ぜんぶ秦恒平文学の話

身体のこと 癌 2012年12月まで

* 今朝から、また抗癌剤「ts1」を、朝晩3カプセルずつ服用開始、第三期の四週間連用する。あまり意識しないでいたい。一日中服する薬は他にも多く、眼薬の点眼も頻回、朝七時から夜二十一時まで六度と言いつけられている。薬漬け。気に掛けず、平然とこれを行う。

2012 8・1 131

 

 

* 体調にとくに問題はない。夜中の排尿にやや渋滞があるだけ。 2012 8・2 131

 

 

* 抗癌剤の圧力にはやくも押されている。手先はもとより足の裏も痺れが感じられる。体調にとくに問題はないのに、からだは重く気も重い。なにより何によらず口にするものの味わいが「苦い」と謂うほかは殆ど喪われ、舌と口内とのざらざらした感じはじつに不快。横になり寝入っていい時と、入浴している時とがラク。それに片方に眼帯している視野の迷惑は大きく、仕事へ容易に逃げ込めない。三時間おきに日に六回点眼しなければならない、これがかなり生活を区切ってくる。

八月七日の退院後初の眼科診察までは眼帯し、外出せず家で過ごして欲しいと退院時に言われてきたが、やむをえない郵便局や宅急便や薬など買いに、ゆっくり歩いて往復十分程度外出はしている。

 

* 休めるときは休むがいいと思われる。朝は七時には点眼を始める。夜更かしより、早寝早起きを大事に。

2012 8・2 131

 

 

* 朝の、血圧96-54 (67)  血糖値 95   血圧をすぐ計り直すと、 102-56 (66)  七時に点眼し、インシュリンを注射し、果物がちの朝食後に、抗癌剤はじめ四種の錠剤やカプセルを呑み込む。一日が始まる。

夜中に三度、眼帯した右眼に各一秒程度の疼痛が。これは術後初めて。入浴後体重66.3kg。

2012 8・3 131

 

 

* 平凡社文庫の一冊校正を、編集室に一任した。あやふやな仕事でかえって仕事の遅延をもたらしてはならぬと思い。とにかくも片目の生活は、遠近感も距離感もガチャガチャで目当てのキイの横や上下を叩いてしまうこと、呆れるばかり。

2012 8・3 131

 

 

* 朝の、血圧95-59 (68)  血糖値 103

昼近く、排便後の血圧を測ると、68-41 (92)。失神しそう。血圧のこの顕著差にも危険はないか。

 

* 難航に難航したが従来子機の中からこのホームページを発見出来た。

従来本機はいまのところ新しい多くのコンテンツを飲み込んだまま完全に頓挫している。画面が全然開けない。この子機との連結は生きているようだが、親機の画面が開かないので何ともしようがない。この子機のなかへ過去の原稿記事等のバックアップは相当にしてあるので、またMOにも別保存してあるので致命的な大怪我ではないが、スナップふうに撮ってきた今年の写真の大方は故障機械にのみこまれ沈没した。残念。

 

* この機械でメールの送受信も可能かも知れない。この日録が発信できれば、いいが。

 

* 一つの幸いはこの受難からの脱出に懸命で、抗癌剤の受苦は忘れられる。食の苦いこと、ときどき誤嚥すると胸苦しさに吐かずにおれないのが宜しくない。有り難いことに、いくらか慣れたか体調自体はさほど悪くない。

2012 8・5 131

 

 

* 吉備の有元さんから芳香宝玉のような美しいきわみの白桃を五顆も頂戴した、その美味しさに天を仰いだ。有り難う存じます。

 

* 食餌はすべて苦い。その中で、白桃の嬉しいことは。それでも妻の嘆賞してやまない桃の「甘さ」の大方は味わえてないのかと歎く。口当たりの優しさと冷蔵してきた冷やっこいうまさが有り難い。嬉しい。

北海道から戴いた珍しい西瓜も同じように、かぎりなく「水分」が美味しい。

手足への色素沈着がじわじわと肌を黒くしている。指先がしびれ、よく持ったモノを取り落とす。それでも五体はまださほど傷んでいない。

2012 8・5 131

 

 

* 朝七時には点眼と決まっているので、熱帯夜を夜更かししないよう、十数冊の読書を昼寝時に半分分けている。

「栄花物語」は後朱雀天皇の御宇。平安朝の高潮期は一条帝の頃と後朱雀帝のころとにラクだの瘤のように盛り上がり華咲いた。

「和泉式部集」の撰歌、じりじりと下巻に進んでいる。

「古今著聞集」はまだ公事を語っていて、面白くなるのはこのあと。

「折口藝能学」は説経や浄瑠璃や祭文などの成り立ってきた歴史の奥を覗き見ながら、説得力ゆたかに要点をみごと述べて行く。

「丹後と天橋立」は旅する心地で。むかしむかし思い立って独り橋立へ旅し、文殊荘という老舗旅館を独り占めするほどせいせいと宿泊した。橋立より、この宿りがのびやかに嬉しかった。蕪村の取材で加悦へも出かけた。もういちど橋立まで行きたい行きたいと願っているのだが。

東洋文庫の四冊は、それぞれに途方もなく面白い。「唐代伝奇集」一、二「捜神記」「中国古代寓話集」読みふけっている。

チェーホフの「妻への書簡集」ほど心温まるおもしろい読書は珍しい。

ゲーテの「イタリア紀行」も旅に同行しているように惹き込まれる。

とっておき楽しいのはファンタジイ。高田衛さんの「八犬伝の世界」に導かれながら克明に読む「南総里見八犬伝」、浩瀚しかもホビットはじめいろんな人種の共存した波瀾万丈が面白いトールキンの「親指物語」、マキリップの精緻な構成力が別次元の他界の不思議と懐かしさを生き生きと読ませてくれる「イルスの竪琴」。

息子の河出文庫「サマーレスキュウ 天空の診療所」も面白く、ときに小さく感心しながら読んでいる。

辻邦生の「夏の砦」が意外に進まない。

そして、むろん「バグワン」。

 

* 今月は通院が多い。明後日七日に眼科、八日に感染症内科、十六日に腫瘍内科、泌尿器科。雨が降って欲しい。妻を連れて出るのが躊躇われる。独りで行けるときは独りで行く気。海老蔵の「伊達の十役」二席を松嶋屋を煩わせ手に入れたが、お世話になっている先生に差し上げた。

楽しんで楽しんで、薬には、負けない。

 

* ウイスキーを滴ほどストレートで口に垂らすと、舌も口腔内の粘膜も、飛び上がりそうに痛い。よほど荒れているのだ。それでいて、ほうっとシーバスリーガルの味わいの口に残るのが嬉しい。

2012 8・5 131

 

 

* テレビの「平清盛」と「薄桜記」とをつづけて楽しみ、妻に同行を頼まれ、郵便局のポストと、ちかくの店での買い物に。この辺は夜道がくらく人通りのない道路工事場の縁り道など気持ちが良くない。低血圧でふらふらしているのだから、杖はついていてもやや脚もと心許ない。

今度は九時から建日子脚本の連続ドラマ「サマーレスキュー」三回目が待っている。そのあと入浴して、ほどほどに就寝と。

2012 8・5 131

 

 

* 朝の、血圧117-65(75)  血糖値 94

血圧、血糖値に問題ないが、左半分の歯の痛みが新たに起きてきて、堪えている。熱暑の歯医者通いの加わるのは、辛い。

手先の痺れに、処方して貰ってある軟膏を塗り込む。少しは当座効く。

2012  8・6 131

 

 

* 午後読書あと二時間ほど寝た。食すべきは。味より量と心得、せいぜい食べようとしている。体調は維持していると思うが、歯痛はやむなくロキソニンで抑えている。

 

* 文庫本のあとがきが書けない。

2012 8・6 131

 

 

* 朝の、血圧110-87(73)  血糖値 111  平日通り。強飯、とろろ昆布の汁、頂いた最後の白桃、じつに美味し。いつものようにナンパオと黒酢も服用。

2012 8・7 131

 

 

* 従来子機に無整理に投げ込まれていた厖大な記事たちを整理し、しかるべく分類格納しなくては。「半仕事」のような用事が土砂石流のように出来てしまった。体調の微妙な違和が忘れられる。

 

* 昨夜から、メールの発信が出来ない。「発信」しても飛んでいった形跡が全くない。高麗屋への発信も、今書いた平凡社あてのあとがきも、いくら「発信」しても、出来ていない。

スキャナーやプリンターも従来親機に繋がっているので、此の機械からは受け付けてくれない。これは大ピンチ。

もうすぐ、家を出て病院へ向かわねば。

成るように成ると思っていよう。

 

* 正午過ぎに家を出、幸便に一時過ぎに病院入りしたが、検査まで延々、検査が済んで診察までまたまた延々、診察室に呼ばれたのが三時半を過ぎていた。診察は、「あ、とても綺麗ですよ」で三分間で済んだ。眼帯ははずして良いと。右眼への点眼も三種から二種になり、点眼時間も日に六回から四回でよいと。二週間してまた診察。

薬局で処方の眼薬を受けとったあと、松屋八階の天ぷら「綱八」へわたしが望んで行った、が、なんたる生憎、まったくうま味が味わえないまま、しかしとにかく食べた。食べて苦い食餌は、妻が歎いたように「可哀想」過ぎた。酒は純米の日置桜を一合、妻と半分けした。これも苦いだけであった。

外来でも電車でも終始瞑目し半ば寝ていた。保谷駅で、桃、グレープフルーツ、葡萄そしてパンなど買って、幸いタクシーで帰宅できた。六時半過ぎていて、すぐ七時の点眼。残念なことに小さな粒の葡萄が、口には堪らなく苦くて閉口。

2012 8・7 131

 

 

* 入浴して疲れを溶き、明日は一人で午前中に、感染症内科の診察を受け、ときおりきつく起きる歯痛を和らげて貰うべく沼袋の歯科へ、臨時移動する。

今日は思いの外 築地も銀座も過ごしよく、築地では蝉しぐれをしばし楽しめたが、どうか明日もしのぎやすく在りたいモノ。相当に疲労しそうな気がする。歯科は来週は夏休みそうな。ウーン。やはりピンチかも。

2012 8・7 131

 

 

* 朝の、血圧129-63(73)  血糖値 96 七時点眼。今日も昨日同様酷暑ではないと。ありがたい。

九時前のバスで駅へ。十時半に血液と尿検査の番号をとり、診察室を出たのが一時半。昨日も今日も、三時間かかる。処方薬を受けとり、池袋へついたのが二時半。歯科に電話し、すぐに来てとのことで、昼食抜きで三時に医院に入った。幸い今日は歯痛が起きていない。レントゲン撮影などして、丁寧に診て処置もしてもらう。

戸外は圧倒的なまばゆさ、サングラスでもくらくらする。手術の成功でかくも視野がまばゆく明るいのだ、

江古田駅前の眼鏡屋へ寄り、礼を告げてきた。この店で眼鏡の調製はムリ、はやく眼科医に診て貰えと言われたのが黄斑変性症、黄斑前膜と地元の佐藤眼科で即決診断につながった。聖路加の担当医はまったく見落としていて、次回診断は半年後でいいと帰されていた。よく見つけて注意してくれた眼鏡屋に礼を言いたかった。

家を出てから四時まで呑まず食わずだった。江古田駅近くの店で、手もみラーメンと餃子と生ビールを注文したが、ラーメンだけがムリに喉を通っただけで、餃子もビールも大方残した。誤嚥したか、少し吐いた。

保谷駅で桃を二千円分買い、十分ほど炎天下でタクシーを待ち、五時に帰宅。疲れました。

しかしこの八月は、昨日と今日と通院診察、さらに十六日に腫瘍内科と泌尿器科、二十日歯科、二十一日眼科、二十九日感染症内科と診療が続く。酷暑であろうと炎天であろうと出歩くより選択肢が無い。

2012 8・8 131

 

 

* 容態日記の眼科入院時の分を全部故障の機械に食われた。だが、退院直後の日録に、その間の容態日記を挿入していた。よかった。

八月一日抗癌剤三期服用以来の容態日記を整備した。ちょっと気が晴れる。

2012 8・8 131

 

 

* 朝の、血圧108-59(62)  血糖値 101  七時半点眼。体調はわるくない。底の方にズーンと、重だるい気配は沈んでいるが。

2012 8・9 131

 

 

* 朝の、血圧107-57(78)  血糖値 98   体調わるくないが、午前に下痢。指先の感覚が麻痺していてモノを取り落とし、またくっついた本などの頁が容易にめくれなかったりする。

2012 8・10 131

 

 

* 朝の、血圧115-62(74)  血糖値 91   体調わるくない。手先の痺れ、色素沈着の進行、泪目ぐらいか。

2012 8・11 131

 

 

* 機械に向かうと眩しい限り。画面の明度を調整出来ると思うのだが、どうすれば出来るか、わからない。使っている機械はNEC のLaVie です。

湖の本113再校のためのかなり難しい頁の調整も終え、再校を読み始める。

抗癌の闘病へ、仕事も読書も観劇も最良の味方。抗癌剤も妙薬に成ってくれると信じて服している。

2012 8・11 131

 

 

* 入浴後体重67.3キロ。食餌が言語道断に不味くても(妻のせいでは全くなく、抗癌剤の副作用だが、)食べようと立ち向かっている。その効果で減る一方だった体重をやや戻している。参るのは、術後の眼の方。すべて度付きのサングラスで家の中でも過ごしている。それでも、裸眼で十六冊の本を、あまさず読み進めている。読書は楽しい。嬉しい。

寝入るのも、湯につかるのも、平生心にもどるのに大いに快適。勤めがなく、厄介な、ないし片々とした文責もなく、二十四時間を好きに使える老境で、医療に護られながら、日々好きに生きていられる。有難い、幸せなことだ。ま、それだけ過去猛烈に「仕事」を積んできた御陰だ、顧みて恥ずかしさに堪えない「仕事」は、ときどきの目のゴミほども、しないでこれた。満足しているのではない。恥ずかしくはないのだ、だからこそ「仕事」が続けられる。

 

* 十一時に近くなった。目薬をさし、インシュリンを注射して、寝よう。五輪も煮詰まってきた。

2012 8・11 131

 

 

* 朝の、血圧114-62(81)  血糖値 92   体調わるくない。手先の痺れ、きつい胸焼けに、体の痒み加わる。赤飯、バナナの朝飯。朝は薬の種類も数も多く。ナンパオとアリナミンも加えた。体力の元気を喪ってはまずい。昼前に郵便局まで自転車を使ったが、視野曖昧で、帰りの坂道難渋し疲れた。昼食ハカ行かず。疲れて寝てしまう。目覚めてそのまま読書。夕食なかなか摂れず難渋。ドラマ「薄桜記」楽しむ。

2012 8・12 131

 

 

* 朝の、血圧97-55 (72)  血糖値 98   体調特に辛くないが血圧のあまりに低いのが気になる。血圧の高低をどう読んでいいのかわたしには分からない。朝飯は カマンベールチーズ パンケーキ バナナ そして服薬。眼力と視野は不安定で困る。

2012 8・13 131

 

 

* 今晩の音楽会、太鼓が各種活躍し、太鼓は太鼓であり元気なのは佳い。

だが音楽とは「音」「音色」表現の妙趣であり美味であるとすれば、ひたすらな「騒」楽では困る。本人達がそれが佳いのだと本質で勘違いしていると、ことに困る。

わたしの日頃の思いで強いて例をあげれば、津軽三味線など、得てして、ただただ叩き三味線の大音響でしか音楽の味わいが出せないと思いこんでいるのでは、と、あまりに訝して、あれでは「藝」として失格してしまう。

文楽や歌舞伎やその他の舞台藝・座敷藝の名手の三味線に少年の昔から真実魅了されてきたわたしには、もともと門付け藝として出発していた北国や雪国での或意味必要ですらあったろう大音響を、それが「いい」のだとばかり打楽器並みに叩きに叩いて叩きつけていればそれが「迫力」だという演奏では、あまりに工夫も藝もない。騒々しければいいのでは音楽の演奏を楽しむ側は迷惑だ。

打楽器にもいろいろ在る。歌唱にもいろいろある。それにしてもわたしは藝術・藝能の表現の芯は「静か」で「清い」ことだと今も信じている。この静か・清いは、音響・音量が小さければよい意味では、全くない。音の妙味が聴くひとの胸にあはれ・美しいと届く意味である。日本の美学では、静かと清いは、美しいと同義語であった。どんなに大音響でも、それが清くて靜かな美しさを表現し得ているなら鑑賞できる。その辺の勉強の足りないただただ力任せの興行では、藝が無い。

誤解されては困る、これはわたしの好きな、藝の立派な太左衛さんらの会とは関係ない。

外食が全くダメのまま抗癌剤を服したりで、よろめくほど疲労した。だが、楽しくなかったのではない。

2012 8・13 131

 

 

* 朝の、血圧105-55(72)  血糖値 100  九時半まで寝過ごす。昨晩の疲労残る他に問題特になし。血圧上が連日低いのが気になるが。桃二つ 小さい稲荷寿司二つ ゾセージ一本 午前服薬後下痢、続いて下痢。桃の効果と思う。昼食進まず。午後にも打ち臥すように就床読書さらに二時間余寝る。夕刻また桃、食す。冷たくて水気十分で、繊維多く、排便に利く。下痢はまだ佳い、便秘は辛い。 2012 8・14 131

 

 

* 機械に向いていると、からだの重さを感じない。かすかな違和はいつも感じているけれど、「仕事」「読書」「機械」のときはわりときれいに忘れている。

2012 8・14 131

 

 

* 六十七年前、疎開先丹波の山なかで迎えた真夏の灼光と、ラジオで村のひとと一緒に聴いた陛下の声音を忘れない。負けたくやしさは無かった。京都へ帰れると目の前が夏の日射し以上に明るかった。

しかし実際に京都へ帰ったのは、一年余も後の秋のこと、腎臓を病んで満月のような顔になろうとしていたのを、母は咄嗟に引っ担ぐようにして亀岡経由京都へ連れかえり、家にも戻らずその脚で、昔からお世話になっていた松原通り樋口医院に担ぎ込んでくれた。巌先生が秘蔵のペニシリンを使って治してくださった。あやうく命拾いした。医院の二階座敷に師走も押し詰まるまで「入院」していた、一升瓶に溢れるほどの尿が出るまで。

その間に、わたしは二階座敷の本棚から、新潮社版世界文学全集の端本や漱石全集に初めて手を触れたのだった。母のおかげ、樋口先生のおかげである。

家のあった新門前通りから、祇園の花街や建仁寺の広い境内を通り抜けて、六波羅の坂道を東へ登って行くような樋口医院を父母はすくなくもわたしの主治医かのように頼んでいた。何故だろう。

 

* 朝の、血圧97-57 (69)  血糖値 95   九時前まで寝過ごす。夢見はあるが、まあよく寝ての寝覚めは、心身が軽く明るい。朝食し服薬するとズーンと重苦しくなる。冷桃、冷グレープフルーツ、卵スクランブル少し、パンとミルクお印ほど。服薬。二階の機械の前へ。スキャナーを故障機からこの機械へ繋ぎ変えたがまだ使っていない。印刷とスキャンとにはどうか働いて欲しいのだが。

湖の本113の再校もすすめている。すこしゆっくりでもいいほどの気持ちで。

明日はオンコロジー(腫瘍内科)と泌尿器科へ独りで出かける。明後日は帝劇での「ラ・マンチャの男」です、何度も観ているのにどう演出が変わるかと、楽しみ。

 

* 仕方なく、機械の中で厖大に重複保存されたコンテンツを整理し簡略化するのは煩雑な仕事だが、やっておくととても便利になる。それにしても一度に長時間は掛けていられない。他の仕事のためにも眼のためにも。機械が故障以来連日それを続けている。有難いのはその間からだの不調をすっかりとはいかなくても、大方忘れられているのが有難い。仕事や用事が有れば有るほど有難い。

2012 8・15 131

 

 

