ぜんぶ秦恒平文学の話

身体のこと 2018年

賀正  咳ひとつして元旦を迎へけり

* 起床9:00 血圧計測できず 血糖値90 体重67.5kg
2018 1/1 194

* 酒は呑んだが、食欲はうすく、いい肉を持参してくれていたが、元日から、牛肉を惜しみなく食いに喰う元気はわたしには無かった。
2018 1/1 194

* 十一時になる。建日子らが帰ったあと、ずうっと「からだ言葉の日本」について思案を重ね続けていた。腹部に不穏がある、少し飲み過ぎたのかも知れない、食べるべきを食べなくて。
もう機械から離れる。
2018 1/1 194

 

* 起床8:00 血圧計測できず 血糖値101 体重66.6kg

* 建日子 朝来て、屠蘇、雑煮を祝い、父親のクダを聞き流し、いましがた午過ぎ、元気に仕事へ向かう。

* 此の私も 此の機械も 疲れが取れない。機械くん 起動に小一時間もかかった。 2018 1/2 194

* じり、じりと仕事を進めたり煮つめたりしている。仕事中は眼の不調の他は忘れているが、終えると、グダッと腹部の真ん中辺に違和を感じる。
十時半。 機械から離れる。 本日の機械君、かなりのダダッ子で困った。
2018 1/2 194

* 起床8:0沼0 血圧計測できず 血糖値95 体重66.2kg
2018 1/3 194

* 入浴中に寒気がして慌てた。しっかり漬かりながら校正していた。湯も熱かったはずだが。汗を出している内に急いで出て、しっかり厚着し、うまい酒の一 升瓶をあけて気に入り唐津のぐい飲みで一合余を飲み干した。選集今回の校正は、われながら面白くて楽しい。
「茶ノ道廃ルベシ」は、「花と風」「手さぐり日本」「女文化の終焉」などと並んでとびきり若書き一冊だ が、おそらく現代茶道に論及してこれほど的確に批評し切れたどんな類著も無いとわたしは確であると共に、「日本史に学ぶ」「洛東巷談」らとも共に、まさしく「秦 恒平の思想書(エッセイ)」の中核に成っている。他に類のない論攷かつ提言と成っている。そう信じている。
「茶ノ道廃るべし」はむかし北洋社から出版して版を重ね、講談社版に転じても詠まれたが、二度とも、 かなりきつい茶の湯業界の締め付けが来た。ついには版を絶たれてしまった、が、それでもよく廣く今にも記憶され、愛読しまた刺激された読者が多かった。今度「選集」の一部に入るけれども、単独で再刊されても、「ちくま少年図書館」もそうだが、毫も 古びないまま新鮮な訴求力を示せると思うのだが。
2018 1/3 194

* 起床8:00 血圧計測できず 血糖値106 体重66.7kg
2018 1/4 194

* 「卒寿とはこんなものかと首かしげ」と川柳のつもりらしく、妻はおもしろいと謂い、よたしは言下に否認した。「こんなものか」と「首かしげ」とはおな じ意味の重複である。短詩型がこんな鈍いこと経をやっていては困る。ただしわたしは「卆壽」にまだほど遠く、「こんなもの」も「どんなもの」も判らない。

* 「三軆千字文」を手にとってぱらぱら見ていて「知過必改 得能莫忘」(であろう)対句を見つけた。「知過ぐれば必ず新ため 能を得れば忘る莫れ」とでも読むのか。米寿過ぎて「知」は目減りの一方、新たな「能」はとても覚えられない。と謂いつつ、「からだ」の正字に「軆」と「體」のあるのを今知った。使い分ける機会も有るまいが。 わたし、今、煙草吸わない一服中です。

* へんに寒む気を感じる、ときどき。熱があるのか、気もつかず腕まくりしたりしている。
2018 1/4 194

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値96 体重67.7kg
2018  1/5 194

* 起床9:20 血圧計測できず 血糖値97 体重67.7kg

* 死んでいる兄恒彦が賑やかに人を何人も連れて家に来ている夢を見た。それからわたしを電車に乗せ、どこかへ連れて行ったが気がつくと誰もいなかった。電車も無く、家にどうやって帰ればいいのか判らなかった。
2018 1/6 194

* 階下へ降りると、背から震えてくる寒さが、悪寒に変わりそうでいけない。機械へやの暖房はしっかり効いている。しかし、目はもういけない。
2018 1/6 194

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値97 体重67.7kg

* 七草の粥を祝う。

* 機械の前でむ、スーっと寝入ってしまう。時間的には十分寝たのに。幸い、今は仕事に追っかけられていない。風邪をこじらさず、無事に歌舞伎座が楽しめ れば、ゆっくり選集二十四巻の納品を待ち待ち「湖の本」138発送の用意をする。仕掛かりの少なくも二つの小説、一つを仕上げたい。
いけない。寝入ってしまう。機械を離れる。

* すこし寝て、夕食後、機械に向きあい続けていた。九時過ぎ。目はもう限界を超えている。
2018 1/7 194

* 起床9:00 血圧計測できず 血糖値92 体重67.1kg
2018 1/8 194

 

* 体調すぐれず、午後、二度も寝入った。
三度の食事が、億劫と謂うより、苦痛なほど。何も食べたくないのは困る。妻も困る、わたしも困る。食べていないのに、深いところから胸が灼けてくる。水分を摂るしかない。
「楽此不疲」 仕事には打ち込める、のに、視力がみるみる欠けて行くと、前へ出られない。

* 台所で、「千載秀歌」を克明に二度目の初校。千載集は勅撰和歌集だが、そ こから秀歌を選び抜いて補注と感慨を加えるのは茂吉の『万葉秀歌』と同じく、私の気の入った仕事、仕上げたのが平成十二年正月人日(七日)、聖路加の人間 ドックで胃癌と診断されて二日後であった。その正月七日晩の写真が撮れていた。体重87キロ近かった。六年過ぎ、この間、一度も新幹線に乗っていない。今 朝の体重は、67キロ。
2018 1/8 194

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値103 体重67.1kg

* 何ほどのこともせず 二時に。寝たり読んだり。
宇治の「手習」 小野の里に身隠れた浮舟は髪を落としたが。やがて薫大将の知るところとなるだろう。
源氏の「賢木」 父桐壺院は亡くなり、光源氏は六条御息所歩を伊勢へ、朝顔を斎院へうしない、尚侍とし朱雀帝後宮の人とも成った朧月夜との仲は、甚だ危うい。源氏には義母藤壺との間に生まれた東宮の後ろ見という命懸けの大役があり、愛妻紫上は日々に優れて成長している。
2018 1/9 194

* 三時半 妻の定期の受診。会計して処方薬が出て、五時半もすぎよう。帰路は細く寒く暗い。出迎えに行くことになる。温かくして出かける。かぜ気味は、おさまらないが。
病院では校正という仕事が捗る、これが利点。今日も、いいキリまで読めた。
二人で、わたしは自転車を牽いて、帰ってきた。
妻の主治医の父上がわたしより四五歳上で全く同じく、同じ頃に胃全摘されたという。そして食事等へのいわば容態もそっくりだと。
今晩は、わたしの註文で、肉の残りを使ってカレーにしてもらい、炊いたご飯で食べたのが、予期以上に食べられた。マシな食事ができた。カレーという肉の 味が、すき焼き風にはげんなりしていたのに、打って変わった。白い米の飯は食べにくいのに、カレールーにまぶされて、口の中でのパサパサ、パラパラ感がな くて、喉へ柔らかに流れてくれたのが成功した。
2018 1/9 194

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値97 体重67.4kg

* 午前の十一時頃、心臓を揉まれような痛みが来て、急いで妻のニトロをもらって解消、しかしその直後に凄い苦みと嘔吐感に襲われ手洗いへ。嘔吐はくり返した が吐物はなく、唾液様粘性の水分ばかりを数度吐いた。血圧は102と低かったが、血糖値も小食とはいえ朝食後としては100に届かず、低いというしかな い。いま、機械に向いていて、頸の両脇に凝りが感じられ、両肩が硬く重い。
熱発は、ないと感じている。
ま、おさまっているので、気にしないことに。

* 一日、仕事は続けていた、七時すぎた。もう機械を止めて、すこしボーケンの気味ではあるが入浴し、湯冷めせぬように床に早く就きたい。
2018 1/10 194

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値97 体重67.4kg
2018 1/11 194

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値114 体重66.8kg

* 「選集第二十四巻」の送り出し用意を完了。
昨日、「湖の本138」のあとがき念校が届いていた。責了で送り返せば二月一日には本が出来る。
今朝は「選集第二十六巻」の零校が大冊で出揃って来た。「選集第二十五巻」は、もう一両日で初校が戻せる。
平成三十年が確実に始動して行く。何としても目も弱く疲れやすく知らぬ間につっ伏して寝入っていたりするが、それもよし、やすみやすみ息長く仕事を楽しみつづけたい。
もうよほど前、わたしたち夫婦が元気な内に染五郎(先代、新幸四郎)クンの「弁慶」が観たいものと、お母さん=幸四郎の奥さん(新白鸚夫人)と9Hロ ビーで立ち話を楽しんだが、その願いは幸いもうとうに叶っている。今度もまた新染五郎クンの「弁慶、観たいですね」と昨日も笑い合ったが、そのためには少 なくも卆壽いや白壽まで頑張らねば叶うまい。
ま、春長、気長に、気を付けてくらすこと。気を病めば清新を喪う。清新を喪えば世界はうす暗くなる。たださえくらい世の中、自身内心の世界は快活でありたい。
2018 1/12 194

* 起床10:00 血圧計測できず 血糖値102 体重66.4kg
2018 1/13 194

* 外へめったに出ないので厳しい寒さも、知らずにいる。烈しいと謂えるほどの喉の渇き、胸の灼けに悩んだりしているが、水分や青汁や野菜ジュースで対抗 しながら、仕事している。だんだんに選集は収束へ向かって行く。長編の新作は、一つは「脱稿」と呼べる少し前まで来ているが、売り物にはとうてい危ない作 なので、先行きが見えない。。
もう一つは、せめて瀬戸内海の景色を実の眼で瞥見なりしたいと願うのだが。小さく収束してしまうかどうか。ま、粘ろう。
2018 1/13 194

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値99 体重67.1kg

* 機械が順調に温まってくれないと、容易に操作できない。やれやれ。辛抱辛抱。発送作業の用意が順調に行けば行くほど、気も体もラクになる。
三種の挨拶を書いて人数分を印刷し、独りずつらカットして置かねばならない。今、印刷を終えた。この作業と、カッターで切り分ける作業がしんどい。
ついで郵袋を註文し、届いたらすぐ、各種のハンコを捺して置かねばならず、数があって相当な労力を要する。
その間に宛名印刷の可能な先を印刷しておき、郵袋に慎重に貼っておかねばならない。
数量があり、総じては嵩も張り、それねいろいろに分類しておかねばならず、芯が疲れる。
以前はすべて手書きの挨拶をしていたが、今は手も痺れて字が書けず、失礼している。
十九日には選集第二十四巻が出来てきて送り出し、追いかけて、二月一日予定の湖の本138発送開始へ用意を遂げておかねば成らず、むろんその間にも、進行中の校正往来や原稿用意は欠かせない。
常は無いことに今回は二月半ばへの二十枚原稿の依頼を受けてしまっていて、この依頼がかなり重たい。
こういう全部を、二月半ばの歌舞伎座、高麗屋襲名興行二月の芝居までにみな仕遂げておかねばならない。 終えれば、すぐさまに「選集第二十五巻」の納品が迫ってくるだろう。

* 先へ先へ すこしも足踏みなどしておれないのが、むしろ今のわたしの健康法になっている、とも謂える。ま、やれる限りやって行くだけ、出来れば歌舞伎なみの楽しい何かと出くわしたいが。
そういえば、建日子がちかぢかに作・演出の芝居「らん」を三度目、公演するとか。「らん」はよく書けている芝居で、前進座劇場でも俳優座劇場でも見応えがした。また、どれほどに手直しが利いたか、観に行くことになっている。
2018 1/14 194

* 起床8:20 血圧計測できず 血糖値98 体重66.7kg
2018 1/15 194

* 湖の本138発送の用意、明日にも註文の郵袋が必要分届けば、一気に進む。他の仕事もはかどる。穏和な春長を迎えたい。今年に入って 二回 妻のニトロ(緊急心臓薬)をもらう痛みを感じてきた。姿勢が悪いのか、血管がステント補強を要求し始めているのか。

* 今日は、歯医者へ。

* 帰り、新江古田のフレンチ「リオン」の開店前へ入れて貰い、美味い夕食と、ワイン・デザート。前菜もスープも、鴨肉も牛のヒレ肉も、上乗。コーヒーも たっぷり。もうこの店とも久しくて、シェフともすっかり親しい。店と親しければ親しいほど料理は旨くなる。ペンクラブなどへすっかり出なくなったので店は 少なくなったが、今でもあちこちに心やすい店がある。寛いで、飲み食いできるのが有り難く、そういう店へは妻と行くか、独りで行く。
2018 1/15 194

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値98 体重66.7kg
2018 1/16 194

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値98 体重66.9kg
2018 1/17 194

* 選集第二十七巻を、表紙、口絵、總扉、奥付を除いて全部入稿した。
わたしの、小説を含めて自発的と心している仕事は、「死なれて死なせて」「身内 島の思想」「花と風」「平安女文化」「中世論」「谷崎論」「藝能 茶の 湯・能」「古典と和歌」「ことば、京言葉、からだ言葉 こころ言葉」「差別批判」そして「京都論」という風になる。もうかなりの範囲を選定し収録した。予 定ではあと六巻。大量の文章がとり残されるだろうが、創作、詩歌・美術、講演・対談等、各般随筆選、年譜年表などまで、ハテ、手がうまく廻るか。執筆年表 がとてもわたしの手で纏まりそうにないが、記録は、九分半まで出来ている。
わたしの後半生の文学活動が一貫して電子メディアの利用によって捗ってきたことも忘れがたい。
健康と体力への不安がいつも忍び寄ってくる。今生を楽しみたい希望も失せ果ててはいないが、時間が足りそうにない。選集のためにはあとどうしても二年は 取り組まねば。湖の本の材料は、まだ二十巻分はラクに編めるが、からだとアタマとが追いつくか。脳のほころびはじりじり拡がっていると実感している。

* 機械の前で、疲れてか、いい酒に酔うてか、とろとろと寝ていた。

* 「湖の本138」の納品が二月九日となった。これで、二月上旬のからだは、よほどラクになる。ありがたい。
2018 1/17 194

* 寒けして、洟と咳と、くしゃみ。なんとなく不調。
明晩、新宿での夜の建日子作・演出劇「らん」を観にゆくのはヤメにして建日子に通知した。ザワザッと背から寒い。
愉快でない鬱陶しい心身の日々が続いている。明日一日はゆっくりやすむ。とかく胸に軽いが深い痛みが揺れる。妻のニトロをもらうことが、ゆるやかな間隔ながら、断続している。
2018 1/17 194

* 起床9:15 血圧計測できず 血糖値94 体重67.2kg

* けっこう厚着しているが、暖房器二つの部屋でもゾワゾワッと寒気がする。この数日、夜中の胸焼けは無いが、かなりしつこく咳き込んでいる。
小さい頃から寒がりの風邪ひき腹いたであった。学校の成績以外では親にずいぶん心配を掛けて大きくなった。結局秋ぐちに病みついて、大学受験という体験ができず、簡単に同志社大へ推薦されて済んだ。心残りはあったけれど、受験勉強以外のいろんな勉強が出来た。
東京へ出て結婚し就職して何十年もわたしはほとんど医者に掛からなかった、医者や看護婦とは「仕事」で山ほど付き合っていた。随分丈夫になったんだと思っていたが、六年前に胃癌が見つかった。以来、何度も入院してきた。やれやれ。

* とにかくも、明日の納本を受け取れるようには用意し終えた。あとは、従来どおりに成るように成らせるだけ。思わず目を閉じているほど疲れているが、自然に老いているだけと。
わたしより少し年長だが医学書院同期入社で、早く退社し、のちに明治学院大の名誉教授になった粂川光彦さんから手紙が来た。同じ職場の朗らかな先輩女性 と結婚した、その奥さんが体調をわたしのと似た病状から弱られていると。昔の朗らかが影もないと聞くと、わたしも哀しくなる。平安を願う、心から。
2018 1/18 194

* かすかに汗が冷える感じ、熱が出ているのか。九時半。もう、機械の部屋は出よう。階下へ降りよう。ぐっすり眠りたい。
2018 1/18 194

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値96 体重67.0kg
2018 1/19 194

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値96 体重66.8kg

* 選集第二十四巻 送り出し終えた。へんに、ヘタッと疲れている。
2018 1/20 194

* 起床8:45 血圧計測できず 血糖値102 体重66.1kg

* それにしても、わたしの過去八十余年にまったく記憶もなく想像も成らない、しかもそれ自体として平仄のあった普通の場面や経過の「夢」を、どうしてこうも 毎夜のように観るのだろう。ゆうべは、沿線各駅のホームに設えられた工夫の面白い掲示板を夢見ていた。どう絞り出しても現の経験にはかけらも記憶のない場 面場面で。
今夜はどんな夢が現れるかと、半ば以上はもう諦めきっていろんな奇態な奇妙な奇怪な夢のおとづれにビックリしている。妻に聞くと、夢など見ないと云う。夢を見ないで寝た一夜というのが思い当たらない。人間がよほどややこしく出来ているらしい。やれやれ。
2018 1/21 194

* 妻に気の毒なほど、朝も晩も食が進まなくて。飲み物、汁もののほかは、食べたくない、のでは我ながら困惑。それでいて腹が奇妙に張ったり、詰まった感 じがしたりする。どう行儀悪くてもガス抜きの出来たときは、生き返ったような気がする。胃袋が「無い」というのはタイヘンなことなんだと判る。胃袋、大事 にして下さい。
2018 1/21 194

* 起床9:15 血圧計測できず 血糖値98 体重66.2kg

* 雪降り始めたなかを自転車で、郵便局へ。積もってしまうと走りにくい。
用は握らず、先へ渡せと、会社のころから思ってきた。仕事とは「向こうへ片づけること」とも。
それでも手元に用事は溜まる。八十路を歩いて様態は同じ、とは。
2018 1/22 194

* 寒いなと震えて気がついた、暖房していなかった。もう一時。何か昼のものを食べてこなくては。

* 雪、一面。隠れ蓑へ鵯が来て寒そうにふくれている。

* 何ともいえず腹具合がわるく、不快。仕事に立ち向かって不快を忘れるしかなく、目が見えなくなれば居眠りして休む。機械の字は見づらいが、普通の照明で本は読めるのも判ってきている。
2018 1/22 194

* とっときの名酒「赤磐雄町」の最高級一升瓶にとうとう手をつけた、栓を抜いた。なんと…美味い。吉備の人ご夫妻の平安をこころより願いながら酒器をえらんで半合ほども味わった。
2018 1/22 194

* 起床7:30 血圧計測できず 血糖値97 体重66.9kg

* 雪の積んだこと、記憶のうち一番、三十糎を超えているかも。湯を沸かし、スコップを持ち、玄関の内と外、勝手口の内と外の雪をのけて僅かに出入りの余地を つくったが、胸痛み息切れて閉口。木々や家々の積雪の風情は目覚ましいが、風情をはるかに上まわる不自由や危険に真向かっている。妻の歯医者予約は、勘弁 して貰うしかない、滑って転んで、もし骨折でもしたら、これからの老後難渋に真向かわねば済まない。
わたしは、明日は聖路加の眼科。眼鏡トライの検眼と処方箋を希望してあり、出向くつもりでいる。もう雪降らないで欲しい。

* 冷え切っていて、暖房の入った部屋で機械が正常に起動してくれるまで小一時間を我慢強く辛抱。機械に、老境の辛抱を教訓されている。
2018 1/23 194

* 明日も冷えるというが、聖路加まで行く気でいる。凍路で転ばないよう、重々気を付けたい。
入浴しても、湯の中で寒気がする。左胸、腋に近い辺に鈍いかすかな痛みが来る。筋肉痛だと思っているが。
2018 1/23 194

* 風邪をひき添えぬよう、早めに休もう。
2018 1/23 194

* 起床7:00 血圧計測できず 血糖値88 体重66.0kg

* 寒気零下の予報に厳重に着込んで出たが凍った雪の足もと危なく。バス停で延々待てど来ず。人に教えられて午前中はバス走らずと。足もと手危険で駅まで三十分の徒歩は億劫ゆえ、今日の眼科はキャンセルの気で、帰宅。
2018 1/24 194

* 十時頃から機械の前で昏睡したようにめを閉じていた。熱はないが、咳・くしゃみなどと倦怠疲労感が隠れインフルエンザの特徴と。わたしの場合は酩酊という気味も無くはない。やすめという奨めなのだと思うことにして。

*  ル・グゥインが亡くなったと聞いた。少し前からしきりに『ゲド戦記』が懐かしく、冷え切った書庫へ取り出しに行きたかったが。するとマキリップも読みた くなる。文庫本の小さい字が目につらくなっていて、残念だ。
2018 1/24 194

* 起床8:45 血圧計測できず 血糖値105 体重66.8kg
2018 1/25 194

* 雪は、降る雪も積む雪も、たしかに美しい。そのあとが難儀。
つい先頃、新聞に応挙の名品「雪松図」の写真が出ていた。此の作は応挙のと限らず、世界の絵画ともヒケをとらぬ名品と思っている。
松に雪…。書いている長い小説は「雪と松」の物語になる。

* 「平成は穏やかであったか」20枚の原稿を書けと頼まれ、断りそびれた。書き始めねばならない。

* 八時半、京は機械の仕事を長時間続け、もう眼は潰れている。
2018 1/25 194

* 起床10:30 血圧計測できず 血糖値94 体重66.1kg
2018 1/26 194

 

* 目疲れ、余儀なくて。

* それでも、あれこれ。創作にも、選集プランにも。十時。もう機械からは離れる。 2018 1/26 194

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値105 体重66.8kg
2018 1/27 194

* なにもかも煮詰まってきて、収束を急いでいるような気になるのは宜しくない。のほほんと、無遠慮に大手を広げた気分でいたいもの。

* バカな用事で、タクシーを呼び、田無の郵便本局まで往復した。
帰ってきて、栃の心平幕での初優勝相撲に盛んに拍手を送った。よしよし。
日本人でないからと海外からの力士達を露骨に差別しイジメたがる日本人識者達のねじけた空気、ガマンならない。
2018 1/27 194

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値91 体重66.7kg
2018 1/28 194

* 食は進まず、晩も、シュウマイ二個と小鉢の煮キャベツだけで終える。
2018 1/28 194

* 疲れた。
2018 1/28 194

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値113 体重66.5kg
2018 1/29 194

* 思い立って新聞に出ている将棋欄を将棋盤に再現し、その場面から妻と勝負に出た。或る程度まで盤面が展開していないと、初心の者同士が最初からさして やくのはあまりに途方もなくたわいもない。新聞での勝負は、片方がもう投了へ追い込まれるあたりであり、しかしそんな高等なことは分からないので、お互い に相談し合う按配で駒を運んだり持ち駒を打ったりし、ま、少しずつ駒野雨後か使用も教えながら、妻に勝たせた。「おもしろかった」と。
おそらく、このまま続ければ、孰れは妻が強くなりわたしは負かされるだろう。碁では、所詮そうなるには時間が掛かる。私のアタマはとても将棋型には出来ていない。下らないテレビに腹を立てているより。よほど良い楽しみの時間になるかも知れない。

* 頭痛がするほどま視力が濁ってしまい。もう、機械の前は離れたい。また、明日。階下で、肩の凝りをほぐしたい。
2018 1/29 194

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値97 体重66.5kg
2018 1/30 194

* 宵のうちに、寝床に脚を入れて、校正に励み、李恢成氏の「半ジョッパリ」 鏡花の『芍薬の歌』 羽生清さんの『楕円の意匠』 沼正三の『マゾヒストM の遺書』をいずれも興に乗って読んだ。就寝前には源氏物語本文と島津さんの「放談」を読み、マキリップのフゥンタジーと口説音頭とを読むつもり。機械では 潰れて行く眼が、床の脇の照明だと、なんとかモノが読める。

* 歩かないと脚力は弱まる一方になる。畳みに腰を据えてしまうと容易に起てないのは困る。起ち際に前のめりに額から落ちかねない。随分前に国技館の桟敷 から起ち損ねてしたたか額の上を金属の桟敷枠にうちつけたのが、既に脚力の弱りであったのだ。カーンと凄い音がしたそうだ。手当が必要だったが、ま、歩い て帰れた。
明日あたり気が向けば街へと思うけれど、また雪が降るとか。
2018 1/30 194

* 起床7:45 血圧計測できず 血糖値99 体重66.4kg

* 八時、雪の残った道を何度も往復、回収故紙を定めの場へ運び終えた。
北向きの我が家は、塀の前に積んだ雪が容易に消えない。わたしの力でどうスコップを使おうと凍り切っていてビクともしない。自然に溶けるまで待つしかない。大屋根からまだまだ、音起てて凍った雪が落ちてくる。
2018 1/31 194

* 起床9:45 血圧計測できず 血糖値96 体重66.9kg
2018 2/1 195

* 起床8:45 血圧計測できず 血糖値105 体重66.4kg

* この正月、街へ出たのは、十一日の歌舞伎座が一度だけ。他は、妻に付き添って歯医者へ、地元病院へ、一度ずつ出かけた、それだけ。脚が弱ってしまう。今、寝床から起つだけにも短い杖を使っている。
但し、本の荷造り用意や発送で腕力仕事は相当量を問題なく(後ろ腰の痛み止めは一錠服するが)出来ている。謂えでも外でも転ばぬよう気を付けている。
2018 2/2 195

* 夕食後、眠気がさし、床へのいたが寝入る気がしなくて、沢山、校正し、沢山、読書した。床では書けない、が、読める。機械の明かりよりは寝室の電灯の方が眼に少しだけ優しいのである。

*  少しく休養の気分でいるらしい、九日には暫くぶりに湖の本138「美の深窓・美の散歩」が出来てきて、力仕事になる。用意は、めったになく、すでにもう 調っていて、やや休養気分になれている、実は休養どころでなく仕事は混んでいるのだが。ま、いい。なるように成って行くだろう、怪我も病気もしたくない。
2018 2/2 195

* 起床8:45 血圧計測できず 血糖値104 体重66.6kg

* 朝から居眠り落ちるほど。
2018 2/3 195

* 朝から夕方まで、こんなに睡い日も珍しい。素直に寝入ってしまえばいいのだろうに。
2018 2/3 195

* 起床9:45 血圧計測できず 血糖値111 体重66.6kg

* 朝、NHKの将棋解説や対局を観ていたが、アタマが痛くなった。中盤から終盤になるとワケが分からない。
2018 2/4 195

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値128  体重66.0kg

* 朝の血糖値が高めに推移、すこし気になる。

* 落ちつかない。吶喊し突貫したい、まっ暗い高い壁。

*めげてしまわず、期限の迫った原稿を書いたり、しておかねばならん校正その他の仕事をしたり、読み継いでいる七八種の本を、心惹かれながら読み耽ったりしていた。
明日中には久しぶりの引き受け原稿「平成は穏やかであったか」20枚を書き上げる。もう三分の二は初稿出来ているが、ま、慎重に。
2018 2/5 195

* 起床10:15 血圧計測できず 血糖値113  体重66.1kg

* リーゼを服した、よく眠った、妙な夢は見ていたが。六時に手洗いに立ち、も少しと床にもぐって熟睡がやや過ぎたか。ま、眠るもクスリと思うことに。
2018 2/6 195

* おそらく五年にはなるだろう、背の中ほど左ぎわに、色鉛筆の尖ほどで、強烈に痒い箇所がある。わたしには見えない。妻に見せるとたしかに「点」のよう に見えているが、いつ見ても変化はないと。しかし、四六時中ではないが思い出したように痒くなり、とても痒い。ものを使ってごしごし掻くと当分おさまってい るが、無くなりはしない。
二年ほど前に一度腫瘍内科の先生に見せたが、見た目があまりに何でもないためか、あっさりとそのままにされた。
気に掛けている。今度、感染症内科の先生に見てもらおう。手の届かぬところが痒いというの、嬉しくない。

* 一日アレコレしていたが纏まりのない日のまま機械をしまう。
2018 2/6 195

* 起床9:15 血圧計測できず 血糖値112  体重66.7kg

* さ、何ヶ月ぶりかで湖の本138『美の深窓・美の散歩』を明後日から発送する。疲れきらぬようにしたいが。妻は引き続いて歯科医での入れ歯づくりや地元病 院でのまたまた検査が待っていて、月半ばに、高麗屋三代襲名の二月興行。一月につづき昼夜の遠し。この楽しみのあとは、月末まで聖路加通いが二度あるだ け、手元の「仕事」に打ち込めるし、陽気があらたまれば街へも少し遠くへも出かけられそう。
むかし熱海駅を出た目の前の魚屋食堂で、豪快な刺身とともに、大きな伊勢海老一尾をまるまる喰った美味さを思い出す。
東京では、銀座「はちまき岡田」で或る年真冬の鮟鱇鍋が最高だった。
東京駅構内での沼津から店出しの「寿司」も懐かしい。
いまは、たくさん食べられないのがつまらないが。春よ来い。早く来い。

* 夕食を終えて二階へきたが、脈がひどく早い。少しからだを横たえてきた方が良いかも。

☆ 2月は誕生月なのにいやな月です
あなたはお元気そうで何よりです。
私は歩き過ぎたせいか軽い膝関節痛で医者通いです。
マア 散歩は中断していますが、全く歩けないわけでもなく暖かくなればと春を楽しみに待っています
又…     花小金井  泉

* わたしとほぼ同い歳で 日々に萬歩、何千歩とは無理が過ぎると思っていた。歩きすぎていいことは無いとわたしは予防している、が、まるで歩かないのも怠けすぎに相違ない。やれやれ。

* 依頼の原稿は、ほぼ書けたがもう少し書き添えたき有り、明日に。

* 昨日、また依頼原稿有り、ある人の句集を読んで欲しいと。参った。

* ブリンターのテープを買いに、いよいよ街へも有楽町まで行かねばならない。明日行くか、発送を終えてからにするか。
2018 2/7 195

* 起床9:15 血圧計測できず 血糖値106  体重66.9kg
2018 2/8 195

 

* 夕刻に、あだかもバレンタインチョコの風情のモロゾフの一箱を添えて到着の大きな京都周辺地図は、上の希望にバッチリの有り難いものだった。地図に書 き入れの活字の小ささはどうにもならないけれど、洛南の大模様は道路や河や緑地帯ももろともよく察しが利く。感謝、感謝、「華」さん。
さ、何としてもわたしの世界へ跳びこんで行かねば。ああ、それにしても、自在に歩き回れたらなあ。
2018 2/8 195

* 起床8:00 血圧計測できず 血糖値94  体重67.3kg
2018 2/9 195

* 冬季オリンピック開会式の様子を、耳に聴きながら、予定し期待しただけの作業を終えた。疲れました。戴いていた美味い酒を、すこし飲んで。
今夜は、もう本を読んで、休む。

* なんと、明日から三連休と。よく有るなあ、連休が。わたしには無縁だが。
2018 2/9 195

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値106  体重67.0kg
2018 2/10 195

* 夕方五時。へとへと。午前中に出来ると思っていた分量のかなりが残って、作業、まるで予定に達しない、こういうことは初めて。ぐたっと疲れた。昨夜のヘボな長将棋の疲れか。もう、すべて明日、明日以降にまわす。今日はもう休息する。
2018 2/10 195

* 食事のあと、晩、もう少しだからと再開した送り作業も、三分の一ほどで疲労に音をあげた。こういうことは初めて。残るすべてを、明日以降へ持ち越した。寅さん映画を観ていたが。

* 九時半過ぎ。寝床へ逃げ込む。
2018 2/10 195

* 起床9:30 血圧計測できず 血糖値96  体重66.3kg

* 午前中に、発送を終えた。そのあと、昼食後もとろとろしていた。うしろ頸筋疲れたくから両肩が痛んでいる。ぼろぼろの歯を、つい噛みしめて暮 らしているので、歯の根はいつも痛い。おデコあたりがうずうずとせり出しそうに疼いているが、みなみな勝手にせいと、放っておく。
何がしたいか、と云えば…寝入りたい。去年の今頃 こう歌っていた。

尿が出て便出て喰へて目が見えて
読み書きできて睡れればよし 疲れたくなし
余念なく眠ってをればよいものを
なぜ起きてくる 死にたくないのか
2018 2/11 195

* 一部の郵便局から送り出し分をまぞいて、発送作業を終えた。今回は、なぜともなく疲れた。隠れインフルエンザ気味が抜けないのか。
2018 2/11 195

* 九時過ぎた。もう二階から降りる。今週は、歌舞伎座へ行ける。そのあと、しばらく気の楽な日々がつづく。
2018 2/11 195

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値105  体重67.2kg
2018 2/12 195

* 十本の手指の尖端(さき)が抗癌剤このかた痺れ切ってて、 なにより困るのが密着した紙や頁がめくりにくい。小さなボタンのはめはずしがうまくできない。ちいさな丸薬や、とにかく持ったつもりのモノを取り落とす。 後遺症の最たるモノがこれなら、この程度と感謝していいが、やはり一番答えたのは視力の不安定と歯の脆さだった。
物忘れのたぐいは年齢相応とおもうことにしている。幸い「読み」に不安はない。「書く」方で、校正などしていて、ときどき、何でこんなと呆れる尋常な漢字が書けずに驚くことがある。

* 昏 倒したように、午後を、七時まで寝入っていた。夢も見なかった。休めるときに休むのは必要なことと、諒としている。政治がらみにズブズブの冬季オリンピッ クに何の興味もなく、競技も観る気がしないが、他にも心惹かれる番組に感嘆に出会えない。仕事の他は結局読書か睡眠。それでよしと。
飲まば飲め 睡くば睡れ 生きの根よ
生(き)のままにあれ 涸れて行くとも
2018 2/12 195

* 起床6:30 血圧計測できず 血糖値102  体重67.7kg
2018 2/13 195

* ガンバッて少し模様替えした。
朝日子は模様替えが好きで、上手だった。
一日、よう働いた。疲れた。
2018 2/13 195

* 起床9:30 血圧計測できず 血糖値107  体重68.1kg

* 手術後最もの体重となり、血糖値も微増の傾向。要注意。

* このところ屋内へ鼠防禦に腐心、昨日で、一応奏功か。今日、テラスの小鳥たちの餌に鼠が来ているのを発見、鼠の拠点を一つずつ排除。よその猫は近寄れなく防備してあるが、鼠は防ぎにくい。知恵比べ。
2018 2/14 195

 

* 起床7:15 計測できず 血糖値  体重kg
2018 2/15 195

* 起床9:30 計測できず 血糖値  体重kg
2018 2/16 195

 

* 起床8:30 計測できず 血糖値102  体重66.9kg
2018 2/17 195

* 起床8:30 計測できず 血糖値100  体重67.6kg

* 入院中の建日子を、妻と見舞いに出向いた、中目黒まで。
まだ小学校の小さい頃に一度、路上車と接触し救急車でさる脳神経外科病院に運ばれて以来の入院生活になる。毎日毎日自転車で見舞いに走ったが、その外科 病院では小児科的治療が適切に出来ず容態がなかなか改善しなかったので、日大小児科に依頼し、講師の先生に出張していただいて治療方針を定めていただきな がら、適切に日大への転院もはからわれて、そして、やがて無事退院できた。馬場一雄教授のご親切を戴けないでいたらと思うだに、難儀なことだった。

* 今度の救急車を頼んでの激痛入院は、S字結腸部の憩室炎と診断され、点滴等で温存療法が採択されていた。憩 室は誰にでもあるもので、憩室炎もよくある病気。悪化して大出血を起こす前にきちんとした医療を受けていれば命にかかわるものではないが、繰り返す病気。 完治には憩室部分の切除しかないのだが、そこまで悪化するには時間もかかり、便秘と下痢の繰り返しなど不愉快な日常になるだろう。いずれ必要となる大腸内 視鏡検査も、検査前に下剤を大量に飲まされたりし、難儀なもの、時間もかかって鬱陶しいものだが、乗りこえておきたい。くれぐれも生活の無理は重ねず、心 してこの病気とじょうずにつきあってほしい。さよう願っている。

* 病気は「神さまの強制終了」という言葉を読んだことがあった。
つくづくわたしも実感しているが、年 を重ねると出来ないことのあるのが分ってくる。それは、しかし、決してマイナスばかりではなく、自分のできること、すべく且つはしたいことを見極めて行く しかない、つまりはそういう機会にさしかかるのであり、「制約の中から選択して集中する、ほんものの自分の仕事をする」自由を賢くかちとることでもある。
*  人生五十へまさしくさしかかった秦建日子も、「何かしら」を「神さま」によって「強制終了しなさい」と示された、そんな「激痛」であったと考えてくれる と嬉しい。マルチな仕事の、それらをみなそれなりに仕遂げてきた「これまで」ではあるが、今度の入院を機に、ま、「神さま」の声も相応に聴くべき時機なの であろう。ただただ「消耗される才能」であってはなるまい、やりたいだけ手を広げて仕事のできる時期は無限でないと、今回の入院はやはり教えているのではと思う。生活を変え、仕事をよく深く思い入れて選び、「棄てて得る」ものの大事さに行き当たって欲しい。
病室の建日子をつくづく見舞いながら、然様に、今も、願っている。

* 中目黒を離れてくる時分、二人とも空腹で体力を消耗しかけ、池袋で下車しめざした「伊勢定」への足どりは二人ともよろけていた。残念ながら、めざした食事もわたしは美味しくなかった。
寒風に吹かれタクシーを待って帰宅したのが四時頃か、わたしはそのまま二時間余も寝入ってしまった。
八時になる、晩飯への食欲もないが、食べないわけに行くまい。
2018 2/18 195

 

* 夫婦して たまたまの外出にすっかり疲れていて、驚いている。これに臆病になって引っ込んでては足腰も心臓も弱ってしまう。出不精こそ病原になってしまう。
2018 2/18 195

* 起床9:15 計測できず 血糖値104  体重67.7kg
2018 2/19 195

* 自転車でちょっと用足しして帰ってきて、胸が重く、横になって鏡花の『芍薬の歌』を読み終えた。奔放自在の構想と行文の妙にいっそ翻弄される愉快を堪 能した。『風流線』の数倍も出来が良い。ただし、いまも謂うた「翻弄される愉快」を楽しめる読みとりの器量が必要な迷走無尽の名作であること。それに堪え うれば早晩また取り出してこの世界へはまりたくなる。

* 寝ころんで分厚い本を読んでいる内、故右手の親指が捩れ始め、両手の多くの指が捩れ始め、脚の指まで奇態に捩れて痛んで往生した。ときどきこれがある。疲れか。
2018 2/19 195

* 起床10:00 血圧計測できず 血糖値104  体重67.5kg

* 仕事しては寝て休み 起きて仕事してはまた寝て休んでいる。一つには眼を休めるためだが、不可解な疲労感は抜けない。嬉しいこと楽しいことがあると、たと えば佳い映像や劇をテレビなどで見つけると心身の晴れを感じる。庭へ来る小鳥たちを見つけてもホッと嬉しい。黒井マゴがいてくれたら、どんなに楽しくここ ろやすまるだろう。国会の映像や総理の顔や声が目に耳にくるとヘドが出そうになる、リクツは謂えない、ただ不快感に掴まれる。ま、こういうことは、お互い 様であろう。
もう二十年も三十年も昔にした対談や鼎談を機械に入れて校正しいると、懐かしく嬉しくなる。今日は、今西祐一郎さんがまだ九大助教授の時代に、教授の中 野三敏さんと三人で、「日本の古典とエロティシズム」を話しあった初出誌を読み直していて、面白かった。とうじわたしは東工大へも出ていた。話題が高潮し てくると、もう一時間も二時間も時間をくれていたらと、話し足りていない、残り惜しい気がしたほど。
あの鼎談が済むとすぐ、わたしと同い年の中野教授は持参の風呂敷からやおら「上出来」の春画帖を披露してくれた。春画は苦手だが、性の話題には「古典」 とも「歴史」とも「日本人」とも意味深く絡み合う機微が豊富で、いままさに書き継いで仕上がろうとしているわたしの『或る寓話』も、あの鼎談の頃にはひそ やかにわたしの身内に孕まれてたのかなと思ったりする。
2018 2/20 195

* 起床9:00 血圧計測できず 血糖値99  体重67.0kg
2018 2/21 195

* 起床9:05 血圧計測できず 血糖値92  体重66.5kg
2018 2/22 195

* 昨夜中、右側頭上部に執拗な痛みがつづき、怖かった。神武ー平成を唱えても問題なく、しかし横臥以降の各種読書が永かったためか知れず無気味に痛み続 いた。二度起き三度起きて痛み止めや「リーゼ」も服したが寝入るのがいいと思い、湯飲みに半分ほどの酒を飲み干して床に就いた。それが成功して寝入り、寝 入ったあとに痛みは消えていた。
脳腫瘍を恐れる気が前からあり、昨夜は無気味に怖かったが、そういう痛み体験が多年の内にまったく無かったワケではない。やはり疲労であったろう。
2018 2/22 195

 

* 歯医者でガリガリやられるときなどに、わたしは「神武・綏靖・…」をやったりして時間を流しているが、このところは、夜寝入れないときなども、「漢熟 語の尻取り」をしている。「流麗・麗質・質実・実行・行動・動機・機構・構想・想定・定型・型式・式目・目測・測量・量刑・刑事・事務」などと。さ、この 「務」が来ると絶句してしまう。熟語が出てこない。ほかにも熟語が思い出せず絶句してしまう漢字が幾つか在る。ま、そこで唸って…寝入ったりする。「務」 で謂える熟語在ったら教えて!

