* ワインで迎春。 鶴屋の「あも」も美味くて。さ、やすみます。
* 八時に起き、九時過ぎに建日子らを迎えて雑煮を祝い、昼すぎ、近所の天神社に初詣で。
2015 1/1 159
* お節料理を四人で食べ、したたか日本酒に酔った。呑める二人で一升余。岸連山の富士の繪にみまもられて、たくさん話し合った。わたしはさして食べず。
2015 1/1 159
* 有元さんに戴いた一升瓶が一本、空いていた。いろんなことを、いろいろに話していたのだ。
2015 1・1 159
* 「富士山麓」をオンザロックでいい機嫌に酔い、機械の前へ来て、今まで、八時まで居眠りしていた。
2015 1・6 159
* 村上開新堂の社長から、年賀としてクッキー一缶頂戴した。感謝。
兵庫県の井筒慎治君が清酒「獺祭」を送ってくれた。感謝。
2015 1・10 159
* 福田恆存先生夫人から、湘南のおいしい海のなまものをたくさん頂戴した。恐れ入ります。
2015 1・11 159
* 朝一番に、吉備の有元さんお心づくしのみごとな「鮒ずし」を頂戴、美味かぎりなし。ありがたく食して、目をとじれば『冬祭り』の「みごもりの湖」が静寂にまた澎湃として浮かぶ。
2015 1・12 159
* 朝一番に「湖の本」123の組上げ初校が届いた。
「選集④」の作業も予定通り、事終えた、あとは、成り行きまで。二時半、ワインで乾杯。
2015 1・20 159
* 8 :13のバスで駅へ。豊洲への地下鉄で新富町へ。小雨の中、聖路加病院へ。CT検査。検査後の診察は後日となり、来週水曜午まえの予約きめ、正午よりはやく解放された。
朝から何も食べてなかったが、さて何が食べたくもなく、車中「冬祭り」三校しながら一気に保谷まで帰ってしまった。タクシーにも直ぐ乗れ、結局昼飯は家で。造影剤をからだに入れているので、水分を多めに。餅を焼いてもらった。昔から餅が好き。食後に、少し甘味。ねむいのか、瞼が重い。
2015 1・21 159
* 帰路、練馬駅の構内で牡蛎と佳い寿司とで、八海山の純米、〆張鶴の純米を楽しんできた。
2015 1・22 159
* 昨日は朝一番に詩人田中真由美さんに立派な和菓子で、今朝も朝一番に作家高史明ご夫妻から加賀白山の名酒「菊姫の菊酒」で、お祝い頂く。
2015 1・23 159
* 白山鶴来の「菊姫」が精醸の菊酒は名にしおう名酒、受章式に不参の二月六日に、ありがたく妻と盃を挙げたい。有り難う存じます。
2015 1・23 159
* 朝はやに、京「老松」の有職菓子(服部さん)、末富の京菓子(あきとしじゅんさん) 水仙花を一山(杉本利男さん)など、お祝いいただく。感謝。
* 吉備の有元毅さんより、「御前酒」と「八海山」純米大吟醸各一升で「選集第四巻」と「京都府文化功労賞」をお祝い頂いた。
2015 1・24 159
* 戴いた「御前酒」「八海山」に添えられ、村上華岳最晩年の毅然としてみごとな「洞窟老子」絵葉書も頂戴した。嬉しかった。奈良あやめ池の中野美術館の中野館長さんからもやはり華岳のこれはなお若き日の「山科写生」絵葉書も珍しく、嬉しかった。いずれも知己のご挨拶であった。
2015 1・25 159
* 笠間書院編集長から「蜜蜂の巣」を頂戴、また京都の漆藝家望月重延さんから俵屋吉富の和菓子を頂戴した。
各務原の詩人山中以都子さんには、めっぽう美味い「三千盛」二升頂戴しました。ありがたく。
2015 1・25 159
* 朝一番に奈良(新潟)の藤田さん親子より、久保田など選りすぐり三種のお酒を戴いた。体調をととのえ、美味しく次々に乾杯したい。感謝。
2015 1・26 159
* 京の作家川浪春香さん、お便りを追って、焼き菓子「栗のテリーヌ」などを下さった。また、さいたま市の画家松井由紀子さんには、遠州掛川の名産「里の香 葛湯」を頂戴した。葛は、作家の竹西寛子さんにも紀州の葛をよく頂いた。感謝。
2015 1・27 159
* 正午には病院を出た。薬局へ寄る必要なし。
ほんとに久しぶりに築地の鮓の「福音」へ寄った。板さん夫婦とも顔なじみ。酒はいつも冷やの八海山、今日はそれに、浦霞みを追加した。三合ほどにはなる。肴はここでは板さんに任せきり。すばらしい平目、生きの良い赤貝、白い「たまご」をたっぷり抱いた烏賊、昆布だしの利いた關の〆さば、それからそれから覚えてられず、最後にアナゴと海胆とを握ってもらい、アガリ。
相客にわたしより極く僅か年かさの元気な江戸っ子爺さんがいて、機会を見て向島へ案内するよと、電話番号まで紙に書いて教えてくれた。店の若いおかみは、わるいことを教えられますよ、已めた方が良いですよと笑っていた。
酒と肴だけとで、機嫌良く、妻へ豪儀な太巻寿司を頼んでから「福音」を出、ふと、近所で気に入りの野「更科蕎麦」へも入った。
流石に飲まなかったが、三色蕎麦をたのみ、これで満腹が過ぎた。酒もまわった。新富町の地下鉄まで、歩くのがかなりシンドかった。正気か知らんと、念のため天皇歴代百二十五人を間違えずに言いながら、幸い西武線へ直通の有楽町線にころがりこむように乗った。危ない。はっと気付いたら、大泉学園駅。あやうくあと一駅の保谷を乗り越しそうだった。タクシー乗り場で三人目。そんなことしたことのない、地面に尻を落として待った。なんとか無事に帰宅、三時半か四時か。八時の「NCIS」よと妻に起こされるまで熟睡していた。それで、よし。
2015 1・28 159
* 加門さんから「お祝い」の純米大吟醸「古都千年」が贈られてきた。ありがとう。二月六日、京都での受賞式には失礼するが、家で、美味しいお酒で妻と静かにその日を迎えたい。おりしも西の方から広範囲に雪が迫ってくると。
つい歳は忘れるが、七十九。妻も四月には七十九。二人でなら大丈夫、と油断はならない。ほんとうに大事なのは、日々の仕事。
2015 2・3 160
* 朝一番に、神戸の岡田昌也さんに、福井県海産の珍味「このわた」「うに」を戴いた。感謝。明日六日は京都での受章式だが、この積雪と大寒を予測し用心して欠席と決めてきた。この肴で、戴いている名酒をこころゆくまで明日は飲みます、静かに。酔って、安楽に眠ります。
2015 2・5 160
今朝、御前十時には、京都で、「京都府文化賞」の式が行われる。申し訳ないが怪我と体調を慮って欠席させて貰ったが、家で、心静かに妻と二人、加門華子さんに戴いた「祝」古都千年「英勲」醸の純米大吟醸酒で杯を分け合った。岡田昌也さんに戴いた越前の雲丹、このわた。とびきりの美味。酒がひとしお美味い。
「湖の本」123巻はもとより、妻も賛同してくれて「秦恒平選集」もはや第四巻を送り終え、やがて三月早々第五巻も出来てくるという、このような華やいだ老境を夢にも思っていたわけでない。多くの知己善友の支援と飽かぬ努力とで、こういう日々を迎え送ることが出来ている。
2015 2・6 160
* 京都で、ちょうど式が始まっていよう時刻に、静かに杯を干した。
で、もう、明日からはそれも忘れて、また八十路への日々を踏みしめて歩むだけのこと。
ただただ妻の健康と長命を願うばかりである。
ま、今日ばかりは、戴いているいろんなお酒と、珍味を肴に、気楽な管でも巻こうか。 2015 2・6 160
* 四時頃、突如、石川県鶴来の醸造元「萬歳樂」会長の小堀甚九郎さんが玄関先へ見え、飛び上がった。なんともはや情けない茶人ではある。お祝い戴いた。まったく何のおかまいも出来なかった。フードピア金澤以来の久しいお付き合いで、湖の本も三十年ちかく全巻支えて戴いている。感激あるのみ。「いいお酒を贈りますよ」と云って帰られた。
2015 2・6 160
* 一升瓶の半分ほどを夕食までに北陸珍味の肴で気持ちよく飲んだ。夕食には「和加奈」からたっぷり鯛やとろやしめ鯖など刺身をとり寄せ、染五郎弁慶の勧進帳録画を打ちこんで観ながら、心ゆくまで美味い酒に満たされた。今晩は、ゆっくりしよう。
* 一日かけてほぼ五合弱のお酒を飲んだ。一気にではない、この程度の飲み方が無難。その気ならあっというまにそれぐらい呑んでしまう飲み助だが、そういう真似はしないようにしている。酒は美味しく味わうのが何より佳い。
2015 2・6 160
* 朝一番に、「天たつ」の越前雲丹,天下三珍味の一を添えて絶妙の清酒をとりどり、いろいろに頂戴した。古都千年の「祝」酒一升をちょうど二日で堪能し終えたところ。飯・麺類が口に入りにくく、美味い酒と蛋白質の肴を賞味して、せいぜい睡眠して視力を休ませている。結句それが仕事の精度を保ってくれる。感謝。
2015 2・8 160
* 弁当場では暫くぶりに三階の吉兆へ。銚子一本付けて貰ったのが美味かったが、酔いがまわった。吉兆如月の献立は、まことに上乗、あまさず美味しく食べきった。八寸、造り、焼物、焚合、椀盛、御飯、果物。近来になくよく食べた。
2015 2・10 160
* 朝一番に各務原の石井真知子さんから名高い「伊吹蕎麦」などをどっさり頂戴した。わたしは、いまでは、なかなかの蕎麦党で、聖路加病院の帰りには更科蕎麦へ脚をとめることが多い。石井さんは、もう三十年ちかく「湖の本」を三册ずつ欠かさず買って下さる方で、会うことの一度もない方ではあるが親類かのようにいつも感じている。
2015 2・11 160
* 受賞のお祝いにと、ごッつい洋酒瓶の底に大きな梨の実の沈んだフランス出来のお酒を戴いた。スイスが本場とか。これは珍しくて嬉しい。グラスを霜が付くほどキンキンに冷やして呑めというのも、わが家でそんなことをした覚えなくて、モノめずらしい。日本酒のすばらしいのを次々に飲み干しており、ワインもビールも呑み、外出するとブランデイやマオタイやウオッカを呑んでくる。呑めなかった妻が、ほんのわずかでも付き合ってくれる。わたしの酒は、街では、ほとんど独り酒。それが佳い。
2015 2・12 160
☆ 「秦恒平選集」第四巻
ありがとうございます。ご受賞もおめでとうございます。かねがね、先生はもっともっと認められてよい方だと想ってきました。
ところで少しばかりですが主人とよく行く店のおそばを送ります、食べて下さいネ。
一月に若草山の山焼きと大神神社へ行ってきました そこで一句
三輪山の山ふところにいだかれし
神の御魂に安らけく 御自愛下さいませ。 各務原 石井真知子
* 「食べて下さいネ」が優しい。戴いた伊吹蕎麦が、出汁も蕎麦もすこぶる美味く、心満ちた。このごろ漸く麺類が口に慣れてきた。
* 梨の酒の強烈に美味いこと。指先ほどの量でつんのめりそうに美味い。
2015 2・12 160