* 朝の血圧113-58(77)  血糖値102)  受診に聖路加へ。

腫瘍内科では、ビリルビン値が上がり、血小板数が減っている、と。抗癌剤の服薬を今夜から「一週間休止」して一週間後の様子をみて「服薬の間隔や量の調節」をしましょうと。わたし自身は服薬をさほど気にしていないけれど、病体内のデータに関しては先生にお任せする。手足のしびれに軟膏が処方された。

泌尿器科では師走までのハルナール錠が処方された。

院外の薬局で薬をもらい、空腹のほうがからだは気持ちいいので、どこへも寄らず、保谷駅で桃と巻きずしを買って帰る。幸い炎天下にタクシーが一台待ってくれていて助かった。朝は乗り遅れたバス停の炎天下で二十数分も立ち、タクシーには通り過ぎられ、潰れそうだった。

2012 8・16 131

 

 

*  朝の血圧112 -63(74)  血糖値96

2012 8・17 131

 

 

* 幸四郎夫人はめずらしく洋服だった。わたしのものすごいほどの痩せと眼帯は、あらためて夫人も番頭さんも驚かせたようだが、高麗屋の女房さん、いつもの笑顔と気さくな歓談とで、演後ロビーの雑踏のなか気持ちよく励まされた。

築地の通院時にわたしは蝉の鳴き声に心とられていたが、藤間一家の熱演や好意に励まされ、こんなふうに述懐の歌一首をつかんだ。

 

蝉よ汝 前世を泣くな後世(ごせ)を泣くな

命のいまを根(こん)かぎり鳴け  遠

 

いま、わたしは、病とたたかいながら、こういう気持ちでいる。 2012 8・17 131

 

 

*  朝の血圧97-54(73)  血糖値91  十時過ぎまで寝過ごす 体違和特にないが 視力視野安定せず ヒアレイン点眼して視野がやや正確に 軟排便やや予測可能

2012 8・18 131

 

 

*  休薬の効果か、視野視力の不安定以外さほどの体違和はない。腹内には絶えず変化や緊張があり意識を離れない。

2012 8・18 131

 

 

* 体重65.9kgに落ち込む 朝の血圧 107-59(76)   血糖値96  寝ているのか目覚めているのか判然とせぬ一夜だった 三時頃起きて十冊ほど本を読んだ

2012 8・19 131

 

 

* 機械の混乱にむかい没頭していたので、体違和は何も意識せず。食べるのも努めて食べている。

サンケイの岡崎さんが、源吉兆庵の名菓「桃泉果」を贈ってきて下さった。感謝、感謝。桃のゼリーの中に桃一つが籠められてあり、一つの菓子が、巨大。二人で半分けして十分。

2012 8・19 131

 

 

* 休薬のせいか、目のほかは心身やや寛いでいて、食も味もやや旧に復しているのが有難い、ただし、繰り返し自認する、抗癌剤はわたしの敵でない。癌細胞を制圧してくれる有難い味方。けっして薬をわたしは嫌わない。堪えるべきは堪える。堪えられる。

2012 8・19 131

 

 

* 体重66.5kg  食べている効果か。朝の血圧 111-60(78)   血糖値89  休薬効果が出ている。食べ物に味わいがほのかに戻っている。しかしそれは本来の「抗癌」に背くことなのかも知れない、その辺は主治医を信頼して指示にしたがう。

熱暑下、眼帯してひとり沼袋の歯科医へ。治療すべき歯は、今度の休薬時にしたいと女先生。で、歯の掃除をしてもらってきた。

江古田で、例の右眼の異変を見つけてくれた眼鏡屋に寄り、二つ時計の修理を頼んできた。途中昼食の気が起きず、保谷駅構内で桃や鮓やビスケットや花林糖を買って帰った。幸い一台タクシーが待っていて、炎天下で立ちん坊を免れた。

2012 8・20 131

 

 

*  体重65.8kg  血圧104-64(71)血糖値 93  朝、口中ザラザラと苦いが、体違和ほとんど無し 目薬さすと右目キロキロと異物感がある

 

* ま、絵に描いたような真夏のカンカン照り、陽光かぎりなく眩しく、暑い。その中を聖路加眼科へ。

 

 

先生  以下 お教え下さい。   秦恒平

1 手術後 診察する先生がみな、わたしの右眼手術後を「綺麗」と言われます。この「綺麗」とはどういうことなのか、お教え下さい。

2 黄斑前膜と白内障とは、手術によって、要するに現在どうなっているのでしょう、お教えください。

再発ということもあるのでしょうか。それにはどういう要心が必要なのでしょうか。

3 右眼は手術して頂きましたが、現在の「左眼」は、どういう状態に、今、あるのか、お教え下さい。

4 目薬は、以前からの「タブロス、ヒアレイン」の二種、術後に現在「別の二種」を処方して頂いていますが、あとの二種は手術した右眼だけ、タブロスとヒアレインとは、両眼に用いていますが、それで宜しいか、お教え下さい。

5 視野が朦朧としたり、右眼がものに触れるとかすかに痛かったりします。

眼鏡と現在視力との釣り合いがまるで不調ですが、いつ頃になれば適切な眼鏡を新調できましょうか、お教え下さい。

以上  12.08.21 診察時にお尋ね。

 

いちいち答えて頂いた。

左眼にさしたる問題今はなく、右眼の手術後は黄斑前膜もすっかりとれて、白内障も。「綺麗に」とはそういうことと、術前と術後の写真を見せられた。なるほど。退院時処方の眼薬二種はもう必要なく、従来もらっていた緑内障のためのと、もう一つ白内障のための日に四回のとを、続けるようにと。一月後に、眼鏡の処方を作りましょう、と。ときどき右眼がキロキロと異物感を覚えるのは、術中に用いた糸がまだ溶けきらぬからで、ほどなく、問題なくなるでしょう、と。なるほど。感謝。

 

* 一時過ぎに病院に入り、検査と診察とを終えて病院外へ出たのが三時前。順調に済んだうちで、真夏でなく混雑したときなら、当然のようにもう一時間の上もかかる。

築地は赫くばかりに明るく暑く、有楽町線でのがれた。空腹を感じていたので池袋で降りたもののデパート八階の食堂街までの気が失せ、西武線で帰ってきた。ガンガン照りの下でタクシーが待っていてくれて助かった。

明後日、もう一度、今度は腫瘍内科へ通院。フウー。

2012 8・21 131

 

 

*  体重66.0kg  血圧103-54(73)血糖値 96  朝七時半、口苦くザラつくのを、シーバス・リーガルを数滴たらして不快感を散らした。口中全体が痛みかつ燃え上がるほどの刺激。もう一寝入りして、朝食に西瓜と桃、バン少し。服薬。この朝食ではと予想通り、まもなく下痢。下痢は心配していない、腹中の重みを一掃できてよい。

2012 8・22 131

 

 

* 休薬で、からだが憩うているのか、食べ物が口に入る。昼は卵かけ飯や、チーズや、トマトや、花林糖のたぐいが相応の味わいで食べられた。

2012 8・22 131

 

 

*  体重66.2kg  血圧102-56(63)血糖値 89   午前中に腫瘍内科へ。いやはや、まこと、この快晴の炎暑、日陰もない道を歩いて行くのは、たいへん、たいへん。

 

杖ついて眼帯の老(おい)が道ばたの白い花むらを写真に撮れる

 

そんなこともして、喘ぎをこらえて行く。

腫瘍内科で、今朝までの休薬が、データの上でもやや好転していたので、「今夕から二週間の服薬」をまた始めましょうと。

今回の休薬はほんとうに楽を貰った。食べ物の量とほのかな味わいの回復を感じ取っていた。体重もかすかに増えたと感じたり。しかし体重は減って行きつつある。

今朝の 体違和はすこしも無く、しかし築地までの通院でかなり、バテた。

病院を出た正午ごろから、空腹と謂うより食べないとアブナイという気がしていた。銀座の三笠会館まえへたどり着いたときはもう倒れるかと思うほど熱暑に弱っていて、辛うじて和食の「吉野」のテーブルについた。中華料理をと思っていたが真昼間の満員で。

吉野膳という、食べきれるかどうか分からないコースを敢えて注文し、難しい名の純米酒をグラスで。

食べました、かなりの量と種類とをほぼ残さずに。しかし酒は受け付けなかった。食べは食べたが、美味いと感じた何もなく、三笠会館をまた炎天下に出たときは、むしろぐたりと疲労の極の感じ。何を食べてきたという、喜びは、何もなかった。「吉野膳」の献立はなかなかのもので、元気なら喜んだろう。献立表を見た妻は「まあ。食べたい」と言ったほど。要するに、わたしが弱ってしまっていたのだ。四日間のうちに歯科、眼科、腫瘍内科と続いた、凄いばかりの猛暑の連続だ。

帰宅後、潰れるように二時間半ほど床に。十冊の本を読んだあと、寝入った。

夕食はご飯を軽く一膳。帝劇で買ってきたちりめん山椒が美味しくて、ふりかけて。桃。すこしトマトも。それだけで、「抗癌剤ts1 3カプセル」を服用。また二週間、頑張る。

そうそう今日の排尿はきもちよく快調だった。ビリルビン値も少し下がり、血小板もすこし増えていますと、先生。体重減と薬の量も慎重に計算して、やはり一回3カプセルで続けますとも。何であれ抗癌剤は受け入れる。

2012 8・23 131

 

 

*  体重66.2kg  血圧102-55(55)血糖値 102  服薬 朝、体違和無い。桃の朝食。

吉備の有元さん、再びすばらしい桃、純白にちかい、かすかに桃色の珍しい桃を五顆下さった。じつに美味く、ほの甘い甘い水気に命蘇るよう。有り難うございます。

2012 8・24 131

 

 

*  体重66.2kg  血圧102-55(55)血糖値 102  服薬 朝、体違和無い。桃の朝食。

吉備の有元さん、再びすばらしい桃、純白にちかい、かすかに桃色の珍しい桃を五顆下さった。じつに美味く、ほの甘い甘い水気に命蘇るよう。有り難うございます。

 

* 昨晩、建日子が自転車で目黒から帰ってきて、届いていたコンピュータをすっかりセットしていってくれた。ディスプレイと一体型、マウスもキーボードもコードが要らない。あらましを遣ってくれたので、細かいことはこれから彼に教わることに。気分もふしぎに明るくなった。有難う。

それから、やはり持参の映画「指輪物語」第二部を数時間親子三人で楽しんだ。

わたしはこの作二度目を読んでいるさなか。一度目の読みもかなり克明に忘れていないので、映画の作画のみごとな再現、丁寧でリアルな再現に驚嘆しつつ、大いに楽しんだ。ここまで出来るのかと映画技法の進化にも深化にも敬服する。少なからず文学表現が寂しくなるが、とはいえトルーキンの原作は、映像に負けない適確で美しい描写とはげしい展開、たじろぐことが少しも無い。名作と謂うにみごと値している。

ただし大長編なので、せっかちな人、手荒い読みになれた人には勧めない。一行一行の美味をすいこむように楽しめる人ほど原作の確かさ美しさにしっかり溶け入れる。映画は、まだ、もう一部ある。

見終えて、あれで一時過ぎていただろうか、また自転車で目黒へ帰っていった。有難う。どうか怪我しないで、事故にあわないでと願い願い見送った。そして、床に。残しておいた稗史とファンタジー「南総里見八犬伝」「指輪物語」「イルスの竪琴」を楽しみに楽しみに読んで、こころよく寝入った。いまこの三冊が、胸の内で魅力を三つどもえに発揮している。建日子の置いていったSF「星を継ぐもの」も佳境に入ってきている。東洋文庫の「唐代伝奇集」1と2は読み終えた。読み継いでいるもう十数冊も、それぞれに読み応えがして競うほどにわたしを飽きさせない。

2012 8・24 131

 

 

* 夕食に、おこわを一人前、ごま塩をかけて食べた。西瓜も。服薬じたいは少しも気にしていない。

2012 8・24 131

 

 

*  体重66.4kg  血圧113-58(56)血糖値 90  朝、きつい口渇と苦みで目覚める 桃一顆と強飯半分強の朝食 服薬。

2012 8・25 131

 

 

*  体重66.1kg  血圧116-62(68)血糖値 99  朝、尋常 右眼泪溢れ当惑。

2012 8・26 131

 

 

* 「湖の本113」の用意を進め、また八月日録の保管保存の用意も進めた。眼が乾いている。やすまねば。

2012 8・26 131

 

 

*  体重66.2kg  血圧111-64(78)血糖値 99  体重66.2kg  朝、食すすまず 桃美味し 視野不安定

2012 8・27 131

 

 

* 夕方、国立大劇場での松鸚会に出かけた。五列目花道に近い角席という絶好席をももらっている、その目の前で、開幕小一時間のうちに、悲しむべき危険事故が起きた、らしい。幕が降り、今夜の催しは「中止」と告げられた。ここにあやふやな推量は書かないが。心より案じている。心配でならない。どうか無事、ないし軽い事故で終えていて欲しい。

 

* 夜のこと抗癌剤を飲む必要から麹町までタクシーを使い、角の、佳い中華料理店「登龍」に入った。北京ダック四本、すっぽんのスープ、紹興酒一合を注文した。気は晴れず、酒は少し残したが、北京ダックとスープの美味いことに驚喜した。その足で帰ってきた。駅で桃四顆と花林糖とを買ってきた。

 

* 明日もう一日の催しは行われるだろう。真昼間に、行ってくる。なんでもない笑い話でぜひあってほしいが。

2012 8・27 131

 

 

*  体重66.3kg  血圧107-52(57)血糖値 87  体重66.3kg  朝、桃とパン 服薬 体違和特には無し

2012 8・28 131

 

 

* 仕事していてドライアイ気味に悩まされる。すこし休む。

2012 8・28 131

 

 

* あって欲しくなかったたまたまの休日になってしまい、午後には読書後に昼寝もした。排便がないが、体違和は特には無い。眼の乾燥にだけは視野朦朧として困惑する。ときどきからだがゆらついて危ない。昨日帰りの地下鉄の中で倒れかけ危うく人の腕に手をかけて免れた。

2012 8・28 131

 

 

*  体重66.3kg  血圧102-57(66)血糖値 91  体重66.3kg  朝、桃とパン 服薬 体違和特には無し  視力視野の動揺に困惑 午前に聖路加感染症内科の受診察に。

2012 8・29 131

 

 

* 血液、尿とも問題なく、尿に白血球無く、ビリルビンも血小板も問題なく改善されていた。食味のわるさとも関連するのだろう、口内炎がみとめられ、含嗽シロップ液が処方された。これは抗癌剤の影響。薬剤の処方が変わった。来月二十四日にまたの診察。

 

* 院外薬局で処方の薬を受けとり、日比谷線を銀座で降り、ビッグカメラで、一太郎の最新版「2012承」を買った。昼食時間にだいぶ遅れているので、地下の「小洞天」へ入ったが、注文した焼きそばも焼売も生ビールもみなからだが受け付けず、殆どを残して、退散。有楽町から一路帰宅。どこへも寄らなかった。

2012 8・29 131

 

 

* 新一太郎をインストールしたが、当分はいろいろと戸惑いそう。

幾分疲れてもいる。

明後日はまた歯科へ。九月六日には腫瘍内科へ。それから眼科、それから歯科、それからまた眼科、今度は糖尿病内科と感染症内科。九月もまた病院通いで輻輳する

2012 8・29 131

 

 

*体重66.5kg 血圧105-53(62) 血糖値 101  朝、握り飯少し 種なしマスカット 服薬 排便 眼のほか体違和なし

2012 8・30 131

 

 

*体重66.0kg 血圧105-54(73) 血糖値 101  朝、西瓜 飯少し ヤクルト 服薬五種 点眼数種 硬結気味の排便 昼、飯少し 葡萄巨峰五顆 昼の服薬 かなりの排便 今日は四時予約の歯科医へ 熱暑 どこへも寄らず保谷駅で 桃 葡萄種なし巨峰 グレープフルーツ バン買ってタクシーで帰る 夜、さつまいも細い一本だけ 服薬 とくに体違和無し

2012 8・31 131

 

 

* 年のことでいま思い出した、今年は暮れの誕生日がくると喜寿七十七歳になるのだった。病気つづきでそんな祝い事は念頭を落ちこぼれていた。古希の時は歌集文庫「少年」が折りよい記念になったが、今度は何のアテもない。平凡社文庫がいつ頃の刊行か、知らない。

2012 8・31 131

 

 

* 八月尽  今月、猛暑の中、十二回もの外出を乗り切った。

2012 8・31 131

 

 

* 体重66.2kg 血圧105-55(58) 血糖値 95   朝、桃、ドーナツ一つ ミルク一杯 服薬 体違和無し  仕事 昼、牛肉煮、巨峰十粒、飯半膳 服薬後 就床読書少し 短時間昼寝 強烈な苦み腹から湧き驚く 仕事 自転車で郵便局 帰路に坂、疲れる 晩、鰹刺身、飯半膳、桃 宵寝  薩摩芋少し 食少し進むか 排便 排便後排尿快調 貧血か低血圧ゆえかよろめくこと増えている 他に特に体違和を覚えず

2012 9・1 132

 

 

* もの凄いとしか謂いようがない苦さが腹の奥から湧いてきて、昼寝から起こされた。初体験の強度の苦さに驚いた。「おどろく」とは「目の覚めること」とは承知していたが、体験として教えられた。他には幸い苦痛な体違和はない。坂の道を自転車で郵便局まで往復して、疲れたにしてもさしたることは無い。今日は久しぶりに雨も降り、ランニング姿で自転車をはしらせると心もち涼しくもあった。

2012 9・1 132

 

 

* 感染症科で処方された含嗽のシロップが幾らか舌に効いているのかも、食、美味くはないが堪え堪え食べられている。

2012 9・1 132

 

 

* 昨日来の雨 渇水の虞れあるとき、恵みの雨か。十分に朝寝 体重65.2kg 著しく減る 血圧108-55(66) 血糖値 103 朝、桃、ドーナツ三分一 薩摩芋一囓り 巨峰七粒 服薬 点眼 下腹部不穏便意か 体違和特に感じない 昼、卵かけ飯一膳 午後仕事で眼も疲れぐたりと昼寝  驟雨に目覚め 夕食は水飯一膳 魚菜口に合わず 服薬

2012 9・2 132

 

 

* 体重65.9kg 血圧108-61(60) 血糖値 89   朝、中華風握り飯一個 桃 巨峰沢山 服薬 腹鳴  眼の不調 瞑目が楽 排便二度 十時地元佐藤眼科へ「あれ以来」の報告とお礼に。手術はとても綺麗に成功しているといわれ、点眼薬や眼鏡その他の注意すべき点を懇切に教わってきた。

昼飯は進まなかった。西瓜と中華風握り飯の半分ほど。昼は食後の決められた薬が少ないので、抗癌剤もないので、食べなくてもいいやという気が動く。食べてあとより、食べないまえの方が心身ラクなので。それでは貧血に加えて結局疲労し、体力は落ちて善くないと分かっているが、あまりにも食べ物が苦痛なほど口に合わない。苦くて味がなく、砂や土を食べているよう。

さすがに疲れて、二時頃から五時前まで本も読まずひたすら寝ていた。目覚めたとき朝かと思った。心身軽くあかるく、寝ていた効果は歴然。

こういう体調の時、こうして気ままに何の拘束も受けず病身をいたわっておれるのを、ほんとに幸せに思う。

2012 9・3 132

 

 

* 聖路加では「二人主治医」ということを勧めていて、地元の医師と聖路加とが連携して患者をフォローするのが善いとしている。他の諸科はともかく、眼科はそうしようかな。

帰りに保谷駅にくっついたスーパーであれこれ買い物して一時前に帰ってきた。

2012 9・3 132

 

 

* 眼鏡の新調は手術から三ヶ月は待ってくださいと佐藤眼科の先生に言われてきた。まだ手術から四十日余にしかならない。この視野の不安定なままもう一ヶ月半は辛抱しなければならぬ。もう何をしてもいいですが、手術した目にものをぶつけないでくださいとも言われた。これは気にしている。横寝して本を読み赤鉛筆をもっているとき、するりと鉛筆が手から漏れ落ちて病眼のちかくへ当たったときは仰天した。

