなり気を遣う。針を刺し損じると可哀想で、しかしナカナカ難しいのである。わたしは専ら話しかけて宥める役。大事に愛している。
2016 2/23 171
* 起床8:00 血 圧142-71(56) 血糖値99 体重66.9kg
2016 2/24 171
* ちょっと手違いがあってか、コンをつめた仕事を予定の倍近くも繰り返して、まだ終えない。眼は乾上がって、照明しているのにキイの字がよく見えない。やれやれ。
2016 2/24 171
* 起床10:00 血 圧138-67(60) 血糖値96 体重67.6kg
* 根を詰めた仕事、ひとまず、了。その途中、十一時二十分、急激に腹痛起き、あいにく妻が留守、連絡付かず、救急車をとも思いかけたが、堪えながらぬるま湯 を二杯、ゆっくり飲み下し、痛み和らいでやがて治まった。胃痙攣は胃が無いのだから無いとしても一種の痙攣であったのか、腸の捻転や閉塞を案じたが、ガス は抜けていたので、冷えかもと憶測しつつ飲んだ湯が利いてくれた。
* 胃癌を取る直前の一二年はきつい腹痛の断続にかなり弱ったが、胆嚢炎でもあった。胃全摘のついでに胆嚢も取り除いて、以来、以前のような腹痛は無くなっていたが、それでも、冷たい水や強い酒を含んだ直後に、いっとき、キューっと来る短い痛みは、時たま、感じてきた。
2016 2/25 171
* 何となく心身をやすませている、こういう余裕はありがたい。もっとも近年稀有の腹痛を体験したことは油断成らないが。
片付け仕事をしていると際限なく、結果として時間を費消している。やはり創る仕事へ貴重な時間と気力を宛てるのが良い。片付けるなどということは、もは やムリになっている。世にいうゴミ屋敷とはちがうが、むかし兼好に聴いて称讃していたような、身の回りにモノの無い、少ない清潔さとは雲泥の差の六畳間 で、ひたすら蟹歩きして過ごしている。それはそれで、とても温かいのである。しいつかこの部屋も消え失せることかと、ま、それまでは居心地よくモノに埋も れて生きていよう。なにも無い!と思えば、何も無いのである。無も空も、何もモノが無い意味ではない。
2016 2/25 171
* 起床9:00 血 圧138-73(61) 血糖値88 体重67.3kg
2016 2/26 171
* 昼過ぎて、あれこれのあと、思い立って堀上謙さんを訪ねようかと自転車で出たが、先日妻と寄った九州味の饂飩やに寄りたくなり、軍鶏肉の饂飩を食べ、 朗唱劇「なよたけのかぐやひめ」の校正などしているうち、遠出が億劫になって、すぐとなりの「ペルト」で珈琲にしながら相変わらずのマスターと気楽なお喋り を久々に楽しんできた。そのまま家へ舞い戻って、酒を飲んだり仕事したり。
仕事は夜へも経めぐって、もう十時半、眼も限界。
「ペルト」がいろいろ教えてくれたのを自信なく試みても、機械のあれこれには目的達せず、いま、我が家のパソコンは、わたしのも半身不随、妻のはネット利かす、というありさま。いかにも老い老いどうしてくれると、尻の持って行く先もない。
フエイスブック、手元に控えたアドレスを打ちこむと、「秦光平」さん「秦幸平」さんが出てくる。むろん私ではないが、通知のあったアドレスを以てしてアドオンを試みてそう なのである。ツイッターはどうなのか、手も脚もでない。
以前は盛んにわたしは書いていたのだ、双方へ。今はひとのものを読むことも出来ない。老い老 い、どうした。
2016 2/26 171
* 起床9:00 血 圧138-66(62) 血糖値97 体重68.1kg
2016 2/27 171
* 昨日自転車で出掛ける前、鏡をみるとうら枯れた蓬髪の白い髭面。有名な一休さんの肖像にちと肖てみえ、恐縮した。
2016 2/27 171
* 起床9:00 血 圧168-78(54) 血糖値96 体重67.0kg
2016 2/28 171
* 宅急便で床を出てから、三時間ちかくも床に座って校正していた。むそのせいで血圧の最初の測定値は182もあった。血圧は平静時に計らないと。三時間 も読み耽ったのは「湖の本130」の初校。これは、ひょっとして風変わり代表作の一つに成っているかも知れない、「選集」に入れて良いかも知れない。文学 の読書体験からすると、先ずは「作品」を味わい次いで「作者」を知りたくなる。選集は、後者にも応えたい。
2016 2/28 171
* 十一時、もう休もう。二月がもう二日ある。三月にはいって出来本の到来までに九日あるけれど、四日、八日としっかり出掛けねばならない。十一日、十四日にも用がある。ちりちり慌てないで静かに日々を迎えたい。
2016 2/28 171
* 起床9:30 血 圧134-62(57) 血糖値92 体重67.7kg
2016 2/29 171
* 起床10:30 血 圧141-64(64) 血糖値102 体重66.8kg
* 夜更かしして寝床で読書や校正をし、明け方五時六時に黒いマゴを外へ出して遣って、十五ないし三十分で帰ってくるのを家に入れてやる、と、そのまま起 床もならず、寝入ると目が覚めない。ま、寝入るのは健康法のうちと勝手に考えて容認しているが。午前の長い日の方が仕事は格別にはかどる。ま、成るように 成ればいいとしているけれど。
食餌の量を意図して減らしている。出来れば65キロ台に近付きたい。糖尿の今のままの正常値安定を持続したい。
2016 3/1 172
* 起床16:00 血 圧131-57(55) 血糖値81 体重67.0kg
2016 3/2 172
* 早起きのためか、夕方になって、疲れている。「選集⑬」責了、「湖の本129」責了。
予期通り「選集⑮」初校出。
此処まで来ればもう「選集⑫」送り出しが、当面の一山。十分ゆとりはある。よく用意し、時間をうまく紡ぎ出しては新作の進行に宛てたり遊びに出たいもの。ま、疲れて潰れぬようにするが。
2016 3/2 172
* 十一時。寝床へ退散して、何種かゲラを読み、本を読みたい。眠りが浅くなると疲れが増すが。
2016 3/2 172
* 起床9:50 血 圧146-67(55) 血糖値98 体重67.1kg
2016 3/3 172
* 今日も妻が整髪で留守のうちに、妙に暑さ負けのように一枚上衣をはねて作業中に、先日と同じ腹痛が現れ出て、先日と同じようにお茶をぬるくしてゆっくり呑み下し沈静させた。冷えか。
2016 3/3 172
* 起床8:00 血 圧146-69(54) 血糖値92 体重66.9kg
2016 3/4 172
* 起床8:45 血 圧148-67(56) 血糖値90 体重67.1kg
* 目覚めて直ぐ床に座ったまま一休の「狂雲集」等に関わる論文を読んでいた。そういう興奮後に血圧を測るとどうしても高い。何もしないうちに静かに計らねば。
2016 3/5 172
* 起床8:30 血 圧118-59(57) 血糖値98 体重66.8kg
2016 3/6 172
* いろんな、小さいとも用意とも謂えない大事な「補充」原稿を、かなり苦辛して、目も酷使して二つ、三つと片付けた。すっかり用意して、それで行くと決 めたものを、頁数の読みを慎重に全く別の原稿へ用意をし換えたり、なかなか緊張した。平行棒を歩かされたような揺れ揺れだった。ま、それなりに行方の見え るところまでガンバリつづけて、十一時になった。もう黒いマゴに輸液してやらねば。
* 目をつむって字の読み書きが出来ないものかなあ。
2016 3/6 172
* 起床9:30 血 圧138-67(64) 血糖値96 体重67.0kg
* 私語しているよりも、仕事している時間が長かったと謂うこと。がんばって、気がかりな、手の抜けない調整の仕事を、一つ一つまた一つと片付けました。決して雑用でなく、みな創って行かねば済まない仕事ばかり。
2016 3/7 172
* 少年時代のように新たな本への出逢いにドキドキしている、が、明朝は十時四十五分に聖路加眼科の諸検査を受けに行かねばならない。うまくすれば、正午前後には解放されると有り難い。
2016 3/7 172
* 起床7:00 血 圧132-59(58) 血糖値98 体重66.6kg
* 八時四三分のバスに乗り、聖路加へ十時前に入った。検査順調に済み、診察も簡単明瞭「いいですね。また半年後に」と。十二時五分前には病院を出ていた。
* 寿しの「福音」で、「八海山」ですこし贅沢にゆっくり昼食、もう、どこへという気にも成らず、新富町から保谷へ。「ペルト」で珈琲二杯、ゆっくり選集分を校正してから、歩いて帰った。妻も今日午後は地元病院で循環のいつもの診察だったが、帰ってきた。黒いマゴ、留守番してくれる。
2016 3/8 172
* 起床8:15 血 圧140-70(52) 血糖値97 体重66.7kg
2016 3/9 172
* 明日からの「選集」送り出しに備え、もう床に就いて、やすむ。
2016 3/9 172
* 起床7:15 血 圧139-68(63) 血糖値91 体重67.7kg
2016 3/10 172
* 妻もわたしも風邪気味で、妻の方は近くの病院で処方された風邪ぐすりを服している。インフルエンザ検査は陰性だったと。おちついて乗り切りたく、送り 出しの作業も前回の倍の時間・日数をかけて無事に終えたい。とにかくもこの六月桜桃忌、つまりは創刊満三十年までは、「選集」「湖の本」刊行がしのぎを削 るように進行する。
2016 3/10 172
* 体調ととのわず、九時、今日の作業は終えることにした。また、明日。とっておき「珠」さんに貰った絞りたての酒が美味い。この送り出しを終えたら飲み干し、もう一本は、十四日にとっておく。
* 終日荷造りしていたが、送り出せてはいない。澤口靖子の「科捜研の女」最終回、そして「NCIS 海軍秘密捜査官」とを楽しんだ。十時すぎ。もう明日のために休むことに。明日歯医者も、休もうと思う。
2016 3/10 172
* 起床8:45 血 圧139-68(63) 血糖値91 体重67.7kg
2016 3/11 172
* さ、昨日からの作業を続ける。
* 根気仕事でもあり、家の中で奥から表へ運ぶ力仕事でもあり、汚さぬよう、傷つけないようと、気疲れもする。もう九割がた終えているが、最後まで気は抜けない。気を張る疲れで眠くなる。
明日には、一応、予定通りに終えられそう、ただ、わたしも妻も、コンコン咳が出る。夕刻の予約をしていた歯科は、二人とも延期を申し入れてお休みした。
* 体を、はやく横にしてやりたい。
五年前の津浪の映像にいまも度肝を抜かれる。痛ましさよ。気の毒さよ。
それでも原発を無くそうと政府も電力会社も、財界も言わない。関連死者の数は増え、放射能危害はいくら隠そうとしても現れ出てくる、今後も、ますます。 廃炉にも半世紀はかかると言いつつ、的確な手だてすら成り立たないまま。大津地裁の高濱原発停止の仮処分は当然で、全国でこの判決に追随してほしいと願 う。
* マレーネ・ディートリヒとチャールズ・ロートンのおもしろい裁判劇「情婦」を観ていながら居眠りしていた。十時になった、作業は明日にのばしておいて、黒いマゴに輸液だけして寝入りたくなった。
2016 3/11 172
* 起床9:00 血 圧142-67(59) 血糖値88 体重68.5kg
* 「選集⑫」の送り出し用意を完了、夕刻までに郵便局の集荷がある。ほっこりと疲れている。
2016 3/12 172
* 帰国中のロスの池宮さんと辛うじて電話が通じた。こちらふたりとも間の悪い風邪気味で申し訳なかった。このところ電話まで不調であったが、すこしの間話せて良かった。送って戴いた「オールドパー」を独りでしみじみ堪能した。妻は風邪の不調で床にいる。
わたしも、明日一日の休養を頼みに、明後日の結婚五十七年を楽しむ歌舞伎座雀右衛門襲名興行に備えて休養したい。
* だめ。また機械の前で寝入っていた。ゆっくり休みたい。
2016 3/12 172
* 起床9:00 血 圧138-69(58) 血糖値86 体重68.3kg
* 本送りで風邪をこじらせたか、妻の体調よろしくない。明日の歌舞伎座へも行けそうにないと。ムリを強いたかと気が重い。
* わたしも夕刻まで、心身崩れて休んでいた。
* 歌舞伎座、断念。ご近所にお頼みして、代わりに行っていただくことに。
雀右衛門襲名の口上、聴きたかった。我當も出るというのに。残念なことになった。 2016 3/13 172
* 起床8:30 血 圧140-60(54) 血糖値91 体重68.0kg
* 結婚五十七年、 妻が風邪をこじらせ、歌舞伎座の雀右衛門襲名口上を断念、前二列中央の二席分をご近所の芝居好きな奥さんに差し上げた。雨、しとど。ま、こういうこともあるということ。わたし独りで出かけても意味のないことと断念した。
四月の、妻傘寿での歌舞伎座を楽しむとしよう。
* 朝ぬき昼の食事に、赤飯と豆腐汁と美味い酒とで、妻と祝う。
2016 3/14 172
* 気落ちのした記念日であったが、心のこもった高麗屋さんの豪奢な盛花に祝われ、有り難かった。
目が見えなくて困っている。十時半。もうやすもう。
2016 3/14 172
* 起床8:45 血 圧158-71(56) 血糖値85 体重68.7kg
2016 3/15 172
* 階下でしたい仕事があり、黒いマゴに輸液もしたい。十時まえだが機械を離れる。妻もわたしも、やや持ち直しかけている。
2016 3/15 172
* 起床8:30 血 圧146-66(57) 血糖値82 体重68.1kg
2016 3/16 172
* いやな再確認をしてしまった、なんだか時ならずクシャミを連発し、また妙に目尻などが痒くなると気付いて、これは数年ぶりにわたしの花粉症が、ここ 四、五年気色もなかった花粉症が戻ってきたのだと気付かされた。新世紀になって四年五年頃のわたしの花粉症は目へ集中して悲惨だったが、あれへ戻って行く かと思うと、抗癌剤一年に苦しんだのとどうかとイヤになる。その昔に眼科で出して貰ったアレルギーのための点眼薬が残っていた。古すぎるとは承知で使って みたりした。
* 十時過ぎ。機械での仕事は打ち上げ。階下へ降りる。
2016 3/16 172
* 起床7:00 血 圧153-67(58) 血糖値99 体重68.1kg
2016 3/17 172
* 押して、入浴した。もう今夜は機械仕事はできない。封筒へのハンコ捺しも、校正も、機械の前では出来ない。十時過ぎ。いつも実際に消灯して寝に就くの は午前一時半、二時になる。まずは床に座った姿勢で、校正を。それから横になって、バルビュス「地獄」、「砲火」、サドの「恋の罪」、ルソーの「散歩者の 夢想」、そして「水滸伝」 バグワン、さらに思い立ってまたバイアットの「抱擁」も読み返し始めている。強い照明で裸眼で読んでいる。翌日出掛ける予定が ないと、しんから寛いで読書や校正に没頭している。
2016 3/17 172
* 起床8:00 血 圧135-88(57) 血糖値99 体重67.0kg
* 保育園・保育士の致命的な不足・不遇、介護施設・介護士の致命的な不足・不遇。貧困の国家的な瀰漫と進行。税金の目に余る無駄遣い。政権・与党の傲慢と怠慢。利権に狂奔の独占企業。実質賃金の低迷・低下。衆愚化政策の浸透と青少年大半の痴呆度拡大。
新聞もテレビも口を揃えながら、しかも上記の国家的国民的現象をむしろ助長・助勢している。
余命は無いのだ、そんなこと考えるなと内心の呟きを聴きながら、情けない。 2016 3/18 172
* 起床9:30 血 圧123-60(62) 血糖値109 体重67.0kg
2016 3/19 172
* 起床7:30 血 圧129-60(60) 血糖値96 体重67.2kg
* 散髪屋の鏡に白髪蓬々 白髯蓬々 のひどい面相、おどろいた。一時間で見違えるほどサッパリした。よしよし。久し振りに、街か、郊外かへ出掛けたくなった。
2016 3/20 172
* バッハの協奏曲をグールドのピアノで聴き、いまはチェロの独奏で聴いている。悠然でも茫然でもなく、目疲れを、うたたね半分にやすめている。とにか く、私の仕事の大半どころかほぼ全てが「読む」行為を伴う。それも「機械」画面でか「書物」「校正紙」にほぼ尽くされる。機械は照り、本やゲラの字は小さ い。
しかしわたしの「機械」には、文字どおりもの凄いほどの量の原稿や資料が入っていて、そのほかに音楽と写真がたくさん入れてある。写真は目疲れには効用 がうすいが、音楽は大いに助かる。声楽も器楽もたっぷり。それも気恥ずかしいほど選りすぐってある。男声ならパパロッティ、女声ならマリア・カラスといっ た按配。グノーの歌劇「ファウスト」、それに選曲した「ひばり」、倍賞千恵子や小鳩くるみの唱歌。そうそう謡曲も平家琵琶も入れてある。ききながら寝入れ るならそれも有り難い。やすみやすみ、仕事。それに限る。
2016 3/20 172
* 起床8:00 血 圧135-63(55) 血糖値90 体重68.3kg
2016 3/21 172
* 花粉のせいか、この寒む気とクシャミの連発は。夜来の風邪ぎみなのか。
2016 3/21 172
* 起床8:40 血 圧145-61(58) 血糖値86 体重68.0kg
2016 3/22 172
* 起床8:00 血 圧136-66(63) 血糖値91 体重67.4kg
* 「湖の本130」創刊満三十年記念巻を「要全念校」で戻した。出来る限り遺漏のない刊行へこぎ着けたい。
* 花粉での嚔・洟に閉口、風邪ではないと思う。
2016 3/23 172
* 起床7:30 血 圧129-54(57) 血糖値89 体重67.5kg
* 強烈な洟花粉。まいる。だが目の痒いよりはいい。目は、四種類の点眼でいくらか助かっている。点眼の嬉しくない広く見ての副作用は、目のふち が薬ヤケして赤らむこと。そういう目の縁の人をイヤだなと目を逸らせていた事もあったのに、あの人も目薬人であったのかと思い当たる。やれやれ。
2016 3/24 172
* 起床8:30 血 圧149-67(61) 血糖値85 体重67.2kg
2016 3/25 172
* 起床9:30 血 圧145-69(57) 血糖値86 体重67.6kg
2016 3/26 172
* 起床9:00 血 圧139-72(58) 血糖値94 体重67.1kg
* 岐阜各務原市の詩人山中以都子さん、お心入れの名酒「三千盛」二升を下さった。有難う存じます。金沢市の作家金田小夜子さんは、お手紙とともに妻傘寿へ有り難いお祝いを頂戴し、お酒の肴にと珍品の干物を何種も頂戴した。三千盛がひとしお美味しく戴けた。
2016 3/27 172
* 起床10:30 血 圧122-51(55) 血糖値92 体重67.4kg
2016 3/29 172
* 起床8:00 血 圧125-62(61) 血糖値98 体重66.8kg
2015 3/29 172
* 起床6:30 血 圧129-75(61) 血糖値91 体重67.3kg
* 六時に黒いマゴを外へ出してやり、また入れてやって、そのまま「水滸伝」など読んで起きてしまった。花粉のくしゃみ十連発。ウウ。
2016 3/30 172
* 駅近く、珈琲の「ぺると」の隣に出来た唐津ゆかりの「うどん」店が気に入り、今日の午後にも自転車で一走り。軍鶏肉のうどん、サービスよく肉がころころと沢山、美味かったが腹も張った。
* 明日は花見に出ようかと妻と話している。七日からの「湖の本129」三十年記念の(一)、発送用意はもう出来ている。引き続いて「選集第十三巻」も出来てくる。
* 腹がしくしく、痛む。神経か。
このごろ、寝ていてもはっきり夢と分かる夢より、眠れぬ儘に仕事の行方を具体的にあれへこれへと思案している「夢」をよく見ている。目覚めてはいないの だ、眠っていながら実感がなく、思案に耽っているらしいのである。かなり生き急いでいると思うが、ブレーキをかける気になれない。寿命をなど過信していら れない。
一つには、どうしても登って越さねばすまぬ、通り過ぎねばならぬ暗い「関」らさしかかっている。愉快にばかりは歩いていられない道程がある。仕方がない。
2016 3/30 172
* 起床8:30 血 圧135-66(56) 血糖値88 体重67.5kg
* バスで駅前へ。銀行から、凸版と暁会へ払い込みを終え、好天を楽しみゆっくり遠回り気味に花をたずねたずね、歩いて帰宅。まだ保谷の桜はせいぜい四分咲きほど。
機械の前へ来ていたが、そのまま居眠りしていた。もう四時。のんびりと謂うか。
* 歯が痛く目は霞みおなかも不安定。なにが、のんびりですか。
2016 3/31 172
* 起床10:00 血 圧130-62(61) 血糖値92 体重66.6kg
* 痒眼、洟嚔。へんに熱っぽいが。
* しんどい仕事をしている午後に、妻が、胸の骨がポキっと音して、痛いと。
近くの病院へ一緒に歩いて出向いたが、整形外科の外来のない日で、仕方なく、むしろ家からすこし近くに近年出来ていた新しい医院へ。
幸い、顕著な症状はレントゲン写真で窺い見えず、貼り薬をもらって、しばらく静養、来週またの来院をと言われた。やや愁眉を開いた、が、とても心配し た。痛みは鎮まっている。この五日の祝い日を目の前に、どうかどうか粗忽な怪我はあってならない。力仕事をひとりで利金でし続けたりしてはいけない、呼ん でくれればよい。
家に若い力、嫁の手助けなどが全く求め得られない現実を、よくよく認識しながら傘寿が寄り添いせめて怪我無く生きて行くしかないのだ。体力を過信して多寡をくくっては悲劇を招く。
2016 4/1 173
* 起床6:00 血 圧124-66(62) 血糖値86 体重66.7kg
2016 4/2 173
* さぼっていたが、ひさしぶりに江古田の歯科へ。身がもてば、その脚で花見にと思っているが、ムリはならない。
2016 4/2 173
* 起床10:15 血 圧110-57(64) 血糖値86 体重67.5kg
* 目は霞み歯は浮き、疲労は濃い。それでも仕事はわたしを呼び続ける。ときどき居眠りでも良い休むに若かず。
いまは「選集⑬」送り出しの挨拶を刷りながら、ベートーベンの悲愴を聴いていた。幸い耳に問題は無い。
2016 4/3 173
* 仕事しているとつい歯を噛みしめていて、おかげで右奥下の歯茎が腫れていたい。やれやれ。
2016 4/3 173
* 起床8:00 血 圧139-63(58) 血糖値99 体重67.3kg
* 終日、一つの仕事を苦渋を噛む心地で続けていたが、ながもちしない目をやすめるためには階下で、小津映画の「晩春」を、午後に晩に二度観た。 やはり原節子、柳智衆、杉村春子、三宅邦子、それに珍しくも懐かしく月丘夢路が、ほかでなら岡田茉莉子のやるような役をみせてくれた。「小父様」役のあれ は潮万太郎かな、めず西区とてもいい役でいい味をみせてくれた。
それにしても終幕の柳智衆父親の声なき慟哭には胸の奥を削られる気がして泣けた。
女の子を育てるのは、ほんと、つまらない。つまらなかった。
2016 4/4 173
* 起床6:00 血 圧154-68(58) 血糖値90 体重67.3kg
2016 4/5 173
* 起床8:00 血 圧132-66(54) 血糖値95 体重67.3kg
2016 4/6 173
* 仕事がすすむと目が霞む。どれだけかじっと目をやすめていると元へ戻るが、仕事しはじめるとまた霞んでしまう。やすみやすみヤレという摂理の命令と心得て従うしかない。
* 「湖の本129」刷了見本、「湖の本130」三校、「選集14巻」三校、「選集15巻」再校、ダンボール箱に満杯で届く。投げてあったポールが、みん な投げ返されてきて、また当分、たいへんな騒ぎです。まずは明日から「湖の本129」の発送。今度は、妻に胸部の痛み有り、重荷の仕事はわたしが独りです るしかなく、ゆっくりと送り出すしかない。
発送用意は、しっかり出来ている。
2016 4/6 173
* 起床8:00 血 圧127-57(61) 血糖値96 体重67.3kg
* 九時過ぎ、雨中、「湖の本129」納本、今朝は20册一包の玄関へ積上げの作業に疲れた。
今回、妻は胸に痛みを抱えているので、重荷扱いの手伝い仕事はムリ、全部自分で遣る覚悟で発送に取り組む。幸いというか、今日は近くのクロネコやまとが超忙しい日といい、うちの出荷は明日からに願うと頼まれている。今日は荷造り専念で過ごせる。十時になった。開始する。
* ぶっとおしで、読者分の荷造りだけはでき、幾らかはクロネコさん運んでいってくれた。
2016 4/7 173
* さ、湯に漬かって、昨日山のようにダンボール箱いっぱい、まだ一包み剰って届いたゲラを読みましょう、眼が見えるならば。
* 浴後、「NCIS」を見ながら、寝入ってしまった。
一つには、雄町米を用いた「極大吟醸」の米の酒「桜室町 室町時代」があまりに美味くて、とめどなく呑んでしまうからで。岡山のとくべつ美味い酒で、この分では三日ともたずに一升飲み干してしまいそう。
* 昨日も今朝もその前も朝が早かった。寝床でゲラを読み「水滸伝」を読んで、心地よく寝入りたい。
2016 4/7 173
* 起床8:00 血 圧126-57(58) 血糖値96 体重67.0kg
* 晩の九時まで、ひたすら発送作業。
たぶん、宅配の引き取りこそ明後日になっても、荷造りは明日のうちに終えるだろう。日曜には、プランと遊びに出られるかも知れない、花吹雪すらもう過ぎていようが。
* あと、苦渋を噛みしめながら原稿の読み。
* 精神的に、へとへと。今回の発送では、腕車使用を避け、じかに力仕事で本を運びに運んだ。ダンボールに荷造りした六十包一箱ほどを、床から持ち上げて は何度も何度も何度もキッチンから玄関へ運んだ。腕力はともあれ、腰椎がへしゃげそうに重かったが、がんばれる限りはやるしか無い。
幸い、妻の胸骨痛は、医者の再診できややに軽快しつつあると。よかった。
* 早く横になって「水滸伝」か、届いた「三田文学」を読もう。いやいや、やはり校正するか。
2016 4/8 173
* 起床7:00 血 圧134-62(52) 血糖値90 体重68.2kg
2016 4/9 173
* さ、今日の仕事を始める。
* 今日の、今回の発送作業、つつがなく終えた。ほっと一息。
2016 4/9 173
* まだこんなに力が出せるかと、危ぶむも半分、ガンバッタが、ほつこり疲れもした。
これで五月連休あけ「選集⑬巻」発送までは、創作や校正に力がさける。気分、ゆっくりしたい。
2016 4/9 173
* くろいマゴの輸液もすませて、そろそろ十時半。からだを横にしたい。朝から夕方まで、力仕事に終始した。よく働いた。
* あすの天気はどうかしらん。気が向けば、ふらっと独りで電車に乗ってみたいが、校正ゲラを持って。それともひさしぶりに電動自転車で多摩川か荒川を見にゆこうか。疲れて転倒はしたくないからなあ。
それとも小説のつづき、書くか。
2016 4/9 173
☆ 今日は
本の発送作業にお忙しい時を過ごされていると察します。
かなりご無沙汰してしまいました。さまざま気力なく、そう書くのは体調にめげず頑張ってらっしゃる鴉に対して失礼でもあり、顔向け?できないのですが・・。
桜も散る日々ですが、わたしの庭の桜は漸く蕾の紅がほころび始めました。
シドッチの遺骸のこと感激しました。
発見された場所は現在マンションのパーキングスペースの端になっているようでした。せめて石碑など建立できないものかと思います。
それから最近の記述の中で、女の子を育てるのはつまらない、つまらなかった…というくだりがありました。鴉の複雑な思いがあることは重々知りつつ、それでもそう断言しませんようにと敢えて書きます。
わたし自身も遠い昔に女の子であったし、娘二人を育てました。必ずしもつまらないとは限りません。
どうぞ無理なさらず、本当にお体大事になさってください。
もう少し元気になってからメールを書きます。 尾張の鳶
* 仙台の遠藤恵子さん(東北学院大名誉教 授)、仙台名物の、はなやいだ名菓のような蒲鉾を、色とりどり沢山下さる。桜室町をしみじみ三日半で飲み干し、いま越乃寒梅の無垢純米吟醸酒が、また、し みじみ美味い。「選集⑭巻」を明日「責了」にしてもいいほどに三校した。この巻は「とっておき」自愛の一巻になる。
2016 4/9 173
* 起床7:30 血 圧138-68(61) 血糖値92 体重67.5kg
* ともすると機械の前で腰かけたまま寝入っている。睡眠が足りないのでなく、疲労を溜めているのだろう。仕事の上でクリアしたい問題もいま幾つか抱えていて ラクではない。重い。ときどき胸をつかまれる気のすることもある。頸筋が、凝ってか、痛む。結局は眼の過労から来ているのだろうと想う。眼を労るには寝て しまうのが最適。朝に目覚めてすぐ緑内障のための点眼直後の視野の明るさ、クリアにこまやかなこと、ウソのようである。悲しいかな、半時間とそれが保てな い。やれやれ。
* 倚子のまま、また寝ていた。目の前にお正午(ひる)が来ている。やれやれ。
* 今日はよくよくとみえ、つぶれるように寝入ってしまう。
それでも、五百頁ちかい大冊の選集「十四・十五」両巻の再校、三校ゲラへの赤字合わせを終えた。「湖の本130」の三校めも読み進んでいる。
さらにこれも大冊の選集「十六」巻入稿原稿を、ほぼ読み終え、「あとがき」を用意している。
2016 4/10 173
* 眼が霞んで、歯が浮いて、手先が痺れている。ぐっすり寝入りたい。
2016 4/10 173
* 起床7:30 血 圧131-62(51) 血糖値96 体重67.6kg
2016 4/11 173
* 起床9:30 血 圧137-67(58) 血糖値84 体重68.1kg
2016 4/12 173
* なにとも知れず、ボヤンとしたままあれへこれへ手を出している。疲れ果てているのかも知れないが、ボヤンともしていられない。歩みを止めたら倒れるだろう。
* 気散じに後撰和歌集の恋の歌を書き写していたが、あのりに面白くてかえってつらくなった。
目の玉が深い霧の底をおよいでいるあんばいで、何を仕掛けても永くはできない。きしきしと目の玉が痛んでくる。
2016 4/12 173
* 起床8:30 血 圧136-63(56) 血糖値90 体重67.5kg
2016 4/13 173
* 今度の発送では、手順違えと眼の見えなさとで、いろいろ書いたり挟んだりを間違えていそうな不安がある。間違えてたら、遠慮無く仰有って下さい。 2016 4/13 173
* 体力をいたわり保ちつつ、気力豊かに、落ち着いて奮励するだけの老の坂道。
自転車にかなり驚いて下さる。いまも郵便局へご注文の本を送りに自転車でかなりの坂道を往復してきた。転んではいけないので、或る程度の速度を維持して走る。ハンドリングには不自由感はすこしも無いが。八十で自転車が便利という暮らしは予想もしなかった。
2016 4/13 173
* 夕飯後の腹具合よろしからず、二時間近く寝ていたが、ムカムカ感、失せず。食べるとシンドイとはつらいもの。たしかに空腹に堪えているような時、心身、シャンシャンしている。やれやれ。
2016 4/13 173
* 起床8:45 血 圧133-63(56) 血糖値101 体重67.9kg
2016 4/14 173
* 起床9:45 血 圧106-55(70) 血糖値94 体重67.8kg
2016 4/15 173
☆ 今年の花は
近くの目黒川の水上から楽LみまLた。
いつもながら「湖の本」をご恵投いただき、有難〈お礼を申し上げます。
長いあいだ医者の言うままに不整脈予防で服用L続けていました血管拡張剤が効きすぎたようで、徐脈状態となり往生いたLまLた。体力の養えや体質の変化 など生身の人間ですから、いつも「従前通り」で良いわけはありませんね。薬を止めたお蔭で現在は平常に復しまLたので他人事ながらご安心ください。
「ボンシャン」の席がうまく空いていることを願っております。
私も自転車は大好きで常用Lておりますが、最近の若いお母さんたちの電動自転車はかなりのスピードがあり、走行も乱暴なので、くれぐれもご用心ください。
取り急ぎお礼まで。草々 エッセイスト 敦
* 医療で異常をもらってくるという感触は捨てきれない。信頼しつつほどほどに自身の勘や生気を大事にしたいもの。
お母さんやおばさんの自転車は、ことに歩道へ相乗りの自転車は実にあぶない。子供を乗せていると危険は倍加する。緊急にブレーキをかけたり、脚を落とし て停車したりが出来ず、人中へもスピードで突っ込んでくる。バス停でバスを待っているとは、歩道が坂になっていたりすると危険極まりない。前後ろに子供を 積んで、ゆっくり自転車を走らせたり急停車するのは、膂力の足り成すお母さんにはムリが有りすぎる。
ケイタイやスマホで自転車を歩道に走らせる人には怒りを覚える。
