ぜんぶ秦恒平文学の話

食べて飲んで 2018年

* 三時半 妻の定期の受診。会計して処方薬が出て、五時半もすぎよう。帰路は細く寒く暗い。出迎えに行くことになる。温かくして出かける。かぜ気味は、おさまらないが。
病院では校正という仕事が捗る、これが利点。今日も、いいキリまで読めた。
二人で、わたしは自転車を牽いて、帰ってきた。
妻の主治医の父上がわたしより四五歳上で全く同じく、同じ頃に胃全摘されたという。そして食事等へのいわば容態もそっくりだと。
今晩は、わたしの註文で、肉の残りを使ってカレーにしてもらい、炊いたご飯で食べたのが、予期以上に食べられた。マシな食事ができた。カレーという肉の 味が、すき焼き風にはげんなりしていたのに、打って変わった。白い米の飯は食べにくいのに、カレールーにまぶされて、口の中でのパサパサ、パラパラ感がな くて、喉へ柔らかに流れてくれたのが成功した。
2018 1/9 194

 

* 佳いマスターだった千葉さんが昨夏にわかに亡くなって寂しかった茜屋珈琲店、人が変わってそのまま開業していた。美味いコーヒーを楽しんだ。
2018 1/11 194

* 夜開幕、芝翫と愛之助の「相撲場」はまだサマにならず、大喜利の所作事、雀右、鴈治、又五の「三人形」にはすこし心を残したが思い切って、幸四郎夫人 に弁慶・義経を祝う声を掛けておいて、これまた久々に帝国ホテルのクラブへ走り、ゆーっくり、妻は遅めの夜食とおしゃべりを楽しみ、わたしはとっときのブ ランデーが嬉しかった。
車を使う必要もなく、地下鉄と西武線とで、ネコ。ノコ。黒いマゴたちに留守を頼んでおいた我が家へ。真実、ほっこりした。高麗屋おみやげの鶴屋吉信の京菓子が美味かった。
2018 1/11 194

* 今日は、歯医者へ。

* 帰り、新江古田のフレンチ「リオン」の開店前へ入れて貰い、美味い夕食と、ワイン・デザート。前菜もスープも、鴨肉も牛のヒレ肉も、上乗。コーヒーも たっぷり。もうこの店とも久しくて、シェフともすっかり親しい。店と親しければ親しいほど料理は旨くなる。ペンクラブなどへすっかり出なくなったので店は 少なくなったが、今でもあちこちに心やすい店がある。寛いで、飲み食いできるのが有り難く、そういう店へは妻と行くか、独りで行く。
2018 1/15 194

* とっときの名酒「赤磐雄町」の最高級一升瓶にとうとう手をつけた、栓を抜いた。なんと…美味い。吉備の人ご夫妻の平安をこころより願いながら酒器をえらんで半合ほども味わった。
2018 1/22 194

* 各務原市の山中以都子さん、清酒「三千盛」をたくさん、京都下鴨の澤田文子さん曽我蕭白画「牧童群牛図屏風」のハガキにお手紙を添えて、珍味をいろいろ送って下さった、有り難いことです。
2018 1/27 194

* 笠間書院編集長の橋本孝さん、特上のうまみ満喫の蜂巣蜂蜜に軽菓かりんとうを添えて下さる。
金澤の作家金田小夜子さんは、名酒「能登誉」二升を下さる。
2018 1/28 194

* 食は進まず、晩も、シュウマイ二個と小鉢の煮キャベツだけで終える。
2018 1/28 194

* 写真家、東村山の近藤總さん、清酒「金婚」一升下さる。
指折り数えれば、わたしたちの「金婚」からもう九年も経っている。ふーん。有り難いと思う。
2018 1/30 194

* 鎌倉の橋本静一・美代子さんご夫妻、銀座千疋屋の見事な涼菓(DELUXE JELLY)を六つも下さる。感謝。
2018 1/31 194

* 湘南の永田澄雄さん 洋酒シーバス・リーガルとオールド・パーの二箱を下さる。感謝します。

* 藤森佐貴子さん、夫婦でと名酒「元文」を二種二本送って下さった。恐縮です。
2018 2/2 195

* 故・東大法学部長福田歓一氏夫人から、故・阪大名誉教授島津忠夫さんのお嬢さん藤森佐貴子さんから、「湖の本」へお手紙いただき、藤森さんからはめずらかなチョコレート二箱も頂戴した。
妻からもバレンタイン・デーとかで佳いチョコレートをもらった。近藤聡さんにいただいていた美味い澱酒の肴にチョコが合うのに驚いたが、酔ってもしまった。
2018 2/14 195

 

* 高麗屋の番頭さんらにもお祝いと感謝の声を掛け、歌舞伎座を出た。寒くなく、すぐ、くるまで日比谷のクラブへ。歓迎され、チョコレートをもらい、「な だ萬」の弁当をとって。美味い、洋酒。いつもの美味いアイスクリームで締めて、疲れもなく元気に帰宅。どの電車でも座席を譲られ、感謝感謝。
2018 2/15 195

* 金澤の劇作家松田章一さんから「続左葉子通信」お手紙と金澤名菓の「金つば」一箱を頂戴した。金澤の菓子は京都とならんで味も姿も美味しい。松田サン トはほぼ同世代、金沢大附属高校で講演させてもらったり、街をご案内いただいて、その時、桶谷秀昭さんと出会ったりした。遠い昔語りだが、通信ではお元気 そうな。何よりです。
2018 2/17 195

* 中目黒を離れてくる時分、二人とも空腹で体力を消耗しかけ、池袋で下車しめざした「伊勢定」への足どりは二人ともよろけていた。残念ながら、めざした食事もわたしは美味しくなかった。
寒風に吹かれタクシーを待って帰宅したのが四時頃か、わたしはそのまま二時間余も寝入ってしまった。
八時になる、晩飯への食欲もないが、食べないわけに行くまい。
2018 2/18 195

* 血液などの検査結果は至極上出来で心配すべき所見は無いと。やはり歩いて下さいと。たしかに脚は弱っていて、歩いている内に脹ら脛が痛んできたり固く なってきたり。ま、いいやと、吐き捨てるように歩いていた。薬局で処方薬を受け取ったら五時過ぎ、で、電車で有楽町へ。プリンタ用の予備のインクを三つ 買った。いわば朝も昼も食べていないので、日比谷の「なだ万」でけっこうな和食を摂り、あと、五階のクラブへあがって、もう少し今度は洋酒をいつもよりは 少し。コーヒーとうまいアイスクリームとで休息のあと、独りで帰る途中酒にゆらついて怪我したり頭痛がしてはいけないと、日比谷から保谷の家の前まで車に 乗った。
まあまあの午後半日であった。
2018 2/26 195

* 仙台の遠藤恵子さんから昨日はわたしに美しい蒲鉾を二重詰めで頂戴し、今日は妻の快気祝いにとたまげるほど綺麗に大粒の苺をたくさん戴いた。感謝。
2018 2/28 195

* 心持ち寒く町並みに風もあったが、外苑前で遠用と近用との眼鏡受け取り、妻と、ぶらりぶらり神宮前の「南国酒家」まで歩いて、瓶出しの紹興酒で軽食と謂うにはやや品数のある中華料理をゆっくり食してきた。
間隔を置いては何度も来ているなじみの店で、ボックス席に案内されると寛げる。久しぶりの瓶出しが美味く、二合も呑んだか知れない。
副都心線の神宮前駅から西武線へ直通の電車で、二人とも二、三人から親切に席を譲ってもらえて、ラクに帰って来れた。
2018 3/7 196

* このあと、六時、二階から降りていって、心底 胸打たれ仰天もしたのが、NHKり「究極の鮨」という番組で。銀座「きよ田」ほかの店で、真に日本一、世界一の鮨・職人と称えられた藤本(繁蔵?)の、多彩に美しい映像に出会ったのだ。
藤本は鮨店を所有し経営していた人でなく、何軒もの鮨店の「親方」を経ていって、最期、一九六二年か三年ころの「きよ田」で引退、徹底的に学んだ弟子た ちがそれぞれ二代目三代目を嗣いだ。わたしは、そういう名人藤本はまったく知らなかったが、銀座の鮨「きよ田」の二代目はよく知っていた。ごく親しかった とすら思っている。
妻ともよく行った。朝日子も、大卒の祝いに連れて行ったことがある。
二代目親方の鮨は、(藤本にみっちり仕込まれてであろう)完璧に美しくて美味かった。広い店ではなかったが、美意識の尖鋭であった藤本仕立ての清明かつ 優美なこしらえで、親方と向きあうだけで心洗われ、しかも和やかに落ち着ける佳い店だった。暖簾を分ければ「オ、はたせんせッ」といつも歓迎してくれた。
実のところ、ま、わたし如き若輩がのれんを分けて入れる店では、おそらく、なかっただろう、相客の多くが文壇の、そばへも寄りにくい大先達がたであっ た。ま、わたしはそういう事には斟酌の足りない方の無法者ではあったけれど、わたしを最初に「きよ田」へつれて行って呉れたのは、中国へ一緒に旅して帰国 後間もない時分の、辻邦生さんで、辻さんは、この親方はネ、一度でも此処へみえたお客の名は決して忘れないんだよと紹介してくれた。
その通りだった。なにか大寄せの会合のあと、当時の小学館会長が「秦さん、行きましょう」と誘ってくれた「きよ田」で、まちがいなく二代目「きよ田」の親方は「はた・せんせッ」と、ニコニコ迎えてくれた。
以来、妻と行こうが娘を連れようが、渋い顔など決してせず、いつも「おまかせ」で最良の鮨を握って出してくれた。藤田が創始の「おまかせ」という任せようは彼の手がけたどの店でも「当たり前」であった。お安くは、全然、なかった。
そうそう、その日のニュースで評判だった素晴らしいマグロを「きよ田」が入札していたという晩景であった、たまたまわたしは独りで店に入り、それと聴い てすぐ頼んで握って貰った。二カン、まさしく頬もとろけそうだったそのマグロは、一カンにつき、あれでもサービスしてくれたろうと思うが二万円ずつ支払っ てきた。不思議なもので、「うまい」と思ったが、「高い」とは思わなかった。わたしは、出来るときは「出来る贅沢も大事」なんだと、今でも、いつも想って いる。とにかくも、銀座で鮨をというのは、「高い」が決まり文句の、むかしは「極上の鮨」最盛期ではあった。
「きよ田」の二代目親方は、わたし如きかけ出し文士の動静も新聞などでよく見知っていて、東京新聞の筆洗欄はよく「ハタせんせの噂」をしますねなどと ちゃんと知っていた。女優の沢口靖子が好きだと何かで知ったらしく、この親方、あっというまにどこかへ掛け合って、今日只今でも我が家の二階や玄関でいと もにこやかな沢口靖子署名入りの綺麗な写真や、大きなポスターなどを手に入れてわが家へ送ってきてくれた。そういうことの「何でもなく」出来る「きよ田」 なんだと妻もわたしもビックリした。
からだを崩され、引退されてしまったときは、シンから寂しかった。じつは、以来、銀座で鮨は食べないと決めてしまってきた。
番組の映像では、その「きよ田」の今や三代目が、同じ店を同じ場所(でらしく)出していると知った。食い入るように一時間半の番組を妻と見ていて、懐かしさに堪えなかった。
わたしの東京暮らしの、今となってはすこし「ほろ苦いような甘いような」おはなしである。あの店で席を並べた先生や先輩らのほとんどだれ一人もいま存命でないとは、嗚呼。