* 紅書房の依頼原稿も、決まりがついた。

* 十時。頭痛に襲われぬうちに、横になりたい。

* 天気の良い日、新幹線で、富士山を観に行きたいなどと思ったりしている。
2018 2/22 195

* 起床9:05 血圧計測できず 血糖値92  体重66.5kg
2018 2/23 195

* 起床9:30 血圧計測できず 血糖値88  体重67.4kg

* 今日は、ことに体調を損じている。根気が傷んで、疲れやすい。さりとて何がいけないという兆候も見えてはいない。要するに腹部の全体が草臥れやすい。空腹が良く、喰うとドロリと疲れる。気にしないでいたいと思う。
2018 2/24 195

* 起床10:10 血圧計測できず 血糖値81  体重67.3kg

* 朝寝の夢に驚いた。
庭木へ鵯が二羽来ていた。二月が過ぎて行く。今週は相次いで聖路加へ通う。
2018 2/25 195

* 一日、原稿を読み、校正をし、酒を飲んで居眠りしていた。家から半歩も外へ出ない日々が続いてたが、明日は三時半というユックリした時間に久々、築地 へ検査を受けに行く。めずらしく夕方へへかかるので、とぼとぼと街歩きしてくるのもいいが、飲み過ぎては危ないので自戒しながら。水曜の昼前にも同じく、 投薬など受けに出かけるので、思い切って青山まで眼鏡の新調にとも。二月の寒さに出渋って、遠くへはヘキエキして帰ってくるかも。

* 九時半だが、もう、機械は仕舞う。
2018 2/25 195

* 起床10:40 血圧計測できず 血糖値計測できず  体重計測できず kg

* 朝寝の夢に驚いた。ややこしく混雑したなかで、和服の腕まくりした井上靖に、なにかしら歌一首をほめられながら、もう一首別にぜひ詠んで見せよと、なんだか叱責様に請求されたり、沢口靖子が現れたり、無気味にくらい森をひとりで歩いていたり。
それにしても寝過ぎたが、寝ていたいいたいと思いながら寝ていた。起きているより寝ている方が良くなったのかな。

* 昼まえの新富町直通で病院へ。家から病院玄関まできっちり一時間半。車中で再校ゲラの通読できたのが三十頁弱。検査のための血液や尿を提出してから、優に三時間ちかく待たされた。

* 血液などの検査結果は至極上出来で心配すべき所見は無いと。やはり歩いて下さいと。たしかに脚は弱っていて、歩いている内に脹ら脛が痛んできたり固く なってきたり。ま、いいやと、吐き捨てるように歩いていた。薬局で処方薬を受け取ったら五時過ぎ、で、電車で有楽町へ。プリンタ用の予備のインクを三つ 買った。いわば朝も昼も食べていないので、日比谷の「なだ万」でけっこうな和食を摂り、あと、五階のクラブへあがって、もう少し今度は洋酒をいつもよりは 少し。コーヒーとうまいアイスクリームとで休息のあと、独りで帰る途中酒にゆらついて怪我したり頭痛がしてはいけないと、日比谷から保谷の家の前まで車に 乗った。
まあまあの午後半日であった。

* 明後日は朝から、また聖路加へ出かける。その為の前検査も無く、今日よりは速やかにこと済みそう、青山で馴染みの眼鏡屋まで出向く元気があるかどうか、です。

* 十時半、もう休む。病院は、待ち時間を利して校正用のゲラがたくさん読めるので、けっこう仕事は捗るのです、眼は疲れるけれども。
2018 2/26 195

* 起床8:40 血圧計測できず 血糖値計測 93  体重計測できず 66.9kg

* 夜中 手洗いに立つつど寝入れなくて。結局、夜中の読書を楽しんだ。沼正三の明晰な「遺書」 島津忠夫の深切明快な「源氏物語放談」 そしてヘドのモルゴン『イルスの竪琴』第一部の深沈たる長旅の底知れぬ不思議と面白さ に嵌っていた。

* 熟語尻取りを数えて「五十」続けるのは容易でなく、絶句を強いられる漢字が伏兵のように隠れている。寝入りたくてする試みではない、頭を使ってしまう。
2018 2/27 195

* 起床7:30 血圧計測できず 血糖値計測 93  体重 66.9kg

* 仕事上のやや困惑気味で浅い眠りになった。
朝食に丸餅二つ食べて、病院へ。今日はあっさりと予約時間には診察終え、わたしの「枕草子」の読みが明快で面白く納得しましたよなどとドクターに言われてきた。
処方薬を薬局で手に入れたとき正午、朝には心地渋っていたが、思い切って外苑前の保谷眼鏡へ出向いた。十年ぶりくらいか。
丁寧に検眼してもらい、やはり今の眼鏡はよほど狂いが出ていて、遠用と機械用とを新調した。出来たらまた受け取りに行くことになる、なんとか視力の負担を軽くしたいが、多年眼鏡の厄介になっていて、万全とは行かない歯がゆさも知っている。なんとか一歩前進でありたい。
保谷眼鏡から表参道まで歩き銀座線で銀座へ戻って、空腹を少し和らげてから一路保谷へ戻ってきた。寒くなくて、めったにない長い独り歩きが出来た。

* 仙台の遠藤恵子さんから昨日はわたしに美しい蒲鉾を二重詰めで頂戴し、今日は妻の快気祝いにとたまげるほど綺麗に大粒の苺をたくさん戴いた。感謝。
2018 2/28 195

* 今日の前立腺の診察でも現状に「問題なく」強いて人間ドックへという「ほどのことは無いでしょう」と。一昨日に次いで二人の主治医に「問題ない」いわれ、心持ち安心した。で、はるばる? 外苑前まで眼鏡新調にとうどう出向く気になった。

*  いま一つ、わたしは、妻もであるが、闘っている相手がある。「ねづみ」たちで、家の中へ侵入し出没している形跡が歴然、ここは危ないといういうところを 根気よく無い知恵を絞ってふさいだが、二階の廊下(靖子ロード)にも階段にもキッチンの上にも土間にも形跡があり、戸棚の中まで攻勢をかけられている。
一つには庭木へ来る鵯や目白を愛するあまり蜜柑などを割ってテラスに置くのを鼠も来訪し、自分の領分へ運んだりしている。子歳の妻はいささか情も寄せて いるらしい、が、わたしは、ま、お引き取り願いたい。しかし、彼らほどチエが走らない。妻は今日もわたしの留守のうちに山ほど蜜柑を買っていた。また猫と 仲よくしたくなってきた。

* 日用していた、あまりいい役には立たなかったが遠用のメガネを眼鏡屋さんへケンズ新調のため置いてきたので、当分、裸眼主体でかなり不自由するが、読み書きは休みたくない。なんとか成るように成るとタカをくくっているが、九時、今晩は機械から離れる。
2018 2/28 195

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値89 体重66.9kg

* わたしのように年がら年じゅう仕事している者には、読み書きの「仕事」は波風のようにどっと押し寄せたりやや引いていてくれたりする。しばらくやや安気に していたが、三月めがけてどっと攻められている。頭の痛い瘤の幾つかも無くはなく、肩や頸筋が凝って痛む。わたしには、これが、生きていると謂うこと。
ああ、自分を甘やかしているなと思うと、ラ・ロシュフコーを読んで頭も顔も張りとばしてもらう。手放せない憎いほどの箴言集であり、おそるべき倶生神である。
2018 3/1 196

* 疲れると、床に脚だけを入れ、そのまま裸眼を見開いて、自分の校正ゲラを読む。機械仕事より目もからだもラク、疲れれば睡入ってしまう。機械の前でいつしれず昏睡状態でいるのは、かえって疲れる。
2018 3/1 196

 

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値108 体重66.9kg

* 妻は歯医者へ。留守のあいだ、眠っていること多く。五体に生気が無い。
妻が帰ってからも同じく。

* ドロリドロンとした一日だったが、建日子が夕食時に来てくれて、一緒に、小津安二郎脚本・監督の、出演中村鴈治郎(先先代)京マチ子、若尾文子、杉村 春子、川口浩主演、その他にも名優たちを總揃えという旅の一座映画「浮草」を観て、感嘆また感嘆り嬉しい時間を過ごせた。このまえ、あれは妻の入院中で あったか、建日子と二人でみた山本富士子・芥川比呂志主演の「濹東綺譚」も優秀だったが、それに比してなお断然今夜見せた「浮草」は見応え満々の名品で あった、建日子も大いに乗っていた。
建日子との時間の過ごし方では、こういうのが最も有り難い。彼も、戯曲の作・演出のほか映画のシナリオを書き、製作・監督をしているのだから、観るのが いい映画であればあるほど「共感」の度も深くなる。ぜひともの用談で無いかぎり、詰まらぬ世間話をしているより「創造的な時間」を分かち持ちやすくてかつ 楽しい。佳い映画、佳い俳優達であればあるほど身に沁みて楽しめる。
ぐたっとしていたのが、生き生きと持ち直した。幸いだった。建日子も、気分良くまた街へ帰っていった。
2018 3/2 196

* 少し回復した元気のまま、「洛中洛外屏風」をめぐる岡見先生がたとの座談会を、面白く読み進んでいた。ま、もう休もうと思う、機械からは。不安定なダメ眼鏡と裸眼とでの仕事、これは疲労と言うよりも、宜しくない。一週間はガマン、ガマン。
2018 3/2 196

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値90 体重67.7kg
2018 3/3 196

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値88 体重67.0kg

* 目の霞み・疲れ、そして衝き上げてくる胸焼けと疲労感、眠たさ。それでも根気よく仕事している。予想通りに現下 幾重にも仕事に巻き締められて、苦 痛。しかし、こういうときこそ吶喊しかなく、突貫すればラクになる。そんなことを、会社勤めと二足草鞋の昔から数えれば、半世紀以上も続けてきた。ヒマな 時など一度も無かった。
2018 3/4 196

* 結局、晩もやすみなく、もう十時半をまわるまで、あれこれと。亡き杉本秀太郎との「洛中洛外」対談の行方を楽しみながら、字のうすくうすくなっている 初出のコピーで読み校正を続けていたが、この一本で一週間かかってしまうかも。もう目は、つぶれたような感じ、強い照明でキーを探し探し機械を使ってい た。

* もう、やめ。
2018 3/4 196

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値88 体重67.0kg

* 朝十時半 目、ジンジンし、睡いの類似感でつい瞑目している。

* 心地、目の前、このノートパソコンの向こう壁際を模様替えしてみた。とにもすくにも、仕事する。
2018 3/5 196

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値93 体重66.6kg
2018 3/6 196

* 紅書房の依頼原稿も、雑誌「MYB」の依頼原稿も校了した。「選集26」の再校ゲラが届くそうだ。こりゃ、堪らん。返す返すの津浪に遭っているようだが、仕事が前進全開しているということ。踏み堪えて処置して行く。
明日には「選集25」を全紙責了で送り返す。追いかけて「湖の本139」の初校を戻し「湖の本140」の入稿を射程に入れる。

* 夕食がうまく入らなくて、食後ガックリ疲労のまま暫く寝入って、また仕事を追いながら、十時半になった。もう階下で休みたい。
明日は新調の眼鏡を、遠用と「機械」用、受け取りにまた外苑前まで出かける。
2018 3/6 196

* からだは疲労との分のわるい相撲が続くが、ここちの方はまだマグマを抱いている。
時には、人の肉声とも触れて話しあいたいが。病院・医療かんけいの他、めったに人との会話が無いのは不健康。  十一時に近づいた。やす香、ネコ・ノコ・黒いマゴたち、靖子も、おやすみ。
2018 3/6 196

* 起床8:50 血圧計測できず 血糖値103 体重67.0kg
2018 3/7 196

* 心持ち寒く町並みに風もあったが、外苑前で遠用と近用との眼鏡受け取り、妻と、ぶらりぶらり神宮前の「南国酒家」まで歩いて、瓶出しの紹興酒で軽食と謂うにはやや品数のある中華料理をゆっくり食してきた。
間隔を置いては何度も来ているなじみの店で、ボックス席に案内されると寛げる。久しぶりの瓶出しが美味く、二合も呑んだか知れない。
副都心線の神宮前駅から西武線へ直通の電車で、二人とも二、三人から親切に席を譲ってもらえて、ラクに帰って来れた。
2018 3/7 196

* 起床9:45 血圧計測できず 血糖値78 体重67.2kg
2018 3/8 196

* 眼鏡は明らかに改善されたが、眼の疲れることは仕方ないこと。目を使わない、たとえば閉じるのが良い。眼蔽いか、たんに掌で視界をさえぎったまま神武 から平成まで唱えてから視野を開放すると明瞭に目が見える。遺憾ながらそう永くはもたない。で、酒を口に含み、そして居眠りする。眠ればこれも確実に視野 をクリアにする効果がある。
そういう繰り返しの中でたくさん読み、書き、仕事をする。そんな毎日です。
「神武」から「平成」への諳誦がいいのは、やはり歴史の推移が目の奥の闇に行列のように見えること。小さいころからの「歴史」好きが骨身に沁みているよう。
2018 3/8 196

* 起床9:00 血圧計測できず 血糖値94 体重66.7kg
2018 3/9 196

* 起床9:30 血圧計測できず 血糖値98 体重67.0kg
2018 3/10 196

* 目も痛み歯も痛みロクなことはないが、なるようになると。ここまで書いてそのまま眠りこけていた。はや午後三時。ウヘッ。
2018 3/10 196

* いつのまにか、結局裸眼になって仕事していた。眼鏡がではなく、わたしの目玉が不十分なのだと諦めの心境になってきた。
2018 3/10 196

* 起床9:15 血圧計測できず 血糖値91 体重67.2kg 晩の入浴後66.5kg 着衣68.1kg 2018 3/11 196

* 明日から、「選集第二十五巻」の送り出し、用意に取り組む。もう十時過ぎた、眼をやすめよう。
2018 3/11 196

 

* 起床8:00 血圧計測できず 血糖値102 体重66.4kg
2018 3/12 196

* 妻の歯医者へ、帰りにマオタイが飲みたいだけで同行し、わたしは治療を辞退して、中華家族へ寄ってきた。ダブルで二杯ほどの大きなグラスに満々と出て 来た。マオタイを飲ませてくれる店はめったに無い。美味かった。帰りの電車、江古田から保谷まで、よく寝た。好天。気持ちよかった。それでも疲労はした。
2018 3/12 196

* 花粉にまたやられ掛けているのかも。はげしい嚔としつこい洟に悩まされている。からだもダルい。
「選集 25巻」を送る挨拶文をすこし気負って書いた。自分の歳を忘れる、少年とはあえて謂うまい、自身の身内に不熟な「こども」がいつまでもいつまでも残っている。放っておく。

* 十一時、階下へ降りる。
2018 3/12 196

* 起床8:30 血圧計測できず 血糖値80 体重66.6kg
2018 3/13 196

* 起床9:05 血圧計測できず 血糖値88 体重66.8kg
2018 3/14 196

* 清酒「能登誉」と「粒雲丹」とで、結婚届五十九年の乾杯。
2018 3/14 196

* 「湖の本」140の編成をほぼ確認した。調整しての入稿はもう遠くない。141の心づもりも出来ている。
「選集」はここ当分、校正していれば済む。第二十五巻送り出しまであと二週間あり、楽に進むだろう。
それにしても、このひどい霞み眼はどうだ。なにもかも手探りでしている。大きなテレビ画面ですら近寄らないと観てられない。
けれど、本は読みたい。
2018 3/14 196

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値88 体重66.6kg

* のどを灼くエズい苦みに突きたてられ目ざめた。何でかな。
2018 3/15 196

* 京も着実に仕事は前へ運ばれた。さ、十一時半、寝床へ入って読書を楽しみ、リーゼにたすけられてシッカリ眠る。明日も家で仕事が出来る。
2018 3/15 196

* 起床9:00 血圧計測できず 血糖値92 体重66.3kg

* 夜中数度も胸焼けで目ざめた。水分を摂り青汁をのみファモチジンも服して凌いだ。何でかな。
2018 3/16 196

* やはり 花粉かなあ。
もう十数年になるか、せっかく上野の博物館へ行ったのに、あまりの花粉に堪えきれず泣きの涙で帰ったことがある。最悪だった。あんなでは、無い。上野へ も久しく出かけない。西洋美術館、東洋館、博物館本館。 そういえば鶯谷駅前の懐かしい蕎麦屋「公望莊」が潰されていたなあ、建て直しなら良いのだが。柳 町の「香美屋」へも、もう、六、七年も行ってない。ふらっと行ってくるか。
2018 3/16 196

* 起床9:00 血圧計測できず 血糖値104 体重65.9kg
2018 3/17 196

* 夜中、ポキっと目ざめてしまっても、そのまま目ざめていたくない。で、闇の中でいろんなことを試みるが、概してアタマを使ってしまうので寝入る効果に は遠い。二字の漢熟語尻取りで「五十語」無事に続けるのは存外難しく、そうそう成功しない。まるで地雷を踏むように、いろんな漢字がその先を阻む。「務」 「者」を踏むと最期で、爆砕。他にも、在る。けっこう面白いので、よけい寝入れない。

* 確認しているわけでないが、光源氏や頭中将らインテリ貴族らは半ば遊び半ば勝負のように、どうやら詩の「韻字」を探り合っている気がする。面白そう。
「偏」字や「冠」をあげて、「木偏」の字「草冠」の字などと拾い上げて行くのも面白い。幾らでも挙げられそうで、なかなか三十字に達するのが難しい、だから面白いが、ますます寝られない。
ただ「闇」に沈むようにし何も考えないのがいいようだが、これ、けっこう難しい。

* 周辺の仕事はいくらでも出来る。本丸へ攻め込みたいが。とても、しんどい。
2018 3/17 196

* この歳になり、こう旺盛に読書へ惹き引き込まれていては寿命に響きそう。だが、現代の同世代作家達の心境小説や日常小説には乗って行けなくて困ってい る。それにもいい文章で書かれたのと粗雑なのとがあり、後者にはとても馴染めない。推敲の利いていない小説には「文藝」の妙を覚えようがない。阿部昭、丸 山健二の文章には惹かれ、清岡卓行の粗雑には呆れ、金石範の叩くような文章にはそれなりに耳をとめた、が、小説の面白さに酔うというわけには、いかない。

* 十本の手指のよく使う左右三本ともが痺れきっている。まともに字も書けない。

* 機械の前へ来ても、なにひとつせず寝入っていたりする。椅子に掛けた尻が痛んで目が覚め、ていたらくに驚く。

* 横になって寝たいと思うと、寝ずに校正したり読書したり。やめて起きあがろうとすると、どっと疲れている。情けない。

* なぜか、目のせいか、食がすすまぬからか、体調ヘトヘト、まだ九時だが。
秦の母は、家でいちばんひ弱い方の人だったがいちばん長命で九十六歳まで生きた。もう十四年頑張らないと追いつけない。うーーん。
2018 3/17 196

* 起床9:00 血圧計測できず 血糖値104 体重65.6kg
2018 3/18 196

* それにしても、なんで、こう、とてつもない異様にケッタイな夢を毎晩みるのだろう。
2018 3/18 196

* 八十という歳、珍しくはなくなっているが、五体健全とはなかなか胸をはれない。
これで、わたしは今も、自転車に乗れば颯爽、ハンドルも軽快。往復の半時間ぐらいならラクなもの。幸いと謂うべく。むしろ家の中で眼を酷使していると疲れる疲れる。しかし眼を閉じていてはわたしの仕事も楽しみも、ままならない。
ときどきは仕事を持たずに、電車を遠乗りしてこれると気が晴れるのかも。

* とか云い云いやはり仕事をすすめ、失せモノ探索かたがた機械・身辺の雑多を大まかにも片づけ、狭い限りのなかへ小さな儡地をつくってはかれる限りの整 頓を。それでも、この部屋には上等な、いい寝台にもなるソファの上はまだ雑多・雑然。失せものはまだ見つからない。今晩は、もう休む。暖房が効いて、汗ば みそう、猛然と嚔は続発やまず。
2018 3/18 196

* 起床9:30 血圧計測できず 血糖値104 体重65.6kg
2018 3/19 196

* 停滞  いちばんの敵。 適切な休憩は親切な友である。
2018 3/19 196

* 気はすすまないが、約束なので夕方 歯医者へ。雨が来るらしい。
2018 3/19 196

* 歯医者へ。街へも出ず保谷へ帰って、和加奈鮨へ寄った。家まで歩いて帰るのがつらかった。酷く肩が凝っている。家に帰ってから今まで、何をしていたのか分からない。機械を明けたまま、寝ていたか。
2018 3/19 196

* 九時過ぎた。視力から疲れている。新しい眼鏡は、ほとんど役に立たず、外を歩いていて視野がクリアで嬉しいなど、まったく無い。これはもう眼鏡の問題でなくわたしの眼球が破損しているのだと思うしかない。やれやれ。

* また変なメールがわたしのメルアドを用いて届いている。この世界のデタラメさが可笑しいほど。バカらしい人たちにも満ち満ちた世間なのだと分かる。

* もう休む。
2018 3/19 196

* 起床9:40 血圧計測できず 血糖値87 体重65.8kg
2018 3/20 196

* 午前に寝、午後も寝て、大儀に目ざめたら四時だった。心身がそれを望んでいるのなら、暫くは付き合ってやろうと思う。
もう「湖の本」139巻の再校が出て来た。「選集25」送り出しまで一週間、用意は間違いなく間に合う。四月中ないし連休前か中には上記「湖の本」を、さらに桜桃忌までには「対」の次、第140巻も送り出したく、それももう心用意して行かねば。出来なくはあるまい。
2018 3/20 196

* 昨夜、とてつもなく怖い夢をみ、叫んで目が覚めた。暫く、息づかい荒く暗闇の中ではあはあいうていた。夢は、ほんと、嫌いだ。
十一時。もう休みたい。
2018 3/20 196

* 起床10:00 血圧計測できず 血糖値97 体重66.5kg
2018 3/21 196

* 寒さに負けて朝寝していた。
2018 3/21 196

* まだ九時なのに、機械の字が濡れたように潤んで滲んでいてもう読み辛い。退散する。
今日は午後から夕方へ雪が降った。疲れたら躊躇わず寝入っていた。寝て目が覚めると視野が澄んでいて生き返った気がする。怠けてるなどと思わず、睡ければ進んで眠ろうとしている。生きている時間は短縮するようだが、そんなふうには思わないでいる。
2018 3/21 196

* 起床8:10 血圧計測できず 血糖値80 体重67.1kg
2018 3/22 196

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値86 体重66.1kg
2018 3/23 196

* 昨日からの書き損じなど、書き直しておいたが。書いている機械の字がギトギト、ギラギラと滲んでいるのです。察しにくいほどひどい誤記になってるところも有った。いけない。
2018 3/23 196

* 起床8:50 血圧計測できず 血糖値90 体重65.9kg
2018 3/24 196

*  それにしても、潰れたように何度も寝入る。ものの名を忘れる。
危なくなってきたか…ナ。
せいぜい気を入れてしっかり読み書きしましょう。
2018 3/24 196

* 起床11:00 血圧計測できず 血糖値80 体重65.7kg
2018 3/25 196

* もう忘れているのだが、どうしてこう途方もなく想像もつかず絶えて想い及んだこともない戯曲的な夢を毎夜見るのかと呆れる。とても疲れる。かつてなく寝ていた。寝たいなら寝てればいいさと、寝ながら自分を見放していた。
2018 3/25 196

* もう十時前。今日はまだ十一時間しか暮らしていない。選集の納品と発送まえの例の緊張感を抱いている。二十八日には聖路加へ受診に。その翌日から送り 出し。用意は、出来ている。むかしから、そう、中学高校の学期末試験などの昔から、わたしは、「仕事」とは「用意」であると思ってきた。会社勤めで、こと に二足の草鞋で忙しかった極みも、同じこの思いで、誰もが驚くほど正確に大量に仕事を遂げてきた。要するにただただ尋常な男でしかなかった。
2018 3/25 196

* 起床11:50 血圧計測できず 血糖値870 体重65.2kg
2018 3/26 196

* 近くを歩いて櫻を見ましょうと妻が誘うのに、腰も上がらない、じーっと目を閉じていたい。髪も髭も乱れ、からだを動かそうと謂う気になれない。寝床へ 両脚を突っ込んで校正し始めたり次々に本を読みはじめたりすると時を忘れている。テレビがついても、花鳥風月、生きものや花や木の美しさにはしみじみ心晴 れるのに、国会討議やニュースを弄ぶような談話や人事や噂など、吐き気がしてくる。
寝入れば、途方もない奇怪な夢に襲われ、ほとほと呆れ疲れてしまう。
少なくも読書は楽しめて此の一つに命預けている感じ、だが視力は衰えて行く。
ああ、こりゃこりゃ…と踊ろうか。

問一問
2018 3/26 196

* 近隣でも花は満開を迎えているという。わたしは、聖路加への検査と受診の日に目を喜ばせようと。花見をめあてに出歩く気がしない。

* 美味い食事を美味いと思いながら喰いたいが、からだが拒んでいるようにそれが出来ない。困ったもの。十時四十分、今日もまだ十時間ほどしか生きていない。寝はしなかったが二度床に脚を入れた姿勢で沢山読んでいた。
2018 3/26 196

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値83 体重66.1kg
2018 3/27 196

* 朝一番にやっと 散髪できた。頭がもしゃもしゃだと気分が腐ってきて機嫌が直らない。散髪したいしたいと二週間は気が腐っていた。「萬紫千紅總是春」と、明日は朝早くから築地での糖尿病検査へ。
2018 3/27 196

* 明日は九時前には出かけ、十時半までに血液と尿の提出を終え、なんとか昼前後には診察も終え、一時前後までにはいつもの院外薬局で処方薬を受け取りたい。
2018 3/27 196

* 起床7:00 血圧127-57 (88)計測できず 血糖値82 体重65.5kg
2018 3/28 196

* 診察は予約定時には終えており処方箋を満たして、正午。聖路加病院の界隈は花満開、隅田川辺へも出て明るい日射しに咲き匂う櫻を眺めたまでは良かった が、あとは、ゆらゆらと銀座まで歩いて、ところが三軒の店がみな先客で生憎く。松屋の八階食堂までも上がったが気が進まぬまま西銀座をよろよろと三笠会館 まで歩いた。「榛名」のフレンチに腰を据えた、が。体調も食欲もととのわず、店を出たときは極端に疲労、辛うじて丸ノ内線で池袋へは着いたが、雑沓の中で 路上に腰を落とし、ニトロを口に入れ水分を多めにとったものの、西武線に乗るまでがやっとのことだった。保谷でも停まる準急に辛うじて席を見つけたが、保 谷まで昏睡に近く、タクシー乗り場でも坐り込んだ。幸い早めに車に乗れたが、道順を云い損じてすこし遠回りで家の前へ。小銭も札もなかなか見つからず、案 じたらしい妻が迎えに出て来たほど。
床について、かろうじて秋成の「貧福論」だけは読み終えたまま寝入っていたのが、烈しい咳とともに「い辛い」極みの胆汁様の粘液、はては血痰を吐き続けた。
この「て辛い」胆汁様のきつい吐き気は以前から散発していたが、今日の衝撃は夢どころすバネに弾かれたように跳び起き、手洗いへ駆け込むしかなかった。 吐き出す咳と辛い液としまいには薄色の血痰と。参った。いつものように、水分を十分補給しておいて「龍角散」を喉もとへ入れた。

* だが、今日の内分泌の検査データはなんらの問題なく一様に上等で無難であったのだ。

* あすからは躰を使って重い本の荷造りや送り出しになる。今夜は、安静に早寝した方が良い。
2018 3/28 196

* 起床8:00 血圧計測できず 血糖値89 体重65.4kg
2018 3/29 186

* 寝明け前、しきりに気分優れなかったが。九時半、既に「選集」第二十五巻は届いている。これから、力仕事に入るが。
2018 3/29 186

* 疲労をこらえ、従来になく途中しばらく寝込みもしながらの今日の荷造り分が、手違いで集荷を郵便局に断られてしまい、落胆。明日の午前と午後との二回集荷で出て行ってくれるといいが。
何にしても、最近の郵便局も宅配業も、目をむくほど一気に値上げはするのにサービスは良くない、悪い。ぐっと堪え堪え付き合うしかない。悪政の皺が寄ってくるのだ。
昔は新聞のコラムでさまざまにモノが言えた、ひところはツイッターとフェイスブックで盛んに発言していたが、何がどうなったのやら、今では一切、受信も 発信も不可能にされてしまっている。通知は毎日いっぱい来るのに、読もうとしても「インターネット・エクスプローラーではこの記事は開けません」と来る。 なら、どうすればいいのか、今のわたしにはどう手の打ちようもなく、いっそ無くていいのだと思うことにしている。矢弾のようにしかし通知だけは来るのだか ら堪らない。消去したいと思ってもその手もわたしには掴めない。
2018 3/29 196

* 今日は妻もわたしも疲れた。お互いにかなりの力仕事になる。あと八巻を予定し、二年ないしその上を予期していて、「湖の本」も重なってくる。時間を引 き延ばすということも年齢や体力との相談があり、短期間に「選集」だけでも済ませてしまうという手にも体力負担は蔽うべくもない。つまりは、やれるだけを やれるようにやって行くしかない。妻も同感だろうと思っている。元気を、日々いろいろに汲み出すしかない。頼みになる助け手などありはしない当然である以 上は、知恵をつかって日々何とかして楽しむということだ、何であれ。

* さ、明日もガンバリます。
2018 3/29 196

* 起床8:00 血圧計測できず 血糖値79 体重66.1kg
2018 3/30 196

* 作業を終えた。疲れた。気分直しに何処かへ出たいが危なっかしくて、思案。熟睡が、マシか。瞼がボタッと重たい。

* 機械の前で寝入っていた。外出よりも、休息がいいらしい。
よく寝たあと、晩、上戸あやの佳いドラマを楽しんだ。同世代とみえる巧い女優は何人も胸にあるが、上戸あやの、自然体でしかも深く彫んで柔らかな「科と 白」とは一種、突出している。ヘタクソなコマーシャルの濁流に失笑したり苦笑したりゲンナリしているなかで、すてきに自然な身ごなしで短い時間を優しく振 動させる花の匂いで喜ばせてくれるのは、上戸あや。上戸のにくらべると、あの演技派大竹しのぶのコマーシャルなんて、グロテスクに滑稽。
不思議なほど売りに売りまくれる異彩は、だが、綾瀬はるか。別格の観がある。

* 十一時過ぎた。さ、寝よう。明日は身も心地も休息させたい。可能なら、三月末、街へ出てみたいが。
2018 3/30 196

* 起床9:50 血圧計測できず 血糖値93 体重66.6kg
2018 3/31 196

* 街へ出る元気なく、ぼんやりしている。弥生三月、はや逝くか。
2018 3/31 196

* 起床9:10 血圧計測できず 血糖値82 体重66.2kg
2018 4/1 197

* 起床7:30 血圧計測できず 血糖値77 体重66.0kg
2018 4/2 197

* 腕を撫すという物言いがあり、自信をもって何かへ取り組もうというのであろう、但し、わたしが今自身の両腕を 掌を表に さらけて伸して 撫でさすっ てのビックリは、左腕も右腕も、肩ぐちから手首までこうも繊い細い皺だらけかと、まるで天然の表現を鑑賞している按配なのである。皺、皺、皺の、見た目に も柔らかい波打ち、波立ち。手首を巻いていた腕時計が肘近くへ滑らせてやっと止まる。それでも、わたし、まだ体重66キロもあり、六年前の胃全摘直後より 半キロほどしか減っていない。手術前は86・5キロもあった。おっかない冗談だが、ときどき癌になって良かったのかなあなどと苦笑いしている。
クロネコヤマトが使用のケースに郵袋詰めした「湖の本」なら1ケースに60册は今のこの腕でキッチンから玄関へ何度も何度も運べる。
選集は平均して一冊が500頁の布貼り上製函入り、それも必要なら一度に十册を持ち運べる。五冊なら軽いもの。否応なく脚腰と背中と腕力は鍛えられる、へとへとに疲れるけれども。ま、それも此の私の「仕事」なのです、もう当分のうちは。
2018 4/2 197

 

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値86 体重65.9kg
2018 4/3 197

* ほっこり、お酒を戴いている。
2018 4/3 197

* 起床8:15 血圧計測できず 血糖値85 体重66.3kg
2018 4/4 197

* 起床8:45 血圧計測できず 血糖値77 体重66.3kg
2018 4/5 187

* 妻を祝いにどこかへ出かける元気も涌かず、気怠く心身が参っている。昼過ぎ、また寝入っていた。イヤな気分。

* 何としても、仕掛かり二つの小説を心ゆくまで書き上げたく、選集も、予定のもう八巻(未編集は六巻)を仕上げたい。
なぜ、こう心身に活力を欠くのか自分でも分からない、あるいは、分かっている、のかも分からない。
わたしは今、昨秋の妻が院手術の頃のように、事を挙げて「祈る」ということをしないでいる。ただ、妻が両親からうけついだという鐵観音像に向かい、また 秦の両親と叔母との位牌に向かい、毎朝夕、お互い過ぎ来し八十余年の数々を念頭に、「有り難うございました」と頭を下げ、且つは今日只今も護られているの を「有り難うございます」とのみ、心ゆくまで繰り返し頭をさげている。尽きるところ、わたしにはもう、「感謝」しか無くなっているようだ。くだくだしい言 葉での祈りはしていない。過去を感謝し今日を感謝するだけ。

* ロクなことをしてこなかったことも、根が、ロクな人間でないことも承知している。今更 仕方がない。意馬心猿をしょせんはよう鎮め得ないヤツとして、このまま衰えて行くと諦めかけている。かけているという未練も笑えてしまうが。
ま、正気のある間は、もう、一とがんばり粘るとしよう。
2018 4/5 197

* 苦しいほど胸焼けがしている。
もう十一時を過ぎた。疲れた。
2018 4/5 197

* 起床9:30 血圧計測できず 血糖値80 体重65.6kg
2018 4/6 197

* 昼食。ほんのわずかなお酒で、潰れるように昼寝した。寝れば確実に眼はやすまる。疲れも退く。しかし時は喪う。

* 船橋市の胡子文子さん、土佐文旦とデコポンを、大きな一函、送って下さった。胸焼けのきついわたしに、美味しい柑橘類は嬉しい。

* ずうっと、『或る寓話』に組み合っていた。小説世界へ入っていくと疲れを忘れてられる。ただ、眼は疲れる。
2018 4/6 197

* 疲れたまま寝床で思いのほか永くたくさん校正に励んでしまい、疲労で手先やからだがブルブル震えてきたには驚いた。
風が強い。雨になるという。リーゼに助けられて寝ようと思う。
今朝の寝覚めの前、めったになく、とにもかくにも嬉しくて嬉しくて堪らない夢を見ていたはずなのに、アッとも云わせずみな忘れてしまうとは情けない。

* 送ってもらった祇園白川花櫻の写真が目を潤ませて美しいのが、今日の一の嬉しさであった。
2018 4/6 197

* 起床7:50 血圧計測できず 血糖値77 体重66.2kg
2018 4/7 197

* いい酒が少しはいると、ぐっすり寝入る。日のある間に何度も寝ると、夜中には目が覚めやすいが、あきらかに昼寝で からだは暫時でも、ラクになる。

* 花粉のせいかと想うが、旧臘このかた、久しくも洟とくしゃみに悩まされ続けている。
十一時、もう機械から離れよう。
『ユニオミスティカ 或る寓話』はたいへんな作に成ってきて、しかもなおなおの展開欲も加わり、呻いている。
最近、「これが純文学だ」と自ら吠えている小説集をもらったが、本当にそうならば、わたしは「純文学」など書きたくない。
今夜からは坂上弘氏の、さ、何を読もうか。
2018 4/7 197

* 起床7:50 血圧計測できず 血糖値81 体重65.7kg
2018 4/8 197

* ちょっと捜し物で西棟二階の書庫へ入ったら、もう出られなくて。自身の全著書・全共著が複数册のほかに、署名入りで大勢の作家や筆者から戴いた本が居 並んでいる。関心のあった基督教や新井白石やその他の画全集や海外文学本なども。際限もなく手に執って見入っていると時間を忘れるが、座る場所も腰かけす らも無いので草臥れた。こっちの家の大きな書庫にはとにかくも二十近くある背の高い書架にまだまだ満載に近い書物。図書館で受け容れてくれそうな本を選ん では送っているが、まだ床にも通路にも山になっている。本はわたしの宝ものであった。手にとって、あ、これは要らないなという本が無いので処分が全く進ま ない。しまいに、本に囲まれてただ立っているだけでガックリ疲労してくる。いまも隣から戻ってきて、頭を抱えるほど疲労しているのに苦笑している。
こうして機械の前へ来て、へたな手つきでたどたどしくキイを探している間は、わりとシャンとしている。
2018 4/8 197

* 茫然と 機械にただ触って、あれこれしている。頭の中では、小説の嶮岨に足踏みしている。
天気が良ければ出かけたい気があっても、何処へという何のアテも思い浮かばない。外で、独りでウカと酒を飲むのはもう、アブナイという以上に、危険な気がしている。
間違いなく楽しめるのは、優れ本の読書だけか。それも視力を尽くしていうアンバイに成って行く。それならば「読む」よりは「書く」方へ死力を尽くしたい、たとえ思うたままの「有即斎箚記」であろうとも。
2018 4/8 197

 

* 起床10:15 血圧計測できず 血糖値78 体重65.3kg
2018 4/9 197

* 湯に漬かって、雨月物語への長島弘明さんの懇切な解説を半ば読んだ。
「青春短歌大学」も面白くまた懐かしく読んでいた。ああ、あの、あの、あのと、東工大学生諸君の記憶が生き生き甦ってきて。佳い記憶ばかりがたくさんあ る。今日も、「湖の本」新刊分へ、はるばる送金かたがた、「先生、お元気にされていますか」と見舞ってくれる男子君の便りを読んだ。

* 今日は冷える。湯冷めせぬまにからだをやすめたい。
2018 4/9 197

* 起床10:15 血圧計測できず 血糖値92 体重64.7kg
2018 4/10 197

* 起床8.20 血圧計測できず 血糖値87 体重65.2kg
2018 4/11 197

* 寒くはないが午後、大風が騒がしい。

* 異様な気温気象と花粉とで、からだが潰れそうに草臥れる。
2018 4/11 197

* きつい嚔を二十も止めどなく連発、もう持たない。寝てしまいたい。
2018 4/11 197

* 起床8.20 血圧計測できず 血糖値93 体重65.4kg
2018 4/12 197

* 機械の前で、ひどく睡い、昼まえなのに。

* 松葉の鰊蕎麦を賞味、懐かしい美味。少し酒も。有元さんに戴いた「亀齢」がじつに美味い。山田錦を三十数パーセントに削っての純米酒。豪勢な、といえる美味。
食後、卓のまえで熟睡。
2018 4/12 197

* 昔から酒茶論がある。春か秋かほどは昔でないにしても。酒は古いがお神酒でこそあれ、民衆が早くから酒に酔うたか、ま、更級日記の竹芝寺縁起では酒を 醸す青年が都の日焼屋に召され皇女を東国へ連れかえる咄をしている。民衆の世間でも茶よりは酒が早いかと想われるが、茶に類した植生には恵まれた日本であ り、茶に類した飲み物は酒より早いかも知れない、いやいやどっちも古いのであり、さてこそ酒か茶菓と競いあう風も古かろう。
わたしは酒好きだが茶も大好きで、このごろは何かというと煎茶を妻に淹れてもらう。京の名菓を戴くとどうしても「お茶」を所望する。または自身で抹茶を 茶筅で点てる。煎茶も抹茶も焙じ茶も番茶も子どもの頃から母に「茶喰らい」と笑われるほど番茶をよく飲んだ。なに、戦時中で腹が空いていたのでもあるが、 家に茶を欠かしていた記憶がない。

* 明夕は歯医者へ。出来ればあと街へ脚を延ばしてもみたいが、夏日かと予報されている。暑いのもイヤだが。歯医者へ行くときは印刷所への支払いなどする こと多く、明日も「選集25」を送金してくる。わたしは小さな字は見えないのと機械いじりは覚束ないので妻にしてもらう。一冊について一万円見当の高額な ので、わたしは、ま、用心棒。頼りないが、紫檀の杖を持っているよ、呵々。
東工大では、学生諸君とのとてもいい出会いが沢山あった以外に、良いことが大きく二つ有って一つはコンピュータとの出会い、これが無かったらわたしの作 家生活はかなり窮屈だったろう、「騒壇餘人」とはなかなか行かなかったろう。もう一つは、教授としての給与と年金。わたしは殆どそれに手を付けなかった。 幸い必要も無かった。それが「選集」の少なくも三十三巻予告分を、まあ賄ってくれる。感謝している。
2018 4/12 197

* 起床9.30 血圧計測できず 血糖値80 体重65.4kg
2018 4/13 197

* 食後に先ず掌にいろいろ八錠、次いで同じく八錠を服している、今朝は。ふつうはもう五、六錠多い。その前にインスリンを注射している。そんなこんなの影響か、ぞっとするほど睡くなる。睡魔に逆らうのはキツい。

* 歯医者の帰り、日比谷まで出るつもりでいたが、江古田で「vivo」iに寄り、スコッチの美味いのをたっぷり飲んで堪能し、そのまま帰ってきた。独り ではもう飲まないだろう強いウイスキーを妻もいたのでたっぷり味わったも機嫌良く帰れた。印刷所への支払いも済ませてきた。
2018 4/13 197

* 起床9.20 血圧計測できず 血糖値77 体重65.6kg
2018 4/14 197

* 起床8.15 血圧計測できず 血糖値85 体重65.2kg
2018 4/15 197

* 名酒「亀齢」の美味かったこと。したみ終えたので生協配達のを少し飲んだら、睡魔の酒であったらしく夕刻までどれほどか寝入っていた。美味いと思うのに少しも変わりないのに、量は必然減ってと云うとウソ、ただ酒量には弱くなっている。
2018 4/15 197

* ほんとうに可能なら、三十三巻で「選集」を結びとめ、ほどをみて「湖の本」を終刊にしてなお正気と体力とが残っていれば、京都へ一部屋でも借りて帰り たいという願い、無くはない。だが、それは以下にも気弱。「湖の本」の種はまだまだまだ尽きないかぎり奮迅すべきかとも。からだや気が保てればいいが。食 べられない、食べたくないというのが、なにより今、心もとない。
2018 4/15 197

* 起床10.15 血圧計測できず 血糖値88 体重64.9kg
2018 4/16 197

* 小林保治さん(早大名誉教授)から送られてきた、勉誠出版刊 写真の豊富な『能舞台の世界』を、手に執り ゆっくり見せて貰った。これは小林さんの仕事の中でも一、二の、現代に資した有意義本に属するのではないか。
どれだけの人が日本列島に散開するこれら佳い能楽堂にじかに関われるか興味があるかは別ごとであるが、この「能世界」のためには、初の、そしてかなり完 備した事典性に富む一冊に成っている。私には、ネコに小判であるが、写真に魅されて、こういう堂もあるのか、そうかそうかと感心している。やはり故郷京都 の舞台が懐かしい。
わたしの知友や読者にも、むしろ 茶の湯人以上に 現に能や謡・仕舞のプロもアマも何人もおられて、アレを舞う、コレを謡います、お稽古しています、来て下さいと 便りがある。
体力と視力の衰えで シテ方から能会へのお誘いをいろいろ頂いても、もう久しく、臆病なまま能楽堂へ脚が遠くなり、よほどガンバッて 友枝昭世 梅若万三郎 のお誘いには出かけているが。
ま、小林保治氏の優れた仕事が形を成したのを、同じ仲間だった亡き堀上謙も想い出しながら、喜んでいる。
2018 4/16 197

 

* 字を書く手が、かつてなく烈しく震えて書けず。むちゃくちゃ。
血圧を計ってみた。上が、179  下が90  脈搏 90
2018 4/16 197

* 起床9.15 血圧計測できず 血糖値98 体重64.8kg
2018 4/17 197

* ただ懐かしいのではなく、京都へはどうしても帰らねばラチの明かないアテがある。
実は、脚を延ばし、瀬戸内の目当てへも行きたい。
行けないためにと謂うのは情けないが、それ有って、書きかけの小説は一つは九割がた、一つは六、七割がたで、苦悶しつつ頓挫し二年を経ている。京都が懐かしいと繰り返す時、わたしの想いは苦悶に近い。
しかし、小説の取材は、観光・物見遊山でない。一種の狂気に入って独り其処に同化し作の世界や人物と対話しつづけなければ無意味な散策に尽きてしまう。
しかし、私の心身に現に生じている臆病と億劫とは、宿を予約し新幹線に乗るというそれだけをもさせない。ぜひ独りで動かざるを得ないし、さだかなアテド もなくひたすら歩きまわらねば済まない。実を云うと目指しているその方面に、わたしは、ほぼ不案内なのである、行ったことも観たこともない京都なのであ る。疲労し、そんな出先で潰れたら、と想うと二の足を踏んでしまう。
もしかりに建日子が同行してくれると言い出そうが、それでは父子の「観光」旅行なみにむしろ京都を識ったわたしが息子にサービスすることになる。作中世界との対話はとてもそんな遊び心地では実現できないほど幻怪に難しかろうと、今も、看ている。
他の、何を措いても第一の優先事でありながら、実現出来ない。弱ればますます出来なくなる。わたしが「京都へ」というとき、現実世界の誰や彼やに会いたい見たいでは、無い。進行中の作世界と何より何処より出会い…たい、のだが。

* ともすると眠りに落ちている。膝が冷える、今日は、寒いな。
2018 4/17 197

* 金縛りに遭うたように、脳味噌が働かない。そのかわり、機械の中を掃除して、つまり重複や余分余計なものをよほど削除し、再三の機会からの警告を脱し た気がする。すこし軽くなったか。ま、用心のあまりの余計な重複保存も多いと思うので、不要なバックアップはしないことにしている。わが末期とこの愛機の 末期とがあまり前後しないで欲しいと願うが、この機械はたぶん我々の寿命では百数十歳であろうよ。酷使して申し訳ないです、感謝。
2018 4/17 197

* 起床9.15 血圧計測できず 血糖値98 体重64.8kg
2018 4/18 197

* 自分の今の仕事に停滞を来しているしんどさも手伝い、いろんな優れた著作にいまわたしは心身を浸し続けてもいる。

* 村上開新堂主人から、タップリの大缶に十数種廿種もの大小のクッキーを、隙間もなくまこと巧妙にぎっしりと詰め合わせた、いつもの贈り物を戴いた。すこぶる美味いのである。

* 俳優座からの五月の招待が来ている。かなり御無沙汰して来た。楽しみに出かけたい気でいる。
なにもかも、出不精で行き詰まる。出かけるなら楽しく出かけたい。思い切って病院と縁を切って行くことも大事かなとは思うが。診察よりも「検査」の重み には頼りたく。感染症内科、内分泌科、そして腫瘍内科は血液や尿を検査してくれる。これは、頼むに足る。眼科は、やめた。泌尿器科での前立腺のケアは、こ のさきに何が起きるか知れず、縁を繋いでおきたい。消化器内科、循環器内科とも縁は欲しいのだが、診察の待ち時間は途方もないと分かっているので、問題が 生じるまでは出向かない。
2018 4/18 197