なににしても八十病後のわたしが自転車をむしろ楽しんでいると書いたので、大勢の方にご心配かけた。
2016 4/15 173
* 今日は機械の負担を分散させようとデスクトップに群集していたフォルダやファイルをあちこちへ整理しながら、書きかけの小説「清水坂(仮題)」と組み打っていた。面白く書けるはずなのだが、もう幾押しかして作世界に味を浸ませたい。
午前中はまだしも午過ぎると視野が霞んで、ムリにムリに強いて字を読んだり書いたりしなければならない。
2016 4/15 173
* 十時前だがもう眼が、何もさせてくれない。
2016 4/15 173
* 起床9:15 血 圧140-66(52) 血糖値89 体重67.7kg
2016 4/16 173
* 起床8:00 血 圧105-68(60) 血糖値98 体重67.5kg
2016 4/17 173
* 明日は朝から暫くぶりに病院へ。診察のあと、出来うれば何処かで楽しみたい。
今夜は、はやめに、心身やすめたい。
坂村教授に戴いた『毛沢東の赤ワイン』がなかなか面白い。そういえば、ずっと以前に坂村さんから瀟洒な感覚のワインを戴いたことがある。
2016 4/17 173
* 起床7:00 血 圧134-72(58) 血糖値108 体重66.8kg
* 聖路加病院の予約診察日。校正ゲラとバルビュス「砲火」をもって出かける。
なにもかも、どこもかも、平安に。
* 処方箋をもらったあと、銀座三笠会館でキールロワイヤルの肴にパスタ少し。食欲薄く。あと、向かいのビルの地下でコーヒ-。
校正しながら、丸ノ内線、西武線乗り継いで、帰宅。それでも食欲さして動かず。少しのワインで睡魔が寄ってきた。
2016 4/18 173
* しばらくぶり、と謂うよりも少々久しぶりの病院だった。妙に暑い日でもあった、聖路加の院内は冬でも十分暖かく、戸外の気温にあわせた格好だと、院内が暑すぎて草臥れることがある。
大病のあと食が進まないのが、進むとかえってしんどいのが、困る。今日も、キールは美味かったけれど、イタリアンの麺は全部は食べきれなかった。
街が妙に珍しかった。しかし、花の賑わいも終えたこと、静かに優しいところへ行ってみたいもの。蟹歩きをしいられる大きな混んだ美術館もつらい。
* 十時。黒いマゴの輸液を済ませたら横になって、「水滸伝」を気楽に読もう。坂村教授の「毛沢東の赤ワイン」もとても面白く読める。
そういえば、夜前はうまい日本茶を数重ねて飲み、おかげで夜中にめざめて明け方まで本を読んでいたのだ、すこしあれは堪えた。
2016 4/18 173
* 起床8:00 血 圧142-63(55) 血糖値86 体重66.8kg
* 終日もたもたと捜し物して見つからぬ儘に草臥れている。
2016 4/19 173
* 食べれば食べるほどシンドクなるというのは、まことにつまらない。ついアルコールへ手を出している。胃袋の機能というのはたいしたものであったのだ。
2016 4/19 173
* 目さえクリヤなら喜んでする仕事が出来ない。とても長くは続けられない。
* 平凡社の「日本史大事典」の「天皇」の項、まことに興味深く、これから昭和の戦時に入る。「事典」は気を入れて読みに掛かるとなまじっかの単行本より もはるかに効率よく核心に触れて行ける。ただ字が小さくて。いまわたしの七八つある眼鏡はどう取っ替えても、よく読ませてくれない。いきおい二度の校正を 三度することになり、ますます疲れる。
はれやかな旅がしたいなあとつくづく思うものの、九州の惨状を見知るにつけて、とてもとてもと諦める。
2016 4/19 173
* 起床8:30 血 圧126-64(60) 血糖値84 体重66.9kg
2016 4/20 173
* 午すぎ、処方薬を薬局へ受け取りに出かけ、ちかくの気に入っているうどん屋へも寄る気だったが食欲がなく食べれば気持ち悪くなる気がしたので、隣り店 の「ペルト」で珈琲をのみながら持っていた校正ゲラを読んできた。食べたくないとは、ツマラナイ。月曜、三笠会館イタリアンの洋麺、美味くはあったのに少 し残してしまった。池袋駅で「京の」と売り言葉の好きな「わらび餅」を買って帰って、すこしだけ食べたのだった。
今日も結局、ワインとビールでボーロを摘んでいたりした。
2016 4/20 173
* 起床9:30 血 圧137-60(64) 血糖値97 体重66.9kg
2016 4/21 173
* 起床10:30 血 圧127-73(64) 血糖値93 体重67.0kg
* 寝起きの視野の明るくこまやかに清潔なこと、一日の至福。びっくりするほど、視える。なんとか、いい力を借りてこの清明の一時間でも永く続いてほしいが、坂道をころげ落ちるように視野が霞んでくる。あーあ。
2016 4/22 173
* 漱石原作「こころ」も読み始めている。だれもが下巻「先生の遺書」を大事に語ったが、わたしは初めて読んだときから上巻「先生と私」を熱い気持ちで読みに読んだ。
九時半、もう機械向きに目が働かない。
階下でやすもう、寝床に座って明るい照明でゲラや本を裸眼で読むのも慣いになっているが。少し気楽にテレビの録画番組を観てもいい。
2016 4/22 173
* 起床9:30 血 圧132-69(61) 血糖値101 体重67.3kg
* 晩の十時になって、今日は日記を書き込んでなかったと気が付いた。それほど、いろんな仕事をしていた。戯曲「こころ」を読み、鐵斎を読み、「原稿・畜生 塚」(新潮に公表した同題作の私家版本初出原稿)を読み、「蘇我殿幻想」についでシナリオ「懸想猿」正編を読み、新作の小説を書いてもいた。長編の方、も う仕上がりとしても佳いのだが、少しまだ気にかけている。
そんなこんなで、視力を労りながらも、肩がキツク凝るほど頑張っていた。ま、いいでしょう。
2016 4/23 173
* 黒いマゴの輸液まで、もう少し書きかけの作を読み継いでみる。今晩はまだ機械の字が読めている。
2016 4/23 173
* 起床8:15 血 圧135-64(59) 血糖値84 体重67.2kg
* 「畜生塚」の原作を読んでいる。ときおり目尻が濡れてくる。
2016 4/24 173
* 富岡鐵斎を、いとも面白く思い思い考えながら、京都という風土のタチを味見していた。
もう七時。食欲がちっとも動かない。食べずに呑んでばかりだと、からだにこたえるが。
* 明日午後は、感染症内科の診察日。血液や尿の検査をしに行くのであり、幸いこのもう四年、何の異常もなく、主治医の先生と対話に行き、四種類のビタミ ン薬を処方して貰うだけになっている。それでいいと思っている、かなりの待ち時間をかけるのだけれど、「歩く」というメリットもあり、気分も変わる。幸い 明日は晴れ間があるらしい。
* 輸液も終えた。十一時近い、もうやすむ。
2016 4/24 173
* 起床8:00 血 圧148-68(60) 血糖値86 体重68.1kg
* ひどい夢から目覚めることで遁れた。自身の内に巣くった地獄を半世紀の余もむかしにシナリオ「懸想猿」で吐き出した。だが、心奥の地獄は失せずにあるの か。鬱勃としたものがとぐろを巻いていて、夢に現れる。作者としては幸せな道を歩いてきたと思っているが、人としてはどうなのか。わからない。なにが不安 なのか。
仕事に励んで通り抜けて行きたい。存外に、わたしの精神年齢が幼稚というだけのことかも知れない。
* とにもかくにも、今日は病院。「猿の遠景」を持ち歩く。「水滸伝」の九冊目も。
2016 4/25 173
* なんとか帰ってきたが、疲れた。保谷駅へついたころ、少し胸苦しくなりそうであったが、堪えてタクシーに乗れた。
検査と診察とには何の異常も認められず、腎臓も肝臓も血糖値も問題なかった。それでも疲れたのに病院を出、薬局を出てから、銀座まで稲妻なりにうろうろ と歩いて、何を食べたい場所もなく、銀座一丁目から池袋へ戻った。あまり空腹も悪しいかと、八階へ上がり銀座アスターで中華懐石風料理をコースで。紹興酒 を200㎜。満腹した。「猿の遠景」を全部読み終え、水滸伝も読み、帰ってきた。
もう八時過ぎている。
2016 4/25 173
* 十時前だが、やすもう。
2016 4/25 173
* 起床9:00 血 圧134-70(57) 血糖値87 体重67.7kg
2016 4/26 173
* 相撲茶屋の竹蔵くんから、はや夏場所の番付が来た。「ホウ」と気合いで敢闘大勝ちした琴勇輝と男前の勢が東西の関脇へ上がってきた。妻が横抱きにされて写真を撮った怪我の遠藤が、辛うじて幕内へ復帰してきた。
観に行くとしても、こちらの体力からして、最後になるかも。五月八日初日。
2016 4/26 173
* 十一時過ぎた。もう機械からは離れよう。
2016 4/26 173
* 起床8:15 血 圧132-57(62) 血糖値89 体重67.0kg
2016 4/27 173
* 起床9:15 血 圧137-57(68) 血糖値97 体重68.1kg
* いやみな妙な夢を明け方から目覚の前までに、よく見る。がっくり疲れる。
* むかし「畜生塚」を書いていた頃は「夢」一字に深く身を寄せていた、らしい。作を読み返していて分かる。
いつごろからか、夢を疎ましく嫌い、いっそ憎むようになった。
* 一日中、順序よく、つぎつぎに仕事、休んでは仕事、ときどき、からだが痛むほど半端な姿勢で居眠り。霞んだ視野。力感のうせたからだ感覚。働いているのは 気だけ。いろいろに考えて妻のつくってくれる食べ物なのに、たくさんは食べられない。食欲に覆い被さるように眠気が総身を包んでくる。ゆっくり休んだ方が いいのだと思う。
* 「選集第十四巻」の本紙責了。函の表紙のみ、未了。
* なんとなく全身、疲れている。戯曲やシナリオ原稿は、科白、ト書き、情景、間などの「表記」に気配りしないと、読みづらい。ていねいに進めると時間も かかり何より視力が痛む。参る。しかし面白くもある。ほんとは戯曲をもう少し書いてみたいのだが、レーゼドラマだけれど。つまり小説を戯曲の形式を借りて 書くのである、かつて大正期の潤一郎のように。
2016 4/28 173
* 起床9:15 血 圧128-56(65) 血糖値86 体重68.4kg
2016 4/29 173
* 連休に入る。その方には縁がない。五月二日月曜午後には、聖路加で内分泌の検査を受けてくる。三時までには終えているだろう、少しブラつけるといいが。
連休明け月曜の六日には、かなり分厚い「選集第十三巻」が出来てくる。送り出しは、ゆっくり構えてからだの負担にならぬようにしたい。
出かけもせず家にばかりいて仕事づくめに過ごしているのが、ラクはラクでも、体に良くないらしき実感がある。
2016 4/29 173
* 起床10:15 血 圧127-59(61) 血糖値96 体重68.0kg
2016 4/30 173
* 起床6:00 血 圧141-81(58) 血糖値101 体重66.9kg
* 夜前、就寝前に珈琲を二杯も喫んでしまい、夜中三時頃より目覚めてしまい、サドの「恋の罪」バイアットの「抱擁」バルビュスの「砲火」そして 「水滸伝」をそれぞれ二度ずつ手にしてよほど読み進み、結局寝付けなくて六時に床を離れてしまった。先日にもおなじ事があった。カフェインに弱くなってい るなり掛けました。
2016 5/1 174
* 明日はまた、病院。寝が足りなかったので、今日は小刻み機械前でのうたた寝に終始した。
入浴し、はやく寝みたい。
2016 5/1 174
* 起床8:00 血 圧122-58(72) 血糖値88 体重66.6kg
* 聖路加へ。今日は糖尿の検査など。胃全摘後の糖尿は飛躍的に改善され、朝前の検査ではいつも正常値それも100に達しない。しかしインシュリン注射は続けながらの話である。日に三度四度の自分でする注射は、何の苦でも面倒でもない。
2016 5/2 174
* 内分泌科の検査、異常なく。三時半には薬局で処方薬も手に入れ、築地玉寿司本店で美味い酒で上手い刺身を楽しんだ。山口の「獺祭」純米特大吟醸、一合 千八百円、しかし飛びきり美味い。ここは銚子でなく色ガラスの大カップで酒を出してくれる。猪口に手酌より味わいやすい。酒が美味いと特出しの刺身味が美 しいほど冴える。あとすこし握ってもらい、上がりにはきまりの玉を切らせて、ご馳走様。
ゆらりゆらりと杖をついたまま銀座一丁目まで歩いて、一気に保谷まで帰ってきた。持ち歩いていた選集の「校正」もみんな読み上げて、天気も宜しく、行楽感覚で結構な通院日であった。
2016 5/2 174
* 起床8:50 血 圧121-53(77) 血糖値86 体重67.1kg
2016 5/3 174
* 右下肢、脹ら脛のおく、筋肉に断裂でも起きたような痛みを感じる。歩いていて特に痛み、しかし、かつて無かったとも云えない覚えがある。夜中に脚の攣る苦痛は年来のもので、むしろ近来は攣るけれど軽度にやり過ごせると思ってきた。脱水してはいけない。
* もう、あれも、それも、どれも、これもと「仕事」小絶えもなく、手の着いてないのも、手の付けられないのも、やたらにいろいろと在る。いいかげんイラ イラするのは、いつもの本が出来てきて発送の前の不要な緊張ゆえであり、明日と明後日とは、みんな投げ出して、だらりぺたんと休息してやろう、何か好きな ことをして遊んでやろうと思い至っている。九時半。今晩も、もう休もう。
2016 5/3 174
* 起床8:30 血 圧139-70(67) 血糖値98 体重67.3kg
2016 5/4 174
* 今日も、幾つもの「読み」「書き」仕事をすすめながら疲れては居眠りして視力をたすけて、もう九時半。今まで戯曲「こころ」を読み耽っていた。まさし く漱石先生の作をかりて秦 恒平の思いを籠めている、科白の一つひとつにも情景にも。舞台では、こんな長大な台本は実現しがたく、むろん今一つ「上演台本」を創ってもあった。その方 は、いますぐは見つからない、どこかに埋もれてしまってるらしい。幸い、一部適切に簡略にされてあるがNHK藝術劇場版のコピーがやはり何処かには在るは ず。
大きな違いの一つは、海と小島とを眺めながらの文字どおりにわたしの「身内」の思いを、「島の思想」を、原作戯曲では「K」が語っているが、舞台では 「先生」役の加藤剛さんの強い希望で、個々の持ち場をというより、主な科白をごう「先生」が語り「K」は聞き役に回っている。どう考えたって「先生」から こんな「身内」観が出るワケはないのだが、そこがスターシステムの上演の機微であった。わたしは反対はしなかった。観客から怪訝の声も一度も聞かなかっ た、そういうものだ、現実は。
今回「選集」に入れたい戯曲「こころ」は、わたしの原作の儘である、当然。しかも上演時にホンの少し書き加えた場面や科白も、「湖の本」第二巻の二刷りのおりに付け加えていたかも知れない。その辺は明日の仕事で確かめられるだろう。
2016 5/4 174
* 起床8:00 血 圧136-70(65) 血糖値87 体重67.4kg
2016 5/5 174
* 起床8:00 血 圧127-62(64) 血糖値94 体重67.9kg
2016 5/6 174
* 起床7:45 血 圧139-63(59) 血糖値80 体重68.0kg
2016 5/7 174
* 送り作業は、早くも、明日一杯はかかろう。済めば、本格的に夏へと歩み寄って行くことになる。気を入れて行きたい。
2016 5/7 174
* さ、九時だが、機械にはもう失礼して、階下で体をなだめ眼をなだめながらの時間をすごそう。あすも肩が凝る。 2016 5/7 174
* 起床8:30 血 圧136-64(61) 血糖値75 体重68.0kg
* 夕刻 選集十三巻の送り出し作業終える。お疲れ様。今回の荷はひとしお重く、持ち運びに疲れた。これを近くとはいえ坂道を通って郵便支局へ全部運んでいたかと思うとぞっとする。やっと、この数回は本局が集荷してくれて助かる。
着々、六月桜桃忌へ歩んでいる。創刊三十年の「湖の本」第百三十巻は、もうすでに責了にしてあり、選集十四巻の本紙も責了にしてある。
前のめりにすっ転ばぬように、日々、落ち着いて仕事に励みたい。日一日がもったいなく、残り少なくなって行く。
2016 5/8 174
* 起床8:30 血 圧136-73(60) 血糖値78 体重67.6kg
2016 5/9 174
* 暫くぶりに夕刻前、歯科へ。雨か。
* 出かけようとして、小雨。傘をひろげりが面倒で、わたしは平気で濡れていった。歯科の帰りも同じく。江古田のいつもの店で妻は甘酢豚などを、わたしはマオ タイ。始めに冷ややっこを、しまいに杏仁豆腐を店がサービスしてくれた。この店は、地元常連さんの談話室のようで。われわれは飛び入り、毛色のかわった客 であるらしい。
結局、わたしは傘ささずに家まで。マオタイ一杯に今も酔っている。強いときは二杯も呑んだが。すこしずつ酒に弱くなってきているが、美味いと呑んでしまう。呑んだアト、暫く居眠りする。目をやすめるのに佳いのかも知れない。
2016 5/9 174
* 医家でも病院でも、出かけるときは必要なら杖のままかなり早足になれる、のに、帰るときはもうゆっくりとしか歩けない。昔は疲労というと気分どまり だったが、今は体がしっかり疲れる。仕方ない。食事の店で、人が、重いものを持ち上げたら胸骨だか肋骨だかが折れて痛かったと聞いた。妻もさきごろむねが 音立てて傷み、三週間の余も医者に通った。わたしは、これで腕力に自信があり、本の発送仕事では妻に叱られ叱られ相当の重量を持ち上げ運んでいるが、そろ そろ用心しないといけない。用心し、ガマンし、時間をかけてし終えることに慣れないと。
2016 5/9 174
* 起床8:30 血 圧125-60(56) 血糖値93 体重67.0kg
2016 5/10 174
* 起床8:50 血 圧112-60(62) 血糖値85 体重67.0kg
2016 5/11 174
* 仕事したくても眼が白く灼けたようで、苦痛。やすむしかない。
2016 5/11 174
* 起床8:30 血 圧123-60(60) 血糖値84 体重67.5kg
2016 5/12 174
* 懶く、けだるい疲労に負けている。休むにしかず。モンテクリスト伯は、いっそシャトーデイフの地下牢に入ってしまった方が。そこまでは不愉快な場面の人物が暗躍しすぎる。牢の中で、老法師と会う、あの辺からが好きだ。
* 明日気が動けば、保谷で銀行からの払い込みを済ませ、銀座で、一つ個展を見、昼食して帰ってきたい、が。
2016 5/12 174
* 起床8:50 血 圧114-62(60) 血糖値95 体重67.2kg
2016 5/13 174
* 二三日も前から、今日は銀座へ二人で出て或る個展を観、かねて願っていたフレンチの店で佳い食事をと。しかし昨日からどろんとしんどく、そうまで遠 出!したくない気になっていた。今朝ははっきり気が萎えていたので、バスを使って保谷の銀行へだけ行き、選集第十三巻の支払いだけを済ませ、駅近くの新店 でうどんを。これが胸につかえ、エヅいて苦しく食べきれなかった。隣の「ペルト」でコーヒーを飲み休憩したが、エヅきやまなかった。燃えさかるような晴天 の陽射しに恐れを成し、駅へ戻ってタクシーで帰ってきた。それでもまだエヅいている。少なくもここ半年のコレがわたしの不具合で、食べたい気がしない。体 重はもう少し落として65キロ台へ導きたいが、体力を落としては元も子もなくなる。
* 体調よく、機嫌良く、なにより自発的に歩きに出なければと思うが、熱暑の季節へ向けて、ヘキエキしている。
2016 5/13 174
* 起床8:50 血 圧130-66(62) 血糖値93 体重67.5kg
2016 5/14 174
* 起床6:30 血 圧133-59(59) 血糖値92 体重67.3kg
2016 5/15 174
* 起床9:30 血 圧139-64(59) 血糖値89 体重67.7kg
* 出歩く元気がない。今日も家で仕事か。
2016 5/16 174
* どろりと疲れている。もう六号大の文字が全く見えなくなっている。虫眼鏡もきかない。
九時だが、機械仕事にはもう堪えられない。肉眼がダメなら心眼を起動するしかない。
水分は気を付けて攝っているので、四年前の脱水で死にかけたようなことは無いはず。血糖値も血圧も体重も安定している。それでいて、からだから力が抜け続けている感じ。
* さ、黒いマゴに輸液したら、欲も得もなくからだを横にして、可哀想なエドモン・ダンテスの不幸を暫くは負い続けましょう。
最悪の最前線の兵士達のドブ鼠のさまを描いているバルビュスの『砲火』は、サドよりも、カトリック自殺へ追い込まれるク゜゛レアム・ぐりーたような
2016 5/16 174
* 起床9:30 血 圧136-68(59) 血糖値85 体重66.9kg
2016 5/17 174
* 昨晩、震度3の地震に見舞われた。震源は茨城県南部、比較的こっちへ近い。勘弁願いたい。
* 「湖の本130」発送の用意にかかっている。「選集」と比べれば軽量とはいえ、普通の単行本とほぼ変わらないし、数がある。根をつめても荷造りに時間 がかかる。その送り出しまでに、相当な用意の手数がかかる。腰骨を傷めてしまったら、もう何も出来なくなる。逸らないでゆっくりゆっくり少しずつ送り出し たがいい、せっかちがいけない。
とにかくも、おっかな・びっくりの古い古いOS機械で仕事をしているので、いつ何が起きて頓挫するか知れない。いつもヒヤヒヤしながらの作業である。
本気で、まだまるで使い慣れていない新しい(といっても、これも古びて行くのだが)機械に慣れないとと思うのだが。
2016 5/17 174
* 起床7:30 血 圧127-69(60) 血糖値88 体重66.3kg
2016 5/18 174
* 起床8:30 血 圧130-64(65) 血糖値82 体重66.7kg
2016 5/19 174
* 注文の宛名ラベルが文具店に届いたというので、自転車で走った。二、三十年の余も乗ってきた自転車、日によっては多摩川の向こうまで、荒川の向こうま で、四時間以上も山坂を超えて走り続けたその自転車が、「重い」と感じた。体力が歴然と落ちている。それでも歩いて行くより、ラクで早く用は足りる。
健康は回復しているのか、体力は減衰の一途であるのか、よく分からなくなってきている。幸い、今はからだだけの問題。仕事への意欲は少しも弱まっていない。視力さえ助けてくれれば新しい仕事も出来る。
栄養失調ではなかろうかと気にしている。食べるという意欲が衰えている。
* 十時半。しっかり、読みかつ書いた。疲れた。黒いマゴに輸液してから、さらにゲラを持って床に就きたい。
発送の用意も、進めてきた。あと二週間で「湖の本」第百三十巻が出来てくる。そして、それを追いかけるようにして桜桃忌過ぎには、「選集」第十四巻も出来てくる。新たな入稿用意も着々進んでいる。
2016 5/19 174
* 起床8:30 血 圧129-64(60) 血糖値93 体重67.4kg
2016 5/20 174
* 諸計測前にうっかり朝食してしまった。
2016 5/21 174
* 起床10:30 血 圧126-62(67) 血糖値86 体重67.7kg
2016 5/22 174
* 今日は、朝も午後も、疲れ果てていて仕事も捗らなかったが、白鵬優勝後、入浴、すっきりした。「死なれて 死なせて」を気を入れて読み終えたし、「心 わが愛」の台本チェックもぐんと進んだ。
『モンテクリスト伯』出だしの不快はとうぶん続くとはいえ、一等イヤなところを通過、すでにダングラール、フェルナン、カドルッスという「悪」の腹は読めてしまい、つづいてもう一人の猛悪検察官ヴィルフォールも心優しい妻となるルネとの婚約披露宴に登場してきた。
もう、とどまるところなくわたしのデュマ読みは、疾走し始める。岩波文庫の全七巻、何日で読んでしまうだろう。そもそも、生涯に何度目の『モンテクリスト伯』だろう。
* 十一時。もうやすみたい。新しい「湖の本」発送のために残っている手作業は、封筒への宛名貼りがもう六割がた残っているし、挨拶の刷り分をカットしな ければならない。さらに、今回分を呈上したい先の宛名住所を手書きしておかねばならない。幸い、あと十日余の余裕がある。
今度の編成内容、どう受け取られるか、ちょっと心配でかなり楽しみ。
幸い、あと十日余の余裕がある。明日にも、電車に乗りにでも出かけてみようか。
2016 5/22 174
* 起床8:00 血 圧133-68(64) 血糖値93 体重67.1kg
* このところ、胸焼け、というより「喉やけ」感によく悩まされる。水分とエビオスとで回避した気分でいるが、夜中に目がさめるのは愉快でない。朝起きに蜂蜜とミルクを摂った。食事らしい食事は出来ず、このごろは抹茶をのんでいる。
2016 5/23 174
* この暑さ、よほどの用のないかぎり出歩きにくい。思い切って、夕刻から晩へかけて出歩くようにした方が賢そうだ。
今日も家で、気をつかう封筒への宛名貼りを一山終えた。まだ残っている。それも終えたら、手書きでの呈送先を選んで宛名を書かねば。仕上げは、A4用紙に五人分ずつ印刷した挨拶文を、カットしなくては。これが、相当、気草臥れする力仕事。
「発送」は仕事の重みからして何分の一かにしか相当しない。作を、書き、読み、整えねば。この方は「目と頭」の仕事になる。何とか成るというワケに行かない。
* いままた強烈に喉が渇いてきた。そうだ、これは喉がきつく渇いているのだと思われる。脱水しては危ない。
2016 5/23 174
* 起床8:30 血 圧114-56(56) 血糖値98 体重66.2kg
2016 5/24 174
* なんでこう疲労がくるのだろう。喉もとの渇きは水分で中和できる(らしい)が。
眠るに勝る手はないようだ。今晩の輸液はもう済ませた。九時半だが、からだは横になれと勧めている。
2016 5/24 174
* 起床8:00 血 圧130-59(58) 血糖値89 体重67.0kg
2016 5/25 174
* ひどい疲れに潰れるように夕刻前、眠った。晩の食事ができず、ビールも飲めなかった。郵便をみながら、ぼんやり休息してい。画家池田良則さんから、 「京都よせがき ちょっとそこまで」春・夏篇と、第十三巻へのとてもいい手紙をもらった。それから、機械の前へ来た。やや、ややこしい原稿づくりの作業に 眼が霞んで草臥れ、先へ進めない。
ま、やすむとするか。この疲労感には、これからの永い炎暑の夏が心配。
2016 5/25 174
* 起床8:30 血 圧124-61(61) 血糖値90 体重67.0kg
2016 5/26 174
* 今日も八時半には辛うじて起きたが、朝食もろくに摂れずにまた潰れるように寝入って、午に。午食もろくに摂れず、ゆらゆらと機械の前へ来たばかり。
* この十七日が、聖路加腫瘍内科の診察日であったのを、全く失念していた。参った。だんだんボケて来たか。
2016 5/26 174
* 起床9:30 血 圧126-64(62) 血糖値95 体重66.3kg
2016 5/27 174
* 今日も、二度、昼寝を(という軽い感覚ではなく、)貪った。休息すれば疲れが回復するなら、やすむのを嫌がってはなるまい。二つ、三つ肩の張る仕事も終え、じりじりと前進。気分的には匍匐前進。ま、そういう闘い方もあるということ。
すっかり失念して二週間も忘れ放しの腫瘍内科の検査と診察、六月一日に再予約できた。胃全摘と抗癌剤服用一年から満四年、三年を経過した。大過なきを願う。
2016 5/27 174
* 起床6:45 血 圧134-63(50) 血糖値94 体重66.9kg
2016 5/28 174
* 暑いとも冷えるとも。体に良くない。ともあれ、三日からの「130」発送の用意は九割がた出来て、気が楽になった。 2016 5/28 174
* 起床9:45 血 圧133-63(62) 血糖値90 体重67.1kg
2016 5/29 174
* 起床9:30 血 圧126-64(64) 血糖値88 体重67.3kg
* 何といえばいいか、端的に苦境といえば分かるか、とにかくも気の重苦しくてシンドイこの頃ではある。仕事に行き詰まっているとか、健康の悪し き兆しとかいったことではない、どうあっても担いで通り越してゆかねばならない気分の悪い荷を背に負うてこのごろを過ごしている。そんな荷は払い捨ててし まえばいいという考えようも有るが、それはしないと決めている。それだけのこと。
あはれともあはれともいふ我やあるべき
あるはずがなし われは父なり
と歌ったのを思い出す。
なにをしに生きてある身の無意味さを
ふとはき捨ててしごとにむかふ
とも歌っていた。
生きてあるかぎりは 堪えねばならぬか。
2016 5/30 174
* 起床8:30 血 圧130-75(58) 血糖値82 体重66.7kg
2016 5/31 174
* 明日は、失念していた聖路加腫瘍内科の検査を受けに出かける。
* いくらか所用も果たせればと思っている。
2016 5/31 174
* 起床6:45 血 圧122-59(61) 血糖値94 体重67.0kg
2016 6/1 175
* 聖路加腫瘍内科の検査と診察。
幸い、長く長く待つことなく、幸い、検査データは穏当で異常はなにも認められないと。主治医の部長先生と暫時「小説」談義も。
* 診察の終わって暫時待つうちに妻が外来まで。過ぎ会計を済ませて、一時半、即築地から松屋横までくるまに乗り、とうどう念願のフレンチ「ボン・シャン」に静かな奥の席を得た。
料理の一々をおさらえする能も気もないが、おすすめの白いチリのワインで食した豊富感あふれる平目と、アスパラガスの前菜二皿が美味かったこと、妻は大 満足。そしてメインティッシュ、わたしは赤ワインもすすめられ、文字どおりとろとろの黒毛和牛の絶句しそうな佳い口当たりと美味に、笑み溢れた。そして綺 麗に贅沢に盛られたデザートと濃い珈琲。オマケに添えられた、なんとも云えず果実のうま味のあまく利いた濃いワインも少々。シェフともいろいろに歓談もし て、満ち足りた。
* やや遅い時間ながら、ぐうの音も出なかったグウな昼食のあと、有楽町のビックカメラで、ウイルスのため大破したパソコンの替わり新品を買い求めてから、地下鉄で帰ってきた。
ただし車内へ乗り込んだ瞬間に、左の脹ら脛が猛烈に痙攣して痛み、堪えかねて一度途中下車して水分をたっぷり補給休息してかろうじて回復させた。食のほ とんど進まないこの頃の過剰な小食のからだへ、どうやら分不相応なご馳走がはいり、体の方で大いに腹をたてたのであろうか。何にしても痙攣の多い脚であり ながら、かつてない痛烈な攣れであった。
* ご馳走負けかなあ。
どんぶりを抱へてだれにも見られずに
立蕎麦を食ふ時が好きなり 岩田正
わたしの心底本音は、この述懐歌の方にやや近いのではあるが。
2016 6/1 175
* 起床8:30 血 圧138-67(59) 血糖値88 体重66.8kg
2016 6/2 175
* さてさて、明日には、作家生活四十七年、湖の本創刊三十年を記念する第百三十巻が、読者のみなさんにヒョイと肩すかしをくわせるような可笑しな一巻になって出来てくる。夫婦とも疲れ気味なので、慌てずに、ゆるりと数日かけて送り出したい。
東工大卒の諸君には縁の濃い特輯なので、あたう限り謹呈したいと思うが、二十年も経ち、住所の確認がきかない、関わりのある卒業生は連絡あれ。また当時友人の住所の分かる人は、教えて欲しい。
2016 6/2 175
* 起床8:15 血 圧136-68(60) 血糖値91 体重66.5kg
2016 6/3 175
☆ 博物館
特別公開の展示品 ドメニコ テイントレットの 「伊東 マンシヨの肖像」 を観てきました。
イタリア人宣教師シドツチが携行した「親指のマリア」も展示されていて、懐かしく、しばし 眺めてきました。
運動を兼ねた博物館通いは、目下、八十老女の楽しみの一つです。 泉
* 運動で多年体を鍛え続けて、いまでも平気で萬歩計の目標を満たしている、人。感嘆。わたしは五千歩も歩いてくれば、イッパイ。
* さ、晩も、しっかり作業を続けねば。
2016 6/3 175
* 人さまの感想は分からないが、わたし個人にはおもしろい記念の一巻になった。二階へ上がって、しばらくソファで読み返して、かなり照れもした。
明日の作業へ体力も気力も伝えねばならない、早めに寝てしまおうと思っている。
2016 6/3 175
* 起床8:15 血 圧136-68(60) 血糖値91 体重66.5kg
* 二日めの発送を夕方に終え、あとは明日のことに。おそらく明日の内にキマリがつくと思う。機械へ来たのに、腰かけたまま寝入っていた。