とにかくも持ったものを手から落とすことが頻繁になっている。情けないが要心しなくては。

2012 9・3 132

 

 

* 体重65.1kg 血圧105-55(64) 血糖値 98   朝、ミルク半杯 ミカンジュース半杯 巨峰十粒  飯半膳 服薬 下痢  服薬からまぢかい下痢は薬効を損じないかと気になる。排便するとからだはラクになる。昼は食べた実感が無い。午後はロシア映画「戦争と平和」に魅せられ何もかも忘れていた。晩は、昨日は食べられなかった牛肉の煮たのを甘辛く味をキツクして貰って食べた。胡瓜揉みも酢の味で食べ、野菜と巨峰のむき身も食べた。野菜ほんのすこし口にした。処方された含嗽剤も使っているが、ほかにウイスキーか焼酎かで口の悪さを刺激して追い払っている。チューインガムも役立つ。夕食後、服薬して腹部にウーンという感触があったので床に就き、十数冊をおもしろく読んだ。そして仕事のために二階へ。腹は張った感じだが、とくに体違和は覚えていない。

2012 9・4 132

 

 

* 金沢の作家、金田小夜子さんから、彼女自身が名付け親の、とても大粒の「ルビーロマン」という葡萄を一房頂戴した。大きい大きい、巨峰も大きいが体積は三倍ほどか。もっと大きいか。普通の葡萄がバレーボールと比べたピンポン球に見える。去年にも戴いたのでその甘さ、美味さはしかと覚えています。感謝。

さすがに季節の移動で桃は味も確かさも落ちてきた。吉備の有元さんに二度もいただいた桃を断然筆頭に、店売りの桃の総じてうまかったこと、命をのばした心地がした。西瓜もうまかった。

それにしても、好きな日本酒の味がよみがえってこない。ワインも。ところが、これこそダメと思っていたウイスキーのシーバスリーガルが、また焼酎が、それぞれ小さなグラスの底に二、三ミリだが、苦い口の口直しに卓効あり、ほんのりと味わいも得られる。焼酎など、知らぬうちに杯を重ねていたりする。

要するに上品な薄味は却って苦くて味無くて、塩昆布や錦松梅やアミやくぎ煮やちりめん山椒など、しつこく塩辛いほどのものだと口の苦みに拮抗してくれる。好きな麺類が、苦みでは無く、誤嚥ぎみに食べ損じて、何度試みても嘔吐のモトになってしまう。

だが、何であれ、量の多少を問わず、朝から夜まで食べていないと、体重は減り続け、貧血でのたちくらみも、危険なほどひどくなる。うっかり手術した右眼をものにぶつけては大変なことになる。「ぶつけないでくださいよ」と昨日も佐藤先生に言われてきた。

2012 9・4 132

 

 

* 体重65.1kg 血圧115-61(63) 血糖値 101  朝、強飯少し 卵かけ飯一膳 巨大葡萄ルビーロマン一粒 服薬 体違和無し

仕事 昼、桃 飯一膳 午後映画とドラマ一つ見て 読書 仕事 湖の本113 責了迄 夕食、餅二つ煮て 服薬 夕食後すこし横臥  入浴後体重55.3kg  仕事 体違和感無し 明晩まで抗癌剤服薬 ts1 ちょうど無くなる 明日の十一時聖路加腫瘍内科診察

 

2012 9・5 132

 

 

* 体重64.7kg 血圧113-66(69) 血糖値 93   朝、黄桃一つ ルビーロマン二粒 餅二つ 服薬  体違和無し  今晩まで抗癌剤

服用 十一時聖路加腫瘍内科診察  血液の諸データ相応の副作用をみせているが急を告げる程でない 貧血が今後も続きそうだが、今より強度になった場合は月一度のビタミン点滴で優に凌げるだろうと。痛みも出血もなく、摂食障害だけが顕著な現状、重だるい体感が始終あるだけで他に体調の不良も悪化も自覚していない。自覚しても凌いでいる。明日から一週間の休薬になり、また相応に少し回復があるだろう。

二時ちかく、処方の抗癌剤次の二週間分を薬局で受けとり。さて食べなくてはいけないが。鮓の福音はもう暖簾を巻いていた。銀座で地下鉄を降り、さていろいろと思い巡らしていたが店の前まで来ると、食べられないだろうと通り過ぎる。パンの木村屋で小粒の餡入りを五種買って、結局地下鉄に。インシュリンを打ち、パン一つを車内で行儀悪く食べ、各種の薬を飲んだ。池袋でおり、また食餌のいろいろを思いつつ西武の八階に渋々あがってみた。日本料理の店先に「松茸御膳」を見つけて店に入った。食べられたのは、土瓶蒸しの汁、辛うじて茶碗蒸し、赤出汁、デザートのくず餅。揚げ物はただ苦く、名ばかりの松茸飯もダメ。要するに汁けのものだけ口にして退散した。この調子では、店にはいって食べるということに極端に臆病になってしまう。先日麹町「登龍」にとびこんで食べた北京ダックとすっぽんのスープのような美味い出逢いが、宝くじ当選のように想われる。

保谷駅で梨を買って帰った。冷えた水けの果実をせいぜい食べよう。服薬のために強いて食べた飯がまずく、葡萄の巨峰、ルビーロマンに救われた。今期最後の抗癌剤をのみ、その他ナンパオやスッポンのカブセルや、アリナミンを呑んだ。疲れに堪えられず潰れるように宵寝した。ものすごい喉元の苛烈な苦みに目覚めを強いられた。胃は無いので胃酸ではなく、食道へ直結した小腸から逆流してくる胆汁だと教わってきた。すこし枕を高くしてとも。理由が分かると、それは当然だなと納得する。

 

* 病院でも電車でも、平凡社から届いていた文庫本のゲラを読んでいた。得意の話題、若かりし日の筆力、推察力、批評力の面白い産物に、筆者のわたしが、驚いた。これなら、来る「喜寿」の恰好の記念になる。平凡社に感謝。

「湖の本」をはじめて、十巻も続くものかと陰口を叩かれたのが、今度の新刊で、継続二十六年を超え、百十三巻である。だが、そうなればなるで出版社は、母港である筑摩書房ですら、もうわたしに見向きもしなくなった。そんな状況で、今回平凡社が自社でこの本をと選んで文庫本を出してくれると提案してくれたのには、嬉しいよりも、さきに、吃驚した。ふっと胸が明るくなった。眼科病棟へ三度目の入院直前のことだった。

2012 9・6 132

 

 

* 体重65.9kg 血圧97-55 (63) 血糖値 95   朝、葡萄ルビーロマン三粒、飯一膳 ヤクルト、青汁など 服薬 今朝から一週間の休薬 体違和をとくには覚えない。午前、仕事。昼、巨峰と半膳飯程度で、さして食べず。ことに今日は視野曖昧、困惑。そして疲労時間を追って加わる。それでも自転車で夕刻近く、駅前通の文房具店まで用事で。疲れて、寝入る。夕食、味濃く煮付けた牛肉と飯一膳。

2012 9・7 132

 

 

* 体重65.4kg 血圧109-58(74) 血糖値 96   朝、飯に味噌汁かけ、アミや刻み塩昆布まぜて 服薬各種 下腹部に重み感じる程度 体調は普通 どんよりして疲労に似た体感は常に払拭されない。貧血ゆえか。午後東工大の昔から仲良くしてきた卒業生が訪ねてくれ、数時間もコンピュータ四台の環境調整をしてくれた。その間ひたと側にいたが、体違和は何も感じなかった。夜食はだが、巨峰三粒と、さて何を食しえたやら。食後排便。体感普通。どよんとはしているが。

2012 9・8 132

 

 

* 目が、霞んで困る。すこし休む。休みながら身辺少しだけ片づける。キッチンが仕事場にされ、大混雑なのを少しは整理し、食卓を物置から改め、せめて食卓らしく用いたいが、はてさて。

2012 9・8 132

 

 

☆ どうぞお大事に

秦 恒平様  久しぶりに「私語の刻」拝見し、近況を知って胸ふさがる思いでおります。

やっぱり抗がん剤治療は本当にしんどそうで辛いのですが、お書きになっていることが政治の状況を含め、冴えわたっている感じで驚きです。

実は一度お目にかかれたらなとずっと思っていたのですが、まだ時間がかかりそうですね。しかし、必ず良くなると思いますので頑張ってください。

小生は相変わらずの仕事の無間地獄にはまっています。とくにこの春から河出書房の手伝い仕事をしていたので、とにかく大変でした。いつまで続くかわからなかった個人事業主の仕事ですが、九月末の契約更改を前に、あと半年ぐらいというのが見えてきました。愛着してきた仕事が終われば、少なくとももっと頻繁に「私語の刻」は読めると思います。終わることがさびしくもあり、自分の仕事にかかれるという嬉しさもありという心境です。

機械の故障でメールアドレスなどが失われたとのこと、とりあえず記録に残していただければと書いてみました。

ちなみに小生の体重は最近67キロぐらいになっています。  吉

 

* 彼、「吉」さんとは、体重を減らす競争を挑み合いながら、わたしはいっこうに減らせないでいた。最大で86.6キロはあった。余儀ない病気発見、胃全摘その他三度もの手術や入院を経て、今日夜の入浴後体重は、65.9キロだった。1キロほど先へ行ったが、これはまったく勝負にはならない。自力と意志づよさで67キロは、敬服する。

いつも会いたい人である。酒が飲めない、食べられない、珈琲やジュースなども口にも入らないのでは、なあ。

2012 9・8 132

 

 

* 体重65.3kg 血圧114-61(65) 血糖値 93   体重65.3kg  朝、巨峰七粒 飯半膳だけ 服薬 枕高くしてから胆汁の溯上無い 体違和平静

2012 9・9 132

 

 

* 午後に俳優座稽古場でのチェーホフ「かもめ」を観にゆく。

稽古場公演は密度濃く観てとれて楽しい。どうか満たしてもらいたい、感動を胸に。

 

* 強烈な日盛りの正午に家を出た。バスは待ちかね、来合わせたタクシーで駅へ。六本木の俳優座劇場稽古場へは一時十五分に

入った。とても見やすい三列目の通路脇をもらった。

「かもめ」を何度か観てきたが、今日の稽古場のがいちばん明瞭に内容を伝えて感銘を誘った。

舞台、演出が効果的に巧みで、場面の転換を正確に伝えてくれた。美学藝術学的な場面や台詞が静かに胸にしみて、作家の私としてはチェーホフの作意の或意味の苦々しさや難しさが面白く分かりよく活かされていた。誰もかもが幸せで無く、そのうちの誰かはけっこうずるく、誰かは恋の哀れに泣き、誰かは遁れようのない名声欲にとりひしがれ、誰かはひたすら孤独であった。チェーホフ世界はそういう人間の鬱屈や絶望を抱き込んでいて、死の影も容赦なく襲ってくる。

俳優達の誰がどうこうということは、今日の舞台では二の次である。トレーブレフが、ニーナが、トリゴーリンが。ソーリンが、ドルーンが、アルカジーナが、マーシャやポリーナやメドヴェジェンコやシャムラーエフが、どんな運命と人生に喘ぎまた諦めまた安く誤魔化しながら生きているかがくっきり見える舞台であったからは、ほぼ立派に及第点。

チェーホフの舞台劇の主要名作をすべて熟読し、いまは妻のクニッペルに宛てた夥しい書簡をわたしは愛読している。そのことも観劇にいい視座をあたえてくれていた。

からだはかなりバテていたのだが、持ちこたえた。だが練馬駅の構内で何度も入っている鮓店に立ち寄ってはみたものの、注文した鮓種も純米酒も苦くて味無くて尽くダメ。妻の注文分についてきた茶碗蒸しと味噌汁だけに「味」が有った。そして食後貧血はことにひどく、立つと目の前が暗くなった。血の気の引いて行くのが分かった。

保谷駅からは幸い五六分でタクシーが来てくれた。

2012 9・9 132

 

 

* 体重65.1kg 血圧101-57(69) 血糖値 93   体重65.1kg  朝、バナナ一本 葡萄ルビーロマン二粒 ミルク半カップだけ 服薬

心気は普通 体感は脆弱。白髪茫茫、鏡中の幽霊は誰そ。

今日は二時半ごろから歯科治療に出かけねばならぬ。日射のすこしでも陰るのを願う。

本発送の用意は進まない。仕方が無い、ゆるゆると。もう一週間もすると出来本が届きそう。とまれ、成るままに成ればよし。天下の急務ではない。

それより週末十五日の新橋演舞場の昼夜通しの観劇を楽しく迎えたい。染五郎代役に建部源三予定だった吉右衛門が松王丸を演じる。これが前評判すばらしいと聴いている。建部は梅玉が立つと。これも楽しみ。吉右衛門は河内山宗俊と夜の武智光秀の三役ご苦労さま。梅玉も昼夜に三役、期待している。なによりも休薬明け、十四日からまた抗癌剤の入るその翌日の昼夜の観劇、はたして体力如何。それも舞台の映えに依る。父芝翫を偲ぶ福助の大切り「道成寺」に注目したい。

明後日十二日は上村淳之傘寿の祝賀がある。記念展の高島屋で。傘寿まではわたしはもう三年。妻とお祝いかたがたあやかりに行こうかと。

十八日に眼科診療、その翌日には保谷市のホールへ来る坂東三津五郎独り芝居が晩にある。

二十四日には、糖尿病と感染症二科の診察を受けにゆき、二十六日夜には舞踊の藤間会に妻と出かける。顔ぶれが多彩な祝賀ムード。染五郎の出ないのが一抹寂しいが。その日、歯科治療も受ける。

ま、からだでの勝負を挑んでいるような過密スケジュール、大事を起こさぬようにしたい。

 

* 二時過ぎに家を出た。空気も燃えたようなギラギラの熱暑。それでもバス停がわずかに木陰になっていた。江古田からまたバスに乗る。江古田二丁目から歯科医院まで、日陰を辛うじて縫うように。左下の歯から神経をぬく治療、事前にレントゲンを三枚。かすかに左奥の上下がしみる程度なのだが、虫歯もぐらぐらもいくらも有るらしい。お任せしますと。

四十年余も、同じ歯科の父・娘先生に診てもらっている。

帰路、江古田ですこしだけ遠回りしてブックオフへ。なぜだか前回立ち寄って「椿説弓張月」が無いかと聞きに立ち寄ったときから、岩波文庫が買いたくて堪らなかった。「易経」上下巻、「後撰和歌集」「拾遺和歌集」「後拾遺和歌集」プーシキンの「大尉の娘」ツルゲーネフの「猟人日記」上下巻、都合八冊も買ってきた。溜まりに溜まった本の整理に苦心しているのに新しい本が買いたくて読みたくて堪らないとは、これも病気か。呵々。気をつけないとまた眼を患いかねない、一時に読む冊数を自制し抑制しないといけない。しかし買って帰った八冊はすぐにも読みふけりたく誘惑されている。後撰和歌集とロシアに文学を勃興させたプーシキン晩年の最高傑作とされる「大尉の娘」に、もう、ウズウズしている。

ついでにブックオフ近くの和菓子店で棒羊羹いろいろを買い、江古田駅前のマクドナルドで、食べられないかなと希望的観測のもとに、油で揚げたジャガイモのスティックLサイズを買い、さらに保谷駅でタネ無しピオーネ葡萄の房を買って帰った。

医院の待合でも、行き帰りの西武線でも、平凡社のゲラをずんずん読んでいた。昨日の帰りほどでは無くても、グダグダにからだは暑さに参っていた。夕食は、やっとこさ冷や飯半膳にチリメン山椒をふりかけただけ。期待のポテトスティックも苦くて食べられなかった。食べる食べ物のどれもこれもが苦くて苦くて堪らぬとは、ほんと、情けない。

2012 9・10 132

 

 

* 昨夜はつぶれるように寝入った。

 

* 体重65.4kg 血圧107-59(64) 血糖値 91   体重65.4kg  朝、バナナ半本 巨峰三粒 ポテトスティック数本 小羊羹一つ 中華風握り飯半分 服薬 心気体感ともに尋常。午前、横になって読書十五冊、さらに平凡社文庫本の校正。昼、何を食べたとも。とにかく苦くて。午後も仕事、平凡社文庫本を責了に出来るまで読み切った。「後撰和歌集」の解説を読み、概略を頭に入れた。晩は、卵かけの飯を半膳、巨峰四粒、他は覚えぬまま、服薬。ズーンと体の芯が溶けたように気怠い。両腕は肘上の関節まで色素沈着で黒ずんでいる。晩、イラクとのサッカー試合など観て体感の重さをまぎらわす。

 

* 湯に浸かり、八犬伝、指輪物語、星を継ぐものを楽しんだ。湯の温度がからだの懈さを忘れさせてくれる。

2012 9・11 132

 

 

* 体重64.8kg 血圧90-55 (65) 血糖値 90    朝、牛肉の炒り付け ふりかけ海苔の飯一膳 焼酎猪口半杯 体感、表面軽く内に重懈い  昼は焼売二個 ふりかけ海苔の飯一膳  徐々にからだ怠くなる

2012 9・12 132

 

 

* 五時半に、妻と、日本橋高島屋の「傘寿記念上村淳之展」の会場に入った。上村さんの夫妻にまずお祝いを申し上げ、懇切な御見舞を戴いた。わたしは今年の暮れに喜寿、あやかって八十にまでも元気にありたい、そんなお祝い気持ちで参上しましたと。

淳之画伯自選の作品展で、気の入った納得の行く作品選定であり、会場は清潔な空気であった。

花鳥の時代はあるいは過ぎて行こうかとしている。しかし花鳥画は東洋画の不動の分野でなければならず、後継者の盛んな登場を願いたい。花鳥画の優秀な作品は、凜然と胸にひびいて静寂かつ強靱なのである。今の人にはその辺の価値判断があるいはしにくいかも知れないが、大事に盛り育てて欲しい。

画伯は気が優しい。それはいい。その上に花鳥の命に、より強靱な命の波動を表して下さると嬉しい。

別館の四階で祝賀の宴があった。文壇人の顔がみえず、千住真理子らと一緒に中国二度目の訪問旅行で団長を務めてもらった画家の松尾敏男さんと顔が合い、親しく久闊を叙した。上村さんにも松尾さんにも湖の本は見てもらっている。それにも丁重に挨拶があり恐縮した。うまく出逢えてよかった。この二人には前の歌舞伎座時代に、緞帳繪で幾たびも出逢ってはいたが。

妻は、いくらか、こういうレセプションが好きで、食べ物、飲み物も楽しんで戴く人だが、今晩はなにしろわたしが飲みも成らず食べも成らないまま、淳之さんに失礼の合図をすると、人をわけて礼に来られ、いたく恐縮した。握手して別れてきた。奥さんとも親しく立ち話をし、どうかどうかお大切にご養生の甲斐ありますようにと見舞われて、別れてきた。そういえば松尾さんも二十年も前に胃の切除手術をうけておられ、今はさぞお辛いでしょうが、大丈夫必ずそのうちにお元気に成られますと太鼓判をもらってきた。

 

* 先刻高島屋に入ってエレベーターに乗ろうとして、咄嗟に妻はイタリアの手細工の銀のネクレスに目をとめていた。宴を失礼して一階へおりると妻はその売り場へ向かい、目をつけた銀細工の繊細で美しい品を、よほど高価であったけれど、嬉嬉として買った。たしかに珍しい感じの気の入った彫りの手仕事にわたしも賛同した。

とても歩けない。車で銀座一丁目へ、そして地下鉄に麹町駅まで乗り、大通りの向かいの、このあいだ独り入った中華料理「登龍」へ。望みは先夜ひときわ美味しく食べられた北京ダックとすっぽんのスープ。紹興酒は先日残してきたので、今夜はマオタイがあるかと聞いた。最近マオタイを飲ませる店は無いとすらいえるが、さすが、ちゃんと出してくれた。