* 起床8.15 血圧計測できず 血糖値93 体重65.8kg
2018 4/19 197

* 明日は一時半の予約で久しぶり「オンコロジイ 腫瘍内科」の検査を受ける。ちょうど、もう六年が経った。お天気の宜しきを願う。
2018 4/19 197

 

* 起床8.15 血圧計測できず 血糖値87 体重65.2kg
2018 4/20 197

* 聖路加腫瘍内科、主治医の手が塞がり、二時間待って別の若い先生の診察で、血液の検査結果まったく問題なし、ただし当科の、また感染、内分泌の尿・血液検査も「大腸」検査に触れていませんと。ま、腹部触診で総じて下腹部柔らかく、まったく問題無いようですと。
それは有り難い。しかし、目はもう諦めているが、食は進まず、腹への通りわるく、カラえづきは絶えない。全身の疲れもひどい。

* 待っている間に、副院長の林田先生、わたしの来院を調べておられて、わざわざ腫瘍内科まで激励に尋ねてきて下さった。前世紀の早く先生現役の昔から循 環器内科で永く永く妻が診察をうけつづけ、わたしも時折り診て頂いていた。久しい、ま、読者としてもご機嫌の声を掛けて下さる。機械で、わたしの来院日を 見つけると、よくこんなふうに晴れ晴れと温かく外来へ見舞いに来て下さる。おおいに、ホッとして、感謝に堪えない。

* 腫瘍内科の検査と診察は、今度は、十月。

* 支払いを済ませて二時半。朝から、飲まず食わず。銀座の食べ物はあきあきしたので、隅田川沿いへ出たが日盛りの暑さよ。それでも隅田川面での白い鳥と 黒い鳥の大軍が猛然と闘うさまを眺めていたりした。小鳥を襲い小鳥を護ろうと戦闘するらしく、隅田ならではの見ものだった。川向こうの佃島に目立って赤い 「天安」という看板が見え、隅田で取れ取れの川魚を天麩羅にし食べさせるかと、かんかん照りの大橋をよろよろと渡っていった、が、当たり前と云えば当たり 前、佳い「佃煮」の店こそあれ、食べられる店は皆無。もんじゃやきの類は苦手で、もうふらふら、目に付いた有楽町線「月島」駅地下へ降りて、なんだ次は 「新富町(通院時決まりの下車駅)」かとかすかに意識のママ電車でかつがつ池袋へ着いた。何か食べないとと飲まず食わずの疲弊にふらつきながらデパートの 高い階へなど思いも寄らず、東武の地下食品売場奥に今も「天一」の天丼店があると確かめて辿り着いた。昔々の馴染みの店がちっとも変わっていない。ここは 酒もビールもなくひたすら「天丼」だけを食べさせる。
飯はほんの一匙ぶんほどにして貰ったが、やはり飯は食えず。大きめの掻き揚げと小さな味噌椀とだけを口に、美味いと思ったのはお代わりもした煎茶が二杯。
何に心も分けず、ほぼ茫然としたままゆるゆる西武線に乗り、駅からはタクシーを使った。照って暑くて、へとへと。
そのまま六時過ぎまで寝入っていた。左脚の烈しい攣縮に声をあげて身を起こした。
* 選集 予定だと あと六巻 四苦八苦して算段してみたが、少なくも二、三巻は足りないと見えてきた。あたまの禿げるほど無いチエを絞って「編輯」という仕事をとりあえずは一応完遂するしかない。ウーム。
2018 4/20 197

* 起床11.30 血圧計測できず 血糖値97 体重65.1kg
2018 4/21 197

* 信じられないほど寝ていた。つまもあえて起こそうとはしなかた。かるい昼食に、たまには、と、取り置きの中の佳い葡萄酒の栓を抜いて、ちいさなグラスでせいぜい二杯飲んだか。
ぶっつぶれるように、また寝入ってしまい夕方になった。

* 寝るために生きているらしい。そして結局、起きてくる。去年の一月にこんな二首を残していた。

尿が出て便出て喰へて目が見えて
読み書きできて睡れればよし 疲れたくなし

余念なく眠ってをればよいものを
なぜ起きてくる 死にたくないのか

* 喰うと いっときはげしく カラえづき する。咀嚼が出来ないのか。

* あっいうまに晩になった。

* 昨日も若い医師に、歩いて下さい、頑張って歩いて下さい、と。
京都では、家を出ると、通りが美術・骨董商のショウ・ウインドウ、つまりはわたしの美術館だった。狸橋を渡っても新橋を渡っても白川だった。知恩院も青 蓮院も円山公園も八坂神社も、四条通も、高台寺・清水坂も建仁寺、六波羅蜜寺も、鴨川も河原町も地続きだった。行くなと止められても歩きに行った。
荷風の日記をみていると、かれは電車でかなりの距離を移動してから、浅草だの深川だの、川向こうだのを散策していた。めんどくさいなあこれはとわたしは荷風に同情していた。

* ひところ、食べ物というと、まず鬮とらずに「鮨 鰻 天麩羅 中華」と云っていた。いま、これらに気がない。ま、よほど気が向いて鰻か、それも五度に 一度ほどしか気が向かない。鮨は米が叶わない、天麩羅は味がない、中華は重い。胃袋がないとは、こういう事になるのです、養生して下さい。
2018 4/21 197

* 一勉強というと、このところ気を入れてきたのが司馬江漢の「西方日誌」で、これはもう芳賀教授の仰有るまでもなく、久しい日本の紀行史を真裏返しに まったく新しい姿勢と文辞で愉快至極に書きつづったみごとな成果なのである。もっと昔に読んでいたら、なにか徳内や白石ふうの仕事へ仕立てられたかもなあ と頭を掻いた。
肝を掴んで揺すられるような面白いモノ・コト・ヒトがまだまだ無数なのだと思うと、ふうっと力が湧いてくる。

* にしても、暑いなあ。

* 云うなれば 今 わたしはよっぽど気楽に過ごしていると云うことかなあ。

* 十時半 目から疲労。機械から退散。
2018 4/21 197

* 起床8.30 血圧計測できず 血糖値95 体重64.8kg
2018 4/22 197

* これだけクスリクスリクスリの広告づめなのに、夢を見なくて済むクスリはひとつも無い。寝入るのはむしろ容易いが、奇々怪々の夢物語に疲れるのは勘弁願いたいが、シリの持って行き場がない。さて書きおくほどは覚えていられない。

* 今日は、視力を酷使しながらコマゴマした、しかし興味深い鷺をして費やした。十一時過ぎた。目はまったく霞んでいる。

* 痛いほどな胸焼けに間歇的に襲われる。賢明に水分を摂り、ウコンの錠剤をのみ、喉もとを龍角散でまぶしている。食事らしい何も摂らないのだから、各種アルコールにやられているのかも。

* 排便は順調で統制がとれている。さ。また怖い夢を持て寝よう。
2018 4/22 197

* 起床5.00 血圧計測できず 血糖値95 体重64.8kg
2018 4/23 197

* なんとなく、フワッと朝の五時に起きてしまい、凸版へ「湖の本」140要再校分に追加稿を急遽送ったり、昨夜来の作業をふり返り確かめたりして、午前七時半になっている。

* 妻、歯医者へ行っている。なんとなく、いろんなことを、思いつくまま、している。

* 食生活が、どうも健康に調わない。食べなくてはと思うので食べはするが。結局、飲んでいる。それがいけないかも知れないが。美味い酒は美味く、美味いワインは美味い。ただし胸は灼ける。

* 大好きな、ハマちゃん、スーさん、ミチコさんで、しんそこら笑い転げるのが、なにより良い。
2018 4/23 197

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値83 体重66.0kg
2018 4/24 197

* 起床8.20 血圧計測できず 血糖値76 体重66.0kg
2018 4/25 197

* 仕事仕事、休憩 を繰り返しつつ 十二時を過ぎてしまっている。
2018 4/25 197

* 起床9.20 血圧計測できず 血糖値82 体重65.5kg
2018 4/26 197

 

* 七時過ぎ。眼はギラギラと見にくい。しかし、これから小さな字がぎっしりの重い厚い今日の地誌へもぐりこむ。現地へ行く方が確かで読みも判りも早いの は分かっているのだが。行けば最低三日は歩き続けるだろう、身の保たないのは見えている。想像するという奇異な「力」を振り絞るしかない。

* 十一時半になった。眼鏡を何重にかけても、もうダメ。
2018 4/26 197

* 起床9.20 血圧計測できず 血糖値79 体重65.1kg
2018 4/27 197

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値80 体重65.5kg
2018 4/28 197

* 起床10.20 血圧計測できず 血糖値77 体重66.1kg
2018 4/29 197

* 起床8.40 血圧計測できず 血糖値82 体重65.6kg
2018 4/30 197

* 五月半ばまでパリへと発った便りもあり、元気に若い人たちは足早に動かれる。わたしの脚は枯れ枝のようになっている。達者なのは、アタマだけと云いた いが物別れは増して行く。ジョージ・クルーニイとニコール・キッドマンのドタバタ活劇を観ながら、明々白々のキッドマンの名前が半分がた進むまで思い出せ なかった。言葉としての名前よりも、容貌・声音で誰とはまだまだ誰と直ぐ理解できるが、その時も固有名詞に置き換えるのにちょっと掛かったりする。
2018 4/30 197

* 明け方の夢は、変、大いに変ではあったが、襖も庭先の障子も開け放たれた三十畳ほどな廣い茶座敷にえらそうな武家も紳士も男ばかりの大人達がいならん で、これから台子の茶が点つらしかった。座の世話をしていたのは巌谷大四さんと藤間紀子さんとで、誰が手前とは分からないが正客が、十五代将軍を辞した徳 川慶喜さんだと耳に入った。巌谷さんはわたしを見つけると中へ入れ入れと誘われ、けれど礼儀として前将軍家へ何か一冊自著を奉呈しなさいと云われる。摩訶 不思議にわたしもたちどころに『親指のマリア  シドッチ神父と新井白石』一冊を正客の座前へ持ち込んだ。慶喜さんは、「おお白石か」と声をあげて、しば らく白石の進退と詩とについて身を入れて話され、わたしも受け答えしていたが、そのまま、客座の末へさがった。この大人数で「お詰め」は、しんどいなと思 ううち、台子手前に歩を運んで出たのが、誰か分からない、ナントも驚いた洋服の若い人で。巌谷さんと高麗屋夫人とは、相並んで東(とう)、半東役を引き受 けながら、温容と美しい言葉とで座は和み、そのまま溶けるように夢は流れて消えていった。
いつもこんなならラクなのに、いつもは、なんとも凄惨な、狭い暗い町の底を匍うように彷徨うたりするのだ。で、寝たくなく、つい寝床で何冊も何冊も本を 読むのがまた良くないのかも。「家畜人ヤプー」だの、野坂昭如の「エロ」とか「とむらい」とか、やたら蛇の出る鏡花とか。わずかに源氏物語に癒やされる。
これまでで、いっとう役に立った夢は半世紀も昔の、「清経入水」の出だし、かなあ。夢も体験のうちと思うことにし、とにかくも魘されまい。

* 四月が逝く。なにがあったとも覚えない、櫻もろくに観なかった。こうして老いて行くのかと思う。
2018 4/30 197

* 浴室でゲラを五十頁も読んだ。上がっての体重が65.3キロ。だいたいこの辺で推移している。
2018 4/30 197

* 起床10.10 血圧計測できず 血糖値93 体重64.8kg
2018 5/1 198

 

* どう眼鏡を掛け替えても目薬を差しても 機械の文字画面が掴めない。今 裸眼。眩しい。
2018 5/1 198

* 起床8.10 血圧計測できず 血糖値87 体重65.2kg
2018 5/2 198

* 六時間と寝ていない、瞼が痛いほど睡い。

* まったく新しい、在来と別の仕事を小説としてこの一両日來続けている。寄り道の体ではあるのだが、気を入れててきぱきと書き上げて仕舞おうとしている。

* 眠さと疲労感とで、午後、二度も一時間ホドずつ寝潰れた。それでも仕事の手は休めていない。

* 夕過ぎて、「ただいま。帰りました」と建日子が顔を出してくれた。この頃は中目黒から一本で保谷まで電車で来る。車より安心、そのうえ晩飯に、とって おき美味い酒を「うまいね」とこの頃は喜んでくれる。酒など呑んで話しあいたいとはわたしの願、そしてこのごろはバカげた世間話よりもわたしが選り抜きの 日本映画を三人でみて賞味する。まえからも一緒に映画はよく観ていたが、近頃では山本富士子の「濹東綺譚」 そして鴈治郎・京マチ子・若尾文子・杉村春子 らの「   」 次いで、今晩が、田中絹代・久我美子・大谷友右衛門(先代・雀右衛門)の「噂の女」、建日子はこの間へ自分で木暮三千代・若尾文子の「祇 園囃子」にも感銘を得たらしい。こういう対話が理にも流れず感覚や感性で触れあえ、さらにはモノ知らずな建日子のためにかなり新知見も加わると思われて、 わたしはこの時間を喜びまた楽しんでいる。
強い雨とも予報があり、八時半頃にはまた都心へ帰した。からだ、大事にして欲しい。

* おやおや十一時半にも。今度は寝床に脚をつっこんで「湖の本」140責了待ちのゲラを読み、寝入るまで源氏物語「朝顔」巻や、生形教授監修のマンガ「平家物語」鎮魂の巻や「敗戦後日本現代史」や、新井教授ちょ「五日市憲法」などを読み進めながら、いつか寝入ることに。
2018 5/2 198

* 起床9.50 血圧計測できず 血糖値81 体重66.1kg
2018 5/3 198

* 眼から疲労困憊している。もう今夜は機械とはつきあえないか、などと云いつつずるずると仕事を続けてしまうのが宜しくない、宜しいのかも。ほとほと。
隣の棟で 次の湖の本受け入れの儡地を作ってきた。序でに、「千夜一夜物語」一・二巻とミルトンの「失楽園」上巻を枕元へ持ち来たった。多彩に世界の文学も読みたい。 2018 5/3 198

* 起床7.50 血圧計測できず 血糖値77 体重66.1kg
2018 5/4 198

* 起床10.00 血圧計測できず 血糖値98 体重65.5kg
2018 5/5 198

* 猛烈小さな活字を必要あってたくさん読み耽ったため、眼が痛い。九時半。
2018 5/5 198

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値97 体重65.2kg
2018 5/6 198

* 起床10.00 血圧計測できず 血糖値84 体重65.3kg
2018 5/7 198

* 起床8.40 血圧計測できず 血糖値74 体重65.5kg
2018 5/8 198

* 起床9.40 血圧計測できず 血糖値88 体重65.7kg
2018 5/9 198

☆ 殖えずにしまふ母上の金    武玉川

* 「母上」などという甘え方で母親の懐金を厚かましくアテにするのは、なにも身分ある家のドラ息子・ドラ娘にかぎらない。
わたしを育てた秦の母は、一週、十日ずつの生活費を父からもらうのに日ごろ泣きの涙でいたから、とてもとても「母上、お金頂戴」など云えはしなかった。 老いて老いて我が家の叔母も含む三人の老人はみな九十過ぎまで長命し、わたしたち家族に見送られたが、なかでも九十六まで一等生きた母が「一期の呟き」 は、人間生きの根を左右されるのは、「お金やな」であった。
母は年金も下りるようになり最期にはかなりの金額を仕舞いこんでいた。母を見送ってからわたしははじめて「母上」の「殖やし」ていたお金を謹んで頂戴したのだった。
うちの息子や娘が、妻を「母上」呼ばわりしているかは知らない。娘にも息子にも過分にはあえてしんかったが、いろいろに気配り・金遣いはしてきたつもり でいる、友達からは二人とも「貧乏人」とわらわれていたとも聞いているが。貧乏こそ、人の常というもの、そこで才覚を養う以外に具体的な努力はない。

* 努力も何も、今日は、これまで十二時間の、三分の二を昏睡していた。目覚めたくなかった。からだのアチコチが痛く熱を持っている。やり過ごせるかどうか。
2018 5/9 198

* 起床9.30 血圧計測できず 血糖値88 体重66.0kg
2018 5/10 198

* 起床8.15 血圧計測できず 血糖値86 体重65.8kg
2018 5/11 198

* 夜中三時頃 珍しく低血糖33 に手指が烈しく痙攣した。手洗いに立ち、よほど睡いのかなと思ううち、低血糖症状と気づいてすぐ手近な精製白砂糖とワ インとで回復させた。値33という低さは初めて。何故、にはやや思い当たる。就寝前注射を間違えて二度打ったおそれがある。それ以外に覚えなく。
そして今朝の値は正常に戻っていた。
2018 5/11 198

* 起床8.45 血圧計測できず 血糖値86 体重65.6kg
2018 5/12 198

* 起床8.45 血圧計測できず 血糖値94 体重65.3kg
2018 5/13 198

* 起床10.00 血圧計測できず 血糖値83 体重65.2kg
2018 5/14 198

* 体調不快。どうしようもない。仕事するしかない。

* 湯で、「少女」の巻、「聊斎志異」「失楽園」の三大作にそれぞれに思いを馳せ、そして津村節子さんの「さい果て」を読み進んだ。良い本物、良い作に触れていると思いも深まる。

* 選り抜きの藝術性ゆたかな映画の名品に真向かってしまうと、ツマラナイてれびドラマやバラエテイなど「失せおれ」と思ってしまう。国会の委員会も、吐き気がする。
2018 5/14 198

* 起床8.30 血圧計測できず 血糖値73 体重65.2kg
2018 5/15 198

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値85 体重65.4kg
2018 5/16 198

* 来週は月末の日曜をはさんで久しぶりに俳優座の芝居や聖路加の診察が相次ぐ。この週明けには建日子が何処だか郊外の薔薇園へ行かないかと誘ってくれている。億劫でもあるが外出して歩くという「機会」には相違ない。
2018 5/16 198

* 起床7.30 血圧計測できず 血糖値99 体重65.5kg
2018 5/17 198

* 起床7.30 血圧計測できず 血糖値99 体重65.5kg
2018 5/18 198

 

* しばらくぶりに歯医者へ。
帰りに。「中華家族」で、マオタイを、ダブルで二杯。江古田駅前の眼鏡屋で、先日尻を落としてヒン曲げた根金の弦を直して貰い、弦のこわれていた別の眼鏡をレンズそのまま別のへ入れ替えて貰った。やはり殿時々に具合の良い眼鏡は身近に欲しい。

* 保谷駅の階段でよろめいて危なかったが杖のおかげで落下でなく横へよろめいて手すりに掴まれ大事に至らなかった。ガラス壁に左額脇をぶつけたが問題なかった。下へ落ちて行かなくて良かった。杖のつっぱりに救われた。
何が在るか、分からない。要慎、要慎。
2018 5/18 198

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値87 体重65.4kg
2018 5/19 198

* 昨夕の、保谷駅階段でのあわや真っ向顛落を辛うじて杖で横壁へ揺らいでぶつかるだけで済んだのは僥倖であった。ガラスにぶつけた左の額もなにごともなく済んだ。妻も先日、玄関外の石段で俯せに顔から落ちたのを辛うじて掌で庇って、大過なく済んだ。
想い危険信号といわねばならぬ。注意に注意している気でいて危険へ嵌っている。懼れる。
2018 5/19 198

* 起床10.40 血圧計測できず 血糖値93 体重65.4kg
2018 5/20 198

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値87 体重65.5kg
2018 5/21 198

* 明日、建日子が郊外の廣い花園へさそってくれているが、わたしは遠慮する。この季節は、奇妙にからだに堪える。妻は、わたし以上に、この梅雨入り前の 季候に弱く、入院を含むほどの剣呑な体違和を何度も重ねてきたので、よほど要心して連れだしてもらいたい。過剰・あぶないと感じたら即、帰宅させて呉れま すように。
いま、此の欄のはじめに挙げてある蓮池の花々、写真で観ているだけで心涼しい。
広大な公園は「歩く」もいいが日照りを避ける場がすくなく、いったん疲れ始めると、ひどい。
建日子に、重々カーサンへの気配りを頼んでおく。

☆ 家内の留守を狙ふ鶏飯
女房の留守も面白いもの   武玉川

などとあるが、留守を狙って喰いたいものもなし、ほくそ笑むような話も何もない、せいぜい録画の古い映画か、寝ころんで読書か。
力の湧くにしたがい書きかけ小説の吟味を楽しみたいが。
一升瓶の「呉春」が減りそう、かな。過ぎまいと堪えつつ、減って行く。

* 今日は、というか今日も、機械の前で、また堪りかねて寝室で、二度三度も寝入っていた。角力にもあまり気がない。

* 新しい「選集 第二十六巻」送りだしの用意は、もう八割がた出来ている。
「第二十七巻」の再校出も間近いはず。
寒い冬よりも酷暑に要心し、秋ぐちの窶れを軽くしないと生き延び得ない。
2018 5/21 198

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値92 体重65.7kg
2018 5/22 198

* 息子や妻に遠出の薔薇園へ誘われたが、遠慮した。なんとなく、億劫。家で、ボヤーッとしている。選集二十七巻の再校がとどき、写真家の近藤聰さんからお酒一升を頂戴した。
寝てしまいそう。強烈に頸まわりがツマリ気味に痛んでいる。

* 妻が出かけ妻が帰ってくるまでアソンでいた。酒も呑んで居眠りしていた返ってきたときはテレビを付けたまま居眠りしていた。
2018 5/22 198

* 起床8.40 血圧計測できず 血糖値100 体重65.6kg
2018 5/23 198

 

* 起床7.15 血圧計測できず 血糖値100 体重65.6kg
2018 5/24 198

* 夕方入浴、そして晩飯がすすまず、横になり、そのままもう一時半まで寝続けていた。機械があいたままなのに驚いて二階へきた。昨日は、しにかく、睡 かった。夢で、引っ越しをし荷物の片づきも終わって寝ようと言うところへ別の家族が来て、わわれは出てゆかねば成らないのだという。子の家は、「追放制」 家屋なのだからと。
まったく意味も分からず、むちゃくちゃな言い分に困惑して、夢から覚めた。この夢では、秦の母が存命であった。押し入れの奥のような妙なところで寝ていて、毛布が欲しいなどと言っていた。夢、幸い、覚めて良かった。

* もう一度、朝まで寝に行く。イヤな夢はみたくないなあ。
2018 5/24 198

* 起床9.15 血圧計測できず 血糖値92 体重65.9kg
2018 5/25 198

* それにしても昨晩から今朝へ、よく寝たものだ。どうかしてないといいが。

* 今日は晴天で暑い。歌舞伎ではないが、久々の観劇。ほんとうに久々。

* 今日は晴天で暑い。歌舞伎ではないが、久々の観劇。ほんとうに久々。

* お出かけには最良のお天気。

* 俳優座稽古場公演「首のないカマキリ」を、最良席で観せてもらった。題名からも、「命」の継続を念頭に置いて作者(横山拓也)の言いたいこと はよく分かった。案内のチラシ表に「カマキリのオスって交尾中にメスに食べられても、最後まで交尾を続けるんだって、」と言ってある。さこで作の意図がか えって、ちいさく痩せた。「作」ないし「作品」の真価は「言いたい」ことの「言い方= 把握と表現」にある。作者なるものは真実その点で常に苦労と工夫を重ねる。
その点で今日の舞台は、言いたいなかみでは十分誠実であったけれど、言い方は尋常・平凡で「寸」短く「幅」狭 く「底」を浅くしていた。
しっかり拍手は送ってきたが、どうみても七十点どまりの訴求力というしかなく、個人的には胸をつまらせ涙線のゆるみにも負けて いたが、「創作」への感銘や感動ではなかったのが心残りで惜しかった。演者には甲乙というほどのバラツキはなく、しかし、さしてほむら立つ好演というには逸れて、印象もうすかった。
新劇はとかく「言いたい」が先行し「言い方(把握と表現)」がお留守に成りやすい。
ま、久々に、楽しませては貰った、感謝。

* 劇場を出たときもう疲労していたが、せっかくのお天気に謝意を表し、日比谷へ出、ホテルの一階で例のパンケーキとキールロワイヤルで乾杯した のがかえって堪えた。そのまま帰っても良かったが、二月以降立ち寄っていない五階のクラブまで上がったものの、わたしはコーヒーが精一杯、妻も似たような アンバイで、飲み食 い抜きという珍しい仕儀で失敬してきた。ただし新規の置き酒を妻が贅沢に出費してくれ、次に出向く機会が楽しみになった。
わたしにもう歩きまわる元気なく、丸ノ内線、西武線でまっすぐ帰ってきた。往きも帰りも、三度まで席を譲って下さる方があり有難かった。よほど、よたよたしていたのだろう。

* しかし、明日も本所まで、早野ゆかり主演の芝居を観に行く。両国は、夏場所、栃の心の活躍で陽気に満ちているだろう。さてさて、疲れないように出かけたい。
2018 5/25 198

* 起床7.15 血圧計測できず 血糖値101 体重66.3kg
2018 5/26 198

* うまく睡れず、不快に淺い寝に我慢成らず、起きて機械の前へ来た。
2018 5/26 198

* 本所松坂町 旧吉良屋敷近くの劇場へ行ってくる。体調、宜しくない。いわば全身不快。毎度のことゆえ無視をこころがけて。

* 演題は、「死詩ノ詞」と。戦後に自死した劇作家加藤道夫への熱いオマージュ(頌讃)を工夫の構想で山本健翔が詩劇化し演出した。台本には早野ゆかりが ちぎらゆかりの名で協力したとあり、山本の「加藤道夫と私」なる「語り」からごく自然に各場面へ流れ込むトーンを為していた。何度か挿入ないし場面を主導 した松本真咲の舞踏、見応えがあった。
加藤道夫が存生中の劇作を観るおりは無く、活字では一、二を読んでいて、その余の鮮明な印象は持っていない。勘三郎と玉三郎が演じた「末摘花」が加藤の 作であったか、覚えがない。印象を強いて語るのは避けておく。木下順二とも福田恆存とも三島由紀夫とも泉鏡花とも強く触れ合っては想われない。その「なよ たけ」は加藤の代表作であろうが、「竹取物語」ないし「なよたけのかぐやひめ」への把握は、わたしにはやや「文学青年」の一風ある思い入れのように見えて いる。

* 劇場を出て両国駅へ、まだ大相撲の打ち出しに二時間近くあったので、駅前のちゃんこ「霧島」へ上がって、二人でやっと出て来た鍋の半分ほどを食べて満 腹し、市ヶ谷経由で帰ってきた。往きも帰りも乗り換えるつど座席を譲られ、感謝感謝。雨降らず、暑くなりすぎず、佳い半日であった。
2018 5/26 198

* 起床8.30 血圧計測できず 血糖値100 体重66.4kg
2018 5/27 198

* 明日の午後おそめ、久しぶりの聖路加で二科の診察を受けてくる。降らねばいいが、降って涼しいのもいい。
六月が逼ってきた。選集26と湖の本140の発送を挟んで、作家生活49年、湖の本創刊32年の桜桃忌が来る。暑い真夏も来る。心身健やかに慎重に乗り切りたい。

* ゆっくり湯につかってきた。「五日市憲法」の充実と卓見に教えられ、身震いがするほど。シンの民主・民権思想が結晶している。せめて幾分かでも明治の欽定憲法に反映させたかった。今日の平和・民主憲法の護持と充実のためになんとか活かせないものか。
2018 5/27 198

* 起床9.10 血圧計測できず 血糖値97 体重65.7kg
2018 5/28 198

* 前立腺にいまぶん癌の心配はありませんと。

*感染症科とふたつ、予期していたより早め、四時には解放されたが、強烈な肩こり頸の痛み、とても銀座へ戻る元気なく、処方された沢山な薬を受けとったあと、築地の更科蕎麦でおそい昼食(早い夕食)を辛うじてとり、電車の便も悪く二度乗り換えで辛うじて帰ってきた。
機械の前へ来たら、鎚で打たれるほど思い肩こりと脚の攣縮で悲鳴。ウウウウ
2018 5/28 198

* 横になっても、脚の攣縮痛と肩や頸の痛みは退かず。サロンパスを貼りに貼る。
外出続きであったとはいえ、こんなテイタラクでは衰弱してしまう。なにより、どんな旅も難しくなる。
五月はあと三日。「選集26」を六月八日に送り出しの用意は、この月内に出来る。すぐ引き続いて二十二日の「湖の本140」発送用意に掛からねば。六月はよほど忙しくなる。
しかも何よりは、長編創作の、鍛錬。渦を巻いてきている。

* 今夜は、もう十一時。やすむ。耳の奥が刺すように痛んだ。
2018 5/28 198

* 起床6.50 血圧計測できず 血糖値97 体重65.7kg
2018 5/29 198

* 一時間半か二時間おきに手洗いへ立つのでは熟睡成らず、早く起きた。
2018 5/29 198

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値110 体重65.1kg
2018 5/30 198

* 起床7.20 血圧計測できず 血糖値110 体重65.1kg
2018 5/31 198

* 昨夜も二時過ぎまで次から次へ本を読んでいて、ま、そこそこに睡れてポコッと早めに目ざめた。いま、九時。このぶんでは昼間に睡くなりそう。ま、いい。あるがまま。けれど暢気にはしていられない仕事の混みようで、なるままにとは捨て置けない。

おいおいと老いをはげまし老いらくの
老いのあまえの日々を追ひ行く    遠
2018 5/31 198

* 例年雨季まえから梅雨明けへの時季は妻のきまっての難所で、発熱したり、時には去年のように入院したりする。今年も、軽熱・微熱を出し、昼にかすかに雑炊を一椀食しただけで寝入っている。
花園神社特設舞台での、観たい松本紀保主演「天守物語」も、目下はパスの構え。わたしも妻も医者・病院通いが重なる。余儀ないまでも乗り越えて行かねば。

* 辛うじて夕方には起きて夕食を作ってくれた。食後わたしは潰れたように暫く眠り、妻と交替して起きて、ひとりテレビを観ていたが。疲れた。

* 大事な眼鏡の一つを見失い見つからない。見当がつかないまま、シンから腐っている。こんな気分のママ五月を見送ることになった。
妻の軽快を願う。
2018 5/31 198

* 起床8.20 血圧計測できず 血糖値121 体重65.1kg
2018 6/1 199

おいおいと老いをはげまし老いらくの
老いにつまづき日々を追ひ行く    遠

* 要用に備えて、のちほど、また病院へ走る。病院というところは、ひたすら「待つ」ところ。校正の仕事はひたすら進む。心身眼 疲れるけれど時間は無になっていない。。
さしあたり、夕食には何が食べられるか、わたし。食欲薄く、しかし酒は自転車に危なく響くしなあ。

* 建日子に委細を伝えて置いた。彼、仕事で、東京にいない。

☆ それは心配ですね。 建日子

* 太めの指輪のようなちっちゃなドーナツ三、四つとバナナ、缶ビール、で遅ーい昼飯代わり。これから、もういちど自転車で、病院へ頼まれモノ届けにゆく。慎重に走らないと。

* はっきり言ってなにゆえの即入院なのか、診断はついていない。ただ軽熱程度までは点滴していて、まだ上がる。本人は睡いらしい。ナースたちは昨秋のタイヘンな入院と手術をよく覚えていてくれて、なんだか、懐かしそうに歓迎してくれるのが奇妙。
出ないかと思ってた夕食も出たので、帰ってきた。自転車だと五分ほどで帰宅できる。しかし妻のいない家へ独りで帰るのはつまらない。
気分を刺戟したくて「和加奈」で中トロ鮨を一人前とあすのために太巻きを出前して貰った。鯛頭をこってりと煮たのを、わたしが独りと知ってお土産に添え て来て呉れた。ご馳走。そうはとても独りで食べきれないほど大きな頭だが、東村山の地酒が美味い。しかし妻が脂けを避けているので遠慮してきた「中とろ」 の厚い握りを一気に七つも喰ったのは、久々の快食であった。

* なんとなく酒の廻りで、睡くなる。忘れた心地で、ぐっすり寝入りたい。思い切って多く呑むよりいいだろう。

* 見失っていた大事な近用眼鏡の二つが、ケースのまま山と積んだ参考書の底から現れた、現れて呉れた。一の気がかりが失せた。ああ、よかった、が、まだ何かあったゾ。忘れる…ということが増えに増えた。ま、いいか。
もの忘れそれも安気や梅実生
と呟いてからでも、もう何年か。
2018 6/1 199

 

* 起床8.00 血圧計測できず 血糖値105 体重65.1kg

* 二時半頃まで本を読んでいた。

* もう病院では目が覚めているか。体熱、さがっているとよいが。
2018 6/2 199

* からだをやすめて午前中を家で過ごし、これから入院手続などのためにも病院へ妻を見舞う。
ハンコ捺しなどしながら黒澤明の「羅生門」を観聴きしていたが、写真の圧倒的な素晴らしさに反し、当時の録音性能のわるさが禍してT、名優達の言葉が聴き取りにくいのが、難。海外ではおそらく科白など飜訳されていて、その御蔭で華々しく注目されたと想われる、が。

* 三時四十五分、一度帰宅。

* 「羅生門」見終え、疲れて暫く寝入る。

* 六時過ぎ、頼まれもの持って自転車で病院へ。
微熱と下痢は続いているが、本人は元気を取り戻してきた気でいる。診断は曖昧模糊としていて、顕著なのは各種の点滴を続行中ということ。
七時には面会時間切れで。帰路、セイムスに寄り安直なラーメンを買ってきたが、すこぶる不味い。ヨーグルトに砂糖そえて二つ食べ、買ってきたやすもののバレンタインをちっとずつ嘗めるように。
睡眠不足で睡い。睡らないとバテるおそれあり、しかし、予定の、しかしささやかな一と仕事だけはした。十時四十五分、機械から離れる。
病院でも安眠してくれるように。どんな観戦にも侵されていないように、祈る。
2018 6/2 199

* 起床9.10 血圧計測できず 血糖値103 体重65.7kg

* 庭の草花に水をやる。

* 昨夕買って帰った安直麺類の不味さにおどろく。酔いさえしなければ酒は恰好の熱源だが。自転車での病院往来のためには自粛していないと。
暑い。
2018 6/3 199

* 十一時をまわった。病院の昼食の終える時分に今日も見舞う。かなりの日照り。
2018 6/3 199

* 正午過ぎに見舞い、一時に建日子も来てくれ、待合いで話す。妻は改善方向にあると見える。
わたしは朝も昼も食事らしきは成らず。常は何でもない背負い鞄が肩に食い込んで痛いほど。三時過ぎには家へ帰ってきたが、へとへと。ミルクを呑みながら ミルク瓶を卓から落とし、床はミルク浸し。暑さにも負けている。酒は、酔いが早く、自転車に乗るためには禁じるしかない。昨夜は十分な時間寝たと思うのだ が、今夕方四時、へとへと。
もう一度見舞って、早く帰宅し、寝ようと思う。大きな冷蔵庫が、わたしには、ほとんど役に立っていない、のではなく、わたしが蓄えてある品々を生かしてくう術を知らないのである。バカである。

* 明日の検査で異常がなければ水曜には退院かと聞いている。それまでガンバルから、無事退院へ漕ぎつけて欲しい。
これも、「選集」送り出し「用意」がカンペキに出来ていればこそ、まだ身も保っている。「待ったなしの仕事」と「必要な見舞い」と「ひとり暮らし」とが、きりきり成り立っているのは早め早めに仕事の「用意」を終えているから。

* 六時帰宅。セイムスで買ってきた串団子とあんパンと缶ビールで夕食に。躰を横にしてやりたい、と思いながら。
2018 6/3 199

* 九時半、ドラマはそのままに、もうやすもう、床についてよこになろう。
妻の明日の検査が無難に済むように祈りたい。無事なら、水曜朝の退院がゆるされるかと期待している。今日見舞った妻は、概ね、元気を回復し、熱もひき、 下痢もとまり、苦痛は訴えていなかった。ベッドの上で、わたしの責了を控えた選集校正ゲラを、「いい原稿」と喜んでくれながら、読み手伝いもしてくれてい た。
いい眠りの休息をと願う、妻にも、わたしにも。
2018 6/3 199

* 起床8.00 血圧計測できず 血糖値99 体重65.3kg

* 計測し、ついで生ゴミを裏口外へ出す。きのうセイムスで買った団子の二串で朝にする。とにかくも湯とお茶を沸かす。ついでこの機械を温めにきた。機械作動 に、この夏でも十分もかかる。此の機械はもう気息奄々の状態なのだ、お互いに身を寄せるように働き、働いて貰っている。機械の中身を取り出して保存せよと 親切に機器を二回も送って来て貰っているのに、それをどうするのか頭働かず、二つともそのままに近いまま置いてある。何と知れず、放心しているようなアン バイ。
2018 6/4 199

 

* 今日、再度三度の諸検査。無事を祈る。
午前中は家で過ごす。牛の這うようにじりじりと要は進めているが、疲労も濃い。去年の入院は、一度目は雨季でずぶぬれて自転車を走らせていた、二度目の大事は晩秋であった、もう冷えていたが、只今のこの蒸し暑さより見舞いへの自転車往復はラクだった。

* 妻、電話してきた。青汁や香醋などのありか、分かる。
検査は終えたと。状態は良くなっていそうに想われる。ありがたし。

* 午前中、目いっぱい力仕事ふくむ要事を片づけた。機械の前、冷房していても暑い。瞼はいつも半ば垂れて、睡い。
昨夜、式亭三馬の「浮世床」読みはじめた。おもえば、妙なモノばかり読んでいる。「聊斎志異」「千夜一夜物語」「手鎖心中」「失楽園」「家畜人ヤプー」等々。
羽生さんの「意匠の楕円」、新井教授の「五日市憲法」、歴研の敗戦後「日本史」など、まともな本。
とにかくも 無事是好日でありたい。
2018 6/4 199

* 日盛りの二時に病院へ。概ね快方に転じていて、明日もう一日点滴し、明後日午前中でたぶん退院と。悪い感染もなく、悪性の熱でも無かったのは真実有難い。怪我無く無理もなくなんとか酷暑の夏を乗り切りたい、そういう気構えのための一週間治療であったと思おう。

* 六時の配膳を見届けて帰ってきた。串団子二た串、ヨーグルト、缶ビールや少しの洋酒・日本酒で、京マチ子・森雅之・久我美子・浦辺粂子らの犀星原作「あにいもうと」を観て、休息。校正の仕事は、病院で、やすみなく進行していた。
京マチ子、ことに久我美子を、わたしは昔から好き。この映画では森雅之の「兄」も佳い。「羅生門」の森雅之より情も実もみえて男の美しさがしっかり出た。 浦辺粂子ら両親、そして兄の森、姉(いもうと)の京マチ子の中心にまだ細いが心清い心棒のように清潔な妹の久我美子が立っていた。小品とも謂える映画だ が、記憶から消え失せない佳品である。
2018 6/4 199

* 機械の前で居眠りに落ちていた。もう閉じて階下へ。そこし酒を味わって寝よう。

* いま、機械の中の黒いマゴと、ながなが話しあうていた。とってもいい顔といい目をしてくれている。
2018 6/4 199

* 起床7.00 血圧計測できず 血糖値89 体重66.5kg

* ワケ分からず食べられそうなあれこれを呑み込むように口にしていて、体重が増えていた。
何に驚いたかフト目ざめて。そのまま起きて、溜まっている瓶・缶の類を指定の場へ出してきた。便意を促すにだけ役立つような朝食、冷たいミルクとパン少し。睡いが。

* 上野千鶴子は「おひとりさま」という一語を表題に含めた本をもう五六册も呉れている。家事は曲がりなりに最低限は覚えて行くにしても、「ひとり」で老 耄の命を永らえて行くどんな意味・喜びがあろう。世間も國も世界も、心惹くナニモノもなく、心惹く多くの全ては過去への記憶にある。自分一人で創れる世界 はあろうと思うが、「ひとり」でのそんな営みにどんな喜びがあり得よう。
安倍、麻生、自民、トランプ、金世恩、習近平、プーチン。わたしに生きる嬉しさをささえるどころか醜悪なまで日々の立ち行く土台を破壊し続けている。もうケッコウだ。

* よそう。何を書き散らすか知れない。
2018 6/5 199

* ともするとトロンと睡くなる。眼をとじてしまう。

* 一時半に病院へ。六時まで病室や待合いで選集27の再校を。妻も手伝って読めるようになった。今夜まで点滴をつづけ、明午前退院が予定された。無事に帰って欲しい。

* 夕飯に饂飩を茹でてみたが、美味くは行かなかった。神戸の吉田章子さんに送っていただいた珍しい純米大吟醸の一升瓶の口を切った。呑むと、とろっとす るが、八時半、これから一仕事する。 とにもかくにも撫に明日の妻帰宅を待ちたい。早めに床に就こう、などと思いながらどうしても一時、二時まで本を読ん でいる。黒澤明の「七人の侍」が観たくもある。黒澤映画には、想じた聊かの難があるような気がしている。「七人の侍」は名作に類するが出だしに、三十分ま では満点の出来には思われない。『羅生門』でも『どん底』でも、後期の大作でもそれを思う。「天国と地獄」とかいった現代の警察映画の叩けば音のするよう な緊迫作をわたしは佳いと思ってきた。

* 「湖の本140」発送用意の七割ガタまで進めておいた。安心というもので、安心に乗じ、躊躇っている小説の難所へ吶喊したいもの。
もう十時半になっている。機械から離れる。
2018 6/5 199

* 起床6.00 血圧計測できず 血糖値93 体重66.5kg

* 苦いものがこみ上げ、そのまま床を離れた。
2018 6/6 199

* 十一時前、退院。玄関で迎えた。よかった。

☆ 退院!!!
水曜日、今日は退院。午前中の退院でしょうか。本当に良かった。一安心です。
電話が苦手でも、やはり急ぐ時には絶対躊躇なく!!! (わたしも同様でほとんど自分からかけませんが。)たとい些か強引でも、(病気や事故の折は=)それだけ当事者にとっては緊迫したことなのですから。
何事も起こらず、日常の平凡にあることが実に実に有難いことと思います。
「だんだん生きて行くのが重くしんどくなりますが、気を奮いたたせ、だからこそ、気に入ったしたい仕事を優先し、「仕事屋」になって日々を、と思います。」
これは羨ましいと思われるほど、「若い」鳶にとっても切実なことです。老後だと悟ってのんびり優雅に暮らせばいいではないかと、それはある点では潔く立 派かもしれませんが、わたしの何かを求める「貧乏性」と、まだまだできるはずと言う思い込み・過信に惑わされ駆り立てられています。
が、心ゆくまでの鳶の飛翔など、到底できないのが現状です。

鴉は今日のHPで、一人生きることの苦悩を「想像」して、到底耐えられない事と述べておられ、それだけ伴侶である迪子様への深い思いを常に語っています。それは幸福であると同時に一種の強迫観念も抱え込むのではないでしょうか。
人は自分の将来を見透せませんが、誰でも一人生きなければならない可能性は否応なくあるのです。そしてそれに耐えなければならない時間もあるのです。
わたしは可愛げない人間で、どんなに苦しくても自分はそうなっても耐える、耐えられると。一人だったらどんなにか自由に飛翔できただろう、飛翔できるだろうと。思いあがった人間です。(鴉のメールを読んで思わず泣いてしまった。)
とにかく、転ばず、飛びたいです。

生まれ生まれ死に死んで、それでもやはり人は暗冥の中。今のわたしは死後も来世も曖昧で、信じていません。何かに頼ることも恐らくないでしょう。ただ、生きる上で大いなるものへの畏敬、信仰、讃仰の念は失いません。

今週は絵の教室の展示やら雑用があり忙しく過ごしました。
以前スケッチした菩薩像、その場で写真を撮れなかったのでそのままになっていましたが、インターネットでコレクションの写真集を見つけたので描いています、十号の小さなものです。京都やスペインの風景などを描いていくつもりです。

少し前にギャラントリーについての質問がありましたが、辻邦生氏の『私のニ都物語』p84に記述があるのを見つけました。少し長くなりますが。

「たしかにフランスでも男と女のギャラントリーの楽しさはある。肉体の快楽を前提にした、それへの無限接近するプロセスの精神のゲームの楽しさとでも言 おうか。決してプラトニックではないが、かといって絶対に、ばかみたいな肉体派ではない。男と女であることの、虚栄の楽しみ、嘘を言う楽しみ、裏切る楽し み、相手の美点を数えあげる楽しみ、一緒に音楽を聴く楽しみ、驚かす楽しみ、冗談を言う楽しみ、悪口を言う楽しみ、ひたすらおごる楽しみ、おごられる楽し み、-そうした一切の楽しみをとことん味わうのが恋のギャラントリーというものだが、江戸前の女にも、それがあるということ
を・・」