* 四国の木村年孝さん、選りすぐりのお酒を送って下さった。有元毅さんに戴いた名高い御前酒を美味しく飲み干したところへ。この前には加門さんの「祝 古都千年」を、その前には山中さんの「三千盛」二升を、と、たてつづけに一升瓶を明けてきた。よく飲むなあと。我ながら思うが美味いのである。今日、加西市の東野美智子さんからは手紙で、再校に美味しいお酒をみつけました、送ります、それは「さくら雫」という「名酒でございます」と巻紙に毛筆で、「黄水仙」や「菜の花」の繪も綺麗に描き添えて。春が近づいてきたなあと思う。励まされて、一心に励もうと思う。
高麗屋の皆さんから贈られた豪奢な花籠の花は、ラナンキュラスという美しい花を満杯に薔薇がいまや家中に咲きにおっている。「酒が好き・花が好き」という本も出したなあ。
2015 2・13 160
* 小雪、粉雨。有楽町の「レバンテ」に寄ってみたが、目当ての生牡蠣は今シーズンは出せないと。保健所がらみと。昨日の「魚力」もこうだった。検査結果が悪いのかも。
がっかりした。
持って出た校正ゲラは、「あやつり春風馬堤曲」を読み終え、「秋萩帖」の量が少な過ぎた、あいた時間が惜しかった。小雨の下、保谷駅からうまくタクシーに乗れて傘はまるで使わずに済んだ。往きは寒かったが、帰りは手袋が要らなかった。疲れた。
2015 2・17 160
* 高石市の東野さん、お祝いにと、「名酒 櫻の雫」頂戴。ありがとう。
2015 2・18 160
* 今日は好天、暖かく。よっしゃと、上野へ。静かな博物館でと。あにはからんや花見の頃のような人出に仰天した。で、西洋美術館の前から、何年ぶりかの向島百花園へ。さ、これまた人出のおおかったこと。幸い梅が美しかったが清閑を楽しむには雑踏していた。近くの湯豆腐のみせ穂へと思ったが、植字の時間どきを過ぎていて。わたしは珍しく空腹を感じた。仕方ない、と、亀戸へ行くバカに乗った。天神産の境内にある料亭「若福」を目当てに。天神境内を尋ね歩いて、さて「若福」は。やはり営業時間外。参った。
仕方なくまたタクシーで浅草寺雷門まで戻り、空きっ腹を抱えて人人の雑踏のなかを歩くうちに「ふぐ」の店を見つけた。ふぐが食べたいと前からちょっと思っていたので、菊正三本でふぐ料理を雑炊まで食った。残念ながら、断然美味いという気もしなかった。酒がうまかった、まさか「米久」でもう一度すき焼きという欲もなく、鶯谷駅へ言問通りを奔って、帰ってきた。「秋萩帖」校正もそこそこ出来た。
帰宅後、もう少し肴っけなしに「御前酒」を美味しく呑んだ。。
2015 2・21 160
* 笠間書院の橋本編集長に戴いた蜜蜂の巣の美味いこと。陶然の美味。舞い上がりそう。
藝術至上主義文藝学会の馬渡会長さんからは、大好きな文旦をたくさん頂戴した。赤ちゃんの頭ほど大きい実が室温に自然に慣れてきた頃が美味しいですと。感謝。
2015 2・22 160
* 二時頃築地の病院を解放され、処方薬を手にしてから有楽町帝劇モールまで歩いた。馴染みの「きく川」て鰻と菊正。キャベツの塩もみとと骨も。小竹向原で保谷行きにのりかえ、すこし雨に降られたがタクシーで帰宅。
「秋萩帖」の初校を終え、持参していた「湖の本123」の再校へも歩を進めた。病院へ行くとしっかり待たされる分、校正の仕事はハカが行く。あさってもまた朝早くから築地の病院へ。
「きく川」の鰻、味無くはなく食べられた。菊正の正一合はいつものように美味かった。すこし酔ったが、小竹向原の前で気が付いてちゃんと乗り換え、大泉学園できがついて無事保谷で下車。保谷止まりの電車ではあったが。
月曜日では、美術館が開いてない。忘れていた。
今日は一時半予約で一時半に診察室に呼ばれた。明後日は、十二時予約だが、おそくも一時間半まえに生理検査を受けておかねば、その結果かが出てこなければ、診察して貰えない。よほど早くおそくも十時半までに検査室へ駆け込まねば成らない。よほどうまくすれば、上野へでも回れるかなあ。疲れてしまったらハナシにならないが。
2015 2・23 160
* 井口哲郎さんから「麩」のご馳走いろいろを、画家の林康夫さんからいろいろのご馳走を頂戴した。
2015 2・25 160
* 『冬祭り』今日は、二度、郵便局へ運んだ。大きなダンボール函に入れ、腕車に載せて行く。都はいま大規模の道路工事を近所でしており、身を細うして臨時の細道を通って行く。とにもかくにも頑張って運ぶ。午後の分運び終えて、「櫻の雫」を呑んでひととき寝入った。酒に弱くなった。美味しく呑めるのだが、寝てしまう。しかし一ッ時、半時寝入るのは、目のためにも、からだの為にも良い。酒量は。一升瓶が、ま、四日五日、なら、過ごしてはいないだろう。
2015 3・2 160
* 京都の羽生さん、手紙に虎屋の美味を添えて下さる。
2015 3・3 160
* うまい酒が好きだけでなく、根からの甘党、虎屋の和菓子や末富の御池煎餅などを喜んで口にしている。血糖値は安定しているが、何年も以前には尿が濃厚に甘いにおいを溜めたものだ。胃全摘の結果、大痩せに痩せて血糖値がほぼ理想的に安定したのは儲けものだった。しかし体重がじりじりと増加気味に推移し、そのぶん元気そうにも見えてきているらしいが。わたしは油断はしていない。処方されているのは、二種類のインシュリン注射、三種類のビタミン類、一種類の利尿剤、三種類の点眼剤、そして安定剤のリーゼ。ほかにも指折り数えて七八種類のサプリ薬を常用している。薬を少し減らしたいものだ。
2015 3・3 160
☆ おめでとうございます。
選集第五巻『冬祭り』ご恵贈まことに有難う存じます。
大作ですので一気に読みきることは難しいと思いますが 昭和56年刊行の講談社版と見比べながら ゆっくり楽しませていただきます。
ご結婚記念日と迪子奥様のお誕生日が近いということですので、お祝いとしては相応しくありません(?)が、滋賀の鮒鮨を近くお届けします。 吉備の人
* 豊かに子を抱いた鮒の美味。ありがとう存じます。
2015 3・9 160
* 山中以都子さん極美味「三千盛」純米大吟醸二升を頂戴。作家杉本利男さん、栄誉金賞の「海鮮献上焼」を、妻の従弟濱敏夫さん日本橋屋の「抹茶煎餅」下さる。感謝。
2015 3・10 160
* 人はいつかきっと死なねばならぬと悟って噴き上げるように哭いたときわたしは戦時の国民学校へもまだ上がっていなかった。この官僚君は四十代を歩みながら死の恐怖に初めて接したという。
今回第五巻の『冬祭り』は文字どおり「生と死」とを「生きた」小説、折り返しこの巻を追加して奈良へ送った。
ためらいなく「うすしぼり 篠峯」の詮を切った。なんと美味いこと。
* 吉備の有元毅さんから選び抜かれての丹精「近江の鮒寿司」が送られてきた。美味い。とても美味い。鮒寿司の鮒を卵を米を肴に惜しみなく「三千盛」を呑み「ういにごり篠峯」を呑む。贈り主の情け、これをこそ何よりも嬉しく酌めて、最高です。
2015 3・11 160
* きのうは京鳴瀧の川浪春香さんから和久伝の珍しいご馳走と菓子とを頂戴し、今日は金澤の金田小夜子さんから「諸江屋」の生落雁を添えて祝意に満ちた綺麗な卓布を頂戴した。
2015 3・17 160
☆ 我家のさくらも、
心なしか、ふっくら… 春はもう目の前です。
ご無沙汰申しております。
お健やかにお過ごしでしょうか。
今年のいかなご漁も、寒暖順の天候や環境の変化で 不漁つづき、大きさも不揃いで 出来ばえよくありませんが、季節のお便りまで少量ながら 一品に加えて頂ければと存じます。生茎わかめと、塩漬け茎わかめの佃煮 添えておきます。
先生のその後のご容体 如何でございますか。
私も 上京する機会も少なくなりました。
どうぞ ご機嫌よろしく、お目にかかれる時を待ち望みつつ 神戸市 澄 妻の同窓
* これはこれはと、三千盛のとっておきを持ち出し、茎わかめなどをお肴に頂戴した。酒・肴、すこぶる美味。
2015 3・20 160
☆ 秦 恒平 様
「湖(うみ)の本 123 繪とせとら日本」を拝受しました。
多年の「繪」についての論考、興味深いですね。
ゆっくり読みます。楽しみです。 練馬 靖 妻の従兄
* こころもち遅く、入浴前に、京の「華」さんから、「辻利」の抹茶と「亀屋良永」のすてきな干菓子が二種、送られてきた。懐かしい。
2015 3・20 160
* 郵便局から脚を延ばして新座方面を自転車で走ってきた。東京の保谷から埼玉の新座へはかなりの急な坂で降っている。往きは軽いが帰路はとてもしんどい。足を使わないと膝に力が入らず、時に萎えたように空脚を踏んでしまい、階段では危ない。春になってきたので歩きたいと思いつつ、つい家にいる。電動自転車ですこし遠くまで走りたいが、疲れるかなあとつい凹んでしまう。食べる楽しみがまるで失せていて、あの店へ行きたいといった気持ちに、なかなかならない。飲むばかりでは健康的でない。「シェモワ」「ピルゼン」「きよ田」「ケテル」などの懐かしい店のもう無いのが惜しい。熱海駅の前の魚屋で食った大きな伊勢海老が美味かったが、遠いなあ。大好きだった刺身や天麩羅が舌に「みづくさく」頼りないのが残念。好きな麺類も苦手の内に入り、生牡蠣はどの店でもいまどき出してくれない。歌舞伎座の「吉兆」や日比谷のクラブでの「エスカルゴ」「角切ステーキ」、江古田「リオン」のフレンチコースなども、やはり酒やワインやブランディがぜひ欲しい。支那料理が結局無難か、麹町の「登龍」がいまぶんいちばん気に入っている。
京都へ行きたい。木屋町の「たん隈北店」祇園町南の「千花」、からすま京都ホテルのバアもなつかしい。
2015 3・21 160
☆ (学長を務めていた=)米沢で
人気の地元のお酒( 九郎左衛門) をお送り申し上げました。お口に合えばと存じまして。
どうぞお大切にお過ごし下さい。 仙台 遠藤恵子
* この「九郎左衛門」の純米大吟醸の二種四合瓶がうまくて、意識して量はセーブに努めていながら、二日で、二本ともしみじみ呑みほしたのには、我ながら驚いた。美味い酒は、美味い。逆らえない。日本酒は、世界中の酒の中で、最も良質で美味に多彩が楽しめる気がしている。かぎりなくいろんな美味い酒に出会う。おどろく。
2015 3・27 160
* 堀上謙さん、馬場あき子さんと逢う。かなりこっの躰にバテがあり、十分話せなかったが、馬場さん、選集の美しいのを褒めちぎってくれた、羨ましいとまで。
帰路は、めずらしく代々木までゆっくり歩いて、山手線で池袋へ戻った。終始、間があれば「秋萩帖」を読んでいた。
朝も昼もあまり食べていなかったので、保谷駅から「和可奈」へ寄り、肴で「神鷹」の燗と冷やを飲んだ。家までは歩けそうになく、駅まで戻って車に乗った。
帰ってから、ぐっすり寝入った。そのまま、機械の前へ戻らず、夜更けて床で校正し読書して、朝まで寝入った。
2015 3・28 160
* なんとなく芯が疲れていて、腹中が安定しない。モノを食べると気分がわるく、空腹に耐えているぐらいが落ち着く。麺類ダメ、肉もだめ、魚も。味噌や山葵漬けや鱈子などを肴に酒を飲んで熱源にしている。よろしいこととは思わないが。主食には、カステラやクッキーをホンの少しずつ。