みんな美味かった。デザートの杏仁豆腐は半分妻に助けてもらった。満足。妻は先夜土産に持ち帰った料理がとても好きで、今夜も持ち帰り分を頼んでいた。この店をみつけたのは染五郎が、目の前で大怪我してなにもかも中止の帰路であった。あの晩はわたしも気落ちしてよほど調子わるかったのに、北京ダックとすっぽんスープに助けられたのだった。

 

* 一路保谷へ帰った。どの電車でもほぼ必ずのように座席を譲って下さる。ご親切まことに有難い。が、よほど幽霊のような顔をしているのだろうと情けない。

就寝前、例の十五冊をおもしろく読む。

2012 9・12 132

 

 

* 体重65.2kg 血圧120-65(68) 血糖値 90    朝、体調良し 巨峰五粒 メロン八分一 菓子柴ふね三枚 服薬 抗癌剤の休薬は今日いっぱい 明朝からまた二週間服用  徐々にからだ重苦しく 昼は、メロン八分一 卵スープ二杯 飯半膳  午後読書後寝入る 晩は、桃 胡瓜揉み 飯一膳 食後横になって読書 ムローヴァのバイオリン協奏曲聴きながら機械整備 掌ジンジン痺れる

2012 9・13 132

 

 

* ここへ写真を入れたり取り替える手順が機械的に機械の中で変わってしまい、困惑している。「一太郎2012承」に換えたメリットより、困惑の方が今は多い。

晩、好きなムローヴァのバイオリン協奏曲(パガニーニ ビュータン)聴きながら機械整備 掌ジンジン痺れる。

2012 9・13 132

 

 

* 体重65.2kg 血圧96-46 (68) 血糖値 90    朝、黄桃一顆 卵かけ飯一膳 抗癌剤「ts1」三カプセル含む朝の服薬  今朝比較的永く寝た 睡眠後はきまって体感軽快 朝一番に主治医先生ご夫妻の御見舞戴く 感謝 午前は仕事 昼は、メロンと葡萄と卵かけ飯半膳 午後も仕事 湖の本発送用意の力仕事でバテる 晩、葡萄六粒 牛肉を小さく辛く炒った一皿と飯半膳 抗癌剤等夜の服薬 入浴後ドラマ「薄桜記」楽しんで 仕事へ 体重64キロ台に一時的にか落ちる 明日の演舞場歌舞伎昼夜通しのために早く休む

2012 9・14 132

 

 

* 十八日に湖の本113が出来てくるが、今回は、あれこれ混雑して発送用意が順調で無かった。ゆっくりと落ち着いて発送して行きたい。ゆっくりとお待ち下さい。それでも用意の力仕事をして、暑い暑い、つねはめったに入らない隣棟で、ふらふらになった。

2012 9・14 132

 

 

* 体重65.5kg 血圧111-55(51) 血糖値 88    朝、葡萄 卵に振掛け飯一膳 服薬 十一時開演の新橋演舞場へ 弁当場で笹巻き寿司一人前を妻と半分け 昼の服薬や点眼等  昼の部と夜の部との間に劇場真向かいの喫茶店でバニラアイスクリームとジャックダニエルのシングルストレートを「美味い」と 晩食はとくに取らず餡菓子三つだけで 抗癌剤服用 夜の部果てて大江戸線で練馬経由帰宅 歌舞伎を昼夜通しで大いに楽しんだためか、疲労は疲労として、心身むしろ健常 帰宅して葡萄五粒桃ひとつ食す

2012 9・15 132

 

 

* 体重65.7kg 血圧117-62(45) 血糖値 87    朝、葡萄五粒 ちりめん山椒ふりかけ飯一膳 服薬 点眼  朝の体調普通  午前やや力作業 排便  午後一時半、ふと不調で測った血圧は、87-48 (79)と異様なほど低い 横になり読書十冊 晩はじゃがいもの味噌汁二椀 胡瓜揉み ちりめん山椒のふりかけ飯一膳 服薬 点眼等 夜はテレビを楽しみながらほんの発送用意など。やはりズーンと心身が重怠い。

2012 9・16 132

 

 

* なにとなく疲れている。

見つからなかった去年の日記一部分が、林君に故障機のハードディスクから救い出して貰った中で見つかった。今の本機では明らかにその年のその月の日録は整理できておらず、一週間分ほど記事が抜けていた。こういうことが有り、バックアップも多面的に、ファイル名の重複に懼れていられない。読者からの指摘で欠損や整理不十分が発見できた。感謝。

2012 9・16 132

 

 

* 体重66.3kg 血圧110-63(53) 血糖値 92    朝、葡萄八粒 バター食パン半枚不味し 服薬 点眼 機械の内容整理  今日はかなりしんどい。横になり読書し、眠る。手のしびれつよく、目は霞みがち、ズシーンと心身重く、手足は黒ずみ、目の前が暗くなったり、よろめいたり。夕飯ほとんど、葡萄と味噌汁のほか、食べられない。それでも抗癌剤服薬は欠かせない。六時の血圧102-46(77)。喰らい穴へずり落ちて行く感じ。入浴して、八犬伝、指輪物語、星を継ぐものを、せいぜいゆっくり読む。入浴後の体重66.7kg  三度の食事の代わりにヒマを見ては間食している。体がだるい。

2012 9・17 132

 

 

* 明日午前中に、「湖の本113」が出来てくる。午後にはまた聖路加の眼科へ。雨でもいい。涼しくあれ。

明後日は午まえに歯科、夕刻後に保谷の市庁ホールで坂東三津五郎の、なにを演るのか、独演会。妻が入場券を予約していた。

本の発送は、二十日から手がける。今日も発送用意に余念無く。 2012 9・17 132

 

 

* 体重66.1kg 血圧112-56(61) 血糖値 93   朝、葡萄六粒 振り掛け飯一膳を義務のように 昼もろくに食べられず 聖路加眼科へ 眼鏡仕様の検査は早すぎると思った通り、検査技師はもう一ヶ月後にと医師の指定を延期した。少なくも三ヶ月は待たねばと佐藤眼科でも眼鏡屋でも言われていた。点眼薬の処方だけ貰って帰ってきた。途中で何か食べようかと思ったが、ひたすら疲れていて、どこへも寄らず。かろうじて保谷駅前でタクシーが拾えて帰宅。晩、卵かけ飯半膳だけで、晩の服薬。 潰れるように横になり、読書十四冊、十時過ぎまで寝入る。気分持ち直している。手先のしびれ、終日。腰を軸にからだが前傾して硬い。腰をのばしたい。

 

* 午前十時前、「湖の本113」出来てくる。玄関に積み上げる。これも力仕事。いつまで出来るか。本はとても綺麗に仕上がっていた。

2012 9・18 132

 

 

* 体重65.7kg 血圧107-58(63) 血糖値 91   朝、体重65.7kg  朝、桃ひとつ 振り掛け飯一膳 服薬 強い雨 十一時過ぎの歯科治療に  江古田へ戻り菓子とブックオフで岩波文庫三冊買い、保谷駅で鮓買って帰る 昼は、葡萄七粒 鮓 機械の前へ  はやめに果物と強飯の夕食 服薬 六時半、保谷支庁のこもれびホールで亡き井上ひさし作・坂東三津五郎の独演「芭蕉通夜舟」を観てきた。便が一昨日から昨日から今日も結していて、不快。

2012 9・19 132

 

 

* 体重65.9kg 血圧105-58(67) 血糖値 95   朝、体重65.9kg  朝、桃ひとつ 振り掛け飯半膳 服薬例の如く八種  午前、仕事 昼は梨とラーメン麺だけ半分 午後も仕事 途中処方された点眼薬ヒアレイン十本を受け取りに薬局へ自転車で 日盛りと蒸し暑さに参る その後も夕食まで仕事 ぼた餅二つ 卵のスープ多めに 服薬 午後に排便すこし 小刻みの頻尿 ミルマグに加えてサトラックスも飲む  ときどき、ハアハアと息を吐くほどしんどくなるが 堪えられる  ステイーヴン・セガールの映画観ながら晩も発送の仕事

かなり疲れ全身に力なし 服用の薬種が多すぎると云うこともあるのだろうか。 一つには視力がまだ定まらぬままどの合わない眼鏡で生活しているので、危険なほど視野が安定せぬ上に、ドライアイがひどく、それでますます心身の疲労が増している。新しい眼鏡がつくれるのにもう一月かかる。それまで、わたしはよれよれの日々を堪えねばならぬ。むろん堪えられる。

2012 9・20 132

 

 

* さてさて、湖の本113の送り出しにかかり、各界寄贈分の半ば四百部ほど送り出す。寄贈は各界残りと、全国の大学(研究室や図書館)そして高校を加えて、まだ相当数を送り出さねば、そして継続購読の読者、有難い「いい読者」にも。

体を、ある程度の力も遣わねばならないが、妻の応援も得て、もう数日。月曜二十四日には、聖路加の糖尿病と感染症との二科診察に行かねばならず、二十六日には夕刻から妻と藤間會初日に出かける。発送はその先まで延びそう。

2012 9・20 132

 

 

* 体重65.6kg 血圧118-62(65) 血糖値 91 体重65.6kg  就寝目覚め後の体調快適 朝、桃ひとつ牡丹餅二つ 服薬 処方されている薬( 抗癌剤ティーエスワン3 カプずつ朝と夕 ピドキサール朝1錠 25mgアリナミンF 糖衣錠毎食後1 錠 ハルナール朝 1錠 ヒルドイドソフト軟膏手の痺れに適時 朝昼夕・インシュリン注射・ヒューマログ各4 単位 就寝前・インシュリン注射・ランタス6 単位  含嗽剤ファンギゾンシロップ100mg)  自身で追加している薬(ナンパオ毎食後2 カプ にんにく卵黄一日に2 錠 肝油一日に6 錠すっぽん毎食後2 カプ 昼食後には左眼のために ビタミンE1錠 亜鉛1 錠 ビタミンC2錠 ベータカロテン2 錠) 昼 素ラーメン一碗 蜂蜜を数匙舐める 午後は夕刻まで仕事 気が薄れるほど疲れた。晩は、ピザを二きれほど。服薬。入浴して読書五冊 浴後65.7kg 視野定まらぬほど疲労。

2012 9・21 132

 

 

* 体重65.0kg 血圧118-59(47) 血糖値 92 目覚め後の体調快適 朝、桃半分 飯半膳 朝の服薬  梨二切れ 茶漬け海苔で飯半膳 午後仕事 ほとほと疲労困憊 横になり読書十冊 よほど体はしんどくても、本へのうちこみや理会や面白さは少しも影響されていない。日馬富士が鶴竜に勝ち白鵬が稀勢の里に勝った相撲を観ながら、晩は 桃半分 振り掛け海苔の茶漬け半膳 アイスクリーム 晩の服薬 そして仕事。苦しい息づかいと全身の困憊は感じるが、それはそれだけのこと。

2012 9・22 132

 

 

* 寄贈本には四文字で「不待来世」と書き添えていた。一箇所といえども「リンパへの転移」があったと言われている以上、何事が起きるか知れぬとは思っている。抗癌剤がいかに辛くとも、強い味方と信頼している。

2012 9・22 132

 

 

* もう早いところは届いている様子。読者へは今日明日集中しても、もう少し先までかかる。月曜には、糖尿と感染の二つの内科へ受診に行かねばならぬ。一日仕事になるだろう。少し涼しくなってきているのが有難い。

2012 9・22 132

 

 

* ゆらゆら、よたよた、ふらふらと全身が揺れる。一つには視野が定まらない。それで、つい眼を閉じていたくなる。手探りで家の中を二階へあがったり降りたりしている。狭い家のこと、要心しいしい手も足も家屋の様子は覚えていて、目をとじたままでも身動き出来る。

2012 9・22 132

 

 

* 食べられない。大方の食材がどう調理しても苦くて苦くて喉を通らない。堪らない。飯も果物もつい半分になる。ひっきりなしに間食もしたいが、花林糖、蜂蜜、アイスクリーム、氷菓子などばかり。糖分はあるが、炭水化物が入らない。

2012 9・22 132

 

 

* 体重64.8kg 血圧114-60(58) 血糖値 93 目覚め後の体調快適 朝、赤飯三分二 蜂蜜一匙 服薬  排便 午前仕事 昼はピザ一きれ 蕎麦少し 午後は仕事に精出す 夕刻、大相撲の千秋楽、日馬富士が横綱昇進を確実にした熱戦をみながらの 夕食は、卵かけ飯半膳 服薬 入浴してからは大河ドラマ 息子の脚本劇の最終回を楽しんだ。いまは、そう、しんどくない。困るのは視力と視野との不安定だけ。聖路加の二人主治医の方針に応じて、地元の佐藤眼科を申請したのへ、今日、病院からの依頼文書が正式に届いた。 2012 9・23 132

 

 

☆ こんにちは

今日はこちらも涼しい朝を迎えました。

午後には雨も上がりましたので、常林寺さんへ。

お盆は余りの暑さで、お参り出来ず気になっていました。

すっきり、きれいにして、お参りしてきましたのでご安心ください。

萩もよく咲いていましたが、写真が目的の人たちが多く、私は携帯なのでよく撮れてませんが送ってみます。

毎日のお暮らし、何かとしんどそうで心配ですが、しっかりとお過ごしのご様子にいろいろと教えられる思いでいます。

こちらで、何かお口に合いそうなものがありましたら、お申し付けください。すぐ送らせていただきます。

発送の作業など、くれぐれもご無理されませんよう。

どうぞ、どうぞお大切に。      従妹

 

* ありがとう。なかなかお墓の面倒も見られず。ありがとう。萩の寺の萩満開のうねり、懐かしく見入りました。

食べ物は口にする何もかもが苦くて、おおかた喉を通らないのをむりやり食べようとしています。口の中が、舌も、ざらざらしていますので、余儀なくチューインガムを噛んだり、ウイスキー、焼酎などを滴ばかり垂らしますが、引き攣れるほど辛くて。それでも口中の不快はなんとか凌げます。からだはしんどくても、気力などはすこしも変化ありません、今度の本も眼科に入院している最中に、片目で初校したものです。仕事したり読書したり観劇したりしているから、病状とも対峙できます。それと睡眠。睡眠は良薬です、目覚めたときは健康な感じが思い出せます。

2012 9・23 132

 

 

* フローベールの『紋切型辞典』の「過ち」に、「それは罪よりも悪い」と断じたタレーランの言葉を添えている。

「アルビオン」というイギリスの古名には、「常に『白い、不実なる、実際的な』といった形容詞がつく」とある。イギリスという国は、フローベールの頃にもすでに難儀な存在であった。

「胃」には「あらゆる病気は胃に原因がある」と。そうなのかも知れない、胃をすっかり切除してしまった私に異存は申しがたい。みなさん、「胃」をぜひとも大事にして下さい。

 

* さて明日は、聖路加の二つの内科へ行く。早めにやすもう。睡眠はまことに良薬だ。

2012 9・23 132

 

 

* 体重64.7kg 血圧119-62(67) 血糖値 93 目覚め後の体調快適 朝、スクランブル卵少し お茶漬け海苔飯半膳 服薬

2012 9・24 132

 

 

* 聖路加病院へ出かける。発送の残り分に手をつけるのは明日以降になる。

夏の間は空いていた病院に戻ってきた人たちが一杯。十時半に入って生理検査を受け、糖尿病内科の診察が終わったのが一時半、感染症内科の診察を終えたのが三時半。料金の支払いにも時間かかり、完全に昼抜き。薬だけ、なしくずしに飲んだ。

糖尿病は著しく改善が進んでいた。インシュリン注射の単位量を少し減らされた。感染症でももはや前立腺等の感染は終えたと思う、尿も血液もとてもきれいに良い値になっていて、貧血傾向だけが見える、と。

とにかく今日はタチクラミ、ヨロメキが多く、危なかった。何か食べねば家へも帰れぬと思い思い結局池袋で地下鉄を降り、西武デバートの地下売り場を通り抜けていった。すずやの九粒入り栗菓子を買った。千円冊を出したらもう千円が必要だった。また亀戸船橋屋のくず餅を買った。支払いしたあとで賞味期限は明日といわれた。やれやれ。

半ばやけくそ気味にエレベーターで八階に上がり、結局「伊勢定」で蒲焼きの上と、肝吸い、赤出汁と、久保田の純米酒を注文した。どれもこれも口苦くて美味いとは謂えず、途中でチューインガムを噛み口内のざらつきを抑えながら、鰻を食い汁を吸い酒を飲んだ。酒がのこったので胆焼を一串頼んでむりやり飲んで食べた。五時前だったが、晩の抗癌剤ものんだ。

西武線では準急の練馬まで座れなかった。つり革にぶらさがり殆ど目を閉じ、息づかいを殺していた。保谷駅で座席から起ったときのたちくらみで目の前が真暗くなった。そのまま下車、タクシーが駅前に一台いてくれて助かった。

2012 9・24 132

 

 

* 病院でえんえんと待つあいだにプーシキンの『大尉の娘』をだいぶ読み進んだ。とはいえ、眼鏡の不調で永くは読んでいられない、やすみやすみ何度も頁を繰った。なんともいえず文学が明るく澄んでいる。「花」やいでいる。しかも物語はあのプカ゜チョーフの乱のまっただ中で、主人公達はさんざんなめに遭い、しかしそれをすり抜けて行く道筋が、なんともなんとも明るく澄んでいる。独特のプーシキンの「花」と謂おう。

 

* 疲れたなあ、今日は。しかし、どっちかというと、薬には責められておらず、体調はともかくとしても。気合いはわるくない。こうして機械の前にいると、しんどさも忘れるぐらい文章にうちこめるのが嬉しい。

2012 9・24 132

 

 

* 体重65.2kg 血圧127-57(68) 血糖値 89   目覚め後の体調快適 排便  朝、巨峰四つ くず餅 高野豆腐と椎茸の煮付け 朝の服薬 午前、仕事 昼は飯を半膳程度茶漬けで喉へ押し流した。 継続読者への発送を全部終え、さらに寄贈者に、見失った宛名を書かねばならぬ。今週中かかるか。午後も仕事。 夕方、処方された薬を薬局で受けとる。 夕食は、船橋屋のくず餅だけをしっかり食べた。 入浴後、晩も仕事。 自転車で郵便局や薬局に通ったあとは、げっそり疲れるが、やがて夜十時、仕事しているとつい体は忘れている。浴後の体重は、 65.7kg 数冊の読書をしながらの入浴、また良薬 心身軽快。今夜もはやめに休む。

機械から起ち離れるときよろめいて倒れる 物沢山なごく狭い所で物の上に尻餅をついた恰好 踵を強打 立ち上がるのに一苦労したが大過なく。

2012 9・25 132

 

 

* 体重64.5kg 血圧93-49 (65) 血糖値 95   口腔に苦い苔が生えたよう 血圧が低すぎる 貧血を体感 朝食、蕎麦60g  葡萄 林檎ジュース 羊羹半欠け 大下痢  仕事 四時開演の国立大劇場「藤間会」初日の舞踊を大いに楽しむ。はねて帰路、麹町「登龍」で北京ダック、すっぽんスープの遅い夕・晩兼帯の食事。インシュリン注射、抗癌剤服薬 一路帰宅

2012 9・26 132

 

 

* 国立大劇場の「藤間会」初日に出かける。

吉右衞門、菊五郎、梅玉の三人翁、面箱に七之助、千歳に時蔵、そして三番叟に藤間勘十郎の「壽式三番叟」弓矢立合が立派だった。吉右衞門の悠々、時蔵の品格、七之助の奮励、とりわけて勘十郎の三番叟の見事な格調に感嘆した。

次いでは何と言おうと玉三郎の「竹」を賛美し親愛の「此の君」が、胸をさわがすほど絶品の美しさだった。玉三郎に会うのは久しぶりだった、嬉しかった。

あと。「出雲梅」を舞った藤間綾がとびきり上手だった。藤間香花の「鏡獅子」は前シテの弥生が長くてやや退屈したが、後シテの獅子はまことに立派で、前シテの分を帳消しにした。「豊後道成寺」の藤間利弥も長い舞いを悠々と達者に舞った。