* 「きよ田」と限らず、気に入って通った佳い食事の店が、店を閉めて行くのに何度も出会ってきた。あれは、寂しい。銀座のビヤホール「ピルゼン」 フレ ンチの「シェモア」 西銀座の鮨「こつるぎ」 赤坂見附のシチュー「ケテル」 新宿の河豚「田川」 池袋パルコの天麩羅の店も無くなった。
が、さて。現在只今これだけ美味食味を書いていても、すこしも食欲が湧かず、往時を想うばかりとは、なんだか命綱も心細いかとガッカリする。いかん、いかん。

* それにしても、この「究極の鮨」映像も、建日子と一緒に観たかった。「いい仕事」とは何か。どんなにいいものか。それが、しみじみと、分かるのだ。
2018 3/10 196

* 妻の歯医者へ、帰りにマオタイが飲みたいだけで同行し、わたしは治療を辞退して、中華家族へ寄ってきた。ダブルで二杯ほどの大きなグラスに満々と出て 来た。マオタイを飲ませてくれる店はめったに無い。美味かった。帰りの電車、江古田から保谷まで、よく寝た。好天。気持ちよかった。それでも疲労はした。
2018 3/12 196

* 清酒「能登誉」と「粒雲丹」とで、結婚届五十九年の乾杯。
2018 3/14 196

* 俳人奥田杏牛さんから、名酒「久保田」万壽を頂戴した。恐縮。
2018 3/20 196

* 美味い食事を美味いと思いながら喰いたいが、からだが拒んでいるようにそれが出来ない。困ったもの。十時四十分、今日もまだ十時間ほどしか生きていない。寝はしなかったが二度床に脚を入れた姿勢で沢山読んでいた。
2018 3/26 196

* 診察は予約定時には終えており処方箋を満たして、正午。聖路加病院の界隈は花満開、隅田川辺へも出て明るい日射しに咲き匂う櫻を眺めたまでは良かった が、あとは、ゆらゆらと銀座まで歩いて、ところが三軒の店がみな先客で生憎く。松屋の八階食堂までも上がったが気が進まぬまま西銀座をよろよろと三笠会館 まで歩いた。「榛名」のフレンチに腰を据えた、が。体調も食欲もととのわず、店を出たときは極端に疲労、辛うじて丸ノ内線で池袋へは着いたが、雑沓の中で 路上に腰を落とし、ニトロを口に入れ水分を多めにとったものの、西武線に乗るまでがやっとのことだった。保谷でも停まる準急に辛うじて席を見つけたが、保 谷まで昏睡に近く、タクシー乗り場でも坐り込んだ。幸い早めに車に乗れたが、道順を云い損じてすこし遠回りで家の前へ。小銭も札もなかなか見つからず、案 じたらしい妻が迎えに出て来たほど。
床について、かろうじて秋成の「貧福論」だけは読み終えたまま寝入っていたのが、烈しい咳とともに「い辛い」極みの胆汁様の粘液、はては血痰を吐き続けた。
この「て辛い」胆汁様のきつい吐き気は以前から散発していたが、今日の衝撃は夢どころすバネに弾かれたように跳び起き、手洗いへ駆け込むしかなかった。 吐き出す咳と辛い液としまいには薄色の血痰と。参った。いつものように、水分を十分補給しておいて「龍角散」を喉もとへ入れた。
2018 3/28 196

* 京・有栖川の桐山恵美子さんから、京の筍を、若布などと美味しく戴けるよう いろいろ親切に按配調理されたご馳走を、ほんとうに久しぶり 食事らしい 嬉しさで食した。妻の添えてくれた蛤汁もすこぶる美味、煮物でも筍飯でも筍が香りよく旨かった。筍は京都やナアと この香りやナアと懐かしかった。
2018 4/1 197

* ほっこり、お酒を戴いている。
2018 4/3 197

☆ 江古田のスタンドバーでよく出会う、ハットがお似合い、社長さんらしき青山勝俊さん、お心入れのご馳走を下さった。恐縮です。 「VIVO」と謂うたかな、その小さいバーの、わたしたち夫婦は時どき飛び入り、飛び抜けて年寄りの客。わたしは此店では専ら極く冷えのウオトカをダブル で二杯飲んで帰る。この近くの「中華家族」という店では、わたし専用のようにおいてもらってある「マオタイ」をやはり二杯飲んで帰る。こんな強いお酒は、 誰も…と呆れながらママさんは取り寄せておいてくれる。
2018 4/4 197

* 昼食。ほんのわずかなお酒で、潰れるように昼寝した。寝れば確実に眼はやすまる。疲れも退く。しかし時は喪う。

* 船橋市の胡子文子さん、土佐文旦とデコポンを、大きな一函、送って下さった。胸焼けのきついわたしに、美味しい柑橘類は嬉しい。
2018 4/6 197

* 三島賞作家の久間十義さん、北海道の蟹二杯も送ってきた下さった。すこぶる美味、感謝感謝。
兵庫県、妻の同窓市川澄子さんからも手製の「いかなご」煮、また好きな塩昆布を送って下さった、ありがとう存じます。
2018 4/7 197

* いい酒が少しはいると、ぐっすり寝入る。日のある間に何度も寝ると、夜中には目が覚めやすいが、あきらかに昼寝で からだは暫時でも、ラクになる。
2018 4/7 197

☆ (前略)
九十二歳になる母が調子をくずしており、北海道に行っておりました。
帰る折、空港で美味しそうなカニがあったのでお送りいたしました。
どうぞご賞味ください・敬具    久間十義  三島賞作家

* 嘆賞の声がもれるほど美味しい蟹をたっぷりご馳走になりました。大好き。ありがとうございました。
2018 4/9 197

* 松葉の鰊蕎麦を賞味、懐かしい美味。少し酒も。有元さんに戴いた「亀齢」がじつに美味い。山田錦を三十数パーセントに削っての純米酒。豪勢な、といえる美味。
食後、卓のまえで熟睡。
2018 4/12 197

* 昔から酒茶論がある。春か秋かほどは昔でないにしても。酒は古いがお神酒でこそあれ、民衆が早くから酒に酔うたか、ま、更級日記の竹芝寺縁起では酒を 醸す青年が都の日焼屋に召され皇女を東国へ連れかえる咄をしている。民衆の世間でも茶よりは酒が早いかと想われるが、茶に類した植生には恵まれた日本であ り、茶に類した飲み物は酒より早いかも知れない、いやいやどっちも古いのであり、さてこそ酒か茶菓と競いあう風も古かろう。
わたしは酒好きだが茶も大好きで、このごろは何かというと煎茶を妻に淹れてもらう。京の名菓を戴くとどうしても「お茶」を所望する。または自身で抹茶を 茶筅で点てる。煎茶も抹茶も焙じ茶も番茶も子どもの頃から母に「茶喰らい」と笑われるほど番茶をよく飲んだ。なに、戦時中で腹が空いていたのでもあるが、 家に茶を欠かしていた記憶がない。
2018 4/12 197

* 歯医者の帰り、日比谷まで出るつもりでいたが、江古田で「vivo」iに寄り、スコッチの美味いのをたっぷり飲んで堪能し、そのまま帰ってきた。独り ではもう飲まないだろう強いウイスキーを妻もいたのでたっぷり味わったも機嫌良く帰れた。印刷所への支払いも済ませてきた。
2018 4/13 197

* 名酒「亀齢」の美味かったこと。したみ終えたので生協配達のを少し飲んだら、睡魔の酒であったらしく夕刻までどれほどか寝入っていた。美味いと思うのに少しも変わりないのに、量は必然減ってと云うとウソ、ただ酒量には弱くなっている。
2018 4/15 197

* 村上開新堂主人から、タップリの大缶に十数種廿種もの大小のクッキーを、隙間もなくまこと巧妙にぎっしりと詰め合わせた、いつもの贈り物を戴いた。すこぶる美味いのである。
2018 4/18 197