妙に颯爽とした気分になるのは乗り慣れた自転車で、近所へおつかいに行くとき。近所は静かで車も人もすくない。多少目が霞んでいても不安がない。
2015 3・31 160
* 帰路、聖路加からプランプラン歩いて、歌舞伎座脇の「YOU」で美味いオムレツとトーストと小ビール。市川染五郎クンに教わった店で、妻もわたしも二度目。食べ終えて、すぐとなりの「茜屋珈琲店」のカウンターでマスターと歓談しながら、美味い珈琲。出たばかりの、ある著者の五代目富十郎を書いた一冊を、マスターを介して予約した。近日の成駒屋襲名の芝居を観る日に、本、受け取りにきますと。もう始まっている襲名「がんじろはん」の看板の前で妻を写真に。
また、ぷらんぷらん銀座一丁目駅まで歩いて、有楽町線で帰宅。処方してもらった薬を駅前まで自転車で受け取りに行った。
2015 4・9 161
* むかしで謂う、大曲、そこに能楽堂のあったあとに、いま心臓血管検査施設が出来ていて、妻のCT検査に同行した。飯田橋界隈はむかしむかしと大違いの道路混雑で、街慣れない妻にはめざす場所へ行き着けない。地図も読み取れない。(株)凸版印刷の高層ビルに間近いと分かってながら、飯田橋で地下鉄を出てから、わたしでもちと戸惑ったほど。
検査自体には妻もわたしも慣れている。わたしは安楽な待合の倚子席で、たっぷり「生きたかりしに」下巻の初校が出来た。もう中巻は「要再校」で印刷所へ戻せる。
十時過ぎに入り、こと終えてまた路上へ出たのが一時半。見当をさだめて神楽坂まで細道を通り抜けていった。料亭「志萬金」の二階座敷へあがって一等の懐石「利休」に「白鷹の以心」二合。料理もまずまず期待に近く美味くて、酔いも深かった。地下鉄で一本で行けて帰れる有り難さ。保谷駅からはくるまで。思い切り校正が捗って、懐かしい神楽坂もちらと覗き見て和食を食べ切れたのだから、上等の外出だった。
2015 4・11 161
* 十時半には検査を終え。しかし診察を終えて支払いをして三時半、さらに薬局で処方薬が出るのに三十分待ち、糖尿の薬は大袋に二杯。もっともハナから待つ覚悟で、校正刷りをたっぷり持っていて、ずいぶんハカが行った。湖の本の「生きたかりしに」初校は「下巻分」までしっかり読了、また選集⑦巻頭の処女作二作も、再校分を気を入れて読み終えた。
築地は、雨ざんざ。空腹。タクシーで松屋まで行き、八階の天麩羅「つな八」へ久しぶりに。手術後に二度出向いたが二度とも「味」がしなかった。今日は、やっとかなり美味しく食べられた。カウンターで、板さんと酒談義。奈良の酒がなかなか美味いんだよと褒めると、「そのとおり」とばかり店の奥から「赤巴」という奈良の酒をもちだし、コップ一杯、ご馳走してくれた。風味豊かで、ちょっと類のない美味。おかげで天麩羅も久々美味く口に入った。
機嫌良く、銀座一丁目から乗ったが、気が付くと平和台まで乗り越していた。小竹向原まで逆戻りし、保谷では雨中タクシーを待った。
2015 4・13 161
* 今朝は、また妻に付き添い聖路加へ行く。近日のうちに幹動脈へのステント挿入手術数回目を実行することになる。
* 帰路、築地「福音」で美味い寿司を。新富町から一気に帰宅。
2015 4・17 161
* 一昨日の鴈治郎襲名の昼の部あと、「茜屋珈琲店」のカウンターへ。と、まあ。「ハイ墨牡丹でお待ちしてました」と。亡き加山又造さんの繪と指導とで出来たそれは美しい珈琲カップ。謂うまでもない、華岳絶筆の墨牡丹。マスターはわたしの「選集」第四巻でその作を見て呉れていての温かな心入れのご馳走であった。この店では、マスターとこういう付き合いが出来ている。珈琲もジュースも一律千円札をわたすと「ご縁(五円)」のお釣りが出る。出されるカップやスプーンの折りに応じていろいろに美しいことは、目をみはる。店内や手荒いの心地よい清潔さの中で見よい絵や壺も生花も。時に歌舞伎役者とも隣り合う。想えば久しいお付き合いだ、妻もお気に入り。
此の店でか、日比谷のホテル・クラブルームだと、芯から寛げる。以前は巖谷大四さんに連れてもらった、有名な漫画屋さんのよく集まってた「バー・ベレー」へ夫婦していつもくつろぎに出向いていた。人気のスーパーママ「すまちゃん」とも、家族ぐるみすっかり仲良しになった。娘朝日子が結婚しようとしていた相手も連れて行き、ひそかにママに品定めしてもらった。チッと、目にもとまらず小さく鋭く首を横にふられ、嘆息した。当たっていた。あのママも亡くなった。
昨日病院の帰りに妻と昼食した築地、若い夫婦でやっている鮓の「福音」も、とても気に入っている。第一に出る魚がとびきり佳い。もっぱらわたしは刺身で食べ、鮨飯は控えるのだが、切ってくれる次々魚の吟味と美しい包丁、仕出し、腕の良さ確かさに惚れている。酒は、ここでは八海山の冷やと決めている。酒器も清らか。ただし、値段は上等である。銀座では競り落として評判の鮪一切れが壱万円ということも体験していて、まさかにそんなにはならないが、なるほどねと肯く程度にはお札が要る。それでも、ちょくちょく暖簾をわけるのは、それだけの嬉しい満足があるから。久しぶりに昨日の魚は美味く原におさまった。食味が戻ってきたのかな。
2015 4・18 161
* 強雨にも見舞われず、夕ちかく、築地の「さらしな蕎麦」で「かしわと鴨の鍋」を二人で食べ、新富町からまっすぐ停滞なく帰宅した。
2015 4・20 161
* 幸い事なきを得て、病院から帰宅、七時。帰り、気に入り野の築地「更科蕎麦」で、妻は鴨南蛮、わたしは蜆をたっぷり煮込んだ深川蕎麦で、升酒を二合。
病院でも、電車でも、たっぷり校正出来た。病院通いで時間をロスしたということが全然無く、目先も気も変わって自然歩きもするので、上乗。日比谷のクラブへ寄ろうかと思ったが、ま、あっさりと蕎麦がいいと。
さ、明日明後日の土日を利して、送本作業を終えてしまいたい。十八日には、「湖の本124・生きたかりしに」上巻が出来てくる。その発送用意もしなくては。
なにより、健康。
2015 5・8 162
* 歯医者、また当分通わねばならない。次回は25日夕方。
帰路、中華家族でマオタイ二杯。妻は好みの酢豚など。
2015 5・11 162
* 検査良好。支払いして処方薬を薬局で受け取ったのが一時半。築地の「玉寿司」で、「極み」の鮓で「山田錦」と特醸秋田の「まんさくの花」をしっかり呑んだ。いい気分で、新富町駅ホームの倚子で一寝入りしてから地下鉄に乗った。乗り越すよりいいと算段。電車でも「最上徳内」をおもしろくズンズン校正できた。
* ロスの池宮さん、東京の友人を介して菱川師宣ゆかりのお酒二本を頂戴していた。ちょくッと呑んだ。どうも食べるより先になる。腹が張らないから。
2015 5・13 162
* 朝一番に、村上開新堂の山本社長から世評嘖々のクッキー一缶を頂戴した。
午后には、むもむ京都の華さんからしっとりした京味の小魚を二包みも戴いた。
お茶に酒に、有り難う存じます。
2015 5・15 162
* 五箇荘の乾徳寺さんから、「選集① みごもりの湖」を悦ぶ手紙が届いた。冷菓をたくさん戴いた。那珂の下司さんからも手紙を戴いた。
2015 5・19 162
* 紀伊国屋ホールでの俳優座公演、レマルク戯曲「フル・サークル」を深い共感と喝采とで観てきた。今日ただいまの日本国民に訴えるもっとも適切な主題であり舞台であり、レマルクの傑作小説の強烈な自由と平和への志向・殉情を少しも損なわず歪めずに彼自身で成した劇作であった。いまの、怠惰で優柔で卑屈なほど安穏に安住して今日から明日への真の恐怖世界を想像すら出来ない日本人、ことに青年、中年を、これほど叱咤し忠告している舞台は無いであろう。
わたしは眼が不自由で、舞台も霞んで見えていたが、だから俳優達のうまいのへたのなどは却って問題外となり、息づかい激しい歎きの、怖れの、不安の科白の一つ一つを耳から胸へ畳み込んで聴き味わっていた。最大級の拍手を率先送ってきた。しかし、おそれていたように、劇場内の反応は、わたしの祈るような思いの共感や認識とはやや懸け離れ、温度の高まらないもどかしさがあつた。現代というより、今日から明日へ生きぬかねばならぬ日本人の足もとを激しく揺るがしている現実の危機、それと共振させ踏み込んで観ている人が少ないなあと感じた。あーあと、寂しさをさえ覚えながら、妻と、劇場を離れたが、俳優座、制作の人とはしっかり握手してきた。
* 賑やかな新宿では、久しぶりに船橋屋の甲州「笹一」で天麩羅を。笹一のうまいこと、このところ日本酒が家に払底していたので、満たされてきた。妻と一緒だから帰りの電車を乗り越す心配もない。それに副都心線、新宿と保谷との往復の楽なこと早いこと。
帰ったら、吉備の有元さんから素晴らしい地酒が届いていて、おおと声が出た。手紙もたくさん。
なにより、初日に黒星を喫した横綱白鵬が、さすが横綱相撲で照の富士を一蹴一敗を堅持し、魁聖と二人、勝ち星の最先頭に立った。油断なくぜひ優勝して欲しい。
2015 5・20 162
* 九時半。予定した作業を、とにかくも終了した。あとは、必要な追加送本だけ。有元さんに戴いたお酒で、乾杯。
2015 5・20 162
* ご近所から、脂の乗った美味しいいさきを戴いて、妻が、なかなか上手くおろしてくれたのが上乗、お酒がうまく飲めた。昼には饂飩で腹が張って苦しかったが。酒、そして美味い肴が、いま一番口に合う。空腹のままに好い栄養の入る工夫が大事らしい。腹の靠れる食事は苦痛のもと、禁物。むかしはよかった、何を食っても美味かった。
2015 5・23 162
* 各務原の石井真知子さん、岐阜特産の鶏卵三ケースに特製の出汁二瓶を添えて下さった。感謝。
2015 5・24 162
* 祇園の「辻」さんから、素晴らしい和菓子、京に咲く梅「おうすの里」を送って戴いた。「恋しくば尋ね来てみよかつらきや名柄の里のうらみ葛の葉」というたぶん即興の歌でわたしを名柄の里へ導いて下さった京大N名誉教授とはこの「辻」の止まり木にならんで盃を含んでいた。わたしの純然京ことばで書いた「余霞楼」という小説の題も、N先生の連載されていたエッセイの題からもじって頂戴したのだ。なつかしい、とても。
* 祇園北側の路地なかあちこちの店では、京都へ帰るつど、何人もの、当時既に高名を遂げられていた「先生」がたと止まり木に並んで酒を飲んだ、うまいものを食った。わたしは、これで生来人なつっこいタチで、特別ものおじもしないから、どんなえらい先生とでもすぐ話し合うようになった。わたしのしてきた、している仕事も多少は役に立ってくれた、こと歴史や文学や藝能や古美術に関してならわたしは聞きたい教わりたい質問がいっぱいいつも有ったし、おかしな文士だと笑っても貰えた。いまでも妻が言う、わたしも身に沁みておもうけれども、「いつでも、お年寄りに好かれる」のである。「売れないワケよ」とまでは言われないが、ま、そんなところだ。作家生活の大半をわたしは、太宰賞への招待を筆頭に、大先輩、先輩の作家や批評家や先生方に手をひいて表へ表へ引っ張り出してもらえた。わたしも、恥ずかしからぬ答案を提出する姿勢と気持ちとで手を抜いた仕事はしないで来れた。先生方に恥ずかしい仕事は見せられなかった。