贔屓の坂東亀三郎、亀寿兄弟が男伊達で、女伊達の藤間勘壽々につきあった「女伊達」が綺麗にしっかり纏まった。勘壽々は老女であろうが、悠然と崩れなかった。相当な達者にちがいない。大喜利の「雨乞其角」は賑やかしに過ぎなかった。

四時間半を大いに大いに楽しんだ。

麹町「登龍」でおそい晩食、マオタイが効いた。妻は北京ダックとすっぽんスープのほかに八宝菜を食べていた。美味そうに見えたがわたしには食べられなかった。店が、アイスクリームを最後にサービスしてくれたのに、わたしは半分と食べられなかった。苦いのだ、なにもかも。

十時半過ぎて帰宅。

2012 9・26 132

 

 

* 体重64.9kg 血圧113-63(65) 血糖値 93 朝、梨とミルク蜂蜜のジュース 強飯一膳 卵汁 服薬 服薬までは心身普通 午前仕事 昼は殆ど食べず 午後仕事 夕食は牛肉の甘辛煮 飯少し コンソメスープ二杯 氷菓子三個 今期最後の服薬 明日から一週間の休薬 仕事して 読書入浴

2012 9・27 132

 

 

* メールボックスの住所録が救出出来なかったので、残る発送に苦労している。アドレスの保管にかなりの手間をとられている。

何でも無いようでいて、ズシンと疲弊している。食べられるものが殆ど無くなり、これはどうかと試みても、苦くて苦くて口仲でザラついて、吐き出したくなる。食べなければ痩せる一方、それも防ぎたいが。

2012 9 27 132

 

 

* 体重65.1kg 血圧116-58(68) 血糖値 92 朝、梨とミルク蜂蜜のジュース  甘味二種だけ 服薬 点眼 本日より一週間抗癌剤休薬 午前歯科医に 江古田「甲子」で二段蒸籠の蕎麦、甲子の純米酒、煮奴と板ワサ 蕎麦湯など食べられた。 仕事 夕食はまるで口に入らず 排便 仕事 目の眩しいほかは苦痛なし 但し終日泪と洟水垂れる。

2012 9・28 132

 

 

* 昼前に歯医者に行く。帰路、江古田のブックオフで岩波文庫のプーシキン、トルストイ、ロマン・ロラン三冊を買ってきた。少年の昔の本が買いたい気持ちが先祖返りしているのか。足をやや伸ばし、妻の勧めていた蕎麦の「甲子」に入った。二段の蒸籠、純米吟醸の甲子で始めて、なんとか食べも飲みも出来たので、酒の余りに煮奴と板ワサをもらい、昼の客の一人もいなくなってからもゆっくり食べて飲んできた。とにもかくにも食べられるということが、有難い。

狐の嫁入りのような小雨にもしばし遭ったけれど、なんなく保谷駅からはタクシーで帰れた。

2012 9・28 132

 

 

* 体重65.9kg 血圧124-66(63) 血糖値 95 朝、六時起き 処方されていたシロップで含嗽 昨日から少し飲む 飲んだ方が良い食道にも効くと薬局で奨められた 口腔たしかにやや明るい感じ 朝食、強飯三分二 ほか殆ど食べられず 散髪 空腹時が楽 仕事 昼食は、蒲鉾五六切れ コンソメスープ二杯 飯は食べられず 仕事 晩はシチュウ飯半分 蜆汁一椀 入浴読書三冊 八犬伝 指輪物語に、トルストイの「イワン・イリッチの死」を加える 仕事 明晩は五反田まで妻の叔母の通夜に加わる予定

2012 9・29 132

 

 

* 散髪ですっきり。白髪がのびてゆらぐ薄のようであった。まるで幽霊。これでは人も気味悪かろうと、開店時間をねらって散髪してきた。「これが本来の秦さんです」と。健康で元気でさえあれば、何でも出来ていい体重・体格なのだが。何としても表情に生彩が無い。

2012 9・29 132

 

 

* ペン会員のお一人から小田原の上等の蒲鉾を戴いた。昼、有難く少し戴いた。昨日は江古田の「甲子」でも真っ白な板ワサは食べてきた。食べられた。

いったい何が苦くて何が食べられるのか、全然確信が無い。苦い食べ物が苦痛なのは避けようが無い。「苦」痛とは謂えている。

朝が早かった。はやめに休もう。

2012 9・29 132

 

 

* 体重65.7kg 血圧1116-57 (61) 血糖値 86 朝、体感きわめて普通 冷え粥をすこし温め佃煮海苔、鮭崩し混ぜて一膳 ヤクルト 服薬 薬種が多いか服薬すると腹部から体感重くなる    午前は機械と苦戦 昼は、焼売四個 コンソメスープ 木の実数粒 午後仕事 晩は牛肉スープ 白粥二膳 棒羊羹一つ 仕事 颱風 明朝妻の叔母の葬儀に同行予定

2012 9・30 132

 

 

* もう常時 目先が霞んでブレて、もののみづらさったら、ない。一日も早く眼鏡を調整したいが、手術から少なくも三ヶ月は作ってみてもダメと。あと三週間と一日とで手術からまる三ヶ月。この間の不自由さは、泣きたくなる、ほんと。

それでも、いよいよ、九月尽。今晩は猛烈な颱風と予報されて妻の叔母の通夜を失礼している。明日の朝は、十時の葬儀。午前中には少なくも風、弱まっていて欲しい。

2012 9・30 132

 

 

* 血圧114-63(69) 血糖値92 体重66.2kg  昨日から白粥が口に馴染んでの体重増か 朝、白粥にふりかけ 梅干 服薬 台風一過あまりの戸外の眩しさに眼が辛かった 妻の叔母の葬儀に五反田の斎場まで お斎などまるで食べられず失礼した 副作用の涙が始終にじんで眼をあけているのが辛かった 大方瞑目していた 疲労というのではないが、かなり、しんどかった 妹をタクシーで品川駅に送り どこへも寄らず保谷駅で買い物してタクシーで帰宅 夕食は白粥と梅干しだけ 横になり十冊ほど読書 あと機械の前へ。 2012 10・1 133

 

 

* さすがに今日は、いろいろに、疲れた。「死なれた」人たちの歎きにふれ、「病んだ」「いま病んでいる」人たちの苦渋にもふれてきた。妻の叔母の死に顔にもふれてきた。通夜や葬式に意識して遠のいてきたわたしが、なにを思って妻の叔母の死と火葬とを見送り、また大勢の親戚達にも顔を見せに出かけたのか、じつのところ自分で分からない。死者と、生者の多くに会いに行ったのだ、その五体にひびいた振動は、やはり、しんどかった。疲れた。

だが、わたしは、いくら疲れてしんどくても、そういう人なかへ出るのを、むしろこれからも敢えてしてみようとすら思っている。久々にペンの例会や、ゆるされるなら委員会のゲストとしても顔を出してみたいなと。一方ではいたずらに幽霊のように痩せて皺だらけの己れを人に見せに出て行くのは、悪い冗談かとも遠慮する思いもある。

2012 10・1 133

 

 

* 血圧119-64(60) 血糖値86 体重66.2kg  朝、柿一つ 白粥に梅茶漬け海苔かけて 仕事  朝分の服薬を忘れ昼に。 昼、さしたるもの食べず 桃など 午後すこし力仕事 あと機械での仕事 夕食、白粥 ジャガイモの味噌汁二椀 夜も仕事 感染症内科で処方された抗真菌性抗生物質「ファンギゾン・シロップ」の含嗽と飲用が炎症性の口腔や食道のざらつきを和らげ、食品により苦みを薄めてくれているのではと感触している。今日は在宅、息の喘ぐしんどさは、ない。軽い。

2012 10・2 133

 

 

* 血圧120-66(58) 血糖値78 体重66.8kg  払暁排便 朝、白粥にお茶漬け海苔かけて 服薬 抗癌剤の休薬は今日で終わる 今朝の体調すこぶる善し 仕事 昼、稲庭うどん汁 串団子 葡萄 仕事 夕食 鱈と豆腐の鍋 鱈は苦くて食えず 白粥 この一両日白粥の食事が出来、体重少し戻る  一つには外郎や葛餅などの間食が効いているか。

2012 10・3 133

 

 

* さ、明日はまた午まえに、聖路加のオンコロジィ 腫瘍内科に行き、明日からの抗癌剤処方を貰ってこなくてはならぬ。一週間抗癌剤がお休みでも、らくというわけでなかった。新たな二週間を乗り越えて行かねばすまぬ。

2012 10・3 133

 

 

* 血圧130-62(64) 血糖値101  体重66.7kg  体感良 朝、ふりかけ白粥一膳 スクランブル少し ヤクルト  服薬 聖路加病院腫瘍内科へ 途中涙が溢れ続けて難渋 主治医研修出向につき交代医師 涙は抗癌剤のせいかも知れず黄斑変性の術後症状かも知れず眼科に相談して下さいと 血小板やや減少 それよりもやや気がかりなのは、癌マーカーという値が少し標準を超えていると 但しこれは飲酒や副作用等からも動く値ともいえるので、現在はそう気にしなくても。フォロウしますと。すこし気味悪い 抗癌剤等の処方をもらい、病院ちかくの鮓「福音」で魚三種切ってもらっただけで降参 その近くの「更級」でかけ蕎麦 これも味無くて閉口 帰宅二時 猛烈な日照りの眩しさ目も開けてられないほど。晩、 キャベツと薄揚げの煮 白粥 もやし入り卵 白玉善哉

2012 10・4 133

 

 

* 明らかにからだに一箇所とはいえ癌の転移を胃全摘の術後に残していた以上は、その拡張を食い止めねばならず、抗癌剤はその手段として働いていてくれる物と信じている。「不待来世」 自身の死のことは「考えない」と決めている。「待つ」とは、期する、思い考える、頼むといった意味である。

2012 10・4 133

 

 

* 血圧117-61(62) 血糖値73 体重66.6kg  朝、葛餅 梨と葡萄とミルクのジュース 今朝から抗癌剤再開  二人主治医制に拠って地元佐藤眼科に聖路加からの文書を届け、受診 右眼の術後視力も回復してきており、術後三ヶ月の聖路加診察日に、眼鏡の処方箋を貰っていいと。眩しいのも涙もだんだん平常に行くだろうと。帰宅して、昼は 桃一、蒲鉾と白粥にふりかけ一膳 昼の服薬 手足のしびれきつい。

2012 10・5 133

 

 

* まぶしくて機械に向き合えない。早く適切な眼鏡が新調できますように。

バグワンに聴いていた。その言葉をここに書いてみるということが、目のギラギラゆえに出来ない。ドライアイが機械の前で進行するのかも。

 

* 眩くて涙に溢れて仕事にならない。ドライを浴室で潤して、今夜はもう機械から撤退する。

明日は楽しみにしてきた、勧進帳が昼夜にあるという好企画。昼は團十郎、夜は幸四郎が弁慶で、富樫も昼夜とも二人で交代する。義経は昼夜ともに藤十郎。これは当代、これ以外に無い名舞台になるだろう、成ってほしい。昼夜の通し、明日が楽しみ。

いつかは、吉右衞門と仁左衛門とで同じ企画を願いたい。その際の義経は勘三郎であって欲しい。さらに先々では、海老蔵と染五郎とで演じ分けて欲しい。義経にはラヴリン愛之助でどうだろう。

2012 10・5 133

 

 

* 体重65.9.kg   朝、柿半分 葛餅 ヤクルト 朝の服薬・点眼 体感普通 新橋演舞場で昼食、鰻重 涙と洟水始終、観劇に難渋 夕食は笹葉鮓 服薬 昼夜の観劇に涙、洟のほか支障なし 帝国ホテルのクラブで休息、エスカルゴと中華粥少しずつ、ウイスキーシングル 一路帰宅 用事片づけて寝る。

2012 10・6 133

 

 

* 血圧120-60(59) 血糖値102  体重65.9.kg   朝、体感普通 柿半分 葛餅  ヤクルト、朝の服薬・点眼 試みにナンパオ・すっぽんカプセルを保留 昼、塩昆布等と白粥 グレープフルーツ 涙と洟水の零れること頻り 手先の痺れが指・掌にまで 視力定まらず機械仕事しにくい 排便にかつてなく難渋 夕刻潰れるように寝る 夕食 塩昆布と白粥 スープをたっぷり 服薬にナンパオ・スッポンカプセル復帰 体力に寄与していると自覚

2012 10・6 133

 

 

* 以前の、廃棄処分した旧機ののいたあとへ、整理用の細い背の高い抽斗棚を置いた。抽斗のたくさんある棚は、いつのまにか無分別にいろんなものがごちゃごちゃに突っ込まれてしまう。なんとかいい整理のきっかけにしたい。機械の周辺に同じ抽斗棚が三つ。階下の寝室に四つ。わたしにも「どこに何が在るのか」覚えきれない。今も物の下から封筒に入った相当な金額の金が現れて驚いた。

もう何年も前、日本ペンクラブの国際大会に、わたしは理事ながら体を働かせては協力できないので、この際思いきって百万円ぐらい寄付しようと用意した、そのちょうど半額が残っていた、なにかイヤな勘がはたらき、半分を残していたのだ。

案の定、私としては滅多に無い高額の寄付金も、大会運営の別勘定に入れられ、何に用いられたか分からず、寄付への挨拶も領収書も全然来ないまま。あげく、大会運営は、放埒に、ペン基金に六千万円の大赤字を出したことになっている、らしい。一部理事達や会員のはげしい究明があったらしいが、どんな後始末になったか、わたしは関知していない。もはや関心もない。

そういうことをしでかしそうな執行部であったということ。それ以上に、いかにわたしが金遣い下手であるかを暴露したということ。ま、無分別の罰が当たったのだ。

それでも、思わぬ事で突如多額の金が手元に現れ出た。幽霊のような五十万円だが、手の付かない幽霊の儘にまたどこかへ蔵っておく。

 

* もう、何へ目を向けても眩しくて堪らない。やすむとしよう。 2012 10・7 133

 

 

* 血圧139-66(54) 血糖値80 体重66.1.kg   朝、体感普通 朝食パン一枚 葛切り 梨ジュース少し 服薬 眼眩く 涙と洟水こぼれ、午前中はマリア・カラスを聴いたり、グレン・グールドのピアノを聴いたり、イタリアの歌を聴いたり。眼の不安定をのぞけば体調は良い 聴きながら仕事 昼は、貝柱の粥二膳 胡瓜揉み ピーナツクリーム 眼が辛く機械あけず身辺整頓 大量排便 尿も 夜はちりめん山椒と白粥と秋刀魚一尾 入浴読書六冊 掌の皺と痺れ顕著 浴後体重66.4kg

2012 10・8 133

 

 

* 明日もう一日家にいて休める。明後日は歯科。土曜日は日比谷の日生劇場で松たか子再演の「ジェーン・エア」が楽しみ。初演とどれほど新しい演出や演技が働くか。期待している。松たか子も「美しい人」の一人だとわたしは観てきた。

2012 10・8 133

 

 

* 血圧122-62(62) 血糖値77 体重65.9.kg   朝、体感普通 朝食  ちりめん山椒ふりかけの白粥一膳 スープ ヤクルト 朝の服薬 自転車で郵便局へ 両眼に涙溜まり危険 眼を拭うのは痛み在り 吸水性のガーゼハンカチで涙を吸わせる 昼、ラーメン。これが悪く胸にたまり苦しかった。久しぶりに軽い腹痛を覚えるほど鳩尾に食べ物が溜まり、えずいて何度も濃い唾液を吐いた。午後になるといつもからだはズーンと重だるくなる。 寝ないで仕事や用事を捌いていた。 夜は、白い粥に錦松梅と、戴いたスープの中からコーンスープの缶を開けた。スプーンでゆっくり。苦くなく戴けた。晩も仕事や用事。胸の溜飲は降りている。眼は、相変わらず開いてられないほど眩しさと涙とで、辛い。洟水も気づかぬ間にこぼれ落ちる。風邪などは引いていないし寒気も無いのに。

2012 10・9 133

 

 

* 美学藝術学会の案内があった。同志社神学館でと。なつかしいこと。さて、新幹線で往復するのは、どうか。まだまだというか、ますますというか、無理だと思う。いつものように今日も昼食から具合悪く久しぶりに軽い腹痛が。

2012 10・9 133

 

 

* 血圧132-74(61) 血糖値77 体重65.2.kg   朝、体感普通 朝食スープ 強飯 梨 服薬 点眼 歯科医へ  帰路保谷駅で果物・弁当など調達 帰宅 昼飯にちらし寿司 ネープル ヤクルト  午後仕事 夕飯は 白粥に錦松梅 スープ 柿半分 食後横になり読書十四冊 ソフトな丸パン一つ食べる 度の弱い中国酒ダブルを少しずつ口にしながら二時間余のテレビドラマ観る。 シロップで口濯ぐ。 体調むしろ良か。

2012 10・10 133

 

 

* 血圧121-65(63) 血糖値79 体重65.6.kg   朝、体調良 牡丹餅二つ 林檎三分一 ヤクルト 仕事 昼は 中華握り飯一つ スープ 服薬し 急に体感悪しく 寝る 一度起きすぐまた四時半まで寝る いまは落ち着いている。睡眠は良薬  このごろは早いときは十時半ぐらいに床に就き、読書して寝てしまう  朝も九時ちかくまで寝ていたりする  勤め無く、寝ていても家には妻がひとりだけ、気を遣う何も無いのが有難い。晩は何を食べたか覚えない 不自由な眼で仕事 本十八冊を読み 就寝一時

2012 10・11 133

 

 

* いつも昼の服薬からしんどくなる。用事をしよう、しなくちゃと思いながら、耐えがたく眠くもなり、本も読めずに寝てしまった。朝かなと寝ぼけて一度目覚めたが、そのまままた四時半まで寝ていた。いずれは、いとも永い永い睡眠に心身を預けることになるが、不待来世、「イワン・イリッチ」のようには「考え」ない。

2012 10・11 133

 

 

* 機械の画面がまぶしい。この「私語」する頁はまだバックが緑色でやや助かるが、真っ白い画面は耐えがたい。色を変えることは出来るとわかっているが、とうの昔に手順を忘却している。やれやれ。

2012 10・11 133

 

 

* 血圧113-58(61) 血糖値69 体重65.4.kg   朝、体調普通 牡丹餅一つ 白粥半膳 ヤクルト 朝の服薬 仕事 昼 わらび餅 ネーブル 柿 粥少し 服薬 排便 仕事 夕刻へ二時間寝る 夕食 わらび餅と白粥一膳のみ 服薬 もう少し食べないと。 体違和はさほどでないが。 入浴読書六冊おもしろくて長湯に 浴前体重 65.3kg 浴後血圧 96-46(69) 低い。長湯のせいなら気をつけたい。

2012 10・12 133

 

 

* 昨夜は一時までかけて十八冊の本を次々に読んでいって感じた、はじめて実感したのは、それが「音楽」「シンフオニイ」のような読後感を呉れることだった。いまドイツ、ロシア、フランス、中国、日本の文学、エッセイ、哲学、稗史、伝奇、ファンタジイ、SF、論攷、地誌、紀行などを、洋の東西、今昔を超えて読んでいるのだが、よく選んでいるので、それらが或る合奏効果から快い「シンフォニイ」のように後味になって残る。病気を忘れている。眼が正常につかえればもっともっと心地よいだろうに。

2012 10・12 133

 

 

* さ、入浴の読書を楽しもう。そして早くやすもう。

明日は、松たか子の「ジェーン・エア」再演を楽しみに日比谷へ出向く。国際会議のため明日はまだ帝国ホテルでは食事できない。 2012 10・12 133

 

 