彼にとって恋は、恋のギャラントリーは「楽しみ」・・か。
鳶の感性では楽しみに終わらない、あまりに深く冷たく昏いものが紛れ込み中心に巣くっています。要するに余裕がない、容量が足りない、度量の問題と言い切ってしまいたくなりますが!
遺伝子に組み込まれたDNAは生命体の存続を至上第一の目的とし、ヒトもまたその限界の中に生きています。寿命百歳の社会が、と言われても、百歳を生き るのは「シンドイなあ」と感じます。死ぬことはやはり怖いけれど、命の鎖を次の世代に繋げて、一個の生命体・わたしが朽ちていくのが自然なのだと思いま す。これから先の時間の中で、どれだけの安らかさを見出していけるだろうと問いかけます。

退院手続きにもう病院に出かけられた頃でしょうか。
お二人ともゆっくり静養されますように。栄養あるものを食されますように。
元気でありますように。  尾張の鳶

* 有難う。
以前の、オオ事だった入院からは半年余、身の衰えと絡みつくような暑さと冷えとの一週間、かなり今度はわたしがバテました。やっと湯につかったところ、湯の中で寝入りそうでした。
2018 6/6 199

* 夕過ぎてより、半袖の腕や、背が、「寒い」と感じている。風邪をひいてはいけない。

* 仕事、中途だが、十時過ぎ、寝に行く。
2018 6/6 199

* 起床10.00 血圧計測できず 血糖値98 体重66.6kg

* 夜中、一時間半も、やむなく起きていた。

* 全身不快。捌き切れない。とにかく今日の要事を済ませる。凸版印刷や製袋への支払いを終え、必要な用意の品を揃えに文房具店へ自転車で往来。
家中を好きに鼠の走る痕跡あり、対策に追われる。
2018 6/7 199

* 明日を待つだけになった。選集第二十六巻が、朝、納品になる。送りだし、ラクではない。三日かかるなら四日かけて送ろう。今日ははやく寝よう。
2018 6/7 199

* 起床8.10 血圧計測できず 血糖値90 体重66.1kg
2018 6/8 199

* 体調は、お世辞にもいいですとは謂えない、ただ、行き行くのみ。一時間ほど湯に漬かろうと思う。
2018 6/8 199

 

* 起床6.00 血圧計測できず 血糖値85 体重66.1kg

* 睡れず。疲労。
2018 6/9 199

* 起床10.00 血圧計測できず 血糖値110 体重66.2kg

* 睡れて好かった。
起きてすぐ送り作業を再開、懸命に三時前まで。三時までに申し込まないと郵便局が集収に来てくれない。もう持っていってくれた。
妻がよく頑張ってくれた。一冊一冊が重い気の張る送本なので荷造りは容易でない。
今回の第二十六巻は「京都」論攷や講演やエッセイを纏めたので、京都の読者、縁者、知己に優先して贈呈した。

* 腕など露わにしていてヒヤッと肌寒いのは、汗ばんでいるからだろうが。一風呂浴びたい。
2018 6/10 199

* 起床6.30 血圧計測できず 血糖値92 体重66.4kg

* 絶不調 熟睡できず、はやく 独り起きて「仕事」した。

* 雨中 近くの皮膚科へ行ってみたら、整形外科医が皮膚科診療を。皮膚科は内科系の医療を要する医学、わたしが大昔、医学書院で編集担当したことのある 「臨床皮膚泌尿器科」誌は、わたしの担当途中から学界の趨勢に応じ「臨床皮膚科」誌「臨床泌尿器科」誌に分離した。皮膚科は内科学の分野、泌尿器科は外科 学の分野と必然理解が革まったのだった。
いまどき皮膚科の看板を掲げて整形外科専門医が診療しているとは驚いたが、当座の投薬が奏功しなければ専門の皮膚科を「紹介」するのだと。
2018 6/11 199

* 催眠力のある薬を指定通り夕食後に服し、そして入浴、妻は二階で毎日のきまりのピアノ。
その間に、浴槽で寝入って沈没、あやうく顔は上げたが身動きならず、浴槽から遁れ出るのに渾身必死の力を搾りだし朦朧と浴室の外へ出られた。怖いほど危険だった。二階へ呼ぶこともできず、かろうじて手洗いの便座へ腰をおろて回復を待った。幸い徐々に回復したが。
どうか叱責しないで下さい、今後十分気を付けます。入浴中はお互いに間近い部屋やキッチンで
それとなく待機・要心することに。

* 幸い回復し、おちついたところで、松たか子らの時代劇映画「隠し剣 鬼の爪」を二人で観た。佳い出来であった。
2018 6/11 199

* 起床9.15 血圧計測できず 血糖値97 体重66.2kg
2018 6/12 199

* からだに、妙に気色わるい違和感がとだえず、困惑。ときおり寒気がする。集中力を殺がれて困惑する。
2018 6/12 199

* 起床7.30 血圧計測できず 血糖値82 体重66.0kg
2018 6/13 199

* 散髪。

* 疲労。
2018 6/13 199

* 起床7.30 血圧計測できず 血糖値100 体重65.6kg
2018 6/14 199

* 全身の違和と不快居座り、夜中にもいたく咳き込む。いちばん迷惑なのは集中力の落ちること。散髪で無精髭も髪もじゃも解消したが、視力と視野の不安定は如何ともしえず、ただ辛抱あるのみ。

* 抗癌剤以降 歯が多くおちて入れ歯になってはまともに喋れないが、顧みて、随分数多く、テレビ・ラジオで話し、また保存し得た講演録また対談座談会の 数多かったことに、今更に驚く。今ひとつ驚いているのは、作家同士での対談や座談会は数回としかなくて、多くは若かった昔から、いつも著名な学者・研究者 に向きあったり、中へ加わって、緊張も恐縮もせず普通に話しつづけていること。
思えば「作家仲間」といったつきあいが、少ないどころかほぼ「無いまま」に半世紀過ごしてきたのに、今更に驚く。国文学、歴史学、思想・哲学、美術、演劇等の知己の方が断然数多く、そういうお付き合いにわたしは久しく励まされ続けてきた。
やっぱりヘンな人であるらしい、わたしは。

☆ 虚空裏に向つて釘橛(ていけつ)し去るべからず。
「虚空に釘を打つような真似はするな。」    臨済

* 問うては擬議し惟うては擬議し応えても擬議している。臨済和尚はそんな横面を張る。張られてばかりいる。それでも、うじついていず、たとえ天下の嶮であれわたしは、今も、小説を書いている。ピシャピシャと自分で頬を打ちながら書いている。
2018 6/14 199

* 起床9.00 血圧計測できず 血糖値91 体重66.6kg

* 夜中三時から一時間あまり、体調を労りながらキッチンで仕事していた。安眠しにくい。
2018 6/15 199

* 起床10.00 血圧計測できず 血糖値90 体重66.5kg

* 腰を痛めていて、就寝時にひびく。仰臥のままの長時間各種の読書がこたえているのだろう。夜中にどほどは手洗いの戻りに十分ほどキッチンで腰かけている。
このところ奇怪で凄みな夢は見ない、穏当な物語っぽい場面にはめ込まれている。昨夜もとても懐かしい気分の夢を二場面ほど、間をあけて、見ていたように思う。
2018 6/16 199

* まだ東工大を「卒業させません」と、卒業生達に呼ばれて、今夕、街へ出る。久々。飲み過ぎないように要心を、そして楽しく過ごしてきたい。

* 日比谷のクラブ、奥の部屋へ入って、柳、降旗(松林)、新野三君と、まず小さいカップのビールで久々の再会に乾杯のあとは、先日妻の買っておいてくれ たトビキリのスコッチを一瓶明ける気で、私の好みの賽子ステーキとエスカルゴ、それにクラブ・サンドウィッチなどで談論風発、いわばむしろ生真面目なほど の話柄のまま皆が甲乙なく思いのたけを語り合った。昔の、秦サンの教授室のままであった、人の消息や噂ばなしはヌキに、ひたすらかなりむずかしい「文明と 文化」の議論に楽しく心よく終始できた。朱塗りの大鉢に稲庭饂飩、そしてコーヒーと好み好みのアイスクリームで仕上げた。みな、なによりも超特級のウイス キーを大歓迎してくれて嬉しかった。こな、本当にいい大人、いい仕事人・家庭人になっていて嬉しく安心した。「東工大」への深い意味での感謝を覚えた。

* あえて九時半ごろには切り上げ、ロビーで三人と別れて案じたほど疲れも弱りもなく、(要心して私自身は多くも呑まず、ごく少なくたべてきたので、)地 下鉄と西武線を乗り継いで、駅でタクシーは待ったけれど十一時前には無事帰宅した。遠藤恵子さんお心入れ、桜桃忌まえの美しい桜桃を十顆ほども、甘く、し みじみと口にした。
2018 6/16 199

もう今晩は打ち上げと、床について、それでも「湖の本」141巻初校を、気を入れ、し終えておいて、寝た。
2018 6/16 199

* 起床10:00 血圧計測できず 血糖値87 体重66.2kg
2018 6/17 199

* 戴いた「ちょいボトル」一ダースには「お父さん 日本一」と富士山に文字を重ねた大きめの枡が附いていて、一本分が丁度はいるよう、それをもう一本二 本と戴いているところへゞ送り主の「珠」さんから凝った酒肴の幾包みかがまた届いて恐縮、またまた「ちょいボトル」の栓を切ったり。
そして、橋本さんに戴いた伊勢の珍味から鮑で飯を煮てもらったのが美味しく、すこうし体重が増えそう、痩せる一方ではイカンなあと思っていたので、感謝もひとしお。
2018 6/17 199

* 体調に考慮し、このところ、ほぼ毎日薬湯に入浴し、相変わらず校正もするし本も読んでいる。今日はもう校正が無く、「千夜一夜物語」「五日市憲法」敗 戦後の「日本史」をどれも面白く興味深く、教わり教わりゆっくり読んでいた。いい照明のほか水分だけはたっぷり手近に用意している。
2018 6/17 199

* 起床7:50 血圧計測できず 血糖値83 体重67.4kg

* 食べると体重がしっかり増える。昨日の鮑ご飯や桜桃や酒と肴がしっかり効いた。
2018 5/18 199

* 起床7:50 血圧計測できず 血糖値88 体重66.8kg
2018 6/19 199

* 二人で予約の歯医者へ。妻は入れ歯の調製に一時間余もかかった。
桜桃忌という日でもあり、その脚で銀座へ出、肉が食べたいというので、三笠会館の七階の焼き肉へ上がった。神戸のクロ和牛を、妻は100グラムと野菜な どと少量のビール、わたしは200グラムの肉だけをビールで。此処のビールの美味いことは以前に独りで確かめていた。至極満足。
散策かたがた日比谷のクラブへ入り、先夜、柳・降旗・新野君らが呑み余したとっておきのスコッチをわたしは味わい、妻はコーヒーとアイスクリーム、顔なじみの女の子達とも談笑を楽しみ、さらっと引き上げて一路帰宅したが、十時をまわっていた。
2018 6/19 199

* 起床7:00 血圧 128 – 53 (95) 血糖値79 体重66.8kg

* 雨中、聖路加病院内分泌科へ。糖尿病としては特別の問題はない、が、間食中心の食事でなく、三食をきちんと攝って欲しいし、散歩でいい、よく歩くようにと。腎臓のややの衰えは高齢に相当、肝臓はとても綺麗ですと。

* 院外薬局で処方薬等を受け取って、一時。くるまで松屋わきのフレンチ「ボンシャン」で昼食、前菜比目魚のマリネやアスパラの二皿、そして柔らかい肉。シャブリの白と赤と美味いワインを。パンもデザートもコーヒーも美味く。銀座一丁目から「保谷」行きを待って乗り、いい気分で帰ってきた。

* 昨夜來、今日へかけ仰天するほど沢山な戴き物や来信で、まだ、のけぞったまま。先に、昨日桜桃忌の日記を書いておかねば。
2018 6/20 199

* 起床7:30 血圧測定できず 血糖値101 体重66.2kg

* 朝、不快。

* ただ、臨済に会う。
2018 6/21 199

* 八時半。昨夜、安眠・熟睡が出来なかった。明日は朝から神経を使う力仕事になる。やすもうと思う、が、仕掛かりの仕事がほかに幾つもあって、すこしずつでも前へ運びたい。
2018 6/21 199

* 起床7:30 血圧135-66(76) 血糖値91 体重65.8kg
2018 6/22 199

* 今宵は、妻と、鏡花の映画「歌行燈」をあらため満喫し感動した。山田五十鈴の品位の舞いの表現に感心した。

* 日付が変わろうとしている、安眠し、また明日を迎えよう。
2018 6/22 199

* 起床8:00 血圧143-68(61) 血糖値97 体重66.7kg

* 懸命作業、夕刻ほぼ見通し立つ。
2018 6/23 199

* 久しぶりにピザを註文した、が、やはり、いまイチであった。

* 三日ぶりにゆっくり入浴、読んでおきたかった本の要所を丁寧に読み耽った。
2018 6/23 199

* 起床8:20 血圧147-77(62) 血糖値89 体重67.1kg
2018 6/24 199

* 起床7:50 血圧147-69(54) 血糖値86 体重67.9kg

* 朝、からだに元気がない。
新宿歌舞伎町まで、建日子が監督した地方創成映画「キスする餃子」とかいう上映を、午後、観に行こうと妻は熱心、場所柄だけに街慣れない婆さんを独りでやるわけに行かない。
昔なら新宿というだけで心はずんだが、人波を分けて歩くと思うだけでしんどい。もう何年も新宿は伊勢丹の辺まてで、歌舞伎町など何十年も行ってない。先日、松本紀保の誘いで花園神社境内での「天守物語」の案内があったのも、随分気を惹かれながら体調を慮って辞退した。
59年前東京へ出て来て河田町に暮らし始めた頃は新宿は「天国」ほど魅力に溢れて想えた。伊勢丹わき鰻の「田川」 三越うらの天麩羅「船橋屋」など、な けなしのカネをはたいて食事も楽しんだ。往時は渺茫として遙か。この三十年は、街というと銀座、築地。ときどき浅草、上野も楽しんだがいまはトンと間遠。

* どよんと疲れて、視野がもううす暗い。

* ロスの池宮さん バルセロナの岩見さん、らへ送り終える。

* 暑い。午後になると都心は33度とか。危険。外出はトリやめる。

* 疲労のママ 午前にも午後にも からだを横に寝入っていた。

* じっくり構えて、長い小説の構想を 変えないまま太らせ始めた、肥満体にはしないつもりだ。
2018 6/25 199

* 腹具合、なんとなくノロリと重い。その一方で改善されて行くらしい全身症状も認知できている。腸が微かにククーっと音を上げている。視野がくらく、しょうじきなところ躰は寝たいらしいが、わたしはもう少し小説と組み合いたい。十本の指先がみな痺れて感触が萎えている。
2018 6/25 199

 

* 起床8:30 血圧143-65(59) 血糖値86 体重67.1kg
2018 6/26 199

* 起床8:30 血圧128-64(72) 血糖値97 体重66.9kg

* 起きて、まっさきに二階の機械に電源を入れておき、故紙回収への重い荷(わが家からは選集や湖の本本の故紙はじめ本も雑誌も新聞も、ダンボー ルなども、しこたま溜まる。妻の荷造りもたいへん、わたしの運びもたいへん。足腰の痛むことは。)を十も十五も指定の場所(わが家の塀外)へ運び続け、草 臥れて一時間半ほど「また寝」してしまった。
その間に、昨日の留守に戴いていた文化出版局中野完二さんから「(選集26)お祝い」「お中元」にと二本の名酒「やまと櫻」が届いていた。
二階へ上がって機械にさわると、いつもの十、二十分の一の速さでこの「私語の刻」の画面が現れ稼働可能になってくれた。好感、この上なし、とにかくも機械を電氣であたためて置くのがなによりらしい。ひとつ確認した思い。
2018 6/27 199

* 入浴後、疲労。それでも機械のまえにいた。十時過ぎ。もう階下へ。
2018 6/27 199

* 起床8:30 血圧137-59(56) 血糖値91 体重67.0kg

* 蕪村に「月天心まづしき町を通りけり」というのがある。「まづしき町」の読みはいろいろに有りうるが、わたしはもう何年も何年もおなじような 凄惨な家ともいえぬ家々両側から包まれた細道を夢に見る。ゆうべもかなり長い間 繰り返しそんな怖い路地をいくつも、幾度も、通っていた。わたしにはそん な原体験は無かろうと思うが、少年時代にいつしかどこかしらで擦り込んできたのだろうか。

* 概して、夢では、同じ夢に出会うという実感がある。ほかにも思い当たる数種の同じ夢見を覚えているが、いずれも原体験を察することはできない。空を游 いだりしている。山巓からふかい谿へ大きく身を投ずることもある。高い山際から深い谿へかわらけを投げたりは鞍馬の嶺で体験した反映か。
懐かしい人たちの夢が見たい。ネコ、ノコ、黒いマゴたちの夢がみたい。どう間違っても安倍晋三の顔など見たくない。
2018 6/28 199

*  胃袋を全摘し体重を一気に20キロ落としたのは結果的に好かったと思う。覿面に糖尿は改善された。いつ検査を受けても腎臓のおとろえは年齢(82歳半)相 応で肝臓も心臓もきれいですといわれてきた。筋力の衰えは情けないほどで寝床から起つのに苦労するほどだが、これはサンザ言われているのに歩かないから で、自業自得。しかし自転車で少々の坂道なららくに走っている。すれちがいにご近所さんに「お元気そう」と声をかけていただく。
それにしても疲れは早いが、お酒はシッカリ戴いている。

杜子美 山谷 李太白にも 酒を飲むなと詩の候か    隆達小歌

と居直っているが酔いは早く、よく寝入る。寝るは健康法と勝手にきめている。
2018 6/28 199

* 小説をジリッと進めて。もう機械の字が霞んできている。階下へ降りる。
2018 6/28 199

* 起床7:50 血圧137-59(56) 血糖値97 体重66.7kg
2018 6/29 199

* 十時半。もう、やすむ。
2018 6/29 199

* 起床8:45 血圧121-62(62) 血糖値90 体重66.7kg

* 初めて明け方まで冷房して寝ていた。

* 鼠(らしき)に、夜中台所を襲われつづけている。出入り口は(一応)密閉して寝ているのに、どこかから入られているということ、合戦はわれわれ苦戦の体で、無念。今朝は床に出していたメロンの尾を丸く囓られていた。形跡歴然。手ごわい。
2018 6/30 199

 

* 起床8:30 血圧137-69(63) 血糖値96 体重66.3kg
2018 7/1 200

* あす午後二時過ぎには、聖路加感染症内科古川先生、最後の診察。その後はどなた引き継ぎの先生をご紹介戴く。内分泌内科でもすでに同じことがあった。
診察予約時間まえに生理検査が必要なので、一時前には病院に入ってたいが、真昼間の通院、さぞ暑かろうなあ。涼しい外来で永く待つのは、「校正」という仕事がたっぷり有って、苦にしないが。
2018 7/1 200

* じりじりじりと書き進んでいる。長編の到るところへ目を向け直し直ししてね畢竟それを楽しんで居るかとも。しかし、もう目が見えない。
2018 7/1 200

起床7:30 血圧137-65(66) 血糖値96 体重66.9kg

* 抹茶を、ときに薬湯として量を多めに喫んでいる。幸いにお菓子も、またお酒も、いろいろに有難く戴いている。
左脇の腰に痛みが来るのは、いろいろに手当てしてなんとか捌いている。

* 昨夜も一昨夜も 仰天するような夢を見ていた。幾らか覚えていても書き表すスベを忘れてしまうような破天荒な夢を見る。
足の爪先までひたすほど身に迫った幅数十メートル満々と奔る河面を埋めるかのように巨大な鯨やワニや鮫や、象や虎や犬や鼠までが泳ぎ流されて行くのを少 年のわたしは茫然佇立し見つめていた。わたしの背後はごく普通の民家に挟まれたせまい路地で、つと振り向くと女の子が立っていて顔が無かった。一昨夜だ。
昨夜のは、昔の弥栄中学校舎の三階廊下でいろいろあったようだが、夢の記憶はもうはかないほど崩れてしまった。
いまの世の中、ケッコウとはとても謂えず、イヤな噂ばかり聞かされるが、聞くから聞こえるのか、聞いて処すべきなのか、耳をふさいで余念ない幻想に身を投ずべきか。識らない。

* おそるべき照りつけのもと十時四十三分のバスを待ち、 遠い築地の病院へ通った。十一時には着いた院内は、涼しく、明るく。検査をすませ、検査結果待ちも含めて、診察室に呼ばれたのが二時四十五分。持参の再校 ゲラ読み、驚くほどたっぷり捗った。わたしのような仕事を持たず待つ患者さんは、どんなに長い待ち時間が辛気くさいだろう。わたしは、それを逆用し、根気 仕事を格段捗らせる好機にしている。

* 感染症内科の診療、今日で終了、主治医は定年で転院された。わたしには早くからもう案ずべき感染症などなにもなく、ま、生理検査を欠かさずしながら、 ま、先生と顔を見合うてすこし文学その他のお喋りを楽しむための、そしてアリナミンなどの健康薬をたくさん処方して貰うための通院だった、よく判ってい た。それで好かったと思っている、血液等の検査をして貰えるのは何よりだった。
ま、この科での受診は、かくて、めでたく終了。
感謝の記念に、「永楽」幕末の名人と称えられる保全作か和全作か、小品ながら藍の発色みごとに会心と見える「祥瑞写」の「湯飲」を差し上げてきた。「祥 瑞(しょんずい)」は中国磁器のなかでも藍色のあまりなめでたさを称えた通称で、和全も保全も中国の名品を実にみごとに「写す」技倆をもっていた。

* 最後の処方箋を薬に換え、ぎらぎらに照った築地を途方に暮れたように歩いて、半ば仕方なしに「玉寿司」極みの鮨をめがけて店に入り、馴染みの板サンと 久しぶりの談笑、酒は一合におさえて、新富町から有楽町線に乗ったときは六時前、家路への客で満員のなか、親切な若い女性に席を譲って貰えた。助かった。 小竹向原で西武線への電車に乗り換え待ちの間に脚が攣りかけ、手指も捩れかけ、なんとか堪えてまたも満員のなかやはり若い女性に席を譲って貰えて、辛うじ て保谷まで帰れた。水分を摂って立ち直り、タクシーで帰宅。今季最高の酷暑日であった。二本のペットボトルにも助けられた。脱水が怖い。
2018 7/2 200

* 起床8:30 血圧148-66(66) 血糖値101 体重66.6kg
2018 7/3 200

* 十時半を過ぎた、もう視野が不安定に滲んでいる。機械から離れる刻限。幸いと、明日も出かけねばならぬ何用もない、落ち着いて仕事が出来る。床についても少し早く電灯を消した方が良い、昨日も二時過ぎまで裸眼で本を、すこしずつ、読み耽っていた。
2018 7/3 200

* 起床7:30 血圧139-70(64) 血糖値93 体重67.1kg

* 日本海を颱風が北へ向かっていて、保谷の空も重苦しく風がモノを揺すっている。
2018 7/4 200

* 炎天下を 凸版への支払いなどで、妻と郵便局へ歩いた。「セイムス」へも廻って、わたしはロート製薬の「Z!」という強烈な目薬を買った。病院眼科で 処方の三種の点眼薬はそれなりに緑内障などに必要と判っているが、滲み霞んだ視野を明るくはまるでしてくれない。買ってきた「Z!」をさしたら、強烈な痛 いほどの清涼感でしばらく目が明かなかったが、明いてみて視野の清明、テレビ画面の斯くも清んで綺麗なのをもうすっかり見忘れていたのに気づいた。機械へ 来ても、もう二時間ほど、画面がまだいつもの何倍も明るく字が読めている。この場限りでありませんように切に期待し願い上げる。
2018 7/4 200

* 起床8:15 血圧137-69(60) 血糖値91 体重66.6kg
2018 7/5 200

* この腰掛けの足もとにいま一つ大きな袋におよそ三十册ほども「初出記録」を書き出しただけで機械に本文の収容されていないのが狭い場所をもう何年も塞 いでいる。これらも片づけて落ち着くべき場所に落ち着かせてやりたいが。一頁一頁ずつ機械へコピーして行くのは、「時間」がなあ…と嘆かわしい。、ま、泣 いているヒマに仕事をするしかないのです。「外歩き」は出来ないなあ。

* 「選集 第二十八巻」の編輯作業を、腹を決めて、始めた。「読む」という眼の仕事、「選集 第二十七巻」の責了も 「湖の本 141巻」の初校も 眼の仕事。
創作と編輯と私語などは機械での眼の仕事、校正はたいてい横になってからだ安めながらの眼の仕事。そしてたくさんな読書がまったく眼でのどれもみな甲乙のない、まったく眼での楽しみ。
いま嬉しくてならないのは『ゲド戦記』世界へ帰ってきたこと。『千夜一夜物語』も『聊斎志異』これに類してまことに面白く、『失楽園』は崇高な詩的世 界。一字一句ものがさず読み耽る。いましも楽園にしのびこんだ堕地獄のサタンがあらわれてイヴを誘惑しつつある。そして『浮生六記』のなんという雅にして 美しい生活感覚。
『家畜人ヤプー』は、これらのみごとな優秀作の前では奇怪に過ぎている。
筑摩の大系では、真継伸彦さんの代表作長編『鮫』を、再読中。
新井教授の『五日市憲法』にはホトホト感銘、この起草者「千葉卓三郎」の生涯を優れた映像ででも観たいと願う。この本を読んでいると、現政権への厭悪と嫌忌の思いがますます激しく募る。
前世紀の六十年代から、わたしは、東京で、敗戦後現代における米国帝国主義の軍事と経済での悪辣と、米国の言いなりに日本の保守政権が国民の「脱政治 化」をさまざまに画策しつづけて成功してきた道筋を実地に体感してきた。そのことを歴研の「敗戦後現代史」は悔しいほど鮮やかに実証して見せてくれる。読 まずにおれない。
ジェンダー、フェミニズムに関わる文献も何冊かの本を引き寄せて批評的にではあるが興味も感じつつ読んでいる。
「源氏物語」岩波文庫新版の四巻が届くのを待ち望んでいる。それまでは川端善明さんに「説話の径を」案内して戴く。これらの本を、おおかた全部、一日の 内に、なんどかに分けて、読みたいだけ読んでいる。好きに本の読める日々。少年の昔にしんから憧れた日々。あの頃は、ひとに借りるかよその家へ上がり込ん で読ませてもらうしか読書は出来なかった。ただ、ありがたいことに、読書を「極道」と叱った秦の父の父親は難しい本の蔵書家であった。なかでも沢山な種類 の漢詩集や漢籍を溜めて遺していってくれたのは、途方もない恩恵だった。感謝に堪えない。
2018 7/5 200

* 起床8:00 血圧134-61(56) 血糖値106 体重67.0kg

* キッチンの食卓に置いた紙箱を食い破って菓子が喰われていた。鼠としか想われず、朝一番、余のことは措いて、外から入って出て行くとしたら「此処しかな い」と観た一画を、妻と知恵と力尽くして塞いだ。ハテ、この戦、ひっきりなしに鼠がわに凱歌を上げさせてきたが、どうなるやら。
もっとも、キッチンに限らない、家中を去来しているやも知れず、この機械部屋でもかすかな物音に耳の戦ぐことあり、に防備前のモノもみな撤去の上、十日 ほど前には玄関の下駄箱の底に去来自在らしき隙間やフンを見つけ。ま、夫婦して完全に塞いだ気でいますが、なにしろ小ネズミのこと、僅かの空隙をめがけて 去来してい兼ねない。この数日は、キッチンにだけ遺憾の形跡を発見、ま、御苦労な対策に朝から疲れてしまった。
オーム真理教の麻原ら数人の死刑執行が報じられていて感慨もあり、身にふりかかる鼠害の現況も放置ならない。やれやれ。妻は草臥れて寝込んでしまった。
2018 7/6 200

* 十時。さ、コンヤはもう階下へ移動しよう。ゲラを読み、何冊も本も読んで、せめて一時には寝入りたいが。
2018 7/6 200

* 起床8:00 血圧140-63(52) 血糖値101 体重67.8kg

* 懸命の対処、昨夜中、キッチンより鼠害を排除し得たる如し。
2018 7/7 200

* 寝たり(=横になったり)起きたりしながらその双方でいろいろの仕事を捗らせて行く日々が続いている。アナゴの入った茶碗蒸しが旨くて、旨い旨いと三つも食べ、お酒も旨くて、で、夕食後、入った手洗いの便座ですうすう寝入ってて、ドアをノックされるまで気づかなかった、が、休まったという気はする。体重も増えた気がする。
2018 7/7 200

* 起床9:30 血圧146-74(55) 血糖値92 体重67.6kg

* 仕事が輻輳してくると暑さボケなどで認識不足などあらわれる。初校のつもりで校正しているのがもう再校レセラであるのにやっと気づいたりする。初校とそうこうでは大違い、仕事の進み工合として明け方と正午ほどはちがってくる。
そういうボケを悲しまないことにしている。当たり前とは思わないが、然様でございましたか、ドーモと自分で自分にアタマをさげておく。人サマ相手にボケ てしまうのはご迷惑だが、自分で自分の思い違いなどナニゴトでもありはしない。そしてたいていな事は気がついて修正できる。苦笑いぐらいは支払えばよろ しい。
2018 7/8 200

* 浴槽で 再校ゲラを四十頁読み、現代日本史を数頁読み、『ゲド戦記』にしばらく没頭していた。湯の中で 腰の痛みを忘れていた。

* 日曜の夜、七夕の夜。壮大で壮麗なミルトン『失楽園』と小一時間 向きあっていた。
もう十時半。 今日は小説とも 辛抱よく向きあっていた。じりじりとまるで匍匐前進です。
2018 7/8 200

* 起床9:30 血圧142-65(57) 血糖値97 体重67.3kg
2018 7/9 200

* からだの芯らむうっと籠もる暑熱があり、いくらか気が遠くなる感覚。
列島西南半の言語を絶した水害の恐ろしさ、危害に遭われた方々をどう見舞う言葉も浮かばない。国土整備と防災難の構築行政に手抜かりないし放置は無かっ たのか。ムダというに近い米国2古物兵器を買わされている無駄金を防災害に使えていたらと思う。日本の土木工学が程度ひくいとは思われない、政治の国民を 護ろうとする普段の対策が雨脚にはるかに遅れていると言うに尽きる。
2018 7/9 200

* ぎらぎらの日照りの中を、歯医者へ通う妻と一緒に保谷駅前の銀行へ迄行き、妻に、印刷所より請求の「選集」費用、ぎりぎり二百万円を送金してもらっ て、妻は江古田へ、わたしはカンカン照りの道を鮨の「和加奈」へ届け物をし、またよろよろと保谷駅北口へ歩いて戻って、幸いのタクシーで無事帰宅。汗みづ くだった。冷えたビールと、甘いものと、切り出して冷やしてあった西瓜を、塩で。そして好きな加賀の棒茶を大薬罐からたっぷり呑んで、体調をとり戻した。 少し横になりながら校正もした。
もう、五時をまわった。妻も帰ってくるだろう。大相撲名古屋場所も始まっているはず。

* ひっきりなしに指先から持ったモノが落っこちる、落とす。情けなくなるが、ガマン。仕事の中身こそ大切。

* おーッ。晩の九時前、建日子らが可愛い仔猫を二匹、連れてきた、いろんな飼養の用意も調えて。
一人は黒く尾もながく黒いマゴの小さかった折によく似て。好奇心まんまんで走り回っている。目の前の砂で排便もしてみせた。やがてこのわたしの部屋を気儘に占拠するだろう、ネコ、ノコ、マゴの子で「ヒコ」と呼ぼう。
もう一人はねずみ色の縞でほとんど同じ大きさの温和しい仔猫。建日子の芝居の代表作の題をもらい「ラン」にするか、それよりも「アコ」がいいという声 もア「アコ」と「ヒコ」とがいい。
それにしてもこの仔猫が成長して家の中を、留守の折など、元気いっぱい駆け回られたときのことなど、想像を絶しま す。成長して行く仔猫がいかに活溌で活溌過ぎるか、よーく知っていからなあ。ウーン。
2018 7/9 200

* 起床8:150 血圧139-71(51) 血糖値94 体重67.8kg

* ヒコもアコも忽ちにわたしたちに慣れて懐いて、寝ていてもいつのまにかすぐ傍へ来て寝ていたり、ジャレ着いたり、いささかの隔意もない。かと思うと、家中を、階段をも疾走し二人でかけずりまわり、取っ組み合い、そして大人に近寄ってきて撫でて欲しがる。
わが家は、賑やかに一変の態。ひとつかみの仔猫だから駆け回ってもとっ組み合っても愛らしいが、大人になってきて二人で家中をノシ歩きカケ歩いたら、ウーン 想像を絶する。

* 建日子はゼッタイ外へ出してはいけないと厳重に繰り返し言って帰ったが、元気な生きものがこのちいさな家の中でオサマる御世はあるまい、必ず遠からず われらの足もとを駆け抜け戸外へ奔るだろう。また生きものを外の空気にも当てずに家に閉じこめておく趣味もわたしは持たない。先ずは、監視しながらもテラ スの空気は吸わせ、植木の間で遊ばせてやりたい。ネコの運命はネコが自身でえらぶ。人間が不自然に強いてはいけない。ヒコもアコもおいおいに心得て来るに 違いない。

* ともあれ、家の空気に新しい生気と活気とが加わった。裏返せば老夫婦の体力の負担は加わるのであり、可愛いと苦労・疲労とはかならず同居して、後者が 大きくなるは必定、ま、扶養家族が二人増えたと覚悟して愛してやりたい。秦家にまた何期めかの新時代が訪れた、今までと違うのは、わたしたちの方がヒコや アコより長生きできるとは考えられないという厳粛な予想である。ちいさな二人は同じ生まれの兄弟で、生後三ヶ月という。兄がアコ、弟がヒコ。いましがたア ネア動物病院の健康診断を受けてきた。此処での初の外出。イヤー、暑いこと暑いこと、参った。アコ・ヒコも帰ると直ぐ仲よく水を呑んでいた。
2018 7/10 200

* クーラーを幾つもの家の中も、なんたる暑さよ。家の中熱中症に気を付けたい。炎天下で病院へ連れられたヒコとアコとは、帰ってきて、むかし黒いマゴの愛用していた寝床に二人で正体なく寝入っている。戸外の暑さを体験し、たまげたか。

* 少し涼しげにと岸連山描く祇園社の御手洗い場の軸を玄関へ掛けた。
2018 7/10 200

* 起床7:30 血圧138-67(52) 血糖値88 体重67.6kg

* 哀悼
2018 7/11 200

* 起床9:00 血圧138-60(50) 血糖値85 体重67.7kg

* 最期への一歩を 今朝から 踏む。心穏和に静かに生きを全うしたい。

* 愛らしい仔猫兄弟のアコとマゴが 今しもわが家へ「来た」不思議に、首肯く。敢闘の生は終えよう。あるままの足どりで、のこっている仕事を 日々 こころから楽しもうと思う。
2018 7/12 200

* 起床9:00 血圧141-67(66) 血糖値87 体重67.4kg

* アコとマゴのおかげで笑いが絶えない。悲鳴もまじる。微塵の尻込みもなく抱かれてくる、百年を倶にしてきたよう。
それでも昨夜も一昨夜も深夜のキッチンに鼠登場の形跡あり、仔猫たちの反応では大きな洗濯機のうしろか下に異様を覚えるらしい。戸外へ逃げ出せるよう に、マゴたちをキッチンから閉め出しておいて、勝手口のドアをしばらく開け放しにし、冷蔵庫の下と後ろへ噴霧してみたが、如何とす。
2018 7/13 200

 

* 起床7:30 血圧140-66(60) 血糖値100 体重67.1kg

* アコはカーサンの頭のさきで、マコはあの黒いマゴとおなじに、わたしの頭のさきで、夜中、寝ている、が、なかなか、そのままではなく、気がつ くとマコもアコもわたしの顔へ来て、耳や頬や腕を舌を鳴らして嘗めつづけたりし、そのまま傍で寝入って行く。が、また気がつくと二人ともカーサンの脇で巴 になって寝入っている。二人とも一キロ余りの体重で、兄貴のアコが150グラムほど重い。アコはすこぶるの美女、ではない美少年。弟の黒いマコは小さい小 さい、が、負けずに好き放題疾走している。
元気いっぱい駆け回るアコとマゴの朝は早く、つられて起こされる。生きよ生きよと励まされる。
2018 7/14 200

* 起床6:00 血圧125-68(64) 血糖値100 体重66.4kg

* 一昨夜の夢は凄いもので無気味に怖かった。
例によって、しかもますます暗澹として規模も大きく狭苦しく封鎖された、あれは局見世のならんだ遊里ではない、あきらかにみじめな暮らしと乏しい灯しと 人の蠢きだけが密集して奥深い迷路だった、わたしは例によって路上に行き迷い、ふと小路を求めて踏み込んださきからもう戻りもならずに奥へ奥へ狭く折れ曲 がった陰惨な路地を進むしかなかった、なんとか明るいふつうの町通りへ抜け出したいと怖さに怯えて脚を運ぶうち、急な石崖へそまつに梯子が投げかけてある のを必死で登った、登り切った…ら、日のさんさんと照った広い白いのっぺらぼうなまるで布貼りのような坂が降っていた、わたしは身を投げるように駆け下 り、すると背後からも坂下でもわたしを追いかけ待ち伏せる人数の喚声がひびいてわたしは必死で追跡をよけて町なかへかけこんだ。やがての西に鴨川が流れて いて、しかもなお川西の遠くで大きな爆発の烟が黄色い噴水のように見えた。
わたしは夢で、何処へまぎれこみ、何処へ抜け出られて、何処へ遁げていたのか。分からないままいつものように夢覚めた。動悸がしていた。

* むかし「雲居寺跡 初恋」を書いたとき、絶望の別れを「雪子」とふたり、京の町、町をひたひたと歩いて歩いて歩きまわる場面を書いた。あの小説世界で の体験のおそろしいような補足をわたしは繰り返し夢見ているのだろうか。「月天心 ままづしき町を通りけり」という蕪村の句をわたしは底知れない何かのつ ぐないかのように想うのである。京都と切り離せない悪夢のように想われる。この三ヶ月ほどの間に、だんだんと怖さの度を越しながらもう同様の夢を三度も四 度も見ている。

* 夜前は無事、しかし両脚の攣る痛みで、六時前には起きてしまい、台所でマコとアコの相手をしてやりながら一時間余ボンヤリ、それから機械を温めに此処 へ来た。右のこめかみに軽い痛み。もう少し睡った方が良いが、横になると『ゲド戦記』第一巻に掴まってしまう。真継さんの『鮫』 ミルトンの壮麗にして荘 厳な『失楽園』 そして『千夜一夜物語』は角川文庫の二巻目に入っていて、あと二十册もある。
愛らしく懐いて懐いてくるふたりの仔猫たちの「命」「生気」に労られている気がする。

* 午前から、もう四時半まで、眼のための少しの中休みは入れながら、懸命に選集第二十八巻編輯の「読み」に没頭してきた。要事が、ほんとにいろいろ在る。放って置くことはできない。
わたしの「選集」は、決して「全集」ではない。選に剰って取り残される多くが出る。さまり一巻一巻の主題への纏まりをつけている。手当たり次第に葉容れていない。「選集」としてわたしなりの編輯術を働かせている。分かっていて貰えると思っている。

* 吉備の人 有元さん、名産の美味い葡萄ピオーネの大房を二つも送ってきて下さった。有難うございます。何のお返しも出来ないで心苦しく家にこびりついています。お変わりなくお元気にと心より願っています。

* 元気いっぱいの命の固まりのようなマコとアコとに終日励まされ慰められてこころよく過ごしている。天真爛漫、何の躊躇も迷惑もなく全身全霊で家中を駆け回っている兄弟たち。眺めているだけでわたしたちの気もやすらぐ。この子たちのためにもせいぜい長生きしてやらねば。

* 編輯の仕事、グイと進む。九時半、まだ頑張れるけれど今朝は早起きだった。適宜休息も。あすはもう一日世間も休日とか。暑さの真下へ出掛けて行く必要もない。八月十日の「湖の本」141発送の用意だけは着々進めている。
2018 7/15 200

* 起床8:00 血圧127-63(60) 血糖値101 体重65.5kg

* 勤め先で「庶務課」の責任をもつことになり、(夜前の夢です。)社に来客があれば茶をたてて供することにして以来、社内で立礼の茶法を習いたい者が何 人も出現、専務や編集長の奨励もあって稽古をはじめた。希代な、ありうべくない夢ではあったが、医学書院で十五年半の編集者務めのあいだに、わたしたちの 結婚して二年暮らした市ヶ谷河田町でのアパート一室へも、うんと遠くなった当時保谷町の社宅へまでも茶の稽古に通ってきた人らが何人かいたのは事実。
同じ社宅の独身寮にいた人らにも稽古を頼まれ、建日子誕生の数ヶ月前まで教えていた。その同じ社宅住まいだった後輩編集者の一人が、のちに、東北学院大 教授から米沢短大の学長さんまで勤め上げた仙台市住まいの遠藤さん。いまも久しい「湖の本」の読者、よく仙台名産の美しい蒲鉾など送って来て下さる。
社宅のお弟子には、もう一人遠藤さんの仲良しのお連れがあり、その二人に何かのおり戴いた白玉(しらたま)の小ぶりの湯飲みたちが実にいい姿と上品な色 で、何十年にもなるが、お正月にはかならず福茶の用に愛し続けている。ふしぎでもないが、多年愛用しつづけているとわれわれ夫婦とも、下さったその人をた ちをそれは心親しくよく想い出せて、何十年も再会していないなど、思われない。
2018 7/16 200

* 九時半、もう眼が利かない、歯も痛い。あれこれと仕事は進んだが疲れもした。マコとアコとが微塵の隔意もなく抱かれにくる。二人で人間には狭い家を弾 丸のように二人で疾走し、組んずほぐれつ格闘しているが、仲良し兄弟の運動と楽しみらしく、まことにフェアに優しい間柄、アコははや美男子の風貌で猫らし くなりつつあるが、マコは、ちっちゃくて軽くて細い。それでも運動力はも関心も食欲も甘えようもお兄ちゃんとちっとも変わらない。素晴らしい。妻が昼寝す るとならんで寝入っている。夜中はわたしのところへ来て寝ているが、目が覚めると二人で灯の消えている家を駆け回っている。鼠はどうしたろう。
2018 7/16 200

* 起床8:45 血圧123-55(78) 血糖値105 体重65.6kg
2018 7/17 200

* 此処まで書いて、一女性への幾つかの思案も名も想い浮かんでいながら、今日は妻の通院診察の留守に「選集28巻」の編輯と読みとにたっぷり時間と視力 を費やした。それでも疲れて階下へ行くと、アコとマコとが、兄弟で半ば睡りながら熱愛の態で互いに抱きかかえて毛づくろいしたりしていて。じつに見ていて 気分よく心和む。同時に生まれた実の兄弟なればこそ、われわれの姿がなければないであくことなく互いに親愛している。嬉しくなり、羨ましくもなる。
励まされて、難儀な仕事へも根気よく挑み続け、先への道もほぼ見当たった気がしている。

* それにしても此の親愛する古機を、根気よくなだめなだめ画面を作り続けるわたしの粘りもなかなかです。 とても追っつかないけれど、昔ならもう『無名草子』の女作者を小説に仕掛かっていただろう。「慈子」「雲居寺跡・初恋」「加賀少納言」「秋萩帖」「あやつ り春風馬堤曲」「月の定家」「夕顔」「三輪山」「秘色」「絵巻」そして「みごもりの湖」も「清経入水」「最上徳内」「親指のマリア」も、みなチカッとした 思いつきから生まれた子供達だ。
そのような子供をまだわたしは生めれば生む気になれる。からだは老いているが、作品を願う生気は、精気も、剰っているらしい。怪我などしたくない。病気もしたくない。
しかし「食事」めく食欲は払底し、ただのどへ通りいい水気や柔らかいものばかり口にしている。何を食べても堅くて歯が痛い。医者は顔を見ると歯を抜くと云う。抜きたくない。
2018 7/17 200

* 起床8:15 血圧123-60(70) 血糖値99 体重65.6kg

* まだ夜中きっちんの鼠害が続く。夜はアコもマコもキッチンから閉め出しているかららしい。しかし、どこから来るのか、分からない。ただ終日ものかげに隠れているとは想いにくい、昼間も晩もキッチンはアコとマコとの元気な天下なのだもの。
どうも人間のアタマがいちばん悪いらしい。
2018 7/18 200