* 支払いを済ませて二時半。朝から、飲まず食わず。銀座の食べ物はあきあきしたので、隅田川沿いへ出たが日盛りの暑さよ。それでも隅田川面での白い鳥と 黒い鳥の大軍が猛然と闘うさまを眺めていたりした。小鳥を襲い小鳥を護ろうと戦闘するらしく、隅田ならではの見ものだった。川向こうの佃島に目立って赤い 「天安」という看板が見え、隅田で取れ取れの川魚を天麩羅にし食べさせるかと、かんかん照りの大橋をよろよろと渡っていった、が、当たり前と云えば当たり 前、佳い「佃煮」の店こそあれ、食べられる店は皆無。もんじゃやきの類は苦手で、もうふらふら、目に付いた有楽町線「月島」駅地下へ降りて、なんだ次は 「新富町(通院時決まりの下車駅)」かとかすかに意識のママ電車でかつがつ池袋へ着いた。何か食べないとと飲まず食わずの疲弊にふらつきながらデパートの 高い階へなど思いも寄らず、東武の地下食品売場奥に今も「天一」の天丼店があると確かめて辿り着いた。昔々の馴染みの店がちっとも変わっていない。ここは 酒もビールもなくひたすら「天丼」だけを食べさせる。
飯はほんの一匙ぶんほどにして貰ったが、やはり飯は食えず。大きめの掻き揚げと小さな味噌椀とだけを口に、美味いと思ったのはお代わりもした煎茶が二杯。
何に心も分けず、ほぼ茫然としたままゆるゆる西武線に乗り、駅からはタクシーを使った。照って暑くて、へとへと。
そのまま六時過ぎまで寝入っていた。左脚の烈しい攣縮に声をあげて身を起こした。 2018 4/20 197

* 信じられないほど寝ていた。つまもあえて起こそうとはしなかた。かるい昼食に、たまには、と、取り置きの中の佳い葡萄酒の栓を抜いて、ちいさなグラスでせいぜい二杯飲んだか。
ぶっつぶれるように、また寝入ってしまい夕方になった。

* 寝るために生きているらしい。そして結局、起きてくる。去年の一月にこんな二首を残していた。

尿が出て便出て喰へて目が見えて
読み書きできて睡れればよし 疲れたくなし

余念なく眠ってをればよいものを
なぜ起きてくる 死にたくないのか

* 喰うと いっときはげしく カラえづき する。咀嚼が出来ないのか。

* あっいうまに晩になった。
2018 4/21 197

* ひところ、食べ物というと、まず鬮とらずに「鮨 鰻 天麩羅 中華」と云っていた。いま、これらに気がない。ま、よほど気が向いて鰻か、それも五度に 一度ほどしか気が向かない。鮨は米が叶わない、天麩羅は味がない、中華は重い。胃袋がないとは、こういう事になるのです、養生して下さい。
2018 4/21 197

* 京・室町の帯匠 山口源兵衛さんから、選集へ「御礼」と、お手紙につづき選り抜きの京漬物が各種タップリと美しい荷で届いた。さっそく、とっておき無垢の「越乃寒梅」とともに戴きました。
2018 4/27 197

* 北の国の純米大吟醸「まんさくの花」を送り届けていただいた。「越乃寒梅」の二升を有り難く飲み干したところで、忝ない、御礼申します。
2018 5/1 198

* 京の帯匠山口源兵衛さんから、歯の利かないわたしのためにと、特製の豆腐に元祖柚味噌「八百三」のうまい味噌を柚のかたちの器二つに満杯送ってきて戴いた。白い豆腐と味噌の美味さ。久保田の萬壽が生彩を添えてくれた。有り難い「美食」と謂えよう。
2018 5/15 198

* しばらくぶりに歯医者へ。
帰りに。「中華家族」で、マオタイを、ダブルで二杯。江古田駅前の眼鏡屋で、先日尻を落としてヒン曲げた根金の弦を直して貰い、弦のこわれていた別の眼鏡をレンズそのまま別のへ入れ替えて貰った。やはり殿時々に具合の良い眼鏡は身近に欲しい。
2018 5/18 198

* 豊中市の、大学同窓 安川美沙さん、地産の名酒で名高い「呉春」の精醸一升送ってきてくれた。おおッ。感謝。
ご近所の大野さん、「一筆呈上」を歓迎して下さり、大粒の苺を掌に剰るほどお裾分け戴いた。恐れ入ります。
2018 5/20 198

* 明日、建日子が郊外の廣い花園へさそってくれているが、わたしは遠慮する。この季節は、奇妙にからだに堪える。妻は、わたし以上に、この梅雨入り前の 季候に弱く、入院を含むほどの剣呑な体違和を何度も重ねてきたので、よほど要心して連れだしてもらいたい。過剰・あぶないと感じたら即、帰宅させて呉れま すように。
いま、此の欄のはじめに挙げてある蓮池の花々、写真で観ているだけで心涼しい。
広大な公園は「歩く」もいいが日照りを避ける場がすくなく、いったん疲れ始めると、ひどい。
建日子に、重々カーサンへの気配りを頼んでおく。

☆ 家内の留守を狙ふ鶏飯
女房の留守も面白いもの   武玉川

などとあるが、留守を狙って喰いたいものもなし、ほくそ笑むような話も何もない、せいぜい録画の古い映画か、寝ころんで読書か。
力の湧くにしたがい書きかけ小説の吟味を楽しみたいが。
一升瓶の「呉春」が減りそう、かな。過ぎまいと堪えつつ、減って行く。
2018 5/21 198

* 劇場を出て両国駅へ、まだ大相撲の打ち出しに二時間近くあったので、駅前のちゃんこ「霧島」へ上がって、二人でやっと出て来た鍋の半分ほどを食べて満 腹し、市ヶ谷経由で帰ってきた。往きも帰りも乗り換えるつど座席を譲られ、感謝感謝。雨降らず、暑くなりすぎず、佳い半日であった。
2018 5/26 198

 

* 京・有栖川の桐山美恵子さん、観るから大きく美しい賀茂茄子を三つと、翠艶やかにみごとな大唐辛子、つくね芋、用意された糠や味噌や味付けも添えてお送り下さった。妻が大喜び。わたしは目を楽しませて戴いた。京野菜の精選、有難く。
2018 5/27 198

* 六時過ぎ、頼まれもの持って自転車で病院へ。
微熱と下痢は続いているが、本人は元気を取り戻してきた気でいる。診断は曖昧模糊としていて、顕著なのは各種の点滴を続行中ということ。
七時には面会時間切れで。帰路、セイムスに寄り安直なラーメンを買ってきたが、すこぶる不味い。ヨーグルトに砂糖そえて二つ食べ、買ってきたやすもののバレンタインをちっとずつ嘗めるように。
睡眠不足で睡い。睡らないとバテるおそれあり、しかし、予定の、しかしささやかな一と仕事だけはした。十時四十五分、機械から離れる。
病院でも安眠してくれるように。どんな観戦にも侵されていないように、祈る。
2018 6/2 199

* 昨夕買って帰った安直麺類の不味さにおどろく。酔いさえしなければ酒は恰好の熱源だが。自転車での病院往来のためには自粛していないと。
暑い。
2018 6/3 199

* 正午過ぎに見舞い、一時に建日子も来てくれ、待合いで話す。妻は改善方向にあると見える。
わたしは朝も昼も食事らしきは成らず。常は何でもない背負い鞄が肩に食い込んで痛いほど。三時過ぎには家へ帰ってきたが、へとへと。ミルクを呑みながら ミルク瓶を卓から落とし、床はミルク浸し。暑さにも負けている。酒は、酔いが早く、自転車に乗るためには禁じるしかない。昨夜は十分な時間寝たと思うのだ が、今夕方四時、へとへと。
もう一度見舞って、早く帰宅し、寝ようと思う。大きな冷蔵庫が、わたしには、ほとんど役に立っていない、のではなく、わたしが蓄えてある品々を生かしてくう術を知らないのである。バカである。

* 明日の検査で異常がなければ水曜には退院かと聞いている。それまでガンバルから、無事退院へ漕ぎつけて欲しい。
これも、「選集」送り出し「用意」がカンペキに出来ていればこそ、まだ身も保っている。「待ったなしの仕事」と「必要な見舞い」と「ひとり暮らし」とが、きりきり成り立っているのは早め早めに仕事の「用意」を終えているから。

* 六時帰宅。セイムスで買ってきた串団子とあんパンと缶ビールで夕食に。躰を横にしてやりたい、と思いながら。
2018 6/3 199

* 六時の配膳を見届けて帰ってきた。串団子二た串、ヨーグルト、缶ビールや少しの洋酒・日本酒で、京マチ子・森雅之・久我美子・浦辺粂子らの犀星原作「あにいもうと」を観て、休息。校正の仕事は、病院で、やすみなく進行していた。
京マチ子、ことに久我美子を、わたしは昔から好き。この映画では森雅之の「兄」も佳い。「羅生門」の森雅之より情も実もみえて男の美しさがしっかり出た。 浦辺粂子ら両親、そして兄の森、姉(いもうと)の京マチ子の中心にまだ細いが心清い心棒のように清潔な妹の久我美子が立っていた。小品とも謂える映画だ が、記憶から消え失せない佳品である。

* 弥栄中学におられた正因寺住職の万年元雄先生、京の煎餅菓子を大きな一缶で送って下さった。もう、弥栄中時代の先生ではこの万年先生と理科の佐々木(水谷)葉子先生としかお付き合いがない。
2018 6/4 199

* ワケ分からず食べられそうなあれこれを呑み込むように口にしていて、体重が増えていた。
何に驚いたかフト目ざめて。そのまま起きて、溜まっている瓶・缶の類を指定の場へ出してきた。便意を促すにだけ役立つような朝食、冷たいミルクとパン少し。睡いが。
2018 6/5 199