* 血圧112-59(71) 血糖値89 体重65.0kg  朝、牡丹餅一つ 梅干し茶漬けふりかけて白粥 ヤクルト 朝の服薬  十二時から三時 日比谷日生劇場で松たか子主演の菊田一夫演劇賞ミュージカル「ジェーン・エア」を楽しんだ はねてから画廊でビュッフェやアイズビリらの展覧を観た 御幸通りと交叉の大通りから大江健三郎らの率いる「反原発デモ行進」に合流し、有楽町まで大勢とともに歩いた 短距離ながら念願の一端を叶えた デモは長い長い長い列を成していた 遅い昼夕兼帯の食事を新有楽町ビル地下の「今半」で 食べられたら良いがと牛肉の「しゃぶしゃぶ」を 数日前から考えていた 少し贅沢にとあえて、上、特上の肉を選んだが、苦くて、肉の味まったく味わえなかった。食べられたのは白い豆腐だけ それでも頑張って、肉も野菜も麺も喉を通した 食後に抗癌剤など服薬 有楽町線で一路帰宅 観劇のあいだも終日涙目で涙溢れ視野朦朧 道路も階段も只よろよろと。疲れた。

2012 10・13 133

 

 

* 反原発デモに少しでも合流参加できてよかった。

 

* 「今半」での酒一合を、半分近く妻に手伝わせたために、体調を崩して、帰路の車中でもしんどそうであった。わたしのせいで、ワルイことをした。

2012 10・13 133

 

 

* いまも眼がまぶしさにギラギラしている。明日は家で過ごせるが、月曜夕方には二人でまた歯医者に。今夜ははやく何もしないでやすもう。

2012 10・13 133

 

 

* 血圧118-64(58) 血糖値80 体重64.8.kg   体重連日減傾向 朝、手の痺れ顕著 ものを頻りに取り落とす 涙目 朝食、強飯とスープ 朝の服薬  仕事 排便 昼は、カレーライス スープ 握り飯一つ 午後も仕事 晩、握り飯三つ スープ 菜は口に入らず

入浴して読書四冊 64.7kg  「平清盛」観たあと、夜仕事 あと床で読書十四冊 上腹部張っている。

2012 10・14 133

 

 

* これで眼さえ落ち着いて眼鏡できちんと見えるなら、抗癌剤の副作用にだけしっかり立ち向かえば済む。あと九日で右眼黄斑変性症と白内障手術からまる三ヶ月になる。その日、聖路加眼科で眼鏡の処方がもらえるだろう。地元の佐藤眼科ではそだけで待って辛抱したのは十分でしょう、と。なによりも眼鏡の新調に希望を持ちたい。

仕事も何もかも、不自由な眼鏡で難渋に堪えてすすめてきた。今日もよく働いた。仕事していると体違和をほぼ忘れている。

2012 10・14 133

 

 

* 血圧107-57(62) 血糖値82 体重64.6.kg   体重連日減 朝、握り飯一つ 輪切甘藷バター焼き二枚 ヤクルト 家の中でもついよろめくことが増えている。昼、中華握り飯 甘藷少し  昼の服薬 目先朦朧  腹鳴凄い 排便 四時に妻と歯医者へ よろよろするので一路帰宅 夕食は 駅で買ってきたちらし寿司 牛肉と豆腐の煮付け小皿に一皿 夕方の服薬 疲労  床に就き寝入る 就寝前のインシュリン注射忘れる。

2012 10・15 133

 

 

* 前夜八時過ぎから今朝九時半まで寝る 血圧111-59(63) 血糖値112  体重64.5.kg   体重連日減 朝、握り飯二つ ネーブル一つ 朝の服薬 手の痺れ強く 仕事 昼、握り飯一つ スープのほか食べず 服薬 仕事 葛切り食べる 眼の不快に負け 四時より六時熟睡 晩は、鰹二切 胡瓜揉み 白飯一膳など 服薬 機械仕事 眩くて出来ない。 入浴読書六冊 横になり読書十二冊 手先の痺れで本の頁がめくりにくい 足裏も鈍重に痺れている。 しんどさが増しているか だが堪えることは出来る。

2012 10・16 133

 

 

* 血圧119-56(55) 血糖値86 体重64.5.kg   朝、握り飯一つ スープ ヤクルト 朝の服薬 涙・洟水零れる 体感鈍重 視野不安・眩い  手先の痺れで触感を喪いものの扱いに粗忽が増えている。  昼、強飯三分二 スープ ネーブル一つ 少し排便 便座で両膝に両肘をつき掌は前で組み深く頭を垂れていると、すぐ昏々と寝入ってしまう。もっとも安全な心安まる姿勢であるらしい。 眩い上に視野不安定なのを解消すべく、再び右眼に眼帯をかけた。左眼は異常ないのだから既製の眼鏡でクリヤな視野が得られるだろうと。これが成功。左片目でだけものを見ていて、右目はふさいでいる。自転車にはぜったい乗れない。 二時から五時半まで寝ていた。 寝たり起きたり生活になってしまうなあと、それは避けたい。 夜は、マーボー豆腐が食べられた。飯一膳、柿と梨と青菜のサラダ。 すこしチョコレート。 度の低い中国酒と焼酎とをシングルでなく「半グル」。 早く寝た。

2012 10・17 133

 

 

* 眼を片目に眼帯でふさぐことで、不自由ながら視野がクリヤに近く安定し、字が読めて書けるのがありがたい。左眼は利いているのだという自覚が有難い。しかし、今日はもうやすもう。

この「私語」だけを書いているのでは、むろん、ない。あれこれの用意や進捗を一義に機械に向かっている。

2012 10・17 133

 

 

* 血圧111-59(62) 血糖値101  体重64.7.kg   朝、握り飯一つ小さいシューマイ二つ ヤクルト 朝の服薬 右眼帯し左眼だけで仕事 昼は 粥二膳 蒲鉾 チョコレート少し カマンベールチーズ少し 仕事 四時頃に入浴読書六冊 夕食は、卵かけ飯一膳 しじみ汁 越前煮の椎茸だけ 食後横になり読書。夜の仕事 早めに切り上げ やすむ。今夜で今期の抗癌剤服用を終え一週間の休薬となる。

2012 10・18 133

 

 

* 片目だけでの読み書きはきつい。それでもものが一応クリヤに見えるのは有難い。距離感が掴みづらく誤植が多かろう。手先が痺れきっているのもキイをさぐるのにまちがいを多発する。それでも仕事はしつづけていたい。大勢に見守って戴いている。

2012 10・18 133

 

 

* 血圧120-61(56) 血糖値78 体重64.9.kg   朝、梅干し振掛け茶漬一膳 柿半分 カマンベール少し ヤクルト  朝の服薬 今朝より一週間抗癌剤「ts1」休薬 仕事 昨日に引き続き右目に眼帯 左眼一つで暮らしている。なんだか左眼よりもふさいでいる右目の方に負担感がある。  上顎に食事に障る粘液様の膜を感じる なるべくそれを消すべく含嗽また辛いチューインガムなど。 昼は今半の牛佃煮と飯一膳 スープ 梨のサラダ 温奴豆腐を出汁で。 仕事 夜は掛け蕎麦一人前だけ。 九時半。もう仕事できない、やすむとする。

2012 10・19 133

 

 

* 血圧113-64(61) 血糖値75 体重65.2.kg   朝、梅干し振掛け茶漬一膳  湯豆腐頂き物が美味い ヤクルト 朝の服薬  排便 機械仕事 午過ぎ、右眼眼帯のまま国立能楽堂で能、仕舞、狂言観て、一路帰宅 涙出て困惑 腹の芯に虚無感有り 片目の外出で疲労 夕食、ちらし寿司一人前 握り飯一つ スープ ネーブル一つ 柿半分 夜昼の服薬 疲れて 入浴読書六冊みな面白く 浴後体重65.0kg 排便 日録書いてやすむ。

2012 10・20 133

 

 

* 血圧125-63(58) 血糖値78 体重64.8.kg   朝、目覚めて両眼涙で塞がっている 体重64.8.kg   朝食、湯豆腐パンケーキ少し 握飯一つ 朝の服薬 服薬多量のためか服薬後いつも体感重い 仕事 午は、湯豆腐 錦松梅ふりかけて白粥二膳 仕事 排便 夕刻横になり読書 夕食は 牛肉ごく少し 白い粥に振り掛け ラーメン 梨のサラダ 葡萄 この頃微量ながら日により清酒、焼酎、中国酒に馴染んでいる。飲むがめあてでなく口中の灰汁感を散ずるために。 夜の仕事 はやめに切り上げる。

2012 10・21 133

 

 

* 血圧119-62(54) 血糖値78 朝、目覚めて両眼涙で塞がっている 体重64.6.kg   体感自然 朝食、胡麻豆腐一つ 白粥に梅干し茶漬け振り掛けて 蒲鉾二きれ ヤクルト  特に口腔内上顎に粘った唾液が張り付いている 涙目と洟汁の自然と漏れてくるのに閉口 かすみ目にも難渋 仕事 午、何を食したか覚えず 仕事 夜、白飯 マーボー豆腐 薩摩揚げ 柿 視力使えず仕事に難渋 早く切り上げる。。

 

* 昨晩の九時過ぎから今朝は九時半まで十二時間余も寝ていた。涙が目やにになり両眼が明かないのをアイ浄綿で拭き取って朝の目薬をさした。

起きるか起きない間に、生駒の藤田理l史君から奈良名産の胡麻豆腐をいろいろ送ってきてくれた。優しい青年、いい恋をしているだろうか。有難う。朝飯にさっそく美味しく戴きましたよ。元気に、溌剌とお勤めあれ。

同時に高校の後輩、いまは群馬県伊勢崎の画家杉原氏が、みごとに描けた紫陽花の淡彩画を「お見舞い」と送ってきて呉れた。彼自身もいま病んでいる中で懸命に描いた作品で、できばえにはなんらの病影もにじんでいない、優しい気持ちが精彩に富んだ筆線・筆触にみごとに生きてあらわれ、観ていて心もち静まり嬉しくなる。

わたしは書いているとき病気を忘れている。きみも描いて描いて病気を忘れて創作のよろこびを妙薬としてほしい。よく描け、よく書ければ妙薬はひとしお効くはず。負けないで作画三昧境に生き抜いて下さい。わたしも頑張る。

2012 10・22 133

 

 

* 二世望月太左衛さんから、明後日、紀尾井小ホールでの主催「鼓樂」への招待状が来た。長唄「松の翁」には「湖の本」読者でもある唐音岩田喜美子さんの三味線出演も予告されており、小鼓に太左衛、義太夫「海女」でも小鼓は太左衛、そして作と作曲が望月太左衛の音語り「龍田 風の女神物語」の語りはなんと丹阿弥谷津子とある。小鼓はやはり太左衛さん。晩の七時開演というりが難。上智大に沿って行く道が暗くて片目には足下が危うい。明日は聖路加眼科の検眼があり、眼鏡のための処方箋が出るかと期待している。で、やはり眼鏡の調製が先立つのだろうなあ。

 

* 水戸市の高橋禮子という歌人から歌集が送って来られている。題して『シェイクスピアのロマン』と。「おひま(?)なおりにごらんいただけましたら 光栄です。」と謹呈の付箋に書かれてある。毛筆で名宛ての署名もある、歌は目がぱっちりしてから読む。じつは今ももう目は霞んであてずっぽうで書いています。もう限度。やすみます。

2012 10・22 133

 

 

* 血圧125-60(59) 血糖値81 朝、目覚めて両眼涙で塞がっている 体重65.2.kg 朝、スクランブル卵ごく少し 牛乳粥食べられず 朝の服薬 目清水で洗う やや視野明るく。 抗癌剤で口苦く食べるに難渋しても、色素沈着で黒ずもうとも、手足が痺れていようとも、強いて言えば何でも無く堪えられる。それは癌治療にまつわる周辺現象と心得ている。

この三ヶ月、辛くて困ってどうしようもなかったのは「眼」の不自由に尽きる。一日千秋で待ちわびたが今日で右眼手術からきっちり三ヶ月。今日午後の眼科診察で「眼鏡の処方箋」が出て欲しい。

午は、蕎麦など軽食。 病院へ二時前に入り、出てきたのは六時過ぎ。右眼が前回検査の時より大幅に「角度が」「屈折が」ひどくなっていて、繰り返しいろんな検査をしても処方箋が書けなくて、明後日もう一度検査に来て欲しいと。なぜそうなったのかと聞いても医師は「わからないのでもう一度検査をさせてください」と。読書が、機械仕事が行けないのかと聞くと、そういうことは全く関係ないと。また網膜剥離や硝子体の異常も認められないと。なんとも頼りない。なにより眼鏡を新調に明日にも眼鏡屋に行けると願っていたのがフイになり、情けない。二度も開瞳検査をされ、いまも朦朧と視野が霞んでいる。

なんとも病院の眼科ではいやな問題が起きる。前には眼鏡屋でも分かった黄斑変性を見落とされて、次は半年後の検査と言われていた。失明の危険もありますから緊急に手術をして貰うようにと佐藤眼科で言われ、病院は急いで手術を決めた。三ヶ月前に手術した。もう眼鏡大丈夫です、処方箋を病院でもらいなさいと佐藤眼科では何の問題も見られないと言われていた。明日、佐藤眼科で診て貰おうと思う。 晩は、ちらし寿司、熟柿二つ。 晩の服薬。 少し機械に触れたが眼不調、断念して休む。

2012 10・23 133

 

 

* 血圧118-61(58) 血糖値76 朝、目覚めて両眼涙で塞がっている 体重64.8.kg 朝、熟柿一つ 白粥一膳 ヤクルト 溢れてくる涙と洟水に迷惑 仕事にならない 午、干し柿ひとつ 中華風握り飯一つ グラタン スープ アーモンド 涙と視野朦朧で仕事にならず 二時間ほど寝る 夕飯は、ほぼ白粥一膳だけ 他は苦くて砂と灰を食うようで。 以下に読者の報知が有ったように、抗癌剤と涙障害には眼科医からのバッチリの報告が出ている。服用している「TS1」の名も明記されている。対策が欲しい。

 

☆ 抗癌剤副作用の可能性も

お元気ですか、みづうみ。

眼のお具合を伺い、昨日は大変動揺してしまいました。

ネットで抗癌剤の副作用で、眼の症状をみましたら、下記のようなものをみつけました。みづうみの症状に当てはまる部分もあるようです。ご参考までに貼りつけておきます。   吾亦紅   野に坐して山より高し吾亦紅  内海まち子

抗がん剤治療中に起こる眼の症状

 

中村眼科・長野県松本市の眼科

 

抗がん剤治療中に起こる眼の症状  抗がん剤治療中に「見え方が悪くなった」、「涙が止まらない」などの、眼症状が起こることがあります。

眼への副作用は、他の抗がん剤治療の副作用と比べると、あまり注目されていませんでした。最近、眼の副作用は気づかずに過ごしていると、抗がん剤を減量したり、中止しても、眼の機能が回復できないケースがあることがわかりました。

しかし、眼の副作用は全ての抗がん剤に出現するわけではなく、また眼への副作用が出たと報告された抗がん剤を使用したからと言って、使った方全員に症状がでるわけでもありません。

 

今回は眼の副作用を起こしやすいと報告のあった抗がん剤と眼症状をご紹介します。

イレッサ、タルセバ、アービタックス : 「痛い」、「ごろごろする」  まつ毛が長くなり、不揃いに生え、角膜を刺激して、異物感、痛み、炎症を生じる

キロサイド: 「目が痛い」、「目が赤い」結膜炎

シズプラチン、ブリプラチン、ランダ: 「見えにくい」、「かすむ」、「中心がぼやける」 球後視神経炎(視力低下、視野障害など)

タキソール、タキソテール: 「見えにくい」、「歪む」、「かすむ」、「涙がとまらない」視力低下、変視症、小視症、涙道障害

ノルバデックス、タスオミン、ノルキシフェン: 「物が歪んで見える」、「かすむ」

視力低下、変視症

TS-1、5-FU : 「涙がすごく出て、しょっちゅう眼を拭いている」、「見えにくい」、「かすむ」流涙(涙道障害)、視力低下、眼痛、羞明(角膜炎、角膜潰瘍、角膜びらん)  (秦 此のTS-1を現在使用しています。)

 

このほかにも眼症状を起こす抗がん剤がありますが、眼の症状に変化が現れた際にはまず主治医とご相談ください。

「視力低下」や「変視症」などの症状では休薬の処置が取られることもありますが、抗がん剤の治療計画もありますので、主治医とよく相談してください。

角膜の炎症、びらん、潰瘍などの角膜障害の場合は、点眼薬を早めに使い、視力低下などの後遺症を残さないようにする必要があります。

「涙が止まらない」場合、眼の表面を潤した涙が涙点から鼻涙管を通って体内に吸収される途中の涙道が涙の中に排出された抗がん剤によって狭くなったり、塞がることによって起こります。

その場合は、抗がん剤が涙道にとどまらないようにするために、頻回に点眼をして洗い流したり、通水処置をしたりして、涙の排出路を通りやすくしてあげます。

 

当院でも、受診時の問診で抗がん剤についてお伺いすることもありますが、情報提供のご協力お願いいたします。

困っていたり、気になることがある方は、ご相談ください。

 

* 貴重なありがたい情報で、これは、明日のオンコロジー腫瘍内科でも眼科でも告げて対応を求めたい。このようにして、読者からもわたしは助けられている。感謝に堪えない。

2012 10・24 133

 

 

*  車を拾って地元の眼科へ走ったところ、ご不幸があって十一月四日まで休診と張り紙。お気の毒に。

明日、聖路加眼科で結論を望みたい。この涙目にも医学の診断を求めたいが、眼科では、あっさり無視されて判断が聴かれない。

2012 10・24 133

 

 

* 血圧129-63(54) 血糖値76 朝、目覚めて両眼涙で塞がっている 体重64.7.kg   朝、強飯 スープ 栗 葡萄 オレンジ 八時二十分に出かけ聖路加病院へ 先ず、腫瘍内科の検査と診察 抗癌剤「ts1」が涙目の副作用を持つことを今日の担当医師は承知していて、眼科の対応を求める連絡をしてもらった。次いで眼科の視力検査、不安定で、またも処方箋もらえず更に一週間後に検査と。今まで使っていた眼鏡を使えと言われてもその眼鏡では視野曖昧でお話にならない。いま無理に新調しても時々刻々に不具合が生じるので眼鏡新調の意味が無いと。医師の診察では右眼にさしたる問題なく多少涙道の狭窄があるかどうか、あたらしい点眼薬を出してくれたが、わたしとしては、それじゃどうすればいいのかと。左目は明るくクリヤだが、左眼をとじれば今の眼鏡では歩行も危なく「失明」同然。左眼だけで過ごせば左眼への負担が増す心配がある。ほとほと参った。 遅い午、病院食道で海老天うどん。明日からの抗癌剤など手にして、途中、食べやすい葛切りを五つ買って一路帰宅。車中行儀悪く持参の栗を七八つ食 疲れた。 夕食は、葛切り 葡萄 味噌汁 卵かけ飯。

2012 10・25 133

 

 

* かなり疲れている、やはり。米倉涼子の外科医ドラマを楽しんで、そして休もう。

2012 10・25 133

 

 

* 119-63(57)78    両眼の涙変わらず 体重64.8.kg   朝、海苔茶漬け一膳 柿 葡萄 ヤクルト 朝の服薬 今日から二週間抗癌剤「TS1」服用二週間 仕事 フルメトロンの点眼が効いているのか涙目が少した゜け落ち着いているが、時間が経つと眼が霞む 午は つゆ蕎麦に揚げ一枚 汁を飲み損ねて吐く 仕事 夕食、ラーメン少し 餃子少し スープ 生湯葉少し 葛切り ネーブルジュース 腹鳴盛ん

2012 10・26 133

 

 

* 血圧113-58(58) 血糖値78    両眼の涙変わらず 体重65.3.kg   朝、スーブ 振掛白粥一膳 卵スクランブル1個半 ヤクルト ヨーグルト 体調順 朝の服薬 処方外に すっぽんカブセル ナンパオカブセル アリナミン 肝油 ビタのをミンカブセル等 眼・口腔洗浄  流涙頻繁 十一時歯科へ 連れの妻を頼んで往復殆ど瞑目 帰路途中江古田のフランス料理店「リオン」で昼食 コース料理を赤ワインとともにデザート・コーヒーまで頑張って食した 苦くて耐えがたい物もあったが。 食べると腹が固まり辛く疲労する 空腹には安楽に堪えられる 帰宅 仕事 夕刻排軟便 夕食 白粥一膳 煮魚少し 蜆味噌汁二杯 胡瓜揉み 食後に排軟便 視野不安定 涙・洟水出続ける。