* 二日めの発送を夕方に終え、あとは明日のことに。おそらく明日の内にキマリがつくと思う。機械へ来たのに、腰かけたまま寝入っていた。
* 晩にも、明日発送のための作業をつづけた。
昨日今日と、多いときは六十册が各郵袋に入った箱を何度も何度も作業場のキッチンから送り出しの玄関へまで運んだ。八十爺がよく持てると我ながら感心す るが、持ち上げるとき腰骨がめり込みそうに感じて、むろん痛い。幸いに痛みはしつこくは続かないでくれる、が、腰は少しずつ前かがみになって行きそう、や れやれ。
こんなことを三十年、百三十回も続けてきたのだ、妻と二人だけで。子供達が手伝ってくれたことは只の一度もなかった。人手を頼んだことも一度も無かった。
思えば、今月の桜桃忌が、「湖の本」の「三十年」とばかり意識していたが、「太宰治賞」からの「満四十七年」、つまりは「作家」生活も「満四十七年」をむかえるのだった。
それなら、せめても「作家五十年」の桜桃忌まで、新創作も、ホームページの私語その他の充実も、むろん「湖の本」も、可能なら「秦 恒平選集」も可能な限り続けてみたい気が、油然と湧いてくる、むろん妻と二人で、である。三年経てば二人とも八十三歳、東京オリンピックにもまだ一年前 だ、丁寧に用心深く生きれば不可能でないかもしれない。
いい歳をして騒がしい男だと笑う人が多かろう、悠々自適できないのかと。お生憎である、わたしの悠々自適は「創り出す日々」にある。現象的には「読み・書き・思う」ことにある。今もこう書き表している「私語」が、畢生の表現となるだろう。
* ともあれ、「湖の本」刊行の当面の目標は無事に遂げた。早ければ今日にも送り先へ届きはじめていただろう。
月曜には、ふうっと息をついて、独り乾杯の散策にでられるといいが。
* 十時。黒いマゴに輸液してから、床についてゲラを読み、エドモン・ダンテスの脱獄を応援しながら寝入ろうと。
2016 6/4 175
* 起床8:00 血 圧130-56(58) 血糖値94 体重66.8kg
* 送り出し、明朝の、郵便局経由便をのこし、宅配便は、一応了。
今回記念の湖の本130『秦教授(はたサン)の自問自答』は、わたしの、まるハダカもの。かなり恥ずかしいが、ま、書き置きのようなモノと思って貰おう。
乾杯。食べようと思っても沢山はとても食べられない。食べるのが概して苦痛とは困ったもの。
* さ、当面は、つつがなく十九日の桜桃忌(作家47年、湖の本30年)を迎え、そして歌舞伎座三部制の『義経千本桜』を楽しみ、その週末には、「秦 恒平選集」第十四巻を出迎える。
2016 6/5 175
* なにか体違和を感じていたら手先へ震えが来た。気分わるく。妻が低血糖を口にしたりで測ったら血糖値、62。もっと低い値も体験しているが、低いは低 く、白砂糖を小さじに三杯ほど口に入れて回復。入浴の直前のことだった。入浴するほどの元気なく、もう九時過ぎ、黒いマゴの輸液(これは大人が二人がかり でする、)だけして寝てしまおうと。
* 妻の機械が今以て稼働できないのに、ウンザリ気が重い。
2016 6/5 175
* 起床8:00 血 圧145-72(58) 血糖値85 体重66.7kg
2016 6/6 175
* 機械の設定と修復のさわぎに煽られて疲れた。仕事はしっかり、した。九時だが、黒いマゴの輸液だけして横になりたい。
2016 6/6 175
* 起床10:00 血 圧144-68(67) 血糖値92 体重66.1kg
* 十時まで、安眠できた。安眠はいかにも大事なこと。それでも夜中、明け方ちかくなると黒いマゴがめをさまして鳴く。砂のトイレでおしっこをす るから見に来てと誘ったりするのだ。とにかくいっしょに何でもしてくれと甘える。外へ出たがるのは、テラス外を木戸で塞いだので、テラスまでは自由に出ら れる。幼かった頃は、テラスから一気に書庫の上庭まで跳び上がっていたが、いまは高くは跳べない。外気と草木の匂いとはテラスでいつでも好きに呼吸できる ようにしてやった。
2016 6/7 175
* 十時半、もう機械からは離れよう。明日は、しばらくぶりに歯科へ通う。
2016 6/7 175
* 起床10:00 血 圧128-63(62) 血糖値97 体重66.1kg
2016 6/8 175
* 歯医者の帰り、店の「休み」に二軒フラれ、バーの「VIVO」の止まり木で、二人できらくに飲んで喋って帰ってきた。
郵便がどっさり、中に、京都の森下辰男君が板にした昭和23・24の「戦後日本流行歌史」第三集があり、24曲ぜんぶ聴いた。
2016 6/8 175
* 起床7:30 血 圧127-73(62) 血糖値100 体重65.9kg
* やっと梅雨か。
2016 6/9 175
* 昨日歯医者への西武線電車で今度の新刊を読んでいた妻が、「小倉ざれ和歌百首」の「叙景歌」がひときわ「美しい」と感想を洩らしてくれた。ちょっと嬉 しく、有り難く、アタマを下げた。「ざれ和歌」とは謂うが、作としてはけっして悪くは戯れていない、むしろ大方はほんものの「和歌」になっている筈と自負 している。石清水の零れ出るように自然と言葉も調べもわたしのなかから生まれてくるのだ、「つくった」歌だとは咎められようが、そして「つくった」には相 違ないけれど存外本音で歌ってもいるのです。
* 視力が安定していたら、どんなにいいだろう。いまでは、腫瘍内科も眼科も「抗癌剤」の悪影響を否定しない。わたしは「抗癌剤」を、じつは、すすんで受 け容れたのである、癌転移が認められているのだ、闘うのが当然と考えたし、いささかも悔いていない。腫瘍内科の医師も、体調を看視しつづけ、量や服用期間 の按配にも親身に親切だった。闘病という以上は堪えて当然と思った。かなりシンドかったのも事実。幸い、術後四年四ヶ月になろうとし、目下不安な所見は無 いと云われている。
歩け歩けと云われながら、歩いていない。この自業が悪しき自得にならないように、本気で歩きに出なくてはなあと言いつつ思いつつ、懶けて家仕事にばかり熱中している。 2016 6/9 175
* 起床8:30 血 圧135-75(61) 血糖値105 体重65.8kg
2016 6/10 175
* いい郵便がたくさん、とても興味深い長文のも来ていて、記録しておきたいが、なにしろ目が疲れていて、読んで書いての作業がなかなか出来ない。出来る限りは視力は仕事のために使いたい。
山梨県立文学館の中野和子さんから、「『小倉ざれ和歌百首』の完成度の高さに驚嘆しつつ じっくり味わっております」と。これは嬉しい。同志社の田中励 儀教授、「30年130巻 すごいですね。問答の『今、真実、何を愛しているか』、共通するものが多く、嬉しく思います」と。吹田市の歌人丸亀市の大成繁 さん、「30年130巻 おめでとうございます。全巻拝読のよろこびを共にでき幸せです!!」と。桐生市の住吉一江さん、「すぐ読み切ってしまいそうで す」と。文化出版局の中野完二さん、「通算130巻、創刊満20年、すごい、すばらしいです」と。桐生市の阿部君江さん、「楽しく読み始めました。送金の 余分は送料としてです」と。吹田市の歌人阪森郁代さん、お城の博士小和田哲男教授、滋賀・湖南市の小田敬美さん、朝霞市の歌人恩田英明さん、下関の大庭緑 さん、広島大大学院、立命館大図書館、國學院大図書館、ノートルダム清心女子大、皇學館大学等々、受領の挨拶あり。
2016 6/10 175
* 視野がくらく滲んで、気が晴れない。それでいて、ああもしたい、こうもしてみたいという気は絶えず湧いてくる。むかしからある「千字文」を読んで何か 問題をみつけたいとか、抱えてきた幾つかの主題から選んで纏まった論考もしてみたいとか。気楽に別に書き始めている小説もあり、描きかけの小説の隘路をど う吶喊するかも。
結局出不精になっている。まして出かけて行く「先」を思案する根気が無い。
さ、黒いマゴに輸液して、エドモン・ダンテスのいよいよ始まる復讐の、まずはイタリアでの展開を楽しもうか。
2016 6/10 175
* 起床9:00 血 圧137-58(57) 血糖値93 体重65.8kg
2016 6/11 175
* 起床8:30 血 圧123-64(57) 血糖値100 体重66.0kg
2016 6/12 175
* 西のテラスのデッキチェアで三十分ほど寝てきた。足もとの小箱で黒いマゴも寝ているのを箱ごと膝にのせて寝ていると、黒いマゴも安心しきって寝ている。草花の上を風が通って涼しい。これからの問題は、蚊だな。
2016 6/12 175
* 明日からの週日は、韓流の歴史劇が朝の8:15から一時間ある。明日は雨だというが、ひどい降りでなければ所沢向きに電車に乗りに出てもいいなと思っているが。
2016 6/12 175
* 起床8:00 血 圧137-69(63) 血糖値95 体重66.1kg
* 郵便局へ幾つも要があったが、しとどの雨で自転車に乗れず、傘さして荷をもって坂道を歩くのは気重く、午後の晴れ間を待つことに。
2016 6/13 175
* 起床8:30 血 圧140-64(71) 血糖値95 体重66.4kg
2016 6/14 175
* 起床7:45 血 圧136-66(68) 血糖値99 体重66.7kg
2016 6/15 175
* すこし気持ちにゆとりかすきまかが出来、一息ついている。何れ直ぐまた追い立てられるだろうが、とにかくも六月十九日の桜桃忌、つまり湖の本の三十年と作家生活満四十七年とを、くつろいだ気持ちで迎えたい。翌日には歌舞伎を楽しむ。
* 「承久記」「モンテクリスト伯」「砲火」そして「静かな心に」を読み、湖の本131を校正し、眠くなれば眠る。
明日あたり散髪もしておこう。
2016 6/15 175
* 起床7:45 血 圧140-64(63) 血糖値94 体重66.8kg
* 散髪。心地よく。
雨かも知れないが、十九日、桜桃忌、二十日、歌舞伎座の楽しみを、サッパリしたアタマで迎えられる。あれ以来、四十七年がたち、三十年がたった。道半ばと思っている。 2016 6/16 175
* 散髪疲れでもあるまい、視野の不安がさせるのか、からだがフラつく。血圧を案じたが、正常。貧血していないかと妻は案じる。検査のアト、貧血を言われたことはない。が、とにかくも立っていて、ヨタッと揺れる。しょうがないので、漫然とやすんでいる。
* 九時。黒いマゴの輸液だけ済ませて横になろうと思う。
2016 6/16 175
* 起床7:45 血 圧127-65(51) 血糖値93 体重66.6kg
2016 6/17 175
* 九時半。もう眼が、ダメ。
2016 6/17 175
* 起床9:00 血 圧117-65(54) 血糖値98 体重66.6kg
* 暑い。なんとなく心身バラバラ。今日から三日は、われらが祝祭日かのように、今日は前夜の休養としよう。
2016 6/18 175
* 六月十九日 日 桜桃忌 太宰治賞47年 湖の本創刊30年
* 起床8:30 血 圧130-64(59) 血糖値99 体重66.8kg
* 赤飯で祝う。京干菓子、宇治上林の抹茶、二服。
2016 6/19 175
* なにごともなく、今日を送る。体調は、いくらか重苦しいが、酒量もおさえ、多くは何も食べず、仕事もせず。浴室で、バルビュスの「砲火」とデュマの「モンテクリスト伯」を一時間、楽しんだ。
七時。のんびりしよう。
明日は三部制で「義経千本櫻」を楽しむ。屈指の名作、染五郎の知盛、幸四郎のいがみのごん太、猿之助の狐忠信。猿之助は典侍の局も、染五郎は静御前も、 と、若手は女形でも競演してくれる。酔うほどに楽しんできたい。席は、三列目、四列目、五列目と、いつもながら三部「それぞれの絶好」席を用意して貰って いる。
眼のかすみが、なんとかおさまってて欲しい、が。
2016 6/19 175
* 起床7:00 血 圧103-57(57) 血糖値95 体重66.6kg
2016 6/20 175
* と、わたくしごとの祝い日を、終日、たっぷりと楽しめて、満足した。
* 九時すぎにハネて、まっすぐ帝国ホテルのクラブへ直行、ウイスキーのダブルをオンザロックにして二杯、妻は小さなグラスにビールで、エスカルゴを肴 に、ひとやすみ。クラブの人とも歓談、雨にも降られず、わたしも妻もヘバリもしないで十一時過ぎて帰宅した。黒いマゴがよく留守番してくれていた。
2016 6/20 175
* 起床8:30 血 圧130-76(60) 血糖値108 体重66.3kg
2016 6/21 175
* 六月三十日、七月一日から三日または四日まで、所用がたてこむ。七月八日夕刻には歯科へ、七月十一日二時過ぎには感染症内科の診察がある。七月は概して、目下平常の見込み。
2016 6/21 175
* 起床7:00 血 圧117-63(53) 血糖値96 体重67.2kg
2016 6/22 175
* 済んだのではない。 just think… this is only the beginning.に過ぎない。
*もう今日も 眼がよく見えない。 2016 6/22 175
* 起床8:00 血 圧129-64(49) 血糖値83 体重67.7kg
2016 6/23 175
* 起床8:00 血 圧139-67(51) 血糖値95 体重66.6kg
2016 6/24 175
* たいして躯を働かせているわけでないのに、体調どうも宜しくない。梅雨バテか。
何とか気分と体調を一新したいが。七月一日からの「選集⑭」送り出しの用意を当然始めている。数量的には少ないが、美装本荷造りには丁寧慎重がぜひ必要なだけに、送り出しの前はかなりのストレスを感じる。予定の決まらない予定にも気疲れがする。
2016 6/24 175
* 起床8:30 血 圧117-63(53) 血糖値87 体重66.7kg
2016 6/25 175
* 起床8:00 血 圧128-64(53) 血糖値98 体重65.9kg
2016 6/26 175
* 体重が、70キロへ リバウンドしないかと案じていたのに、65キロ台へ落ちこんできた。
体重も体力も落ちこんでいる。
一つには、食が、まるで進まない。食べる楽しみが満たされないとは、情けない。
月末の建日子演出の「つか芝居」、七月初めからの「選集」送り出し、そして歯科通いを控えて、なんとか気力も体力も回復しておかねば。
この月末に会いませんかと誘われていた東工大卒の柳君、丸山君にも、連絡の来る前に、この際、お断りした。
2016 6/26 175
* 入浴前に両脚に攣縮が来て、浴槽にいても容易に回復しなかった。堪えながら「砲火」を面白く感じ入って読み、「モンテクリスト伯」の山場へかかってくるのを空恐ろしく面白く読み、そして「原稿・畜生塚」の初校ゲラを読んでいた。
* じつを云うと、左肩胛骨の少し下方に、もう二年にもならないか、一箇所、執拗に痒みを感じ続けてきた。妻の目には発赤などの異様な外見はなく、皮下 に、塊った何かが触れるワケでないと云う。しかし、痒い。そしてわたし自身の指では届かないが、モノをつかって痒みに触れると皮下に小さな塊感がある。ず うっと以前、一度腫瘍内科の医師に告げたが、何事をも感じさせなかったし、感染症内科医の背中の触診でも、なにも言われずに来た。
しかし、同じ一定位置のかくも長期の痒みは、ワケが分からない。わたしの視覚で見た目を確かめようがないので甚だ頼りない。
ここに、ともあれ、記録しておく。
* とにもかくにも、ボヤボヤはしていられない、したいことを、したいように、ズンズンと先へ進めたい。立ち止まっているヒマは無い。
2016 6/26 175
* 起床9:30 血 圧107-56(55) 血糖値93 体重65.7kg
* バルビュスの「砲火」がしみじみと、小粋なほどにさらりと面白く、デュマの「モンテクリスト伯」が組み立ての緻密な大きさで面白く、そしてテレビでの 「ドクターX」がのこと小気味よく面白い。体調の重苦しさに負けそうな中でもこういう創作の面白さがわたしを掬いあげてくれる。
* 黒いマゴの健康も気がかり、妻は獣医院へ連れて行った。腎、肝ともに弱っていると。この夏をなんとか堪えて欲しい、堪えさせてやりたい。
2016 6/27 175
* さて新刊とっておき多様のの選集「第十四巻」、かなり分厚くなる。出来本前のストレスが体調を崩しているのかも、食べられず、食べても美味くないのに困惑する。
* 機嫌の悪い体不調ではあるが、思い切って、というより、ふと思いつき思い至って、新作中の小説のために「勉強」を始めたのが、なんだかズンズン面白く 嬉しくなって、あたまの中へ相当な栄養分を蓄えたと思う。どんなとか何をとかはナイショだが、大岐に役立ちそう、役に立てたいと腹を括っている。これで、 今日一日、ムダにならなかった。ホクホクしている。このさきは、わたし自身のノーミソをつかうだけ。真夜中、めが覚めてしまっても、暗闇を睨んで思案の種 はいくらでも有る。
九時半。
今日はくろいマゴを医者にみせ、輸液も投薬もされていて、このまま床について好きなだけ本を読んでもいい。テレビも、滅多には面白い番組無く、やたら現れる安倍の顔など、見たくもない。
2016 6/27 175
* 起床7:00 血 圧115-64(60) 血糖値98 体重66.3kg
2016 6/28 175
* 働いて最も忙しい年代へ、管理職世代へ卒業生はみんな来ている。職場を大きく異にした人たちが、都合を付け合ってうまく顔が合うなど、容易でないと察しがつく。
むかしは、狭いながら我が家へ学生、卒業生、よく来てもらったが、湖の本あり選集ありの今や、夫婦二人ですら安々と坐れる場所がなく、たまに建日子が 帰って来ても、とにかく積んだモノを片寄せ片寄せてムリムリ坐らせている有様。それなので、ぜひにという人とは、ともあれ日比谷のクラブへ出向いたりして 会っている。
話題はたくさん有る、ひさびさに顔を見たいと思っている、が、飲む方はいいが、食のすすまないのが困る。
東工大の頃は、いろんな学生達を連れ歩いて、まこと、よく食い、よく飲も、よく話し合った。楽しかった。
「地元のお店」とあるが、妻と歯医者帰りの、江古田のフレンチ「リオン」や、「中華家族」や、スタンドバーや、老舗の蕎麦屋などのことか知らん。練馬駅で下車、気楽な寿司やトンカツを食べることもあった。
しかし、霞ヶ関の丸山君らには、やはり都心が便利だろうか。週末にと丸山君も柳君もいうのは分かるが、金曜の晩のことか、土日のことか、ハテ。いずれに しても今週末は、三十日に建日子演出の芝居を見に行き、七月一日には「選集」⑭が出来てきて、早速二人がかリで、気の張る荷造りと送りとにかかる。函装で 大判の五百頁平均、かなりの力仕事なのである。
七月八日金曜の夕方は、江古田から歯科医院へ。五時頃に、いつも解放される。酷暑の七月初旬には、初体験、逗子まで、義妹の繪の個展にでかける算段をし ているが、逗子という土地、まだ見当もつかない。かなり遠いらしく、久々の遠出体験をすることになる。留守の黒いマゴのためにも、泊まってはこれない。
2016 6/28 175
* 起床8:30 血 圧112-59(56) 血糖値94 体重65.5kg
2016 6/29 175
* 起床8:00 血 圧124-66(63) 血糖値110 体重66.4kg
2016 6/30 175
* 起床8:30 血 圧126-66(69) 血糖値94 体重65.8kg
2016 7/1 176
* 今日はまだ送り出せなかった。腰へ重みの痛みが来る。堪えがたく、ロキソニン一錠を服した。なるべく痛み止めはのみたくない。
* 黒いマゴも老境に懸命に耐えている。いま、幸いに、妻がいちばん元気そう。
わたしの今なにより苦痛なのは、食が進まずしいて食べると鳩尾の辺が膨満気味につらくなること。ワインとビールとが口に合わない感じで、日本酒とも一週間ほど払底の儘に離れている。珈琲、紅茶も遠慮して、もっぱら抹茶を点てて自服している。
2016 7/1 176
* 起床7:50 血 圧122-60(62) 血糖値97 体重66.6kg
2016 7/2 176
* さ、送り出し、むづかしい荷造りをつづけよう。
* 予定の半分ほどを送り出した。体力的にかなり草臥れるが、がんばってます。
2016 7/2 176
* 起床9:30 血 圧115-54(59) 血糖値95 体重65.4kg
2016 7/3 176
* 「選集⑭」の送り出しは、まず間違いなく今日のうちに作業を終えられる。送り出しもしてしまえるだろう。
新たな体勢での新たな仕事を推し進めて行けるだろう。やや気持ちもラクに日々を送り迎えられる。八日夕刻には妻と歯医者通いがある。その前にも、妻の妹 の繪の個展に、逗子という所まで一日かけて出かけるだろう。逗子の土地勘全くなく、どれほど遠いのか近いのか、知らない。
2016 7/3 176
* 「選集」第十四巻 送り出しを終えた。熱暑。息も燃えそう。
これでは明日にも出歩きたいが、焙られる暑さかも知れぬ。
2016 7/3 176
* 起床9:30 血 圧121-49(60) 血糖値98 体重66.2kg
2016 7/4 176
* 家にいても、スーンと疲れる。腰かけると居眠りしてしまう。むしろ冷房の部屋でよこになり、校正ゲラを読み進むのがいい、堅い読書より自作の文章には 馴染みがある。逗子へは月末にと義妹ともはなしがついたらしい。今週金曜夕方に歯医者へ、来週月曜午まえに聖路加へ。ここ当分は本の発送などもない。
* この夏は他の何よりも黒いマゴへの細心の介護が大事。人間なら百にも近かろう、目はまだ美しく佳い視線を合わしてくるが、体躯はかなり痩せて抱いてやると硬い骨がさわる。この猛暑の夏をなんとか凌がせてやりたい。
2016 7/4 176
* 四時、強い雨降り出し、 五時過ぎ、雷が天駆けっている。
なぜか、今朝から、アタマの奥でなにかコト切れたか、右の鬢に触れると髪が痛い。やれやれ。少しずつすこしずつ年貢をおさめているようだ。
2016 7/4 176
* 起床9:00 血 圧125-56(58) 血糖値96 体重66.5kg
* 上越の光明寺さんから自然薯蕎麦をたくさん、また京都の加門さんからは白粥に添えてと好物の佃煮や塩昆布を頂戴した。ちにかく、この朱明の夏、しっかり食べるべし。 2016 7/5 176
* 起床9:00 血 圧143-68(58) 血糖値92 体重67.0kg
2016 7/6 176
* 右の偏頭痛がきつい。困惑。
2016 7/6 176
* 起床9:00 血 圧139-74(56) 血糖値99 体重66.9kg
* 文化出版局の中野完二さん、朝一番に、大吟醸「大和櫻」を下さる。
先日来、朝日新聞社の伊藤壮さんに頂戴した無垢純米の「越乃寒梅」を心底楽しんでいた。やはり安い生協のワインや缶ビールとちがって名酒の無垢はおいし い。とにもかくにも家の中ででも熱中症は怖い、われわのように手足の痙攣痛に悩まされやすい者には、飲食にも冷房にも用心が大切と思っている。偏頭痛も、 いわば屋内熱中症の気味であったろうか、昨夜中から明け方へ頭痛が嵩じそうであったので水分とともに、常はぐっと控えているロキソニン一錠を服したのが、 よく利いてくれている。
2016 7/7 176
* ま、今日の暑かったこと、すぐ隣の練馬あたり体温より高い気温で、保谷でも空気が燃えていた。郵便局へ自転車で坂道を駆け下りるのはラクだが、帰りの上り坂で熱中症が怖くなった。
あすは、三時半には保谷発の電車でわたし独り歯医者に通わねばならない、なんだか酷暑が怖いほどである。久し振りに都心向けの独り出ではあり、気が向け ば五時半頃には池袋までも出て、伊勢長の鰻でも、またはメトロポ地下の久し振り焼き肉なんかどうかなと思ってみるけれど、ま、往きからの暑さに負けて逃げ 帰ることだろう。
週明けの月曜には、もっと遠い築地の病院まで朝からでかける。せいぜい院内外来の待ち時間を読書と校正とで楽しむ気で出向こうと思っている。
2016 7/7 176
* 起床8:00 血 圧137-76(57) 血糖値111 体重66.3kg
* 夜中の胸焼けをコーラで鎮めたので、朝の血糖値が110という正常域をはみ出た。体重は落ち着いていた。
2016 7/8 176
* 暑い、が、出かけねばならない。雨でも降ってくれるといいが。
2016 7/8 176
* 起床8:00 血 圧115-56(62) 血糖値87 体重67.0kg
* 昨日の歯医者の帰りは、ま、愉快であった。五時に十五分もまえに江古田まで戻れたので、ブックオフの岩波文庫を物色したが欲しい本が無く、五時過ぎに。 「中華家族」でマオタイかと思ったが食欲無く、それならとまだ相客のないスタンドバー「ボルボ」で、美味いウオツカをダブルで二杯、佳い赤ワインを一杯、 少し校正もし、おしゃべりも楽しみ、もうその足で保谷へ戻った。すこし食べようと、歩いて寿司の「和可菜」へ入り、生牡蛎をふたつ、とろやうにやすずきな どをすこしのシャリで。徳利で二本、この店自慢の三千盛をつごう三合ほど美味く呑んだ。開店のムカシから何十年も通っていて仲良しの店、さて帰るというと 女将さんが来るまで家まで運んでくれた。上機嫌に、ひさしぶりに酔えた。
2016 7/9 176
* 起床9:15 血 圧129-65(58) 血糖値97 体重66.4kg
* 日照りに負けず、選挙に行く。
2016 7/10 176
* 起床6:45 血 圧130-68(55) 血糖値98 体重66.3kg
* 過酷な熱暑と予報、熱中症をおそれよと。聖路加へは、新富町から七、八分は日なかを歩く。せいぜい院内で仕事しながら診察を待ち、済んだら、とっとと帰ろ う。電車の中でも脚の攣るのが怖い。
2016 7/11 176
* 病院へ十二時につき、二時間半、外来で「選集⑰」の初校に打ちこんでいた。諸検査データは血液も尿も良好、血糖正常、貧血無く、肝臓も腎臓も問題なし と。次は十月。三時過ぎに病院を出たが処方の薬局で小一時間また待ってからガンガン照りの築地をよたよた歩いて、投げ出すようにみな諦めて新富町で地下鉄 に乗った。二台待って乗ったが西武線へは入って呉れないので、池袋で下車。乗り込んだのが前の方であったか、改札外は東武の地下。なら、と、疲れからはん ぶんヤケ気分でメトプラを外へ出てメトロポ地下のステーキの店へ入った。
脂ののった上乗のサーロインを注文し、デキャンタで赤ワイン。酔って満腹して、アリャラ無事に帰れるかなと思いながらラッシュアワーの満員西武快速に立ったまま石神井まで、保谷への各停に乗り換え、暑いタクシー乗り場の幸い先頭で、無事に帰ってきた。 2016 7/11 176
* 起床8:30 血 圧123-65(54) 血糖値99 体重66.7kg
2016 7/12 176
* 起床6:30 血 圧127-60(58) 血糖値97 体重66.4kg
* 黒いマゴの体調を心底案じながら日々を迎えている。シンとして寂しい静かな日々を送り迎えている。
* 元気づけのように、録画してある「ベケット刑事(キャッスル)」の美貌を二人で眺めている。
ビートルズのいう「ピースとラブ 平和と愛」とは、まこと真実である。「ラブ」という「愛」を、字義どおりそのまま、本当に容認できるのなら。そのへんの混乱を人の世はまだ見極めきれていない。「世のなか」というその「世」の意味も深くは悟られていない。
2016 7/13 176
* 頸筋がキューッと硬まってくる、これは、熱中・脱水兆候。
2016 7/13 176
* 起床9:00 血 圧132-66(58) 血糖値100 体重66.6kg
2016 7/14 176
* 起床7:00 血 圧135-74(54) 血糖値103 体重67.1kg
* 朝早や、黒いマゴと庭へ出る。ぬか雨のすずしい空気を味わうようにマゴきれいな眼を見開いていた。塀にのせてやり、そのまま植え込みの椿のそばへ歩み寄っ て、道路やお向かいを懐かしそうにしみじみと眺めているのを写真に撮った。寂しくも愛しかった。抱き取って…なんという軽さ…。
2016 7/15 176
* 起床8:40 血 圧136-71(66) 血糖値86 体重66.5kg
2016 7/16 176
* 一時半過ぎて、西武線を所沢まで乗り、飯能まで乗り継ぎ、さらに秩父まで乗り継いだ。二時間ほどかかったか。正丸を越えて秩父へ近づくにつれ懐かしい日本の山原が穏やかに居流れ、窓にまぢかい小草の静かなそよぎにも、胸打つ命のときめきを覚えて嬉しかった。
秩父の駅近在には、心惹くなにも無かった。トンボ返しに特急で秩父を離れ、たそがれの山の色に心惹かれながら、結局、また所沢で下車して、デパートの八 階へ上がり、朝も昼も抜きだった空腹に食べ物をいれてみたが、まったく旨くなかった。赤ワインだけを、この前といっしょにデカンタで、さほどの量でもなく 喉へ通して帰ってきた。
ひさしぶりに電車の遠乗り、それはそれなりにこころよかった。
2016 7/16 176
* 起床9:30 血 圧113-64(60) 血糖値95 体重65.7kg
2016 7/17 176
* 起床9:30 血 圧117-58(67) 血糖値100 体重65.9kg
* 朝から夕過ぎまで、原稿づくりの仕事、校正という仕事、機械内の整備という作業。 2016 7/18 176
* 起床8:30 血 圧115-55(59) 血糖値102 体重67.0kg
2016 7/19 176
* ホームページの点検を終えた。点検に応じて、整理できる所は整理し、さらなる拡充も可能な余地あり、賢く組み立てたい。思いの外に時間を費やしたが、大事な作業であった。点検し整理すべきは、他にも大量にある。もはや保存よりも、整理し廃棄すること。
かなり眼を酷使した。霧の中にいるようだ。十時半。休まねば、もう。眠ることが、眼をやすめるのに最も有効。
2016 7/19 176
* 起床7:30 血 圧116-57(57) 血糖値94 体重67.5kg
* 地震で起きた。地震 雷 火事 畏れ怖れて当然、用心したい。
2016 7¥20 176
* 老母が「睡眠導入剤」を濫用して弱って行くと、ツイッターでいい齢の息子が零 しているはなしを聞いた。これは危ない。が、わたしたちの経験が役立つかも知れない。何処かで書いた気もするが、京都から秦の母を東京へ引き取ったとき だ、とてももう朦朧然と弱った母の面倒は見られないと父から引き取りに来てくれと頼まれた。むろん、引き取りに出かけた。
さて同居して、母の様子は別に寝たきりでもなく医者通いを要しもしなかった、が、よほど呆然とはしていた。しかし、散漫とながらわれわれと対話もしていたけれど、日を追うてよたよたし、浴室で失禁したりしはじめた。
こりゃいかん。しかし臓器的な病状とも思いにくいが、と、日ごろ、京都の開業医からずいぶん大量に出されて抱きこんでいた「お薬」を調べてみて仰天した。すべてが「睡眠導入剤」つまりは眠り薬だった。
わたしは、その全部を取り上げ、捨てた。そして母には言った、眠れなかったら起きていなさいと。起きていつもりでも、実は必要なだけは眠っているものです、と。母は、そうかいなあとぼやきながら、「睡眠薬」全然無しの生活を始めた。
そして、どれほどの日が経っていたか、ある日、母は、突然こんな口を聞いた、「なんでアテは、此処にいるのやろ」と。それは全く永い眠りからスパッと目 ざめた人の口調だった。「くすり漬け」のくすりが抜けて、ポカッと目が覚めたのだ、その口調は、我々の家へ連れてきた頃のソレとはまるで違って朝日のよう にカラリと目ざめていた。母は、東京へ連れてこられていたソレをすら認識していなかったのである。なぜ目が覚めたか。わたしは叮嚀に理由を告げた。
みるみる母は元気になって行き、「もう京都へ帰りますわ」と言った。わたしは危ぶむことなく、京都へ送っていった。その後、賢い母は「睡眠薬」に手を出 さず、いちばん弱いかと見ていたが、夫よりも姑よりもしっかり長生きして、九六歳で「東京で」亡くなった。父は九十一で、叔母は九十三で亡くなった。そん な三人を、わたしたちはそっくり東京へ迎え取って、そして見送った。精一杯の親孝行だった。
* 睡眠薬の常用まして多用・濫用は、危険です。薬で眠らねばならない必要は、概して、無い。
2016 7/20 176
☆ 毎日暑いですね~
お変わりなくお過ごしのご様子で何よりと嬉しく存じます〓
世間の喧騒から離れても、加齢と共に身の回りに起こる慌ただしさに、体力の衰えを実感しています〓 自分に与えられた人生の仕事 役割と思いながらも 支えて下さる人様の存在が ますます有り難く嬉しい事でございます〓 これからも感謝の気持ちを忘れず謙虚に~これが難しいですねぇ~ 残された人生過ごして行きたいと思っています!