* 上のメールを追いかけるように、祇園さんの厄除け「蘇民将来子孫」のちまきをはじめ、「老松」の王朝菓「御所車」 若狭屋の珍しい「稚児餅」などを送ってきてもらった。さっそくちまきは玄関外
に掛け、またいいお茶を淹れてご馳走になった。妻は「稚児餅」を声に出して嘆賞。
重ね重ね ありがとう。

* 原稿の読みと編輯とで、冷房を強めながら汗ばんで、疲れてきた。むーうッとし肌が煮え始めている。失神しそう。困るなあ。
2018 7/18 200

* あまりの暑さに今日は何度か、スーッと気力の遠のきそうな時があった。
佳い菓子、佳い果実、佳いお酒には手が出るのに、なかなか炭水化物や脂肪系の主食に気が向いてくれない。
2018 7/18 200

* 九時半。冷房はしっかり届いてきているのに、気が遠く薄くなりそうに、からだがかすかに震えてくる。
階下へおりて、マコやアコと遊んでこよう、とほうもないヤンチャとワンパクとで大声で笑わせてくれるちいさい兄弟たち。
ナンダカ、わたし寝入りそう…。震えてきた。もう急いで休まないと。
2018 7/18 200

* 起床8:45 血圧128-67(73) 血糖値105 体重65.5kg
2018 7/19 200

* マコ、アコの兄弟は、元気溌剌、自由自在の存在感。老人のトーサンカーサンふたりとも、心嬉しくも、バンザイのけぞっている。元気なマゴが二人だもん な。しかし二人だから二人で好き勝手に遊びはしゃぎ食べて寝ている。それで助かっているが、玄関からも勝手口も好き勝手の出入りがきかない、用心用心。ふ うッ。
2018 7/19 200

* 起床8:30 血圧120-62(62) 血糖値102 体重65.1kg

* 夕方、歯医者の予約あり、二人とも暑さにバテないように。帰りに池袋へ出て暫くぶりに鰻にしようかと腹ヅモリしていたが今日は「鰻の日」だという、これは避けた方が賢いか。食べないと、体重が日々に減って行く。
2018 7/20 200

* 日盛りのさなか江古田二丁目まで、歯科へ。主に右下の歯の痛みはつよく、治療して貰ってきた。薬も処方して貰った。

* 池袋へ食事に出る元気なく、保谷へ戻って、先日丸山君と談笑と食事を楽しんだ駅に近い店へ入った。妻は「満足じゃ」と宣うたほどで、満腹、あっさり帰宅。マコとアコ君達、さすがに兄弟での留守居さほどは寂しくなかったらしい。安心。
2018 7/20 200

* 起床8:00 血圧120-71(60) 血糖値103 体重65.2kg

* 心身の芯に空虚感のような疲れがある。へんな気分。堪えがたく脚が攣る。攣る痛みはきつい。冷房が障るのか。
2018 7/21 200

* 気分優れぬママ、 晩は、成瀬監督映画「驟雨(原節子・佐野周二・小林桂樹・香川京子ら)」「夫婦(上原謙・杉葉子・三国連太郎ら)」を続けて観てい た。われわれの新婚より二、三年前の東京が舞台で、二つとも、堅実なリアリティで、倦怠期じみた夫婦生活をいい演技で面白く笑わせもし、楽しませてくれ た。

* 妻は平気な冷房が今晩はイヤにからだに堪え、左脚の攣れがしつこく困惑。書斎のも階下のも冷房がからだの左からあたるための違和かとも思うが、しんどい。
幸い「湖の本」141発送用意は順調に進んでいるので、今夜はまだ十時前だが安眠を求めてはやく床に就こう。
読みたい本、読み継いでいる本を枕元に十册ほど積んでいるが、「ゲド戦記」第二部を、英語と日本語訳とを併行でたのしみ始めている。「鮫」や「家畜人ヤ プー」など陰気なのはしばらく敬遠している。ミルトン「失楽園」、「千夜一夜物語」それに丸山真男の「日本の思想」歴研の「日本の現代史」は手放せない。 読書はどんな時もいくらかわたしにはお薬のような効用がある。
2018 7/21 200

 

* 起床8:15 血圧120-66(76) 血糖値113 体重64.3kg

* 血圧低く 血糖値高く 体重は六年半前の胃全摘以来の最低。
昨夜は下半身に四枚を穿き重ねて脚の攣りを防げた。攣らないと睡れて有難い。
2018 7/22 200

☆ 白楽天に聴く  「任老 老ゆるに任す」

愁へず 陌上に春光の尽くるとも
亦た任す庭前に日影斜めなるも
面は黒く 眼は昏く 頭は雪白
老ははや更に増す無かるべし
2018 7/22 200

* アレが在ったはずとアテにしていたものが見つからないと、落ち着きの悪いこと甚だしい。その辺の記憶を妻と確かめ合おうにもツーカーとは通じないこと が多くなった。しょがないですねえ。しかし仕舞ったつもりのものが貴重なモノなのにしまい場所を忘れると、とてつもなく迷惑する。「老ははや更に増す無か るべし」には相違ないが、困惑にも相違ないのであります。
2018 7/22 200

* 起床7:40 血圧117-56(62) 血糖値93 体重65.1kg

* 喉もとへ強烈な苦味に襲われてトビ起きた。脚の攣りは無く。

☆ 白楽天に聴く  「病眼花  眼花を病む」

頭風(とうふう) 目眩(もくげん) 衰老に乗じ
柢(た)だ増加する有り 豈(あ)に瘳(い)ゆる有らんや
(傳=春秋左氏傳に云ふ、加ふる有りてありて瘳(い)ゆる無し、と )   以下略

* 「花 眼中に発するも猶ほ怪しむに足り  目にかすみが生じただけでも心配」と白居易は歎いていて、まさに同病相い憐れむところだが、ま、それより も、「眼花」とは目がかすむこと、わたしの偏愛する「花」の一字は「ぼんやりする」の意味で、「頭風」の「風」もまた同じ、と詩集に釈字してある。
オー、古代と中世を目して論じたわが心入れの一書『花と風』の二字は、ともに……ウム。呵々。
「花」はわが眼をぼやけさせ、「風」はわが頭をぼやけさせているわけか。やれやれ。

* 間近な発送用意は順調に進めているが、A4用紙の500枚束が五冊纏まっていた荷が見つからず、気が腐る。根気よく探すと云っても狭苦しい家に雑荷が 無数に犇めいていて何が何やら。しかし、プリント用紙はわたしの機械で主に使うのであり機械近辺に無くて叶わぬ筈なんですが。また、やれやれですか。
2018 7/23 200

* 暑熱に弱く、ふうふう、ふらっと、つい気が遠くなりそうなのが良くない。空足を踏みかねない膝なので、ことに階段を降りるのには気をつかっている。
元気いっぱいなのは、マコとアコと。びっくりするほど兄弟仲良しで、ウサイン・ボルトも顔負けの疾走を競ってくれたりする。食欲旺盛、ふたりとも生得の 甘えん坊。兄のアコは灰色の縞。弟のマコは柔らかな黒にかすかに縞を沈め、尾が細長い。黒いマゴも尾の長い漆黒だった、眼ぢからなどもよく似ている。
2018 7/23 200

* 起床8:00 血圧126-64(72) 血糖値99 体重65.8kg

* 二週間に一度、からの瓶・缶・ペットボトルなどを出す朝で、引き受ける。
もっぱら私の「お酒の呑みよう」は、二週間で、からの一升瓶が三本、四合瓶が六本。みな名酒と謂うをはばからない美味いお酒ばかりで、ま、日に四合弱平 均。この歳で酒量が減ったとはちょっと謂いにくいけれど、この夏バテの時季、熱量には化ってくれていると思うことにしている。
それに、わたしはこどものころから大変な「茶くらひ」で、各種の日本茶もただの水も、むしろ心してお酒以上の量呑んでいる。
血圧も血糖値も正常、体重もほぼ横這いないし低めに推移していて、この癌手術後の六年半、医師は各種検査値にほぼ満足してくれてきた。

* ま。気を腐らせずにのびのび好きに勤めてゆくが健康法かと。マコとアコとが日々の精神衛生に圧倒的に好感化をもたらしてくれ、家に笑いと愉快な悲鳴が絶えない。もたらし呉れし建日子に感謝している。

* 祇園会、あと祭の山山が巡幸の日。暑かろう、今年の熱暑は記録的にも乱暴すぎる。四十度を超えるなんて。少年時代、武徳会で水泳の帰路、川端通りのカンカン照りに卒倒しそうな暑さだった頃も、一夏で三十度をわずかに超すのでも、月に三日と有ったろうか。
2018 7/24 200

* 起床8:00 血圧126-55(66) 血糖値100 体重65.5kg

* 朝いちばん、故紙回収の手伝い。
2018 7/25 200

* 起床7:00 血圧116-53(53) 血糖値94 体重65.5kg

* 失神ぎみにボーっとするのは、暑さより、血圧の低さでかも知れない。朝から睡い。

* それでもこの一両日の感銘は、『ゲド戦記』第二巻、アチュアンの闇世界でのアルハ(テナー)とゲドとの出会い。一気に読んでしまった。

* くらい穴へ沈み込むように睡魔に誘われている。この数日より暑さは凌げていると思うのに疲労感は濃い。

* 何度も横になりながら、必要な作業もそれぞれに進めた。テレビも観ていた。ここしばらく日本映画のいいのを見続けていたが、洋画にきりかえて、久々 に、実に久々に、メル・ギブソンとウォールディン・ホーンの、わが家ではたんに「ギャー」と呼んでいる「バード・オン・ワイヤー」とかいう超娯楽作を観 た。晩には、つづきもので「グッド・ドクター」三回目を観た。
熱中慢性状態のような気分でいるが、マコとアコとに大いに刺激もされている。仲良しで元気旺盛でヤンチャ。油断も隙もならないが、気は晴れる。

* あすは、何ともいえず気の重い日付であり、颱風も来ようと云う。なるべくはユッタリと過ごしたい。もう日付が変わろうとしている。
2018 7/26 200

* 起床9:30 血圧117-53(56) 血糖値101 体重64.9kg
2018 7/27 200

* 起床8:00 血圧120-57(52) 血糖値100 体重65.5kg
2018 7/28 200

* 蒸し暑さに心身すっかり負けて、底のない疲労感のまま、とかく、よろよろする。幸いアタマはしっかり働いている、と思うが。
十時半。もう寐よう。風は、来ていない。雨はかなり降っていたようだが。日本列島の無事を願う。
2018 7/28 200

* 起床7:50 血圧133-65(50) 血糖値89 体重65.5kg

* 昨日の兄の遺著にかかわる文面の乱雑を整えておいた。関わって、しておきたいことは幾らも有るが、わたしは今、その辺で立ち止まっているワケ に行かない。客観的には、または検査データからはわたしの健康状態はむしろ良好と告げられている、が、主観的には、危殆の意識を捨てがたくいる。よく朝日 子が悲鳴をあげて抗議したのを覚えている、「パパがいうと、みんな当たっちゃうんだから」と。当てたくなどないが、現実に切に時間は惜しまねば。「長編小 説」を少なくも一つは心ゆくまで脱稿し、「選集」を予定の残る七巻まで健康にし終えておきたい。もし叶うなら、そのあとへ、ゆたかな「読み書き」の楽しみ と「私語」の時間を少しは恵まれたい、妻といっしょに。
2018 7/29 200

* 湯には長く漬かっているなとテレビなど口を揃えるが、わたしは一時間は浴室にいたい。きれい好きなのでなく、ゆっくり寛いで本が読めるのを昔から歓迎 している。今日はミルトンの『失楽園』をたっぷり愛読し、『ゲド戦記』第三部をたっぷり楽しんだ。ともに指を「十」折るうちに入れたい愛読の名品である。
神のひとり子の率いる大軍とサタンの率いる大軍との真っ向衝突からサタンらが地獄の底へ陥落いってゆくサマなど、壮大にして壮麗、息もつかせぬミルトンの詩句の冴えに惹き込まれる。
多島海世界の魔法を統べているゲド(ハイタカ)と彼を慕う青年アレンとの、世界の底知れぬ病害をあらためようという辛苦の旅に覚える畏怖の感嘆。ル・グゥインのこの名作は、わたしには「寶」である。
そして今晩は和泉式部の和歌と陶淵明の詩とを「白璧」を磨く心地で堪能していた。 2018 7/29 200

 

* 起床7:30 血圧109-57(70) 血糖値97 体重65.1kg

* 夜中しばらく灯りをつけ、しばらく『ゲド戦記』と『失楽園』を愛読し、リーゼ一錠を服してまた寝入った。格別の夢見もなかった。
2018 7/30 200

* 九時半にならないが、心身の結び目がほどけてしまい、機械仕事はもう限界、階下へおりて、やすむか、寐てしまうか。
2018 7/30 200

* 起床7:30 血圧108-55(63) 血糖値104 体重64.8kg
2018 7/31 200

 

* 起床7:00 血圧122-58(54) 血糖値109 体重65.1kg

* 報道 不快極まりなし。
2018 8/1 201

* 仕事部屋でもキッチンでも熱中症をやりそう、十分冷房している気でいても。つい、涼しい寝室へ逃げ込んでしまう。
八月九月、よほど気を付けないと。
明るい浴室で、足湯のまま好きな本を読み耽ってるときが、安楽。公然と裸でいられるし。
いまは、ゲドとミルトンとに夢中です。どうしてこんな世界が書けるのだろう。

* 時分の小説を、ジリッと前へ運べた。八朔、それでよしとしよう。

* 國中がお天気に嬲られガマンしている。そのうえに不快極まるさまざまな「人模様」に吐き気がする。猿に成ろう。
2018 8/1 201

* 起床7:20 血圧126-61(53) 血糖値99 体重65.7kg
2018 8/2 201

* ぬるい湯をかき混ぜているような冷房、目盛りは23.5度なのに。これでは機械の前に永くは腰かけていられない。
2018 8/2 201

* 「NCIS」の再放映を面白く観てから、このところ気に入っている「グッド・ドクター」にも観入ってきた。
もう十一時過ぎている。 今日も長く書いている小説を前進させた。足を停めず、書き進みたい。
もう機械を離れよう、幸い明日も明後日も、今月は、月末まで病院通いもない。炎暑の日々、出ないのが予防の最有力。怠けるなどとビビらず、せいぜい涼し くからだをやすめながら「読み・書き」そして「観て」過ごしたい。老いてとはいえ、ありがたい日々である。美味いお酒も戴いている。
2018 8/2 201

* 起床9:20 血圧122-65(78) 血糖値94 体重64.8kg
2018 8/3 201

* 起床7:00 血圧128-59(75) 血糖値98 体重64.9kg

* 軽いが執拗な吃逆に終夜悩まされ、熟睡を欠いたまま起きる。疲労濃し。元気ハツラツなのはアコとマコの二人、駆け回って組んづほぐれつ遊び回り、カーテン は昇る、障子はサンタン。うかと軸ものは掛けていられない。笑わせてくれ歎かせてくれ惘れさせてくれて笑いの絶えないのが、ま、老人には嬉しいと、書きお く。
2018 8/4 201

* 起床7:40 血圧122-63(76) 血糖値95 体重64.5kg
2018 8/5 201

* ネコもノコも黒いマゴも、まったくこの思いから、ご近所の迷惑もあったろうが、そして遠出されたり隠れられたりして肝も消したが、最初から最期まで自 由に外気に触れさせ逍遙をゆるしていた。わたしの本意は今のマコやアコに対してもそこにある、が、生後三ヶ月というフタリをいま外へ出せば、吹っ飛んで いって容易に見つけも保護もならない、まして脚もよろよろの老人には。
可哀想にと、いくら飲食には不自由なくありついて終始愛撫はされていても、生の本来ではあるまい楽しみたかろうとにと、わたしは、どうしても、心痛む。 やがては手術といった日もくるという、申し訳ないと、わたしはやはり内心 善(たのし)まない。愚痴に尽きている。バカげてもいる。
2018 8/5 201

* 起床8:15 血圧115-58(61) 血糖値100 体重64.7kg
2018 8/6 201

* 起床8:45 血圧127-62(61) 血糖値96 体重64.6kg
2018 8/7 201

* ずいぶんな日数をかけて「湖の本」141発送の用意をしてきた。今日、気づく限りの九分九厘まで出来て、西棟の玄関に一部受け入れの儡地をだけ空けておかねばならず、これが力仕事で、腰へ来る。しかしそのままにはしておけない。ウーム。
ちょうど一ヶ月後、九月十日には「選集」27巻が出来てくる。600頁の大冊。数少ないとはいえ送り出す荷造りは、数多い「湖の本」なみ、ないし以上にシンドい。
にしても、明日と明後日の二日は手放しにくつろげる、ただし以降の力仕事に備えてのこと。いま、妻もわたしも二日と続けての外出はすまいと心している。発送を終えると久々に夏歌舞伎が楽しめる。わるく草臥れないように用心している。

* 星河秋興の七夕どころか、こんどは関東へ颱風の直撃という。お天気殿、ほどほどにお願いしたい。

* 腰骨が砕けるかと思う重くて痛い力仕事で、辛うじて十日納品の荷を受け入れの余地を隣の玄関に用意してきた。八十三老によくこれだけ力が絞り出せると惘れるほど重い荷を動かしたり運んだりした。

* ただただ『ゲド戦記』第五部に魅されて、その世界へ駆け込んでしまう。
2018 8/7 201

* 起床8:15 血圧136-67(62) 血糖値98 体重65.3kg
2018 8/8 201

* 起床9:00 血圧129-60(65) 血糖値94 体重65.6kg
2018 8/9 201

* 明日「湖の本」141納品、発送作業に入る。暑苦しい時期。いつもの倍の時間を掛けても疲労困憊は避けたい。
2018 8/9 201

* 起床7:50 血圧124-56(66) 血糖値84 体重65.6kg
2018 8/10 201

* 晩も継続して作業の気でいたが、二人とも疲労。従来の作業ペースにかなり遅れたまま、今日は見送り、宵寝して終わる。今十時。心身、ホッコリしている。建日子作・演出の芝居を興行中なのも、今回は観に行けない。いま、機械に向かっていても、目がとじてくる。
2018 8/10 201

* 起床6:50 血圧139-56(62) 血糖値88 体重65.8kg

* 晩の九時。かろうじて今日の送り作業を終えたが、明日にもつづく。

* 龍谷平安高校、夏の甲子園100勝を辛うじて勝ちとった試合は、耳に聴き、ときどきテレビへ視線を送っていた。相手校の健闘もみごとだった。

* 身を噛むような疲労、深く、濃く。ゆっくり寝み、立ち直りたい。仔猫のアコとマコとがひたすら馴染み慰め励ましてくれる。が、わが家の障紙は桟も露わ にいまやふたりのジャングルジムと化している。すっかり客の呼べない狭苦しい家にとうの昔に成り果ているのだ、暑い間の障子のボロボロなど諦めて大笑いし ている。
2018 8/11 201

* 起床7:20 血圧128-66(61) 血糖値82 体重65.7kg

* 作業を続行。

* あの敗戦の日から、73年になるのか。日本は、どうなっているか。戦前戦時より良くなっているか。その面もたしかに有るが、あの頃と変わりない圧力政 権下で国民は痴呆的な快楽だけを恵まれて、基本的人権を日々に奪われつつ念々に奴隷化されつつあるとしか思われない。死を待つ思いに怯みも悔やみもなく なっているが、若い人たちの生き甲斐をおもうと、ガマンが成らない。

* ようやく発送作業を終えた。かつてなく、気のしんどい三日間だった。
2018 8/12 201

* 起床8:15 血圧125-63(59) 血糖値90 体重65.7kg
2018 8/13 201

* さ、今度は、九月十日に『選集』第二十七巻が出来てくるまでの一と月足らずを、またまたいそがしく「読み・書き・思ひ」ながら過ごすことになる。気を腐らせまい、臭い物をどう突きつけられても。

* 九月から、宅急便の大幅値上げに次いで、郵便局のユーメールも目をみはるほどの値上げを決めてきた。出版の仕事を始めたときから、潰されるとしたら送 料値上げだなあと思っていたが、値上げ攻勢容赦ない。けれど、「潰れ」はしません、われわれが健康でさえあれば、まだ何年でも。そのためにも、わたしは杜 門の暮らしを改め、歩きに出なければ。病院かよいも減り、歌舞伎座への脚も、この上半期は余儀なく遠のいていた。思い切って、独りで(仔猫がフタリもい て、まだ留守番は出来ず。)新幹線に久々に乗ってみるか。というワリには、じつにマッタクいろいろと忙しくもあるのです。
2018 8/13 201

* 起床7:45 血圧129-70(58) 血糖値105 体重65.9kg
2018 8/14 201

* わたしの眼も末期症状で、小一時間もせぬまに曇ってしまう。乱視や複視や蛇行視がはじまる。点眼と眼鏡の交替、裸眼視等々で凌いでいるが、一時間でも寝てしまうのが一等の効果。

* いろんな仕事を、余命残年と秤量しながら、なんだか「競走」ように進行に思い悩む。
なによりも書きかけの長い小説、難しい小説の二つ、発表するしないは別にしても、納得ゆく仕上がりに気が急く。より長い方の、謂わば「オイノセクスアリ ス」は、四百字用紙換算で千枚を超しつつあるかも。思い切り搾りながら、しかと書き込みたい。本舞台は、むろん、両作とも、京都。
十一月新装南座のこけら落としは高麗屋三代の襲名興行で、白鸚さんに誘われている。
2018 8/14 201

* 疲れて腰も痛く、晩は、マリリン・モンローの「バスストップ」を観て過ごした。モンロー映画では今晩のもふくめ「帰らざる河」「美女と野獣」を好印象でおぼえている。

* 十時半、もう躰を横にしたい。
2018 8/14 201

* 起床7:30 血圧139-67(65) 血糖値99 体重66.0kg
2018 8/15 201

* 起床7:30 血圧139-65(56) 血糖値98 体重65.9kg

* 昨晩、二月この方ひさびさの歌舞伎座夏芝居へ。第三部は、新幸四郎(前の染五郎)の源五兵衛、七之助の小万、獅童の三五郎で、あの「四谷怪談」と同腹 同時進行のような義士外伝、鶴屋南北の秀作通し狂言『盟三五大切(かみかけて さんごたいせつ)』を観てきた。これまでも二、三度は芝居馴れた大きな役者の舞台を観てきたので、今回、若手というよりも「少年」歌舞伎のようにやや薄味 でバタバタの舞台運びになっていたのは、ま、世代交代のこの頃とて、やむを得ないが、なかなか芝居が怖くも成らず、頼りなかった。
新幸四郎の安心して観られる源五兵衛、このところ進境目覚ましくてついに「助六」の総角もやろうという美形の七之助は、ことに前半深川芸者ののセリフに 妙と工夫があり面白かったが、肝腎の三五郎は終始「おへた」でもの足りなく、少年俳優達の一人に埋没しがちであったのは情けなかった。

* 「盟三五大切」はいかにも南北歌舞伎のかぶきにカブイた妙味の戦慄に惹かれたい芝居で、ありとある歌舞伎のアクと趣向と反骨とが生かされている。羽生 清さんの『楕円の趣向』一冊の大尾はこの芝居を、映画「修羅」と歌舞伎と平和憲法との絡みで彫みあげた好論攷・好エッセイになっているが、チラと関西味も 燦めかせながら野放図なまで江戸の暗闇を切り開いた歌舞伎。またまた同じ幸四郎の源五兵衛で、よくよく成熟・造形された小万、三五らとの凄惨な舞台が観た いもの。こわがりのわたしは『四谷怪談』は苦手なのだが、「三五大切」や「櫻姫」などは何度でも肌に粟しながら観たい人である。

* 木挽町まで、カンカン照りの銀座・西銀座を歩いたのがこたえて、脱水気味に、もうまっすぐの帰路では左脚が攣れてきたり、かなり草臥れていた。視力も落ちていて、四列目中の角席という近間からも舞台の表情が滲みがちだった。
長時間の初とも謂える留守番を、黒いマコも兄のアコも、大過なく待ち迎えて呉れてホッとした。
2018 8/16 201

* 疲れた。十一時。床に就いて、ゲラを読み、そして寝に就く。うまく熟睡したいが、夜中二度はマコとアコが甘えに来る。
2018 8/16 201

* 起床8:20 血圧141-63(62) 血糖値93 体重65.9kg
2018 8/17 201

* 食欲が薄く、量も入らない。
2018 8/17 201

* 起床7:40 血圧153-81(73) 血糖値108 体重66.0kg

* 夜中、今朝の目覚の体調のわるさが、昨日とくらべ、データに露出している。機械の始動もオイオイオイと歎くほど永くかかった。白楽天を読んでいた。
2018 8/18 201

* 起床9:00 血圧127-57(59) 血糖値96 体重65.0kg
2018 8/19 201

* 自転車で、マコ、アコのために排便用の重い砂を三袋も買ってきた。ついでに久々にとインスタントの塩ラーメンも買ってきた。一応食べきれたのに、下痢。おやおや。
晩には戴いた中村屋のカレーが美味しくお腹に落ち着いている。感謝。
川柳作家の速川和男さんさん、是も巧そうな地産いろいろの生饂飩を下さった。むかしから、パンよりも麺に心を惹かれる。
2018 8/19 201

* 起床7:00 血圧128-64(57) 血糖値91 体重65.1kg

* 陶淵明も白楽天もお酒大好きの詩人であった、あの李白も。
白楽天に「卯時(ぼうじ 午前六時頃)の酒」を讃歎、さけのまわりよくご機嫌にオダを上げている詩がある。佛法や仙方の功徳より博大な朝酒の神速にして功力倍するを謂うのである。

一杯 掌上に置き  三嚥 腹内に入る
煦(あたた)かなること春の腸を貫く如く
暄(あたた)かなること日の背を炙る如し
豈(あ)に独り支体暢(の)びやかなるのみならんや
仍(な)ほ志気の大なるを加ふ
當時 形骸を遺(わす)れ  竟日(きょうじつ) 冠帯を忘る
華胥(かしょ)の國(=夢中の楽園)に遊ぶに似て
混元(=宇宙始原)の代に反(かへ)るかと疑ふ

と、以下、盛大に気炎を吐き、

五十年来の心  未だ今日の泰きに如(し)かず
況(いはん)や茲(こ)の杯中の物あるをや
行坐 長(とこしへ)に相ひ對さん

と、結んでいる。

* 朝起きて食卓に着き、やおら卓の下にひそめた一升瓶から愛杯に酒をつぐと、たちまちに妻の叱声が飛んでくるが、白楽天のように呷りもしないし慷慨も壮語もしない、ただ此の一杯の美味が、分からんのやなあ。結びの三行 思いにちかいんやが。

* 腰を痛くしながら、東、西の狭い玄関を片づけた。発送の本が届くたび両方の玄関が大事に稼働する。送り終えたあとの始末もけっこう腰へ来る。

* 戴いていた洋酒の「オールド パー」「シーバス リーガル」を二ヶ月かけて愛飲。よかった。わたしはどんなお酒でもガブ呑みはしない。美味い佳いお酒ほど、味わいたいから。肴は、ごく素朴。山葵漬けや、いろんな味噌を嘗めている。
2018 8/20 201

* 『失楽園』の第十部はイヴの堕落から不幸で不穏な展開にとても静穏でおれない。

* 眼が見えないが。

* 十一時半、疲れた。
2018 8/20 201

* 起床8:40 血圧130-60(65) 血糖値89 体重65.1kg
2018 8/21 201

* 昼寝、夕寝もしたけれど、仕事も捗った。まだ十時過ぎだが、もう階下へ降りよう。首が凝りかすかに頭痛もある。
2018 8/21 201

* 起床8:40 血圧130-66(74) 血糖値84 体重64.9kg
2018 8/22 201

* 起床7:40 血圧132-65(70) 血糖値94 体重65.5kg
2018 8/23 201

* 起床8:40 血圧129-63(70) 血糖値96 体重65.4kg

* 大きな颱風の余波が関東へも寄せて、風の鳴る音が絶えない。蒸し暑い。さしてひどい夢も見ず寝ていたが、眠気、残っている。

* わりと、すんなり機械稼働してくれいる。
2018 8/24 201

* 起床8:00 血圧126-68(65) 血糖値104 体重64.9kg
2018 8/25 201

* 朝から晩まで、ぶっ続けに「選集28」大冊の校正、「湖の本」の難しい編輯つまりは原稿読みに掛かっていて、視力は限りなく薄れている。
食は我ながら細く、食パンだとせいぜい半枚しか入らない。出汁の利いたつゆ麺だとそこそこ食べられるが、結句は果物と各種の液体で熱量を攝っている。い わゆる腹ポン気味のいやな感じがあり、つい閉塞気味を警戒している。脱水はしていない、わたしの水分摂取は、胃全摘後に一度強度の脱水で死にかけた恐怖が あり、精励している。腹の張るのはソレかも知れないのだが。まるで餓鬼腹のようだと痩せの中で苦笑している。
2018 8/25 201

* 起床8:20 血圧124-63(73) 血糖値93 体重64.8kg
2018 8/26 201

* 兄恒彦書簡の電子化、妻が頑張ってくれてもう二十一本にも。まだまだ在り、そのうちには兄もメールを使い始める筈。手紙書きの好きでないわたしはどれほど手紙やハガキを送っているのか分からない。
十時半。 そろそろ階下へ。あすの病院へは、午ごろ家を出て間に合うのだが、焦げそうに眩しく暑いのかなあ。
2018 8/26 201

 

* 起床8:20 血圧125-69(71) 血糖値84 体重64.7kg

* 夏バテへの警鐘、かまびすしい。すでに自覚がある。
わたしは、少年の昔から九月にバテてよく病気した。事実上、それでわたしは大学「受験」という体験をせず、出来ず、成績表ひとつで同志社への推薦入学を 受けいれあった。このことの是非には、さすがに複雑な思いが残ったが、結果としてわたしは例えば京大へすすめばほぼ一途に「研究者・学者」を目がけていた と想われる、「小説家」へは向きにくかったろう、しかし、わたしの内には、「生まれ・育ち」からも、「女文化」の環境からも、「研究者・学者・教授」への 道をさして喜ばないタチが、原質が、先験的にひそんでいたと想う。
結果、此の道へ歩をはこべて良かったという結論ははやくに出せていた。
仮にわたしが官学から大学教授への道が歩めたとしても、例えば東工大でのあの「作家教授」で楽しんだような授業などは、有りうべくもないは明瞭、あれは 「作家」なればこその無免許「体験」であり、その限りにおいて却って当時「名人事」と喜んで観てくれた人らもあり得たのだった。
あの微妙な時季での「夏バテ」療養は、わたしの人生に希代な、奇態な、効能をもったのだなと今更に想う。

* その夏バテ危険の今日にも、昼過ぎのバスで駅へ向かい、聖路加病院へ診察を受けに行く、といってもものの五分のいしとの対話・歓談で服薬の処方箋を 貰ってくるダケなのである。ま、「お出掛け」のチャンスとして極端な運動不足をすこしでも解こうというワケ。校正ゲラをたくさん持ち、さらには、リュー サー女史の「解放神学」で、(おもに米国の)キリスト教女性蔑視がいかがなものかも勉強してくる。知的に気を張っているとたしかに自覚的な疲労は少ない、 軽いと感じられる、錯覚なのかも知れないが。
2018 8/27 201

* すこし遅れたが、編輯に苦心した「湖の本142」も、ま、無事に入稿できた。単行本でも雑誌でも此のほぼ未公開の「新巻」は、ややポレミークの気味もあり、楽しんで頂けようか。
校正中の「選集28」は多く知名の作家・学者・藝術家らとの彩どり賑やかな対談・鼎談・座談会の「選」と、各方面へ出向いてのいかにも秦 恒平らしき講演の「選」とで、最多頁の大冊に成ろうとしている。選集全巻の中でも、特異で平易な追究を見せている面白い「選集27」は、九月上旬には送り 出せる。準備はもう出来ている。悪しき「夏バテ」に陥らぬよう用心しなくては。

* 主治医先生と暫く「古典」「漢字」などの会話をして、薬局で処方薬を受け取って、ゆらゆらよろよろと築地から「三笠会館」まで歩いて、黒毛和牛を150グ ラム食べながら、校正をたっぷり捗らせて、店を出ると、なんだか激しい雨の上がった直後だった。またよろよろと銀座一丁目まで歩いて保谷まで帰り着くと、 此処でも雨の後だったらしく、空模様は剣呑なほど黒雲が全面に垂れていた。幸いすぐにタクシーに乗れた。帰宅、もう七時前。
校正がたくさん捗ったのが何よりだった。仕事上の時間ロスは無かった。猛烈な雷たちが空を走り回った。
明日も、夕刻に歯医者の予約があるという。江古田二丁目までの歯医者通いもつらくなってきた。視力は貴重な財だが、歯の方は、もう、ほどほどに在ればそれでよい。昔は歯抜け爺などいっぱいいた。
妻の入れ歯など、五十万円もしたのを四十万二まけて呉れたのだと。カネを惜しみはしないが、「湖の本」ならなんと二百册分の値段。どうかせめてあと二十年、百歳まで保ってほしい、「寿命」の方が。
2018 8/27 201

* 起床9:40 血圧125-69(71) 血糖値84 体重65.3kg

* 昨日は炎天下を聖路加から三笠会館まで歩き、食事の後また銀座一丁目まで歩いた。帰宅して遅い夕食もした。寝る前にシカかリノ校正の纏まりをつけ、「選集28」初校了の目先が見えてきた。
リーゼを服して、読書後、ミルトン叙事詩の大作『失楽園』上下巻を、数年ぶりに「再読」了。初めて読んだときより更に更に心惹かれてほぼ一字一句も疎か にせず熟読した。わが飜訳読書史中の一白眉とも謂えようか。今回はことに「イヴ堕罪」をめぐって胸の痛いような問題意識を多感に強いられた。
キリスト教史の各時代の教会また教父たちの執拗を極めた「女性」に対する「蔑視」「排除」の烈しさにも他の参考文献で再確認してゆきながら、奇妙にいた たまれない違和感にいっそ苛まれる心地がしている。この問題は、ま、目下『オイノセクスアリス』創作中のわたくしには、擦れちがって通り抜けられる問題で は無い。
一時前に寝入って、幸いに、よく寝た。この頃は妙に律儀な夢をみて、幸い疲れない。有り難い。

* 機械の煮えてくる迄に、『今物語』『風姿花伝』を愛読、このところ朝・一の楽しみ。
夕刻に、自覚的には何の用もない、しかし歯科通いが控えている。マゴ・アコのいる家にいて、仕事をしていたい。もう仔猫とはとても謂えず、一日に数十回も大笑いしたり歎いたり惘れたりしながら仲よく共生しています。ネコもノコも黒いマゴも喜んでいてくれる、信じている。
それに比して安倍、自民、トランプ等々という何という苦々しい不快感だろう、吐き出す心地。

* 歯医者の帰り、久々「中華家族」でマオタイを楽しんだ。海老とトマトの煮和えたのも口にあった。店の前のブックオフで、「宗長日記」「山上宗二記」「三浦梅園」三册を岩波文庫で買ってきた。

* 降られなかったが、暑いーッ。せいぜい出歩けとは医師にも言われるのだが、出歩くのは、この酷暑の夏、シンから疲れる。幸いに九月十日からの「選集 27」送り用意は、万全。体力の慎重な温存のみ。その数日前に木挽町「秀山祭」昼の部だけ予約してあり、今日送金も済ませた。
十日までの余力を、せいぜい小説へ注ぎたい。
とはいえ、「湖の本142」の初校もやがて届く予定。
とにかくも、やれることが何であれ、躊躇いなく取り組むのが健康法でもある。だらけると、ひとしお疲労する。
2018 8/28 201

* 起床9:20 血圧125-69(71) 血糖値95 体重64.6kg
2018 8/29 201

 

* 胃袋を全部喪ったあと、永らくわたしはこえをに出して歌が歌えなかった。声が出なかった。以来、六年半。本はよくてにとり歌詞だけを読んできた岩波文庫『日本唱歌集』をやはり機械の煮えを
待ちながら開いていて、ふっと声が出てまた「歌える」のに気づいた。幼稚園から国民学校へあがったころ、近所の子らと競い取るように歌った「青葉茂れる桜 井の」が歌えた。「天はゆるさじ良民の」と「ワシントン」も歌えた。「紅萌ゆる岡の花 早緑匂ふ岸の色 都の花にうそぶけば 月こそかかれ吉田山」は歌い ながら、いっぱい涙を流した。
唱歌からたくさんな、豊かな詞藻を学んだ、気を入れて学んだ。わたしが唱歌詩として最も敬愛して忘れないのは、大和田建樹が作の「旅泊」だった。

磯の火ほそりて 更くる夜半(よは)に
岩うつ波音 ひとりたかし
かかれる友舟 ひとは寝たり
たれにか かたらん 旅の心

詩が、歌が、じつに妙なることばの音楽なのだとわたしはこの歌にしみじみと学んだ。「磯の火ほそりて」「岩うつ波音」の「い」という音の静かさ。「ひ  ふ は ひ ひ」と点綴される「は」行の懐かしさ優しさ。「て つ と た と た た た た」と刻み込まれた「た」行音の確かな音階。
わたしは、自身あの「少年」短歌を作り上げて行くまでに、かずかずの佳い唱歌から、「詩歌」とは本質「言葉」の美しい「音楽」でありかつ「表現」である ということを学んでいた。近時近年の生まな観念や説明のイデオローグを「節くれの棒」のように並べたガサツな短歌に、とうてい「詩」として「うた」として の感銘を得られないのは、ま、わたしの宿痾かもと、笑っている。
2018 8/29 201

* 食が進まないというより億劫で、良い筈はないので困る。少し固形を口に入れるだけで、腹パン気味に苦しくなる。つい飲み物へ逃げる。脂肪も蛋白質も寡少の気味。何が美味いか。一等簡明に美味いのが、白砂糖を小匙で。簡明に甘い。ヘンなの。
2018 8/29 201

* 谷崎先生が、昔も昔お若い頃、年寄ったら自作をゆっくり読み直すのが楽しみと述懐されていて、谷崎文学ならさもあらんと羨ましいほどに感じていた。企 んだわけでないが、選集を決意して、はからずも自作の大方を克明に読み返すことになった。予定の三十三巻へ、もう残り五巻、溢れて剰るモノも相当出来てし まうが、それはそれ。むかし、むしろ実感のまま「わたしは寡作で」と書いていたのを読んで人に怒られたことがあった。たしかに創作とエッセイと、両翼・両 輪に、「寡作」では無かったとかなりにビックリしている。問題は、それほどの「作」に「作品」が添っているかで、これは読者が判定されること。
断っておくが、現在のわたしの視力、それでもわたし独りで校正しており人に頼んでいない。言い訳になるが見えにくい為のイージイ・ミス、誤植、は出てい る。その大方は、読者に察しのつく程度であってくれるようにと願っている。「は・ぱ・ば」にはとくに見損じがあるようだ。もし時間と体力がのこれば、読み 返して正誤表を造っておきたいが、出来るかなあ。

* 気になっていることのために、フランチェスコ・ペトラルカの「わが秘密」を持ち出してきた。フランチェスコのさまざまな問いに、最大の教父ともいわれるアウグスチヌスが徹底して応え、時に激しく討議がつづくが、主眼のアウク゛スチヌスの教えにある。
いま、わたしはその偉大な教父のキリスト教神学の問い返さざるを得ない疑念を持ちはじめている。ことに性ないし情欲・情念にかかわる見解をよく確かめたいのだ。

* が、もう、保たない、休みに階下へ降りる。もう寝床へ行くかも知れないが。本当はこんな時、以前のように音楽が聴きたいのだ、が、この機械がすっかり 音楽を拒絶してしまい、わたしにはどうにもならない。ワキにある、ディスプレイも大きな新しい機械を、わたしは購入以来、ほとんど使えていない、何が何や ら分からない、いや根気よく分かろうとする辛抱が視力にも気力にも無いのだから情けないが仕方がない。
しかし音楽は聴きたいなあ、ほんとうに心身安まるから。なんで、この機械、音声が出ないのだろう。何をしても、ただの一度もピンもポンも鳴らない。やれやれ。
2018 8/29 201

 

* 起床9:20 血圧134-72(63) 血糖値99 体重64.9kg

* 毎夜ではないが寝つきにくい予感の折はリーゼを服して寝入る。夢は見るが、「月天心貧しき町を通りけり」のような凄惨な夢は見なくて済む。蕪村の句を「凄 惨」に解するなどどうかしていると我ながら思うが、蕪村は「そういう凄惨に貧しい町」を識っていた人のようにわたしは感じている。

* リーゼからの目覚めはわるくなく、寝過ごすほどに眠れている。
2018 8/30 201

* 起床8:20 血圧127-62(68) 血糖値100 体重65.2kg

* アコに盛んに起こされた。甘える甘える。
それまで、懐かしい学校時代の、賑やかに楽しい場面を克明に夢見ていたはず。給田先生も橋田先生もおられ、わたしも楽しそうに快弁をふるっていたらしい。明瞭に見ていたはずも、夢は、かき消えるように記憶を遠のいてゆく、いっそそれは有り難いこととも思う。
2018 8/31 201

* 起床10:20 血圧122-60(61) 血糖値103 体重65.0kg
2018 9/1 202

* 起床8:20 血圧137-63(50) 血糖値106 体重65.7kg
2018 9/2 202

* 雨。
日曜日。荷物郵便は出せず、郵便も来ない。
リーゼに頼ったが、幸いひどい夢は見ず眠れた。一日中いつも身ぢかに、アコや黒いマゴのちいさな兄弟が寄り添い甘えてきて、そのおかげで夢魔が温和しいかと、ゲドやハンノキの気分でいる。

* 夕食の前後、糊のように粘った疲労、と感じていた。
晩の仕事のあと、映画「オペラ座の怪人」を観て感動に身を委ねた。この作には何版かあるようだが、バート・ランカスターとテリー・ポロちの版が最高に優れていて歌も美しい。歌を聴くだけで滂沱の涙を流す。
素晴らしかった。これで、こころよく眠れるだろう。
2018 9/2 202

* 起床7:40 血圧137-64(54) 血糖値112 体重65.0kg
2018 9/3 202

* 起床7:40 血圧122-60(59) 血糖値112 体重65.6kg
2018 9/4 202

* 逼る台風の中 妻は、予約の歯医者へ出掛けた。マコとアコと留守番。

* 思いのほか早く 雨にもあわず妻、帰る。

* わたしはウイスキーとワインとで、ほろ酔い。雨が急に来て、風とともに屋根をうっている。
2018 9/4 202

* 起床7:00 血圧136-67(56) 血糖値102 体重66.0kg

* 起き抜けに床の上で手近な本を整理したり、ネコたちと遊んだりしてから測ると、つまり何らか活動後に測ると、血圧はもう、すこし高めになる。

* 夜中 小一時間も猛烈な雨であったというが、リーゼのおかげで、気づかず眠れていた。
2018 9/5 202

* 散髪も出来なかったまま、明日、秀山祭の昼の部を観に出かける。
夏バテに輪が懸からずに済みますように。
2018 9/5 202

* 起床6:30 血圧139-65(54) 血糖値102 体重65.7kg

* 機械作動、気温が下がって行くにつれ延々と待ち、なかなか正しく作動し始めない。ひたすら、しんぼうして待つ。
2018 9/6 202

* 起床7:50 血圧113-56(66) 血糖値101 体重64.7kg
2018 9/7 202

* 「湖の本」142の初校をし終えた。ここ暫く余力を持てる。目の疲れはひどいが、この一巻も、いかにも「わたくしの批評と述懐」らしき二十編に編輯できたと思う。
十日の「選集」27出来待ちへ、明日、明後日の二日間。夏バテに備えたい。
十月中旬まで気の張る外出もなく、散髪はサボって真っ白い蓬髪もよしとしよう。白い鬚を蓄える趣味はない。
九時半だが、睡い。やすめということだ。やすむといっても、床に就けば十册もの読み継いでいる本がまくらもとに積まれてある。昔も昔の新潮社世界文学全 集版の「モンテクリスト伯」は全編を上下二巻に収めてあり、古本屋で買いそれは愛読したモノ。今回は文庫版でなくその懐かしい重い本で読み始めている。読 み物としては、世界一の傑作と思っている。現代史、解放神学、筑摩の大系本、直哉全集等々、けれど、つとめて寝てしまうようにしている。寝て休むのがいろ いろに最良と思えるので。ゆーっくりの入浴も。