2012 10・27 133

 

 

* 今日は、歯医者へ。なんという頻度で病院、医院に通うことか。「病気の尻を追いかける」「病気のお守りをする」というプラトンの戒めにまんまと背いているわたし自身に思い当たり、ぐたりとする。

2012 10・27 133

 

 

* 子機から辛うじてすくい取ってきた原稿の御陰で、仕事が少し進んだ。苦労したので眼も体も固く疲れた。十時。もう今夜はやすむ。

2012 10・27 133

 

 

* 血圧135-60(48) 血糖値77    両眼の涙やや停留 体重66.0.kg   朝、スープ生姜紅茶 葛切 栗少し 小ドーナツ三つ 林檎少し 朝の服薬 体調順 眼科処方の点眼薬 タプロス(緑内障・高眼圧症治療剤) ヒアレイン(角結膜上皮障害治療用点眼剤) 涙目の為に新処方のフルメトロン(抗炎症ステロイド水性懸濁点眼剤) 他にかつて処方されたリザベン( 点眼用)  花粉症の頃にパタノール(抗アレルギー点眼剤)カタリンK( 老人性) 白内障治療薬) 等他にもキサラタンなど有り 午、振掛け粥半膳 スープ 小ドーナツ二つ 柿一つ近く。

このところ気づいているのは「寒い」「冷たい」こと。床に入っても自身の体熱で床を温められず「寒い」。妻の手に触れると「熱があるのでは」と感じるほど「熱い」。暑さはさほど感じず天気だと「眩しい」だけ。秋が深まるにつれ体熱の冷たさが自覚される。体温と連動した自覚とは想われない。体温はたいてい六度台。今日の昼には五度七分。以外の体感は、順当。多く食べないほど安らか。食べると少し苦しく感じ疲れる。眼は流温水でしばしば洗い点眼していると、やや樂 二時間ドマ観て 夕食、牛肉角煮食べられた 馬鈴薯のスープ 昆布巻き少し 縮緬雑魚と佃煮かけて白飯一膳 ウイスキー「半グル」程をオンザロックに水足して。 食べれば体重もふえる 入浴読書五冊 浴後体重65.9kg  大河ドラマを楽しむ 排尿順調  夜仕事。

2012 10・28 133

 

 

* 朝、134-57(51)95  両眼の涙やや減少 体重65.2.kg   朝、諸データを計る前にインシュリン注射や食事を始めたので、測定は昼前に。 笑われるだろうが昨夜は電気炬燵を使った。その前夜のからだの冷えと寒さに眠り難かったから。今も手先が冷たい。朝、赤飯半分 ネーブルほぼ一個 グラタン一匙 ヤクルト 午前仕事 昼前に排便 昼食、赤飯の残り スープ チョコレート三粒  視野は不安定だが 体調は悪くない 午後仕事。 夕刻一時間半寝る 夕食 つるし柿ひとつ 林檎少し 馬鈴薯と烏賊足の煮込み少し

大根おろしで飯一膳半 夕の服薬 眼は洗って点眼 口は含嗽シロップ 手の痺れには処方のクリーム 体力の衰えはともかくほぼ抗癌剤の副作用は凌いでいる。

2012 10・29 133

 

 

* 神戸の歌人、口に合ったのならと庭のつるし柿をまた送ってきて下さった。感謝。夕飯時に早速一つ頂いた。

 

* 今月の日録・私語の誤記・誤変換を、十五日分、直した。こう機械が眩しくてはきちんと直せたか心許ないが。

2012 10・29 133

 

 

* 血圧113-62(68)血糖値95   体重65.0.kg   朝、両眼の涙やや減少  温流水で両眼洗う 口腔を含嗽剤とシロップで洗う 朝食は 卵かけ飯一膳 蜆の味噌汁二杯 生姜紅茶 朝の服薬 視野不安定のほか体調順 午前仕事 午は、握り飯一つ半 きゃべつと薄揚げ煮たっぷり スーブ ヤクルト 吊るし柿二つ 服薬 処方のクリームを使っているが、手先の痺れとともに指と掌に無数の深い皺、気持ち悪いほど。 午後仕事 夕食、吊るし柿二つ 栗飯一膳 酒の味噌漬け一切れ スープ 珈琲 中国の果実酒小杯三杯 食後、寒くて床に就き読書八冊、そのまま寝入った。電気炬燵を使っていてなおうす寒さに目覚めて、夜十時。やはり機械が眩い。幸いに涙目はやや軽減しているのかも よく洗いよく点眼している。明後日、また、三度目の眼鏡処方箋のための眼科検眼がある。

三度目の退院からも、八月11回、九月十一回、十月十回、聖路加への通院、地元眼科、江古田の歯科へ、そして観劇の楽しみなどでも都心等へ頻繁に「外出」してきた、よろよろの片目。杖つきで。そうするしかない、そうもしたいのだから、苦情は言わない。つらければ つらいと言って立ち向かうだけ。読書十冊、寝る。   2012 10・30 133

 

 

* 夕食後、寒くて床に就いた。電気炬燵を使っていてなお、うす寒さに目覚めて、十時。日本シリーズでは日ハムが初めて勝った。

やはり機械が眩い。幸いに涙目はやや軽減しているのかも。よく洗いよく点眼している。明後日、また、三度目の眼鏡処方箋のための眼科検眼がある。

三度目の退院からも、八月11回、九月十一回、十月十回、わたしは聖路加への通院、地元眼科、江古田の歯科へ、そして観劇の楽しみなどでも都心等へ「外出」してきた、よろよろの片目。杖つきで。そうするしかない、そうもしたい、のだから苦情は言えない。つらければ つらいと言って立ち向かうだけ。

2012 10・30 133

 

 

* 血圧129-54(58)血糖値80   体重64.9.kg   眠れず 明け方から九時半まで寝る 朝、両眼の涙やや減少  温流水で両眼洗う 口腔を含嗽剤とシロップで洗う 朝食は、栗飯一膳 葛切 生姜紅茶   朝の服薬 午前仕事 午は。栗飯一膳 馬鈴薯スティック素揚にケチャップ添えて 梨少し チョコ三粒 午の服薬後 午後仕事 夕有、栗飯一膳足らず ポタージュスーブ三分一椀 薩摩揚一枚白菜漬物沢山 服薬 入浴読書六冊 建日子帰宅 歓談

2012 10・31 133

 

 

* 血圧135-60(63)  体重64.7.kg   涙目は改善傾向 ただ視力は安定しない感じ 朝、栗飯一膳 葛切 白菜 朝の服薬  午前仕事 昼食忘却 聖路加眼科へ 検眼の結果まだ眼鏡のための処方箋出ず、この六日に諸検査予約が半年前から決まっているのに、一月後にまた検眼に来るようにと。わたしの眼鏡と仕事との重い関係を担当医師は分かってくれない、あげく左眼の白内障手術も

しましょうかなどと。左眼は視力もいいし白内障も進んでいないといわれるのに何故と聞くと、右眼の故障と平均化する意味でと。途方も無い。なにかしら右眼に傷が有りフルメトロンで改善が進んでいるとも。手術して三ヶ月以上経っている。おそらくは抗癌剤「TS1」の副作用が右眼に来ているからと言われ、同様のことは腫瘍内科でも長野の中村眼科の告知にも言われている。左眼にもそれは及んでいるのか。結局フルメトロンが継続処方されて終えた。索然とする。眼科学は周辺領域の研究などに配慮しないのか。

次いで腫瘍内科へ主治医の十一月からの復帰を確かめに立ち寄ると、名取主治医は年内戻らないと。愕然。今後どうなるのかも決まっていなかった。外科を断って家族全員で腫瘍内科に全面依頼した。事情は分からないが、現任教育の継続であるなら、むしろ歓迎し勧奨しなくては。

処方眼薬を受け取り、空腹を満たす気もせず、木村屋の小さいパンを六種買っただけで一路帰宅。夕食、ちらし寿司と汁蕎麦。 夕方の服薬後、疲労の妻が床に就いたので、わたしも寝入った。いま、起きて機械の前へ。十二時、日付が変わる。

2012 11・1 134

 

 

* 血圧120-60(64) 血糖値73 体重64.9.kg  朝、栗飯半膳 小さいパン一つ 紅茶 洗眼 洗口腔 点眼 朝の服薬 午前仕事 午は 粥一膳 小さいパン一つ スクランブル卵ほんの少し、苦くて。今日はことに食べ物が苦い 眼も霞んでいる 午後  歯科へ 手の痺れ強く 視野甚だ不安定 診療からまっすぐ帰宅 夕食 鮓一人前を少し残す すべて苦くて食べがたく。十時まで夜仕事 一時間ばかり休息して寝る。

2012 11・2 134

 

 

* 昨夜は夕食後から十一時まで寝てしまい、一時間ほど機械の前などに来て一日の始末はつけたが、日付が変わったところで上野千鶴子さんにもらった新刊の一部をとても興深く読んでから、すぐ寝入り、八時過ぎまで寝ていた。通して、十三時間寝ていた。寝過ぎかもしれないが、その間は平和である。

上野さんの実調査や証言を踏んだ言説には驚くほどの意外さと説得の力がある。眼からウロコを何枚も剥がされて行く。

2012 11・2 134

 

 

* 血圧116-53(59) 血糖値92 体重64.7kg   朝、中華風握り飯一箇 スープ 柿一つ 朝の服薬  今、何世代か前の古眼鏡を掛けて調子が他の新しい眼鏡より良い。涙無く両眼の視線が比較的安定している。何を意味しているかは分からない。 排便 午、粥に振掛一膳 スープ 午の服薬  排便少し 眼帯を新しく買い右眼を塞いで左眼だけで仕事している。古い眼鏡もおおかた左眼には適応しているので。涙目は落ち着いている。手足の痺れはきつい。入浴読書五冊 浴後体重65.0KG。

2012 11・3 134

 

 

* 新しい仕事は着々進んでいる、眼の不自由は不自由として。今夜は、もうやすむ

2012 11・3 134

 

 

* 血圧123-60(58) 血糖値79 体重64.9kg   朝、うどん 餅一つ半 蜂蜜紅茶 ヤクルト  朝の服薬 午前仕事 午 卵かけ飯一膳 柿一つ 午後仕事 夕刻前に千駄ヶ谷国立能楽堂で友枝昭世の「海女」だけを観て、一路帰宅。「平清盛」観ながら夕食 煮鶏卵 薩摩揚と豆腐の煮物 酒少し 夜仕事

2012 11・4 134

 

 

* 明日、地元の眼科で診てもらおうと思っている。なにのために病院眼科が検眼を三度も四度も繰り返しているのかが皆目分からない。もし抗癌剤が眼を傷つけているなら、それへの治療が必要。それはフルメトロン点眼だけで足りているのか。何度か作り直してもいいから今すぐにも適切な眼鏡が欲しい。

疲れた。やすむ。

2012 11・4 134

 

 

* 血圧125-63(63) 血糖値70 体重64.0kg   朝、振掛けじゃこ・梅干茶漬け一膳 柿少し クリームチーズ少し ヤクルト 朝の服薬  手先の痺れ強く、手先が寒い 涙・洟水相変わらず  午前 仕事の後 地元佐藤眼科で検眼 眼鏡の処方箋貰う 眼鏡不調での日常我慢ならない 目に変化あればその都度眼鏡新調を覚悟 午 狐うどん 餅半箇 午の服薬 午後仕事 夕食は 卵かけ飯一膳 スープ 清酒・ウイスキー少しずつ。 酒は、口の苦いのを「消す」とはいえないが激しい刺激で少し忘れさせる。 寒さ、身に響く。手袋も襟巻きも厚着も当たり前に必要になってきた。 入浴読書六冊 夜仕事。

一日も早く現状に対応した眼鏡が欲しい。必要なら何度でも取り替える。眼はわたしの生産意欲の根だから。十月二十三日、右眼手術から正確に三ヶ月。その日以降、二十五日、十一月一日、明日十一月六日も含め、二週間に四回ただ「検眼」のために通院。地元の眼科では、そのまでは辛いでしょう、眼鏡はいくらか随時に不安定な視力に応じ作り直す必要が起きるかと思うけれど、と、丁寧に時間懸けて診察のうえ、眼鏡の処方箋を出してくれた。なにより目下、ありがたい。夜、排便して 寝る

2012 11・5 134

 

 

* 血圧126\5-62(60) 血糖値72 体重64.1kg   朝、きつねうどん 朝の服薬 小雨の中、聖路加眼科へ 検眼 視野検査 眼圧検査 ついに眼鏡処方出ず地元眼科に委ねた形で 次回診察二ヶ月後視野検査をと。

小雨の中一路二き時過ぎ帰宅 遅い午食 赤飯 ゆで卵 スープ 梨 疲労し五時半まで熟睡 夕食 おじや おでん 柿 菓子 ヤクルト 食後に排便 そして下痢 夜よく眠れず夜半に読書十二冊。

2012 11・6 134

 

 

* 夜仕事は、した。眼の疲れも体の疲れも増してきたので休息する。

2012 11・6 134

 

 

* 血圧120-62360) 血糖値82 体重64.9kg   朝、きつねうどん 野菜ジュース 朝の服薬 午前仕事 午、栗飯半膳 おでん 葛湯ヤクルト 午の服薬 午後仕事 手の痺れと口腔に乾いた苔の生えた感じ 食味の苦さに悩む 下痢二度 夕方は、湯豆腐 鱈は苦く食えず 蜂蜜牛乳 口中の苦さを殺すためにウイスキーや焼酎 辛いガムを用いる 入浴読書六冊 浴後体重64.7kg  夜仕事 明日腫瘍内科へ 名取医師不在中の主治医は誰方になるのか、不安で心許なし。

2012 11・7 134

 

 

* 懸命に書いた原稿の大半を、保存しておかなくて消失させた。こういう体験はパソコンとつきあい始めてから、数限りなく重ねてきて、やっぱり諦めにくい。ウーン、今夜にもう繰り返すのはよしておこう。抗癌剤の今期服薬は明日一日で、金曜から一週間休薬の予定。今期は、かなりキツかった気分。明日通院、土曜は国立大劇場で幸四郎らの通し狂言が楽しめる。あけて月曜には感染症内科へ。そのあとは、俳優座公演や歌舞伎の顔見世や、久々福田恆存劇「明暗」を嗣子逸さんの演出で楽しめる。楽しみ尽くして病苦に克ちたい。

そのうちに、新しい「湖の本」114が入稿できるだろう。

2012 11・7 134

 

 

* 血圧121-56(63) 血糖値84 体重65.2kg   朝、きつね蕎麦、菓子、ヤクルト 朝の服薬 出がけに激しい下痢 聖路加へ、 涙目で元気乏しく 血液検査 腫瘍内科名取先生の診察 今後も、 と。 安心。 抗癌剤の影響で出ている涙目にはあまり有効な手立てがないと。 点眼薬もたしかに卓効はない。 常時貧血の緩和に、注射受ける。 腫瘍マーカーの動向をみるため次回にCTスキャンも心用意。 主任主治医の山内先生とも立ち話で激励される。次回診察は十二月六日。 抗癌剤処方。 疲労感加わり処方薬もらわず ゆっくり銀座を歩いて何の食欲も無く 一路二時半に帰宅。 遅い昼食 蟹・穴子寿司半人前 コーヒーと洋菓子一口 美味さ無し。 仕事 夜食はカレーライス スープ 夜の服薬 明日から一週間の休薬期 入浴読書六冊 入浴すると、からだはらく。腹もやわらかになる。ゆっくり文庫本を読むのがいい。 浴後体重65.2kg 米倉涼子の外科医ドラマ愉しむ。 眼鏡士と日曜の眼鏡調製を約束。 なんとか現状を改善したいもの。

2012 11・8 134

 

 

* 涙目と手先の痺れとで、キイをうつ手作業がままならない。しかし、昨晩、し損じた原稿はちゃんと書き直した。

昨日今日は疲れた、やはり二週間朝晩の抗癌剤服用のせいか。しかし、意欲面は減衰していない。こんど正月早々には送り出せるだろう新しい「湖の本」は読者を驚かせるだろう。

それにしても、かなり癌患者としては過密な日程で家の外へ出歩いている。健康な老人でもこうはなかなか動けまいと思う。明日は貴重な一日休。明後日から三日間は、歌舞伎、眼鏡調製、聖路加感染症内科とつづけざま外出する。どれもこれも今のわたしを鮮やかに代弁してくれている。そういえば今日病院へ出かける間際の下痢はナイアガラのように凄かった。

 

* 入浴すると、からだはらく。腹もやわらかになる。ゆっくり文庫本を読むのがいい。今晩も、ゲーテの小説「親和力」 ブーシキンの史劇「ボリス・ゴドノフ」 ロマン・ロランのやはり史劇「愛と死の戯れ」 トールキンのファンタジー「指輪物語」 滝沢馬琴の稗史「南総里見八犬伝」 辻邦生の小説「夏の砦」を、納得できるほどを十分愛読した。

眼が霞んできた。やすみます。

2012 11・8 134

 

 

* 血圧103-60(63) 血糖値82 体重64.8kg   朝、振り掛け茶漬け飯 モンブラン半箇と蜂蜜紅茶 朝の服薬 今日から一週間抗癌剤休薬 午前 眼薬を受け取りに地元の薬局へ自転車で。自転車に乗る体力は十分有るが、両眼の涙と視力の曖昧さとで、かなり走るのがコワかった。 仕事進め、一区切りつけたものも。左眼、引き攣る感覚。黄斑変性症も想えば抗癌剤の副作用であったかと素人考えも湧く。何が苦痛か 視力の不安。 午、スバゲティなど 午の服薬 午後仕事 一冊分の仕事を電送。 夕食 秋刀魚 蜆汁 梅酒 清酒 焼酎少しずつ アルコールは口の苦さを紛らわす目的で。

2012 11・9 134

 

 

* 八月、九月、十月は、それぞれ月に十三回も通院や外出に費やした、三度の入院生活のあとに、である。堪えられたのは結構であった、ある程度まで肉身を働かせるのはわるいことではなかったろう。「暑い」「汗」の実感の無い炎暑であった、ただひたすら「まばゆさ」が苦であった。抗癌剤は涙、洟水になって襲ってきた。砂や灰を含んだような口の苦さで、ほとんどの飲食がままならなかった。食べられなかった。むりやり飲み込むと誤嚥で吐いた。からだの芯が抜けてしまったような疲労にもしばしば襲われた。はあっはあっと小さな吐息が漏れるとからだは疲労感にたちどまってしまう。昨日も銀座を最寄り駅へと杖でよたよた歩きながら何度か道の真ん中で立ち止まって呆然としていた。

それでもわたしは負けても屈してもいない。身心にめだつほどの苦も痛もなく、執筆も出来、読書も出来、外出も観劇なども出来、少しずつ酒ものめる。寝てしまうことも出来、入浴読書も愉しんでいる。大勢の方の励ましやお見舞いを有難く頂戴している。病勢よりも、こうした生活力がまだ優勢を保っているのが頼もしい。「もう半年ありますよ」と昨日は医師先生に笑顔で捻子を巻かれてきた。

はっきりいって胃全摘のあとも体内に残っていたという癌細胞が、まだ存在し増殖し転移しているか、薬効で逼塞しているか、もう絶滅してるかは、まったく分からない、まだ調べようがない。

そんな心配はしないことにしている。いまここでわたしのしたいこと、しなくてはならぬことは、あらまし承知して対応に努めている。努めといっても義務感からではない、養生というよりも「天養愉快」に身心をまかせている。

このごろときどき夜中に目覚めていることがある、不安からでは無い、なんだか歌が出来て出来て、歌の言葉や表現が満潮のように半ばは夢寐に押し寄せてくる、せっせせっせと歌を作っている。おっそろしくエロティークな歌も自動機械のように出来てくる。また創作の文章をそらんじている。むろん記録などできなくて、朝になると片鱗ほどの記憶しか残っていない。しかし、いやなのではない。からだが望んでそうさせるのだろう、応じてやっていいと放り出したままそんな真夜中を無意味に受け入れている。