2015 5・26 162
* 各務原の山中さんより、「三千盛」の特と超特の二升頂戴。じつは日本酒が、ずうっと切れていて。まことに嬉しく、感謝し、ちくと二、三杯きこし召してから、診察を受けに築地の聖路加へ。
2015 5・27 162
* 朝一番に美味しい焼きあなごをたっぷりと頂戴した。さっそく焙って、ちくと一献のいい肴に戴いた。善哉。
2015 6・2 163
* 羽生清さん、お手紙と、京・鶴屋吉信の銘菓を下さる。山口市の平野芳信さん、虎屋の羊羹二棹下さる。感謝。
2015 6・3 163
* 吉備の有元毅さんから、いつも嘆賞に絶えない宝玉のような「マスカット」一房をお送り戴いた。心より感謝申し上げます。
2015 6・6 163
* 「黍」さんから、名酒「奥の松」の純米吟醸と大吟醸の二本を戴いた。すぐさま大吟醸の栓を抜いた。感謝。
2015 6・7 163
* この二三日、涼しい。長袖が欲しくなったり。それも梅雨に入って、むしろ蒸し暑くもなるだろう。美味い酒、けろっと一本(四合)飲み干した。
2015 6・9 163
* 京都の、高校同窓の陶芸家松井夫妻から、「湖の本」124 上巻の「食いしんぼえ私語」に同情してくれてか、「仙太郎」の最中を送ってきてくれた。やっぱり美味い。餡の味がとびぬけている。サンキューベリマッチ。
2015 6・12 163
☆ 梅雨空には
山梔子と泰山木の白い花が似合います。
この度は「湖の本」一二こ五号をご恵投頂き、有難うございまL た。
いつもながら流麗な筆致に感嘆、声もごぎいません。
また銀座の「シュモア」とは懐かしい名前で、往時に思いを馳せました。
「鉢巻き岡田」の近くに、「**・***」という店がございます。ソムリエという職種が無い時代から三笠会館でボーイさんをやっていたご老人の店です。お気に召すのではないかと存じます。小生の名前を出L てください。
ますますのご健筆とご健勝を念じております。取り急ぎお礼まで。草々 敦 エッセイスト
* 銀座に、楽しみができた。鮓の「きよ田」なく、ビヤホールの「ピルゼン」なく、フレンチの「シェモア」なく、ながらく落胆し続けていた。「敦」さんは朝日の記者時代から、その後も、名にし追う「食通」。ちょっと教えてと頼んだのである。おっと、ヨシヨシ。
2015 6・15 163
* あれやこれや、していた。夕刻から、歯医者へ。帰路、「中華家族」でマオタイを、「VIVO」でウオッカと赤ワイン。
2015 6・16 163
* 朝一番に、高史明さんご夫妻から、大好きな柚餅をふくむ京名菓を頂戴した。嬉しく嬉しく。感謝します。
2015 6・17 163
* 「吉備の人」有元さん、美味しそうなお餅を送って下さった。お餅は「二つ」も食べれば他にたいして食べなくても十分「一食」に足りる。体重を67キロ台に保つことを健康体の基本に置いている。もう少し減らしてもいいが、体力を落としてもならず。
しかし、なによりも「歩く」を初めとして「からだを使う」こと。出不精になり、家に居座って「読み書き」仕事ばかりでは弱る一方。誘って貰ってでも出歩かねば。
明後日の桜桃忌は、木挽町へ出て歌舞伎を楽しみます。
2015 6・17 163
* 日本酒がほしくて、ちかくの店へわざわざ買いに行った。それほど疲れていて、酒をすこしのんで寝入っていた。かなりの品数をおいたスーパーに、純米酒がたった一種「沢の鶴」だけというのに驚いた。聞こえた銘柄でももな醸造用アルコールを使っている。味はかなり落ちる。
2015 6・18 163
* 朝一番に、山形のあらき蕎麦さんから、すばらしい桜桃、たっぷりの四バックを、今年も頂戴した。甘い。美味い。出かける前に、妻と五つずつ戴いて。
* 思い静かに、今日は終日木挽町で歌舞伎を楽しむ。少し遅くなるが、重金敦之さんに教えてもらった店へ、行ければ行ってみたい。
2015 6・19 163
* 昼の部。 先ず青果作、勝小吉・麟太郎父子を書いた世話歌舞伎、以前に吉右衛門で観ておもしろかった。今日は橋之助。わるくはないが大声になると声にひび割れが生じて芝居の熟度を落とす。魁春の小吉の姉、姿美しく。ま、特段の感銘作ではないが、楽しめた。締めの見せ場で小吉と八重次(芝雀)を包んだ大道具の景色が情があって好かった。
次いで、今日は昼の部から夜の部へ通し狂言『新薄雪物語』、これは凝った歌舞伎で、各幕各場面がなかなか魅する。しかも菊五郎、幸四郎、吉右衛門、仁左衛門、歌六、團蔵、高麗蔵、魁春、芝雀、時蔵などと役者を大きく揃えてくれたのは大サービス。しかも外題の「薄雪姫」には、梅枝、児太郎、米吉という若手の女形を共演させてくれた。想定外の児太郎が、青果劇の向島芸者とともに、薄雪姫でもひとかど、ひとくせのきりつとした女形ぶりで魅してくれたのは嬉しかった。成駒屋のためにも奮発してほしい。
陰腹切っての幸四郎、任左衛門、それに奥方魁春が「三人笑い」の場面、しんどくも面白く競演の花火が咲いた。「重たいお役」で、家でも無口なんですよと高麗屋の奥さんとの立ち話でも話題になった。幸四郎の幸崎伊賀も仁左衛門の方も、あの陰腹の長丁場で笑うのは大変だ、それにしても「薄雪物語」、ようやるわという歌舞伎歌舞伎記で、けっこう見映えがする。
昼の弁当場は、躊躇いなく「吉兆」を予約しておいた。「水無月之御献立」が、すこぶる美味い。八幡巻きの八寸、鯛湯引きの造り、多彩な焼物、焚合せ、さらに強肴、酢物、新生姜ごはん、そして沢煮椀、菓子にはわらび餅。いくらかを黒いマゴのみやげに持ち帰った。
夜の部も「新薄雪物語」、そして大喜利には、左団次・菊五郎の所作事「夕顔棚」が絶品のおもしろさ、なつかしさ。老夫婦をしみじみと和やかに踊ってくれた。左団次のいちばん佳い顔が見られ、菊五郎と懐の深い藝がとことん楽しめた。里の若い衆が踊って出たなかで、父三津五郎をうしなった巳之助がみごとな踊り上手を確証して魅せたのが大収穫だった。満足満足、木挽町の雨はやんでいた。
* 重金さんに教わったフレンチの店は惜しくも時間切れ、で、銀座表通りの「瀬利菜」へ入った。わたしはローストビーフとフランスの赤ワインが美味く、妻はアスパラなどのサラダ、ガーリックの栄螺にイタリアの赤ワインに満足していた。アイスクリームも。
* 最良の桜桃忌だった。帰宅して、頂戴した桜桃をふたりでしみじみ味わった。たくさんな郵便も届いていた。気がかりだったサーバとの登録訂正問題も解決していた。中途半端な不愉快が、すっきりと事終えてくれた。
2015 6・19 163
* 快晴の朝。山形の桜桃、村上開新堂のクッキー、赤ワイン少杯で食事。耳を離れない映画「ゴアの恋歌」のナレーションと歌をまた聴きながら黒いマゴに輸液。マゴは、昨日の吉兆の焼き物などを大喜びで食べたらしい。留守番を頼むよと頼めば、どんなに外へ出たがっていても即座に心得て終日家を守っていてくれる。
* 朝一番に、京都の冨松賢三君から永楽屋のご馳走がずっしりと大きい包みで送られてきた。国民学校から中学高校大学までいっしょだったというただ一人の友人、京都市で大きな区の区長を歴任した。男も惚れるようなまさしくハンサムだった。軟式野球の名手で、高校の時全国で優勝してきたように覚えている。大学以来、三度とは会えていないが、いま茅野市で闘病している松下圭介君とともに、最も懐かしい七十年余もの「有済校」友だち。 ありがとう。
* 東近江の読者小田敬美さんからも、亡きご主人秘伝、毎年丹精の「梅干し等」をたくさん頂戴した。紫蘇や紅生姜や梅汁も。わたしは小さい頃から野菜苦手だったが、梅干しや紫蘇は大好きで、大人になってからも梅があれば飯も粥もいくらでも食べられた、それだけで好かった。
思えば太宰賞の日、あの桜桃忌から四十六年が経ち、その殆どの期間を愛読し支持して頂いた読者にいまも支えられている。ありがたいことだ。
* 数えきれず頂き物をするが、私からは、なにもしていない、出来ることはただ書いて書いて「本」にしてお届けする以外にない。
妻もわたしも、お返し物に気遣いして神経と時間と体力とを用いるゆとり無く、ひたすら少しでも元気に仕事の結果・成果をお届けする以外には無いと、心中恐縮しながらご返礼を欠いています。ご無礼、おゆるし願います。
2015 6・20 163
* 戴いた桜桃に元気をもらい、京の菓子や岡山の「ひめのもち」に力をもらいながら、晩方になると震えるほど疲れがたまり、浴槽で低血糖を感じたりした。
明日も、明後日も、根気の要る作業がつづくが、第七巻の出来は、感慨深い。
さ、早く、と言ってももう十一時前だが、寝よう。昨夜は寝そびれて夜中にもゲラを読み続けていた。
2015 6・22 163
* 「選集」⑦の送り出しを完了した。ワインとチョコレートで乾杯。
* 自転車でスーパーへ日本酒を買いに行き、「和可菜」の鮓と肴で打ち上げ。鯛の兜煮がサービスで付いた。サンキュー。
2015 6・24 163
* 雨に降られながら、歯医者の帰りに、食事はしたくなく、「vivo」に寄って、ウオッカ、それに白と赤とワインを。このスタンドの小さな店は、酒のプロという自負で営業していて、しかも安心できる値段で、親しめる。美味かった。チーズを少しだけ。
2015 6・26 163
* 朝いちばんに、利休研究などで名高い村井康彦さんより、磨き抜いた超級の美酒「獺祭」の小瓶を頂戴した。感謝。むかし山口の俳人孤城さんが何度も何度も送ってきて下さったが、亡くなられた。
「日本酒」ぜんたいが何かしら国際的に高く評価されたと聞いた気がするが、たしかに、よくよく醸した米・米麹だけの日本酒は、各地なりの水質と工夫とで、互いに、比べようなく美味い酒になっている。藝術的である。
* 昨日はほとんどモノを食わず、日本酒、ウオツカ、ワイン紅白、ビールだけで暮らした。京、永楽屋の昆布や椎茸などと、この店特製のとびきり上品なゼリー菓子とを、少しずつ。体重も減らした。
2015 6・27 163
* 詩人山中以都子さんから、夏限定の純米大吟醸など純米「三千盛」二種を頂戴した。作家牧南恭子さんからは二人で戴ける特製のご馳走蕎麦を頂戴した。食の進まない折、感謝に堪えません。
2015 6・28 163
* 美味い蕎麦と美味い酒・肴と、美味い菓子とで、今日を過ごした。なんと有り難いことだろう。
2015 6・28 163
* 作家の近藤富枝さんから「涼菜」 交通公社の編集者だった安藤典子さんから「のり」 中学・高校の同窓で日立の重役を務めた西村明男君から「両口屋是清」の銘菓 を戴いた。有難う存じます。