これからもお身体お大切にお元気でお過ごし下さいませ〓 絹
* ロスの池宮さんからも便りがあった。暑い中で、みな元気なら、なによりです。
わたしは、体重のリバウンドに気を付けないと。家にばかりいて、飲み食いしていては太りますなあ。太るのは禁物。
2016 7/20 176
* 起床10:30 血 圧126-58(64) 血糖値97 体重67.0kg
* 小雨の中、妻と、駅前へ出て、印刷所への選集⑭支払いを済ませ、唐津のうどんを昼飯にしてきた。店主が、かねて気に入っていた唐津のぐい呑みを気前よく呉れたのには吃驚し感謝した。となりの喫茶店「ペルト」が喫茶営業をやめ、焙煎専門になっていた。小雨の中、ゆっくり歩いて帰った。
* 「れいじょう三千盛」を、唐津のぐい飲みでぐいとやった。酔いを発し、寝入った。目ざめたら、大相撲名古屋場所十二日目の幕内土俵入りをしていた。
2016 7/21 176
* 起床9:30 血 圧135-70(59) 血糖値93 体重66.8kg
* 幸いに各科診察の間隔がながめに推移していて、休める日々が多くなった。だからもっと出歩けば良いのだが、この夏場はそんな気になりにくい。家にいれ ば仕事ははかどって前へ前へ進むしてをひろげて新しいことも出来る。ただラクはしても、体力は落ちて行く。黒いマゴの様子しだいではあるけれど、せめて芝 居だけは観に行きたい。
八月には染五郎、猿之助の弥次喜多を笑いに行く。宙乗りもある。芝翫になるという橋之助を軸に勘九郎、七之助そして扇雀の「紅かん」もある。
九月には吉右衛門、染五郎、菊之助そして玉三郎の「吉野川」という大ご馳走があり、中幕で染五郎が「らくだ」だという。大いに笑いたい。大切りは玉三郎の「元禄花見踊り」で華やいで。
十月から十二月まで「仮名手本忠臣蔵」の完全通し興行と案内が来ている。おかるの身売りや勘平の腹切りの十一月は失敬して、松たか子の芝居を楽しみに待ちかねている。十、十二月には幸四郎の由良之助、同じく加古川本蔵を楽しみにしている。
2016 7/22 176
* 起床9:30 血 圧133-70(60) 血糖値83 体重66.2kg
* つとめて永く寝ているようにしている、視力・視野のすこしでも安定して仕事に迎えるように、と。眠れば、見づらさの少しはたしかに改善され る。画面の明度にも気配りしている。眼鏡も再々取り換えている。仕事は進めている。寝床での読書も、以前のように一夜に十種類を越すような量はしていない が、昨夜も、選集の十七巻から漱石「心」論を面白く校読し、源氏の「夕顔」(懐かしく)バルビュスの『砲火』(もの凄く)バイアットの『抱擁』(文藝的 な、あまりに文藝的な)を読み進み、そして合気道藤平君の好著『静かな心』を心して学んだ。零時からおよそ一時間半か。
なによりも誘惑されてわたしの弱いのは、読書。家中に、おさまりきれないむきだしの本が目に見え溢れていて、そばをすり抜けるしかないわたしを誘惑す る。昨日も二階廊下の窓際で、亡き加島さんの書かれた東洋文庫「袁枚」が目につき、立ち止まり、立ったまま、たくさん頁をくって艶冶な詩人の詩を幾つも読 んでいた。
心惹かれた本ほど家に溢れているのだから、誘いもキツい。この窓辺の小廊下には、それでも数百もの文庫本、新書版本が新旧の別なく(ただし小説は此処に 置いてない)並んだ小棚からわたしに呼びかける。杖をついてよたよた外出するよりは、ついこの本たちに誘惑されていたいと思ってしまうのは健康ではない が、不健康ともどうも思いにくいので困ってしまう。
2016 7/23 176
* 起床8:15 血 圧133-66(59) 血糖値92 体重66.8kg
2016 7/24 176
* 起床10:30 血 圧126-69(60) 血糖値105 体重65.9kg
2016 7/25 176
* 今日も眼を遣いすぎた、頭もボオッとしている。「e-文庫・湖(umi)」=「秦 恒平・電子文藝館・湖(umi)」の再稼働出来たのが、至極、嬉しい。広く紹介したい湮滅同然の名作、秀作が在るのだ。掘り起こしておくのもわたしの仕事 と思っている。力のある新人の創作も読みたい、ただし騒壇餘人の私に、文壇への売り込み斡旋などはどうか期待されないように。
2016 7/25 176
* 起床8:30 血 圧116-58(60) 血糖値98 体重67.0kg
2016 7/26 176
* 自分でも何をしていると意識なく、機械のなかをあちこちして時間を費やしていた。これも、休息か。それなら眼をやすめなくては。もう四時。
* 明日は曇りとか。昼過ぎにでも、なんとか、池袋へ出てみようかな。それとも久々に麹町の中華料理「登龍」など、どうかなあ。
* もう八時半。「点鬼簿」を記していた。亡くなった人の姓名を書きおくものだが、簡単にでも、触れあいや思い出を 書き置いてみたいとかねがね願っていた。順不同、思いつくままにメモでもするように。
このごろ 亡くなった人の夢をつづけて見ている。それも思いも寄らない人であったりする。
2016 7/26 176
* 七月二十七日 水 娘朝日子(56歳)誕生日
孫やす香命日(2006年 19歳で逝去)
* 起床8:00 血 圧126-68(66) 血糖値97 体重67.0kg
* 妙な夢をよく見る。夜前は、大相撲の力士を東方「おんな性」の力士、西方「おとこ性」の力士に分け、亡くなったあの贔屓の横綱北の湖が「おんな性」力士として優勝しそうに熱闘を制しかけていた。あの強い力士たちに、素質体質において「おんな性」、「おとこ性」のちがいがあるという夢にビックリする。
それにしても、また故人の夢であった。
2016 7/27 176
* さてほどよく曇って気温も落ち着いていたので、校正のゲラを鞄に、ふらりと街へ出た。横浜中華街行きに乗ってしまったので、池袋駅で降りてマゴマゴし た。新木場行きとまるで別の場所へ降ろされる。結局西口へ出てしまい、メトロポの中二階で校正し始めたのが快調、講演「心は、頼れるか」連載エッセイ「こ ころ言葉”を”考える」と同じく「こころ言葉”で”考える」が、やはり働き盛りだったということかズンズン興味深く書けていて、我から、二時間ほど、楽し んだ。で、今日は久し振りに和食を試みたいと、同じホテル内の和食の店で、極冷酒一合で、やはり校正を読みながら、ま、あまり巧いとは謂えなかった和食を 平らげてきた。
食べ疲れ、しかも校正は快調に片づいていたし疲れてもきたので、さあっと保谷へ帰ってきた。
まだまだこの程度の体力なのかなあと、やや情けなかったが、出かけてよかった。
* 明後日には、胃全摘手術後では最長距離への逗子まで妻と出かける。義妹の繪の個展がある。姉妹の叔母の告別式で逢って以来、一方的にわたしの仕事へ支 援応援をいただくばかりで来た。おりしも今日は娘朝日子の生まれた日、あの頃、妻の長い入院のあいだ妹にはいろいろ世話になったのを、なつかしほどに思い 出す。保谷と藤沢とではなかなか顔を見ること、姉妹のあいだでも無かった。ひょっとすると従妹とも出会うかもと妻は楽しみにしているが、交通の便にうまく 乗り切れるためには、二人で出かけるのが何より安全策でもある。二人とも熱中症でバテないよう、よくよく気を付けないと。
* 浴室でもゲラを読んだ。特製のライトで明るくして読むので、眼も少しラクです。
バルビュス『砲火』の、この、まあ何という、惨憺たる最前線の塹壕の底を這い回って命生き延び、しかし身の回りは生存兵に何倍する破壊され汚臭を放った 死屍累々とさながら抱き合って過ごさねばならない緊張と疲労との極生活を叙して、顔をそむけるどころか引き込まれるように読んで行ける、読まずにおれない 筆力の確かさ豊かさ、こんな筆づかいの見事さ強さ美しさをわたしは他にそうそう思い出すことが出来ない。
戦闘と弾幕と悪気象とひっきりなしに襲う命の危険。ふつうならとても読めない、投げ出し逃げだして了いかねない、のに、わたしは一行としてとばし読みなどしないしたくない魅されて読み継いできた。とても投げ出す気がしないほど「読まされてしまう」魅惑に捉えられている。
源氏物語はゆっくり「夕顔」の死後と源氏のなげき、「若紫」への推移の気配を楽しんでいる。
今一つバイアットの『抱擁』、今日はシャーンとして姿勢も正しい女性の研究者モード・ベイリーと、学問と学者世間の重い空気の底で、ぐたりと疲れながら 懸命に或る詩人の妻の浩瀚な日記研究にうちこんできた女性との、なかなかの対決と宥和と共感の対話の箇所を面白く読んだ。この作は頗る知的な緻密構造、緻 密すぎるほど創られた「現代」と「過去」との対位法の妙を懸命に汲み取らねばならない大作。一度読み通し、そしてたまたま出来ていた映画も二三度も観て、 そしていま二度目の読みに挑んでいるのです。そう年齢的にも離れていない、イギリスの知性の代表格にみられている女性作家の力作、作中へわが頭から掘って 掘って潜って行かねばならない。これに比べれば同じ「小説」として云うと『ダビンチコード』なんかの方が通俗な感じ。
2016 7/27 176
* 有り難く、ただ有り難く。
じっと思いじっと考え、じっと爆けてくる命の力を恃みます、投げ出さないで。
* こういうメールを戴くとしんから励まされる。有り難い。
2016 7/27 176
* 起床5:30 血 圧125-69(61) 血糖値108 体重66.1kg
* 目が冴えて、起きて、仕事をした。
2016 7/28 176
* 「湖の本131」の再校が出、「選集⑯」の念校分も出た。「選集⑰」の要再校用意も仕上がろうとしている。
睡眠が少し足りなくて。それでも、必要な仕事の打ち合わせや確認の取り付けや、あれこれ忙しく、晩になってしまった。明日は、酷暑らしい。無事に往復したい。
2016 7/28 176
* 起床6:45 血 圧103-54(64) 血糖値99 体重66.8kg
* 九時過ぎにバス停へ向かい、九時四十二分保谷発の副都心線で一気に横浜へ、京浜急行に乗り換えて新逗子へ。義妹が駅頭で待ち迎えてくれた。
近くの二階レストランに、十数点、まことに手堅い、詩的にシュールな繪をならべ、詩も数点、壁にかけて読ませてくれた。
妻や義妹には従姉妹の後藤さん夫妻もみえ、五人で食事し、男二人はすこしビールとバーボンにも手を出し、そして歓談。義妹は詩集をもちそして繪を描き続 けている。後藤夫人も活気に富んで手堅い繪を描きつづけ、さらに俳句の方へも夫婦していい顔を向けている。自然、繪を軸に、俳句と詩と短歌(和歌)にふれ た歓談となり、望ましいいい時間が楽しめた。妻も繪を楽しんで書き、選集に参考で収めた「姑」のような文章も書いてきた。わたしは繪がまるで描けない、の に、大きな美術賞の審査に四半世紀ちかくも選者として携わってきたし、美術と美術史とにふれた著書も何冊ももっている。創作を念頭に話題が的をえてコンデ ンスする時間は、楽しい。そういう対話と時間とが、ほんとうは、もっと欲しいのであるが、なかなかそうはいかないものだ。
家では、黒いマゴが心細く留守番をしてくれている。二時過ぎの新逗子発でわれわれだけ先に帰路につき、日照りのまばゆい四時過ぎには保谷へ帰ってきた。
遠足という気分を楽しんだ、なにしろ保谷で横浜中華街ゆき副都心線にのれば、一気に横浜駅へらくらく座って行ける。帰りも同じ。ウソのように便利。保谷から西武線のゆっくり電車で秩父へ行くのと変わらない。窓の外は、とくべつケッコとも云えないぶん、ゲラ読みの校正は往復の電車でたいそう捗った。
ただし、やっぱり人混みの駅構内や階段・エスカレーターなどでは、よろよろして危ない。人にぶつかってもぶつかられても危ない。油断はできない。
妻は、久し振りに妹に逢い従妹とも逢えて、楽しそうだった。もっともっと話していたかったろう、が。
黒いマゴは、二階の机の下へ隠れて、観念して留守番してくれていた。粗相ももなかった。
2016 7/29 176
* 起床8:15 血 圧119-62(62) 血糖値96 体重65.9kg
* 昨日の新逗子行きはいい刺戟にもなった。大層であるが、何かを仕遂げた気分、遠くまで出かけて問題なかったという軽い安心感。一つには長距離のほとんど全 部が冷房の電車の中で、ラクに座れて仕事も出来ていた。ガンガンの快晴だったが、日照りの中を歩いた距離はごく僅かで済んだ。水分は十分補給していた。
次は、昨日の所用時間から見て、名古屋へ、あるいは仙台へ、新幹線で日帰りなら、できそう…か。
2016 7/30 176
* 小説のために京都市東山区地図を長時間、見えない眼で見続けていて疲れたけれど、いろいろ仕事をし続けてもいた。無理が多いかなあ。
* 明日は都知事選。建日子もこっちへ来て投票するらしい。
もう今夜の機械仕事は、やめ。
2016 7/30 176
* 起床9:30 血 圧113-65(62) 血糖値96 体重65.9kg
* わたし独り、まず自転車で保谷一小の投票所へ。前回の参議院選挙と打ってかわった投票所への人出で。なににしても、いい傾向で。高投票率で浮動票がどう出るか、組織票がどう動くか。
凄い日照り、投票所まで自転車で往復十分間に満たない近さなのに、熱中害を感じるほど胸がバクバク、怖かった。午後は雨とも。
2016 7/31 176
* 昼過ぎに建日子帰ってきて、母と、投票に。しばらく寛ぎ話してから、次の池袋での用事に出かけて行った。
いくらか降ったけれど、それよりも濃厚に負担のかかる暑さで参る。三人とも、ふらついた。もう五時過ぎて、なおぎらぎらと障子窓の外が西日に熱している。
原作『斎王譜』で今日は「お利根さんの話」を聴いている。この作の中に、すでに「蘇我殿幻想」や「チャイムが鳴って更級日記」も芽生えていたと分かる。 「美しいかぎりの小説を書く」とひそかに口にも出し力んでとりくんだ作であった。大勢の「いい読者」らといっとう早くに出逢えた「慈子」の原作である。昭 和四十年(一九六五)四月三十日に稿を起こし、四十一年五月二日に一応仕上げていたと、私家版巻末に記してある。半世紀前、ちょうど三十歳、むろんはるか に「作家以前」の作だ。
2016 7/31 176
* 起床7:00 血 圧133-68(59) 血糖値97 体重66.1kg
2016 8/1 177
* 起床7:30 血 圧122-66(56) 血糖値103 体重66.6kg
* 朝から原作「斎王譜」を叮嚀に読み返していた。疲れると階下へ降り、デッキチェアでうたた寝したり、横になって読書したり。
2016 8/2 177
* 新都知事誕生でテレビは喧しい。自民党の対応のバカらしさなど報道されると、もう、世界をよそへ逃げ出したくなる。街へ出てもいい気分ではいたが、都 心ほど豪雨があったりして、家にいるのがイチバンだった。食は進まない。ワイン、ビールを含むお茶などの水分と少しずつの間食。あまり健全でない。
2016 8/2 177
* 起床9:30 血 圧103-50(60) 血糖値100 体重65.6kg
2016 8/3 177
* 浸潤性自家熱中症とでもいえそうな疲労感に負けそう。黒いマゴ今日の輸液も終えたので、十時半だが休みたい。今日は階下でも二階でもとかくすると居眠りしていた。むろん仕事も、しっかりしていたけれど。
2016 8/4 177
* 起床9:30 血 圧119-68(61) 血糖値103 体重66.3kg
2016 8/4 177
* 家の中でも、上も下も冷房していても、暑い。黒いマゴも弱っている。
ポストへ自転車で走っても往復六七分が息切れしそうにしんどい。朝日賞の推薦を催促されたので投函してきた。
この分では、明日夕方の歯医者通い、ラクではない。週明け月曜には午前予約で聖路加の二科へ出かけねばならない。
* 「斎王譜」を大昔の私家版を参照して原稿を作っているが、絃歩の版面が薄れてきていて、霞んだ眼ではなかなか読み取れなくて弱り弱り、それでももう30頁ほどで済む。その30頁ほどがしかし大変で、読了まで一週間かかるかも。
* キツく喉が渇く。喉も食道も腸も、いたわってやらねば。
2016 8/4 177
* 起床9:30 血 圧125-64(59) 血糖値99 体重66.5kg
2016 8/5 177
* 黒いマゴにはやめはやめの輸液して、日照り熱暑のなかを二人で歯医者へ。
帰り、ひさしぶり中華家族へ寄ってきた。帰りの電車は江古田から練馬へ、継いで石神井公園へ、そして保谷へ帰ってきた。留守に排尿便していた黒いマゴ、すこしものを食べてくれた。
クーラーを四箇所につけていて、それでも家の中も暑い。
2016 8/5 177
* さすがに疲れた。十時半だが休息に入る。
リオ・オリンピック始まり、日本男子サッカーはナイジェリアに敗れた。
2016 8/5 177
* 起床7:40 血 圧135-64(58) 血糖値92 体重67.2kg
* 仕事にかかるといつ知れず歯を噛みしめていて、痛んでくる。合気道の藤平君に教わって気の呼吸で心身を静かにやすめるよう励行している。
* 湖の本131をそろそろ責了にと催促されている(気がする)。もう20頁ほどの常識校正をのこして、ほとんど終える用意は出来ている。読みは機械の前ではし難くどこかへ出たいが、こう暑くてはからだが参る。夏場にからだを毀すとロクなことにならない。
* でかける気でいながら十一時過ぎ、潰れるように黒いマゴのそばで倒れ臥して二時過ぎまで熟睡(と云っても夢を見ていたが)。ガクっと疲労している。戴いた杏菓子をダージリンで。濃厚に美味い。からだが火照るように暑い。冷房の効く機械の前へ這うようにあがってきた。
2016 8/6 177
* 起床7:45 血 圧129-65(60) 血糖値94 体重66.7kg
2016 8/7 177
* さ。明日は炎暑に燃え上がらないよう気をつけて聖路加へ出向く。月曜で美術館は休み、他のどこへ寄ってくる元気もあるまい。校正ゲラを多めに持ちながら、せいぜい早く帰路につこう。家には手をかけたい仕事がどっさりある。
* 色んな仕事をした一日。黒いマゴに輸液して早く寝る。明日は朝の出が早い。
2016 8/7 177
* 起床7:00 血 圧125-64(65) 血糖値101 体重66.6kg
2016 8/8 177
* 病院の諸検査は上乗であった。週に何度か三十分ほど歩いて下さいと。毎日十分間でもいいですと。 多年聖路加へ通っていて、今日ほど待たされず速やか に二科の診察が終えたなんて、ウッソーという感じ。薬局で処方薬を受け取り、銀座松屋うら「ボンシャン」の昼飯に悠々間に合い、そればかりか帰宅して三時 の天皇さんのがお言葉もしかと聴き得た。
2016 8/8 177
* 起床9:00 血 圧116-68(61) 血糖値106 体重65.9kg
2016 8/9 177
* 起床9:00 血 圧126-64(56) 血糖値103 体重66.1kg
* まだ朝日子が高校生、建日子は小学生時分らしく、妻も一緒に、誰の案内も無くなんとモスクワの大きなホテルに泊まって食事をし、モスクワの街なかを、ああ だこうだと、はしゃいだり戸惑ったりしながら彷徨い歩いてる夢を見ていて、眼がさめた。なぜモスクワなのか。モスクワはわたしの訪れた外国の都市のなかで も印象の濃い懐かしく美しい街だが、夢中の光景はうつつの記憶と重ならなかった。なのにモスクワと四人とも思いこんでいた。
* 黒いマゴの輸液と附加薬とをもらいに獣医院へ、いつものように自転車で走った。大きな大きな交叉点で自転車への衝突事故があったらしく救急車やパト カーが来ていて、警官らが大わらわに汗を流していた。大破した自転車が「現場」に荷物とともに頽れていた。よくは分からないが、真っ黒い大きなオートバイ を警官らが検分していた。
何にしても、この広い十字交叉の道路が出来たのでは、近いうちに事故が起きると用心していたが。自転車は身動きかるくて安全などという思い込みは危ない。図に乗ってはいけない。しかし暴走してくるオートパイや自動車は怖い。
* ドヨンとして熱中ぎみに腹重く、噛み合わせ硬く痛み、眠けにも包まれている。しかしボケてはいられない。沖津浪のように仕事のうねりが迫ってきている。湖の本131を手放すことから始め、遅滞なく寄せる波へ乗りあげて行かねば。
2016 8/10 177
* 起床9:30 血 圧129-63(64) 血糖値97 体重66.4kg
* 寝坊をきめたのに、まだ瞼が重い。腹もシンと冷やっこい。
2016 8/11 177
* 「湖の本131」責了の用意を終えた。相手方は夏休暇に入っているかも。わたしには休暇は無い。今朝からも幾種類もの「仕事」をしてきて、やがて六 時、夕食。いまは食事ときいてちょっと胸高鳴るといったことが無い。妙な食べ方をしてしまうとお腹が重苦しくつらくなったりする。つい、スープっ気のもの を望んでしまう。バラの飯よりは煮つめた粥の方が食べいい。色彩にも悩まされる。以前なら美味しそうと乗り出した、たとえばカレーやシチュー色の濃い食べ 物に、顔をそむけてしまう。
2016 8/11 177
* 起床7:30 血 圧131-74(55) 血糖値97 体重66.4kg
* 選集十七巻の再校が出そろい、選集十八巻の原稿を入稿した。
選集十五巻の納品が二十二日に迫っているのにも発送用郵袋を買い調えておくという何よりも当たり前の用意が、出来ていると思いこんでいて、出来ていない のに気が付き、折しも業者も夏期休暇中で注文も出来ない。まさに「不用意」というもので、ガックリ来た。ただし約束の期日があるわけでなく、発送の仕事を すこし先延ばしして済むこと。
そんな基本の心用意・配慮が行き届かなかったのは、わたしも老いたということ。つい仕事の「なかみ」にばかり打ちこんで、編輯の基本の「雑用」に類するところが欠けたわけだ。
「閑事」のゆとりが、もててなかった。いつも、知らず知らず歯を食いしばって仕事している。歯が痛み、脆くなった歯がますます傷む。六七頭だての馬車を 駆っている現状で、幸い、どの馬にもさしたる疲れは出ていないが、馭者はかなり草臥れている。日野正平が自転車を駆って行くふるさと番組に見入っている と、いかに自分がふるさと京都を見喪いかけているかと、寂しくなる。
2016 8/12 177
* 起床7:30 血 圧127-64(61) 血糖値99 体重66.4kg
* 国産のワインを少し口に含むだけで、トロリンと居眠りしてしまう。それでも、発送の用意を始めた。半量ほどは用意出来る。もう半分は、すこし遅れる。
* それでも、もう十一時、今日もいろんな仕事を効率よくすすめた。根気と精力とをうまく配分してすすめないと仕事が一つ二つに固まってしまい、歯車にモ ノが詰まってしまう。流れを詰めてしまうと、溜まる仕事がゴミのように見えてくるのは、危険。忙しがるのもたいへん良くなくて、文学の仕事は本質において 優れて閑事でなければ生きてこない。生きの弱い仕事は臭みを帯びてくる。
2016 8/13 177
* 起床8:30 血 圧139-71(55) 血糖値107 体重66.6kg
* 夜中、ワインをのみながら五輪競技を小一時間観ていて、朝の血糖値が上がっていた、が、それでも正常値の範囲内。
* 半ばまで書き進めたしごとが、バサッと消えてしまった。この機械、よほど慎重に操作しないと、こういう事故を重ねそう。ガッカリしてしまうと志気が落ちる。あきらめてやりなおすことに。
すこし休んでこよう。
2016 8/14 177
* 建日子の連続ドラマが好評らしいのだが、どうもわたしは乗れなくて、見続けてやっていない。世界観も人生観も創作へたちむかうモチーフもはっきり違 う。違っていて、だから良かったのかも知れないが。洋ものでは、また始まっている「ER 救急救命医療」「NCIS」それと、刑事ケベックのすばらしい美 貌にこわいほど惹かれている。映画が観たい。
歩け歩けと云われているが、暑すぎる。十八日の歌舞伎座が楽しみ。老い鬱に落ちこまないように胸の内をくつろげたい。いま、額の左のうわっつらに指先で ふれるだけで痛い。痛む歯を食いしばってみにくい眼を追いつかって仕事しているのだ、ろくなことはない。しきりに、「間に合うように」とものを追っかけて いる。すこしも寛いでいない。
2016 8/14 177
八月十五日 月 敗戦の日
* 起床7:30 血 圧131-70(55) 血糖値102 体重66.2kg
2016 8/15 177
* 起床7:30 血 圧122-64(58) 血糖値92 体重66.7kg
2016 8/16 177
* 起床8:15 血 圧131-68(61) 血糖値96 体重65.9kg
2016 8/17 177
* 髪を洗って気持ちいい。明日は三部制の二部だけを歌舞伎座で楽しんでくる。染五郎と猿之助の弥次喜多だというから、あははと笑ってきたい。黒いマゴに留守をさせるのが気がかりだが、頑張ってくれると信じている。
2016 8/17 177
* 起床7:15 血 圧117-65(54) 血糖値93 体重65.2kg
* この朝一体重は胃全摘から四年半、最軽量。糖尿のためにはとても好い具合に減っている、が、体力のためにはどうか。いま脚力、背筋力が一頃よりかなり弱っている。運動するという気分の日々でない、なら、歩くしかない、が。
* 撮りためたたくさんな黒いマゴの写真に題をつけていた。おお、黒いマゴ!