* 夕飯に饂飩を茹でてみたが、美味くは行かなかった。神戸の吉田章子さんに送っていただいた珍しい純米大吟醸の一升瓶の口を切った。呑むと、とろっとす るが、八時半、これから一仕事する。 とにもかくにも撫に明日の妻帰宅を待ちたい。早めに床に就こう、などと思いながらどうしても一時、二時まで本を読ん でいる。黒澤明の「七人の侍」が観たくもある。黒澤映画には、想じた聊かの難があるような気がしている。「七人の侍」は名作に類するが出だしに、三十分ま では満点の出来には思われない。『羅生門』でも『どん底』でも、後期の大作でもそれを思う。「天国と地獄」とかいった現代の警察映画の叩けば音のするよう な緊迫作をわたしは佳いと思ってきた。
2018 6/5 199

* 能美市の井口哲郎さん、精製極上の蜂蜜一升瓶を下さった。有難う存じます。
京の帯師山口源兵衛師氏 選り抜きの京の漬け物各種を大きな一包みにして下さった。感謝申します。
2018 6/12 199

* 京都の大益貞子さん、「鍵善」の和菓子を送って下さった。感謝。
2018 6/13 199

* 京都の国民学校以来大学までの旧友 冨松賢三君(元京都市右京区長など歴任)、島津忠夫先生ご遺族の藤森佐貴子さんより、虎屋や匠壽庵の和菓子を戴く。
2018 6/14 199

* 仙台の遠藤恵子さん、桜桃忌の前に、見事な桜桃をたっぷりの二たパックに贈ってきて下さった。ひとしお、嬉しい。
2018 6/15 199

* 世田谷の「珠」さん、「ちょいボトル」と名付けた小さな12本各種の名酒を下さった。なるほど。「誡め」られてある意味をも、有難く頂戴する。

* まだ東工大を「卒業させません」と、卒業生達に呼ばれて、今夕、街へ出る。久々。飲み過ぎないように要心を、そして楽しく過ごしてきたい。

* 日比谷のクラブ、奥の部屋へ入って、柳、降旗(松林)、新野三君と、まず小さいカップのビールで久々の再会に乾杯のあとは、先日妻の買っておいてくれ たトビキリのスコッチを一瓶明ける気で、私の好みの賽子ステーキとエスカルゴ、それにクラブ・サンドウィッチなどで談論風発、いわばむしろ生真面目なほど の話柄のまま皆が甲乙なく思いのたけを語り合った。昔の、秦サンの教授室のままであった、人の消息や噂ばなしはヌキに、ひたすらかなりむずかしい「文明と 文化」の議論に楽しく心よく終始できた。朱塗りの大鉢に稲庭饂飩、そしてコーヒーと好み好みのアイスクリームで仕上げた。みな、なによりも超特級のウイス キーを大歓迎してくれて嬉しかった。こな、本当にいい大人、いい仕事人・家庭人になっていて嬉しく安心した。「東工大」への深い意味での感謝を覚えた。

* あえて九時半ごろには切り上げ、ロビーで三人と別れて案じたほど疲れも弱りもなく、(要心して私自身は多くも呑まず、ごく少なくたべてきたので、)地 下鉄と西武線を乗り継いで、駅でタクシーは待ったけれど十一時前には無事帰宅した。遠藤恵子さんお心入れ、桜桃忌まえの美しい桜桃を十顆ほども、甘く、し みじみと口にした。
2018 6/16 199

* 留守のうちに鎌倉の橋本静一・恵美子夫妻から、鮑など大きく三種もの美味そうなご馳走を頂戴していた、感謝感謝。
2018 6/16 199

* 戴いた「ちょいボトル」一ダースには「お父さん 日本一」と富士山に文字を重ねた大きめの枡が附いていて、一本分が丁度はいるよう、それをもう一本二 本と戴いているところへゞ送り主の「珠」さんから凝った酒肴の幾包みかがまた届いて恐縮、またまた「ちょいボトル」の栓を切ったり。
そして、橋本さんに戴いた伊勢の珍味から鮑で飯を煮てもらったのが美味しく、すこうし体重が増えそう、痩せる一方ではイカンなあと思っていたので、感謝もひとしお。
2018 6/17 199

* 八潮の小滝英史さん、いいお酒を二種選んで送って下さった。 感謝。
2018 6/18 199

* 二人で予約の歯医者へ。妻は入れ歯の調製に一時間余もかかった。
桜桃忌という日でもあり、その脚で銀座へ出、肉が食べたいというので、三笠会館の七階の焼き肉へ上がった。神戸のクロ和牛を、妻は100グラムと野菜な どと少量のビール、わたしは200グラムの肉だけをビールで。此処のビールの美味いことは以前に独りで確かめていた。至極満足。
散策かたがた日比谷のクラブへ入り、先夜、柳・降旗・新野君らが呑み余したとっておきのスコッチをわたしは味わい、妻はコーヒーとアイスクリーム、顔なじみの女の子達とも談笑を楽しみ、さらっと引き上げて一路帰宅したが、十時をまわっていた。
2018 6/19 199

* 院外薬局で処方薬等を受け取って、一時。くるまで松屋わきのフレンチ「ボンシャン」で昼食、前菜比目魚のマリネやアスパラの二皿、そして柔らかい肉。シャブリの白と赤と美味いワインを。パンもデザートもコーヒーも美味く。銀座一丁目から「保谷」行きを待って乗り、いい気分で帰ってきた。

* 昨夜來、今日へかけ仰天するほど沢山な戴き物や来信で、まだ、のけぞったまま。先に、昨日桜桃忌の日記を書いておかねば。

* わたしの留守に、ご近所の奥さん達の「歓談会」があって、四時過ぎてわたしの帰宅の方が早かった。玄関を入ると、予告のあった方々の名酒、京菓子、洋 菓子等々、他にも湘南の永田澄雄さんの12年もの洋酒二種や宇治市の水谷(佐々木)葉子先生からの宇治茶などがお手紙も添って山になって届いていた。嵯峨 の田村由美子さん、東村山の近藤聰さん、高槻市の同窓川口昇君のお便りお手紙も嬉しく拝見した。
それどころでない、日吉ヶ丘高校の同期で、じつは何度か私、小説にも顔を出してもらっている写真家の小橋亮三君から、びっくりする多額の支援まで郵便書 留で届いていて、身の縮むほど恐縮し、しかし有難く心より感謝した。元・平凡社の出田興生さん、和歌山朱心書肆主人の三宅貞雄さんからも、過分の有難いご 支援を戴いていた。
2018 6/20 199

* 書きかけの小説に、呻きながら、肉をつけて。ただただ、息を呑むばかり。今日一日何をしていたかと思う。美味いのは、酒ばかり。
2018 6/24 199

* 起きて、まっさきに二階の機械に電源を入れておき、故紙回収への重い荷(わが家からは選集や湖の本本の故紙はじめ本も雑誌も新聞も、ダンボー ルなども、しこたま溜まる。妻の荷造りもたいへん、わたしの運びもたいへん。足腰の痛むことは。)を十も十五も指定の場所(わが家の塀外)へ運び続け、草 臥れて一時間半ほど「また寝」してしまった。
その間に、昨日の留守に戴いていた文化出版局中野完二さんから「(選集26)お祝い」「お中元」にと二本の名酒「やまと櫻」が届いていた。
二階へ上がって機械にさわると、いつもの十、二十分の一の速さでこの「私語の刻」の画面が現れ稼働可能になってくれた。好感、この上なし、とにかくも機械を電氣であたためて置くのがなによりらしい。ひとつ確認した思い。
2018 6/27 199

* 京・下鴨の澤田文子さん、お香を。山口の平野芳信さん、とらやの菓子を、紅書房主の菊池洋子さん、お手紙に添えて鶴屋八幡の和菓子を下さる。
2018 6/28 199

* 京の画家池田良則さん 名代「村上重」の京漬物をいろいろ下さる。
所沢の藤森佐貴子さん(故・島津忠夫先生ご遺族) 珍しいご馳走をお手紙に添えて、いろいろ選んで、下さる。
中野完二さんに戴いた名酒「やまと櫻」の肴に頂戴・賞味する。
東村山の近藤聰さん佳い地酒を二種、お手紙に添えて送って下さる。
2018 6/30 199

* 元朝日新聞記者伊藤壮さん、名酒「越乃寒梅」を二升も下さる。
故・弥栄中時代の橋田二朗先生のお嬢さん、同じ弥栄中同年の横井智恵子さん、京の「村上重」などのご馳走を送って下さる。同じく弥栄中同期、日立の役員を務めた西村明男君からも「両口屋是清」の和菓子を頂戴した。
2018 7/1 200

* 最後の処方箋を薬に換え、ぎらぎらに照った築地を途方に暮れたように歩いて、半ば仕方なしに「玉寿司」極みの鮨をめがけて店に入り、馴染みの板サンと 久しぶりの談笑、酒は一合におさえて、新富町から有楽町線に乗ったときは六時前、家路への客で満員のなか、親切な若い女性に席を譲って貰えた。助かった。 小竹向原で西武線への電車に乗り換え待ちの間に脚が攣りかけ、手指も捩れかけ、なんとか堪えてまたも満員のなかやはり若い女性に席を譲って貰えて、辛うじ て保谷まで帰れた。水分を摂って立ち直り、タクシーで帰宅。今季最高の酷暑日であった。二本のペットボトルにも助けられた。脱水が怖い。
2018 7/2 200

* ロサンゼルスの池宮宗千さん、なんと抹茶と「とらや」の佳い最中を送って下さった。ロスでは荷歩かの何でも買えるらしい。
京の羽生清さんからも京の和菓子を選りすぐって送って下さった。お手紙も。羽生さんは選集、一巻一巻読み終えてお手紙を下さる。有難く、嬉し。
2018 7/4 200