2015 7・1 164
* ともあれ「生きたかりしに」下巻、来週月曜受け入れの発送用意は間に合う。土曜か日曜には、すこし気散じに外出できるだろう、か。
この二三日のわたしの主食は、カステラ、コーンフレーク、味好い饂飩、さらに和菓子、開新堂さんに戴いたクッキーなど。幸い三千盛や獺祭など美味い酒が半主食になってくれて、酒の肴は豊富にある。ただ、たくさんはとても食べられない、満腹すると苦痛に呻くようなこともある。すこしずつをしきりに食べ、すこしずつをしきりに飲んでいる。幸いに、暑さのおかげかこれまで一缶飲めなかったビールが喉をおいしく通ってくれている。赤いワインは相変わらず、お薬と思って日に一度は少量口に含んでいる。
2015 7・2 164
* 京・洛北のバー「樅」の横井千恵子さんから、美味い佃煮が届いた。酒もいよいよ美味くなります。
2015 77・2 164
* 皇居の周囲を取材した案内番組のなかで、皇室の御用達、いつもきっちりした缶詰めでたっぷりと特製クッキーを戴く村上開新堂の紹介があった。維新の折、京都から江戸・東京へ移ってきて創業した老舗である。番組の知らせは社長母娘さんからもらっていた。創業以来の歴史を綴った好い書籍ももらっていて、優れてユニークな経営に徹した名匠の風格ある洋菓子屋さんである。社主とのご縁は久しく、「湖の本」創刊いらい途切れなく手厚く応援して戴いている。創刊と購読依頼や配本時のわたしの挨拶に意気を感じてもらうたのが三十年のご縁であった。
一切配達しないお店として知られている。いつもいつも郵送してご馳走して下さり、有りがたい。
皇居のへん、あらためて歩いてみたくなった。本丸跡、北の丸公園、将門塚など。よく行く国立劇場からの帰りに、濠ぞいに帝国ホテルまで妻と歩いたことも何度か。ジョギングの元気はないが、気の晴れる空の明るさがある。
2015 7・3 164
* 元岩波「世界」の高本邦彦さんから立派な夕張メロンを二顆頂戴した。金澤の金田小夜子さんからも豪快な北国の名酒「北の誉」一升瓶を頂戴した。
2015 7・3 164
* 神戸の市川澄子さんから播磨素麺をたくさん頂いた。京・舟岡の杉田博明さんからも、京野菜の多彩な漬け物を頂戴した。有難う存じます。杉田さんには、やがて「選集第十巻 親指のマリア」を贈れる。京都新聞の朝刊に惜しみなく回数を書き続けさせてくれた人。杉田さん自身も「京」のための多くの著書がある。
2015 7・4 164
* 小松市八代啓子さんに戴いた金澤森八の清(すず)やかな絶品「葛切り」に鬱気を払われる。感謝。
2015 7・8 164
* 四国高松の岡部洋子さんから大きな立派な桃の実を戴いた。京・嵐山の田村由美子さんからは、神輿洗いも迫った祇園会を祝って、好きなちまきを戴いた。美新座市の詩人田中真由美さんからは、地元の銘菓「にいくら」を頂戴した。
2015 7・8 164
* 朝食に、完熟の大きな桃一つと祇園会の粽ひとつを。そして赤いワイン少し。早朝に寝床で公正に励んだので、十時半、もう目が霞んでいる。機械仕事はムリらしいので、ゲラ校正に向かう。選集⑧の再校を終えてから全編丁寧にチェックして責了へ向かう。
2015 7・9 164
* それにしてもよく飲んでいる。戴いた「三千盛」も「獺祭」も「北の誉」も、買ってきたウイスキー「富士山麓」も、うれしく飲んでしまった。「辰」兄が、このごろは飲み会でなくお食事会になるのがツマランと嘆いていたが、気持ち、分かる。ただしわたしは飲み会という会にはほとんど縁を結ばずにきた。「ひとり酒」がたいていで、話し上手の「おんな酒」にはめったに出逢えない。
飲むと寝るようになった。幸いに、いっとき寝入ると視力がやや回復して、次の仕事へかかれる。八割九割は無難に危なげない家での酒になっている。
今日はなぜか左の肩が強烈に硬くて痛い。
それにしても、よく降る。こんなときは、晴れ晴れした山がみたい。
2015 7・9 164
* 元朝日の記者で「湖の本」創刊に親切で強い後押しをして下さった伊藤壮さんから、大きな桃の実を九顆も頂戴した。また作家の津田崇さんからも、小田原の美味そうな立派な干物をたくさん頂戴した。久々の長編新作の書き下ろし出版をよろこんで下さっている。感謝に堪えない。
2015 7・12 164
* 日比谷のクラブに入り、例のエスカルゴ、角切りステーキで遅い晩食。妻は赤ワイン、わたしはブランデー。
ゆっくり帰宅した。手紙などたくさん。それも置いたまま、就寝。
2015 7・13 164
* 吉備の有元毅さん、美味しい葡萄のピオーネ一房、すばらしい白桃をたくさん、頂戴した。有難う存じます。
川西の東野美智子さんには、男物の佳い扇子を頂く。感謝。
2015 7/14 164
* 歯科への通い、暑いのにも参ったが、風の激しさにも面食らった。空は明るく晴れ渡っていた。
それとなく木蔭をつくる日照かな
閑かさや日照の坂を二た折れに
海棠の紅(こう)も翠も梅雨の花
帰りにバー「VIVO」でうまい赤ワインとおすすめのサッポロビールを、ブルーチーズで。そのあと、まつたくの気まぐれでラーメンをひざびさにどうか知らんと小さい店へ入ったが、失敗。
帰宅後、豆腐の味噌汁だけを。これまた食べ方がわるくて、苦しいほど執拗にえづいた。
2015 7/14 164
* 神戸の岡田昌也さん、巣のついた蜂蜜を下さる。感謝。満腹せぬように食べ物と量とに気遣っている。蜂蜜は少量づつで元気が貰える。村上開新堂さんの クッキーも美味しくかつ極く少しずつと紅茶とで十分食事になる。甘味は量をじょうずに考えてさえいれば、体力が保てる。体重が安定していれば、少量の麺類 も楽しめる。
と、言いながら、昼食を食べ損じて苦しいほど吐瀉してしまった。食べずに空腹が気分いいのに、ちょくちょくとモノに手を出す。意地汚いのである戦時り欠食貧小僧は、老いても。
2015 7・19 164
* 今夕は、これから、またまた歯医者だ。とてもとても解放されそうにない。
* 右下にまた入れ歯一つ。
帰路、「中華家族」で、マオタイと妻がおすすめの酢豚で、小説「孫次郎」を校正。保谷からバスで帰る。
2015 7・24 164
* 東京・開新堂の社長さん、季節限定の生菓子を下さる。珍重珍重、感謝。
☆ 秦様
暑中御見舞申し上げます 酷暑でお体に障りはしないかと気になります
過日は「新日本風土記」をご覧いただき 先生と奥様 ご銘々から嬉しいおことばをいただきありがとうございました
今の季節は杏のお菓子を作っておりまして テレビで映りました生菓子は九月末までお休みです 私の仕事は軽くなっています
今回は 杏のお菓子を送らせていただきます
どうぞどうぞ御身御大切に 道
2015 7・28 164
* 朝いちばんに竹西寛子さんからりっぱな利尻昆布をたくさん頂戴した。有難う存じます。
頂戴物の有り難さ以上に、消息が知れて、ともあれ安堵もし心より御健勝でと願わずにおれない。
* 愛媛の木村年孝さん、瑞々しい愛媛名物の蜜柑をたくさん送って下さった。美味い! ありがとう存じます。
2015 7・30 164
* 金澤の松田章一さん、夏負けを追い払う美味い「金つば」を沢山下さった。能の梅若万三郎さんからも涼しげな甘味を沢山頂戴した。感謝。一心に仕事をつづけているのを励ましてくださる頂き物と身に沁みてこういう日々の賑わいに力を得ています。感謝。
2015 8・1 165
* 晩、東工大の卒業生夫婦二た組と久しぶりに会った。四人にご馳走し、わたしはひたすら飲んでいた。まったく酔わなかった。九時半、四人をクラブから送り出し、ひとり席に戻り、少し静かに呑み足してから帰ってきた。行きも帰りにも電車で校正のはかがいった。
* 昨日京都の伊藤隆信さんからおいしい佃煮の類を頂いた。その前日には京都から電話を頂いた。いい読者はほんと身内だなと嬉しかった。
2015 8・3 165
* 酒の味は、こちらの健康体が前提ではあるが、まちがいなく美味い物は美味い。昨夜はアイスクリームのほかは、酒だけを口にし続けていた。シャンパン、竹鶴、シーバスリーガル。身に沁みて美味かった。拍てば響く客をまた呼びたいもの。
2015 8・4 165
* 大先輩 芹沢光治良さんのご息女玲子さんから、健康を祝して真夏のお見舞いを頂戴した。恐れ入ります。
芹沢さんは日本でよりも海外ではるかに声名の高かった優れて公明な平正な大きな作家で、日本人として最初にノーベル文学賞候補に挙がったほどの方だっ た。川端さんのあと、日本ペンクラブ会長も務められた。芹沢文学については二度三度書いたり講演したりした。いまの安保法案などをまぢかに見聞されていた ら、何と言われるだろう。
☆ 秦先生
いつもお心くばり ありがとうございます。
お元気になられて とても嬉しいです。 ひきつづきご自愛なさって下さいますようお願い申し上げます。
ささやかでが、パンかヨーグルトにお使い下さればありがたいです。 玲
* 一昨日クラブで談笑した夫妻からも「anneau」のゼリーを頂戴した。感謝。
奥さんは東工大卆、夫さんは、ミステリーの伏線づくりに日々苦心の推理作家。この若い人達には、贈り物の心配よりも、日本の現実へ向き合う姿勢や言葉が聴きたかった。
☆ 秦さん
先日は楽しいひとときをありがとうございました、どうしてもお礼をしたく、ゼリーでしたらお喉も通りやすいかと思い、お送りします。お涼みください。 涼
先日はありがとうございました。暑い日が続きますが、ご自愛下さい。 周
2015 8・5 165
* で、小説を書いていた。小説の校正もしていた。テレビもみないで、疲れたら居眠った。気が向くと、やたら辛い味を肴に、払底の日本酒の変わりにワインの栓を抜いては呑んだ。ビールは栓を開けると飲み干さねばならないが、ワインなら少し呑みがきく。
食の方は、ほとんど食らしい食へ気が動かない。食べれば、太る。太りたくない。しかし呑んでも太ると分かっている。いやはや夏は、こんなにも危険な季節になってしまった。
2015 8・7 165
* 不忍池、蓮の葉が溢れて、花も。昨日とはかなりちがい日照りではなかった、風もあった。実に久しぶりに池之端の中華料理に入ってみた。300mlの紹 興酒はいいが、料理は、ちまちまとした懐石中華で、最後も麺でも灼飯でもない白飯とはイカサナイ。ほとんど機嫌を損じてまだ日の高いうちに帰ってきた。食 い物はずれは、食が進まないだけにもとても残念。ま、電車で校正が進んだのだから、よしとする。
2015 8/8 165
☆ 地元のブドウお送りしました。
いつも大変お世話になっております。
毎日暑い日が続きますが、本物のブドウ糖を食して、元気になってください。
このアドレスでいいか不安ですが、まずはご連絡まで。 愛知知多郡 則