* 九時半、すこし眠い。歌舞伎座で寝てはいけないぞ。
2016 8/18 177
* 起床7:15 血 圧148-74(80) 血糖値100 体重66.1kg
2016 8/19 177
* 起床8:15 血 圧106-59(54) 血糖値92 体重65.9kg
2016 8/20 177
* 「ユニオ・ミスティカ」の冒頭を読み返していった。無頼な語り口だが、語っているのが爺いなんだしと、ま、かってな言い訳にしておいて。
なんだか、あれこれ書き付けてみたくなったが、もう九時半、というのを引き留め役にし、今夜はなにも書かない。終日、いろんな仕事に励んでは疲れ寝で休 息、じつはからだがガチガチに硬く、食べていないのに、呑んでもいないのに腹具合もよくない。瞼は重い。視野は暗い。正直の、ウソにもわたくし元気ですと はなかなか云いにくい。自信がない。ひとつにはからだを働かせる活気がない。思えばわたしのこの数年、遊びの楽しみなんてものは、観劇ぐらいなもの、何に も無い。無いことはないが、それは「仕事」なのである。小さい頃からわたしは独り遊びの工夫にはたけていて、ひどいれいになると、畳の目に眼をすりつけな がら畳み目ひとつに世界大の空想を楽しんだりしていた。そういえば、わたしの一人遊びには「数える」という遊戯が色濃い。百人一首に副えて和歌をつくった り、歴代天皇を唱えながら、十、十一に当たる天皇二人づつの名前で当時の歴史を反芻したり、四十七士の名を数えたり、俳優女優の名を五十人ずつあげようと して、時にはウンウン唸っている。数えようと思えばいくらでもある。元素記号などもう増えすぎてカンベン願っているが、「数える」遊びは座り込んでいても 歩いていても自在に出来る。
あ、いけない。もう、やめて休まねば。
2016 8/20 177
* 起床10:15 血 圧123-65(61) 血糖値101 体重65.9kg
2016 8/21 177
* 起床7:30 血 圧132-71(73) 血糖値98 体重65.3kg
* 9:45 風雨の中 秦 恒平選集第十五巻 無事に納品された。本の出来映え、良し。台風、真おもに大接近している。
ま、送り出しは、気分ゆっくり、でよい。
2016 8/22 177
* さ、もうやすもう。黒いマゴに輸液してやって。床に就いてから、深夜まで好きに本を読み、好きに校正もする。わたしの眼に宜しくないのは、機械画面のギラギラなので、寝床では明るいライトと裸眼とで読んでいて、むしろ、だんだん読みやすくなる。
2016 8/22 177
* 起床8:30 血 圧129-62(62) 血糖値93 体重65.4kg
* 妻が定期の受診に地元病院の循環へ行き、送り出し作業は偏頗にしか捗っていない、妻でないとうまく出来ない手作業がまだ三分の一も進んでいない。急ぐことはない。
わたしはわたしの仕事を、せかせかはしないで進めている。新たに書く、読み返す、校正する、調べる、考えるといった仕事が欠かすわけに行かず連続する。
2016 8/23 177
* 黒いマゴを自転車の前籠に載せて、夕暮れの近所をゆっくりと幾廻りも走った。黒いマゴは、昔名が大あわてで飛び降りたが、今は静かに乗ったまま、静 かに界隈を眺める風情で温和しい。先日来何度か試みて、そのつど一度も降りたい怖いというそぶりなく、むしろゆっくりと眺めて楽しんでさえ居るようだった ので、速度はあげず、静かに静かに話しかけてやりながら、同じ界隈を十分十五分走った。
黒いマゴ…よ。父さんも母さんも…幸せだよ、おまえといっしょで。喜んでいるよ、おまえの呼び掛けてくる声を。
2016 8/23 177
* 起床7:45 血 圧140-74(61) 血糖値96 体重65.5kg
* 朝一番、故紙出しを手伝ってから、黒いマゴをのせて自転車で近隣を遊走。黒いマゴ、視線を送って視野をたのしむふうに見えた、そうであれば好 いが。抱いてやるのが手痛いほど痩せたが、意思と判断とで家内でも戸外でも、静かに静かにしかし自身で歩んできまりの場所に排泄したり、寝たり、飲食した りしてくれている。畏怖を覚えるほど聞き分けよくよく分かってくれて、聡い。
2016 8/24 177
* 起床8:15 血 圧123-61(56) 血糖値90 体重65.7kg
* 六日間、体重が65キロ台をキープしている。時に69キロに逼った時もあったが、このところずうっと目安にしてきた65、66キロ台を保ってきた。当面は 65キロ台の維持を理想にしている。胃全摘まえの体重は86キロ台の半ばを越していた。術後、20余キロ減り66キロ余になっていた。糖尿の値は一気に正 常値へ落ち着いた。血圧も正常、ただ貧血があるかどうか、無いと云われているが起ち居にも歩行にもよろつきは無くならない。視力と視野の湿潤が影響してい るのかも。
2016 8/25 177
* しばらくぶりに近くのスーパーで純米酒を選んで買ってきたのに、こっちの体調かも知れず美味くなくて、折角あつらえた肴もひきたたず、落胆。
2016 8/25 177
* 起床5:00 血 圧123-65(63) 血糖値90 体重65.9kg
* 黒いマゴが目ざめて廊下へ出ててたので、手洗いに立ったそのままわたしも床をはなれ、テラスへの戸をあけてやり、わたしはデッキチェアで「選集⑰」の再校 など。黒いマゴが外庭へ出たがったので一緒に出てやり、水を飲ませ、また自転車の前籠へ乗せてやった。すこしもイヤがらず、坐ってそのまま周りを眺めるふ うなので、戸外へ出て、近隣を十数分、ゆっくり走ってやった。涼しくて、静かで、人とも車とも出合わず、黒いマゴはゆったりした表情であちこちを楽しげに 眺め眺め、いささかも自転車乗りを怖がりも嫌がりも降りようともしない。こういう散走をわたしは昔から希望していたが、なかなか、静かには乗ってくれな かった。飛び降りて怪我させたくなく連れ乗りは諦めていたが、最近、フト試みてみたら、いとも静かに温和しく、走りながらの前籠からの眺望を、おっとり楽 しんでくれる。なんと嬉しいとも、しかし、黒いマゴ老いゆえの「あなた任せ」かとも、ただ凝っといっしょにいてやるのである。「いっしょにいる」のが、安 心で嬉しいか、ひたっといつも間近に身をやすませている。可哀想に、抱いてやれば手が痛むほどに黒いマゴの五体は骨と皮のように痩せているが、排泄も飲食 も休眠も、われわれへの応答や訴えも、なにより視線の明るさ・寄せ方など、明瞭に意識的で聡明なこと、日々、感嘆させられる。
黒いマゴの老い痩せを、衰えを、妻はともすると泣き歎くが、わたしは今は泣かない、歎かない、それよりも、黒いマゴが、そのように毎日をわれわれと友に して呉れるのを、心から喜んでいる。嬉しいと思っている。いまは歎いたり悲しがったりする時だとはけっし思わない、それよりも黒いマゴとすこしでも「今・ 此処の時と場合」とを喜び合ってやりたい。 いまわれわれが泣いては、いつもわたしたちを見て見て懐き頼んで一緒にいてくれる黒いマゴが、可哀想すぎる。倶に在る刻一刻をいっしょに喜びたい。
2016 8/26 177
* 夕方にも黒いマゴを自転車の前籠に乗せて、ゆっくり近隣を四、五周した。
2016 8/26 177
* 起床8:00 血 圧122-71(63) 血糖値92 体重65.8kg
2016 8/27 177
* 起床8:30 血 圧139-78(57) 血糖値93 体重65.8kg
2016 8/28 177
* 堪らず機械の前で寝入っていた。三時になる。
2016 8/28 177
* 起床8:00 血 圧131-64(52) 血糖値99 体重65.7kg
2016 8/29 177
* 選集第十八巻のゼロ校が、もう、届いた。第十七巻の責了前の最終校がもう少し残っており、第十九巻の入稿原稿をここ毎日、気を入れてつくり続けている。「湖の本131」は九月十二日に出来てくるし、「湖の本132」はこれから初校にかかる。
新創作も念入りに進んでいる。九月六日早朝からの聖路加眼科までは、すこしく気はラクにもって仕事が出来る。しかしこう達磨のように家仕事に没頭していては脚が萎えてしまいそう。
2016 8/29 177
* 起床7:00 血 圧130-68(56) 血糖値99 体重65.7kg
* 京都の詩人・あきとしじゅんさん、文化出版局の中野完二さん、金沢の作家金田小夜子さん、所沢の藤森佐貴子さん、そして東京都立中央図書館から、それぞれ に佳いお便りを戴いた。
* 昼間から眼疲れしながら、仕事、仕事。台風は来るのか、来ているのか、北へ逸れたのか。せめてあした、街歩きに出てみたいが、昼飯にでも。
2016 8/30 177
* 起床7:00 血 圧135-69(57) 血糖値88 体重66.4kg
2016 8/31 177
* 金沢の金田さん、高名なすばらしい葡萄「ルビーロマン」を、所沢の藤森さん、父上亡き島津先生の愛飲された郡上布屋の名酒「元文」を、調布の中野さん、 「やまと櫻」大吟醸金ラベルを、練馬の持田さん、選り抜きの和製ワイン二種を、 花が咲いたようにそれぞれ嬉しく頂戴した。有り難う存じます。
* もと朝日新聞の伊藤壮さん、越乃寒梅 三升 下さる。なんと心強いこと。少しずつ(日に、二、三合ずつ)戴く。秋へ向かう酒はひとしお美味くなる。
2016 8/31 177
* 食欲がない。今朝も、小さなクッキーを二枚だけ。栄養失調でよろつくのかも知れない。
* ダメ。視野が安定しない。なにもかも、ゆらゆらする。十一時過ぎ。寝入って休むしかない。
* 二時過ぎまで昏睡。夏バテとはこれか。今日も、出歩けなかった。出るなら、晩しかない、か。
2016 8/31 177
* 起床7:30 血圧135-66(60) 血糖値91 体重65.8kg
2016 9/1 178
* 夕方、黒いマゴを前籠にのせて、自転車で近隣を、ぐるりぐるりとほぼ十周もしてきた。黒いマゴ、まこと穏和に首を前に左右にのべて穏やかに夕涼風を楽しんでくれていた。
* 写真の電送が出来ていないようだ。ややこしいので、一旦、撤去した。八月の写真が美しく、気に入っている。
2016 9/1 178
* 起床8:30 血圧134-68(63) 血糖値92 体重65.9kg
2016 9/2 178
* また、仕事の手をひとつ先へ伸ばした。十一時半。もう眼が霞みきっている。 2016 9/2 178
* 起床7:50 血圧120-64(59) 血糖値94 体重65.9kg
* 黒いマゴと起きて、庭で水をのませてやり、自転車の前籠にのせて近くを十数分ゆっくり回走した。涼しくてわたしは心地良いが黒いマゴはどうだろう。いまは ほとんど啼かない。後ろ脚は両方とも関節を外しているかのように開き、それでも、ゆっくりゆっくり歩いて、ともあれ排泄にはきめられた場所へ夜中でも行っ ている。よく鳴いた元気な大きな鳴き声を聴きたいが、この数日、まったく声を出さないでわたしたちの顔をみて視線を合わせようとする。眼がよく見えている のかと危ぶむが、溜めた涙を拭ってやると、もちまえの綺麗な眼が賢く光る。食は、帆立貝や生肉や魚をごく少量なら妻の指先から食べてくれる。輸液もまった くイヤがらない。
心ゆくまで静かに聡いまま生きておくれ。
2016 9/3 178
* 起床7:45 血圧126-67(57) 血糖値84 体重65.9kg
2016 9/4 178
眠る女
* こころよく眠れるときは、至福のとき。ラファエロ前派のこの繪、やんわりと、好き、気に入っている。
2016 9/4 178
* 今は機械の前で、(およそ選集の一巻分に剰りそうな)長編新作の最終部の仕上げに唸っていた。頭、禿げそう。
* うかとしていたが、明後日は久し振りに聖路加眼科で諸検査がある。朝の十時半の診察予約だが、検査のためには一段と早くに顔を出さねばならない。ゴッホとゴーギャンでは雑踏が辛い。出光が何をやっているか。しかし、黒いマゴの容態も心配だ。
2016 9/4 178
* 起床7:45 血圧138-66(64) 血糖値91 体重65.8kg
2016 9/5 178
* 黒いマゴ、水が飲めなくなった。排泄の自律もむずかしくなった。見ていない瞳と見ている瞳とがぼんやりと交替し、時にわたしを見ようとする視線を向けてくる。
* 泣いている。
* 空也上人が歩いていると、ある家の門に年七つになる子が泣いていた。上人が訊ねるとその子は、二つの時父に死なれ、今朝また頼む母一人にも死に別れた哀しさに泣くという。
上人は「泣くな泣くな」と励まし、「朝夕歎心忘、後前立常習」と口ずさみながら行ってしまった。
子どもはぴたりと泣きやみ、近所の者はあんなに哀しんでいたのにといぶかしんで訊くと、その子は即座に、「朝夕になげく心を忘れなん後れ先立つ常のならひぞ」と詠った。上人の口ずさみをとっさに歌一首によみ解いたのだ。
ただものでないと人が感心した通り、この子はのちに立派な僧になったとか、と『古今著聞集』哀傷の項の、「空也上人詠歌慰孤児事」は書いている。
2016 9/5 178
* 起床6:45 血圧141-66(60) 血糖値100 体重66.0kg
* 通勤時間の電車は坐りにくい、いつもそれでも席を譲って呉れるお客があり、心底感謝する。
* 検査と診察と終え支払いして十一時。時間的には、けっこう。しかし、検眼し、眼圧を計り、両眼の写真など撮って、診察は、視力いいですね、そして三ヶ 月後に視野検査や眼鏡のための処方などをと。処方箋をもらって築地のいつもの院外薬局へ入って、点眼薬三種が出てきて、薬剤師に尋ねられた、次回診察は 「一年後」でしょうかと。次回予約は三ヶ月後の十二月。「一年分」ほど大量の緑内障(一日一滴)点眼薬が処方されていた。薬剤師は唖然、わたしはビック リ。
* 病院を出ぎわに家へ電話した、黒いマゴは静まりきって寝ていると。慌てて帰らなくてもいいわよと言うので、朝食抜きであったから、「ボンシャン」で昼食。みごとな前菜、海老の料理と、メインは黒毛和牛のステーキを頼み、ワインはソムリエにまかせて美味い赤を二杯。デザートと例の濃い珈琲。美味かった。
銀座一丁目からストレートに保谷へ。
ところが駅前タクシーが来ない。照りつける日盛りに立ちつくしたまま一時間、定時バスを二台もやりすごして頑固にガンバリ、あわや熱中症かというまで待って待って、かろうじて家に帰れた。美味い昼食を摂ってなかったら斃れていたかも。
2016 9/6 178
* 起床7:00 血圧134-64(65) 血糖値84 体重65.6kg
2016 9/7 178
* 起床7:00 血圧130-69(65) 血糖値97 体重66.0kg
2016 9/8 178
* 明日か明後日には、妻と二人だけで、黒いマゴとほんとうのお別れをしいられそう、それが辛くて静まりきって横になったままのマゴと向きあっている。
がっくり疲れながら仕事の手もとめられず。
2016 9/8 178
* 十時前だけれど、もうやすもうと思う。
2016 9/8 178
* 起床7:00 血圧143-65(68) 血糖値87 体重65.9kg
2016 9/9 178
* がっくり気落ちして寂しい夫婦は、三時過ぎ、土の下でモコやノコと出逢ったであろう黒いマゴに、出かけてくるよと声を掛け、まず、江古田まで。銀行 で、一つは凸版印刷に選集⑮巻の支払いを、また染五郎の「そめいろ」へ九月歌舞伎の支払いを済ませてからも二丁目の歯医者へ。娘のような女先生にもっと大 事にしなさいと痛いねじを巻かれてきた。それでも歓談し、ドア外まで出て見送られてきた。
バス、新江古田駅で途中下車し、久し振りに「リオン」でゆっくりフレンチのディナーコースと赤ワインを味わってきた。ブックオフにも立ち寄り、「聊斎志 異」分厚い上下巻を千円足らずで買ってきた。古今のいわば怪談、珍話、寓話の満載本で、日本語訳がすてきに宜しく、無類に面白い読み物として永く愛読でき る。
2016 9/9 178
* 起床7:00 血圧124-63(60) 血糖値100 体重65.7kg
2016 9/10 178
* 黒いマゴの永眠を悼んで獣医院の皆さんから、お花が届いた。ありがたく墓辺を華やがせてやった。妻が、めっきり参っている、わたしもだが。だが、シャ ンと生きねば黒いマゴをかえって哀しませることになる。明後日から、創刊三十年記念の「湖の本131」発送を始める。明日もう一日の余裕を大事にしたい。 左半身の痛み、和らぎますように。発送用意は、今し方ほぼ終えた。一歩一歩歩き続けていないと喪失感に参りそうになる。
* も一つ困っているのは視力の弱体化。裸眼なららくに読めていたのが、裸眼ではボケテ来た。眼科では視力良くなってますねとしか言ってくれない。検眼のあのアレではいくら見えていても、わたしの眼鏡ではものの三十分で文字が霞んでくる。
* 階下で休息していた。電話があり、妻が出て、代わってわたしが出た。元朝日新聞の能楽評論家堀上謙さんの奥さんで、今朝ほどの堀うえさん逝去を告げられた。
先日電話がかかってながく話し、会いたい会いたいと云われていた。月火水は病院治療などあり土日は能楽堂へ出向いていることが多いと聞き、尋ねて会える のは木金ですねと確かめていた。同じ保谷市内だが、徒歩では遠く、炎天下に自転車も厳しく、雨も多くて、好都合に出会えなかった。まさかこう俄に亡くなら れるとは思えなかった。悔いて詮無い残念なことになった、ほとんど何を云うていいのか受話器を持ったままオロオロしてしまった。体調をよくよく考えムリを しないで下さいと、葬儀等のことも教えてもらえなかった。
わたしより数歳も上か、ひところはわたしが羨ましかったほど元気そうであった、堀上さん。まだしたい仕事も有ったはず。さぞ口惜しいことであったろうと胸に迫る悲しさに参りそう。久しいつきあいであった、同じ保谷市住まいで話の合ういい友達、いい話し相手であったのに。
心よりご冥福を祈る。
2016 9/10 178
* 起床6:00 血圧144-64(58) 血糖値98 体重66.5kg
* 堀上謙さんの訃報に動顛し、想い乱れたまま、宜しくない夢見から身を揉むように目ざめたら、六時前、妻はもうキッチンにいた。そのまま起きてしまった。
2016 9/11 178
* 起床7:00 血圧137-73(58) 血糖値90 体重66.7kg
2016 9/12 178
* 発送の仕事しながら、妻とわたしとで、まるで交替のように、黒いマゴの「不在」に泣いている。家中のいたるところにいて、さも父さんや母さんを待っていた黒いマゴなのに、今は…いるはずの黒いマゴがいないのだ、何たることか。
* 読者分から送り始めた。作業は順当に進んでいる。作業の合間にも黒いマゴの不在が不当に悲しくてせきあげるものを堪えきれない。話しかけに庭へ出て、テラスへ腰を下ろしてしまう。
五体と眼と気の疲れにぐたりとしている。九時前。明日のことを思い、もう休息しよう。
2016 9/12 178
* 起床7:00 血圧145-65(59) 血糖値89 体重67.2kg
* 起床のまま発送作業に午前中をかけた午後もがんばった。四時半過ぎて、小雨をいといながらバスで駅へ。実に久し振りに喪服を着て、中井の最勝 寺へ、堀上謙さんの通夜に出かけた。びっくりするほど体力が落ちていて杖をつかいながらよろよろ歩いた。葬儀はことに気重く、つらい。あんなに羨ましいほ ど元気そうだった堀上さんの顔に柩の中へ目をやるのは、堪らなかった。ひたすら掌を合わせてきた。
日蓮宗の導師の経を聴いて、焼香。知った顔がなく、馬場あき子も小林保治もいなかった。告別式は明日。
ひっそりと会場を辞してきた。はらはらと涙雨が中井の大通りを濡らしていた。
* 堀上謙さんとは共著で、彼は華麗なのう舞台の写真を、わたしは『能の平家物語』を書き下ろした。気を入れた、今も気に入っている、この手の仕事では代表作の一つとも思う仕事になった。彼も気に入ってくれた。
会いたい会いたいと云われていて、わたしも会いたかったのに、暑さと日照りとに負けていたあいだに信じられない早さで逝ってしまわれた。死なせたような重い苦痛と懐かしさに涙も涸れる。
* 中井から練馬へ戻るのも、満員。それでも席を譲ってくれる若い女性があった。練馬で乗り換えて保谷へもまた満員。それでもまた若い女性が席を譲ってく れ、熱っぽく疲労していたので、たすかった。持って出ていた「湖の本」新刊をお礼にと、貰ってもらった。駅からくるまに乗った。
帰ってからは、黒いマゴへも「ただいま」と声かけておいて、テレビの前で発送作業を続けた。
2016 9/13 178
* 戸外へひとりで出て、思っていたより体力の損耗の甚だしいのに愕く。家常の日々にさほど思っていなかったのは、「家」で、だから。気力と意欲と想像とは、若い日々、高校大学の頃と変わっていない。
* さ、もう一仕事して、そして明日のうちには大方片づくようにと思っている。
2016 9/13 178
* 起床7:00 血圧141-64(47) 血糖値83 体重66.8kg
* やがて三時。送り作業、一応終えた。疲れました。妻と二人だからできる仕事。感謝。
2016 9/14 178
* 起床7:00 血圧135-63(56) 血糖値84 体重66.4kg
* 寸断の眠りのママに床を離れた。久しい例のままに「マーゴ、おっは」と呼びかけて。
2016 9/15 178
* 起床7:00 血圧135-63(56) 血糖値84 体重66.4kg
* 寸断の眠りのママに床を離れた。久しい例のままに「マーゴ、おっは」と呼びかけて。
2016 9/16 178
* 低血糖だったか、つよい震えと不安とに襲われた。いそいで舌下錠を含み、戴いた葡萄を幾粒も含んだ。どんな不安がわたしを捉えたのか分からない。葡 萄、葡萄酒、日本酒そして松茸昆布などを口にして脱出した、何の不安がわたしを追い込んだか、分からない。少し寝た方がいいか。
2016 9/16 178
* ちょっと気を入れた用事をしているまに震えと不安が来て胸苦しくなった。危ないと、機械を離れて階下に降り、妻のニトロをもらい、低血糖も気になり計ってみた。76、低すぎてもいないが低血糖症状と分かり、甘みの濃いピオーネを十粒ほど食べた。
葡萄をたくさん頂戴していて、好きの限りを口にしていたので低血糖は意外だった。すこし気になる仕事をしていたのが響いたか、インシュリン過剰があったか。わけもなく精神的に揺れ動いていた気もする、が。とにかく危なかった。
* 機械の「メモ」に手を染めたい、なるべく早く取り組まねばと願う仕事が書き上げてあり、それが、減るより増えていて、気持ちを圧してきている。残年を 慮る気があって胸を押してくる。家の中に黒いマゴの姿が失せていると思い知る寂しさにも負けがちになる。いかん、いかん。
旅行ということを意識もし無意識にも、想っていた。旅行に出てもいい状況になってしまったが、妻は遠出して疲れる気にはなれないらしい。独りで…ハテ、どこへと。京都では宿が容易にとれないらしいと。それと杖に頼っていては旅の荷が満足にもてない。
* 結局は目前眼前の「仕事」に打ちこむことになる。それがイチバン好いと思うべし。
2016 9/16 178
* 十一時が過ぎた。九時以降になると階下におりて、三年間、黒いマゴの300cc輸液を続けた。この一年は腎臓肝臓のための薬も追加して輸液した。さぞ きつかったろう、痩せて針を刺せる場所が見つけにくく、二度も三度も液が洩れてくることもあり、刺し直しを重ねたが、よくガマンしてくれた。ガマンにガマ ンして三年間わたしたちのため懸命に生き延びてくれたのだ、よく頑張ってくれたね。ありがとうよ。感謝しているよ。心臓も肺もさいごまで綺麗だったと。脱 水に気付いてやれずに衰弱させたのはわたしたちだった、ごめんよ。
この時間になっても「輸液しようね」と階下へ降りて行かずに済むのが堪らなく寂しい。
2016 9/16 178
* 起床8:00 血圧138-65(52) 血糖値89 体重66.7kg
* 七時から一時間、床で「斎王譜」を読み、そして起床。
* 美味い葡萄にたっぷり恵まれ、大きな粒を三つも食べると一食が補える。心賑わって有り難いこと、読者のお気持ちを純粋に頂戴できる。
2016 9/16 178
* 書いても読んでも、いっこう疲労は休まらなくて、引き摺られている。つまりは、つぎつぎに書きたいことが身内に湧き出てくる。意欲をもちこたえる気力はあると思っているが、健康は、あやしい。
* もういちど、横になって来よう。
* 歯をかみしめて仕事するので、気付くと歯がジンジン痛んでいる。参る。
八時半、今日も、けっきょく、よく、いろんな仕事をしていた。それでもしたいと願う仕事の三分の一にもならない。眼が潰れてくるので、暫時でも、機械から離れて休むしかない。
2016 9/17 178
* 幸いに 十月三日の聖路加通院まで、強いての予定がない。都合さえ、体調さえゆるせば旅行にも出られるのだが。踏み出す元気がない。青田吉正さんが会いたいと云われている。さて、どこでどう会うか。彼は呑めないし、わたしには食欲がない。
2016 9/17 178
* 起床6:30 血圧136-70(56) 血糖値93 体重66.6kg
* 黒いマゴたちへ声をかけてから、湯を沸かし、美味い葡萄を四つ五つ含んでから、茶をたて、二服した。インシュリンも四単位注射し、十余種もの薬も服しておいて、二階へきた。すこし、まだ眠いかな。
2016 9/18 178
* 起床8:00 血圧141-7(60) 血糖値98 体重66.3kg
2016 9/19 178
* 終日 仕事していた、痛い歯を食いしばりながら。それでいて、なにかというと、黒いマゴに語りかけていた。家のいたるところに姿があって当然なのに、無いとは、合点が行かないのです。
2016 9/19 178
* 起床7:30 血圧142-63(52) 血糖値84 体重66.2kg
2016 9/20 178
* 起床6:00 血圧142-65(59) 血糖値90 体重66.2kg
* 散髪。
2016 9/21 178
* 明後日に青田さんに会い、二十九日には建日子の芝居を観、そして十月三日の聖路加受診まで、気むずかしい予定はなにもなく、仕事をせっせと先へ先へ押して出られそう。寒くならないうちに勝田貞夫さんとも何処かで出会いたいと思っている。
十月は二週めから三週半ばまでが、また、複数通院と力仕事とで塞がる。仕事の量と角を突き合わせながら、凌いで乗り越えて行くというのが医学書院勤務時代からのわたしの普通の日常だった。
2016 9/21 178
* 暁けの五時半ころから眼を覚まして本など読んでいたので、晩七時を回ったばかりだが、躯を横にしたい気分でいる。
無意識にとはいえないが、七、八、九月、ずいぶん酒を飲んできた、七、八升は飲み干したようだ、固形のもの、細いもの、細かいもの、堅いもの、が食べに くい。強いて食べるとモ胃袋のない細い鳩尾辺で食べた物が溜まって息苦しくなり、えづいて戻しかねなくなる。つい流動性の飲み物かそれに近いモノへ逃げ込 むことになる。食べる物がきまらず、妻も困りわたしも食事を楽しまなくなっている。宜しくない。 今晩は冷や奴とみそ汁、ワインで済ませた。
2016 9/21 178
* 起床6:00 血圧120-70(60) 血糖値99 体重66.4kg
* 冷たい雨が降りついで、黒いマゴたちも、寒そう。ネコ、ノコ、マゴよ、仲よく元気に過ごせよ。トーサンとカーサンもいつもそばに居るからね。
2016 9/22 178
* 明日午後には、青田吉正さんと久し振り、池袋で会う。今夜は、もう休む。つまり床について、やはり明るい照明と裸眼とで、「抱擁」「天使のゲーム」「光」「松岡小鶴文集」そして「聊斎志異」を存分に読む。
このごろ夜中に目がさめる。暗闇の中で、いろんなあれこれの「数」を数えるうち、また寝入る。
2016 9/22 178
* 起床6:50 血圧128-6(60) 血糖値93 体重65.8kg
2016 9/23 178
* ようやく雨の音が絶えたか。
湖の本132 初校も送り返し 選集19も 入稿したし。このところかなり肩が凝ったが、まずは選集18の初校を進める以外、「書く」方へ方へ少なくも 九月中精力が掛けられる。熱海までぐらいなら、昔も一度出かけたように新幹線で、出かけても好い。横浜中華街なら保谷からまっすぐ行けるが、食欲は湧かな い。マオタイでも紹興酒でもうまい酒は飲めるけれど。
十月は二十日過ぎまで、また、いろいろに追われる。
2016 9/23 178
* 池袋東武スイパイスの「美濃吉」で青田吉正さんと食事してきた。
料理が不味く、配膳もお粗末でガッカリした。むかしはもっとマシな料理で気が入っていた。こっちの体不調も、あるといえばあったが。
病後の青田さん、かなり窶れていた。励まし続けてきた。
* 池袋改札口で別れた直後、はげしい脱水症状で、あやうくペットボトルの茶を買い、飲み干した。頸筋がこわばって痛く、腰砕けのよう。覚悟を決め、西武 線の改札外で床にすわりこみ回復を待った。準急で、座席を譲られるまでが辛かった。保谷駅のタクシーもなかなか来なくて、しかし座り込むには小雨で地面濡 れていて、ガマンして車を待った。両手の指が捩れ曲がって痺れ、足も攣っていた。辛うじて帰れた。
先日の眼科診療後は、極暑のなかを保谷駅まで帰れたものの、炎天下で祈るように車を一時間も待った。とても歩けなかった。あの日は、黒いマゴが命がけでわたしの帰宅を待っていてくれたのだ、