* 神戸の岡田昌也さん、大きな焼きあなごを二本、送ってきて下さり、いっそ、永田澄雄さんに戴いていた「オールドパー」をコクコクと傾けながら、早速ご馳走になった。美味。
2018 7/6 200

* 吉備の人から、お気持ちの籠もった、「酒一筋」岡山の名酒「赤磐雄」の一升瓶が二本、美しい化粧箱入りで夕方に頂戴した。
焼きあなごがあり、焼き鮎があり、幾種類もの好きな京野菜を妻はわたしの歯に食べやすく刻んでくれている。奴の豆腐もうまい味噌もある。
真夏の日本酒は、冷やしても燗でもそれは美味いのです。有元さん、ありがとう存じます。
お一人の日々がお寂しいことと いつも胸を痛めお噂しております。吉備までもお見舞いに行けるといいのですが。意気地なく、毎日家に籠もっています。ま、「読み・書き」には懸命で向かいおります。
2018 7/6 200

* 寝たり(=横になったり)起きたりしながらその双方でいろいろの仕事を捗らせて行く日々が続いている。アナゴの入った茶碗蒸しが旨くて、旨い旨いと三つも食べ、お酒も旨くて、で、夕食後、入った手洗いの便座ですうすう寝入ってて、ドアをノックされるまで気づかなかった、が、休まったという気はする。体重も増えた気がする。
2018 7/7 200

* ぎらぎらの日照りの中を、歯医者へ通う妻と一緒に保谷駅前の銀行へ迄行き、妻に、印刷所より請求の「選集」費用、ぎりぎり二百万円を送金してもらっ て、妻は江古田へ、わたしはカンカン照りの道を鮨の「和加奈」へ届け物をし、またよろよろと保谷駅北口へ歩いて戻って、幸いのタクシーで無事帰宅。汗みづ くだった。冷えたビールと、甘いものと、切り出して冷やしてあった西瓜を、塩で。そして好きな加賀の棒茶を大薬罐からたっぷり呑んで、体調をとり戻した。 少し横になりながら校正もした。
もう、五時をまわった。妻も帰ってくるだろう。大相撲名古屋場所も始まっているはず。
2018 7/9 200

* 京・祇園の同級生橋本嘉寿子さん、亀屋則克の珍しい、と謂うも、この季節に少ししか作らない涼菓、磯馴籠(そなれかご)入りの「濱土産(はまづと)」を選んで送って下さった。蛤に、寒天と砂糖などを一緒に煮つめたものを流し、まんなかに濱納豆一粒が入る。風流な磯馴籠(そなれかご)に入って、真夏だけのめずらしいつ京の名菓。感謝。

* 能の梅若万三郎さんも、まことに珍しい洋菓子を銀座から送って下さった。有難く。

* 京。山科の馬場俊明さん、涼しそうな蕎麦をたくさん頂戴した。感謝。
2018 7/10 200

* 昨日 新潟の光明寺さんから味わい佳い蕎麦を頂戴した。
淡路の、世界的な童話画家田島征彦さんの、七年ぶり「そうべえ」の新作を頂戴した。むかしむかし朝日ジャーナルに連載の『洛東巷談』に、豪放な挿絵を担当してくれた。選者を務めていた頃に、京都美術文化賞も受けてもらった。
征彦さん描く淡路島の「閑静居」を紹介しておく。遠い海を航く船影こそないが、わが「ハタさんち」に似ているのです。

田島征彦・畫  淡路の閑静居

* やはり昨日、和歌山・すさみ町の魚問屋「大五」(妻の母方従弟が経営)から、いろいろな干物を、いつものように、たくさん貰った。

* 今朝、小松市の八代啓子さんから 心涼しく美味しい 極めつきの「葛切り」を八つも頂戴した。
金沢市の金田小夜子さん、金澤のめずらかな海産物を、とりどり選りすぐり頂戴した。
2018 7/13 200

* 吉備の人 有元さん、名産の美味い葡萄ピオーネの大房を二つも送ってきて下さった。有難うございます。何のお返しも出来ないで心苦しく家にこびりついています。お変わりなくお元気にと心より願っています。
2018 7/15 200

* 上のメールを追いかけるように、祇園さんの厄除け「蘇民将来子孫」のちまきをはじめ、「老松」の王朝菓「御所車」 若狭屋の珍しい「稚児餅」などを送ってきてもらった。さっそくちまきは玄関外
に掛け、またいいお茶を淹れてご馳走になった。妻は「稚児餅」を声に出して嘆賞。
重ね重ね ありがとう。
2018 7/18 200

* あまりの暑さに今日は何度か、スーッと気力の遠のきそうな時があった。
佳い菓子、佳い果実、佳いお酒には手が出るのに、なかなか炭水化物や脂肪系の主食に気が向いてくれない。
2018 7/18 200

* 二週間に一度、からの瓶・缶・ペットボトルなどを出す朝で、引き受ける。
もっぱら私の「お酒の呑みよう」は、二週間で、からの一升瓶が三本、四合瓶が六本。みな名酒と謂うをはばからない美味いお酒ばかりで、ま、日に四合弱平 均。この歳で酒量が減ったとはちょっと謂いにくいけれど、この夏バテの時季、熱量には化ってくれていると思うことにしている。
それに、わたしはこどものころから大変な「茶くらひ」で、各種の日本茶もただの水も、むしろ心してお酒以上の量呑んでいる。
血圧も血糖値も正常、体重もほぼ横這いないし低めに推移していて、この癌手術後の六年半、医師は各種検査値にほぼ満足してくれてきた。
2018 7/24 200

* 吉備の人有元毅さんお心入れの名酒「酒一筋 赤磐雄町」純米の大吟醸をゆっくり戴いている。
2018 7/24 200

* 能美市の井口さん、冷蔵された、一升瓶、とびきりの名酒を送って下さった。有り難いこと。有難う存じます。
同志社の鏡花学者の田中教授あて、「泉鏡花」を数册、謹呈でお送りした。研究や学習のお役に立つのは本望です。
2018 8/17 201

* 自転車で、マコ、アコのために排便用の重い砂を三袋も買ってきた。ついでに久々にとインスタントの塩ラーメンも買ってきた。一応食べきれたのに、下痢。おやおや。
晩には戴いた中村屋のカレーが美味しくお腹に落ち着いている。感謝。
川柳作家の速川和男さんさん、是も巧そうな地産いろいろの生饂飩を下さった。むかしから、パンよりも麺に心を惹かれる。
2018 8/19 201

* 陶淵明も白楽天もお酒大好きの詩人であった、あの李白も。
白楽天に「卯時(ぼうじ 午前六時頃)の酒」を讃歎、さけのまわりよくご機嫌にオダを上げている詩がある。佛法や仙方の功徳より博大な朝酒の神速にして功力倍するを謂うのである。

一杯 掌上に置き  三嚥 腹内に入る
煦(あたた)かなること春の腸を貫く如く
暄(あたた)かなること日の背を炙る如し
豈(あ)に独り支体暢(の)びやかなるのみならんや
仍(な)ほ志気の大なるを加ふ
當時 形骸を遺(わす)れ  竟日(きょうじつ) 冠帯を忘る
華胥(かしょ)の國(=夢中の楽園)に遊ぶに似て
混元(=宇宙始原)の代に反(かへ)るかと疑ふ

と、以下、盛大に気炎を吐き、

五十年来の心  未だ今日の泰きに如(し)かず
況(いはん)や茲(こ)の杯中の物あるをや
行坐 長(とこしへ)に相ひ對さん

と、結んでいる。

* 朝起きて食卓に着き、やおら卓の下にひそめた一升瓶から愛杯に酒をつぐと、たちまちに妻の叱声が飛んでくるが、白楽天のように呷りもしないし慷慨も壮語もしない、ただ此の一杯の美味が、分からんのやなあ。結びの三行 思いにちかいんやが。

* 腰を痛くしながら、東、西の狭い玄関を片づけた。発送の本が届くたび両方の玄関が大事に稼働する。送り終えたあとの始末もけっこう腰へ来る。

* 戴いていた洋酒の「オールド パー」「シーバス リーガル」を二ヶ月かけて愛飲。よかった。わたしはどんなお酒でもガブ呑みはしない。美味い佳いお酒ほど、味わいたいから。肴は、ごく素朴。山葵漬けや、いろんな味噌を嘗めている。
2018 8/20 201

 

* 所沢の藤森佐貴子さんから生の茶蕎麦で十一月までも もつ というのを沢山頂戴した。ご飯というのが、ボロい歯ではやや食べにくくなっていて、想えば わたしの主食の最たるものは戴いてきたいろんな麺類なんだと気がつく。京育ちの子供の頃からの好みが老いを助けてくれている。感謝。

* 京の羽生さん、京のご馳走を選んで、お手紙添えて送ってきて下さった。感謝。
ちなみに羽生さんは 京都へ 他郷から入ってもう久しく住まわれている。
2018 8/22 201

* 食が進まないというより億劫で、良い筈はないので困る。少し固形を口に入れるだけで、腹パン気味に苦しくなる。つい飲み物へ逃げる。脂肪も蛋白質も寡少の気味。何が美味いか。一等簡明に美味いのが、白砂糖を小匙で。簡明に甘い。ヘンなの。
2018 8/29 201

* 金澤の金田小夜子さん、今日日本産「葡萄」の最高峰を一房送って下さる。一顆一課の豊かに大きいこと豪華な宝玉のよう、まず目で愛しむ。 感謝感謝。
2018 8/31 201

* 有楽町まで歩いて、ビックカメラで、不調故障の家電話機を新調、帝劇したの「きく川」で妻が所望、久々に鰻を食べてきた。二枚の鰻が私には多く、飯は まったく食えず、なじみの菊正宗でを満足。帰りの途中乗り換えの電車、二度とも満員の中で席を譲られ感謝、有り難かった。
2018 9/6 202