* とりどりに知多名産の葡萄をたくさん頂戴した。冷やしながら、戴く。食のはかどらない私に、季節の果物はとても有り難い。日によっては、三食、果物だ けで暮らしているようなこともある。選集も揃えていてくださる。「湖の本」三十年の上越すひさしいありがたい「いい読者」である。
* 都下の陸川さんからもお手紙に添えて千疋屋のいろんな果実を配した涼菓ゼリーをたっぷり頂戴した。とても食べやすい。美味しい。
2015 8/9 165
* ピンポン玉ほどの種のない美味い葡萄を五つ六つ戴き、チーズを少し、赤ワイン少し、で朝食。服薬九種。点眼二種。
2015 8/10 165
* 夕刻、妻と、歯医者へ通った。帰路、練馬で鮓を。しばらくぶりに日本酒を呑んだが、一合の酒を妻と分けて、酔いが早かった。疲れているのかも。黒松白鹿の純米吟醸、だった。帰宅して、大きな葡萄を五つほど。すっきりした。
今日から、ちかづく「選集八巻」送り出しの用意に。炎暑下、郵便局への本運び、えらい労働になるが。
* 芯から疲労しているな、これまであまり感じたことのない夏バテだと感じている。ガタッと潰れそうな心地。仕事に打ちこんで突貫したい。
2015 8/10 165
* 吉備の人「御前酒」二升嬉しく頂戴した。有難う存じます。盃をあげ、夏を乗り切ります。
* 御前酒の美味に陶然と酔っている。幸いに猛暑はやや和らいでいる。この気分で南畝や京伝の洒落本を読んでいると、現世の憂さをふと忘れる。忘れきってはならないが。 2015 8/12 165
* 歌誌「ヤママユ」の歌人、奈良県の喜多隆子さんからお手紙と奈良名産の茶・果を頂戴した。感謝。
2015 8/19 165
* 京の羽生教授からお手紙と亀屋の銘菓いただく。妻の従弟の濱敏夫くんからも、お洒落なプリンを。感謝。
2015 8/25 165
* 俳人の奥田杏牛さんから「久保田」碧壽一升 詩人の山中以都子さんからは「三千盛」純米大吟醸二升を頂戴。暫くぶりに日本酒が楽しめます、有り難う存じます。
2015 8/26 165
* 群馬のS君から電話で、銀座での個展に来てほしいと。体調の不安を言い、しんどいと断った。
「選集⑧」分の凸版支払い、九月秀山祭通し分の支払いなども急がねばならず、そういう事務は苦手でかつ慎重でなければならずいつも妻の同行を頼んでい る。頼みッ放しもならない、銀行窓口での本人証明がぜひ必要になる。で、昼前によろよろと保谷駅までバスをつかい、終えたアト近くの洋食店へはじめて入ってスープと 唐辛子のきいたパスタを食べてきた。妻は辛くないのをいろいろちゃんと食べていたが、わたしはなかなか腹におさまらず、ストレートのウイスキー少しがいち ばん美味かった。コーヒーも美味かった。
駅から、二十分がとても歩けず、タクシーで帰った。 2015 8/27 165
* 金澤の金田小夜子さん、この人が名付け親という音に名高い葡萄「ルビーロマン・プレミア」を一房頂戴した。恐れ入ります。
2015 8/28 165
* 岩手八幡平の伊藤幸子さんから、名酒「鷲の尾」一升、いただく。このところ三千盛、久保田の二升をご機嫌で飲み干した。もう一升三千盛のとっておきを今日から戴く。いつも、ほろ酔いとはめでたい。
2015 9/1 166
* 神戸の岡田昌也さんから、大粒の「大分かぼす」を大きな函いっぱい、頂戴した。何にでも絞ってかけよと。いきなり常食の卵納豆にかけた。食べやすくなった。感謝。素麺の出汁にも絞った、とても美味くなる。感謝。
* 吉備の人の有元さんから、種なしの葡萄「ニュー・ピオーネ・プレミア」を二函に八房も大きな荷で頂戴した。素晴らしい美味さ。有難う存じます。「ピオーネ」 という名をはじめて覚えたのは、やす香が病床に苦しんでいたとき。はるばる遠くからお見舞いに戴いて泣いたのを想い出す。
2015 9/2 166
* 今日も、せっせと、いろいろ仕事した。なにがどう纏まり仕上がって行くのか、まだわたしにも言いきれない。
なんだか、しきりに新幹線に乗りたい。ひかりだと、いきなり名古屋になってしまう。こだまで、小田原か熱海か新富士、せいぜい静岡へんまで乗って帰って きたい。熱海では温泉宿にはみな振られたが、ヤケクソでとびこんだ駅前魚屋の食堂で、新鮮な刺身や焼き物と一緒にそれは大きな伊勢海老をまるっぽ食べたの が、忘れられない。熱海というと貫一お宮や温泉よりも伊勢海老を先に思ってしまう。
静岡市内には生みの母方の遠縁が三軒あり、三軒とも訪ねたことがある。もう一度行ってみたい。
* 明後金曜には、しばらくぶりに歯医者へ。週が変われば、これもしばらくぶりに歌舞伎座の昼の部へ。帰りに、うまく時間があえば朝日にいた食の大通重金さんに紹介されたフレンチへ寄ってきたい。食欲がうまく湧いてくれればいいが。
2015 9/2 166
* 開新堂の山本社主からは、特製の「杏菓子」を頂戴した。紅茶が美味しくのめるだろう。感謝。感謝。
2015 9/4 166
* 娘のように思っている歯医者さんに、叱られた。入れ歯というのは、めったに外さない方がいいように勝手に決め込んでいたが、再々外しなさいと。あんまり永く外さないでいたから、また一本支え歯が落ちた。やれやれ情けない。今度は一月ほどオヒマを戴いた。
帰りに、妻も望んで、久しぶりに「リオン」でフレンチのディナー。赤い美味いワインデザートもたっぷり。佳いメニュだった。老人向きに料理も量もシェフ が按配してくれるので、ほどよく満腹。シェフが妻と同じに冠動脈にステントを挿れたり、不調だったりで一時期店が閉まっていて心配だったが、恢復いちじる しく、少しお祝い気分で食事してきた。よかった。
いい便りやいただき物。歯医者娘には叱られたけれどフレンチは上乗、すこし明日への活力ができました。むずかしい隘路へ踏み込んで行かねば。
2015 9/4 166
* 岐阜各務原の石井真知子さんから、美しい飛騨桃を16顆も頂戴した。よく熟れていて、美味い。贅沢に、いまは時季の果物を葡萄も桃も梨も、心ゆくまで戴いている。なんという豪奢。
2015 9/5 166
* 葡萄と桃と、日本酒三千盛を楽しんでいる。
2015 9/6 166
* 歌舞伎座秀山祭昼の部、「双蝶々曲輪日記」のめったにお目にかからない「新清水浮無瀬の場」で幕が開いた。まことにたわいない芝居で、さしもの梅玉も ひょいひょいと盆踊りでも踊るようなお手軽な芝居をしていた。魁春が出、芝雀が出ていて顔ぶれはいいが、ラチもない舞台に終始。
二番目は染五郎の更科姫じつは戸隠山の鬼女にからまれた八字ヒゲの余呉将軍、尾上松緑演じる平維茂。これはまあいつ見てもだれで見ても楽しめる所作事 で、前半に大勢の更科姫侍女や腰元達がいならぶのが華やか。ひときわ侍女の米吉も腰元のなかの中村しのぶが目立って美しかった。染五郎の更科姫は巧みに舞 い鬼女は凄かった。山神の役で出た高麗屋の金太郎君が、ああおおきくなったんだと感心する颯爽の所作を披露してくれた。あとで、お母さんの染五郎夫人に褒 めておいた。
三番目が、これまた珍しい、しかもかなりに見映えのする時代物「競(だてくらべ)伊勢物語」の第五、六幕で、これはもう作家秦 恒平好みの筋立て、いささか奔放に過ぎた脚色ながら、紀有常生誕一二百年の狂言だとは見栄が大きい。業平が慕った維喬親王が敵役をフラレていたりして珍な ものだが、役者のしどころは豊富で、菊之助が大奮闘、それに負けず東蔵がまた大熱演で、又五郎、染五郎も無難に役どころをおさえ、それらの上へ吉右衛門が ドッカーンと乗っかかる。大播磨屋にすればらくなはでなとくな役で、舞台を浮つかせずに重石に成り得ていた。
* ハネてのあとのお目当てにしたフレンチは、六時から。二時間半を銀座で費やす体力はわたしにも妻にも切れていたので、松屋の宮川本廛で鰻にビール。さ けを呑む元気がなかった。銀座から一本で七時前に帰宅、タクシーを待つ間かすかに雨。往きも帰りも車内で「有楽帖」の校正がはかどった。
2015 9/7 166
☆ 陶淵明 九日閑居より
酒は能く百慮を祛(はら)ひ 菊は解きて頽齢を廃す
如何ぞ 蓬廬の士 空しく時運の傾くを視るや
塵爵に虚罍(きょらい)を恥じ 寒華は徒らに自ら栄ゆ
* 今日も美味く呑んだ。おもえば、このところ四升の美酒を、日に二合半平均呑んでいた。そばで心配されなければ倍も呑んでいたかも。ただし呑んでいるだけではいない。
2015 9/9 166
* 処方薬を手に入れてから、だらだらと歩いて、松屋八階の「つな八」で天麩羅。これが少々ぞっとしない揚げようで、烏賊の硬いのにがっかりした。
天麩羅職人の腕前は烏賊の揚げようできまるというのがわたしの持論。コリコリの烏賊天にはガッカリして、酒もしっくり来なかった。わたしも存外に疲れていたのだろう。 2015 9/16 166
* 「華」さんから匠壽庵のそれぞれ小粒の佳い干菓子が二種類届いた。一つ一つをしっくり賞味できて気が利いた京菓子、妻が喜んで戴いた。さすが、京菓子。感謝。
* 湖南市の小田敬美さんからは、例年心入れの梅干しと梅酢とを頂戴した。子供の頃から梅干しも梅酢に漬かった紫蘇も大好きであった。梅酢だけを清水や湯でわったのも、なまじのジュースなどより美味しい。感謝。
2015 9/28 166
* 眼科の検査と診察、診察予約が十二時なのに十一時半に済んだ。なんにもなしの旧態依然で、点眼薬を三種類、いままでどおりタップリ処方された、だけ。愁訴する元気もなくて、例になく早い解放を、ま、歓迎して病院を出た。
* あとが良かった。ついに「シェ・モア」にかわるフレンチの佳い店に行き当たった。朝日の記者だった食の大通、重金さんに教えて貰った松屋裏の店。昼は どうかなと心配して地下へ降りてみたら歓迎された。シェフともこもごもおしゃべりを楽しめたし、何よりもワイン二種類の美味かったこと、そして前菜もとよ り、肉の美味かったこと、久しぶりにフィレの最良を堪能した。量も按配して貰ってきつくなく、パンもデザートも美味かった。広い店ではないがめずらかな佳 い繪も幾つも観られ、ほくほくと嬉しく帰ってきた。
十二月に二度ある自祝の日の一度は此処でしようかなと思ったりした。
* 昨日、建日子が薩摩のみやげに、焼酎ではない薩摩では珍しい純米の清酒をくれたのが、すっきりと美味いのも喜んでいる。
2015 9/29 166
* 各務原の都さんから、栗きんとんを戴く。感謝。
205 10/5 167
* 現状を冷静に見ていると、一種の栄養失調かも、と思ったりする。食欲が無く、朝などもビスケット一二枚と少量の蜂蜜や飲み物と大量の服薬やインスリン 注射で済ませている。食べると、腹が張ってしんどくなるので、つまみ食いの程度、量を極度に抑えたくなる。体重も増やしたくない。ワインを薬用のように口 にしている。ビールはもう冷たくなってきた。