その翌朝に死なせてしまった。
* 慎重に、慎重に動かないと、むざむざ潰れてしまう。厳重注意し、亡くなった友人堀上謙さん、京都の写真家、美術文化賞を受けてもらった井上隆雄さんら の分も長生きしなくては。その思いがつよく、この十月に十六巻を出す「選集」を三十三巻までガンバルと決めたのだ。無用の旅なども控えて、無事是好日を重 ねたい。
2016 9/23 178
* とにかくも、今日、不用心には動けないなと思い知った。勝田貞夫さんとの約束だけを、楽しく穏和に果たしたい、が、地元保谷でよく通った喫茶店が、喫 茶を廃業して珈琲の焙煎専門店になってしまった。そもそもご老体に保谷まで来て戴くなんて出来ない。やはりどこかまでは出向きたい。しかし勝田さんは「珈 琲」でわたしは「お酒」などという便利な店は見当が付かない。わたしも珈琲でと、珈琲のいい店を調べねば。
2016 9/23 178
* 起床8:00 血圧120-60(64) 血糖値105 体重64.8kg
* 驚いた、体重が一気に64キロ台、ここ少なくも三十年には無かったレベルへ沈んだ。わたしはこれを歓迎している。60キロ程度に、高校生の昔ぐらいに安定 させたいと暗に願っている。糖尿は体重とのバランスだという体感・実感がある。ただし体力を落としては、いかに気力と意欲とがあっても永続できる健康体と はいえない。
2016 9/24 178
* 起床9:00 血圧133-65(6) 血糖値91 体重65.1kg
2016 9/25 178
* 書きかけの物語「清水坂(仮題)」の手直しを午前から午後へ続けていて、三時過ぎた。目を休めねばいけない。酒もワインもビールも、きれいに飲み干し たので、自転車で、近くの「セイムス」へ久し振りウイスキーを仕入れに行こう。好天ではあるが、着替えて遠くへ出て行く根気が無い。まこと仕事がクスリに なる。
2016 9/25 178
* 起床8:00 血圧125-75(64) 血糖値92 体重65.3kg
2016 9/26 178
* 近江の佐々木へわたしの関心の深いことは「みごもりの湖」の沙々貴山君や後に佐々木道誉を書いたり、「初稿・雲居寺跡」にも近江佐々木氏を大事に書き込んでいて歴然としている。「冬祭り」でも佐々木との血縁に触れている。
いま仕掛かっている「仮題「清水坂」でも問題になるのかも知れない、まだハキとしてはいないが、ケリを付けうれば付けたいのが「中断」のままの「初稿・ 雲居寺跡」で、承久の変の成り行きへ踏み渡るのか、ナラティヴにうまい収束を考えつくのか、その際に語り手の「僕」なり「兵衛」なりの身辺で「佐々木」を どう生かすかが、とても気になる。今夜は、見えない眼で大きな重い本の小さな活字に悩みながら、調べ仕事にも手を付けていた。
仕事をしているとアタマもしゃんと働いている。中断して機械から離れて起つと、狭苦しい部屋の中でも二階の細い廊下でも電灯を二つもつけた階段でも、危なくよろよろする。
考えるまでもなく、いまのわたしには幸い仕事の他のしごとは無い。世間へ出ていって理事会の委員会の宴会のという何も無い。稼ぐ仕事も頼まれ仕事も一切 していないのだから、純然自身の興味・関心に応じて励めばいいのだ、これはこの上なく幸せな日々であればこそ、元気でなくてはいけない。元気でさえあれ ば、読んで書いて思案しての仕事を誰よりも先に独りで楽しめる。
いま、だれにも、わたしがあそび半分の道楽をしているとは思われていない。文学のために日々を生きている点では、誰にも負けない気でいるし、努めている。ああ、そのためにも元気でなくてはいけない。元気でいたい。
2016 9/26 178
* 起床6:30 血圧126-64(59) 血糖値96 体重65.5kg
* 目ざめると先ずテラスの戸をあけ、ネコ、ノコ、マゴに「おはよう、今日も元気で楽しくすごしなさい、トーサンもカーサンもいつも一緒に此処にいるからね」 と声を掛ける。それから体重などをはかる。妻はまだ寝ている。独り湯をわかし茶を点てる、二服。食パン半枚。たくさんな服薬。郵便物の用意を二つし終え、 二階へ来て、延々と時間掛け機械を起動。待つ間に、「後拾遺和歌集」の六撰めをゆっくり楽しむ。今朝は雑の一、二巻の辺を。
2016 9/27 178
* 起床7:30 血圧130-66(63) 血糖値98 体重65.5kg
* 故紙出しを手伝って、抹茶二服。
* 各務原の「都」さん、名酒「三千盛」二升下さる、有り難し。幸い憂さはないが気の沈むときや惑うときはある。ニゲルというのではないが、玉箒の身のそばにあるのは、有り難い。感謝。
2016 9/28 178
* 起床8:30 血圧137-68(56) 血糖値96 体重66.0kg
2016 9/29 178
* 機械の前で とかくすると居眠りしている。一つには、お酒で。ま、眠れば確実に眼は晴れる。
2016 9/29 178
* 起床7:00 血圧148-75(55) 血糖値95 体重66.2kg
2016 9/30 178
* おお、忘れかけていた、十月早々の三日、五日と 聖路加病院へ行かねば成らず、七日には、「秦 恒平選集」第十六巻が出来てくる。送り出しの用意、出来ていない。ま、次週はほぼ明いているので、慌てまい。
十月ですか……。黒いマゴを見送ってから三週間も過ぎたのだ。滑るように秋が流れてゆく。
2016 9/30 178
* 起床8:00 血圧134-69(57) 血糖値97 体重65.7kg
* 朝から、送り出しの用意、一気に進めた。これで、落ちついて月曜、水曜、病院へも行ける。
* 根を詰めたか、頭痛がする。
2016 10/01 179
* 起床8:45 血圧121-63(61) 血糖値89 体重66.3kg
2016 10/02 179
* 幸いほぼ遺漏無く七日からの送り出し用意が調った。明日は、ただもう処方のお薬を貰いに行くだけの通院、水曜の通院は胃癌の全摘術後満五年に半年を余 すだけの通院なので、その検査は気に掛けている。何れも、大方午後は解放されるだろうと、サテ。浅草「米久」の特上すき焼きなどへ久々に気が惹かれるが。 根岸柳町の洋食「香味屋」へも久しく行っていない。涼しい映画館で昼寝しながら洋画の温和しいのなんか観てもいいか。結局は、まっすぐ家に帰るかなあ。外 へ出ていれば、いつもの例で待ち時間の長い病院通いでは「校正」という仕事は願った以上にはかどるのが普通。それで通院は、さして苦にしないわけだが。東 京は散歩を楽しめる場がまことに少ないのが、難も難。
* ふえーッ。暑くなってきた。階下へ逃げる。
2016 10/2 179
* 起床7:30 血圧141-70(67) 血糖値90 体重66.4kg
* 感染症内科 なにごとの異変も無し。14:10の予約だったが、13:50には病院会計も終えていた。
外来待ちのあいだに、しっかり校正も出来た。往復の車内でもびょういんででも仕事が捗るので、通院はシンドイけれども仕事には成る。
明後日の腫瘍内科は、今日より早い時間に出かけねばならない、七日からの力仕事が待っているので疲れをためないようにしたい。
2016 10/3 179
* 外出してくると、疲れている。医師は、しっかりからだ動かして下さいと捻子を巻くけれど。動かしたいけれど。
* 疲れていても、嬉しいことも、励むことも、思い出すことも、思うことも、することも、もっとしたいことも、ある。生きているのだもの。
2016 10/3 179
* 起床7:30 血圧133-78(63) 血糖値92 体重66.9kg
2016 10/4 179
* 明日はまた聖路加の腫瘍内科検査と診察で、昨日よりも一時間余も早くに出かけねばならない。そろそろ、店じまいして、階下で、別の本を幾つも読む。光 源氏は忘れていた常陸女王を訪れる。バルビュスはまたしても塹壕戦を闘っている。サホンの「天使のゲーム」のほかに、「フーコの振り子」も読みはじめてい る。
* 黒いマゴたちにおやすみと声をかけて床に就き、目ざめればおはよう、元気に楽しく、仲よくなと声を掛ける。いつもいっしょに暮らしている感覚である。
2016 10/4 179
* 起床6:30 血圧138-99(78) 血糖値98 体重66.7kg
2016 10/5 179
* とにかく 聖路加病院へ行きます。
* 腫瘍内科の検査と診察、無事。次回は来年四月、それで術後満五年経過という段階に入る。
* 二時前、築地「宮川本廛」の名酒宮川で蒲焼を。鰻よし酒もよし、赤だしもよし。腹も張らず、心地よく帰宅。
しかし、やはり疲れていたか、晩八時まで熟睡。朝かと思った。
2016 10/5 179
* 起床7:30 血圧134-71(58) 血糖値95 体重66.3kg
2016 10/6 179
* なんとも眼が霞んでやり切れない。がっくり疲れてもいる。明日にも備えて、横になりたい。
2016 10/6 179
* 起床8:00 血圧134-71(58) 血糖値95 体重66.3kg
2016 10/7 179
* ひっちらかったこの機械部屋はじめ家中で、幾つもある眼鏡のなかの最近用、読書用の眼鏡を見失ってもう二ヶ月は経っていたが、いましがた、この機械ま えから一メートルと離れていない積み重なったあれこれのしたから、ちらと片容が目に入った。ウーン、あれだけ捜していてこれが見つけられなかったのかな あ……、しかし見つかって好かった好かった。不自由していた。よかった。
2016 10/7 179
* 七時半。よほど今日も疲れている。このまま機械の前ではもう奮発が利かない。躯を横にして「読んで」過ごす内に、すこしは回復する、か。
2016 10/7 179
* 起床8:00 血圧142-72(57) 血糖値99 体重66.5kg
2016 10/8 179
* アタマが、シャンとしない。アタマにムリ強いしては、疲れるだけ。本を読んで、別世界へ入ろう。「聊斎志異」でも「源氏物語」でも「閑吟集」でも「ジャンヌ・ダルク」でも、わたしを迎え入れてくれる。
2016 10/8 179
* 起床9:00 血圧143-72(57) 血糖値91 体重66.4kg
2016 10/9 179
* 起床8:00 血圧138-68(66) 血糖値85 体重66.0kg
2016 10/10 179
* 起床8:30 血圧131-61(60) 血糖値91 体重65.7kg
2016 10/11 179
* 起床8:30 血圧143-72(60) 血糖値90 体重65.8kg
2016 10/12 179
* 十一月、喜多流友枝昭世の能「野宮」国立能楽堂招待、俳優座の早野ゆかり「常陸防海尊」稽古場公演招待 があった。
十一月は歌舞伎座顔見世月で芝翫一家襲名の舞台だが割愛し、松本記保の「治天の君」 松たか子のコクーン公演を予約してある、聖路加も二科診察予約があり、たぶん加えて「湖の本132」も「選集第十七巻」の発送も賑やかに逼ってくるだろう。
日本ペンクラブも、二十六日のペンの日に、何だか表彰するのどうのと言ってきている。これは、ま、従前の名誉会員にしてくれる意味であろう、永年会費を払い続けた会員であったと、それだけのことと思っている。
* 機械の前へ来ると待ったなし「谷崎論」を読み続けてしまう。他の執筆や校正の仕事が立ち往生してしまう。どうにも、読みと手書きの机を持たないため、 校正は、家では捗らない。病院通いの日が一等の校正日になる。しかし、幸いにもそうそう病院へ行かずに済んでいる。今月はもう行かない、来月は二十日過ぎ まで行かない。駅近くにあった「ペルト」が喫茶業をやめてしまい、焙煎の珈琲売りだけになり、気軽に座り込んで原稿の読みや校正の出来る場所が無くなっ た。冗談でもなく山手線に座り込んで二三周もしたいぐらいになった。やれやれ。
2016 10 12 179
* 起床7:30 血圧136-68(66) 血糖値83 体重66.1kg
2016 10/13 179
* 朝晩の冷えがほんものになってきた。そろそろ乗り物に煖房が利いてくるかも。
* 三十三巻も編輯できるのか。それでも足りないほどに、出来る。しかも仕事を続けているのだから、寿命さえあれば選集は三十三巻、かならずならぶ。質や 程度を落とすことなく、ならぶ。ただし、健康は、からだの健康も、こころの健康も、脳の健康も維持しなければならぬ。分かっている。すくなくも当座、怪我 や事故には遭うまい。
* 校正ゲラを持って池袋へ、西武線に乗った、が、めざす和食の店が閉店していて落胆した。
服部珈琲舎へ入った。珈琲の量がたっぷりだったためか、酔った気分に陥り、よぎなく、すぐ帰宅した。陰気な空模様に、気が晴れなかった。残念。「閑吟集」校正は、五十頁分もおもしろく出来たのだけれど。
2016 10/13 179
* 起床8:30 血圧146-71(66) 血糖値91 体重66.0kg
2016 10/14 179
* 起床8:30 血圧146-71(66) 血糖値91 体重66.0kg
2016 10/15 179
* 起床7:00 血圧138-62(51) 血糖値91 体重65.7kg
2016 10/16 179
* 八時過ぎ。しっかり草臥れている。すこし躯も気分も休ませたい。頸が硬くなっている。
2016 10/16 179
* 起床9:00 血圧129-65(58) 血糖値93 体重66.2kg
2016 10/17 179
* 起床7:30 血圧133-65(55) 血糖値81 体重66.6kg
2016 10/18 179
* 起床9:00 血圧142-77(62) 血糖値89 体重67.2kg
☆ 完全に健康でなければ、立派な仕事はできない、という見解を信じ込んではいけない。たんに「健康を守るためにのみ生きる」という考え方は、心ある人にふさわしくない。 (カール・ヒルティ 1833-1909)
* 人に強いる気はないが、自分としてもそう感じている。
2016 10/19 179
* 柏木洋子さんから、色とりどり沢山な青森の林檎を頂戴した。心賑わうひびを素直に喜んでいる。
これで眼がすっきり見えると好いのだがナア。眼鏡を三つも重ねていたり。半盲という感じで、手に負えない。寝入ると、すこし回復する。朝の目ざめ時は、ウソのように世界がクリアで。
2016 10/19 179
* 起床8:45 血圧139-76(60) 血糖値89 体重67.2kg
2016 10/20 179
* 疲れて横になりながら、恆存先生の超重い飜訳全集でソポクレスの「アンティゴネ」を読み、ウーンと唸ったまま二時間近く寝入っていた。おかげで少し視力回復、すぐまた機械の中の原稿を読みに読み継いでいた。気温が上がってきて、一枚ぬぎすてた。
2016 10/20 179
* 起床8:30 血圧157-74(55) 血糖値90 体重66.7kg
2016 10/21 179
* 晩、また、先日も、秦建日子作・演出「月の子供」を観に行った池袋の奥の劇場へ、二作をぶっつけ一ヶ月公演している別のもう一作を観に妻と出かけた。題して「AND SO THIS IS Xmas」
と。「これは戦争です」とも副題してあり、二時間余の爆弾テロ劇、いや「演技の劇画」であった。ちょろりと「戦争のできる國にしたい総理」への軽蔑と嘲笑 もあらわしながら、かなりこみ入った人間関係を通して、「愛」を表そうとしていた。劇場も吹っ飛ぶかという爆発の轟音を数度も表し、相当に多様な人数と人 間関係とを絡み合うように超特急の演技交換で表現していた。演出というめんからだけ観れば、これまでの旧作を飛び抜けて巧緻に出来ていた。演者たちもまこ とに達者に忠実に演出に応えていて感服した。
ただ、総じての印象では、舞台を画面に用いた突起的な「劇画」に終始し、胸に沁みてくる切なる感動や感銘は二の次に終わっていた。さらには、かすかに、 かかる爆弾テロ行為を迎え入れてしまいかねぬ「危険訴求」すら観客の胸に残すかも知れぬおそれも、わたしは持った、かすかにではあるが。そういう「危険訴 求」は大衆の無意識にもちやすい安易や軽薄に結びつきやすいだけに、かすかに胸が冷えもしたのである。
* それにしても、建日子、うまくなった。だからこそ、うまさという上滑りに自負が固まり、人間味の創作、深い愛や真実の表現を置いてけぼりにしないよう 気を付けて欲しい。その意味でも、映画「クハナ」の素朴で、すこし素朴に凭りかかりすぎはしていたが、あのような健康な批評性こそ、今後の創作に益々大切 だと思う。
* いい席を用意してくれていたが、冷房が降ってきて、寒かった。二時間余りの舞台の途中、二度腕時計をのぞいた。体調の落ちて行くのがわかった。夕食抜きで出てきたのも堪えたか。
妻と雑踏の夜の池袋をのがれ出て、西武八階の食堂街へあがったが、今夜も、うまい食に当たれなかった。不味い牡蛎フライだった、ビールで呑み込んできた。
2016 10/21 179
* 起床9:30 血圧140-66(57) 血糖値83 体重67.0kg
10/22 179
* 仕事をしていれば、機械の前でも電車の中でも喫茶店ででも元気なのだが、食事をすると胸に滞ってえづいたり少しだが吐いたりし、苦しくなる。ぐたりともする。疲労なのか、得体の知れない心労なのか。起ち居も歩行もまともでない。視力のセイかもしれない。
2016 10/22 179
* なぜか、こみあげる吐き気にえづきつづけ、中腹部が張って、術後初めてと思うかなり強い痛みがきた。真っ白な粘った泡のような液を少量ずつ何度も繰り 返し吐いた。昨日から今日へ排便はいい感じで重ねてきたのに、今晩になって、元の胃腹部が張っている。ガスも出ていない。腸捻転や閉塞があっては困る。ま だ九時半だが、床に就くことに。
2016 10/22 179
* 起床9:30 血圧140-66(57) 血糖値83 体重67.0kg
2016 10/23 179
* 昨夜から今朝にかけて、いまもなお、わたしの体調はひどくわるく、食べた物ではないのだが、粘液様の吐瀉がやまない。便意も催さぬまま鈍い腹痛がしつ こく続いている。夕食後から晩へかけて、えづきと小さなしかししつこい吐瀉がつづき、床に仰向けになれず、坐ったまま堪えていた。しつこく断続して襲って くる吐き気と吐瀉につづいて、執拗な吃逆しゃっくりが延々と続いて、なかなか寝入れ無かった。しゃっくりは収まっては、また続いた。その間にも吐き気が断 続した。
それでも短時間ながら寝入っていたらしいが、目ざめて忽ちに吐き気が起き手洗いへかけこんだ。
腹の中ほどに下へ降りず上へこみ上げて吐き出される粘液などが溜まっているのか。
こうして機械仕事をしている間は腹痛も堪えているが、事態が好い方へ動いてくれないと困る。こういう症状は、実は胃全摘の術後に、同様の唾液吐瀉やしつ こい吃逆・しゃっくりに悩んだ。腹痛は無かった。ただもう堪えていて、ただの定時診察をうけに聖路加へ行ったら、外科で「即入院」を命じられた。二度目の 入院で、強度の脱水であった、危なかったよと医師にあのとき言われた。
いまは水分を摂っても、ほぼ等量吐いている感じ。そして腹痛が加わっている。耐え難さに呻く・悶える程ではないが、症状がしつこく、昨日以来、改善という感じがない。このままでは普通の摂食はむりで、水分補給だけは堪えて続けるということになる。
いっそ自転車でガンガン走ってきたらどうかなどと、思ってみたり。ま、仕事に打ちこむのがいいだろう、寝入れるなら休むのだが。
いやに寒々と冷え込む。それで腹痛が去らないのかもしれない。
2016 10/23 179
* キイを叩く指も手の甲も手の平も、二の腕も、シワくちゃ。よほど水分が切れているのかなあ。
2016 10/23 179
* 腹痛が常時に攻め寄せる。しゃっくりは、水分を一気に多量にとればウソのようにおさまるとは、四年前の症状と記録とでわかっているが、今回は水分を一気に摂ると、激しい腹痛が来て居坐る。しかも呑んだ水分は嘔吐されてしまう。
腸の中途で閉塞か捻転がありはせぬか。ほとんど摂食していないので便意なく、嘔吐という体で上へ上がってくる。摂った水分の大方は上から吐きだしてしまう。困った。水分を強制的に多く摂るとたしかにしゃっくりは止まるが、結局は吐きだしてしまう。
* 聖路加の救急へ今晩中にかけつけるか、(以前にも一度そんなことがあった、点滴をたっぷり受けた。)明朝まで堪えるか。いま、五時半、思案している。いまぶん吐血のような症状は無い。
今夜は、しゃっくりを堪えながらリーゼに助けて貰って、寝入ろうと思う。
* 湖の本132の発送用意をあらましの見当だけでも付けておきたくて。
* 十一月は、難しい月になりそうだ。願わくはわたしのからだに急変のないことを。 2016 10/23 179
* 十 月二十九日 土 退院 正午過ぎ妻と病院を離れたが、築地での昼食後の路上で私に猛烈な頸・肩の凝結で失神前症状が襲い、近くの喫茶店で休息、かすかに回 復のときに今度は妻に異変が起き、すぐ「聖路加病院の救急」へ逆戻りした。わたしは水分とアリナミン数錠とで漸く回復し、妻も、CT等の検査を受けて若干 の処方があってのち、夕刻も過ぎた感じの六時ごろ、新富町から帰宅の地下鉄に乗った。二度乗り継ぎを要したがかろうじて座れて、まず無事に帰宅できた。疲 れた。
メールが九十ほど来ていたが、ほぼ全部、いかがわしい不良(SPAM)メールばかり。
* 十月も、もう、明日一日となった。
☆ なんということを
とてもよくわかる気がしています。うちでも、綱渡りみたいなことをしていますので。
おふたりとも、ゆるゆると、回復なさってください。 柚 ほっとしました。
☆ どんな仕事でもすべて、長い間かかってまわりくどい「下準備」などはせず、即座に元気よくとりかからねばならない。 (カール・ヒルティ 1833-1909)
* ヒルティさん、ちと乱暴ではあるけれど。それでも彼は言う、「人生の重大な別れ目においては、つねにまず敢行することが大切である。そうすれば、おのずから力が生じ、最後に、その行為が正しかったという洞察が与えられる」と。
結果を見た洞察などどうでもいいが。
* 湖の本132の郵袋へのはんこ捺しを始めた、が、頸が痛み始めたので、機械の前へ戻ってきた。なぜ、こうなるか。何かが過剰なのだろう。しかし、前へ歩いて行く。立ちどまる気は無い。死はいつ来るかしれない。
じつは今度の入院で一度、退院時にもう一度、死を感じた。
入院中の一夜、俄かに暑いと感じ、それが熱くなり、目の前が白濁しながら激しく揺れ始めた。このまま寝入ればいいのかなとも感じたが、夜中巡回のナース に告げるとすぐ「血糖値、低い」と。それですぐ分かった、これに近い体験はインシュリンとご縁の十数年來に数度は体験していた。価を確かめると「41」と 言う、それはあまりに低すぎる。ナースは駆け戻ってブドウ糖を一袋呉れた。それで、すぐに持ち直した。だが、幸いに糖の補給が得られなかったらやがて 「ショック」が起き、死も優にあったのだ。「110」で正常という血糖値が「41」というのは、あのりに低い。しかしまた糖分を摂れば回復もする。
問題はなぜそんな数値が夜中に来たか、だ。
「点滴」中の抗生物質などの影響であったかもとかすかに聴いたが、正確には聴いていないし分かっていない。要するに「死」はすぐ目の前まできている「事実」だけをわたしは自覚した。
退院して昼食後の堪えがたいほどの激しい苦痛も、もし、わたし独りでいたなら、かなり危険な症状であった。まぢかな喫茶店へ入り、「水」を繰り返し返し 摂り続けながら、手探りで、いつも用意している手持ちの「クスリ」箱を取り出し、硬結してくる頸の痛みを大目のアリナミンで和らげようと努めた。これが幸 い奏功、しかし、今度は付き添っていた妻に変調が起き、病院救急へ車で駆け戻った。
* 何が起きるか分からない、だからこそ、敢然と生きて行くしかない。
2016 10/29 179
* 村上開新堂の山本社主よりお手紙添えて、おいしさがギッシリ詰まった大缶を戴いた。
たとえ総理の注文でも、配達はしないという、お届けは宮中だけと聞いてきた老舗の中の老舗。「湖の本」が取り持ってくれた心温まるご縁を喜んでいる。
* 処方された緩下剤を二度つづけて試みても、便通せず。このまま食生活していればおなじ苦痛がまた襲って来るのかも。ただ、排ガスは、時折り有るのが希望をもたせる。
2016 10/29 179
* 起床10:00 血圧133-63(69) 血糖値101 体重63.5kg
* 十月二十四日 月 昼過ぎて、腫瘍内科による諸検査・検討の結果、即、入院と決した。
ほぼ一週間の入院中は、(各種と想われる)点滴の連続であった。
要するに、胃全摘後は食道十二指腸とが直結されて、食の通りが細く、腸閉塞の如き容態と。一度だけ、軽微排便できたが、その一度だけ。入院時と同じ状態が続いたまま。ただ腹痛も嘔吐も吃逆もおさまった。只の湯のような重湯等だけの日が続いた。体重、みごとに低下。
* それでも 連日、昼夜とわず選集⑲の初校また初校で、八割方進行、家でなら、とてもこうは集中できなかった。
2016 10/30 179
* 起床7:00 血圧110-55(62) 血糖値84 体重63.8kg
* 処方された緩下剤を昨夕六時に、指定の四時間を経て、十時に同じ処方に随ったが、今日の午前二時にも無効。そこで恣意を敢えてして市販の下剤最低量の二錠を服し、重ねて白砂糖一匙と冷ミルクを少々。
二時間経て午前四時、期待の便通あり閉塞気味を快通した。六時にめざめ七時に起き、粥とクッキーを食する。一週間余の不快をとにかくも解消し得た。食生活をせいぜいコントロールできれば腸閉塞も凌いで行けるだろう。
2016 10/31 179
* 退院しました
篠崎様 平穏なご退院を喜びます。よかったですね。お大切に予後をお労りください。
じつは、私もこの土曜、一昨日、に退院してきました。胃袋が無くて腸閉塞の気味に落ち込み、痛み、便秘、嘔吐などに悩んで聖路加へかけこみました。吐物の誤嚥で軽い肺炎の危険もあり、一週間、点滴をつづけていました。
その間、病室でたくさん本の校正ができました。
結局、病院では便通なく、退院帰宅後の我が家で、やっと今暁四時、無事便通しました。ホッとしているところです。
病院では、源氏物語と聊斎志異と、アンリ・バルビュスの記念碑的な「クラルテ」とを愛読していました。
源氏は、須磨・明石から帰っての、「松風」「薄雲」から「朝顔」「少女」の巻へと、好いところでした。
中国の「志異」「伝奇」は、「詩」とあわせ、大好きなんです、何故かしら。
感じ入ったのは、仏独の熾烈で惨憺たる塹壕戦を体験したバルビュスの、適確で感動的な文学の佳さと、反戦への強い起ち上がりようでした。
退院してからは、「昭和初年の谷崎潤一郎」ほかの論攷と、新しい小説とに向きあっています。
あいかわらず酒と甘い物。純米の「越乃寒梅」と金沢の「和三盆」、主食代わりには麹町の村上開新堂のクッキーを少しずつ、で済ませています。
久しく観ない京都へ帰りたいです。
お大切になさって下さい。ぜひ。 秦 恒平
2016 10/31 179
* 夜前は18時に最初の緩下剤、利かず22時に二度目、越えて二時、処方薬で利かず、市販の緩下剤を服し四時に漸く尋常の排便、六時以降下痢がつづいて 七時におさまったため、睡眠不足。午前から午後へかけては仕事など出来ていたが、疲労に負けて一時半頃横になったとは思ったが目ざめて、朝かと思ったが夕 過ぎての18時、からだを起こして、よろけるなあと感じ、一旦は寝ぼけかと思ったが、容態がおかしく、念のために血糖値を計ると、「44」ははげしい低血 糖で、さてこそ異様な体調と気付いてすぐ白砂糖を大量に口に含んで改善を待った。病院での夜中の低血糖は「41」だった、視野は白濁し動揺し廻転して眠り へ落ちかけていたのを辛うじてナースの呉れたブドウ糖一袋で持ち直した。何故こうも激しく低いか、は、分からなかった。
今夕は、「44」 あまりに低すぎるが、何故が思い当たらない、疲労か。18時20分近くに再度計ってまだ「64」では回復していないので、糖分や食べ物を追加し口にして、18時半過ぎには「125」と食後相当の血糖値に戻っていた。
* 糖尿病は血糖値のほどほどに高いよりも、低血糖の方が命に関わって怖い。「70」を割れば震えが来る。今回以前には50 60台は数回いつも夜中に体 験して砂糖で持ち直してまた寝入っていた、が、今回の病院で夜中の「41」 今日は夕刻睡眠中の「44」は余りに低すぎ、症状が危険または危険というに等 しく、執拗に激しかった。不注意にそのまま放置し進行していれば低血糖ショック(死)を招いてしまう。低血糖の理由が分からないのは、物騒過ぎる。
記録しておく。
* 自宅へ電話で様子を聞いて下さるのは、申し訳ないが、ご遠慮します。
2016 10/31 179
* 起床8:30 血圧167-79(57) 血糖値80 体重65.6kg
* 夜前0時の血糖値は、100。
早暁4:15 手洗いにと床から立って、ゆらゆらと転倒。これは床の上で大事なく、しかし起きあがっての歩行もゆらゆらとモノに当たって危なく、ここまでの不安定は初のこと、驚く。念のための血糖値は92で問題なく、血圧が142と高いのが気になりながら、また寝た。
朝、起きても揺れ気味なので、すぐ起たず、床に坐ったまま暫く「校正」した。仕事に差しつかえは少しも無く。