* ふと。直哉の二巻で、つまらない「廿代一面」をトバすとつぎに、珍しいと云わざるを得ない「クローディアスの日記」が来る。
福田恆存の創作には「ホレイショーの日記」があった。ともに戯曲「ハムレット」の人物であり、ともに論攷でなく小説として書かれてる。すくなくも大学生の卒論の対象にしても面白いような読み甲斐のある作品論になるだろう、ハムレットを含む三作総合の。
そんなことを思いついて。すこし熱くなった。ま、「読む」だけでいい楽しみ試してみよう。いやいや、気が多いなあ。惘れるよ。
2018 9/7 202

* 起床7:30 血圧119-58(64) 血糖値106 体重64.9kg
2018 9/8 202

* 起床7:30 血圧127-61(65) 血糖値94 体重65.0kg
2018 9/9 202

* 夕食後、機械の前へ来て、機械の前で寝入っていた。階下へおり、床で寝ようとしたが、川端善明さんの、読み継いでいる『影と花 説話の径を』の最初の 一章「あやかしの影の風景」を読み通した。怖い霊や鬼の説話をとても巧みに編成しつつ案内してあり、津々の興趣に引き込まれる。
次いで、もう久しく、十年にも成るか、建日子がたぶん河出の小野寺さんにもらったのだろう、わたしがル・グゥィンの愛読者と知っていて呉れた、『なつか しく謎めいて』を、初めて手に執り、思いの外に読みよく面白くて序章と一章とを読み通した。「次元間移動法」によってさまざまな異次元世界を訪れる話し で、お伽噺のようなしかしサイエンスフィクション。飜訳者の日本語が平易で惹きこまれていった。
さらにまた枕元から手の届く書架へ出しておいた珍本、芥川龍之介が全六册に編んだ『近代日本文藝讀本』の第二集を引き抜いて、倉田百三作の戯曲「布施太 子の入山」第一幕を面白く読みだした。読み切るのが惜しくて先の楽しみにし、しかしいろんな他の歌人詩人俳人らのむろん芥川が選んだ短歌や詩や俳句の頁を 拾い読みした。思えば頗る贅沢な本であり、この第二集だけでも三十人もの著名作者の作が居並んでいる。これが六册もそろっているのだから、芥川なりの謂わ ば近代日本文藝史なのである。こんなのがあるかと昔に買っておいた。腐らないいろんなご馳走がつまっている。
まだやめずに、次は直哉異色の試作「クローディヤスの日記」を通読した。直哉はこれで「フアウスト」という作は面貌を一新したはずとさえ自負していた。 苦労して書いたと直哉は告白し、その気持ちが伝わってくる珍しい作物である。志賀直哉という人は、まこと特異なお人である。ある外人文学者が直哉作の如き は「綴り方」だと言い捨てたことがあるが、それは英語などに「翻訳不能」の、宝石のような日本語なんだとわたしは思っている。
そして、このところ耽読翻読を重ねているローズマリー・リューサーの『人間解放の神学』へまた取りついて赤と黒のボールペンの線で、本をみるかげもなく(妻や子にひどく嫌われているが)またまた染めていた。

* 眠る気でカラダを横にしても、ついつい、いつもこうして読書へ嵌り込んで行く。真夜中にでも嵌ってしまう。強度の雑食性読書魔になっている、ただし通俗な読み物は身近に置かない。
2018 9/9 202

* 起床7:10 血圧144-67(65) 血糖値81 体重65.3kg
2018 9/10 202

* 秋場所が始まっているが、わたしのスモウ熱はすこし退いているか。
喰う楽しみが激減(なにしろ半人前の面の半分で苦しいほど満腹してしまう)で、楽しみは読書と映画(映画館へ行くなど論外、猛烈に採り溜めてある録画であるが)と、ふたりのマコとアコ。この兄弟、麗しい限りに仲が良い。われわれにも懐き切っている。
西棟から、新井白石著の名高い語源辞典『東雅』を機械の側へ持ってきた。白石先生はかなり強引でもあり、また物に即して過ぎたる嫌いあるけれど、断然乎として面白い読みをなさるので、せいぜい受け売りを楽しもうと。残念ながら、「心」には触れていない。
2018 9/10 202

* 八時。もう疲れ果てた、休む。
ジェフ・ブリッジスとミシェル・ファイハーを、もう一度、半ばまで観かつ聴いた。もう、からだを横にしたい。
2018 9/10 202

* 起床7:10 血圧137-68(63) 血糖値93 体重65.6kg
2018 9/11 202

* 起床7:00 血圧140-64(54) 血糖値94 体重65.2kg
2018 9/12 202

* 起床7:40 血圧132-61(54) 血糖値95 体重65.1kg
2018 9/13 202

* 起床8:20 血圧133-59(65) 血糖値100 体重64.6kg
2018 9/14 202

* 久しぶりに鮨の出前を頼んだ。いつもに変わらず、和加奈の心入れでわたしのために鯛の兜煮を添えて来てくれた。
鮨、美味かった、が、一人前の半分で腹に満ち満ちた。
2018 9/14 202

* 起床8:20 血圧131-68(67) 血糖値97 体重64.6kg
2018 9/15 202

* 吉備の人、先だっての風水害で大きな被害を受けたと報じられた日本中で屈指の美味い酒「獺祭」を、二升も送ってきて下さった。有難うございます。秋成 は「生涯在酒」の印を所持していたと聞くが、酒は呑まなかったという解説もあり、しかしわたしはどうやらほんものの「生涯在酒」の老境にある。ほどほどに 歓を尽くして味わいたい。有元さん、有難う存じます。

* いろんな用と仕事とを次々に仕込んで行くうち、ガクッと疲れる。疲れると横になり、ゲラを読む。ついで『モンテクリスト伯』を夢中で読み、ル・グゥイ ンを読み、仏教とキリスト教の論著を交互に読み進んで疲れの癒えるのを感じると、また機械の前へ戻ってくる。眼か弱っているので、ときどき、日本料理や酒・割烹の写真の綺麗な大判ムックなどを観て休憩している。。
2018 9/15 202

* 起床7:30 血圧126-58(63) 血糖値107 体重64.5kg
2018 9.16 202

* 蒸し暑い。とても出歩く気にならない。幸い、マコとアコとがいて退屈などしない。 2018 9/16 202

* いま十一時になろうと。わたしはマコやアコの駆け回る足音に真夜中なのにと驚いて、目ざめた。永い宵寝=酔い寝だった。過剰なほど集中しての「読む」勉強によほど眼から疲労したらしい。
2018 9/16 202

* 起床8:20 血圧123-59(96) 血糖値96 体重64.6kg

* 終日疲れも眠気もひきずりながら、あれやこれやしていた。入浴もし、紙も洗った。
いつしれず 九時前。ひきずるように生きるという感じに実意が添う。昨日今日の仕事のメインは読書だった、ユダヤキリスト教からパウロらのヘレニストキ リスト教そしてさまざまな異端を整理して「霊肉二元」の正統キリスト教(カトリック)と強力な教会が、教父や教皇の感化や威光のもとに、われわれ非キリス ト教徒には奇矯としか思われない結婚・出産観や性生活を、古代から中世、中世から近世、近世から今代・現代へと、積み上げしかも積み崩しつつ、無惨なまで 教義の自己破産へ破裂してきた基督教会史を、繰り返し繰り返し読んで、正直なところ、実は惘れていた。
彼らの歴史で、十二使徒やパウロよりあと、最も重く尊敬されてきた教父の一人はアウグスチヌスだろうが、  いやいや、惘れて、モノをいう元気も無い。

* もう、寝てしまおう今日は。いやいや、いよいよ、ファリヤ法師に死なれた地下獄のエドモン・ダンテスが決死の脱獄へ身を投じるところをワクワクして読 もうと思う。この物語は本当にすみずみまでこの後の展開を覚えている。そしてこの物語に限ってはだからこそワクワクと弾んで先々が楽しめるのだ。少年の昔 へすぐ帰ってしまえる。幾分恥ずかしいほどわたしは、やがて八十三という自分の歳に不相応に、浮き浮きと子供っぽく暮らしている、ようだ。ありがたいこと に、わたしにはいわゆる定年も定年後も無い。したい事、したい仕事で、衰えたカラダではあるがハチきれそう。
2018 9/17 202

* 起床9:20 血圧113-59(54) 血糖値90 体重64.0kg
2018 9/18 202

* 家事馴れない家の中は、まことに、むずかしい。生協へなにを註文して佳いのやら。一覧表の字が小さくて、読めない。
マコとアコとが、淋しそうに静かにしている、あんなに家中をふたりで疾走していたのに。

* もう機械はやすませる。
「モンテクリスト伯」に勇気を貰いながらマゴたちと寝よう。
妻よ、眠りやすかれ。
2018 9/18 202

* 起床6:45 血圧128-65(67) 血糖値101 体重64.0kg

* アコ、マコの静かさに胸が痛い。ふたりがいて足もとへ慕い寄ってくるのに、どんなに慰められるか計り知れぬ。アコは、夜中も妻の夜具に身を重ね、わたしを見ている時がある。マコは、手洗いへ起つにも足もとへからまりついて抱いてという。
わたしは熟睡できず、夜中、二度三度、本を読んでいた。もう八時だと起きたら、七時前だった。

* 今日は午後、余儀なく聖路加へ行かねばならぬ。
2018 9/19 202

* 十時半 水曜日午前のいろんな用事を済ませた。ひるまえにはマ・アに食事をさせ、て、慎重に留守をしてもらう。すぐ帰ってくるつもり。宅急便、郵便が有るかも知れぬが致し方なし。

* 内分泌科の諸検査、異常なし、肝臓・腎臓とも。腎臓の年齢によるスローな老い衰えは余儀無しと。

* 築地の更科で蕎麦で酒をすこしやり、その脚で帰宅。すぐ、マ・アに食事させておいて、病院へ。

*  顕著に妻の状態回復していて、医師は、ペースメーカー内蔵手術に及ばないかどうか迷いだしていた。これはまたわれわれ医療外のモノには的確に判断がなら ず、医師にあんいに下駄を預けられるのでは不安で叶わない。医師は、わたしと建日子とで相談したいと。症状の好転は嬉しいが、警戒が解けるわけではなかろ う、相談は困るなあ。
2018 9/19 202

* 昨夜もよく眠れていない。三時に酒で蕎麦をすすり、六時にワインて小さなパンを食った。ヨーグルトとパンとを、爪の垢ほどずつマコとアコとに。大喜 び。家の内にふたりがいてくれる有り難さをしみじみ感じている。兄弟ともわたしに抱き取られるのが大好き。そして元気になる。

* 睡い。
2018 9/19 202

* 起床6:45 血圧129-63(78) 血糖値105 体重64.0kg

* アコ、マコの排尿便の後始末(砂便所から掬いあげて生ゴミとして出す)から始まる。この子達、排尿便の不始末がほぼ全く見られず、決まりの砂場をつかってくれるのは、大助かり。ただし障子の惨状には唸るしかない。懸け軸もみな外した。

* 妻の容態への対処、医療上の判断が出来ないぶん、反動的に無形の不安に怯える。アコマコの食餌の世話などして気を晴らしている。自分の癌には自身驚く ほど冷静に対処し乗り切れてきたが、妻の心臓はもう数十年来の宿痾であるだけに、真実、心身から戦く。私のためにではない、妻自身のために長生きさせてや りたい、一年でも永く。

* 静かな心でありたい。凡庸のわたくし、容易でない。これは誰にも頼れることでない。

* 近江大津の澤さん、おみまいメールで戴く。感謝。お手紙・お便りは、何とかぎらずいろいろ戴くが、わたくし、手先の痺れで字がかきづらく、おおかたお返事が出来ないでいる。この「私語」を見て戴ける方は、ここで、気持ち、代替させて戴いている。
メールを頂く場合も、「私語の刻」に、気分、謝意を示すに止まってしまうのをおゆるしください。頂き物のお礼のハガキなど、大方みな妻が代わってくれている。

☆ 心配
すべて、すべて良い方に向かいますように。
お身体大事に   尾張の鳶

* いまは、こういうふうに大まかに案じて戴けるのが、とても気が休まる。ありがとう。できる限り、じいっと、機械に向いて創作世界へ入り込みたい、不安から逃げ込むのではあるが。

* 処方箋を保近くの薬局へ届けたり、マアに食餌させたり相手をしたり、自分も朝に昼に何か食べたり、宅急便や郵便に応対したり、届いた再校を点検した り。 ぐーったりと疲れてきた。腹の工合も妙に重い。三時には、見舞いに行く。自転車で助かるが、用心もいる。疲れてくると脚が攣る。むかし、これで転倒 したことが二度三度あったので、用心している。

* 気の励みは、いましもエドモン・ダンテス、モンテクリスト島で、ファリア法師から譲られた、信じがたい財宝をついに掘り当てて目にしたこと。此処からモンテクリスト伯の第二の人生、復讐と報恩と愛の人生がはじまるのだ、気を励まされたい。
源氏物語は、「玉鬘」十帖に進んで行く。
読書に励まされたい。ただ眼が疲れ切って行くのがしんどい。
2018 9/20 202

* 幸いに妻の体調は昨日に好転、今日もさらに好転、この分では手術までもないのではと、医師は明日の朝、建日子も交えた面談で意見を聞かせてくれること に。うまくすれば、土曜に退院可能かも。そのごは慎重に診察と治療を重ねて行く事になろうか、そうあって欲しい。いつつか愁眉をひらき胸を撫でている。雨 の中を自転車で病院往復した。

* セイムスで、マ・アの食物と排便用の砂とを買い、ついでに札幌味噌ラーメンという安直を買って帰り、二人に食事させてから、ひとりでラーメンを喰っ た。不可なく可でもなく。酒へ逃げた。昨夜、安眠できず、今朝は不安に耐え得ず、逃げ込むように精神安定剤のリーゼを服した。効いてくれた。

* 七時。もう睡い。選集二十八巻の前半、十三篇の対談・鼎談・座談会再校を終えた。懐かしく、そして幸せな思いをした。
2018 9/20 202

* 起床6:00 血圧129-64(68) 血糖値123 体重64.3kg

* アコ マコ 交互に私の蒲団の中へ入ってくる。心温まり安らぐ。有難うよ。排便の始末や食餌の規則的かつ平等な飼養。いたずらもかなり烈しく、昨夜は、排便用の砂の用意分を廊下に撒かれて弱った。なにしろ、家中を引っかき回してくれる、ふたりして仲よく。

* 今朝は十時半に、建日子もともに妻の主治医の話を聴く。予断もたず聴きたい。好転の維持と持続、それには何が必要か。

* 五時半には目がさめて、直哉の「正義派」を読んだ。ラコニックな文体の煮つめ、男性的に屹立している。

* 十一時、建日子も来て、主治医の説明を聴く。十八日の心電図その他の悪兆候が、入院翌日來幸いに著しく好転、手術を強行するまではない、今後をいよいよ慎重にみて行きましょうと。
明日の退院が決まった。建日子を母のもとにのこし、わたしは帰宅。朝から雨で、重ね着の長袖にレインコートで自転車の往復。慎重に慎重に。軽々と走っている。
少し疲れて寝た後、三時になったので、もう一度雨の中を走って見舞い、なにかと話しあう。五時を過ぎたので、マ・アのためにもと帰宅。明日の無事退院を待望。

* 御心配を頂いた方々にお礼申します。
2018 9/21 202

* 心身をやすめる。酒に飽いてから、ぐっすり寝たい。
2018 9/21 202

* 草臥れている。パンとワインとミルク。つまり手近で手軽に食事は済ましてしまう。マ・アたちの食餌はきちんと時間どおりに定量をやらねば。糞便の始末 も。これは意外なほど手軽にきちんと出来る。ふたりとも甘えるあまえる。夜中、一度二度はふたりとも蒲団へもぐってくる。紙屑をまるめ追っかけて遊ぶのが 好き、テシュペーパーの箱が狙われ、気が付くとひどい有様。障紙よりはいいが、障子はすでに壊滅状態。
2018 9/21 202

 

* 起床7:45 血圧127-58(82) 血糖値95 体重64.3kg

* 十時半 妻、無事安穏に退隠帰宅できた。今後はさらに慎重に再々の通院診察がなされる。耐え抜かねばならない。
御心配をかけました。お見舞い下さり心より御礼申します。
ひとまずは嬉しく安堵している。マコ・アコも喜んでいる。わたしは、ひたすら、睡い。自転車見舞いをみな無事に出来てよかった。
院内では、退屈紛らしにも、選集28分の再校・常識校正をたくさん、手伝ってくれた。アタマはせいぜいしっかり働かせて貰いたい。
2018 9/22 202

* 起床5:00 血圧138-59(73) 血糖値110 体重64.6kg

* 建日子 カーサン夜中異変
五時頃 悪寒。 寒いと訴え、熱は七度余り、脈はあり。ガタガタ震え、加えて脚の攣りに苦しみ、手洗いまでの途中で、相当の嘔吐。
便座で落ち着き、六時現在、蒲団を重ね着て、寝入ろうとしている。熱少し。いささか寝ぼけの気味あるか。

救急車は不要という。

点滴に較べ、水分の不足顕著と思われる。目下はわたしにとくに打つ手なく 静観のみ。

実は 入院の翌日に、 ご近所にあいついで不幸あり、いささかは、いや、かなりかも これが精神に響いていないかと心配している。

七時。 わたしも疲れているが、頑張って看護する気。 とりあえず状況を知らせておきます。 父

* 退院帰宅すると、いきなり家事や仔猫たちの世話にかかり、嬉しさでとは分かるが、疲れてしまう前に横になるように奨めたが。疲れを感じてからになった。夕食は、頂き物で間に合わせたが「おでん」など消化しきれなかったよう。

* 日曜日。静観しつつ看護を心がける。
2018 9/23 202

* この三、四日は毎朝五時ないし六時半ぐらいに起きている。元気づけに、なにかというと、ごく少量ずつ、お酒かワインか安いウイスキーを口にしている。 疲労しているので睡魔に誘われるが、眠って体力と視力とを支えている。妻は昨日、何よりも「選集」三十三巻の予定を完結させましょうと口にしていた。しか し急ぐまいと思う。棒を折ったにしても、何が何という何の意地も無いのだから。一年でもながく「この家で」一緒に生きたいとだけを願っている。そういう人 生であったのだから。
2018 9/23 202

* 一時前、ロキソニンで熱を下げ得てて、妻はゆっくり昼食が摂れた。マもアも、さも安堵の風情。しばらくテレビも観て、三時過ぎ、また床に就いた。わた しも眠りたい。今日は何の休日なのやら、郵便ももう宅配もあるまい。私まで潰れてはとほうもないハメに落ちる。焦るまい。

* たまりかね、三時半から五時までわたしも熟睡した、いや妙な夢も見ていたが烟のように忘れた。すこし気の張りも出来、心身・眼、すっきりした。妻は熟睡し続けているが、熱は引いているか、そうだと有り難いが。
2018 9/23 202

* 夕食も二人で出来た。今夜を無事に乗り切って、退院後へからだを慣らして行ってほしい。
わたしは、ひたすら睡い。
2018 9/23 202

* 建日子  カーサン やや持ち直しています。

午前中は発熱で、冷やし続け、ついにはロキソニンで解熱を策したり。
なんとか昼食はテレビの前で出来、その頃からすこし持ち直して、午後も寝ていましたが、白鵬の全勝相撲も観て、夕食も、ま、ちゃんと出来て、八時前から床についています。熱は降りていて、白い顔をしています。

九時過ぎ わたしも疲れきっているので、寝ます。マ も ア も、元気です。カーサンが帰ってきて嬉しそうです。

心配を掛けました。 まだ脱したとも云いきれないが。
建日子もくれぐれも健康に用心してください。  父

* 九時。明日にそなえ、横になる。
2018 9/23 202

* 起床7:00 血圧123-59(60) 血糖値105 体重64.4kg

☆ ぼくも
電話で話せて少し安心しました。
白い顔は血圧が低いのかもしれないですね。そもそも、血が足りていないのか。

なるべく時間を作って早めにまた顔を出します。

運搬などの力仕事があれば、そのときにでも。

お二人とも どうかお大事に。   建日子

* 無事に生ゴミも出した。わたし、すこし、寒気と発汗気味。
夜中目ざめて、『モンテクリスト伯』のなかでもダンテスには恩義深きモレル一家の惨状を救う全巻中の報恩感動編を読み上げた。ここからは、ダンテスも宣言している復讐篇へ突入して行く。まずは舞台はローマへ展開する。
また寝入ってから、ふと気付いた、枕の向こうでマコとアコが兄弟抱き合うようにしたまま、ごく低いミミ、ミミといったごく低声でとめどなく、内緒バナシのように話しあっているのを聴いた。こんなのは初めてのこと。
2018 9/24 202

* 骨休めに音楽クイズ番組を気楽に聴いていた。
建日子はカーサンの顔色は白いより淡黄色いのではと観ていた。壊死していた胆嚢は幸い摘除してあるが、脂気には気を付けねば。
わたし、気怠い疲れが溜まっていて、睡い。よく眠ることがいまは大事らしい。
2018 9/24 202

* 起床5:30 血圧116-62(71) 血糖値100 体重63.8kg

* 体重、胃全摘後の最低、たぶん四十代前半のスマート水準へ。糖尿は、インスリン注射こそ欠かしていないが胃癌手術後すこぶる安定している。病院の処方 薬はアリナミン系二種類、前立腺用の一種類だけ。しかしエビオス(五錠)と乳酸系小腸大腸の安定薬のほか、眼にブルーベリイ、点眼薬四種、すっぽん球、う こん、萬田酵素などを毎朝にきちんと服している。気まぐれにでなく、起床後に整然と用意して軽食後に服している。食は、進まない。今朝は卵の厚焼き二切 れ、梨を半分だけ、日本酒を小さな猪口に二杯、好みの落雁系小粒の甘味一つ二つ。そんなところ。
心身の疲労は、仕事柄もあり、過重にこたえるが、病院通いに日に二度も病院まで見舞い往復も軽々と走れている。自転車は、坂でさえたいして苦にしていない。
妻が退院してくれ、仔猫がふたりし喜ばせてくれて、有り難い。おいおいに歩くと云うこともしたいが、まだまだ発熱・悪寒・嘔吐後の妻の体調は正常とは云えない、用心しいしいの日々となる。
2018 9/25 202

* 江古田の歯科予約を断り、聖路加処方薬を薬局で受け取ってきた。辛うじてあめを免れてきた。

* 明日の故紙回収のため、超重い紙の荷を六つも七つもつくって勝手口の外まで出した。よくこれだけ持てるという重量を、書庫から、廊下から、取り集めて 紐で荷にして運んだ。背骨は腰あたりで相当陥没しているだろう、老境、それはもう防げることでない。ただ、わたし、腕力はまだかなり保っている。

* すこし寝入った。一時に「マ・ア」たちにきまりの食餌を遣った。妻は、朝のはたらきを休めに寝入っている。一時半、いま、大屋根をうつ烈しい雨の音を聴いている。天然の音楽などというふるめかしい言葉が思い出されて。「マ・ア」たちも昼寝。
ひとり目ざめていて雨を聴くのは、寂しい。すこし遠くで号砲のように雷鳴が地をうち……駆け寄って来そう。
2018 9/25 202

* しばらくぶりに湯に漬かれた。昔から何度も観た若いセガール一の快作「ハード・トウ・キル」を観た。
2018 9/25 202

* 起床6:40 血圧119-62(74) 血糖値104 体重63.6kg

* 夜前はともあれ安眠したようで、安堵。早起きして、朝食。雨。故紙回収、いつもはわが家の塀のまえに出されるが、雨の日はお隣のガレージを拝借する。紐を掛けた一つ一つが15・10キロの余もあるのをわたしは雨中お隣へ運ぶ。腰が悲鳴、故紙になりそう。

* 運び仕事、了。
「さばとら と 毛なみを謂うらしい」アコと二階へ。黒いマコはめったに二階へ来ないが、大人二人が家を留守にしていると、「ア・マ}」ふたりして二階廊下の窓縁にならんで外を見ている、らしい。
2018 9/26 202

* 起床6:30 血圧118-54(74) 血糖値112 体重63.7kg

* ひとり早起きして、「マ・ア」に暫くつきあい、諸計測。回収の生ゴミを戸外へ。雨はやんでいたが、空は暗い。
二階へ来て、機械を時間かけ温めて、開く。
2018 9/27 202

* 疲労でか、寒気と眠気につぶれそう、辛うじて一時間余寝入ったが、苦いものが喉もとへあげてきて目覚めた。すこし休んで、そのまま寝ることに。昨日から今日へかなりからだを動かし地下に仕事も多くしていたのが堪えているか。やすむ。
2018 9/27 202

* 起床7:45 血圧121-56(58) 血糖値100 体重63.6kg

* ひとり早起きして、「マ・ア」に暫くつきあい、諸計測。回収のゴミを戸外へ。 雨後の晴天。二階へ来て、機械を時間かけ温めて、開く。
2018 9/28 202

* 郵便局と、近くの「セイムス」へ支払いや買い物に二人で出歩いた。まぶしい秋晴れ。しかし明日以降は大崩れと。
杖無しで歩くことはなかったが、勝手口に杖無く、玄関へ回ると「マ・ア」がドアから飛び出しかねないので、そのまま出た。杖は持ったほうが遙かに安心・ 安定。めまいのする妻にも、以前から熱心に薦めるのだが、頑固に聞きいれない。カッコなど言うてられる体調でなかろうに。
2018 9/28 202

*  このところ、座右において嬉しい甘味、宇治小山園の「宇治茶松露」名古屋両口屋の「二人静」金澤のお洒落煎餅など戴いて、酒飲みの甘党わたくしは、目が ない。酒でよく眠り甘味の糖分に元気をもらっている。どこにでも売っているなどと言うなかれ、わたしは街のどこへも出掛けられぬ暮しをしている。ありがた い。
2018 9/28 202

* 睡眠二時間か 起床5:30 131-67 (84) 血糖値119 体重63.5kg

* 建日子  カーサン またも
夜中異変  診察日ですが 再入院か

夜前 入浴後 極めてめずらしく 十時には早や床に就きたいと。
そして、深夜へ向けて いわゆるゲップが出て欲しいが出来ない、カラダが硬い 腹部不穏 吐きたいが吐けない 腹痛 と続いて、温湯で腹を温めたり水分 補給したりしつつ、眠れぬまま三時ごろまで苦痛を訴え続け ほとんど「疲れ寝」のように俯せに浅い眠りへ落ちている、現に。痛み、退いているのかも。
発熱は無し、嘔吐はせず。一言にすれば 全身強度の不快か。「脱水」かと自問はしていたが、たしかに薦めても薦めても水分摂取が常に少ない。幸い心臓の苦しい痛いはなく、前回即入院を免れなかった徐脈はなくむしろ脈搏数は多すぎると。
前日に異様な食事をしたとは思われない。

今日 さきの退院後 初の診察日だが、衰弱が認められれば再入院のおそれねも強いです。

わたしは、一時間ほどは寝入ったけれど、終夜 看護ともなく いろんな世話でほとんど眠らず、五時半過ぎ六時前には床も離れ、様子を見ています。十時までは、眠れるなら眠ったままやすませておきます。
退院後初の今日の診察予約は午過ぎ。しかしタイヘンな人数の予約なので、「待つ」覚悟で来て欲しいと退院時に言われています。
本人には車を呼び、わたしは自転車で追います。だいたいタクシーと自転車で同じほどの時間七、八分で往来できます。入院となると、なにかと持ち運びの必 要あり、運ぶには自転車が便利。病院まで、徒歩だと十数分余かかり、わたしは 「歩く」のがシンドクて。雨の中でも自転車で走ります。

成り行きは また知らせますが、カーサン、弱っているなと案じられます。わたしも、このところ疲労困憊、だが わたしは励まし役でもあり。 「マ・ア」も 心配してカーサンのそばで、小さくなっています。  父

* やがて八時。「マ・ア」に朝食をやらねば。
2018 9/29 202

 

* 十時には、起こした。幸い 軽快していて遅い朝食をカタチだけでも。
雨中、午後一時すぎ、タクシーと自転車で病院へ。入院の用意も調え持参、妻は諸検査、わたしは待合いで「湖の本」142の校正に没頭、疲れると、『モンテクリスト伯」の続きを読んで不安を逸らしていた。

* 検査、心電図の結果は、前回の大徐脈に比して改善のまま。希望を持った。診察順は、最後尾。院内閑散として、待合にわたし独りかという時刻に診察終えて、有り難いこと、入院は免れた。やはり、タクシーと自転車で雨中を帰宅。「マ・ア」も喜ぶ。

* わたしは潰れるように三時間ほど熟睡。遅めの晩食は、妻が用意。安堵。

* 寒むけ、ことに下半身がシンと冷えている。食事終えたが、睡い。夜中に目が覚めてもいいので、ただ寝入りたい。頸に かたい鎖を巻いているよう。
2018 9/29 202

* 起床6:50 122-61 (65) 血糖値120 体重63.5kg
2018 9/30 202

 

* きのう病院から戻って以後、今朝まで、断続ではあれよく寝た。よほど寝が足りなかったらしい。
今夜から明日へ猛烈な台風に見舞われそう、西国はもう烈しく荒れている。用心に越したことなし。

* この数日、仕事や心労の合間を強引に利しつつ、階下、和室の大ちから仕事の模様替えを独りで着々決行した。手間を叮嚀に掛ければ(力さえ出せれば)可 能と見通していた、そして今日昼過ぎには第一期の大仕事を無事に思い通りに仕遂げた。重い重い大きな本を二百冊ほども取り出して仮置きし、重い棚を思い通 りに独りで移動させたうえで、また綺麗に全册収め直した。古典文学全集、浮世絵全集、障壁畫全集、志賀直哉全集ほか稀覯の重い大きな本の全部を棚を移動さ せた上で移し替えた。それだけでなく寝室のわたしの顔の真横の、上京時新居に買い入れた木の本棚も和室へ移動させ、入っていた本も処置した。これをしない と、もしその本棚が夜分に倒れれば、わたしの顔・頭・頸をモロに本ごと襲うのだった。
どういうわけか、まだ今ならそんな作業が独りで出来る、やってみようと決意したのだ、そして、やれた。いい気分であるが、損な模様替えを断行したのは、 さらにそれに倍する大きな箪笥と洋服箪笥とを、これまた和室へ一緒に収める為である。それをしないと、二つの大きな箪笥は、妻と私の上へやはりモロに、 もっと烈しく重く倒れて来かねないから。
さ、わたし独りに(心臓を病んでいる妻には絶対にそんなちから仕事は手伝いすらさせられない)、よほども重い大きい箪笥を、廊下を隔てて部屋から部屋へ はたして移動させうるか、男二人でなら簡単に二十分もあれば済むと見遠している、(三、四十年近くも昔には同じ事をわたしが独りで実行したのだから。) が、さ、今回は、八十二歳のわたし独りで、どうか。建日子は、「若いの」を二人ほど、日当一万円出すなら、すぐにも行かせるよと言う。二万三万を惜しみは しないが、縁のない他人サンに箪笥のなかまで披露するのは気が引けるではないか。箪笥本体を移動するには、抽斗をぜんぶ抜いてかかるのが筋で、それは省け ないのだ。
ま、晩年の亭主働きとして、やってやろうと思っている、ネコたちの手も借りられない、興奮して大いに邪魔をされるばかりだが、現に、今日も。ま、この完遂のためにも、妻にはどうか日々元気でいてもらいたい、「やすむ」ということを励行してほしい、と切に願う。

* とっておき、名酒のなかの名酒「獺祭」二升の一本口をあけた、じつに美味い。へたをすると五合も今日にも飲みそうで、抑えている。日に二合、ないし昔からいう「こなから・二合半」はぱぱっと飲んでしまう。

* 元・朝日新聞社の伊藤壮さん(湖の本創刊時に絶大の後援を戴いた恩人)から、いつものようにこれまたとびきりの名酒「越乃寒梅」二升を頂戴した。ありがとうございます。
わたしに「越乃寒梅」を初めて贈ってくれたのは、わたしより若いのに最近亡くなってしまった俳優座の、加藤剛であった。

* 神奈川の永田さん、ウイスキー「オールド・パー」「シーバス・リーガル」12年ものを送ってきて下さった。ありがとうございます。
わたしは、ウイスキーを水で割ってなど飲まない、生のママがいちばん。美味い佳い味をうすめるなど、もってのほか。日比谷のクラブに置いてあるブランデーもスコッチもむろんいつもストレートでと女性達承知してくれている。
2018 9/30 202

* さ、そろそろ、雨になるか風が来るか。

* 床の枕脇の山積みの本の整理に、また力仕事に励んでカタをつけた。
機会の仕事もつづけて、九時になる。「大門未知子」のドラマを観に階下へ。

* 十一時過ぎ。やすむ。九月尽、そしていましも台風襲いかかる。
2018 9/30 202

* 起床6:10 120-64 (64) 血糖値97 体重63.5kg
2018 10/1 203

* 夜中、なるほど暴風だと感じていた、雨より風が凄いと感じながら寝入った。
六時に目覚めそのまま床を離れた。暴風雨はきれいに去って。「マ・ア}におこぼれをせがまれながらパンにバター、ミルク、煮豆、すこしだけ「獺祭」、で独り朝食後機械の前へ来た。
いま、すさまじいまで「暑い」 33度まで行くそうだ。
2018 10/1 203

* 加藤剛のお別れ会を報道していた。わたしは、とても出向ける体調でなく、その生涯に「拍手」を求めている嗣子頼の要請に応えて「拍手」を送った。わたしの人生で彼との出会い、「心 わか愛」上演に至る出会いは、異色に大きい重いものであった。
さきにあの芝居の「K」が逝き「先生」も逝った。ああ。

☆ 至急のお願い
昨夜の私語を拝読して至急のお願いです。島尾敏雄の轍を踏まないでください。独りで箪笥を移動なんて、いけません。
『小高へ 父島尾敏雄への旅』の中に、島尾敏雄の死因となった行動について息子の島尾伸三が書いていました。
父親と母親の世界が混同しないように住居の一階は母のもの、二階は父親と妹のものとわけていたが、一階がゴミ箱のようになり、溢れかえるミホの着物をしまう場所がなくなったために、着物箪笥を二階の島尾敏雄の部屋に置くことになった。
島尾敏雄は自分の重たい書籍を車庫を改造した寒い書庫に移動していて、その作業中に脳内出血で倒れたのです。
「おかあさんの浸食力が無限大であることを知らされ、自分の配慮の足りなさを嘆きました」とも伸三さんは書いています。
秦さんは、いま、同 じことをしようとしています。秦さんのご年齢でする作業では絶対にありません! 本の移動だけでも滅茶苦茶無謀でした。若者でも厳しい肉体労働で秦さんが 病気あるいは怪我をした場合、「配慮の足りなさを」奥さまと建日子さんとに生涯後悔させることになります。秦さんにはまだまだすべきお仕事がたくさんあり ます。出来なくなってよいのでしょうか。
どこでも八十代の住まいは基本的にゴミ屋敷です。当然です。体力的に片づけられなくなるのは自然のことです、だから掃除業者などの需要が多いのですし、業者は乱雑さには馴れています。
建日子さんが手伝えないのですから、彼がアルバイトを探すか業者に依頼して、費用も払う、これ息子として当たり前です。老親の面倒を適当にしか出来な かった私ですら長年やってきたことなのに。わたくしは怒っています。無謀なお父さんと気の利かない息子さんに。後で建日子さんが嘆く前に、建日子さんを嘆 かせる前に、すっぱり秦さん自力の箪笥の移動を諦めてください。至急のお願いです。
奥さまのご体調いつも心配しています。秦さんを支える強い使命感がおありと拝察いたしますので、またお元気に乗り越えてくださることでしょうが、どうかお大切に、日常の家事負担をどんどん軽減なさってください。
早いご快癒を心よりお祈りしています。  一読者  石川県

 

* ま、言われそうなことを言われてしまった。島尾敏雄さんの最期がそんなだったとは知らなかった。
だいたい、なんでも自分の判断と力とでやっつけてきた久しい習いが身に付いている。人に頼るということは極力しないし、しんから頼れる人などめったに無 いことは、生まれ落ちた事情から、育てられた家の事情、家庭を持ってからも分かっていた。子供が出来ても、子供には子供の生活と仕事と意欲とがあって自然 当然、手助けということでは、ま、頼りにならないものと初手からあきらめてきた。「山の音」や「東京物語」のようないい嫁にも助けてもらえずじまいに終わ る。父親わたくしの不徳と無能ということもあるのだろう、仕方がない。

* 箪笥二つの移動は、むかし事ではあるが実体験している、階段の上げ下ろしなど出来ないが、部屋から部屋へ水平移動は出来るだろうし、しておかないと夫婦とも下敷きの危険は免れず、気は急く。
御親切、身にしみ有り難いことです。

* やりかけたことは、遂げておかないと、睡眠もとれず<安眠もならない。すこし妥協して洋服箪笥だけの部屋移動を渾身決行。
上下段に大きく積まれた欅の衣装箪笥は、上段分を洋服箪笥移動の跡へ下ろして、上下を平らに、背丈ひくく列べ置くことにした。これで倒れかかる心配はほぼ確実に払拭、 部屋が平らに、すこし広く感じられるのも佳い。
それにしても欅の箪笥は、本体はもとより、抽斗の一段一段がしたたか重かった。渾身の力をふり絞った。今日は暑くて、汗もしとど。
もう二度と居室の模様替えはしないだろう。が、二階の仕事部屋の危なさは、とても遁れようがない。本棚に囲まれた「底」で仕事しているのだから。

* 書架を移動し、洋服箪笥をもちこんだ和室の方、もう少し按配の必要あり、余儀無し。
2018 10/1 203

* 暑さに愕く。汗、ぐたぐた。からだを毀さぬように、今夜は早く寝る。かなり無茶にカラダを使った。そのわりに食欲細く、「獺祭」を少し少しずつ頻繁に賞味。
2018 10/1 203

* 起床7:00 126-55 (70) 血糖値97 体重63.6kg
2018 10/2 203

* 和室二部屋の模様替えは、あしかけ三日で思い通りに仕遂げた。重い横長の飾り本棚、背の高い二段重ねま重い洋服箪笥、衣裳箪笥、そして中の荷物、また 二百册以上の全集類や選集の予備本束など、みな独りで運んだ。われながらすさまじい腕力体力気力を使い通せて、ビックリもしたが、幸い、からだに特別の後 遺症もない。「今」でないともう絶対に出来ないと思った、やってしまわねば妻にもわたしにもふりかかる危険が大きすぎると思った。大きな身仕舞いの一つ を、妻も少し手伝ってくれて思ったとおり完遂したのが嬉しい。心配してトメに入って下さった方にはこころよりお礼申し上げます。

* 「湖の本」次回の発送用意は、面倒のそれでも半ば以上はしてある。
2018 10/2 203

* 起床8:00 119-58 (67) 血糖値106 体重63.2kg

* 胃全摘後の体重、最軽量を記録。
2018 10/3 203

* 仕事をしては短い仮眠や読書を繰り返していた。八時半、もう、眼は干上がっている。
2018 10/3 203

* 九時。おやすみ。
2018 10/3 203

* 起床6:00 137-65 (72) 血糖値101 体重63.5kg
2018 10/4 203

 

* 化け物のように白髪を乱していたがやっと散髪に行ける。予約しないと行けなくなったのが面倒で、ついつい乱髪になる。
明日は久しぶりの腫瘍内科の検査を受けにゆく。かなり待たされる。待つ覚悟で出掛けるだけに、留守に異常の無いのを願わずにおれぬ。つねに不安を抱えてクラスのはシンドイものだ。

* 散髪、済んだ。この清々までに三週間は掛けた。散髪ほど、して気持ちよく、するまでに気の乗らないもの、ない。明日は綺麗なアタマで腫瘍内科へ行ける、延々延と待たされるだろうが。校正をやまほど背負い鞄にいれて行く。
2018 10/4 203

* 疲れているが明日は、ぜひとも築地まで出掛けねばならぬ。はやくやすみたい。昨日も十一時前には床に就いていた。今夜も、と願う。
2018 10/4 203

* 起床6:00 137-65 (72) 血糖値101 体重63.5kg

* 機械を稼働させるに、今朝も小一時間要した。わたしの機械は、もう三百六十五日、かように使用者のわたしほど老いぼれている。気長に付き合うのみ。
2018 10/5 203

* 十時半。さ、病院の腫瘍内科へ例の検診と診察を受けに行きます。

* 四時半、雨を浴びることなくタクシーで保谷駅から帰宅。何一つ口にせず、空腹苦にもならず。
検査結果、なんらの異常なく肝臓も腎臓もきれいなものと。癌マーカーにも全然異常なく。ただ、いささかよろめく気味のあるのは、わたしの赤血球がすこし小さいからと。つまりは貧血気味か。特段の対応も指示されなかった。
半ばはわたしの希望でもあり、来年三月下旬、消化管内視鏡検査等を受けることにした。

* 雨もよいでもあり、空腹感すらないほど食欲なく、銀座から一気に帰ってきた。校正はかなりの量、出来た。講演の「色の日本」、また島崎藤村を語った二 つ、論攷にひとしいエッセイとして、これでよしと思った。小説世界と論攷世界とが完全に両翼を成しているのが、わたしの文学世界。その思いを日々に確かめ えている。わたしのうちに、伊藤整のような先達のあゆみへの共感が、いつ知れずインプットされていたと謂える。
帰宅しても、うけた郵便もなく。伊藤さんに戴いた「越乃寒梅」を唐津のぐい飲みでしっかり味わい、蕎麦を少々で本日の食事は、了。
2018 10/5 203

* 疲れのまま、ナスターシャ・キンスキー主演の、長い、つらい映画「テス」を観た。観ながら、必要な手仕事もしていた。疲れた。
十一時、もう、やすむ。
2018 10/5 203

* 起床6:20 123-61 (58) 血糖値94 体重63.4kg
2018 10/6 203

* 一日、機械で原稿をつくっていた。目が舞い霞んでいる。
2018 10/6 203

* 起床7:10 134-65 (71) 血糖値99 体重63.6kg
2018 10/7 203

 

* 起床7:20 136-62 (68) 血糖値97 体重62.8kg

* 体重が、上京、結婚、就職の頃まで戻った。高校時代に60キロに成ろうとしていたのを記憶している。体重減じたいは案じていない、むしろ大手術後のいっそ目標にしてきたほど。

* それより目ざめて仰天したのは玄関のドアがあいていて、マコもアコも戸外へ出ていたこと。幸いにふたりともわれわれの姿と声とで自発的に帰ってきてくれたが、なんでこうなったか分からず、われわれの不用意というより無い。難儀な対策を強いられるか。2018 10/8 203

* どの時点での「マ・ア」の外出になったかが全然分かっていない、ふたりともよほどのショックを覚えてきたらしく、ことに「アコ」のそれがよほど深刻 だったのではないか、銷沈して想われる。「マコ」の方はそう変わっていない。ふたりには、体験した「戸外」はよほどの緊張を強いたらしい。

* 夕食後、睡くてならず、四時間も熟睡していた。時間は惜しいが、睡れることは有り難い。
2018 10/8 203

* 仕事に熱中していたら、もう0時半になっていた。もう、やすむ。
2018 10/8 203

* 起床6:00 131-69 (75) 血糖値90 体重63.4kg

* 起きてすぐ「湖の本」143の編成に取り組んでいた。
2018 10/9 203

* この十日ほどの神経を痛めるほどの難儀な仕事をし抜いて、めりこみそうに疲れきっている。
十時前だが、機械からは退散する。

* 暢気に遊びに出たいが、すたすたは歩けないし、遠くへは気が重い。池袋や銀座よりは上野や浅草が懐かしいのだが、途方もなく遠く感じる。鶯谷の駅前に あった蕎麦屋の公望莊は博物館や公園への恰好の足溜まりだったが店を畳んで仕舞った。行きつけという先が極端に減っていて、三笠会館か鰻の「きく川」、そ うでなければ帝国ホテルのクラブへ入ってしまうだけ。どこへ、と決める根気が失せていて、病院帰りなどただよろよろと歩いて疲れてしまう。フレンチの「ボ ンシャン」が、すこし気軽に、しかも気を張って美味いワインが楽しめる、独りで落ちつける静かな店だ。
2018 10/9 203

* 起床6:00 130-69 (74) 血糖値97 体重63.4kg

* マコもアコもわたしの起きるのを待っていた。ひとしきり脚もとに纏わり付いて甘えた。玄関の錠を彼らが自力であけて外へ出たのか、大人の不用意・不注意だったのか。ともあれ、用心している、二人して戸外へ走られればとても手に負えない。
2018 10/10 203