2015 10/6 167
* 胸部レントゲン、心電図、エコー検査を受けてきた。さらに十一月には胸部CT検査を受ける。ただし、念のためと想われる。聖路加通いが際限なく続く。
* 帝劇モールの「きく川」で蒲焼き、菊正正一合を二本。それでも、往きも帰りも病院でも「親指のマリア」読み続けていた。
2015 10/6 167
*妻。聖路加へ。目も乾き仕事にもならず、ぼんやりと酒など近所へ買いに出かけ、どうしようもない、怠けザマ。このところ久しく、いえでのウイスキーとい うと名前買いして「富士山麓」。だいたい四日で飲み干している。最近は腸へ沁みるのをさけて、オンザロックにしているが、却って量がいきそう。
2015 10/7 167
* 吉田宗由さんから、お手製であろうか「ブルーベリー・ジャム」を四瓶も頂戴した。これがすばらしく美味しくて、眼にもきっと効用豊かであろうと、大喜びし ている。有難う存じます。それだけを口にしても、フランスパンにつけても、まことに美味しい。眼の弱りを気遣って頂いたかと感謝に堪えません。
2015 10/9 167
* 朝いちばんに、岡田昌也さんに丹波黒の枝豆を頂戴した。蛋白質でありわたしの栄養源にことに有り難いいただき物と妻は云い感謝している。たしかにいまのわたしはいくぶん栄養失調しているのかも知れない。
今朝は、きのう吉田宗由さんに頂いたブルーベリーで少しパンを食べ少し赤ワインを飲んだ。奇妙な夢ばかり見て熟睡に欠けている。
* 終日体調不良。どうこうと指さすように不調を指摘できないが、無力感。食べると、えずくように苦しい。液状のモノしか入らないような不快感にとらわれ、仕事へ気を注げない。
2015 10/10 167
* 朝いちばんに、「天狗舞」「手取川」という名だたる純米大吟醸の名酒を、珍しいお肴つきで、茅野の「珠」さんから頂戴した。お酒がきれていたときで、嬉しく、ほくほくしている。感謝、感謝。
2015 10/12 167
☆ ご丁寧にお葉書も頂戴し
恐縮しております。
メールにもクリックしてご連絡したいと思っていたのですが 繋がらず先生に喜んでいただけて嬉しく思っておりました。
大事な視力の低下のお話でしたので もう少し早めに(=ブルーベリージャム)お送りすれば良かったのですが お召し上がりいただいて ご感想も良かったようですね。
先生の体調も心配しています。
無理をなさらず お大事になさってくださいませ。
メールまでありがとうございました。 木鶏庵 宗由
* じつに美味しいお手製で、たくさん戴き、賞味ひとしお。ありがたいことです。
2015 10/14 167
* 幸い咳き込むことなく妻も感嘆し落涙していた。
わたしは、空腹なのに食欲なく、帝劇となりの地下で、やすい中華料理、というよりわたしは紹興酒と餃子だけで済ませてきた。妻は、またも酢豚定食。よほど酢豚が好き。 2015 10/15 167
☆ 秦 恒平様 御奥様
先頃はご立派な御本を頂いて有がたく頂戴いたしております。
京都女子大の同級生と八十才を記念して金澤へ参りました。
色々行きたいところはありますが やはり近江町市場と兼六園の方へゆく 元女子大生の私共でした。
心ばかりのもの(=森八の長生殿)を送らせて頂きました。
よい秋をお大切におすごし下さい。 京・今熊野 明 陶藝家
* 「長生殿」は金澤を代表する「森八」看板の名菓、すなわち「金澤」を代表する名菓。京菓子に匹敵する至醇の甘味。笑われるだろうが、お茶によろしく、実は酒にも気持ちよく合う。
何十年もむかしに女流陶藝展の審査をしたときに出会った受賞作家。夫君も陶藝家で、わたしと高校の同期生。清少納言が仕えた定子皇后陵の近くで生活感や 遊び心も横溢のやきものを焼いている。
2015 10/15 167
* 神戸の岡田昌也さんから美味しそうに熟した干し柿をいただく。感謝。
* 「歩き」半分と思い立って、妻と上野の都美そして日本橋三越での截金展へ。ところが、都の美術館に到着したところで、創画会展も新匠工芸会展も明日開会、三越のも明後日から開会とわかって、お手上げ。わたしのボケであった。がっくり疲れた。
仕方なく西洋美術館で常設展だけを観てきたが、館の都合で展示はつねの半量だったのに、それでも多すぎると思った。しかし選り抜きの近代前と近代との絵 画であり、新たな所蔵品もならんでいて、満足した。ドルチの「悲しみのマリア」もひときわ美しく、コローの風景やミロの抽象なども、或る女流画家の「自画 像」などいくつもの肖像画や聖画にも胸にひびくものがあった。八十の爺と婆とは無料で見せてくれた。謝々。
西洋美術館の外庭には「カレーの市民」「考える人」などが静かにゆっくり観られる。「地獄の門」も懐かしかった。
* もう移動の元気なく、久しぶりに精養軒のレストランで特別記念のメニュを、食べきれるかなあと二人とも危ぶみつつ頼んだ。赤のいいワインも。
前菜もスープも魚も美味かった。なんと、老人二人が八割がた食べた。仔牛肉、雉肉など三種類の肉のメインディッシュはすこし多かった。いくらか黒いマゴのおみやげにした。五種類ものデザートも、珈琲、紅茶も、しっかり賞味。満腹。
2015 10/20 167
☆ 選集第九巻落手いたしました。
秀作の宝庫 ー 大きな楽しみが待ち受けている幸せを感じています。
お召し上がりになれることを期待して鮒寿司をお届けします。 吉備の人
* 有難う存じます。すでに頂戴していまして、冷蔵庫で発見し、声をあげました。
2015 10/21 167
* 京の「華」さん、気の利いた半兵衛麩や小粒の京菓子を送ってきて呉れた。ありがとう。
* 義妹から、クッキー一缶を添えて、この冬のために舶来の柔らかい襟巻きを貰った。これでこの寒い冬を夫婦して温かく越せる。ありがとう。
2015 10/24 167
* 仙台の遠藤恵子さんから、まこと多彩に美しいとりどりの「里の秋」蒲鉾を二重の折で戴いた。絶好の酒の友、そして蛋白質が摂れる。感謝、感謝。
京都の横田香世さんから京の麩出汁、神戸の信太周さんから、稲庭饂飩を頂戴。有り難く。
* 昼食、うまく食べ物が腹へとおらず、吃逆、はげしく嘔吐く。だいたい毎度のこと、で、食事そのものへ気がすすまない。
2015 10/25 167
☆ 秋田の刈穂
hatakさん
先週から出張に出ておりまして、つくば、世田谷を回り、今は秋田へ来ています。
日曜に、秋田新幹線の車窓から広がる刈り取りを大きいように感じられます大きい終えた田圃を眺めていて、ふと「秋の田の・・・」の歌を想い出しました。 秋田に到着し街を歩いていると、つい今しがたの歌にあった「刈穂」という蔵元の大吟醸が目にとまりました。これはhatakさんに、と早速一本お送りしま した。
今年の札幌は、残暑もなく、あっという間に初雪が降りました。
明日の夜札幌に戻ります。 maokat
* 秋の田の刈穂し抱きて大空の青を仰げば生きざらめやも 湖
名酒「刈穂」をありがたく戴きました。
2015 10/27 167
* 各務原の山中さんから、名酒「三千盛」二升、頂戴した。
みちみちて盛りの秋を吹く風の夕べしづかに心たらへり 遠
2015 10/27 167
* 今夜は大の気に入りの「NCIS」を楽しみながら、京都の羽生教授に戴いたとびきりの京菓子で、美味しい茶もしみじみ楽しんだ。
* もう十月も行ってしまう。
2015 10/29 167
* 国立能楽堂に入ったとき、少年友枝大風の能「経正」の中途だった。姿はよかった。いいシテに成るだろう。
野村萬の狂言「磁石」、喜劇として笑えるものではないが、萬の狂言顔が見られるだけで、ケッコウであった。彼ひとりの姿態だけで狂言になっている。
視野のいい席をもらえていた。
能「砧」の昭世は、前シテをまこと稀有にあたりまえの女に演じてドキドキさせ、後シテは怨みの女を徹して演じながら一転、法に救われて立ち直り、端倪すべからざる痛烈な幽霊を見せた。さすが。
馬場あき子と掌を握りあって、互いに「懐かしい」おもいを 分かちあいつつ、労られ労られ別れてきた。なんだかもう私が死人のように見えていたようで あった。昔を知った人がいなくなるばかりで。懐かしい、と。たしかに、そう。思い出せる限りの顔、顔が、能楽堂にいない。「ああ、来てくれてたのねえ」と いう馬場あき子の寂しさがわかった。
「鵺」は失礼してきた。能楽堂の外へ出ると、もう、一歩一歩をゆっくりゆっくり踏みしめて歩くしかなかった。思えば、朝、トーストの僅かなカケラを口に しただけでも夕方五時過ぎまで何一つ食べてなかった。空腹感は覚えたが食欲はまったく無く、咳き込まないよう飴を一粒と水を一口。それだけて帰ってきた。
* 卵の出汁巻きを少し食べ、特醸の三千盛を二三杯あおって機械の前へきたもののそのまま寝入っていた。
2015 11/1 168
*上野駅入谷口の奥の「上野ストアハウス」で「遊戯空間」公演(構成・演出・美術 篠本賢一)の、近松原作「心中天網島」へ招かれ、妻と観てきた。最前列の真ん中に席をもらっていて視力の弱さを嘆かずに済んだ。ご招待は主役小春を演じた早野ゆかりさん。
なまなましく、みずみずしく、舞台の佳い「シンボル」として、不要無用に動いて熱演負けしないで、美しく強く濃く「存在」していた。そのおかげで、他の人物達は声高に、烈しく、動き回っても、舞台に小春という求心力が在りえた。
間をずらして時と場面を繋いだり説明を省いたり、篠本の構成演出美術の、簡明に力ある成功だった。いい舞台に出逢ったと、二人とも喜んで来た。
治兵衛クンの奇妙な科白訛りが、浪速言葉と思うとあまりにちぐはぐなのだが、それさえ舞台の魔法のように、滑稽そのものが神妙に真実だった。
妻は大阪育ち、わたしは京ことば。そんな自前に固執していたら、舞台に生きた妙機が味わえない。
贔屓の引き倒しでなく、進行に伴い徐々に存在感と動感を発揮しだした治兵衛クンの根気が、ものを言っていた。
原作をほぼまったく端折らず、「橋づくし」まで聴かせてくれた、嬉しい懐かしい入れ込みだった。
篠本は、あの懐かしい亡き観世栄夫さんの弟子だったとか、能にも親しんできたという。
ああ、ひょっとして観世夫人恵美子さんとも久しぶりに劇場で逢えたのかもしれないと、胸を騒がせた。
もとより、もっともっと工夫の仕様もあるのだろう、再演も期待したい。
* ひとこと早野さんにお礼も言って帰りたかったが、ま、成り行きで劇場の外へ出てしまったので、そのまま入谷を歩き、上野駅を迂回し、上野末広亭に立ち 止まったが夜席に間があり、すこし先の辻の「天壽づ」へ数年ぶりに入って、久々にうまい天麩羅を揚げてもらった。酒もビールもうまかった。