たしかに昨日は食べられれば食べていて、体重増は分かる。血糖値はやや低め。
驚いたのは血圧が、つねづね低い気味のわたしには、異様に167と高い。ま、校正のような仕事あとは高めになるのだが、それにしても。すこし胸元に吐気の停滞感あり、ちいさくハアハア云う。
湖の本132発送宛名用郵袋への住所はんこ捺しだけはほぼ終えて(あとは宛名の貼り、書き)二階へ上がってきたが、階段の感覚が、起床時よりは落ち着いているがすこし心許ない。
* ま、容態につきあいつきあい、あのり気にせずやってゆく。今月は入院などしたくない。
2016 11/1 180
* 京・山科の詩人で元神戸大の先生であったあきとし・じゅんさんから、選集⑰へお葉書を戴いた。
☆ お見舞いを申し上げます ☆
ご無事にご退院なされた由 本当に良かったです♪♪
私語の刻を拝見させて頂き どうぞご無事で!!!と お祈りしていました。
奥さま共々 どうぞどうぞお大事になさってくださいませ。
(三年ほど前の1月 夫が低血糖をおこし 命拾いをしました。
血糖値が 40~50台 救急車で搬送 回復するのに時間を要しました。
日頃 糖尿病の薬を服用していたのですが 薬が強かったみたいです。
低血糖をおこしたとき 本人は 言葉も 体も動かなくなってしまい 高血糖よりも コワイそうです。幸い傍に家族がいたので 助かりました。
通院の都合もあり 今は名古屋に仮住まいをしています。 岡崎市 山名一枝
* こわいですねえ、低血糖は。今回は入院時、退院後、二度とも深夜でした。なぜという理由が分からぬママ退院してきて、繰り返しました。今朝からのよろよろも後遺症かなあと案じていますが。
ご主人様も、あなたも、どうぞお大切になさって下さい。
2016 11/1 180
* 起床10:30 血圧142-65(51) 血糖値70 体重65.6kg
* 奇怪な夢こそ見ていたが、夜中二度手洗いへ起っただけで、思わずよく睡れた。前日にくらべやや世界が静止している。昨日は、視野がたえずゆるく揺れていた。いまは治まっている。冷え込んできた。暖房し始めた。冷えるとしくと腹が痛んだりする。
2016 11/2 180
* 「湖の本133」のゼロ校ゲラが出てきた。「選集⑲」の初校を、もう一両日には終える。「湖の本132」が十一日に出来てくる。発送用意は幸いに間に 合うだろう。その間に、松本紀保の芝居があり、友枝昭世の能「野宮」があり、聖路加病院での退院後診察も、歯科治療もある。二十五日に予定されていた「選 集⑰」納品は、十二月五日に延期になっていて、すこし息をゆるめられる。
なにをするにも、無傷の健康体でするのではないと自覚しながら、慎重に果敢にと。脇目も振る気持ちは捨てたくない。なにしろ読みたい本だけでも書庫に唸るように在る。幸か不幸か食べたい楽しみは失せている。
それにしても、病室へ隠し持って行ってた「諸江屋の和三盆」はしみじみ美味かった。純良の砂糖であり、小粒につくられてあり、とき、どき、の一粒に生き返るようだった。低血糖傾向にもかすかに歯止めをしてくれていた筈。
* 退院後診察が今朝の十時半だったのを失念していた。その時間まで寝ていた。診察前には血液検査がふつう必要で、結果が出るのに一時間はかかる。予約の 少なくも一時間前に病院に入るとなると遅くも八時には出かけねばならないが、このよろよろで通勤の満員電車は、ムリと分かっている。
九日の正午に、日延べして貰った。
2016 11/2 180
* 起床7:30 血圧138-59(50) 血糖値79 体重65.0kg
* 三軒茶屋で、松本紀保ほかの「治天ノ君」を観てきた。二時間半、幕間のない舞台が、速いと思うほどに推移して、能のように完璧・簡潔な構成と演技、明治と 昭和にはさまれた大正ないし大正天皇への優れて深切な理解、大正をはさんだ明治と昭和ないし明治天皇と昭和天皇に対する適確な表現と優れて辛辣な批判が、 劇作・演出・演技の三面からみごとに実現されていて、感嘆した。りっぱに藝術的・創造的・批評的な舞台であり、初演時、讀賣演劇大賞選考委員会特別賞はじ め優秀男優(西尾友樹)・女優賞(松本紀保)、優秀演出家賞(日澤雄介)を總なめしていたのが「当然」という、感銘深い秀作であった。遠くまで出かけて良 かった。最前列中央角席を用意してもらえていて、わたしにも、舞台や演者がよく見えた。
幕の後、ロビーで主演女優と会える段取りがされていたけれど、雑駁な挨拶をしてしまってはいけないので、遠慮し、失礼してきた。
池袋まで帰り、西口のホテルで食事してきた。赤ワインとシーバスリーガルのダブル・ストレートで、シーフードのコースを味わってきた。幸い食べやすかった。
* 今日も三軒茶屋までの電車往き帰りに座席を譲ってもらった。杖つきの白髪よろよろは、よほど弱々しく見えるのか。しかし有り難いのである。
2016 11/3 180
* 相変わらずの便秘で、シミシミッとした腹の痛みも感じられる。
2016 11/3 180
* なんとしても疲れている。副都心線で下車した渋谷の地下道の混雑、道玄坂から東急本店への散策、そしてタクシーで劇場へ。帰路は池袋西口から東口西武池袋線まで、いろいろと雑踏の中を歩いた。歩くのは大事、だが、繁華の街中はなんとなく危なくて草臥れる。
2016 11/3 180
* 起床7:45 血圧136-69(55) 血糖値75 体重64.8kg 起床時排便
* さすがに朝晩の冷えが肌にせまってきた。
2016 11/4 180
* 起床10:45 血圧154-74(53) 血糖値83 体重64.1kg
* 朝寝した。
血圧がこのところ高めに推移している。130台までが望ましい、が、今朝最初の計測値は175もあった。高血圧だ。元来、わたしの血圧は総じて低め、ないし低すぎたのだが。
* いま思っていたことなのに、ふっと忘れてしまう。そういうことが段々に増えて行く。何かと競走するように生きているようだ。
2016 11/5 180
* 起床7:45 血圧136-66(57) 血糖値80 体重64.3kg
2016 11/6 180
* 能「野宮」へ、出かける。往復、怪我なきを期して。
* もう、能に魅入られるには老耄 体力が足らなくなった。視野は良かったのだが舞台へ視線が遠く、しっかり見えないので疲労も加わり、二時間余の能が観られなかった。先日の「治天ノ君」は最前列に席を貰っていたので二時間以上の舞台が苦にならなかった。
はじめて能を観たのは高校生のおりで、観世流大江又三郎の大江能楽堂だった。金剛能楽堂でも観ていた。以来六十年余、とうとう能の「卒業」を余儀なくされた気がする。
疲れたので、野村萬の狂言と友枝雄人の能は失礼して国立能楽堂を辞してきた。
秋晴れの千駄ヶ谷から、新宿御苑にも沿い新宿高島屋まで杖をついてゆっくり歩いた。十二階に上がって、「つな八」で天麩羅を。しかし、あんなに好きだっ た天麩羅がほとんど口に合わなくて。校正しながら出てきただけはおよそ食べては来たが、美味くないというよりむしろ苦痛だった。これは「つな八」の責任で はない、わたしの口も腹も異様なのだ。
満員の山手線、親切な若い女性に席を譲ってもらった。
池袋で降り、なにとなく間近な東武デパートへ入り、仙太郎粒餡の大きなお萩を一つ買い、一口味わってから西武線で帰ってきた。
ひまさえあれば石版画の詩人、織田一磨について読んでいた。
2016 11/6 180
* また二日家で休息して、腫瘍内科退院後の診察に、水曜午前、聖路加へ。十一日金曜朝には「湖の本132」が出来てくる。発送用意はほぼ出来ている。夕 方には沼袋まで歯科へ通う。本の発送にどれほど体力が使えるか、ながく掛かっても無理の無いように二人で頑張る。十五日には楽しみにしてきたコクーンでの 松たか子公演に出かける。じわじわと師走へもう目が向いている。「選集第十七巻」を送り出して今年の力仕事は終える。來手年も再来年も鬼が笑い怪獣が笑っ ても、わたしたちの日々は変わらない。ゆっくり、怪我なく歩みたい。倒れたら、おしまい。
「虚空裏に向って釘橛(ていけつ)し去るべからず」と、臨済和尚に真っ向打たれている、「虚空に釘を打つような真似はするな」と。ハイハイ。
* 体調を整えるのが、まことに難儀。これは最近のことではなく、胃袋が無くなって以降、ずうーっとこうだった。こういうものなのかと思っていた、が、こんど腸閉塞を疑われてみて、難儀はほんものなんだと分かり、やや閉口している。
ま、いいか。閉塞しないようにようにと心がけ、気分の悪いのはガマンするしかあるまい、胃袋が無いのだから。
2016 11/6 180
* 疲れている、まだ十時半だが、ぐっすり、もう、休みたい。
2016 11/6 180
* 起床11:00 血圧136-62(66) 血糖値86 体重64.3kg
2016 11/7 180
* 胃全摘患者の予後には、腸閉塞気味は通有の症状なのだそうだ、妻が「検索」して調べた。その指さすところ、平成十二年二月以降、とぎれもなく続いていた 予後症状であったこと、ごく早い時機の診察日に、「危なかった」と即入院を外科で命じられたときの症状も、強度の脱水ではなく、まさに腸閉塞の気味でえづ き、嘔吐し続けていたのだと思い当たる。病室へ入って以降の診療も徹底した点滴の継続で、今回と変わりなかった。今回は腹痛も覚えていたが、あの時に腹痛 の記憶は薄かった、それだけの違いだ。
胃袋が無くなり、食道と十二指腸とを繋げば、その辺で「食」が停滞しやすい。今回も、ものが詰まり気味であったのだ。そういえばナニトカ症候群という名もだれかが教えてくれていたか。
なににしても胃全摘患者に、こういう症状の起きやすいことを、ふつう主治医や担当医はは患者には告げない、告げたがらないのが常なんだそうだ。やれやれ。
妻のかかっている地元病院の循環器内科の主治医は、わたしの入院と聞くや言下に「腸閉塞だね」と図星だったそうだ、あまりにふつうなんだそうだ。やれやれ。
この五年、わたしが各科のお医者さんにうったえ続けてきたのは「食がすすみません。しんどくて」の一項に尽きていたのに、腸閉塞のオソレを言い聞かせてくれた一人もいなかった。これには驚いている。ああ、やれやれ。
* つまりは、詰まらない喰いものを詰まらぬように喰えということなんです。やれやれ。
やっぱり酒で熱量を補い、飯よりは粥、そして豆腐や卵など食道や細い腸に停留しないものを食べて生き抜けという次第。やつとそうと分かりました。やれや れ。腹は、いつもいつも張り気味に苦しくなる。この五年、空腹時がいたばんラクと口にし続けて、これは言い過ぎかなあと反省もしていたが、まさしく、その 言葉通りが説明されて、ま、希望をさきへ繋いだということです。やれやれ。
2016 11/7 180
* さ、今夜もゆっくり眠ろう。明後日はまた聖路加の腫瘍内科へかけつける。早く済めば、どうしようか。生のいい牡蛎を食べさせる店があれば。あれは海の ミルクだと謂うし。しかし、このところ、外で食べてああ美味かったなどという食事が出来たこと、なし。店のせいではない、わたしの腹のせいだ、少し腹が立 つぞ。
2016 11/7 180
* 起床8:00 血圧139-71(50) 血糖値81 体重64.3kg
2016 11/8 180
* 晩、食後に入浴中、「46」の低血糖。よろしくない。
明日は朝早から聖路加腫瘍内科へ退院後受診に行かねばならない。いま21時、このまま、やすむことにする。
2016 11/8 180
* 起床7:00 血圧136-64(57) 血糖値83 体重64.0kg
* 腫瘍内科での血液検査に異常はなかった。腎臓も肝臓もきれいだった。
胃が無いので、酒の酔いは早くて深い。それは実感してきた。
起きている異常は、二つ。一つは、このところ繰り返している極端な「低血糖」気味。これは危険であり、内分泌科の新たな対応と指導に期待したい。
もう一つ、先日退院途中でも起きた頸と肩、左右強烈な硬結といいたい痛みに襲われる恐怖。これには腫瘍内科は判断できなかった。何故起きるか、どんな時か、をしかし確かめたい。
* 八時半過ぎてでかけ、十二時前に病院を出て来た。何処かで食事をと思いつつ何処へ寄る気もせず、歩いて歩いて有楽町から保谷行きに乗って帰ってきた。京の若菜屋の大きな栗菓子を二つ持って出ていたのを、ペットボトルのお茶で、昼食に代えた。美味かった。
さ、明日一日やすんで、明後日から「湖の本132」三十年記念の結びの一冊を送り出す。
「選集」第18巻の再校が出そろってきた。
* 要するに、胃全摘患者はかぎりなく腸閉塞の危険を身に抱いているのだから、閉塞を誘発しない食事に徹するしかないということ。細まっている 腸に詰まりかねない食い物は徹して避けるということ。半ばは意図して酒類で熱量を補ってきたのは是としても、胃が無くて腸から直接の吸収がはやく酔いがま わることだけを勘定に入れ、一時の大酒は慎まねばならないが、呑んではならんとは云われていない。やれやれ。
* 次の対応は、眼。眼鏡を替えるしかない。眼科は、なんらの治療策も持っていない。検眼して、目薬を呉れて、三ヶ月先の診察日を決めるだけ。でなければ「手術」と。堪らない。
2016 11/9 180
* 今夜はもう床に就きたい。あす、もう一日、ゆっくりして、小説を書き進めたい。明後日から、また数日、我が家は戦場になる。
2016 11/9 180
* 起床9:30 血圧114-57(58) 血糖値82 体重64.5kg
* 夜前就寝まえの血糖値は「186」だった。すこし酒も食べ物も摂っていた。処方されたままインスリンを「6」単位注射して寝た。今朝起き抜け の血糖値は「82」 顕著に減っている。ほぼ毎朝、こういう低い血糖値である。(正常値は「110」と教わっている。「70」以下では明らかな低血糖と も。)
高血糖は宜しくないが、低血糖は「危険」と教わっている。ショックを起こし落命のおそれも有ると。
血糖値にはやはり用心が要る。
2016 11/10 180
* 文藝誌「新潮」の突然の手紙で呼び出され、筑摩の太宰治賞を受けてほどなく新潮社の新鋭書き下ろしシリーズに加えられて『みごもりの湖』を書いた。そ の創作途中に担当の編集者池田さんから戴いた現代語・古語の入った久松潜一監修『新潮国語辞典』を、四十七年近く文字どおり手近に愛用し続けてきて、つい 先ほども「刺」という字が「名札」を意味し「名刺」の「刺」であることを確かめたばかり、それにしてもさすがに手擦れで、表紙はガムテープで剥がれは防い であるが、気の毒なほど表紙じたい痛んで反り返り裏剥がれたりしている。お世話になったなあと、つくづく。どう見た目は窶れても、版型といい厚さといい、 じつに温かに手慣れて懐かしいのである。
小説の良い読者とは、いい想像力、優れた記憶力、創作性のいいセンス、そして、進んで辞書をひく気性と挙げていた世界的な作家がいた。辞書を座右に愛し うることが優れた読書の基礎の条件だという、わたしは諸手を高く上げて賛成した。今一つ加えれば、「繰り返し読めるちから」「本当の読書とは、再読から始 まる」とわたしは思ってきた。自身そう楽しんできた。上の条件を皆満たしている読者に、再読を誘わない作や本は、足りないのである。
わたしはこれぞという本を一読だけで棚上げしたこと、ほとんど無い。近年読んで、いま強く再読を心誘われているものに、ミルトン『失楽園』がある。宇宙 を飛翔するように我と現実とを忘れうる。詩といえる作の最大規模の最優秀作ではないか、しかもほぼ失明のまま書かれたという。
* わたしもほどなく失明に近いことになる、が、限界までは体力を保ち根気を保ち、時間を惜しんで半歩でも一歩でも仕事の前へ出たい。ムダに遊んでられる ヒマはない。わたしの仕事に不二の価値があるの無いのではない。意義は何もない。他のだれにも出来ないこと、というだけの話。笑い話であるが。
* 腹具合はよくならない。すこし間違うとまた入院になる、心づかいしてそれは極力避け、よく寝て視力をすこしでも労りたい。元気の少しは残っているうちに、いちどでいい京都へ帰りたいが、叶いそうにない。
☆ もしあなたが憂鬱であったり、不安であったり、そのほか不機嫌なときには、すぐ真面目な仕事にとりかかりなさい。 (カール・ヒルティ 1833-1909)
* これぞ、わたしの信条でもある、心情でも真情でも身上でも、ある。
2016 11/10 180
* 起床7:30 血圧145-67(63) 血糖値88 体重65.1kg
* 幸いに強い雨降りのほぼやんでいた合間に、「湖の本」132、無事玄関へ届いた。
発送に掛かってはいる、が、目が眩しくて眩しくて仕事にならない。堪えながら少しずつゆっくり進めているのだが。黒い眼鏡を二重に被せていても目が開けてられないほど眩しい。やれやれ。じりじり進むのみ。
* 疲労していて、捗らない。途中ですこし眠りたかったが、眠れもしない。仕方なく、少しずつ少しずつ荷造りしている。
「湖の本」が、初めて、すこしシンドイなと思った。体力に連れて気力も落ちればオシマイになってしまう。歯医者は、延ばしてもらった。
何が障りなのかというと、やはり視力と思われる。眼科を頼らず、率直に、馴染みの保谷眼鏡へ行ってみるか。
だが、ま、発送の作業を、今日は根気よく。
* 夜九時半、今日中にと予定の荷造りを、かろうじて仕上げた。いつもの三倍も時間が掛かった。へとへと。ひどく疲れた。手がすいすい動いてくれなかった。
とにかく予定分だけはし終えた。明日からの作業は、今日一日の仕事より少しはハカが行くはずで、波に乗りたい。歯医者を、再来週に延ばしてもらえてよかった。
からだを横にしたい。
* あわや腸閉塞、そして強度の低血糖、もう一度は頸と肩の鉄鋼のような硬結に悲鳴を上げ、よほど体調を崩したと見える。詰まらぬように考え考えしっかり 食べるは食べて、体力をつくらねば京都へ帰れない。歩け歩け、歩けばそれだけ腸もよく働くからと言われている、だが、これが苦手。今日の東山を歩きたい。
2016 11/11 180
* 起床8:00 血圧132-63(52) 血糖値87 体重65.1kg
* 昨日は捗らなかったが、今日の作業はわずらわしい余分の手間が少なく、とんとん運んで、中休みも出来ている。もう五時過ぎ。食後に、もう少し はハカが行くだろう。なにしろ荷造りを要する本の量も多く嵩も高い。よく持てるなあと自分でも驚く重いケースを持ち上げては、玄関とキッチンとを往来し続 ける。イジケがちな腸も働いてくれるといい。
2016 11/12 180
* 腹具合、すかっと通じない。困ったものだ。
* 昨日は捗らなかったが、今日の作業はわずらわしい余分の手間が少なく、とんとん運んで、中休みも出来ている。もう五時過ぎ。食後に、もう少し はハカが行くだろう。なにしろ荷造りを要する本の量も多く嵩も高い。よく持てるなあと自分でも驚く重いケースを持ち上げては、玄関とキッチンとを往来し続 ける。イジケがちな腸も働いてくれるといい。
2016 11/12 180
* 起床9:30 血圧138-69(61) 血糖値86 体重64.4kg
* 数日の、文字どおり「難渋」を解消した。よし。作業にハズミついて、もう正午。
心配なのは、発送してくれるクロネコ・ヤマトの内部で、なにらか争議めく動きがあるのではないかと。働いている労務系の人たちへの同情を覚えつづけてきたので、黙って様子を見ている。
2016 11/13 180
* 疲れを溜めないためにも、とにかく床に就くように心がけたい。もっとも床についての校正も読書の量もけっして少なくはないが。
* クロネコやまとに荷を渡しても、どういう事情でか、発送されていないという。経営に無理が重なっているのか、従業ら問題が出ているのか、分からない。
ま、わたしは、身を休めることを主にしたい。
もうすぐ、待っていた松たか子の芝居を観に行く。先日の姉・松本紀保の『治天ノ君』は秀逸であった、負けない面白い舞台を期待している。
今月半ば以降は、月曜ごとに聖路加の診察がある。月が変われば、五日に「選集⑰」が出来てきて、送り出したあとの師走は、かなり寛げる。思い切り、創作へ重きを置く。一度、遠くないあたりまで新幹線に乗れないものか。
2016 11/13 180
* 起床9:45 血圧123-65(55) 血糖値83 体重64.0kg
2016 11/14 180
* 十一時をまわった。目もまわっている。とっておきの有元さんのお酒もきもちよく回っている。
源氏物語は「少女」の巻。夕霧と雲居の雁のおさない恋のかなしみが始まる。好きな帖である。
真下五一の小説「京都」 いささか刺戟強く批評されながら読んでいる。
イプセン劇、身に迫ってくる科白の迫力。こわいほど。
バルビュスは「クラルテ」で、演説を始めた。
昔々、小学生だった建日子にお年玉にそえてやった岩波文庫、ツルケーネフ「初恋」がひょいと手元へ現れたので、なつかしく読み返している。
2016 11/14 180
* 起床8:30 血圧133-62(58) 血糖値83 体重65.0kg
2016 11/15 180
* 起床9:00 血圧131-58(53) 血糖値85 体重65.0kg
* 昨夜中も、奇妙に喉もとへかすかにも灼ける感覚があり、血糖値を計ったら「69」。わたしの体験では過剰に低い方ではないが、正常値「110」からす れば明らかに低く、糖分をしっかり摂って、また寝た。今朝は「85」 夜中に糖分を摂って寝て朝がこの値では、気を付けていないと、わたしにはどうも低血 糖傾向が定着していると見える。昨夜も寝ながら気付いた「かすかにも喉へ灼ける感覚」は、あの入院前にしきりに今少し濃く毎夜のように続いていたが低血糖 を疑わずに水分を補給にばかり努めていた、が、もし低血糖状態へのからだからの警告であったなら、少なくも血糖値を測るべきだった、水分は血糖値をさらに 低くする方へ働いたろう。
わが身体でありながら、微妙に難しい。注意深く対応するしかない。
2016 11/16 180
* 下保谷近隣を自転車でしばらく走ってきたが、少し坂道になると疲れた。閑散とした下保谷の住宅街なので大層な危険は無いが、目がクリヤに視野をとらえていないので、油断は出来ない。
2016 11/16 180
* 起床7:00 血圧149-67(58) 血糖値82 体重65.0kg
2016 11/17 180
* 起床7:45 血圧123-58(54) 血糖値73 体重64.9kg
* これでは、低血糖に部類される。危うい。昨日は全日 腹具合平穏でよかった。ただ一度ならず喉・胸の灼ける感覚有り、今朝の起きがけもそれで目ざめ、そのまま起きた。 2016 11/18 180
☆ 秦先生
湖の本132巻拝受しました。
丁度先週、慈子を読み終わり「みごもりの湖」中巻を読んでいるところです。
私はJ.S.Bachの音楽をこよなく愛し 毎日CDで聴いています。
先生の創作は、バッハの音楽作品と共通するところがあると思っております。
バッハの1音といえどおろそかにしない曲の組み立て方と秦先生の文章の構成、またロマン派以降の音楽と異なるバッハの多声音楽と秦先生の次元の異なったストーリーを同じ作品のなかで展開させる仕方にも共通点を感じています。
これらが複合して奏でる美しさは 他の(音楽家または文学作家)追随を許しません。
132巻の刊行、あらためて偉大さに敬服しております。本棚に並んだ132巻は、私の誇りでもあります。
月並みですが、世界的にもギネスブック登載ものでしょう。
退院してから3週間になります。まだあちこちに体の不都合があり時に気落ちしたりしていますが、秦先生のお言葉、“体力はゼロに近いが、気力と意欲と覚悟とは衰えていない”を眼にすると 弱音を吐いてはおられません。
精進します。 篠崎仁
* 篠崎さん、また病気をかかえておいでの皆さん、「いま・ここ」の持続を逞しく、幾らかは太々しく謙虚に生きつづけましょう。
わたしは、今も喉もとが灼ける感じで、腰も背も痛み、血糖値はショックに陥る低い危険域へとかく揺れ揺れてはいますが、それはそれ、なにより仕事をしているときが元気そのものです、時を忘れます。
わたしの愛蔵している音盤で数多いのはバッハです、バッハをわたしに刷り込んだいちばんの人物は、「繪を描いてください」の「お父さん」ですが、大学時 代にお祝いに人に贈ったレコードがバッハのシャコンヌでした。久しいつきあいです。篠崎さんのご指摘、ドキッとしました。
2016 11/18 180
* 起床8:45 血圧148-65(58) 血糖値99 体重64.0kg
2016 11/19 180
* 起床8:30 血圧124-61(55) 血糖値90 体重64.5kg
* 木守りの柿ひとり照りて日新たに
われは八一の冬を迎へむ やいち
* バス通りの文房具屋「野口」へ、注文の宛名印刷用紙など受け取りに自転車を走らせた帰り、畑なか路で木守りの柿が枝の高みにあかるく照っていた。日ざしが清らかだった。
小菊の草むらも見た。黒いマゴたちに手折って帰りたかったが、遠慮した。
2016 11/20 180
* ぶっつぶれそうに睡くなることがある。昨日も今日も午後二時間ほど寝てしまった。すこし気がノビノビしているのでもあろう。
* あすは病院へ、先ずは看護師診察に十時に、医師診察に十時半に来いといわれている。諸検査の結果が出ての医師の診察ゆえ、遅くも九時半には病院入りし なくてはならず、八時には家を出ねばならぬ。諸用意もあり、六時台に起きねばならぬ。殺生な。ま、ガンバリます。さて汝には解放されるのか、処方薬等を薬 局で受け取れて正午なら好い方か。分からない。待ち待ち、たくさん校正ができるだろう。
久し振りに浅草で米久の特上肉ですきやきなど、どうか。だが、あそこまで行くのが、負担かも。しかし浅草から車での帰りに、鶯谷駅前のあの蕎麦も、懐かしくていいかも。
* 九時過ぎ、明朝を考えて、早めに休息しぐっすり寝たい。トランプ以来の情報や推測の過剰で、やかましい限り。今分は勝手にしという気分。遙かに遙かに自身の創作や仕事へ姿勢を崩さぬことをだけ大切に考えている。
2016 11/20 180
* 起床6:30 血圧120-60(62) 血糖値82 体重64.6kg
* 7:58に市内バスに乗り、西武の保谷駅からあいにく直通の有楽町線が三十分ちかく来ないので、池袋まで通勤準急に載って練馬で座れたがその先で延滞つづ き、池袋からの地下鉄丸の内線でもお茶の水で止まってしまい、結局10:00過ぎに辛うじて生理検査を受けられた。早くに家を出ておいてよかったのか、そ れが役に立たなかったのか、通勤時間帯の朝電車はとかく故障する。
* それでも御蔭で11:00には診察を終え、しかし薬局でまた一時間待たされ、空腹のまま、松屋わきまで車に乗った。なんと退院の日に両肩・頸硬結で苦 しみ逃げ込んだ喫茶店が、妻が転倒して、二人してまた聖路加の救急へ駆け戻ったその喫茶店が松屋のすぐ傍だったと知れ、思わず吠えた。
「ボン・シャン」で赤・白のワインをえらんでもらい、飲み方などソムリエの吉田老に教わりながら、とろけるような頬肉など、好い昼食が出来た。美味い スープから綺麗なデザート・エスプレッソまで、流れの佳い時間であった。もうどこへ行く気もなく、雨のこぬ間にと銀座一丁目から、誂えたような西武線直通 に乗り、中世武士の参考文献など読みながら、傘は持っていたが降られもせず帰りついた。この程度なら疲れもひどくなくて済む。
2016 11/21 180
* やはり外出疲れが残っている。機械からは離れ、からだを横にし、明るい照明に助けられて本を読むか。ワイ ルドの戯曲「サロメ」、原作原画の奇抜におそろしい豊富な挿絵も楽しんでいる。ツルゲーネフの「初恋」は、小学生だった建日子にやった岩波文庫。ちゃんと 読んで、かなりの刺戟を得ていたらしかったが。すっかり、つかこうへいの門下に入りきっているらしい、今は。自分のモノがもう確かに出来てきてよい時機かと。
源氏物語は「玉鬘」へ入っている。しそがず、楽しんでいる。ぐんぐんと物語が盛り上がってくる。
京の森下辰男君が送ってきてくれた、懐かしや「李香蘭」の歌20曲を聴こうかな、とも思っている。「夜来香」「支那の夜」その他、懐かしすぎる歌が録音してある。
2016 11/21 180
* 起床10:30 血圧133-65(56) 血糖値90 体重64.5kg
* 夢で、玉のような人形のような一つにもなったかと想う愛らしいはだかの男の児をみた。ひとに取り巻かれてむずかっていたが、わたしが近寄って行くとにっこ りし、手をだすとゆららと歩んで嬉しそうに抱かれに来た。抱きあげてやると笑みこぼれて全身で喜んだ。その感触の柔らかに温かかったこと、黒いマゴを思い 出させた。
ふつう、夢は一度見て目ざめると容易にまた同じには見られない、が、その後、両三度もその児は現れてわたしのまわりに機嫌良くいた。不思議でならなかった。
* 嬉しい夢からめざめて、現実に、厚かましい不快な思いを強いられると、舌打ちして、死んでしまいたくなる。イヤなことが多すぎる。
2016 11/22 180
☆ 秦先生
ご無沙汰しております。
娘が七五三を迎えました。息子は10歳4年生です。
ふたりとも元気です。
時間を作って、顔を見せに行きます。 ※Yahooメールが以前、不達だったことを思い出し、 会社メールから再送いたします。 東工大院卒 柳 建築家
* 珠乃ちゃん七歳!!