* 起床6:30 138-66 (71) 血糖値84 体重63.6kg

* 小雨の朝。暑くなるとも 降りそうとも。
2018 10/11 203

* 米倉涼子の新しいドラマを観るつもりが、疲労のまま、寝入ってしまい十一時を過ぎている。両脚へのきつい攣縮が兆して目が覚め、水分の不足を自覚、ま た夜分の薬用やインシュリン注射もいま事終えてきた。頸筋のうしろに強い凝り痛みがある。四の五のなく、今夜はこれで寝入れるように用心するが賢いよう だ。
現在、ことに仕事の上の遅れは無い。創作の進展と推敲のほかは、二十五日からの新しい湖の本の発送、厄介な難儀は「選集28」責了後の「郵送」のための 宛名手書き。六百頁を越す大冊ではあり、今年最期の越えるに骨折れる大きな山場になる。多くは妻に頼らず自身で片づける。
2018 10/11 203

 

* 起床7:40 132-71 (62) 血糖値96 体重63.3kg

* 曇り雨の朝。冷えを感じる。左側に軽い頭痛、頸の根と肩の凝り、耳にも水が入ったような違和感。左ふくらはぎに、夜通し攣縮の傾向。瞼重くねむさが残っている。
2018 10/12 203

* この歳になると、身の回りに元気ハツラツなどという人は少ない。
此の長寿傾向社会で、世間を退いて・退くを余儀なくされた高齢者社会の「三十年間」を安心安定できるどんな政策が出来ているかと想うと、そぞろ肌寒く恐 怖感をすら覚える、現に覚えて怯えている人数は総人口の何割にも達していよう。安倍自民統治政権はこの点で目立った何もしていないどころか老齢福祉を割愛 して行こうとのみ模索し実行しようとしているかに想われる。現実にソウとしか想われない。安定多数を超保守の時代逆行自民に与えてしまった国民の選挙ミス の被害は日に日に傷を広げて行く。

* 左ふくらはぎの肉に亀裂が走ったように痛みが失せず、立って歩き出すときに膝が落ちそうに感じる。危ない。歩いているときは杖で支えられるが、自転車の最中に攣縮が来ると、そのまま横倒れへ逃げるしかないのを、昔に二度三度体験している。
なぜこう疲れが執拗なのか。視力のせいか。偏食ないし食の細すぎるためか。

* 横になっても、すぐ寝入るでなく、手のとどく所に大小二十三十の本へつぎつぎに手を出している。読書だけは字が見えている限り何よりの楽しみであるら しいのに我ながら惘れる。芥川の編んだ読本から森田草平の「輪廻」を読んだが、はなはだ不出来だった。加賀乙彦の「遭難」を読み終えようとしているが、短 篇なのに何度にも読み継いでいるのは惹き込まれていないということ。「モンテクリスト伯」は手にすると読みやめられなくて時に困惑する。源氏物語の「初 音」巻もしみじみと堪能してしまう。「千夜一夜物語」角川文庫の第二冊を読んでいるが、読みだすと惹きこまれる、活字の劣化に悩まされながら。
口承文藝の論文集、平安物語の論文集も、手に執ると読み耽ってしまう。
分厚い500頁余のしかも岩波文庫上下巻、プラトンの『国家』をみると、まさかと想ったのに二巻の全部に巻末までいっぱい朱線が引いてある。胃全摘後の 病室で読み耽っていたのだ、あの時はベッドで、医師も看護師も惘れるほどよく、本も、し掛かりの「湖の本」校正ゲラも読んだ。
よし、この前はミルトンの上下の大冊『失楽園』再読を果たしたのだから、今度はプラトンの『国家』も読み直そうと、さきほど決心した。
日本の現代、平成の文学はほとんど知らない。昭和末期の文学も容易にはワクワクさせてくれない。いま懐かしいのはもやっぱり藤村、漱石、荷風、潤一郎、あるいは手だれの文藝批評・評論。上京直後から一巻一巻買い溜め読み上げていった講談社版の全集が懐かしい。
そして岩波文庫新版の「源氏物語」を追いかけて「夜の寝覚」「狭衣」「住吉」などをまた読み返したいと舌なめずりしている。「書く」ちからや精気も生気も優れた読書からまだまだ吸い取りたい。不愉快で穏やかならぬ平成末期の政治やマスコミの醜悪から身をよけていたい。

* 十時だが、今まで昏睡のように寝入っていた。もう何もせず今夜はやすむ。
2018 10/12 203

* 起床7:40 134-64 (62) 血糖値89 体重63.8kg

* 冷える。セーターを着た。障子ポロポロで冬は迎えられない。

* 妻、通院の留守もたいした仕事できず、帰宅後、わたしは横になっていて四時、妙な疲れとれず、五時半、サマにならず、ぼんやりと機械の前へ来たが。油 断ならず。仕事を全体に速めねば心残りになりかねない。わたしの場合、基本の必要は、視力。視野が霞んでいては乗り切れない。からだの愚痴が増えている。 愚痴りたくば愚痴ればいいのである、クスリになるのなら。
2018 10/13 203

* 六時。「マとア」も夕飯どきだ、わたしも。食欲はちっとも無いが。
2018 10/13 203

* 起床6:40 134-66 (62) 血糖値92 体重63.4kg

* 冷える。
2018 10/14 203

* 起床7:30 137-66 (68) 血糖値85 体重63.8kg
2018 10/15 203

* 今日は、酒の気を抜きながら 大方の時間を小説二つの進行に掛けていた。

* 相変わらず食欲がない、少し口にするだけで腹が張ってしまう。夕食の時、録画してあった小津安二郎の監督映画、「東京暮色」に次いで「早春」を観た。 しみじみした。池辺良、淡島千景を芯の夫婦役に、いつもの小津組みの懐かしい男女俳優たちが出揃って、隙のない佳い脚本と例の小津調の写真とで、しんみり とサラリーマンたちの日々と哀歓とを綴りあげていた。岸恵子、浦辺粂子、中北千栄子、杉村春子ら女優陣が脇をうまく造形してくれた。男優達も渋い佳い出来 だった。ああこんな時代を歩いてて来たなと東京の風景が懐かしかった。

* 選集第29巻の編輯に着手。
2018 10/15 203

* 起床8:00 148-77 (60) 血糖値82 体重63.4kg
2018 10/16 203

* 酒の気を二日間抜いてみた。ときどきはそれが良いと思う。
2018 10/16 203

* 起床6:00 138-75 (71) 血糖値86 体重63.2kg
2018 10/17 203

* 暫くぶりの外出で、ホッコリと疲れた。もう一週間もすると「湖の本」142j巻が出来てくる。それまでに「選集28巻」600頁を越す大冊を責了で渡 してしまいたい。前後して「湖の本」143巻が組み上がってくるだろう。「選集29巻」の編成にも本腰を入れねばならない。それら全部にさきがけて、新し い創作が着実に成って行かねばならず、気が抜けない。
2018 10/17 203

* 起床6:45 141-67 (57) 血糖値88 体重64.3kg

* 和可菜の、鮨と酒が効いて、体重が増えていた。
2018 10/18 203

* 起床6:20 144-67 (66) 血糖値75 体重64.0kg
2018 10/19 203

* あす、天気さえよければ、そう遠くないどこかへ出掛けてみたくなっている、さて何処へというアテが思い浮かばないが。
残念、明日は雨風とか。明後日は晴れるとか。
2018 10/19 203

* 食事すると、なんでこう疲れるのか。すこし横になってくる。
2018 10/19 203

* 起床6:20 123-59 (66) 血糖値75 体重64.5kg

* 上の写真たちを、なんとも心嬉しく観ている。浄瑠璃寺の夜色も、広目天も仙厓画も、そして紅葉も。
今朝も早く起き、仲よく抱き合って寝ている「マ・ア」コ達や、玄関の靖子や、此の機械座からの谷崎先生夫妻へ小さなカメラを向けていた。機械音痴のわた しは、もう十五年は使ってきたカメラの、自動的にフラッシュするのを停めることもようしない。KONICAMINOLTAの、DiMAGE X50 という掌に収まるカメラで何もかも撮っている。
2018 10/20 203

* これで、今日は体調マシな一日であったのかも知れない、六時過ぎに起きて、いま八時まで、かなり打ち込んで仕事が出来ていた。

* {出来たら少し遠出して」とも思っていたのが雨予報で出なかった、が、なんだかいい天気ではなかったか。
明日は好天、秋晴れと予報していた。久しぶりに根岸の「香美屋」へなどと思うが、ひどく「遠い」と思えてしまうのは情けない。
博物館の本館は広すぎる、東洋館をゆっくり観て歩くなども。
西洋美術館はなにを観せているのかしらん。しかしこの眼の弱さでうすぐらい展観にはガッカリした覚えがある、出光での墨画展だったな。
日曜の繁華街は人混みが過ぎるだろう。自転車で静かな紅葉を探ねてまわるのが、気がきいているかも。久々に電動車を使ってみてもいい。「マ・ア」を前に乗せてもいい、危ないか。
安全なのは、校正のゲラをもち、空いた電車で都心の逆へ遠乗りしてみるのも。秩父には温泉もあるらしい、が、日曜ではやはり人出がねえ。
もうすぐ、『モンテクリスト伯』の上巻を読み終える。かつてのエドモン・ダンテス、今は検事総長ヴィルフォールと辛辣に向き合っていた。
プラトンの『国家』 フェミニストたちの神学的な厳しい論文集、源氏物語、そして秦 恒平が語っている「秦テルヲ」講演などなど、やはり「読む」のが一等の休息にも刺激にもなる、眼を労りながらでも。

* 近江の澤さんに戴いた選りすぐりの純米酒、あまりに美味くて、四合瓶の二本が二日半であいてしまった。米の飯はいまやひどく苦手にしているのに、米で出来たお酒は美味い。有り難いことです。
2018 10/20 203

* 起床7:50 136-70 (63) 血糖値87 体重64.1kg
2018 10/21 203

* 起床7:15 140-69 (52) 血糖値85 体重63.4kg
2018 10/22 203

* 終日 根気仕事に取り組んでいて、眼も神経も背も腹も草臥れた。で、気晴らしに押し入れ下の半分をなんとかカラに整理してやろうとしてみたが大きな筺 に東工大の学生達が在任中や退任後によこした手紙やハガキや書き物が入っていて、これは気分的に捨てようがなく、むしろ面白がって読んでみたりしていた。 じつは学生が寄越した通信は、階下の抽斗棚の幾つもの抽斗にまだ詰まっていて、これをどうするかは難題なのである。ヤっと棄ててしまうのが早いが、一人一 人を顔も声も姿もみなよく覚えているのでそれらを棄てるという思い切りがつかぬばかりか、話(小説)のタルネになりそうなモノが一杯見つかり、まさしくお 手上げの体でいる。

* もう階下へ。九時。なにか面白いことでもないか。
2018 10/22 203

* 起床6:45 145-70 (62) 血糖値103 体重64.2kg
2018 10/23 203

* 尾張の鳶が心入れの愛知・常滑「白老」の創業百七十年記念酒「純米大吟醸 嘉永元年」がじつに美味い。つい寝る前にも一献、早起きしても、まず一献。
2018 10/23 203

* この数日 四苦八苦を重ねて 選集第二十九巻を 今、電送入稿した。フウー。今晩はもう休みたい。
2018 10/23 203

* 起床6:15 153-76 (61) 血糖値89 体重64.1kg

* 雨のぱらぱら来る中で重い故紙の荷束をものの二十も決まりの場へ運んだ。わが家は用済みのゲラや寄贈誌等々が多くて、一束の荷がとても重い。腰の痛め止めを口に含んでからせっせと運んだ。腕力はまだ、充分に有る。

* メンデルスゾーンの聴き馴染んだバイオリンの曲を聴いている。音楽があると、気分の揺れやざわめきが失せていてくれる。
2018 10/24 203

* さ、明日朝に「湖の本」133が届くと、大方は玄関に積んで発送して行き、ごく一部を在庫として隣棟に入れるのだが、その隣屋がもう脚の踏み場もな く、どこへ置くか、場を塞いでいる前からの本をどこかへずらして新しいのを受けいれる櫑地をなんとか作らねば。これが重労働、痛み止めを囓って掛からねば ならぬ。
2018 10/24 203

 

* さ、明日がある、はやめに機械をはなれ、からだの力を抜いておきたい。思えば創刊このかた134巻めの、つまり134回めの発送だ、おなじ事を134回もしてきた例、そうは無い。辛抱の良さに感心する、妻もわたしも。
2018 10/24 203

* 起床8:10 155-66 (65) 血糖値91 体重63.9kg

* 「湖の本」142、納品。すぐ発送作業に掛かる。六時、夕食前に作業を一段落と同時に血の気が引くように一気に疲れが出た。貧血か低血糖か、要するに過労 の疲労。それでも、夕食を攝ったあと、また仕事を再開。九時からの「リーガルV」が終わるまで、作業を続けたい。
機械の前で居眠りに落ちていた。階下でしばらく横になってからまた作業を続ける。ラジオがピアノ曲を聴かせる。階下での作業しなからのテレビはなんとツ マラナイばっかりか。ピアノの音色はなんて佳いんだろう。もう八時前。作業はあきらめて明日へ持ち越そうか。両掌が音たてるように痺れている。

* 十時過ぎ、今日の作業を終えた。
2018 10/25 203

* 起床6:00 156-75 (53) 血糖値87 体重63.8kg
2018 10/26 203

* 六時まで、文字どおり懸命に作業し続け、送り出し、食後もう堪えられず十時過ぎまで潰れるように寝入っていた。灼けるようなのどの渇きで目が覚めた。今夜は、もう、ナニも考えられない、このまま横になって休む。
2018 10/26 203

* 起床7:15 136-65 (57) 血糖値77 体重63.2kg

* もう少し寝てもいたかったが、八時には「マア」らの朝ご飯をやらねばならない、妻は寝かしておいて起きた。早起きがあまり苦にならなくなり、御蔭で午前が 長くつかえてイイことである。ラジオで音楽を(新しいアルバムなどと謂っていて、ほとんど語り手がナニを縷々独り言ないし解説しているのかわたしには分か らないが)聴いている。まずどれもこれも聴いたこともない音楽・唄であるが、ま、一種の外国旅行のようなものと受けいれている。終日のこの音楽番組集でい わゆる歌謡曲や演歌は出てこない、それは佳い。謂うなればこれらはあのジェフ・ブリッジス兄弟やミシェル・ファイファーがあちこちへ雇われて弾きかつ唱っ ていた映画のような世界なのだろう。マイクを嘗めるような語り口で独りでまた二人でひそひそと話しながら歌を聴かせる。わたしなどの識らないいろんな若い 人たちの世間があるという事実は半ば面白く受けいれている。「おじさま二人」で喋りながら二時間もつづくという番組が始まる。いろんなリクエストに応える らしい。できればお喋りより音楽をたくさん聴かせてもらいたい。
2018 10/27 203

* 九時半。朝の、です。仕事にかかります。

* 機械に向いていて、ふうッと息を入れて目をとじひと休みの時、なにより嬉しい美味いのは和三盆糖の小粒の干菓子、「二人静」など口に入れると甘味がしみ入るように心和らげてくれる。

* 12時半 胸に空洞が出来たように、ふうっと草臥れている。

* 四時過ぎ、懸命に長い小説を、書き改め書き加えていた。ずきずき頭痛がする。熱中すればするほど歯を食いしばるので、歯茎が痛い痛い。
2018 10/27 203

* 起床5:45 150-71 (54) 血糖値97 体重63.3kg
2018 10/28 203

* 仕事しながら、ほんとうに久々、グレン・グールドのバッハ「ゴールドベルク変奏曲」を繰り返し楽しんでいる。生きものの躍動のよう、心はずむ。そしてまだ、十時四十五分。起きて、五時間にしかならない。

* かなり早めの昼食後、潰れるように横になり、校正もし小説も読んでいたが寝入って、胸焼けで目ざめたのが三時過ぎ。いわゆる昼寝には長かったが、朝早の埋め合わせだったか。
グレン・グールドのピアノで、ベートーベンのソナタ30番ホ長調を聴き始めた。
2018 10/28 203

☆ 本を有難う!
千葉在住の弥 レ(=弥栄中学卆<レディ>の自称らしい。)の親友が墓参りで娘さんと二人で帰京し、あちらの弥レと合流して歓談してきたとの☎を受けました。
あなたは京都へはよく行きますか。
私は、足場が無くなり、宿泊がネックで、テレビのコマーシャルを観て満足してますワ。

京都の紅葉はよろしいな

話変わってウォーキングが過ぎたのか 膝関節痛で医者通いです。まあ何とか歩いてますが…

近々御茶ノ水で日吉(=日吉ヶ丘高校)の同期会があるので 最後かなと 出席します。守美ちゃん(=旧姓芦田 現姓野村)にも会えるかも。

お元気でネ 又…    花小金井  遠藤千恵子 一年後輩

* 一年下の「弥レ」で健康を案じ消息を確かめたい一人があるが、分からず、案じている。
メールに紅葉の写真でも入っているらしいが、開く技、もたない。

* 機械が使えなくて、わたしの現況は見えていない。「京都へよく行くか」の段ではないのだが。
この人、七十半ばまでバドミントンをやり、日に万歩歩くのを努めて励行していたような人だが、「膝」へ来ているらしい。
わたしは、これで、現在比較的足腰穏便にかなりの力仕事が出来ている。湖の本の発送も、多いときはダンボール函に荷に作った70册を持ち上げ、キッチンから玄関へ運んでいる。腰に痛みを覚えても痛み止めの一錠を予防的に服する程度でおさまっている。
2018 10/28 203

* 起床5:55 127-76 (54) 血糖値83 体重64.1kg

* 真夜中かと目が覚めたのが零時だった、ま、よく寝たのだと、まだ暗かったが六時前に起きた。黒いマコが大喜び、足先にまつわりついて歩けない。

* うえに挙げた写真のみなが好き。下保谷の紅葉にほれぼれと見入る。「お月様幾つ」にも見惚れる。
もうまた月がかわるのだ、日一日と日が短くなり一等短くなる冬至二十一日の師走にわたしは生まれました。日一日、日が長くなるように生い育ったと思っている。

* 妻が歯医者への留守に映画「ロシュホールの恋人たち」を楽しんで見終えた。「シェルブールの天傘」は歌のミュージカネルだった。これはダンスのミュージカル。フランソワズ・アルヌールのほかにジョージ・チャキリスやシ゜ーン・ケリーがダンスを観せてくれた。
機械の側へ戻ってくると、グレン・クールドがバッハを演奏してくれている。

* 妻の歯医者からの帰宅も知らず機械の前で疲れきって寝ていた。あやうく荒物屋に頼んで玄関のドアを毀して入ろうとしていた。
絶えず睡い。しかし横になるとそのままモノを読んでしまう。新潮社版古色蒼然誤植いっぱいの世界文学全集『モンテクリスト伯』上下巻の上巻を読み終え た。頸の付け根硬く痛く、額も痛く、両掌はもう六年半もジンジン痺れ、十本の指には深いシワが立ち、殊に重ねた薄い紙を扱うのにも、小さな字を書くにもと ても不自由している。頸が落ちそうに睡いがサテすぐには寝入れない。いつのまにか倚子の昏睡してしまっている。
2018 10/29 203

* そばでピアノの鳴っている仕事部屋になり、なにより。いまはバッハの協奏曲一番、二番、三番がグレン・グールドのピアノでつづいている。盤を替えると 四番、五番、七番そしてイタリア協奏曲になり、さらに替えるとフーガの技法と名高いゴールドベルク変奏曲全曲のしかも第一回録音が聴ける。お宝ものの三枚 盤、感謝。

* 瞼が痛いほど重たい。
2018 10/29 203

 

* 起床4:00 140-68 (58) 血糖値90 体重64.4kg

* 手洗いに立ったあとが寝入れず、校正したり源氏物語を読み進んだり、床に入ってくる「マア」を撫でて遣ったり、結局六時前には床を出た。「時代不同歌合」 は百五十番三百首もあり克明に読み耽って勝ち負けを判じている、それほどの間を懸けないと機械は働き始めない。根気はよくなる。そばではバッハのピアノ曲 が鳴り続いている。
2018 10/30 203

* 妻は予約の診察日、くるまを呼んで病院へ。昨日は、歯医者から帰宅時、わたしは機械の前で昏睡していて、荒物屋を呼んで玄関の扉をこじあけようとしていた。今日は鍵を持って出てもらった。
2018 10/30 203

* 起床8:00 145-83 (69) 血糖値90 体重63.7kg
2018 10/31 203

* 起床6:10 137-72 (70) 血糖値93 体重63.6kg

* 目ざめたまま床を出た。霜月。冷え冷えと。
2018 11/1 204

* 起床8:10 129-72 (68) 血糖値85 体重63.4kg

* 家の中のいくつものドア・扉の不具合だったのや、「マ・ア」に壊滅された障子の代用などを頼んで、次々できてきた。寝室へ「マ・ア」の通り口も附けて遣っ た。原則、今で微弱温の電器炬燵に布をきせた籠でふたりで仲よく寝ているが、夜中にかならず寝室へきて甘えて一緒に寝て行く。出入りの自由と0;われが煩 わされないために、出入り勝手な通り口を附けて遣った。日々の食餌や排便の砂なども、やがては性的な処置や防疫・保健なども必要になり、一気に扶養家族が ふたり分増えた。それでも、どんなに老父母は励まされ慰められ、大笑いも憤激もさせてもらえている。
2018 11/2 204

* 起床7:10 129-72 (68) 血糖値85 体重63.5kg
2018 11/3 204

* なんとなく志ん生に慰められ、今日は ボーンやりと過ごしてきた。郵便局の都合で、コレまでは送り先宛名を貼ればよかった「選集」の送りが、ぜんぶ宛 名を、当方の住所も、所定の用紙に手書きしなくてはならなくなった。十字架なりの「包み」に謹呈・書籍小包・当方の住所印を捺していたのは不要になった が、手書きの宛名書きはシンドい。しかし、わたしは医学書院の編集者時代から郵便の大勢の宛名書きの手早いのが得手であった。同僚であった、近年先に亡く なってしまった作家の中島信也が「秦さん、いつのまにそんなに仕事してるの」と驚いてくれたほど仕事の量も多くハカもいった。わたしの外に「時間」があっ たのでなく、わたしが「時間」だったと今も思っている。
2018 11/3 204

* 起床6:30 134-72 (62) 血糖値105 体重63.6kg
2018 11/4 204

* いま夜九時半。国立能楽堂で午後一時開演の友枝昭世の能「卒塔婆小町」だけを観て、帰って、そのまま今まで寝入っていた。灼くようなのどの渇きで目ざめた。池上彰の番組でフランコ政権に手荒に揺れたスペインの現代史を現地で解説していた。
能は、さすがの老い小町であった、二十年ほど以前の昭世初演もわたしは観ていたはず、その記憶はたどれなかったが、今日の昭世小町の毅然とした境地の不思議な美しさとあわれさには胸打たれた。ワキの二人があまりに歳も藝も若くて気の毒であったが。
一時間四十五分の能と心得て行き、じつにピタリと一時間四十五分で終えたのにも感じ入った。 「九十よ」と云う馬場あき子と、ほんの少し言葉をかわしたのが、能楽堂で唯一の知人だった、大勢のかつての知人達の、他にだれ一人ももう見当たらなかった。
わたしは能一番で、十二分に体力を使い切ったようであった。能楽堂を出ても、もう池袋へもどるだけ、それでも頑張ってメトロポ地下の寿司「ほり川」まで行ったが、半分ものこしてしまうさんざんの不味さ。そのまま、帰宅したが、機械の前で寝入り、階下へおりて寝入り。
想っている以上に自分のひ弱いのに惘れている。
今夜は、もうこのまま寝てしまおうと思う。
2018 11/4 204

* 起床7:15 140-65 (61) 血糖値97 体重63.9kg

* 「マ・ア」に壊滅された障子の代用などを頼んで、次々できてきたが、障子の閾が 廊下より三センチほど高い上へ、更に二センチ近くも立ちあがり、「部屋へ出入りに蹴躓く危険が濃厚」なのに辟易、その何らかの緩和安全策で大工との交渉が難航、しか し家の中で転倒してそれが命取りになった事では、秦の母の前例もあり、能力の落ちてきている妻にもわたしにも、万全「蹴躓かぬ用心が四六時中できるか」どうか、老化が進むに連れて保証のか ぎりでない。
かと云って、閾の高さ一つで周辺の壁や柱から直して掛かるような大層な室内工事は思いも寄らないことだった。
設計・設定の段階で、「職人側で閾 高の危険性に一言があれば工事以前に意見交換が出来た」はず、素人のわれわれに 、はなからそういう「危険が予測」できはしなかった。
とにかく、とにかく、迷惑な現状のいかなる(経費的にも穏当、工事的にも妥当な)改善安全策が可能かどうか、気分の悪い折衝がつづくことになる。妻任せに仕切らせていたのも迂闊だった。
不愉快な、そして危険も伴う日々がしばらく続くのか、まことに気がわるい。

* とにかく、不快。
2018 11/5 204

* 気の沈んだまま、志ん生の咄を聴いている、まず「おかめ団子」、あとへ「天狗裁き」。 湯に漬かりに降りようか。校正するゲラもなく、『モンテクリスト伯」をユックリ湯に漬かって楽しむか。気宇を大きく持つために久々にトルストイを読みだそうと手近へ運んでおいた。『復活』からか、やはり『戦争と平和』からか。
2018 11/5 204

* 起床7:45 129-66 (70) 血糖値98 体重63.5kg
2018 11/6 204

* ほっこり疲れている。昨日は信じられぬほど二階でも階下でも床でも寝入り続けて、気が付くと真夜中の三時だった。しばらくほんを読み、また寝て、目ざ めると七時過ぎだった。そのまま起きた。この疲れは眼から来ているのだろうか。内臓の問題か。アタマが草臥れているのか。
2018 11/6 204

* 起床6:00 129-73 (77) 血糖値98 体重63.4kg

* 四時半ころから寝そびれ、「源氏物語」の『螢』の巻、プラトンの『國家』、『山上宗二記』、川端善明さんの綿密な「説話」案内、そして『モンテクリスト伯』と、それぞれ興にかられるまま読み進み、結局、六時頃には床を出た。
2018 11/7 204

* 起床6:15 142-68 (62) 血糖値92 体重63.8kg

* 八時二十分 「メサイア」を最初から聴きながら瞼を重く閉じていた。
2018 11/8 204

* 昼前、妻と、駅前通の文房具店へ、ついで銀行で、家計の通帳へ、次年分生活費を移転。寄り道もせず簡略な昼飯分を買うだけで駅前から車で帰宅。
2018 11/8 204

* 夕近くから横になり本を読むほどもなく寝入って、朝かと思い目ざめたのが六時前だった。なんとなく肌寒く、しかも汗ばむようで、ぞくぞくもする。
夕食後、今日届いた歌集を、家集というてもいいのだが、校正し始めた。歌の校正など簡単に思えてそにあらず、歴史的かなづかいを確かめ始めるとたいへん な手間になる。弱った視力でおおきな思い大辞典をあっち開きこっち開きあまりにちいさなかなもじを確かめるのだから、あたまもふらふらする。しかし、短歌 はわたしの文学・文藝の人生に少年のむかしから魁けた創作であり、関わってきた仕事は、その重みも量も優に選集の一巻分に大きく剰るのである。

* 文字どおりの「少年」の作と、老境に入って再開ともなくよほど姿勢も思いも一転して作を積むように績み紡いできたので、大きく家集としての名を『老 蚕』とし、そのなかに、「光塵」「亂聲」「戯歌」としておさめた。老いた蚕の好き放題に吐きだした繭玉になっていよう。『少年』「老蚕』は、ま、歌集であ り家集でもあるが、わたしの短歌に関わる仕事には撰歌と鑑賞というそう軽くはない範囲がある。『青春短歌大学』はそれなりに好評裡に文学好きな読者を納屋 間瀬も悔しがらせもした。
もう一つ、金澤の松田章一さんにいつぞや鑑賞の名著と文字どおりに絶賛いただいた『愛の歌・友情の歌  はるかに照らせ』を共編しておいた。もうそれで選集一巻に剰るほどの大冊と成った。校正にしっかり時間を掛けたい。
2018 11/8 204

* 起床6:30 146-71 (66) 血糖値97 体重63.6kg

* 八時三十分 何から何まで志ん生で対話する粋な「志ん生正月」の、ことに大津繪などの歌をしみじみ楽しみ聴いていた。聴きながら瞼を重く閉じていた。
2018 11/9 204

* 起床3:30 151-77 (62) 血糖値100 体重64.5kg

* 昨夜、夕食のあと、フイと床に就いたままなんと真夜中三時半まで寝入っていた。
茶をのみにキチンに入ったが、そのまま、歌集『老蚕』前半の「光塵」をゆっくり校正し終えた。いかに歴史的仮名遣いの確認に手がかかるか自信がないのかに愕ろいてしまう。綺 麗に歌を組みつけた貰え、しんみりとわが述懐の一首一句を詠みかえして行けた。二時間ほどで床へもどりそのまま源氏「螢」巻、『国家』そして『山上宗二 記』をそれぞれ面白く読みつぎ、さらに『モンテクリスト伯』を読んだ。大デュマのいわば息の長さには感嘆し、時にはその克明に徹しているのに嘆息もするの だが、なかでもマクシミリヤンとワ゛ランティーヌの広い庭の垣を隔てた逢い引きの対話は文字どおりに綿々また綿々で驚かされる。大デュマがこの大長編より 以前に一世に冠たるフランスの戯曲家であった史実を思い出すべきだろう。

* 読書のまま、七時まえには「マ・ア」くんに熱心に起こされ、床を出た。二階の機械は消してなかった。
2018 11/10 204

* 九時過ぎ。 夜前三時半から起きて、一日、あれこれ。もう、寝た方がいい、視野は濃い霧のよう、アテズッポウにキイを叩いている。
2018 11/10 204

* 起床7:50 158-72 (63) 血糖値102 体重64.0kg
2018 11/11 204

* 入浴。

* 九時過ぎ。 ティヌ・リパッティのピアノで、グリークとシューマンを聴いている。

* 強いて眼を覚ましたが、小一時間も、機械の前で腰かけたまま寝入っていた。
十時、もう休もう。
2018 11/11 204

* 起床7:15 151-70 (52) 血糖値91 体重63.5kg
2018 11/12 204

* 京・古門前の「おっ師匠はん」干菓子の「おちょま」を送ってくれる。就かれた居りに一粒口に含む甘味に救われる。わたしは、ま、だれがみても大酒の方 に相違ない、むかしは編集者に悲鳴をあげさせた、秦さんと飲むといつもこっちが先に参ると。八十三のいまも健康に許され、かつ美味い酒なら、おさえても一 升瓶を二日で明けたい。自省して、なんとか五日保たせようとしているが、ま、よくて四日で空けている。その一方、甘いモノないかと毎日のように妻に尋ねて いる。和三盆の干菓子や小粒の柚餅が好きで、有ると、妻にことわり、つい機械の側へもってきてしまう。いい和菓子は日本の藝術品と思っている。
2018 11/12 204

* 夕方、二人で歯医者に通う。降られそうな空模様だが。

* パラっとは来たが降られもせず、中華家族でマオタイの晩食をして帰ってきた。七時半に少し間がある。
2018 11/12 204

* 起床8:40 143-73 (77) 血糖値87 体重64.1kg
2018 11/13 204

* 起床7:15 142-70 (66) 血糖値82 体重64.1kg
2018 11/14 204

* ともすると歯を食いしばって仕事を続けており、気が付くと歯茎に激しい痛みが籠もっている。
2018 11/14 204

* 夜十時前。校正疲れか。昏睡に近く機械前で寝ていた。「湖の本」143の再校ゲラが明日には届く。「選集」28の納品日がじりじりと近づいて。かなり手厳しい歳末になって行く。疲れを溜めまいよ。
2018 11/14 204

* 起床6:50 149-72 (64) 血糖値92 体重64.6kg
2018 11/15 204

* 早起きしていると、まだ昼前の十時半にならない。このところなるべく早寝して(と云っても、床で沢山本を読むが。)早く起きてしまう。ときには真夜中にも読んでいて、そのまま起きてしまう。
2018 11/15 204

* 昼、自転車で「和可奈」へ、手酌で一献。
2018 11/15 204

* しかし、しかし、眼がよく見えないのに困惑する。

* なにをする元気も失せ。まだ八時半なのに。何かが、良くないか。何としても、もう二年がんばりたいが。肩が凝り 頸筋が硬い。たんに睡いのかも。
2018 11/15 204

* 起床7:00 151-71 (69) 血糖値89 体重63.8kg
2018 11/16 204

* 胃袋がない。食道へ、細い十二指腸を引っ張り上げて直に繋いであると聞いた。余裕の「食べ溜まり」が無いのだ、食べたものが軽快に嚥下できず、モノに もよるが、麺類などをウカと啜ると胸元で渋滞して苦しい。時には、咳き込み、吐く。で、つい食が進まない、食べたくなく、食べまいと、食事を抑制してしま う。食べると、食べ疲れるのだ。
今日も夕食後の疲労に負けて三時間も寝入ってしまうことで、苦痛から逃げた。

* 九時過ぎて。「ある寓話」の第二、三部の展開を、またまた検討にかかった。「魔」という字が胸へ来る。
そういえば、「一文字日本史」を学鐙に三年連載していた最中に、数理哲学で世界的な下村寅太郎先生から「フアンレター」を戴いてビックリしたが、あのとき、先生は「魔」の一字をも思っておられた。わたしはあの頃「魔」に触れて書く用意が無かった。
わたしは、今、セクスアリスというよりも エロスの底をかきまぜながら「魔」に触れようとしているのかも。あるいは…魔の京都か。
どうなるか、どうするか、まだ強いては決め付けていない。検討し検覈する体力と気力とが切望される。もう余分なことに力を割いてはおれない。仕残しがあり、それどころか、もっと新たな、したい、書きたいことが切ないほど湧いてくる。
秦の、父は九十一まで、叔母は九十三まで、母は九十六まで生きた。いちばん弱いと見ていた母がいちばん長命した。わたしの生母や実父の享年を憶えていない。

* なににしても、ややこしい「作」の検討をわたしはわたしに強いねばならぬ。それも、一作でない。苦しくても、よく食べて、体力を養わねばと願う。家の 内にわたしを必要とする力仕事も決して無くならない。ま、洋服箪笥や衣裳箪笥を二つもひっ抱えて廊下越えに部屋から部屋へ移転するなどは、もう願い下げに したいが、出版の仕事もしているかぎり、壮年でもラクでない力仕事は無くならない。幸いにまだ六十三、四キロの体重を維持していて、これは結婚当時二十代 の健康時と同じ。もう減らす必要はない。むしろ美味しく食べる知恵をもたねば。
2018 11/16 204

* 起床6:40 135-61 (75) 血糖値97 体重63.3kg
2018 11/17 204

* 昨日、美しい新著『村上開新堂 Ⅱ』を、筆者・著者である五代目主人山本道子さんのお手紙も添って、頂戴した。
『Ⅰ』も、以前に頂戴した。

京都から、東京の麹町へ。知れ渡った洋菓子老舗中の老舗。毎々頂戴しているクッキーの缶、美味しさは云うまでなく、加えて、その缶への詰め方は、心篭もる「名人藝」というしかなく、多彩かつ一分の隙もない心入れの豊富さに、毎々、真実感嘆する。
季節の杏菓子の、香り柔らかにふくらむ美味しさにも、紅茶党の妻はいつも大喜び。

このお店は、文字どおりに、伝統と工夫開発との前向きに前向きに沸騰して行く進取の姿勢に貫かれている、その成果(成菓)が、文字どおり「文化」そのま まに美味しく体現されかつ成功し続けてきた。それも「伝統」のままに、各代女主人の優美かつ敢闘と発明の姿勢に多くを負うてきたし、いずれ六代目も、娘さ んが華麗にあとを襲われるであろう。

戴いた新刊の本は、そんな母と娘との「生気のリレー」を羨ましいまで実感させる「佳い読み物」であり、綽々達意の文がみちびく謙虚な「意志表明」になっている。

昨夜、おそくまで読みふけった。
山本さんの、心静かに読ませる「語り」の妙にも、名菓の匂いがしみていた。
拍手 そして感謝。

* 九時。わたし、めずらしく今、空腹を覚えている。朝食に降りる。

* 午まえ、ポストへ走るついでに、黒い「マコ」を前籠に入れ、三十分ほど下保谷から新座の方まで自転車で。三十分足らずか、快い秋晴れを楽しんだ。自転 車で北向きに走ったのはもう何年ぶりだろう。このぶんなら自転車での小一時間は、今でも視野さえ確保できていれば問題ないだろう。
二た昔も前は、南は多摩川を西へ越え、北は荒川をさいたま市へ越え、荒川土手を柴又近くまで走り、西は所沢のよほど奥へ迄も、永いときは四時間余も自転 車で走れた。新幹線なら姫路を越えているなあと思ったり、楽しみな元気な娯楽だった。あの脚力や腕力はいくらかまだ残っているかも知れぬ、但し転倒したこ とも数回、危ないことも一度はあった。
何が危ないと云って、脚の攣るのがいちばん怖かった。細い、路上の隙間にタイヤをとられて二度転んだ。
とはいえ、都内を、郊外を、何のためらいもなく、ただ小さな磁石だけを頼りに走りに走れたのは愉快だった。自転車は少年時代から、自分の脚のように大好きだった。鷹峯や嵯峨嵐山など、関東平野のひろさからみれば近いモノだった。
自動車を運転したいとはただ一度も思わなかった。ひとに怪我をさせかねないのはイヤだった。自転車は自力で走るだけだが、自動車は、運転の出来る人を雇うなり使うなりすれば宜しいと思っていた。いまでもそう思う。
2018 11/17 204

* 今日は、なんとなく ぼんやりと やすんでいる。九時にもならないのに、ヘトヘトに疲れている。ためらわず、もうやすもう。わたしがやすむとは、階下へ降り、床に坐って校正し、横になって本を読む、という意味で。
このところ感じ入っている岩波文庫は、わずか十九歳の高橋貞樹の驚異の労作『被差別部落一千年史』のうち、「徳川時代における穢多・非人の制度(上・ 下)」で。その執筆の気概の正しさ、行文と把握の精緻に驚嘆する。多くの類著には接してきたが、モチベーションの熾烈にして健常なことは、まこと推讃に値 する。なんたる非道の歴史ぞ、心底恥じざるをえない。
2018 11/17 204

* 今日、西の棟の書庫から、ああこれを読みたいと、辻邦生の大冊上下「春の戴冠」と、木下順二さんに戴いたシェイクスピア歴史劇を大きく再構成した戯曲 「薔薇戦争」の木下訳本をこっちへ持ち込んできた。戯曲の方は再読になるが、沙翁その人のいくつもの原作も、福田恆存訳で愛読している。それでも、また読 んでみたくなった。けっして好きな國ではないのに、連続ドラマでも「フォイル」などひきこまれたし、古典的な英国の名作はよく読んできたと自覚している。
「春の戴冠」は実は本だけ手に入れていて(中央公論の編集者に貰っていた)、未読だった。『背教社ユリアヌス』の方を先に読んだ。
とにかく、読んでおきたい、モッタイナイなどと思ってしまうから、二百歳までも生きねばならないだろう。
2018 11/17 204

* 起床7:35 143-73 (57) 血糖値85 体重63.6kg
2018 11/18 204

* 起床7:00 137-67 (63) 血糖値82 体重63.3kg

* 八時。漱石の漢詩を読み読み、まともな機械始動に一時間ちかくかかった。朝一番の、やれやれ。ピレシュの静かなピアノを聴きながら。
インシュリン、三単位注射。 朝食。 ういろうを一枚、柿、ちいさなパン一枚、生姜の紅茶。ビタミン二種をはじめ、ゆるい緩下剤二錠も含め、いつものクスリを、計18錠。

* 三日半ほど酒類をやすんでいたが、昨日ワインを。半瓶ちかく飲んだかな。
2018 11/19 204

* たちまちに眼が霞んでくるので、仕事へ向き合うのに気合いでわほど踏み込まないと手がかりが掴めない。が、愚痴は言ってられない。 困ったら困ったな りに立ち向かう。ピレシュのモーツアルトが今も慰めてくれている。この盤は、東工大卒、ピアノの弾けた子松時博くんが勤務先からプレゼントしてくれたので す。
2018 11/19 204

* 起床8:00 147-66 (69) 血糖値76 体重63.7kg

* 九時 「アコ」手術あとの抜糸を 無事に終え、首廻りラッパ状の防壁も外せた。一週間、「アコ」はよくガマンしガンバってくれた。「マコ」もそばで終始心配気味に応援も激励もしていたと想う。
今度はその「マコ」の番。昼前に、一泊の手術のため医院へ連れて行く。無事を祈る。もう一週間、われわれもジッとがまん。
去年の秋は妻の大病と手術だった。
なにはあれ、みなみな、誰も誰も、無事の日々でありたいと切に願う。
2018 11/20 204

* 「アコ」の抜糸を終えて、窮屈だったろう、ラッパのようなプラスティックの襟も外せた。
ついで「マコ」を入院させた。十二時半、いまごろ手術を受けているだろう。

* 全身麻酔の手術は無事に終えて、まだ眠っていると通知が有り、安堵。

* 夕刻へ二時間程も眠った。眠ると確実に視野が澄んで呉れる。裸眼で永く機械に向いていると、視野は水の中のようになる。近間のポストへくらい自転車には乗れるけれど、油断はならない。
2018 11/20 204

* 起床7:00 130-69 (61) 血糖値68 体重63.4kg

* 五時 冷え込むので暖房し そのまま六時まで、床の中で『モンテクリスト伯』一番目の復讐に立ち会った。次々に復讐の達成へ手はもう打たれていて、彼とエデとのパリ暮らしは、あともう一ヶ月と予告された。相撲でいえば「怒濤の寄り」が相次ぐ。
一時間、床にいて、七時に起きた。寒いと感じた。九時過ぎには黒い「マコ」を迎えに行く。今日からの一週間は、選集の出来てくる前いつもの例で、むやみ と緊張の日々になる。うまく宥めなだめながら無事に万全に送り出しの用意をせねば。この「万全に」にわたしの弱味もあるのだが、今度の送りは郵便局の仕向 けで、なにかと以前とは手配や手順が変わっている。

* 「選集」第二十八巻は二十六日朝一番に納品されるが、この日、わたしは聖路加の受診、翌日は妻が地元病院で受診、本格には二十八日からやっと送り作業 に入れる。ま、月内に送り出せるかどうか、ゆっくりで良いと腹をくくっている。この巻は、過去最多の頁数を抱えた大冊で、内容もカッチリと多彩に堅実。ご 批判を待つ。

* 九時半、無事に黒い「マコ」退院、いじらしいほど「マ・ア」兄弟寄り添い嬉しそうに、元気。「マコ」の抜糸まで一週間、頸にラッパの襟を付けて、ガンバれよ。
2018 11/21 204

* 堪えられず、睡いとすら思わぬまに機械の前で寝入っていた。ピアノ曲が子守唄のように鳴り続けていたらしい。昨夜の睡りが浅く短かった。
2018 11/21 204

* 起床7:30 137-63 (64) 血糖値91 体重63.5kg
2018 11/22 204

* 右の頸すじ奥に、圧すと、きつい痛みの筋に触れる。十時過ぎ、もう階下へ降りよう。
2018 11/22 204

* 起床9:00 146-73 (73) 血糖値89 体重63.2kg

* 近来になく朝寝坊。リーゼの徳か。食べないから、体重は減る。血糖値は、健常。
2018 11/23 204

* 起床6:00 147-70 (63) 血糖値100 体重63.5kg

* 冬至へ、わが誕生日へ、日一日 日が短くなりゆく。六時に起きても外は小昏い。
起きるとすぐ手洗いし、体重を、血糖値を、血圧を計り、インシュリンを注射し、食後のために20錠ちかい各種の錠剤を小皿に用意しておいて、二階へ。機 械に電源を入れ、温めはじめる。正確な起動までの機械との気の合った「おつきあい」がだいじで、一つ間違うと、えんえんとやり直さねばならない。辛抱とい うことをしみじみ憶える。イラつかないために、拾い読み可能な文庫本や袖珍本に気儘に手を出し、粘る機械と賢く妥協の姿勢を取る、「慌てないよ」という意 思表示。そのために「読む」のは避けて「拾い読める」手取り本ばかりがそばに用意してある。和歌集、漢詩集、明治版和紙装の古語や漢字の辞典、箴言や世話 咄の本、等々。新聞は覗きもしない、愉快な報知のまったく無いのに惘れるのが関の山だし、なにより字が小さくて視力に堪えない。情けないことに「見出し」 の拙なこと、しばしば真反対に意味の取りにくい例が多い。世を挙げて日本語の素養が、記者にも編集者にも、自然読者にも落ちているということ。なさけなく なる。
「読む」より「聴く」のがラク、また楽しくて嬉しいという一面がある。いまも、軽妙に、仲よしの四つの楽器が「朝のおしゃべり」とでもいうほどの軽音楽を聴かせてくれてる。ライヴらしく時折り拍手も聞こえる。けっこう、けっこう。