先日の精養軒の帰りは広小路からタクシーで池袋へ走ったが、今日は文明堂の前から都庁駅乗り換え練馬まで環状線に乗った。これが失敗で、揺れる地下鉄に 疲れ、練馬駅で両肩頸の激痛にへたばってしまった。死ぬときはこんなにキツイのかなと思った。立ち上がれず、人にも助けられてホームの休憩室で妻の心臓の 薬をわけてもらい、どれほどの時間か永休みして、かつがつ保谷駅へ帰れた。幸い、タクシーがすぐ来てくれ、家へ戻ったときには、ほぼ回復していた。昨日の 能「砧」 今日は能めく歌舞伎の新劇人による「心中天網島」。かなりの重さだったということ。こういうこと、独りで出ていても、軽度でも、ときどき有る。
2015 11/2 168
* 折良くというも癪だが、欠けて落ちた歯をもって、歯医者に行く。入れ歯を外していると、ほとんど上下の歯で噛めるところが無い。このままだと流動食以外食べられなくなるが。ま、何とかしてくれるだろう。
* 何とかしてくれたのだろう、何とか、ま、落ち着けてもらった。
帰路、フレンチの「リヨン」へ寄って半量のコースで大満足。サーモンの前菜がとろけるほどバカに美味く、ブイヤベースの海老一尾がまた美味かった。南ア フリカの赤ワインも一休の美味さで、なんとわたしよりも妻の方がうまそうによく飲んだ。メインの肉で満腹、妻は二きれほど黒いマゴへのお土産に。わたしは デザート十種から二品選んで、たっぷりのコーヒーに満たされた。妻はいつも紅茶。「リヨン」から江古田駅まではゆっくりゆっくり歩いて十分ほどの腹ごな し。あわてず急がず江古田から座れそうな電車を待って乗ってきた。席を譲ってくれる人が西武線には必ずといえるほど、いる。ありがたいこと。
歯医者へは、今度は十二月。
2015 11/6 168
* 各務原の石井さん手配の「鮎や」の鮎が届いた。一尾のなにもかもが柔らかに美味しく戴けるという。この二十日ほどで、四升の佳い日本酒を飲み干したばかり、この鮎はとっておきのワインでご馳走になろう、湖の本がみなお手元に届く頃に、楽しみに。
2015 11/10 168
* 十時半、帰る。「鮎や」の鮎甘露煮すこぶるワインに合って美味い。疲れぬける。 2015 11/11 168
* 今日の作業は、単純に本を封筒に入れるだけで済まず、昨日の半分にも足らぬ分に時間を掛けた。夕食後、近くへ酒を買いに行き、鮎の甘露煮を賞味。気分良く、あと、一時間余り機械の前で居眠り。夜も、つづく作業へ。
京都の従妹から、本が届いたとメールが来ていた。花小金井からも。 2015 11/12 168
* 聖路加へ、胸(冠状血管)のCT検査受けに。十一時に循環内科へ入り、投薬され点滴されてから放射線科へ行き、CTスキャン。結果による診察は十二月一日午後に。
* 歌舞伎座へ寄り、来年干支の愛らしいお猿を地下の売店村で買った。
* ゆらゆら歩いて、三笠会館中二階のイタリアンに寄り、「スペシャルメニュー」でキールロワイヤル二杯とイタリアビール一本を飲んだ。キールとデザート が美味かった。折角黒毛和牛の調理にいまいちの親切が不足と感じた。前菜の青菜や根菜も、野菜のスープも、苦手。酒を賞味しつつ、校正ゲラをしっかり、た くさん読んだ。
酔いは残っていたが、丸ノ内線でも西武線でも座れて、その間ずっと校正していた。校正しているとからだもシャンとしてくる。保谷駅からはいつものように車をつかった。六時ちょうど頃の帰宅だった。
2015 11/16 168
* 下関の大庭緑さんから、すこぶる美味い雲丹二瓶を頂戴した。いながらにご馳走にあずかり、恐縮かつ感謝に堪えません。
2015 11/25 168
* 朝いちばんに、京都の「華」さんの鶴屋「柚餅・栗羊羹」を戴いた。大の好物、とても嬉しい。連続朝のドラマを一週間分連続で楽しみながら美味い茶で柚餅をご馳走になった。ありがとう。
2015 11/28 168
* 文化出版局におられた中野完二さんから、初物のめずらしい「大吟醸」を送って戴いた。切り目の選集第十巻を無事に送り終えたとき、妻と、久しい歳月を祝って頂戴しよう。ありがとうございました。
* 師走をまえに、陰気に寒い北風を送りつけてくる困った人たちが、多い。
あたたかな、ほがらかな、余裕のユーモアで、師走を闊歩したいものだ。
2015 11/29 168
* 帰りにまた三笠会館で今度こそぱスタをと思いながら、出て来たのはパスタには違いないが猫の耳のような不味いもので閉口した。キールロワイヤルだけが美味かった。
往きも帰りも、三笠会館でもしっかり校正をしてきた。
2015 12/1 169
* 元朝日新聞の伊藤壮さんから「越の寒梅」無垢(純米)と吟醸との二升を戴き、中高同窓の旧友西村明男君から両口屋是清の銘菓をたくさんもらい、中学の後輩で黄綬褒章の東野美智子さんからは烏骨鶏のカステラをもらった。賑わわしく感謝しています。
2015 12/1 169
* 井口哲郎さん、豪快な自然薯というか山芋というか、送ってきて下さった。
京の染織作家渋谷和子さん、お手紙と、瀟洒な作の手巾を下さる。やはり染織作家の橋田有子さん、京の好きな縮緬山椒を送って下さった。
2015 12/3 169
* 中学高校の同窓、横井千恵子さん、いつものように京の酢茎、千枚漬けをたっぷり送ってきてくれた。お店の「樅」はやれているのかなあ、若い人にまかせ ているのかなあ。「お父さん、繪を描いてください」を校正しはじめたとっぱな、音楽室清掃当番を男どもは怠けて、「邪魔や邪魔や、はよ帰りよし」とモップ で尻を叩かれている。あの横井さんも、今、やっぱり、わたしと同い歳か…。ひばりの歌がとびきり上手で、プロの歌手が真似てもとてもああは唱えない。祇園 の子ら。なつかしい。
2015 12/4 169
* 香川の大成繁さん、お手紙を添えて讃岐うどんを二人前八食分も送ってきて下さった。早速戴く。お手紙には、私の著書を勢揃い然と並べた色写真、恐縮し感謝。
2015 12/5 169
* 京・山科の詩人あきとし・じゅんさん、鶴屋の柚餅と羊羹とを下さった。図書館学の馬場俊明教授であったころからのお付き合いである。図書館への売り物書きからのヘンな攻勢、また奇妙に商売本位の図書館営業など、わたしは昔から疑問に感じている。きちっとした図書館認識が文化的にも行政的にもより堅固に確立してほしい。
2015 12/5 169
* 名酒「越乃寒梅」の一本目を、山葵漬、鮭のほぐし、烏賊素麺、黒豆などで、しみじみと五合ちかくも飲んだ。新年の手術の日まで、バイアスピリンという お酒はいけませんよという薬を毎日用いているのだが、ま、一合までならと医者は言い、なら二合までは良かろうと勝手にきめているが、今日は「英気」を養う という勝手な都合を付け、楽しんでいる。
2015 12/7 169
* 歯医者の帰り、ひさびさに「中華家族」で、マオタイをダヴル二杯、美味く。帰ってすら関うにの絶品を嘗めながら無垢の越乃寒梅を。あと、機械の前で気持ちよくうたた寝していた、なんともう十時近い。
2015 12/11 169
☆ 有難うございました。
十四日 選集第十巻届きました。今年は続けて沢山読まして頂きました、色々と学びました。
親指のマリアは京都新聞の連載時に続けて読めず、退職後に買ってゆっくり読みました。が、又、楽しみに読まして頂きます。新しい発見が有るかも。
夏過ぎて 今年は京都に来られるかと思っていましたが、残念でした!
何必館の魯山人展行って来ました、焼き物に引き付けられる様で、楽しんで帰りました、以前にも見たような物も有りました。
年明けて、入院の由、心配ですが、大丈夫と念じています。
無理をせず、お揃いで良き年をお迎え下さい。 京・北日吉 華
* 我衣に伏見の桃の滴せよ 芭蕉
名酒「桃の滴」一升を添えて祝って頂いた。感謝。
2015 12/15 169
* 真岡市の故渡辺通枝さん(随筆家・ペン会員)の子息より、おうと声の出た大きなみごとな苺が二パック贈られてきた。感謝。 練馬の持田晴美さんから妻が、シクラメンの大きな鉢植えを戴いていた。
2015 12/16 169
* 讃岐の織田衛さんから讃岐蜜柑をどっさり、川崎の異母妹のひろ子からはんなりとチョコレート、京の星野画廊から毎年の田丸屋美味い京煎餅、村上開新堂 社長からはお手紙も添って伝統のみごとなクッキー詰め、加古川の市川澄子さんから珍しい盛り合わせのご馳走を、神戸の信太周さんから稲庭饂飩、茅野市の松 下圭介君から美しいガラス工藝のカレンダーを戴いた。
2015 12/18 169
* 各務原の詩人が、美酒「三千盛」を下さると、お知らせが来た。誕生日の前日に届くと。恐れ入ります、感謝。
四国の木村年孝さんからも四国の目を見張る紅い大きな蜜柑をたくさん頂戴した。有難う存じます。
2015 12/18 169
* 姫路夢前の陶藝家原田隆子さんからマツバガニ三杯を頂戴した。子供の頃、蟹や海老は噂にだけ聞くご馳走だった。まず、見たこともなかった。
もう何十年になるだろう、京都岡崎での女流陶芸展の審査員を頼まれた。その折りに知り合った備前の川井明子さん、京都の松井明子さん、東久留米の可部美智子さん、それに原田さん、みな大きい賞を受けられた優れた匠で、まこと久しい知友である。
2015 12/20 169
* 清流社で「京都、上げたり下げたり」を美しく製作して下さった佐藤宏子さんから、ふぐをはじめ故郷山陰の一夜干しをどっさり八十のお祝いに頂戴した。
大阪の河野能子さんに戴いた亀屋良永の大の好物「お池煎餅」を口にふくみながら、雄町米で吟醸した美味いお酒を戴いている。
2015 12/20 169
* 讃岐の岡部洋子さんから、京湯葉をいろいろに送って戴いた。感謝。
2015 12/23 169
* 晩遅く、ユーパックで、松田章一さん、金澤名菓「柴舟」を、四国の大成繁さん、讃岐名物の煮豆いろいろを送って下さる。恐れ入ります。
2015 12/23 169
* 六時前の築地から銀座へ歩いて、わたしは二十一日のかわりに妻とご馳走を大いに楽しんでかえりたかったのだが、どこもクリスマス景気、二人とも草臥れ て銀座一丁目から一路保谷行きで帰ってきた。保谷で、近くの洋食屋へ寄ったが、妻は美味しいと言い、わたしは口に余り合わずに、駅でショートケーキだけ 買ってタクシーで帰宅。往きと帰りの電車で、「湖の本」128を責了の直前まで読み込んできたのは、収穫。 2015 12/25 169
* 能の梅若万三郎家より洋菓子を戴く。
2015 12/28 169
* 朝いちばんに桐生の住吉一江さんから例年のように下仁田の美味しい葱をどっさり頂戴した。
近年は簡明に簡素な煮〆だけ煮て、どこかのお節料理を妻は買っている。暮れは暮れ、正月へは揃ってわたしらの方から参る。迎える新年でなくわたしらが出向いて行く新年なのだ、土産はないが、と感じている。
2015 12/31 169
* 珠さん、ご馳走付きの生蕎麦をたっぷりと送ってきて下さった、選集へのご支援も添えて。感謝します。
2015 12/31 169