 

* 仙台の遠藤恵子さん、美しくいろいろな名産「花蒲鉾」をたくさん送って下さる。とっておきの名酒
「越乃寒梅」を明日の「選集27」出来を祝って戴く、最良のお肴。感謝感謝。

* 鎌倉の橋本静一・美代子さんご夫妻、甲斐名産の種なし葡萄「巨峰」の立派に大きな六房を送って下さる。食の進まないわたくしに、最良のビタミン。感謝感謝。
2018 9/9 202

* 秋場所が始まっているが、わたしのスモウ熱はすこし退いているか。
喰う楽しみが激減(なにしろ半人前の面の半分で苦しいほど満腹してしまう)で、楽しみは読書と映画(映画館へ行くなど論外、猛烈に採り溜めてある録画であるが)と、ふたりのマコとアコ。この兄弟、麗しい限りに仲が良い。われわれにも懐き切っている。
西棟から、新井白石著の名高い語源辞典『東雅』を機械の側へ持ってきた。白石先生はかなり強引でもあり、また物に即して過ぎたる嫌いあるけれど、断然乎として面白い読みをなさるので、せいぜい受け売りを楽しもうと。残念ながら、「心」には触れていない。
2018 9/10 202

* 久しぶりに鮨の出前を頼んだ。いつもに変わらず、和加奈の心入れでわたしのために鯛の兜煮を添えて来てくれた。
鮨、美味かった、が、一人前の半分で腹に満ち満ちた。
2018 9/14 202

* 吉備の人、先だっての風水害で大きな被害を受けたと報じられた日本中で屈指の美味い酒「獺祭」を、二升も送ってきて下さった。有難うございます。秋成 は「生涯在酒」の印を所持していたと聞くが、酒は呑まなかったという解説もあり、しかしわたしはどうやらほんものの「生涯在酒」の老境にある。ほどほどに 歓を尽くして味わいたい。有元さん、有難う存じます。
2018 9/15 202

* 昨夜もよく眠れていない。三時に酒で蕎麦をすすり、六時にワインて小さなパンを食った。ヨーグルトとパンとを、爪の垢ほどずつマコとアコとに。大喜 び。家の内にふたりがいてくれる有り難さをしみじみ感じている。兄弟ともわたしに抱き取られるのが大好き。そして元気になる。
2018 9/19 202

* 村上開新堂の山本社主、美味しい季節の杏菓子をくださる。
2018 9/20 202

* セイムスで、マ・アの食物と排便用の砂とを買い、ついでに札幌味噌ラーメンという安直を買って帰り、二人に食事させてから、ひとりでラーメンを喰っ た。不可なく可でもなく。酒へ逃げた。昨夜、安眠できず、今朝は不安に耐え得ず、逃げ込むように精神安定剤のリーゼを服した。効いてくれた。
2018 9/20 202

* 心身をやすめる。酒に飽いてから、ぐっすり寝たい。
2018 9/21 202

* 草臥れている。パンとワインとミルク。つまり手近で手軽に食事は済ましてしまう。マ・アたちの食餌はきちんと時間どおりに定量をやらねば。糞便の始末 も。これは意外なほど手軽にきちんと出来る。ふたりとも甘えるあまえる。夜中、一度二度はふたりとも蒲団へもぐってくる。紙屑をまるめ追っかけて遊ぶのが 好き、テシュペーパーの箱が狙われ、気が付くとひどい有様。障紙よりはいいが、障子はすでに壊滅状態。
2018 9/21 202

*  このところ、座右において嬉しい甘味、宇治小山園の「宇治茶松露」名古屋両口屋の「二人静」金澤のお洒落煎餅など戴いて、酒飲みの甘党わたくしは、目が ない。酒でよく眠り甘味の糖分に元気をもらっている。どこにでも売っているなどと言うなかれ、わたしは街のどこへも出掛けられぬ暮しをしている。ありがた い。
2018 9/28 202

 

* とっておき、名酒のなかの名酒「獺祭」二升の一本口をあけた、じつに美味い。へたをすると五合も今日にも飲みそうで、抑えている。日に二合、ないし昔からいう「こなから・二合半」はぱぱっと飲んでしまう。

* 元・朝日新聞社の伊藤壮さん(湖の本創刊時に絶大の後援を戴いた恩人)から、いつものようにこれまたとびきりの名酒「越乃寒梅」二升を頂戴した。ありがとうございます。
わたしに「越乃寒梅」を初めて贈ってくれたのは、わたしより若いのに最近亡くなってしまった俳優座の、加藤剛であった。

* 神奈川の永田さん、ウイスキー「オールド・パー」「シーバス・リーガル」12年ものを送ってきて下さった。ありがとうございます。
わたしは、ウイスキーを水で割ってなど飲まない、生のママがいちばん。美味い佳い味をうすめるなど、もってのほか。日比谷のクラブに置いてあるブランデーもスコッチもむろんいつもストレートでと女性達承知してくれている。
2018 9/30 202

* 夜中、なるほど暴風だと感じていた、雨より風が凄いと感じながら寝入った。
六時に目覚めそのまま床を離れた。暴風雨はきれいに去って。「マ・ア}におこぼれをせがまれながらパンにバター、ミルク、煮豆、すこしだけ「獺祭」、で独り朝食後機械の前へ来た。
いま、すさまじいまで「暑い」 33度まで行くそうだ。
2018 10/1 203

* 府中市の図書館長斎藤誠一さん、選集二十七巻にお手紙いただく。
埼玉・新座の詩人田中真由美さん、埼玉の銘菓「にいくら」を下さる。

* 暑さに愕く。汗、ぐたぐた。からだを毀さぬように、今夜は早く寝る。かなり無茶にカラダを使った。そのわりに食欲細く、「獺祭」を少し少しずつ頻繁に賞味。
2018 10/1 203

* 雨もよいでもあり、空腹感すらないほど食欲なく、銀座から一気に帰ってきた。校正はかなりの量、出来た。講演の「色の日本」、また島崎藤村を語った二 つ、論攷にひとしいエッセイとして、これでよしと思った。小説世界と論攷世界とが完全に両翼を成しているのが、わたしの文学世界。その思いを日々に確かめ えている。わたしのうちに、伊藤整のような先達のあゆみへの共感が、いつ知れずインプットされていたと謂える。
帰宅しても、うけた郵便もなく。伊藤さんに戴いた「越乃寒梅」を唐津のぐい飲みでしっかり味わい、蕎麦を少々で本日の食事は、了。
2018 10/5 203

* 暢気に遊びに出たいが、すたすたは歩けないし、遠くへは気が重い。池袋や銀座よりは上野や浅草が懐かしいのだが、途方もなく遠く感じる。鶯谷の駅前に あった蕎麦屋の公望莊は博物館や公園への恰好の足溜まりだったが店を畳んで仕舞った。行きつけという先が極端に減っていて、三笠会館か鰻の「きく川」、そ うでなければ帝国ホテルのクラブへ入ってしまうだけ。どこへ、と決める根気が失せていて、病院帰りなどただよろよろと歩いて疲れてしまう。フレンチの「ボ ンシャン」が、すこし気軽に、しかも気を張って美味いワインが楽しめる、独りで落ちつける静かな店だ。
2018 10/9 203

* 雨にも降られず、三時ではねて、そのまま三笠会館まで歩き、「榛名」のフレンチは時間外ではずれたが、なら、と秦准春の中華料理、これを妻がよろこん で呉れたのは何よりだった。わたしは久しぶりに佳い紹興酒を楽しめた。ほっこりと、骨も休めながら、ま、ご馳走であった。
その脚で、丸ノ内線、西武線で五時半には家に着いた。「マ・ア」大喜びで番の食事にありついた。
甘えること甘えること。
2018 10/11 203

* 酒の気を二日間抜いてみた。ときどきはそれが良いと思う。
2018 10/16 203

* 酒が断てない躯になっては困ると思い、二日、アルコールを全部避けて過ごしたが、平気だった。ま、週に二日ぐらい自粛しつつ楽しみ続けたい、今日は生協からもちょい良いお酒が届くはず。
ただし夕方には暫くぶりの歯医者通い。帰りに、江古田の「中華家族」でマオタイが呑めるだろう。マオタイ酒を置いている店は都内でもめったに無い。この店は「只一人」の愛飲「秦さん」のためにわざわざ取り寄せてくれているのです。
2018 10/17 203

* 妻と歯科の帰り、「中華家族」が定休日、そのまま保谷へ帰り、鮨の「和可奈」で客はわれわれ二人、主人夫婦と歓談、いい機嫌で帰宅、そのまま居眠りしていた。三日ぶりのお酒が旨かった。
2018 10/17 203

* 近江大津の澤敏夫さん、実に美味いお酒に、鮒寿司、奈良漬を添えて頂戴した。
日本酒は、ほんとうにその土地土地の精魂をやどして、微妙に味わい異なり且つ美味を成している。スコッチやバーボンではまだそういう美しいほど微妙な旨味のちがいを感得し得ない。
日本酒は、藝術品。
2018 10/19 203

* 近江の澤さんに戴いた選りすぐりの純米酒、あまりに美味くて、四合瓶の二本が二日半であいてしまった。米の飯はいまやひどく苦手にしているのに、米で出来たお酒は美味い。有り難いことです。
2018 10/20 203

* 澤の井のお酒 戴いて、乾盃。

* 尾張の鳶からも、恐縮、純米大吟醸の「嘉永元年」そして名菓とお茶とを戴く。心遣いに感謝。
2018 10/22 203

* 神戸の岡田昌也さん、タップリの大枝豆についで、「田舎娘 なれど 柿姫 参上」と朱紙に金書の美味しい干し柿をたくさん下さった。みごとな柿の紅葉も添えられていて、これは手近な『有職故実大辞典』に捺し葉にすべく挟んだ。有難う存じます。