* 七時十五分。朝食に階下へ。音楽は鳴らしたままに。

* 朝仕事。
2018 11/24 204

* 起床6:00 124-69 (74) 血糖値86 体重63.5kg
2018 11/25 204

* 八時十五分。朝食に降りる。

* あすの「選集28」納品をひかえ、いつものように今日は神経がピリピリする。本が届いて玄関に積み上げると、瘧が落ちたように落ち着くのです。明朝 は、本を受けいれるとそのまま聖路加へかけつけ診察を受け処方箋をもらってくる。ちょっと暢気に街で遊んで帰ってくるぐらいだといいのだが。明後日は妻が 定期の診察を受けに行く。いつもそっちの方にわたしは緊張もし案じもしてしまう。
2018 11/25 204

* 夕食後 へんに腹具合不快で、音楽を聴いていても落ちつかない。
2018 11/25 204

* 起床6:15 138-71 (65) 血糖値87 体重64.1kg
2018 11/26 204

* 九時過ぎ、「秦 恒平選集」第二十八巻、無事納品。選り抜いた「對談選・講演選」 六百頁を越す大冊になった。
ゆっくり送り出す。
今年はもう急いてコトを遂げるのはやめ、落ち着いて師走を過ごし、二十一日、八十三歳の誕生日をささやかに自祝し、よく「十日一年」といわれた、数え歳でなら八十四歳になる新年を静かに迎えたい。
今日は昼前に聖路加病院へ出掛ける。あすは「黒いマゴ」の手術後の抜糸と、妻の診察日。

* 四時には帰宅、街には何の魅力も覚えなかった。秘蔵の「粒雲丹」で愛蔵の「獺祭」を呑み、休憩した。今日はもう疲れ休みとし、明日からの本の送りとする。とても疲れている。
2018 11/26 204

* 鶯谷駅前の蕎麦屋「公望荘」でドクター勝田と出会って散策を楽しんだこともあった。わたしに大病が出て出逢う機会を失い続けてきた、残念の極み。お大事になさって下さい。
幸いにわたしは杖こそ手放さないが背負い鞄を背負って、時には小走りも成るほど、ま、階段も含め歩行に不自由していない、ただ疲労に気遣いし、怪我のないようにますます要心をと思っている。

* 八時。今日はもう何をする元気もない、明日からのためにやすむことにする。
2018 11/26 204

* 起床6:00 145-81 (69) 血糖値99 体重64.0kg
2018 11/27 204

* 今日から、「選集28」を慌てずに送り出す。
今朝一番には黒い「マコ」の手術後抜糸に医院へ連れて行く。午後は妻が病院。なにもなにもなにも無事ですように。を
まだ朝食していない。バッハの、すばらしいフーガを聴いている。
2018 11/27 204

* とにかくも「選集」送り出しの用意を始めている。わたしが、贈り印を捺し、妻が半ば荷造りし、手紙を添えたり封印するのとそれら全部を玄関に積んで郵 便局の集荷をまつのはわたしの用事になっている。妻は、今は、病院へ行っている。検査の前に歩いて疲れてしまわぬよう、往きは、車を呼んでいる。留守は、 手術をすべて終え元気な「マ・ア」のふたりを階下に置いて、わたしは機械の前でバッハのフーガをヘリベルト・ブロイエルの室内楽団で聴いている。とっても 佳い。懐かしいとはこういう気分か。

* 「選集29」にはたいへん煩雑で難儀な校正作業がまじっていて、階下に降り「マ・ア」は別室に入れておき、コツコツとその作業をしているうち、妻が帰 宅、診察は概ね無事でホッとした。今夜からか明日からか送り作業に向き合う。十二月に難儀な本の発送などを避けることに決したのですこし気がラクになって いる。
どう疲れようが、立ち止まるわけに行かない。
2018 11/27 204

* 今日は 昼間にも晩にも、何度か寝入ってしまっていた。本に印を捺す仕事、煩雑だが必要な校正も相応に捗らせはしていたが。食欲が無く、食事らしい食はなんだかみなパスした気がする。
十一時。おやすみ。
2018 11/27 204

* 起床6:30 血圧136-75 (62) 血糖値82 体重63.9kg

* 六時半、諸測定、良好と思う。インシュリン注射。
冷たい粥に梅塩をふり、バナナ一本。独り朝食、服薬、「獺祭」を猪口に一杯。
機械の前へ来て。バッハのフーガをラジオで聴きはじめる。音楽に心身溶けて入る。

* 今日から、本腰を入れ「選集28」送り出しの手作業を始めねば。

* ふたりとも 疲れ疲れ、荷造り。かなり分厚いので、いつもよりも手ぢからも要り、手際も要る。ま、なんとかなんとか進むだろう。

* 一次発送まで、用意が出来 郵便局に連絡した。ガックリするほど、二人とも疲労。とにもかくにも、名酒「獺祭」と、赤間の「粒雲丹」とで、吐息。

* 郵便局と、またまた一と合戦。なんとか歩み寄って。今日の分、送り出し、妻に懸命に働いて貰って、明日の発送分も用意し終えた。モーレツに頑張った、信じられない。
ふたりとも疲労困憊の九時半。わたしは、やっと雲丹と獺祭とで一息ついた。
まことにまことに郵便局との付き合いには疲れきる。
あと、五巻。
なんとか、付きあわざるを得ない。

* 明日中に、送り出し終えたい。十時過ぎ。 もう、やすむ。
2018 11/28 204

* 起床7:30 血圧143-68 (76) 血糖値91 体重63.3kg

* 胸焼けで目が覚める。

* 午前、郵便局が来て、折衝あり。
今生、じつに、あれもこれもある。現世への執愛だの未練だの日増しに色薄れて行く、いいことかどうかは別として。

* 四時半、ようやく「選集28」二便を郵便局集荷に委ねる。ほおっと一息。

* 「選集29」の初校了への道がようやく見えてきた。「湖の本143」の初校は停頓している。

* 慌てることは何もない。世の中とは付き合わねばならず、付き合う限りは穏当でありたい。
2018 11/29 204

* 起床6:30 血圧143-68 (76) 血糖値91 体重63.3kg

* は、と目ざめると窓の外が白んでいた、そのまま起きて二階を温め機械を温め、しにかくも機械とは辛抱第一「待ちながら」接すると決めている、いそぐととたんにヤヤコシクなる。
2018 11/30 204

* 起床6:15 血圧139-69 (74) 血糖値94 体重63.9kg
2018 12/1 205

* 起床8:20 血圧138-72 (66) 血糖値97 体重63.6kg

* 昨日の晩は、ほとんど睡っていて目ざめたときは日付が変わっていた。機械の電源を切ったり夜のインシュリンを注射したり服薬したりして、床の 中で残り少なくなってきた『モンテクリスト伯』を胸塞がるものを感じながら、エドモン・ダンテス「復讐」の凄さ、それを一度は悔いつつ、今一度「復讐」に 徹すべき天命の自覚にもど凄さに、かすかに戦きさえしていた。大デュマは、まさに瀧の落ちて迸るように「言葉」を発射する。舞台で云えば慎治が当麻での長 科白さながらに語らせまた語りついでやまない。圧倒される。
メルセデスとの別れ、モレルの家族との別れ、マクシミリヤンを伴ったマルセイユ。胸にしみて重々しい人生の悲哀、立ち向かう生気。
明らかに読者自身の生涯へも決定的に感化力をもってせまる再校のエンターテイメント、是に比すれば大概の読み物は、その場限りで忘れられる薄い軽い紙の ようである。馬琴の八犬伝からも吉川英治の宮本武蔵からもわたしは人生と人間への深いあわれもおしえも得られていない。しかし『モンテクリスト伯」の、エ ドモン・ダンテス、ファリア法師、メルセデス、フェルナン(モルセール伯爵)、ダングラール(銀行家・男爵と妻、ヴィルフォール(検事総長)と妻、カド ルッス、ルイジ・バンパ(山賊)、アルベール子爵、モレルまたマクシミリアン・モレルとジュリーら一家、ノワルティエと孫娘ワ゛ランティーヌ、アンドレ ア・カバルカンティ、ボーシャン、シャトー・ルノー、ドブレーら、ベルツェッチオやアリーら伯爵の部下達 これらの全員からじしにありありとした人間存在 のいわば地獄絵図が見て取れるとともに小説を読みこむ溜まらない面白さも豊かに酌み取れる。

* わたしはそんなふうにこの『モンテクリスト伯』という大長編と生涯付き合ってきた。これを上越す世界の長編小説はわたしの場合『源氏物語』というに尽 きよう。ちなみにわたしが今手にして読み終えようとしている新潮社版『モンテクリスト伯』上下巻の刊行は上巻が昭和二年、下巻が翌三年、わたしは昭和十年 に生まれ、この古びた古本を高校生時分に極くの廉価で手に入れていた。
2018 12/2 205

* 起床6:20 血圧141-69 (54) 血糖値96 体重64.0kg
2018 12/3 205

* すでに「私語の刻」の転送が難しく停頓し始めていて、このまま行くとホームページ自体が昨日しなくなり兼ねない。その覚悟で機械をなだめなだめ付き合うしかない。潮時が来ているのか。
今日はもう疲れ果てた。
2018 12/3 205

* 起床6:20 血圧137-62 (66) 血糖値95 体重63.8kg
2018 12/4 205

* この二時間 機械になにもかも渋られ嫌われ、にっちもさっちも行かぬママ、頑固に試行錯誤をつづけ、やっとこの画面へ到達。瞬時の後どうなるかは分からない。一度、このままで席を立ってみよう。

* 夕食後、よほどの疲労か、いま、十一時半まで昏睡していた。この「私語の刻」は正しく送られていないと妻に聴いた。ついに、ホームページの機能の混乱、電送不能に陥ったか。
ま、ワープロ機能は維持できて文章が書けるなら、半ばは助かるが。
とにかく、わたしの技能では確実な回復が見込めない。「書き込む」だけでも「書いて置く」に留める。久しく愛してきたデスクトップ背景の「マドンナ」像も消え失せてしまった。嗚呼。
メール機能も渋滞気味ながら、森下辰男君からの午前11:23までのめ届いていて、その後は、来信があったか無かったかも分からない。「POPサーバーが60秒接続しない」と警告されている。メール機能も不能に陥ったらしい。
2018 12/4 205

* 起床6:20 血圧156-77 (64) 血糖値95 体重63.6kg

* 夜前、宵のうちを寝入っていたので、日付の替わる前から、不具合をきわめた機械と向き合って志向錯誤を重ねている。

* 成功・不成功は分からないが、思い切った切除手術を試みた。「私語の刻」が、しばしば、遠い以前の日付で転送されてくると苦情を聞いてきたので、それと思しきを断然削除した。昨今分、今日只今の「私語」を、いま書き継いでいて、これが転送できればいいのだが。

* よく分からないが、少しく改善した気味もある。とにかくも、機械の反応の前に「ひたすら、待つ」。急くと、何かがひっかかる。

* 二時過ぎて床に就いた。
なぜコウかと思うほどイヤな夢を見る。見続ける。わたしの胸か脳はよほどの地獄を孕んでいるのか。
2018 12/5 205

* 六時過ぎに静かに床をはなれた。「マ・ア」が大喜びで足もとでついて回る。諸計測やインシュリン注射を済ませ、「やまと櫻」を数勺味わってから機械へ きた。美しかった壁紙は消え失せたが、尋常に始動してくれている。『北越雪譜』を拾い読みつつ、グレン・グールドのバッハ「ゴールドベルク変奏曲」を聴き つつ、ひたすら温和しく機械と付き合っている。
メールが、尋常に働いてくれるか、これは、わたしの仕事では生命線に当たっている。
2018 12/5 205

* 源氏物語「玉鬘」十帖を芯に、上の三冊、そしてプラトンの『国家』を主に読み進んでいる。『山上宗二記』『北越雪譜」は拾い読むのを楽しみに。枕もとに積んだ本は廿冊ほど。手当たり次第に、気が向けば次から次へ読んでいる。三浦梅園の経済哲学もなかなか読ませる。
眠気が兆している、機械から逃げだそう。今日は、美酒「やまと櫻」に惹かれて、一本、残り少ない、妻が目をむくだろう。
2018 12/5 205

* 起床7:00 血圧137-62 (71) 血糖値84 体重63.8kg

* ま、眠ったか。三時半に手洗いに立ったあと、すこし動揺の気味に、リーゼを服し、七時まで眠れていた。ヘンチキな、わたしの体験したこともないボール ゲームの不可能としか思えない巧緻な業を強いられ強いられ辟易していた。「夢」をもつとかみるとか奨めたり広言したりする人あれど、わたしは「夢」みて歩 もうとしたことはない、「希望」は失わずに頑張れてきたが。「夢」は、たぶらかしに過ぎない。
2018 12/6 205

* 「がちがち、ぶるぶる、滑って、石になります。」とあるメールを昨日か今朝かもらっていたが、「寒い」ということかしらん。いま小雨の中を自転車で郵便局へ坂道を走ったがもさほどには感じなかった。

* 今度の外出は、十日の歯医者。二十七日ごろに聖路加の内分泌科へ、それが今年外出の仕納めか。誕生日は、ここ何年も祝いらしい何もしてこなかった、今年は歌舞伎も正月までお預けです。
2018 12/6 205

 

* 起床7:10 血圧137-68 (70) 血糖値93 体重64.3kg

* 京の「華」さんから、鶴屋吉信の「柚餅」 玉壽軒の「紫野」をたっぷり戴いた。美味いこと最高級、しかも日にちをかけて好みの折や疲れた折に 小さな一つずつを口にして寛ぐ嬉しさは涎くり長松の「おちょま」とも同じ、ほおッと肩の荷や痛みがほぐれる。小粒菓子や干菓子こそは真実実用に益した美味 の最たるもの。

* 昨日は知らず知らずというとウソになる、お酒の五合瓶を一日でアケていた。一昨日は四合瓶を空けていた。ちと行き過ぎの感有り、で、昔、俳人で且つ陶 芸に染色という技をもたれた上村占魚さんの手跡からほとんど強請りとってきた「無盡蔵」と佳い刻のある正二合徳利を朝一番に酒で満たしそれで及ぶ限り一日 を楽しむようにと決めた。ナニ、かつても二度三度試みて成功しなかったのではあるが、気は心と謂う。持ち味のそれはこころよい豪快な徳利なのである。

* それとなく、シミッタレな勘定をしてみると、わたしは太病後も、一月ほぼ七升ほどの日本酒を呑んでいる。一つには雑多な、かつ堅め長めの固形食が食べにくくつい吐いたりするのがイヤで「のみもの」へ逃れてきたからであるが。
歳明けて春三月に予定のおおがかりな検査を無事に通過できますかどうか、少しは案じているけれど。この六年半の余は幸いに無事で医者も喜んでくれていた。まだ、したい、仕残しの仕事が少なくない。もう暫く生き延びたい。
2018 12/7 205

* 人間には命綱の水道を、安易に民間企業に委ねようなどと、安倍自民・党利自儘な政治の血迷いは、果てしない。

* それでも小説は書けているし、推敲も利いてくる。
『寓話 オイノ・セクスアリス』は、おそらく、少なくも全三部の第一部だけで、「湖の本」ほぼ一巻に嵌ってくれそう。公表は此処までにしておいたが無難かも知れぬとやはり思うのだが。
書き上げてしまうことが、肝腎。
第一部の半分まで、また克明に、カッチリ推敲し続けていた。ここまでなら今すぐでも手放せそうに思えるが、やはり難所はこの先へつづく。ガマンして向き合うしかない。音楽も聴かず。九時半。疲れて、腹具合が気味悪い。
2018 12/7 205

* 起床7:40 血圧139-73 (66) 血糖値94 体重63.8kg
2018 12/8 205

* 作に掛かっていたあと、気をかえ書庫に入って、雑誌や本の要処分ものを一籠分 より分けた。運ぶのが腰へ来て重い重い。早起きすると午前中がながく使 える。「マ・ア」かけずりながら付いて走るので脚に絡まれないようよほど注意していないと。ことに階段。甘えて、一足ごとに腹をみせ仰向けに抱けとせが む。

* また「フーガ」を聴いている。
2018 12/8 205

* 機械の不調ゆえか、心身へとへと。食事もまともに摂れなかった、仕方なく生卵を二つ割って呑んだ。ヤクルトとRIを呑んだ。
新機への移行もままならず、メールが受発信とも使えない、これは堪える、なんとかしないと。そのなんかが難儀。

* 小説へ掛かっていくと、疲労や困惑を忘れていられる、これはありがたい。
この「私語」をかろうじて外へ送り出すためには、一度機械をリセットし、それから転送すると「一度だけ」は送り出せる。それを覚えた。しかし一度画面を消して再度電源を入れるという面倒と時間のロスはやり切れない。が、辛抱している。ほとほと困惑。
2018 12/8 205

* 起床5:45 血圧158-79 (70) 血糖値107 体重64.0kg
2018 12/9 205

* なにとなく茫然として、心身に運動勘が落ちている。昼食も半分で満腹。

* 川崎にいる異母妹の下のひとりが歳暮を送ってきたが。父の死このかた、何十年か、一度も会えていない。
2018 12/9 205

 

* 豊中・安川さんからのお酒を、京・横井さんからの美味い漬け物で堪能している。

* 明日は いつもの、夫婦しての歯医者通い。途中、「選集28」分の送金支払いも。前巻につづき大冊で、二百万を優に越すが、覚悟のうえ。「想像」の船 で、遠國へ「旅」している気でいる。別荘も持たない自動車も持たない、辺幅も飾らない、美食もしない。算盤ぬきの「読み・書き・本」だけの有り難い老境で す。
2018 12/9 205

* 起床6:15 血圧148-78 (73) 血糖値120 体重63.8kg

* 今日は、われわれ夫婦が夫婦になろうと約束した日、昭和三十二年、61年も昔のハナシである。
2018 12/10 205

* 冷え込む。腰から下の冷えること。午後の外歩き、大丈夫かしらん。十時半、もう眼は霞みに霞んでいる。
メールは不調、発信できていない。受信はどうか、分かりかねている。じっとガマンし、半ばからだを固まらせたままカザルスを聴いている。
2018 12/10 205

* 印刷所への「選集28」分を支払い、歯医者で二人とも手入れをしてもらい、その後、江古田、池袋経由、日比谷を散策、初めての茶道具商「万葉洞」で番頭さんとやや私的用件もまじえて歓談、帝国ホテル本巻地下の、心祝いの日は例になっている「なだ万」にはいいった。
あとを考えお酒は少しに抑えたが、料理の多彩と多量、楽しみ味わいながらも満腹、降参した。
五階のクラブへ上がり、ここで美味いプランデーをダブルで三つほど、もう食べ物はやめていつものアイスクリームとコーヒーだけにした。愛用し続けている 来年度の手帳を貰って、もうよしと日比谷から車で保谷へ帰った。何も見えない地下鉄よりも、また疲れて銀座を歩くよりも、妻には夜景の東京ハイウエイの方 が目覚ましかろうと。
帰宅
留守番をしてくれた「マ・ア」にも(店にはナイショ)「なだ万」 魚っけのお土産を振舞ってやる・

* 留守に郵便や宅急便の不在票が二、三、ポストに。恐縮。明日待ちとなる。
今は機械に向かいながら、巨匠と聞いているパウ・カザルスのチェロ曲を楽しんでいる。

* しばらく前から気づいているのだが、右足頸の内・奥に、骨にかすかに響いて継続ぎみの痛みを覚え、気にしている。いすに腰かけていても感じ始めている。ほんの、かすかなのだが。
2018 12/10 205

* 起床7:15 血圧138-65 (65) 血糖値112 体重63.8kg

* 朝食のまま録画してあったカッコいいイーストウッドの「ダーティ・ハリー」の一つを観てしまった。映画作りの巧さ、主役の適確ないし芝居の的確で確実な映 画作品になってくる。画面の移動に微塵のスキもムダも無い、これが日本のテレビの日常愚昧劇の学び取れないところ。いい「劇」とは、みごとに「劇的」と は、「時間」が正確に躍動して生きるということ。

* 腰から下が暖房していても痛いほど冷える。冬至へ冬至へ寒さが加わっている。
2018 12/11 205

* 凸版印刷からのカレンダー戴く。来年度の画家は何方かな、楽しみ。
永く新日鉄から、動物たちのカレンダーが来ていたが、縁が切れて。いつの年かの三にん(?)の仔ライオン兄弟の写真は、いまも大事に身近に置いて、太郎、次郎、小次郎と名付けていつも話しかけている。向こうからもちゃんと笑顔で同感を示してくれる。
大相撲のカレンダーは、横綱日馬富士が抜け、見かけ倒しの横綱入りで、ちと目出度くないが、今年も相撲茶屋の「竹蔵」くん、送ってきて呉れた。
「湖の本」はもはや当然に毎回かなりの出血出版だし、「選集」は 豪勢に非売本だし、依頼原稿はほぼ一切今は受けていないのだし、稼ぎとは全く無縁に暮らしているが、たくさんな方々との有り難い交流に恵まれているのは、 私語している通りで、まことに心温かに賑わい感謝に堪えない。八十三のこんな歳までこまように心賑わって日々有り難く暮らせるなどと、素寒貧で就職、上 京、結婚したころ夢にも想い描けなかった。六十年が経つ。
ま、こういう賑わいも、孰れ遠からず消え失せて行くわけだが、万一夫婦二人して辛うじて健康に恵まれていれば、よろよろとでも、小刻みな旅を楽しみたいなと実は期待している。可愛らしい夢を見ているが、さ、あと何年ゆるされているか。

* 「ふたり」の兄弟「マ・ア」のおかげで、愛らしさに笑い、超弩級の活溌に悲鳴が、絶えない。この子らのいない日々など信じられない、この日頃。
2018 12/11 205

* 起床8:30 血圧134-79 (65) 血糖値109 体重63.4kg

*  諸検査、朝食より前に、機械に電源だけを入れておいた。階下でモーツアルト、バイオリンとピアノの美妙で軽快なコンチェルト一枚を楽しみながら、餅二つ出汁雑煮、酒「秋鹿」を猪口に三杯。相伴は「マ・ア」たち。
そして二階へ。尾張の鳶 「無事帰国」と。
2018 12/12 205

 

* 年の瀬やみづの流れとひとの身は  と 其角
ふした待たるるその宝船      と 大高源五

これやこの生きのいのちの年の瀬ぞ
にげかくれする炭小屋はもたぬ  と  11 12 21 と 七年前に。

二期胃癌診断の二週間前だった。歌集『亂聲』の巻頭に置いている。

* もう「選集」へは、何を収めるかよりも、何を容れないでおくか、の思案に成ってきている。よそ目にはお笑いごとであれ、わたしには厳しい自己批評にな る。人に即して文学者と美術家に関わった批評と述懐を、膨れあがるのを抑えながら、わたしの人生に根ざしたこの一巻は外せない。「創作」分に少なくも二巻 はぜひ宛て得たい、足りてくれるかどうか。と、残るはあと一巻しかない。「私」自身を取り纏めて置きたいが。

* 予定の『秦 恒平選集』三十三巻を仕遂げたあとへも、わたしに寿命があり意欲と気力のある限り「文学」生活は死ぬまで続く。それはそれで、運命に委ねる。健康でありたい。
2018 12/12 205

* 『ある寓話  老いのセクスアリス』第一部、絞って、また書き込んで、推敲して、ともあれまずは脱稿といえるところまで持ち運んだ。第二部、第三部に は、物語の展開を含みつつ、他愛なげに険しい道を浮きつ沈みつせざるを得ない。ぐっとガマンしながら粘り抜いて老いの無惨か滑稽か充実化を造形し続けた い、第一稿は末まで出来ているのであるが、本番はこれからだ。

* 幸いに、穏やかな師走を歩んでいる。怪我なく、無事に越年したい。

* 機械と、組み討ちのように、それでも霞んで干上がった視力で仕事を進めている。とけいを見ても何時だが張りが見えない。
2018 12/12 205

* 起床5:30 血圧138-72 (65) 血糖値107 体重63.9kg

* 昨夜 機械も暖房も部屋の灯もそのままに寝入っていたらしい、五時半に、機械を温めておこうと二階に上がってきたら、さようのていたらく。よほど疲れていたか。
ま、なにごとも無く、よかった。
正六時。  もうしばらく寝てきてもいいという気持ちだが。
2018 12/13 205

* 九時まで寝ていた間に、なんとも形容のならない潮と波の鳴る絶壁下海ぎわでの敵味方の「対決」劇を夢に見た。その小勢のがわを率いて颯爽と美しい女(ひと)をわたしは夢の内で慕いつつ双方剣戟の対戦に跳び入ってその人のために闘っていた。
どうしてわたしはこういう変な物語を孕んだ夢ばかり観るのだろう。
2018 12/13 205

* 『ある寓話』 第二部 順調に読み進んでいる、ただし二部、第三部とも本筋でも脇筋でもなくしかし軽々しくてはならぬ別話と波瀾とが 順調をあえて阻まねばならない、そこが難関になりそう。
小説に取り組んでいると疲れを忘れている。が、機械から離れるとひきずられるように疲れが来る。
加えて 「選集30」の編輯にもとりかかり、原稿を読み起こしている。「對談・講演 選」の28巻よりいちだんと内容の濃い重い一巻にまとまるだろう。 頁がハジケないでくれるといいが。全編を校正しつつ構成も考慮しつつ「読み」直すというのは、よほどシンドイ、重い仕事である。創作とコレとを、前後に背 に負うて、この仕事はとても年内に片づかない。
次の外出は、十七日の聖路加、ことし最後の検査と診察。誕生日はどうなるか、どうするか、この何年かは、なんにも無しで過ごしてきたが。
2018 12/13 205

* 起床7:30 血圧144-78 (63) 血糖値105 体重63.7kg

* 「大きな縦て画面」の機械を懸命に整備し、現使用の古機内容をとりあえず移転出来た気がする。気だけかも知れないが。朝から頸筋が痛いほど硬い。理由 は不明で、見た目も変わりないのに左手小指が時に電気に打たれるように痛む。次から次と異常は当然のようにみつかり、ま、放置のほかなし。
せっせと、しかし落ち着いて仕事また仕事、それがクスリになる、と思っている思うことにしているだけだが。
2018 12/14 205

* 日曜あたり、午後にも出掛けたいが、健康のためにも出掛けねばいけないのだが、街なかにアテという先が何も無い。歩くも、喰うも、気乗りしない。こう寒くては、どこかに坐りこむという「風流」もなじまない。
むかしは、新幹線でフイと熱海まで走り、新鮮で美味い魚や大きな伊勢海老を爆食いして帰ってきたりした、あれは楽しかったが。新幹線に、もう八年ほども乗ったことがない。
2018 12/14 205

* 起床7:00 血圧143-72 (52) 血糖値108 体重63.9kg

* 黒い「マコ」と一緒に床を離れた。マコの甘えること甘えること。八時前、食べたいよと、カーサンを起こしに行った。「アコ」はまだカーサンと寝ていた。
2018 12/15 205

* 菅野万利子のピアノ・ソロアルパム「リジョイス」を鳴らしている。いま、ショパンの幻想即興曲。八時半。暖房していても下半身の冷え、痛いほど。
2018 12/15 205

* 起床6:45 血圧 電池切れ 血糖値118 体重63.5kg

* 暖房していても、ことに膝の上、ひしひし冷える。日曜の街を、無用に歩く、食べる、ともに意欲無い。
もう、むかし、はるばる出掛けた袋田「四度の瀧」の、山辺の温泉、なんとも懐かしい。
2018 12/16 205

* からだの芯まで冷え、腹具合も変。出歩く妙案もない。仕事にうちこむのが一等のビタミンか。それともラジオを浴室に持ち込み 音楽を聴きながら湯で寝入るのも。こんなことをすると、またまた叱られるか。

* 仕事をしたり、またまた「リーガルV」最終回を観たり、いたずら「マ・ア」めらを水鉄砲で追い回したりしていた。
2018 12/16 205

* 起床6:45 血圧 119 – 63 (97)  血糖値 計測できず 体重63.5kg

* 階下でなにもしないで二階ですぐ仕事を始め、十時まで。目から、疲れ積む。体調、いいのか、変わらないのか、良くない傾向か、分からないまま、疲れを背負い込む。

* ベートーベンのピアノコンチェルトを三つ、グレン・グールドに聴いて、やすまず仕事している。

* 歌舞伎座の初春芝居 郵便局から、席料を払い込む。自転車なら二分とかからないが、歩くと十分ていどかかる。杖無しの往復で、腰が痛む。

* 京・北日吉の「華」さん、「お誕生日 お祝い」と、名酒「桃の雫」一升を。感謝感謝。
酒米を十二分に刻してある純米の大吟醸酒はじつに美味い。
あと三日は棚に祭り、二十一日の八十三歳に、しみじみ戴く。クリスマスイヴには飲み干しているかな。
わたしは戦時中のわが家で母が粕汁をつくってくれるのが、それは嬉しかった。秦の父は粕汁にも真っ赤になる人だったが。敗戦後のまだ小学校時代に叔母に 連れて行かれた琵琶湖畔の園遊会で、初めて清酒を口に含んだ。美味いと思った。しかし学校、大学の頃に酒との縁はほとんど無かったし、上京し結婚・就職し てからも、編集者としては先生方に酌をする務めこそあれ、呑むという機会は少なかった。社をあげて旅行しても、わたしはみんなでの夕食が済むとさっさと独 りで東京へ帰ったりしていた。ワイワイと仲間で呑むという好みはもたなかった。家に酒はほとんど置いてなかった。
作家になって、それはもう盛ん接待の酒をふるまわれ、ところがわたしは飲み続け、接待役の編集者の方でさきに酔いつぶれることが多かった。
いまも妻と歯医者の帰りによる中華料理店は、わたしのためにだけ(誰も他の客は呑まない、呑めない)マオタイ酒をいつも取り寄せておいてくれる。五十度 を超す、しかしわたしにはそれは美味い、中国で覚えてきた味わいである。この店のちかくにちっちゃなスタンドバーがあり、。ここへもときどき立ち寄るが、 わたしの註文はきまって、マオタイに負けない美味さ強さのウオツカ、これはソ連作家同盟の招待旅行で覚えた。

* ただし、もう老境での酒量は極力抑えている、つもり。

* 夕食後、すこしやすみたくて、ジャック・ニコルソン主演の映画「恋愛小説家」を愉しんだ、さて何という主題でもお話でもないのに、洋画では近来にない逸品だった。クセのつよい名優ニコルソンの傑作映画というに足りた。満たされた。

* 機械に向けてボヤクからだが、やや失調気味のからだのこと、不調の機械のことで、いろいろ叱られたり教わったりのメールを戴いて、恐縮この上ない。
とにもかくにも、ガンバッテみるつもり、どうガンバルのかも、しかとは、よく分かっていないのだが。
何より、『ある寓話』の第一部をともあれ仕上げたと思うので、つぎは第二部を徹底させて行きつつ、今一つの『清水坂(仮題 題は決まっているが、ナイショにしておきたい)』を、能う限りおもしろく取り纏め仕立てたい。
明日には、やはり大冊になる『選集』第二十九巻の再校が出そろう。大事の記念碑の一つとして、美しく仕遂げたい。
『選集』第三十巻の編輯と本文の研覈は、毎日の仕事として、少なくも三分一量はもう進展している。新春の月半ばには無事入稿できるようにする。
「湖の本」143の「責了」は、年内、もういつなりと出来るところへ来ている。ただ「湖の本}144の編輯には手を付けていない。「145」も含めてすこし先をみながら、ゆっくりめに進めたい。

* 来年三月には、腫瘍内科でのやや大がかりな検査が待ち受けている。
無事に通過したいと念願している、心より。

* 今日も昼寝みなしで夜になった。目はもう霞んで浮き上がっている、はやめにやすみたい。と、言いつつ、一つには部屋のライトの質が目に響いているらしい。寝室の読書用のスタンドだと、眼はむしろ回復気味に大量の読書を可能にしてくれる。
2018 12/17 205

* 起床6:30 血圧 124 – 68 (72)  血糖値 111 体重63.7kg
2018 12/18 205

* 府中の斎藤誠一さん、聖教新聞社の原山祐一さん、渋谷・笹塚の佐藤宏子さん、杉並の柏木洋子さんから佳いお手紙を戴いているが、目が見えにくく、お礼申すにとどめる。

* 明日は午後に聖路加病院、内分泌科で検査と診察を受けてくる。今日のように晴天だといいが、雲行きはどうか。
疲れが身に重く、まだ八時半だが、機械から離れる。
2018 12/18 205

* 起床6:30 血圧 122 – 61 (72)  血糖値 90 体重63.7kg
2018 12/19 205

* いつとなく、わたしとしては「早寝早起き」暮らしをしている。「午前」という時間が思うまま長く使えて有り難い。
今日は、病院・検査と診察という余儀ない外出になる。脚さえ攣らないなら、少々疲れても街なかを歩いてこよう。ほんとは昔のように脚を上野や浅草へ、可 能なら押上までものばせればいいのだが。もう久しく、人と出会う、話すということも無い。セーム・タイム セーム・プレースという アテ が昔からわたし は出来ないタチで、それを思うとツイみなヤメてしまう。ヒトリの気儘へ逃げ込んでしまう。
2018 12/19 205

* 糖尿に関しては良好の推移、このまま対処・対応の継続でと。その他のデータでも問題を感じさせるものは徳に見当たらない、ただ体重が減傾向にあり、こ れが癌発症等に結びついてはならないので、と。体重に関してはわたし自身が減らそう方向へ意識的な食生活をしているのを、過剰にならぬよう、むしろ微増傾 向へ舵を切り換えてもいいと思う。
とにかくも、来年三月二十日過ぎ「腫瘍内科」でのカメラ検査などを健康に迎え、無事に通過せねばならない。

* 銀座松屋八階へあがり、いくらか危ぶみながら、「つな八」で、遅い遅い昼食に、久々の天麩羅「つな八膳」を試みた。昔のようには「うまい」と喜ぶ食事にはとても成らなかったが、食べられてよかった。それでもコース料理の皆は食べられず、途中で終えた。
ま、久しく、あれほど好きだった天麩羅が口に合わなかったのに、食べられて、よかった。
2018 12/19 205

* 起床8:00 血圧 121 – 62 (70)  血糖値 110 体重63.5kg
2018 12/20 205

* 散髪、すっきりした。
2018 12/20 205

* 起床8:15 血圧 135 – 71 (68)  血糖値 94 体重64.4kg

*  やそ(八十)とせをみつ(三)とせ越えて今にしも
いくさに負けしむかしおもほゆ
吾(あ)をおきて逝きしひとらが恋ひしさに
生くべき壽(いのち)掌にうけて立つ

* 妻が心づくしの 赤飯と、うまい椀と、頂戴の美酒の盃、そして甘い干し柿、四国の豊かな蜜柑とで、誕生日を祝う。妻も 建日子、 朝日子、みゆ希も 何方もみなみな健康でありますように。
2018 12/21 205

* 「アコ」の爪がきついので、医院で、摘んでもらってきた。
その帰り、素晴らしい晴天なので、青嵐中学の奥の奥の方まで大まわり自転車に「アコ」を乗せたまま走ってきた。過剰にしなければ、半時間、小一時間の自転車走はむしろ快適、不安も無い。

* 午は、ワインで、ピザを。そして、佐藤宏子さん、故郷島根からの海の幸をいろいろ送って下さった美味を、しみじみ日本酒で。ご馳走様。

* とくに何もなく何もしなかったが、晴天に恵まれ穏やかに静かな八十三の誕生日だった、仕事も出来た。お祝いも戴いた。
2018 12/21 205

* 「桃の雫」「杉並木」ととびきり美味いお酒に、河豚の一夜干しや岩海苔の汁など、穏和に佳い一日を過ごせた。このうえ捜し物の一つがみつかれば言うこと無いのですが。
ま、やすむとしましょうか。平安なれ。
2018 12/21 205

* 起床6:00 血圧 146 – 68 (60)  血糖値 105 体重65.6kg

* 気が付くと六時、そのまま起きた。黒い「マコ」が一緒に起き、甘えること甘えること。朝の早い時刻にはワールドニュースをよく「聞いて」いる。朗報は、いつも、なにも、無い。
2018 12/22 205

* 寺田英視さん、お心入れの新著『国風(くにぶり)』を頂戴し、読み始めている。
自著の用意読みも進めていて、眼にきつい。「華」さんに戴いた「桃の滴」の半ばも呑んで楽しんだ。
今日の食事では、井口哲郎さんお心入れの「山芋」。これがとびきり美味かった。大ぶりの木の変わり椀に盛って、すこし海苔をふって。美味かった。

* まだ六時半でしかないのに、左肩・胸が重く硬く、疲れきっている。辰男編版の戦後歌を聴いて疲れを誤魔化し慰めている。「小判鮫の唄」なんて知らない し面白くないが、次は淡谷のり子が「君忘れじのブルース」を聴かせる、昭和二十三年の唄だとか、新制中学に入った年だ。やはり圧倒的に巧い、しみじみと大 人のうたごえを聴かせて呉れる。声も美しくて重量感に充ちている。二葉あき子も美声なのだが淡谷のり子とならべて聴くと声が薄くて浅くて弱い。
笠置しず子の「ワーオワーオワオ」と叫ぶ「ジャングル・ブギ」なんてのはあのりにツマラナイ。作詞が黒澤明、作曲は服部良一とはね。
つづけて沢山聴いたが、淡谷のり子「君忘れじのブルース」の足もとへ寄れる歌手も歌も無かった。

* 「選集 第三十巻」をより充実させたいと、今日はよほど根気を用いて集中し、疲れで上半身が疼くほど痛んでいる。もう、機械仕事は今夜は、ムリ。
2018 12/22 205

* 起床6:45 血圧 146 – 68 (60)  血糖値 105 体重65.6kg
2018 12/23 205

* 今日もたくさん仕事のための原稿を読んだ。霞んでゆく眼をなだめなだめ、時には睡魔と決闘しながらである。ついつい一つ仕事に気も時間も使ってしまう が、少なくも大別して創作と「選集」と「湖の本」との仕事がそれぞれに複数あるのだから、時間と気力・体力の必要な配分を、つい大方は無視して一つ仕事へ 没頭仕勝ちになる。それはそれでいいのだが、必要な休息へのがれると疲労感がのしかかってくる。見づらい眼でガンバッているときは奇妙に元気でいる。

* 九時。しかしもう休まないと。
2018 12/23 205

* 起床6:45 血圧 155 – 84 (62)  血糖値 85 体重64.7kg

* わたしが起きると、黒いマコが喜んで脚にまつわりつく。体重、血圧、血糖値を測っていると、やがて、灰縞のアコもキッチンへ出て来る。妻は、まだ眠っている。
2018 12/24 205

* 起床6:00 血圧 136 – 76 (58)  血糖値 108 体重64.3kg
2018 12/25 205

* 食欲がなく、寒い。
2018 12/25 205

* 国立近代美術館の工芸館から、近代工芸の名品、人間国宝の「棗」 すべてみせますという、いつもの「二名様」招待が来ている。わたしもいろんな棗・茶 器が昔から好きで、幾つか大事に所蔵してきたので、「行きたいなあ」と思うが、たかが竹橋なのに、遠いなあとビビってしまうのが情けない。一人では妙に心 細く、妻をあまり長く歩かせたくもない。案内の写真をみていると蒔絵のハデハデしいのが目立つが、棗や茶器は むしろ、すがた・かたちの気品にわたしは惹 かれる。こんな派手な繪のモノで茶碗や茶杓と品良く「置き合わせ」られるかなあと、ちと心配。自己主張してしまうと工芸はむしろ自分を殺してしまいかねな い。
けど、観たいです。会期はわたしの誕生日から来年の紀元節まで。

* 九時過ぎ。 もう限界。
2018 12/25 205

 

* 起床7:15 血圧 128 – 70 (69)  血糖値 99 体重64.3kg

* 早朝、故紙回収のための手伝いを。毎回、凄いと思うほどの重い嵩になる。
2018 12/26 205

* 馬渡憲三郎さんから懇篤のお手紙を戴いているが、視力よわく、今日は戴いておく。
* 十時過ぎて、もう、眼が、ムリ。肩も凝って、頸筋がガチガチ。それでも、ま、心持ちは落ち着き、外出の要もなくてありがたい穏やかな、歳末。階下へ行く。
2018 12/26 205

* 起床8:30 血圧 153 – 78 (67)  血糖値 93 体重63.5kg
2018 12/27 205

* 昨夜、木下順二さんに「謹呈」されていた、凄惨を極めた沙翁戯曲『薔薇戦争』全部を、肌に粟立つ心地で読み終えた。原作は、福田恆存訳ですべて既に読 んではいたが、巧みな一編としての戯曲化がよく異様世界を集約していた、「凄い」という言葉を用いての批評は、これにこそと思う。
あまりの痛烈に思い屈して、あと、しばらくプラトンの『国家』でソクラテスの声を聴き、しかもリーゼを一錠服してやっと寝に就いた。妻も「マ・ア」たちもよく寝入っていた。
2018 12/27 205

* 音楽を聴いていても、この、フーガの演奏が何かしら管楽器とはわかっても、笛の名前は知らない、分からない、分からなくてもいいと諦めている。音楽は、美しい、耳はよく聞こえる。

* 何ほども出来ず十時になった。夕食前の二、三時間、昏睡したように眠っていた。も少し、ガンバルか。
2018 12/27 205

* 起床7:45 血圧 145 – 73 (58)  血糖値 102 体重64.4kg

* 「アとマ」とのヤンチャに早朝から振り回されている。戸外の生活をさせてやりたいのだが。

* もう夕方五時、やすみなく原稿を創っていた。やすみなく打ち込める仕事があること、打ち込めること、有り難いことと思う、へとへとに疲れるが。
2018 12/28 205

* 気がかりの用も足せそうであるし、願わくは伝えられる雪害の少ないことを。

* 九時半、もう限界、眼が痛いほど乾いている。
2018 12/28 205

* 起床7:20 血圧 142 – 73 (64)  血糖値 89 体重64.3kg
2018 12/29 205

* ついにプリンターが不具合で使えなくなった。これは大問題で。参った。腹具合もわるく、きつい胸焼けがしている。やれやれ。困るなあ。
2018 12/29 205

 

* 起床7:00 血圧 135 – 64 (55)  血糖値 105 体重63.8kg
2018 12/30 205

* 起床6:30 血圧 133 – 66 (75)  血糖値 108 体重63.7kg

* 朝いちばん 玄関に 俳味のやや短かめ、大らかな「雪だるま」の墨畫を掛けてみた。「マ・ア」が飛び付きませんように。
居間の正面 観音様のわきへ 高麗屋三代襲名祝儀、私名宛てのめでたい幾品を、戴いたままに飾った。
古備前の水指 銘「餓鬼腹」とあるごつい存在感のを同じ棚に置いてみた。

* 飾った鏡餅、ものの見事に「マ・ア」に食い付かれ、散々。参りました。参った。
* 書いた作をただただ読み進んでいる。
大晦日の片づけも掃除も、しない、手の着けようも無いのだから。
全身が違和感で気分わるい、落ちつかない。眠っていいなら、ただ寝入りたい。吐き気も。積みに積んだ疲労か。文字どおりドン突きへ来た感じ。大晦日、させりと流して終えたい。

* 染色作家、京都の渋谷和子さんより 新年を祝う額装の新作を頂戴した。感謝。

* 湯も遣ったし、年越し蕎麦なるものも食した。カレンダーも替えて、通過儀礼めくものの心打つことも微かになった。越年、迎春を祝うという気持ちは理解できるが、感動は乾いている。今日があり、昨日と明日とがある、そういうことである、あたりまえのことだ。

* 八時前。 今晩ぐらいは もう何もせず 寝入ってもいいだろう。夢でしかもう逢えない人の数が毎年点鬼簿に増えて行く。大晦日にはそれを思う。重く重く思う。
そう思いつつ、十時まで、どうしても「湖の本」「選集」次の発送に必要な「挨拶」を書き終えた。はて印刷機の故障が決定的かどうか、が、春一番の難題となる。早々から妻の機械へ助力を願わざるを得まいか。今年最終の、無事の祈りであるが。

* では、平成最後の三十年よ。来年の今日はどういう元号で無事に迎えられるのか、平安なれ。
2018 12/31 205

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