柳君
九年の六月十日に、
佳き命名なり
壽 天地(あめつち)のいのち耀(かがよ)ふ珠乃とぞ
ふたりの親は掌に受けつらむ
と祝ったのを思い出しました。兄妹ともに健やかにいよいよ大きく成られるよう願います。
おめでとう。
小さいふたりは、それぞれどんな少年少女かな。
*
打って変わって わたしは、元気ではありません。先日は 腸閉塞で入院し、入院中低血糖で死にかけ、退院の日には わたしが激しい頸と肩の硬結で、付き添ってた家内は転倒して頭を打って、二人して病院の「救急」へ逆戻りした有様でした。
それでも、「湖の本」のますますの続刊、特装の限定本「選集」の33巻(現在20巻へ進行中)をめざしての刊行で、狭い家の中は我々も自由に座れないほ ど乱雑にモノがあふれ、みんなをお迎えすることは出来ません。路上での対面ではお互いに気が乗りませんので、この写真で、成長した二人と、ご両親の元気そ うな様子を眺めています。
私たちの日々の様子は、日記で察していて下さい。
メールは、どなたでも、いつでも、どうぞ。及ぶ限り返事します。
書いて、読んで、本にして わたしの生涯はそれに尽きるのでしょう。すこしでもわたしが懐かしくなったら、わたしの「本」と「日記」を読み返して下さい。さきごろの「秦教授(ハタさん)の自問自答」に文句を付けてくるかなあと想っていましたよ。
ではでは。 秦
* がっくり疲れる。できれば、すーうっと眠りに引き込まれたくなる。大相撲も白鵬に威勢が欠けていて乗れない。
望ましいのは、想像と創作の世界へもぐり込むこと。
* 柳君、家の前の路上でもいいから「押しかけたい」と。勘弁して下さいと、あやまった。
2016 11/22 180
* 起床9:00 血圧134-63(65) 血糖値86 体重64.4kg
* 朝の故紙回収を大急ぎで手伝った。どういうワケか校正ゲラは各三通ずつ届く。たいてい一通でこと足るので、厖大な裏白紙が溜まる。保管も利用もできなくて 故紙として出しているが、紐で結わえた総量の重いこと、怖ろしいほど、そんなのが二た荷物になる。ほかに新聞雑誌、それからやはり莫大にダンボール函等を 処分する。妻が荷造りし、わたしが集積場へ運ぶ。ひとりで何もかも出来ないだろう。「ごみの家」がよく報道されるが、最初は、回収に応じるのにとても手が 足りなかったのかも知れない。
今朝はテラスに出ているベンジャミンの、冬に堪え得ない大きな植木を超大きくて重い植木鉢ごと、妻と二人で、今年も辛うじて、天井をこすりながら、部屋の中へとりこんだ。
* 「おひとりさま」の本で、とうから、どうするどうすると脅かされているが、どうできるとも見通しがない。「西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ 負」ってくれるだれ一人もいない。意気地のないハナシだが、せめて建日子に気働きの優しい嫁さんがいてくれたらなと、とうとうグチが出かけてきた。
ま、行けるところまで行くしかなく、行けなくなったら、使わないものから捨てていく事になろう。
2016 11/23 180
* 起床8:45 血圧112-44(82) 血糖値86 体重64.6kg 朝、快便。
* 明け方から、雪。 冬、早やも。
2016 11/24 180
* 起床7:45 血圧127-56(54) 血糖値83 体重64.6kg
2016 11/25 180
* 次の月曜は、また聖路加へ行く。前立腺の診察だが、この四年来問題はなく、薬の処方箋をもらいに行くだけ。さて、天気はどうか。雨や雪はご免だが。
2016 11/25 180
* 起床8:00 血圧135-65(53) 血糖値82 体重64.7kg
2016 11/26 180
* もう眼が灼けてしまって、機械相手ではどうにもならない。器械でない階下仕事に交替し、すこしやすみます。幸い師走五日からの選集送り用意はほぼ出来てきた。「湖の本133」「選集⑲」の後書きを用意しなくては。
* 月曜の聖路加診察は十一時五十分の予約で、あまり待つことはないと思われるが、月曜で、美術館はやすみ。どうするか。火曜は歯医者。
2016 11/26 180
* 起床8:00 血圧125-58(69) 血糖値85 体重64.9kg
* なんと、昨晩九時前から寝続けていた。眼疲れがそれほどもキツかったか。
2016 11/27 180
* 明日は生理検査の必要がないので、十二時前の診察予約に、十時にも家を出ればゆっくり間に合う。ただし処方薬の出を院外薬局がいつも待たせる。
先週は「ボンシャン」で昼食したが。明日はどんな風が吹くか。福音の寿司か、宮川本廛の鰻か、更科蕎麦でしゃも鍋などもいいが、かんじんの食欲というモノが無い。銀座木村屋でちっちゃいパンをいろいろ買って帰るのが、ラクかな。明後日夕方にも、歯医者通いがあるし。
日比谷のクラブで来年のダイアリーを貰いたいが、これは、師走討入り歌舞伎を観たあと立ち寄ればいい。
午後にかけ、あめが降らねばよいが。
2016 11/27 180
* 起床8:00 血圧129-70(54) 血糖値104 体重64.2kg
* 夜前のインシュリンを打ち忘れていたが正常値はしっかり維持している。食べないから体重は低くなるが、もう少し低くしてみたい。
* これから、聖路加病院へ行く。薬をもらうためだけの通院、気楽である。築地まで散歩に出る心地。食べたくはなく、月曜で美術館も休みだし、楽しみは無い。校正という仕事は確実にはかどる。どこかで少しウイスキーでも飲んでくるか。
* 今日の診察は、聖路加の本館というのか、古いチャペルや高い塔のある方で。
診察というほどもなく、ちょっと談笑し、処方箋をもらうだけで、そのまま、院外の薬局へむかい九十日分の「フリバス」といういつもの薬を受け取った。
傘は家に置いてきたが、幸い、晴天。昼食というほど食欲はなく、しかし空腹ではあり、とりあえず築地から銀座までよたよたと出、アテもなくぶらついた足 のママ、結局、帝劇モールの、なじみの「きく川」へ座り込んだ。蒲焼きに、正一合の「きく正」。相客無しの一部屋宛がわれていたので、ゆっくり校正もし た。
そのまま有楽町線で幸便に西武線乗り入れに乗り、かんかん照りに晴れた保谷へ帰った。ほっこり疲れていた。甘いモノが欲しく、駅構内に新しく出店の和菓子を買って帰った。茶を点てたかった。
2016 11/28 180
* 起床8:00 血圧119-65(64) 血糖値86 体重64.8kg
* きのう帰りの「蒲焼き」は25センチほどのが二本ならびで、ちょいビックリした。米の飯は、鰻屋とかぎらず、もう以前から、めったに食べていない。食べにくい。美味い粥がいい。
昨日帰ったら、内心希望のウイスキー「富士山麓」を買って呉れてあった。いまは努めて沢山な氷にかけて飲むようにしているが、やはり生のママが美味い。
2016 11/29 180
* これも不調現象なのか、よく寝てしまう。睡眠時間の長すぎるのは宜しくないが、眼は助かる。朝起きたときの視野の清明、視力の確かさ、泣きたくなるほど嬉しいが、三十分と保たない。情けない。が、泣いてばかりはいられない。
* じっとガマンして眼づかいの荒い仕事を今朝からも続けていた。これから歯医者通いの用意を。
* 井口哲郎さんからお心入れの「赤いも」頂戴した。腸閉塞気味をきづかってくださったと思い感謝申します。有り難うございます。
東近江五個荘の乾徳寺さんから美味しそうな和菓子を送ってきて戴いた。有り難う存じます。
* 村上開新堂の山本社長から、さきごろの入院等へお見舞いを戴いた。恐れ入ります。
2016 11/29 180
* 暫くぶりに江古田二丁目の歯科へ、妻と。
帰りに、江古田で「中華家族」に寄り、妻は好きな鮑と酢豚を、わたしはマオタイを。食後向かいのブックオフで「椿説弓張月」三巻と「無門關」とを買い、妻は駅前の花屋で黒いマゴたちのために鉢の花を買った。
さ、「選集⑰」の出来てくるまで五日間、有効に、用意もし、楽しんで休みもし、仕事もたくさんしたい。平穏に無事に歳末を送り新年を迎えたい。二十一日、誕生日。迎える一年を、八一と名乗ることにしようか。
* 十時半、ひたすらの辛抱仕事で、もう眼は、機械向けには、限界を超えた。
冷えても来たので、階下へ移動。「無門関」「弓張月」を今夜から就寝前の読書に加える。
2016 11/29 180
* 起床8:50 血圧116-55(57) 血糖値93 体重64.6kg
* 昨日、歯科の若先生に、「痩せましたね」と云われ少しビックリし、納得もした。68キロ台にいてその上へリバウンドしてしまうのかとヒヤヒ ヤしていたのが、先日の入院以降64キロ台にほぼ落ち着いているのだから、なるほど痩せて見えたかも知れない。もう少し痩せていいかと思ってると云ったら 娘のような先生に叱られた。今のままで十分ですと。
入院していた一週間の大半は点滴だけの絶食に等しかった。
* 腸閉塞のこわいことは聞くし、だれより朝日子盲腸の術後退院後に、何が理由であったのか激しい腸閉塞で緊急入院し再度開腹した苦い記憶がある。
わたしの場合胃全摘し、十二指腸をそのまま引き上げて食道に繋いでおり、食べ物の細い通路を胃での消化を経ず、ま、消化不良のママ細い腸へ行くのだか ら、食べ損じると、または食べ物によっては詰まってしまう。わたしはこれを胃全摘後の三月にやって長く入院し、今回も同じ症状だったが、比較的食道と腸の 接点の辺で、つまりは高い位置で詰まり、下へ通らないのを強制的に嘔吐することですこし和らげられていた。えづいてえづいて、そして吐いて吐けたのが幸い した。それでも、入院中に便通無く、退院して数日、やっと開通した。下剤も何度も試みた。
* 痩せたワケだ。
* そんなことより、世間の、世界の、サンタンたる不快感にまいる。125歳を生きている人の報道をみて、カンベンして欲しかった。
十七巻でおさめようと漕ぎ出した「秦 恒平選集」を、エイヤと33巻まで行ってみよと決めた、その自分自身へかけた負担の約束が無かったら、わたし、思いの外に、われから「さよなら」と命の店じまいを望み始めたか知れない。
文学の世界と眺めてきた世間にも、文学・文章の「作家・文章家」は寥々とし、声高に身振り沢山な噺や咄の「話し家」ばかりになってきた。騒壇が本来の意義を喪い、ただに雑音ばかりを撒き散らしている。
2016 11/30 180
* 十時半、もうどうにもならない、原本と機械の原稿とを照合しつつ入稿の用意をするのは、甚だしい眼の酷使になり、本の方も機械の方も見栄が読み取れず、アテズッポウノような校閲になる。もう休むしかない。
2016 11/30 180
* 十時半、もうどうにもならない、原本と機械の原稿とを照合しつつ入稿の用意をするのは、甚だしい眼の酷使になり、本の方も機械の方も見栄が読み取れず、アテズッポウノような校閲になる。もう休むしかない。
2016 11/30 180
* 起床8:00 血圧136-63(63) 血糖値90 体重65.0kg
2016 12/1 181
* 眼鏡が幾つあっても役に立たず、裸眼のママたくさん仕事した。「神と玩具との間」第三章を読み終えた。五分の三。まだまだ山また山を越えて行かねば。
2016 12/1 181
* 起床8:50 血圧139-63(54) 血糖値85 体重64.8kg
2016 12/2 181
* どうも、いろいろ、思うにまかせない。ま、ゆっくり何かについて歩くのがいいだろう。
もう二日、手足を伸ばしてらくにしていたい。
* 国会といい内閣といい、世界の動揺といい、付き合うのがイヤになるが。ただもう一喝しておいて、また本を読んで寐よう。
2016 12/2 181
* 起床9:00 血圧135-59(61) 血糖値89 体重65.4kg
2016 12/3 181
* 起床8:45 血圧134-69(57) 血糖値95 体重64.9kg
2016 12/4 181
* 起床8:45 血圧135-63(65) 血糖値86 体重64.9kg
2016 12/5 181
* 明日に備えてやすむ。本を読む。十一時半になっているが。
2016 12/5 181
* 起床8:00 血圧130-62(60) 血糖値88 体重65.8kg
2016 12/6 181
* 今回第十七巻の送り作業、終えた。無事で済んだ。あす、郵便局に渡して、完了。今晩は、ゆっくり休む。
と云いつつ つい仕事をつづけて十一時半になった。目が見えればもう少し先へ進みたいが、限界。
2016 12/6 181
* 起床8:30 血圧153-68(64) 血糖値88 体重65.3kg
2016 12/7 181
* 散髪。すっきりした。
* 「和可菜」寿司の肴でやまと櫻の純米吟醸を楽しみ、浴室で、源氏物語「螢」巻、無門關、サフォン「天使のゲーム」 椿説弓張月を読み、湖の本133再校をゆっくり読んだ。
そのあと、もう何度目になるか、ハリソン・フォードの映画「エアフォース・ワン」を、やはり引きこまれて観た、この主演者には馴染めないのだけれど、彼にはこういうガンバリものの秀作が重なる。
* 師走を、どうか心穏やかに、出来れば楽しんで過ごしたい。
2016 12/7 181
* 起床8:30 血圧134-63(56) 血糖値90 体重64.5kg
2016 12/8 181
* 「やまと櫻」に酔って数時間、熟睡していた。睡れば眼はやすまる。
視力疲れの視野は、ものの縦線がグニャグニャ。朝起きたときや、眼を十分休ませた後は、柱も、障子の縦サンも、概ね真っ直ぐに見える。
視野混濁の根は、要するに、眼疲れに在る。
2016 12/8 181
* 起床8:30 血圧132-59(57) 血糖値98 体重65.0kg
2016 12/9 181
* 九時半、もう休まないと、眼も頭も潰れそう。
2016 12/9 181
* 起床7:00 血圧143-68(62) 血糖値91 体重65.2kg
2016 12/10 181
* 起床9:30 血圧126-54(56) 血糖値90 体重64.6kg
2016 12/11 181
* 篠崎仁さん、日光美酒「杉並木」を頂いた。京の旧友冨松賢三君、永楽屋からの美味千枚漬けを頂戴した。小田原の津田崇さんには蜜柑十五キロも頂いた。笠間書院編集長橋本孝さんからは珍しい蜂蜜菓子を頂戴した。
* 校正の視力が痩せて崩れてハナシにならぬ。22日早朝からの聖路加眼科検査や眼鏡処方に一縷の望みを託しているが、眼鏡の問題であるのか、どうか。
仕方なく、李香蘭を聴いてボーッとしている。へんな歌も入っているが、懐かしい佳いのも多く、全23曲おまけの最後に美空ひばりの「国境の町」も。
李香蘭うたう「満州姑娘」「支那の夜」「夜霧の馬車」「浜辺の歌」「宵待草」「蘇州夜曲」「夜來香」「何日君再来」「荒城の月」は耳を傾けられる。彼女にくらべると、ひばりがうたう「国境の町」の歌声は濁みた悪声に聞こえてしまう。
森下辰男君の自編 題して「伝説の歌姫 李香蘭 秘曲選集」わたしの愛盤になった。森下君感謝。
いま、二順目の「支那の夜」を楽しんでいたが、十時半。階下へおりて、校正もしたいが。
暖房しているが膝下へ冷えを感じ始めた。小説を念頭に、睡ったが佳いかも知れぬ。からだを長保ちさせるには、仕事の量を追ってはならぬ。大事なのは質だ。作品だ。
2016 12/11 181
* 起床8:15 血圧129-66(56) 血糖値89 体重65.4kg
2016 12/12 181
* 十一時過ぎた。
* 、明日は校正ゲラを抱えて、ふらりと街へ出るか、電車に乗るかしてみたい。こう家にとじ籠もっていては、ほんとの元気になれない。
2016 12/12 181
* 起床8:00 血圧136-60(55) 血糖値85 体重64.7kg
2016 12/13 181
* 先へ行くほど雨かとの予報に、機械仕事にかかっていた。目疲れ甚だしく。
2016 12/13 181
* 起床8:00 血圧138-68(55) 血糖値92 体重64.8kg
2016 12/14 181
* もーの凄いまで頑張って仕事した。少なくももう三日はかかると目算していたのを今日一日で突っ切った。まことに慎重な作業を要するものであっただけに、なんだか、ボー然としているが、むろんよかったのである。明日、時間を掛けてもさらに思案を加えることが出来る。
* 休まないと、十時前、もう、もたない。
2016 12/14 181
* 起床8:00 血圧134-72(56) 血糖値97 体重64.4kg
2016 12/15 181
* 妙に芯からぐたりと疲れている。これで視野が明るいと気がいいのだが。ま、愚痴は言うまい。
2016 12/15 181
* 起床7:45 血圧138-55(56) 血糖値94 体重64.7kg
2016 12/16 181
* 歯科の帰り、江古田の「中華家族」で例のマオタイで、夕食。
* どうしても、ずしっと沈むような疲労が五体を重くするが、少しの間でも寝入ることで回復しいしい仕事を続けている。
もう十一時になろうとしている。
2016 12/16 181
* 起床8:30 血圧117-56(65) 血糖値92 体重64.5kg
2016 12/17 181
* 起床9:10 血圧143-69(69) 血糖値97 体重64.4kg
2016 12/18 181
* 部屋の照明を暗く感じている。このキイボードがさだかに見えずも慣れ打ちでやっている。頭の上の蛍光灯四本の照明が古びているのだろう、ただ新しい管 に交換するという脚立に乗っての作業が今のわたしには怖い。うっかり転倒したら大怪我になる。しかし、電器屋に来て貰うにはあまりにケッコウなお部屋過ぎ るのです。で、まぶしい近接照明を用いているが、眼には甚だ宜しくない。
* えもいへぬ疲れに負けそうになるが、負けていられない。まだ九時過ぎだが、横になってこよう。エリオットの戯曲「カクテルパーティ」を、サフォンの「天使のゲーム」を読みげたい。「源氏物語」では可哀想な近江の君がわらわれている。そろそろ夕霧に存在感が見え始める。
笠間書院に貰った中世の「石清水物語」 しっかりした長編で、「夜の寝覚め」ほどに読めると嬉しいが。もういちど、平安期の、源氏のほかの物語も読み返 したくなっている。こう昔語りが懐かしいばかりでは困るが、柳田国男の全集にもまた手を出そうとしてるし、満を持して書庫に蓄えた中世の「音頭説経」本を もぜひ読んでおきたい。書庫へはいるのは今は冷え切った寒いけれども、何といっても宝の蔵。いっそ、近代現代の小説、エッセイ本、評論、詩歌また美術の単 行本は、惜しいけれどもうそのまま「処分」し、書棚を開けたくもなっている。つい歴史や古典や史料ものへ手を出したくなる。が、どう処置するにももう体 力・膂力が用に届かない。老いらく、ムリはすまい。
2016 12/18 181
* 起床7:30 血圧115-42(77) 血糖値100 体重64.7kg
* 今日一日、何をしていたか。いささか、ボンヤリしていた。ホームページの締まりがついてなくて、とうぜん在るべき原稿が保存されていなかったりし、かなり ゲンナリした。あまれにコンテンツが莫大でその保管に手が回りかね、必要なものがどこへ失せたか、隠れているのか、捜しようがないとは情けない。手間さえ かければ回復は可能だが、その手間が痛い。
2016 12/19 181
* 起床8:30 血圧135-57(57) 血糖値96 体重64.1kg
* 体重が、胃全摘後の最低にきた。かなり意識して63キロ台にと思っている、理由は何もないのだが。
2016 12/20 181
* 十二月二十一日 水 冬至 八十一歳誕生日
* 起床9:30 血圧117-66(70) 血糖値94 体重64.2kg
木まもりの柿ひとつ照りて日新たに
八一(やいち)の冬をただに迎へし 秦 恒平
2016 12/21 181
* 「湖の本133」のあとがき初校が届いた。きちんと書いたつもりなのに、零校ゲラ(電送原稿をそのままに刷ったもの)を読むと、いかにも打ち違いミスがぽ つぽつ有る。字もキイも見えないまま書いていたのが歴然と分かる。夜分の機械仕事は、ほとんど用を為さない、眩しくてしかも暗くて、字が見えていないの だ。
しかし、機械から離れ、寝室の明るい電灯の下で裸眼でいると、重い恆存全集の小さな活字も、文庫本「椿説弓張月」のルビの多い小さい活字でも、全集本の「源氏物語」でも、目薬をさしさし、とにかくも機械の字のように眩しく霞みもせず、なんとか読める。
機械の照りは、眼に痛いほど。
昨夜、ほとんど手探りするようにし「選集19」のあとがきを書いたが、さ、どんな零校ゲラになって来るか。
* ど こへ出かけるというアテも今日はもってない。戴いてある珍味佳肴を卓にひろげ、いろいろの日本酒の名品を、今日ばかりはしたたか呑もうか。いやいや、酩酊 して寝入ってしまうだろう。音楽を聴き、敬愛の映画作品を楽しもうか。黒いマゴがいてくれたらなあと、しみじみ懐かしい。
2016 12/21 181
* 午後から夕食時への疲れ深く、夕食後、堪えきれず床に就いた、とはいえ、床に坐ったまま恆存先生飜訳全集の戯曲第八巻を読み終えた。源氏物語は好きな「野 分」巻に入って、嵐のさなかたまたま夕霧が義母紫上の姿を遠くから初めてみて魂を奪われる場面を心温かに堪能した。「弓張月」では為朝妻の白縫と讃岐院と の邂逅の場面を読んだ。
それから、崩れるように寝入って、十時、喉の渇きで目ざめた。
2016 12/21 181
* 十一時半。 今少し、ぼう然と、階下でやすみたいと思ったが、とんでもなかった。明日は早くから、聖路加の眼科へ行かねばならない。
誕生日は、おしまい!
2016 12/21 181
* 起床9:30 血圧117-66(70) 血糖値94 体重64.2kg
* 聖路加眼科で検査と診察。結局はわたしには何が何とも分からない。医師は視力など悪くはないと。検眼技師はいまの眼鏡でだいたい問題ないのではと。
* 寄り道せず、保谷まで帰った。西友で黒毛和牛二バック買って帰り、一パック焼いて貰ったが、特段の感激は無かった。
機械の前でそのあと寝入ったようだ、
* 食欲がなく、山中さんに戴いた「三千盛」純米吟醸の酒を、また吉備の有元さんに戴いた超特級の大吟醸純米酒「室町ざくら」を、贅沢の限り、下関の大庭 緑さんに戴いた赤間の雲丹で。少しずつ味わっている。なんたる贅沢、この絶品の酒と雲丹との美味には感動してしまう。有り難し有り難し。有り難し。とか し、疲れている。
2016 12/22 181
* 十時半すぎてまことに重ッ苦しい全身の違和感にまいる。排便の停頓によるか。
2016 12/22 181
* 起床8:00 血圧108-57(63) 血糖値89 体重64.2kg
2016 12/23 181
* どうしたのだろう、まだ朝の十時過ぎ、何ほどのこともしていないのに、引きずり込まれるように睡いとは。ああ、逆らわずに眼を閉じよう。
* 笠間書院に貰った「石清水物語」 読みやすい。玉鬘の物語にも、夜の寝覚にも、いろいろに身を寄せながら構想されているようで、なによりも比較的すらすらと読めて有り難い。
* 読み疲れたまま潰れ寝ていた。夕食というほどの食も摂れぬまま、谷崎潤一郎に触れて論じたり書いたりの夥しい旧稿を読み継ぎ、校訂している。眼疲れし て眼を閉じると背いっぱいに疲労の重みが乗り被って来る。また眼を開いて、その「世界」へ立ち帰り立ち帰りする。立ち止まってはならぬ。
2016 12/23 181
* 年内もう一日、月曜午後、聖路加病院へ通わねばならぬ。やっぱり月曜で、美術館は出光へも上野へも、ダメ。何が食べたい気もなく、呑むのも、量は控えて帰路を安全にしなくては。
新富町駅へ「保谷」直通が来ると、ついまッ直ぐ帰ってしまう。保谷には、何も無い。
話題の築地市場というのを、外側をかすった程度で、観たことがない。観たくもない、げっそりと疲れるだろう。
むかし本郷の「とっぷ」のような店があれば、ゆっくり校正したり書いたり出来るのだが。やはり帝国ホテルの「クラブ」がいちばん馴染んで、寛げる。佳い酒もある。
2016 12/23 181
* 起床8:15 血圧116-58(59) 血糖値84 体重64.8kg
2016 12/24 181
* もう十一時を過ぎた。今日も身の奥にズーンと疲労を抱いたまま、思いの外に沢山な「眼」仕事を積み重ねてしまった。こうしてキーを叩いていると元気が あるが、やめると、のしかかるような疲労に潰れかける。しかし仕事が捗ると嬉しくもあり先へ先へラクにもなりそうな気がする。
そして、これからまた床について、本を読む。送られてきている原稿も読む。睡れなかったら夜中にも電気を付けて読む。
明日も明後日も、休める。明日は日曜か。クリスマス・イヴののこりものが街にまだ溢れているだろう。そんなのに興味はないが、フラッと歩きにでもいいかなと、想うだけはラクに想える。
2016 12/24 181
* 起床8:15 血圧143-59(73) 血糖値90 体重64.4kg
2016 12/25 181
* 起床8:00 血圧135-60(70) 血糖値86 体重64.0kg
* 今年最期の、時計をもち忘れの、聖路加通院は尿・血液の諸検査、まったく異常なく、腎臓も肝臓も尿も綺麗ですと。三種の処方健康剤を院外で受け取り、築地の更科蕎麦で、揚げ牡蛎、白子と蕎麦とで枡酒を。選集⑲の持って出たぶんのこうせいも全部済ませてしまい、少し酔った気持ちのママ、用心のペットボトル茶を補給しいしい、夕暮れの保谷に帰った。
* 空腹を満たさず、食べ物より先に酒を胃袋のない腹に入れると、無垢の酒が生のまま直ぐ十二指腸・小腸で潤沢に吸収され、酔いが早くて濃い。これは気を付けていないと、全身の違和をもたらす。朝午晩の三食という食習慣をはなれ。すこしずつを何度にもよく噛みこなし食べていた方が、酒を楽しむのにも良い。細い腸のためにもいいようだ。
* 三千盛の超特 純米大吟醸を気持ちよく飲み干した。
2016 12/26 181
* 起床8:45 血圧<135-60(70)> 血糖値85 体重64.7kg
* 寒さに、血圧や血糖値の計測計が働いてくれない。電池を取り出し掌で揉んで温めてやっと血糖値は計れたが、血圧は乾電池をゴシゴシ揉んでも今朝は働いてく れなかった。真冬には例年のことであるが。大古のコンピュータも温まらないと起動してくれない、少なくも十分ほど毎朝かけている。そんなものと諦めてユッ クリ付き合っている。待ち待ち読める小事典や箴言集や詞華集も手の先にいつも備えてある。
2016 12/27 181
* 午前、大雨っぽく屋根うつ雨を聴き続けている。雪でなくてよかった、昨日の降りでなくてよかった。こんな雨の中を病院通いでは気が晴れなかったろう。
* たいへんなものを家の中で見失っていたことに、必要もあって、気づき、一日家中の捜索に奔命、四苦八苦した。幸い見つかったが、真実疲れた。やれやれ。
2016 12/27 181
* 大事な大事な、失くせばえらいことになるものが見つからなくて、肝が冷えた。見つかって、ホッと。思わず酒を呷った。バカみたい。
2016 12/27 181
* 起床8:45 血圧<135-60(70)> 血糖値80 体重65.4kg
2016 12/28 181
* こころもち、のんびりしている。明日、選集十七巻の製作費支払いを済ませて、今年は、上がりになる。
* さきほど地震が揺った。無事でありますよう。
2016 12/28 181
* 起床9:00 血圧<135-60(70)> 血糖値94 体重65.5kg
2016 12/29 181
* 疲れが溜まってか、晴れ晴れとせず、ひき沈んだ不快感を払いきれない。着のみ着のままでいいフラーっと独り旅に出たい気さえする。しかし仕事は投げ出 せない。日々、余命と残年を擦り減らしている。心がやせ細って行くようで、情けないが、来る新年になにも期待していない。仕事の他に、楽しいという時間が まるで見えなくなっている。
老鬱かな。
沙翁の毒の凄い戯曲より、いっそ若い日々の憧れへ帰って、谷崎全集を読み直そうか。それには眼が弱りすぎている。
いっそ画面の大きい映画を映画館へ見にいこうか。テレビには飽き飽きしている、ニュースも不快、ドラマも映画もサッパリ面白くない、テレビ画面では人の顔もキッパリ見えないのだから。
2016 12/29 181
* 起床9:00 血圧<135-60(70)> 血糖値88 体重66.0kg
2016 12/30 181
* 起床9:00 血圧<135-60(70)> 血糖値88 体重65.8kg
* 美味い鴨鍋蕎麦で大歳を午に迎え、晩に送ろうと思っている。
2016 12/31 181
* 最良のフィクション「ホビット」を宵からとびとびに見ていて、いましがた見おえてきた。
もう、新年になった。静かに安らかに迎えた。
2016 12/31 181