* 尾張の鳶が心入れの愛知・常滑「白老」の創業百七十年記念酒「純米大吟醸 嘉永元年」がじつに美味い。つい寝る前にも一献、早起きしても、まず一献。
2018 10/23 203

* 機械に向いていて、ふうッと息を入れて目をとじひと休みの時、なにより嬉しい美味いのは和三盆糖の小粒の干菓子、「二人静」など口に入れると甘味がしみ入るように心和らげてくれる。
2018 10/27 203

* 西宮へ赴任の東工大卒生 鷲津仁志君から 純米大吟醸の名酒「福壽」一升を贈られ、恐縮しまた喜んでいる。
2018 11/1 204

* 京・古門前の「おっ師匠はん」干菓子の「おちょま」を送ってくれる。就かれた居りに一粒口に含む甘味に救われる。わたしは、ま、だれがみても大酒の方 に相違ない、むかしは編集者に悲鳴をあげさせた、秦さんと飲むといつもこっちが先に参ると。八十三のいまも健康に許され、かつ美味い酒なら、おさえても一 升瓶を二日で明けたい。自省して、なんとか五日保たせようとしているが、ま、よくて四日で空けている。その一方、甘いモノないかと毎日のように妻に尋ねて いる。和三盆の干菓子や小粒の柚餅が好きで、有ると、妻にことわり、つい機械の側へもってきてしまう。いい和菓子は日本の藝術品と思っている。
2018 11/12 204

* 下関の大庭緑さん、 粒雲丹の二瓶、それに失礼ながら山口によくぞと思うほど美味い「外郎」など沢山送ってきて下さった。感謝、感謝。
2018 11/15 204

* 昼、自転車で「和可奈」へ、手酌で一献。
2018 11/15 204

* 昨日、美しい新著『村上開新堂 Ⅱ』を、筆者・著者である五代目主人山本道子さんのお手紙も添って、頂戴した。
『Ⅰ』も、以前に頂戴した。

京都から、東京の麹町へ。知れ渡った洋菓子老舗中の老舗。毎々頂戴しているクッキーの缶、美味しさは云うまでなく、加えて、その缶への詰め方は、心篭もる「名人藝」というしかなく、多彩かつ一分の隙もない心入れの豊富さに、毎々、真実感嘆する。
季節の杏菓子の、香り柔らかにふくらむ美味しさにも、紅茶党の妻はいつも大喜び。

このお店は、文字どおりに、伝統と工夫開発との前向きに前向きに沸騰して行く進取の姿勢に貫かれている、その成果(成菓)が、文字どおり「文化」そのま まに美味しく体現されかつ成功し続けてきた。それも「伝統」のままに、各代女主人の優美かつ敢闘と発明の姿勢に多くを負うてきたし、いずれ六代目も、娘さ んが華麗にあとを襲われるであろう。

戴いた新刊の本は、そんな母と娘との「生気のリレー」を羨ましいまで実感させる「佳い読み物」であり、綽々達意の文がみちびく謙虚な「意志表明」になっている。

昨夜、おそくまで読みふけった。
山本さんの、心静かに読ませる「語り」の妙にも、名菓の匂いがしみていた。
拍手 そして感謝。

* 九時。わたし、めずらしく今、空腹を覚えている。朝食に降りる。
2018 11/17 204

* 八時。漱石の漢詩を読み読み、まともな機械始動に一時間ちかくかかった。朝一番の、やれやれ。ピレシュの静かなピアノを聴きながら。
インシュリン、三単位注射。 朝食。 ういろうを一枚、柿、ちいさなパン一枚、生姜の紅茶。ビタミン二種をはじめ、ゆるい緩下剤二錠も含め、いつものクスリを、計18錠。

* 三日半ほど酒類をやすんでいたが、昨日ワインを。半瓶ちかく飲んだかな。
2018 11/19 204

* 四時には帰宅、街には何の魅力も覚えなかった。秘蔵の「粒雲丹」で愛蔵の「獺祭」を呑み、休憩した。今日はもう疲れ休みとし、明日からの本の送りとする。とても疲れている。
2018 11/26 204

* 六時半、諸測定、良好と思う。インシュリン注射。
冷たい粥に梅塩をふり、バナナ一本。独り朝食、服薬、「獺祭」を猪口に一杯。
機械の前へ来て。バッハのフーガをラジオで聴きはじめる。音楽に心身溶けて入る。

* 今日から、本腰を入れ「選集28」送り出しの手作業を始めねば。

* ふたりとも 疲れ疲れ、荷造り。かなり分厚いので、いつもよりも手ぢからも要り、手際も要る。ま、なんとかなんとか進むだろう。

* 一次発送まで、用意が出来 郵便局に連絡した。ガックリするほど、二人とも疲労。とにもかくにも、名酒「獺祭」と、赤間の「粒雲丹」とで、吐息。

* 郵便局と、またまた一と合戦。なんとか歩み寄って。今日の分、送り出し、妻に懸命に働いて貰って、明日の発送分も用意し終えた。モーレツに頑張った、信じられない。
ふたりとも疲労困憊の九時半。わたしは、やっと雲丹と獺祭とで一息ついた。
まことにまことに郵便局との付き合いには疲れきる。
あと、五巻。
なんとか、付きあわざるを得ない。
2018 11/28 204

* 源氏物語「玉鬘」十帖を芯に、上の三冊、そしてプラトンの『国家』を主に読み進んでいる。『山上宗二記』『北越雪譜」は拾い読むのを楽しみに。枕もとに積んだ本は廿冊ほど。手当たり次第に、気が向けば次から次へ読んでいる。三浦梅園の経済哲学もなかなか読ませる。
眠気が兆している、機械から逃げだそう。今日は、美酒「やまと櫻」に惹かれて、一本、残り少ない、妻が目をむくだろう。
2018 12/5 205

☆ 師走に入って
無事に撰集も発送出来た様で おめでとうございます。お疲れ様でした。
今日は建仁寺の月釜でした、お軸は「無事」でした、紅葉も盛り 暖かくて最高。帰りにお菓子を仕入れて送りました、お歳暮で混んでますので郵便局のレターパックで送りました
あすでも届くかな!    京・北日吉  華  高校後輩 茶道部

* ありがとう。楽しみ。

* いま、一日中 ちょっとずつお酒を口にふくむ一方で、 京の和三盆「おちょま」を、仕事のあいの糖分として愛している。
もともとは「おちょぼ」だった、のを改名したらしく、妙な名だが、歌舞伎の寺子屋にあらわれる「涎くり長松」の愛称で。
「口に入れてはしんとろとろと溶けゆくその甘さ」「手習の墨にあらぬ紅をちょとつけたるも愛嬌」で、一粒一粒和紙できりきり捻ってくるんである。それを ほどく手間があり 一気に多くを口にしないのも功徳で、佳い木函にたくさん入っている。古門前の「おっ師匠はん」がもう何週間もまえに送ってきてくれ、ま だ少し残っていて有り難い。
身のそばに いろんな本と 音楽のCDたくさん、そして「おちょま」 落ち着きます。
2018 12/6 205

 

* 京の「華」さんから、鶴屋吉信の「柚餅」 玉壽軒の「紫野」をたっぷり戴いた。美味いこと最高級、しかも日にちをかけて好みの折や疲れた折に 小さな一つずつを口にして寛ぐ嬉しさは涎くり長松の「おちょま」とも同じ、ほおッと肩の荷や痛みがほぐれる。小粒菓子や干菓子こそは真実実用に益した美味 の最たるもの。

* 昨日は知らず知らずというとウソになる、お酒の五合瓶を一日でアケていた。一昨日は四合瓶を空けていた。ちと行き過ぎの感有り、で、昔、俳人で且つ陶 芸に染色という技をもたれた上村占魚さんの手跡からほとんど強請りとってきた「無盡蔵」と佳い刻のある正二合徳利を朝一番に酒で満たしそれで及ぶ限り一日 を楽しむようにと決めた。ナニ、かつても二度三度試みて成功しなかったのではあるが、気は心と謂う。持ち味のそれはこころよい豪快な徳利なのである。

* それとなく、シミッタレな勘定をしてみると、わたしは太病後も、一月ほぼ七升ほどの日本酒を呑んでいる。一つには雑多な、かつ堅め長めの固形食が食べにくくつい吐いたりするのがイヤで「のみもの」へ逃れてきたからであるが。
歳明けて春三月に予定のおおがかりな検査を無事に通過できますかどうか、少しは案じているけれど。この六年半の余は幸いに無事で医者も喜んでくれていた。まだ、したい、仕残しの仕事が少なくない。もう暫く生き延びたい。
2018 12/7 205

 

* 豊中の親友安川さんから、大吟醸純米の名酒「秋鹿」一升、無事着到、感謝感謝。ありがとう。
戴く一方で、わたくしからは、どなたへも自分の作と本としか差し上げていない。それゆえに、ひとしお無垢に心温まって有り難い。嬉しい。ものを戴かなくても、受け取って読んで下さるだけで十分嬉しい。有り難い。
2018 12/7 205

 

* 豊中・安川さんからのお酒を、京・横井さんからの美味い漬け物で堪能している。
2018 12/9 205

* 印刷所への「選集28」分を支払い、歯医者で二人とも手入れをしてもらい、その後、江古田、池袋経由、日比谷を散策、初めての茶道具商「万葉洞」で番頭さんとやや私的用件もまじえて歓談、帝国ホテル本巻地下の、心祝いの日は例になっている「なだ万」にはいいった。
あとを考えお酒は少しに抑えたが、料理の多彩と多量、楽しみ味わいながらも満腹、降参した。
五階のクラブへ上がり、ここで美味いプランデーをダブルで三つほど、もう食べ物はやめていつものアイスクリームとコーヒーだけにした。愛用し続けている 来年度の手帳を貰って、もうよしと日比谷から車で保谷へ帰った。何も見えない地下鉄よりも、また疲れて銀座を歩くよりも、妻には夜景の東京ハイウエイの方 が目覚ましかろうと。
帰宅
留守番をしてくれた「マ・ア」にも(店にはナイショ)「なだ万」 魚っけのお土産を振舞ってやる・
2018 12/10 205

*  諸検査、朝食より前に、機械に電源だけを入れておいた。階下でモーツアルト、バイオリンとピアノの美妙で軽快なコンチェルト一枚を楽しみながら、餅二つ出汁雑煮、酒「秋鹿」を猪口に三杯。相伴は「マ・ア」たち。
そして二階へ。尾張の鳶 「無事帰国」と。
2018 12/12 205

* 先に死なれてしまった京・縄手の料亭「梅の井」主人の三好君との対談を読み終えた。
京の味噌汁は、正月は白、寒いうちは白で、少しずつ赤を合わせて行き、暑い夏には赤みそ、それからまた赤を減らし減らして、白へと。
なるほど、そういう風であったナと、また教えられた。
京をしらない妻の味噌汁は、正月の雑煮のほかは、年中いつでも赤い味噌。
2018 12/15 205

* 京・北日吉の「華」さん、「お誕生日 お祝い」と、名酒「桃の雫」一升を。感謝感謝。
酒米を十二分に刻してある純米の大吟醸酒はじつに美味い。
あと三日は棚に祭り、二十一日の八十三歳に、しみじみ戴く。クリスマスイヴには飲み干しているかな。
わたしは戦時中のわが家で母が粕汁をつくってくれるのが、それは嬉しかった。秦の父は粕汁にも真っ赤になる人だったが。敗戦後のまだ小学校時代に叔母に 連れて行かれた琵琶湖畔の園遊会で、初めて清酒を口に含んだ。美味いと思った。しかし学校、大学の頃に酒との縁はほとんど無かったし、上京し結婚・就職し てからも、編集者としては先生方に酌をする務めこそあれ、呑むという機会は少なかった。社をあげて旅行しても、わたしはみんなでの夕食が済むとさっさと独 りで東京へ帰ったりしていた。ワイワイと仲間で呑むという好みはもたなかった。家に酒はほとんど置いてなかった。
作家になって、それはもう盛ん接待の酒をふるまわれ、ところがわたしは飲み続け、接待役の編集者の方でさきに酔いつぶれることが多かった。
いまも妻と歯医者の帰りによる中華料理店は、わたしのためにだけ(誰も他の客は呑まない、呑めない)マオタイ酒をいつも取り寄せておいてくれる。五十度 を超す、しかしわたしにはそれは美味い、中国で覚えてきた味わいである。この店のちかくにちっちゃなスタンドバーがあり、。ここへもときどき立ち寄るが、 わたしの註文はきまって、マオタイに負けない美味さ強さのウオツカ、これはソ連作家同盟の招待旅行で覚えた。

* ただし、もう老境での酒量は極力抑えている、つもり。
2018 12/17 205

* 吉備の有元さん、ご看病でたいへんな中から、本邦一二と思ってきた名酒「獺祭」を、誕生日の祝儀に二升も送って下さった。ありがとう存じます、たっぷり頂戴します。
2018 12/18 205

* 銀座松屋八階へあがり、いくらか危ぶみながら、「つな八」で、遅い遅い昼食に、久々の天麩羅「つな八膳」を試みた。昔のようには「うまい」と喜ぶ食事にはとても成らなかったが、食べられてよかった。それでもコース料理の皆は食べられず、途中で終えた。
ま、久しく、あれほど好きだった天麩羅が口に合わなかったのに、食べられて、よかった。
そのまま銀座一丁目から一本で帰ってきた。

* 鎌ヶ谷の篠崎仁さんから、清酒「杉並木」を戴いていた。感謝。
金澤の金田小夜子さんからも季節の海風を感じられるご馳走を頂戴していた。ご馳走様。
2018 12/19 205

* 前夜祭に、篠崎さんに戴いた「杉並木」を一気に飲み干しそう、実に美味い。いい酒米を4割まで精米しての大吟醸は、ま、極言に近い。美味いワケである。あんまり美味いと一気に瓶が明きかねない。

* 小滝英史さん、「松竹梅」二升お祝いに戴く。感謝。金澤の金田小夜子さんの下さった蕪鮨が、酒の肴に絶好、ご馳走様。感謝。
2018 12/20 205

* 妻が心づくしの 赤飯と、うまい椀と、頂戴の美酒の盃、そして甘い干し柿、四国の豊かな蜜柑とで、誕生日を祝う。妻も 建日子、 朝日子、みゆ希も 何方もみなみな健康でありますように。
2018 12/21 205

* 午は、ワインで、ピザを。そして、佐藤宏子さん、故郷島根からの海の幸をいろいろ送って下さった美味を、しみじみ日本酒で。ご馳走様。
2018 12/21 205

* 「桃の雫」「杉並木」ととびきり美味いお酒に、河豚の一夜干しや岩海苔の汁など、穏和に佳い一日を過ごせた。このうえ捜し物の一つがみつかれば言うこと無いのですが。
ま、やすむとしましょうか。平安なれ。
2018 12/21 205

* 寺田英視さん、お心入れの新著『国風(くにぶり)』を頂戴し、読み始めている。
自著の用意読みも進めていて、眼にきつい。「華」さんに戴いた「桃の滴」の半ばも呑んで楽しんだ。
今日の食事では、井口哲郎さんお心入れの「山芋」。これがとびきり美味かった。大ぶりの木の変わり椀に盛って、すこし海苔をふって。美味かった。
2018 12/22 205

* 市議選に投票してきた。帰りにセームスで、「マ・ア」ふたりのために重い砂袋を三つ、食べ物もいくつか。自分の用には乳酸菌の腸薬と「サッポロ塩ラーメ ン」など買ってきた。むかしむかしからインスタントの安ラーメンというと、これだけに決まり切ってきた。とくべつ美味ァいとも思ってないのに。

* 、金澤の劇作家松田章一さん、お心入れの名菓を、藤村研究家の宮下襄さん、山村で手間入りの「美味いころ柿」をたくさん、下さる。感謝。
2018 12/23 205

 

* 詩人のあきとし・じゅんさん、名酒「獺祭」でも、極限まで精製されてあるそれはみごとな一瓶を下さった。精米中の精米である山田錦を、信じ難いまで磨きに磨き抜いてある、これほどのを眼に、手にしたのは、初めて。感謝と驚嘆のまま、雑煮とともに元旦を祝いたい。
2018 12/28 205

* 野澤利江さん、 歳末のご馳走に鴨の鍋料理を下さった。すこぶる忙しい日々を医療の現場で過ごされているように察し、元気かなと思い思い気に掛けていたが。諏訪の方へ、つつがなく帰郷されたかな、どうかなと思いつつお礼申します。
この人、私とは他流ながら茶の湯びとであり、袱紗などを至極に縫いつくれる佳い趣味の人でもある。流儀に関わりない道具など、出逢える折があれば差し上げたいと思っている。

* 昼に晩に、鴨の鍋を、まことにまことに美味しく戴いた。70度ぐらいの低温で肉をヒタして食べるのが、柔らかで、美味くて、最高のしゃぶしゃぶ、牛蒡、椎茸などの野菜も蕎麦も、いい出汁で、堪能した。感謝。感謝。
2018 12/29 205

* 三時。朝から効率を損じ損じねばりづよく書きこみ作業で、ほっこり疲れた。戴いた京紫野の老舗「和久傳」の名菓、目に沁みるあでやかな紅花和三盆 「紅」を一つ口に入れ、瞑目、しみじみ味わったところ。美しくて美味い、甘い、甘さが優しい。 感謝です。ちいさな一函を愛しみ惜しみながら、正月へ持ち 越します。昨日戴いて、美味しい柔らかい鴨肉は早めに賞味してあますまいと、昼と夜とで戴いた。蕎麦もついていて美味かった残りを、余しておいた出汁で、 京の昼にもまた戴いた。いっさい歯を痛めないご馳走で、食の進まないわたしにしてはたっぷりご馳走になった。しっかり食べたが今朝も体重はすこし減ってい た。医師は、体重は増やさず減らさずがいいと難しいことを云うが、ま、そんな塩梅に63<4>5キロの辺を上げ下げしている。胃全摘直後は66キロ半ば 有った。

* この一週間ほど、「選集」大三十巻の編成と原稿としての読み返しにかなり没頭、三分の二ほどは終えている。
新年には、「湖の本」143の発送という肉体労働も来る、あっというまに来るだろう。創刊満三十三年は、なによりも、からだに、重い。「選集」予定の完 結にあと五巻、これと「湖の本」が重なってくる心身への重さは相当なものだが、ひるまず乗り越えて行く、行くしかない。妻の負担だけは何とかすこしでも軽 くしてやりたいのだが。
最初から、徹して、夫婦ふたりのふうふう仕事でやってきた、子供達に手伝ってもらったことは無い。そういう結晶なのである、もう少し、もう少し、もう何年か、なんとかわたしの労力腕力体力を絞り出し、頑張ってみる。
和風の甘味が身にしみ、精製のお酒が佳い熱を恵んくくれる。からだを破壊しない程度に美味い物は美味く味良く楽しみたい。
さいわい、いまぶん、諸検査で、肝臓も腎臓もきれいと医師は言ってくれる。
問題は、アタマやなあ。人の名前が出てこないよ。本は、まだ読める。字も書ける。有り難い。
2018 12/30 205

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