2012 11・9 134

 

 

* 今月は能楽堂をはじめ、国立大劇場、新橋演舞場、そして妻ももろとも招待されている福田恆存劇の「明暗」を、息子の秦建日子も加わって三人で観る楽しみが待っている。その頃までになんとか少しでも安定した眼鏡が出来て欲しいが。眼鏡自体に動揺があれば何度でも作り直す気でいる。この闘いは苦戦し難渋するに相違ないが、根気よく執拗に押し返したい。

 

* 処方薬局への自転車走は、両眼の涙、陽のまぶしさ、視力と視野とのひどい不安定で、かなりコワい思いをした。

 

* そのあと一仕事の区切りをつけた。もう四時。少し休まねば。

* 金沢の讀者の金田小夜子さんより、万歳楽酒造の逸品清酒「白山」と「梅酒」とを頂戴した。忝し、ありがとう存じます。

早速夕飯時に「梅酒」を戴き、おかげで口中があらたまり、秋刀魚が食べられた。蜆汁も飲めた。食べ物がもともと苦いわけは無い、ひたすらわたしの口中がわるく荒れ、灰を含んだような砂を噛んだような薬物で汚染されたような不快感を培養してしまっているのだ、お酒はいくらかその不快を殺いでくれる。次第次第にアルコールへとわたしは惹き戻されている。過ぎぬようにはせねば。

2012 11・9 134

 

 

* 血圧128-59(64) 血糖値76 体重65.9kg   朝、何やら食す 朝の服薬 国立大劇場で幸四郎らの通し狂言、鶴屋南北作「浮世柄比翼稲妻」観劇 開幕前に狐饂飩食す はねて何処へも寄らず帰宅。 観劇にも、涙で視野・視力動揺し舞台は左眼のみで観ていた。夕食、粥をあみと梅干しで。 ラーメンを半分。焼酎・梅酒。手持ちのどの眼鏡も役に立たず。

2012 11・10 134

 

 

* 終演後はもうどこへ立ち寄る体力なく一路帰宅した。どの電車にのっても席を譲って下さる人がある。ご親切にいつも深く頭を垂れてくる。

 

* やはり食べられないものが多い。苦い灰か砂かを、ものを口に入れた一瞬に感じ、げそっとする。ウイスキー、酒、焼酎そして戴いた梅酒、強烈にからいガム等で口腔をまず麻痺させておいて食べ物を口にしている。幸いと太い饂飩や蕎麦、ラーメンなどが少し喉を通ってくれる。肉はどれもまだ、ダメ。食べるよろこび、まだまだ復帰しない。抗癌剤はあと半年は続く。病気に抵抗できるならあと一年でももっとでもわたしは副作用に堪える気でいる。堪えられる。

2012 11・10 134

 

 

* 明日は江古田の眼鏡屋へ、地元眼科で出た処方箋持参でなんとか少しでも効果ある眼鏡をつくっていもらいに行く。察するところ容易でない懸念があるけれど。今も眼は潤んで浮かんでいる。今夜はもう休息する。

2012 11・10 134

 

 

* 血圧121-61(64) 血糖値85 体重66.0kg   朝、粥をあみやちりめんジャコで。蜂蜜紅茶。白玉善哉は苦くて食べ残す。午、きつね蕎麦 揚げ二枚 柿 白菜漬け。 江古田ナガノ時計・眼鏡店(黄斑変性・黄斑前幕を第一発見してくれた店)で新調の眼鏡調製に難航。左眼の乱視をどうするか、右眼は事実上視力が激変していて、働いていないのが現状なので、左眼の負担を抑制しながら左眼に機能して貰うしかない、と。遺憾千万だがとにかくも今、手元の六つ七つの新旧の眼鏡のどれ一つとして視野の安定を得ないままでは、闘病の利器とも妙薬とも思う仕事・読書・観劇のどれ一つも不可能に近くなる。いつまた新調せねばならぬのは覚悟の上、現状で穏和に適した遠用眼鏡とパソコンに適応の眼鏡を作って貰うことにした。十八日には出来ると。その十八日にはもうまた右眼の状態が変化していることも優にありうると懸念している。

黄斑変性の手術を希望したとき、病院眼科の判断で、帯同して白内障手術も同時に為されていたのが、良かったのかどうか。

ともあれ右眼の状態のわるさが癌の闘病に悪影響を現に露呈しているのは、遺憾と言うしか無い。これも抗癌剤の副作用なのかどうか、それなら耐えぬくしかないが。

夕食 卵かけ飯 柿 夜仕事 入浴読書六冊 浴後体重66.1kg  明日は聖路加感染症内科へ。

2012 11・11 134

 

 

* こう書いているうちにも目が霞んでくる。右目の負担が健常な左眼に懸かってくるからです、いっそ眼帯で右眼を伏せてください」とナガノ店主は言った。現にわたしもそう思い至って眼帯で右眼をふさいで読書も観劇もこういう仕事もしてきたが、気持ちは悪い。要するに休むしかない。昨日の歌舞伎も半ば以上片掌で右眼を塞いで観ていた。わたしたちがどこの席にいるか分かっている高麗屋は、怪訝に感じただろう。

2012 11・11 134

 

 

* 血圧128-60(54) 血糖値82 体重65.0kg   朝、フレンチトースト一枚 蜂蜜紅茶聖路加感染症内科へ 血液と尿の検査  空き時間に食堂でサンドイッチと珈琲 サンドイッチ苦くて食べられず 診察では血液・尿ともに綺麗で感染は克服 軽度だが貧血は認められるのでと、従来のピドキサールに加えビタミンが強化された。少しく歓談。 薬局で処方の薬を受け取り 「更級」で更級蕎麦と菊正 新富町から有楽町線清瀬行きで一路帰宅 夕食、飯軽く一膳 豆腐味噌汁 梅酒 夜、仕事 九時過ぎだが合わぬ眼鏡で無理をしている 目が霞んできた。

2012 11・12 134

 

 

* 老い人われの 病む身はあらき息ながら胸に毅然と「No  Nuke」のバッヂ

更科の蕎麦に菊正この上の美味は望まぬけふの我が身ぞ

蕎麦湯呑みけふの昼餉はつつがなし夕餉はなにが喉とおるらむ

癌を懼れ久しく生ききいまはしも癌もなく死無く 愛を命ぞ

愛執といはれじただに愛は愛 愛をかなしと読みし人も在り

炎暑とふことしの夏も汗かかずはやくも秋を寒がるわれは   遠

2012 11・12 134

 

 

* 血圧133-65(52) 血糖値66 体重65.5kg   朝、赤飯 豆腐味噌汁 白菜 朝の服薬 午前仕事 午、とんこつラーメンに卵 葛切 午の服薬に誤嚥 濃厚唾液など暫く吐く 国会中継みて 三時間寝る 夕食、キングサーモン・銀鱈各小片 粥 薄揚煮きゃべつ 胡瓜揉み 蜂蜜二匙 苦み抑えに焼酎少しずつ 夜仕事 九時半、完全に眼は霞んでいる。もう、よそう。

2012 11・13 134

 

 

* 夕刻まで睡れてよかった。入浴と睡眠とは、これもわたしの味方。

今日明日明後日と家におれる。珍しいこと。

近々の金曜には「反原発」を下に秘めた俳優座公演。 次いで日曜には、期待と不安の、新しい眼鏡が出来ている筈。そして月曜の歌舞伎は、江戸以来の顔見世興行。

松嶋屋仁左衛門の「熊谷」休演と聞いているのが残念至極、とはいえ代役に、音羽屋松緑とは、期待も大いに大いにあって、楽しみ。妻は「松緑」襲名の弁慶いらい大の贔屓。

「汐汲」の山城屋藤十郎は言うに及ばない、彼が扇雀・鶴之助の花形上方芝居で大いに鳴らした頃から、そして鴈治郎時代も通してのわれわれ大の贔屓。

大切り「四千両小判梅葉」の前評判も高い。音羽屋菊五郎御大以下、大勢の役者が勢揃いの賑やかな黙阿弥芝居が楽しめます。元気に観てきたいです。

その翌日は歯科に通い、その後は、二十九日に、これも期待に胸も熱くなる福田恆存作・嗣子福田逸演出、夫婦ともお招きの大作「明暗」が、建日子もふくめ、われわれを待ち受けている。

ようやく通院ラッシュからも徐々に抜け出して行けそうな気配で、有難い。

何でもいい、楽しめる限りは何でも楽しみにし、病苦と懸命に対峙し克服しなくては。

本音をいえば、「喜壽」の祝いに、師走の休薬期に三泊ほど京都へ出かけられないかと、半ば本気で願っている。こころおきなく京都に身を置いて京都の山川を眺め、空気を吸ってきたいのだ、墓参もしたいし、顔を見たい人もいる。新幹線は坐ってさえいれば、たとえ寝ていても済むし、京都はタクシーの使い道が東京とは段違いに好適なんだし。

無理で無ければ、出来れば建日子も一緒に行ければ最高なんだが。彼はいまもべらぼうに忙しそうだから。ムリかなあ。

主治医と相談すれば、止めるより奨めてくれそうな気がする。

 

* 九時半、完全に眼は霞んでいる。もう、よそう。

2012 11・13 134

 

 

* 血圧127-63(66) 血糖値77 体重66.2kg   朝、渋皮煮大栗一つ 薩摩芋旨煮三つ 珈琲フレンチトースト一枚 朝の服薬 大排便 映画の途中から国会党首(自民。国民の生活第一 公明のみ)の政治不在の討論を聴く 納得せず 仕事 夕食 鰊蕎麦 ポテトスティック スープ 渋皮煮大栗一つ 薩摩芋旨煮一つ 凄いほど排ガス大連発 入浴読書六冊 浴後体重65.4kg

2012 11・14 134

 

 

* 血圧131-59(54) 体重64.0kg   朝、フレンチトースト一枚 ヤクルト 柿 カマンベールチーズ一切れ  蜂蜜紅茶 朝の服薬 休薬期の微かにも安楽なのを今期自覚した。服薬の重苦しさを初めて感得したということ。立ち向かわねば。 午前、仕事。午は、鰊と揚げ二枚のうどん カマンベールチーズ四分一 渋皮煮大栗一つ 薩摩芋旨煮二つ 午の服薬 午後仕事  夜食 はて何を食べたのか 夜の服薬 入浴読書六冊 浴後体重65.4kg

 

* 「湖の本」114の初校ゲラが届いた。原稿づくりに慎重を期したので、眼の状態さえよければ早く進む。眼の方は、十八日の眼鏡の出来で少しく決まってくる、今後の動揺も覚悟しているが。

 

* 宇治の伊藤隆信さんから贈られてきた神宮道の割烹「波多野」手作りのいろいろは、みな口に合い、ことに渋皮煮の大栗、たぶん小布施の大栗かと想うが、とても美味しい。薩摩芋の旨煮も。鰊は蕎麦に添えている。商品ではない、「波多野」でわたしのためにいろいろ瓶詰めにしてくれたもの。有難し。

この店の向かいに馴染みの星野画廊がある。北向けば平安神宮朱の大鳥居がみえ、南へすぐの三条通りをこえるとそのまま坂道が青蓮院や知恩院へ誘う。

少年のころ、坂のあるこの界隈は自転車乗りの絶好域で、粟田坂でも三条大通りでも知恩院前でも下りの疾走を盛んに楽しんだ。しかし二度、トラックや車に接触して危なかった。軽傷で済んだ。

2012 11・15 134

 

 

* 十二月早くに 建日子が「いっしょに京都へ行ってもいい」と言ってくれている。妻は、黒いマゴのために留守居しようと言う。これは残念だが、黒いマゴも大事に世話してやりたい年齢へ来ていて、われわれにそれは親しく懐いているので、淋しい留守番に家に閉じ込めて出るのは可哀想。

建日子とは、彼の少年時代に一度、成人してからも一度、関西へ旅している。けっしてこれが最期と思っているわけでないが、超多忙の建日子が喜壽を祝って同行してくれるのは、とても嬉しい。新幹線の手配や、宿の手配なども頼まねばならないが、体調次第では彼にきつい負担もかけかねない。抗癌剤一週間の休薬期中に二泊と思っているが、さ、どんなものか。内心の予定では、帰ってきて翌日に腫瘍内科の診察を受ける。

あまり病状を軽くみて軽挙妄動になってはならぬが、ま、大丈夫だろうとも、かすかに楽観している。

 

* 八、九、十月の外出よりは減ると思っていた十一月も、十三回の外出、になる。ただ今日の、ボジョレーヌーボー予約のワインを受け取りに保谷駅まで出るのは、明日の俳優座観劇の帰りにと省略した。

十二月は、さすがに外出予定も減っていて、病院の診察や歯科眼科が若干加わってくるだろうが、加えて京都行きがあれば、楽しくもあり疲労も出ようか。

十日には尾上菊之助が花魁八ツ橋を演じる「籠釣瓶花街酔醒」が楽しみで。二十日には松本紀保らのミュージカル公演があり、出来れば喜壽当日には国立劇場での通し狂言、吉右衞門以下、華やかな顔ぶれの「鬼一法眼三略巻」が観られないだろうかと尋ねないし高麗屋にお願いしている。明けて二月の染五郎復帰、日生劇場の公演はもう確保できている。

着々と新歌舞伎座のこけら落としが近づいてくる。何としても観に行きたいなあと、そんな願いをも闘病の力にしている。

2012 11・15 134

 

 

* 血圧135-64(62) 血糖値71 体重65.0kg   朝、ゆで卵一つ 狐うどん 柿 蜂蜜紅茶 ヤクルト 朝の服薬 今朝から朝夕、「抗癌剤」服用再開  午後、俳優座公演「いのちの渚」反原発を含意の劇を観る。広報誌「コメディアン」に批評寄稿を懇望される。 遅い昼食はケーキ半分とたっぷりの珈琲 服薬 保谷駅で、予約しておいたボジョレーヌーボーを受け取り帰宅。 晩は、柿、おでん 昆布巻 フレンチトースト半枚スープ。 夜の服薬 夜の仕事

2012 11・16 134

 

 

* 十時半、さ、やすむとしよう。

妻は京都への旅をすすめてくれる。建日子も同行してくれる。

この体力や体調で、「軽挙妄動」になっては闘病の実を無にしてしまう。それが気がかり。行ってみたいが。

2012 11・16 134

 

 

* 血圧128-59(59) 血糖値69 体重65.2kg   朝、揚げ二枚の蕎麦 昆布巻 林檎 朝の服薬 午前の仕事 午は、飯に振掛け一膳 柿 蒲鉾 味噌で清酒少し 午の服薬 午後の仕事 夕食 晩の服薬 排便 夜の仕事  眼の状態は従前に同じいが、点眼と洗眼に頼む。 顔つきにやや生色戻るか。

2012 11・17 134

 

 

* 正月初春歌舞伎の案内が来た。昼は同級生の片岡我當が三番叟の「翁」でめでたく新年の幕を開けてくれるという。彼に座席を頼み、夜には幸四郎の「逆櫓」が楽しみで、高麗屋へ、別の日にとお願いした。

二月には、日生劇場で染五郎が復帰の舞台を勤める。

三月だか四月だかには新歌舞伎座の「こけら落とし」興行があろうと期待している。ぜひにと願っている。

新年の、はんなりした楽しみに励まされたい。五月一日から服用し始めた抗癌剤での闘病、あと半年つづく。もっともっと続くだろう、いろいろに。頑張る。

 

* 観るから幽霊顔であったのが、少しずつ昔顔へもどって来ているのかと感じたりする。しかし、身のよろよろ、よたよたは変わらないし、もっと頼りなくもなりかねない。どうあろうと立ち向かうまで。

2012 11・17 134

 

 

* 明日は待望の眼鏡を受け取りに行く。これまでと違い相当な不十分に動揺するだろうが、辛抱良く視力の移動を追っかける覚悟で、眼鏡も作り直し作り直して立ち向かうしかない。右眼レンズが真っ黒な眼帯かわりの眼鏡も追加して作りたい気がしている。

2012 11・17 134

 

 

* 血圧122-61(61) 血糖値73 体重65.2kg   朝、中華風握り飯一つ 蒸し薩摩芋薄輪切り一つ 蜂蜜紅茶  午前の仕事  朝の服薬 昼食 カレーライス 午の服薬 午後、調製した眼鏡を受け取りに江古田駅前へ。パソコン用と遠用とが出来た。右眼の不安定があり万全とは行かないがあと半年は新しい眼鏡を更に作るのは無駄だといわれる。七つ八つ残してあった古眼鏡の古い物がなんとなし今使える。理由は分からない。 晩食、おでん 白飯に振り掛け 晩の服薬 入浴読書六冊 後の体重65.4kg  ボージョレーとブルーチーズ

2012 11・18 134

 

 

* 午後に、新しい眼鏡を受け取りに行く。少なくも現状より改善されているといいが。難しいかな。

新しい遠用、パソコン用の眼鏡を持ち帰った。まずまずか。とにかくも半年はこれで、と。せっかちに作り直しても大差は出ないと。腹をくくってこれでやって行く。日蝕用のパツチ眼鏡で右眼を隠すといい、疲れたならと。幸い妻が残し持っていて、左眼は明るく切り取り、右眼の真っ黒をのこしたのが使える。掌で右眼を蔽っているのにも限度があり、助かる。

2012 11・18 134

 

 

* やはり長時間の読み書き仕事では、新しい眼鏡でも霞んでくる。眼鏡のせいで無く、眼の酷使ゆえと思わざるを得ない。もう、やめよう。

2012 11・18 134

 

 

* 血圧118-57(59) 血糖値86 体重65.2kg   朝、きつね饂飩 朝の点眼 服薬 大排便 午前仕事 午は、フレンチトースト スープ 午の服薬 午後仕事少しして、新梅演舞場の顔見世歌舞伎に出かけた。劇場での夜軽食のあと抗癌剤など服用。 十時前に、帰宅

2012 11・19 134

 

 

* はねて、日比谷のクラブで休んで行こうかと帝国ホテルの前まで往きながら、食欲無く酒にも気が無く、  Uターンして保谷へ帰った。明日はまた歯医者に行く。

2012 11・19 134

 

 

* 血圧131-59(70) 血糖値75 体重65.0kg   朝、きつね饂飩  柿 蜂蜜 朝の点眼 服薬 手先の痺れ 涙目 いつも通り  午前仕事 午、きつね蕎麦 午の服薬 午後歯医者へ 義歯一本入れる 便意あれど排便せず 夕食 スープ グラタン 振り掛けて白飯一膳 夜の服薬

2012 11・20 134

 

 

* 手先の痺れつよく、頻繁にモノを取り落としている。涙目も洟水の零れ落ちるのも相変わらず、眼は疲れやすい。抗癌剤を、休薬あけからまた服用して五日目、やはり顕著に副作用が迫ってくる。瞑目してじぃっとしている時間が多い。目を開いていたくない。

食べ物も、殆どがきつく苦いか、まるで味ないか、食べにくく、限られた食材を繰り返し食べている。口の中が耐えがたく灰を含んだようになると、焼酎かウイスキーの一垂らしでカアッと辛く燃やすようにしている。読書の量も、堅い本と小説類を全部でなく、半々に読むようにして視力を労っている。

健康に関してはきびしく叱ってくれる読者もいて有難い、が、所詮は元気に自身で決するよりない。そのためには、多角的に自身の楽しみ、創作も観劇も私語も、またいろんな外出も、を堪能できる気力を根気よく高めていく。「立ち向かう」ということの、それが姿勢である。

2012 11・20 134

 

 

* 血圧125-61(63) 血糖値77 体重65.5kg   朝、フレンチースト一枚 スープ 朝の服薬 涙目 手先・足裏の痺れ 足首の痒み 色素沈着 午前仕事 午、きつね饂飩 午の服薬 大排便 午後仕事 夜、飯 お萩二つ 百合根汁 夜の服薬 入浴読書六冊 浴後体重59.7kg 夜仕事

2012 11・21 134

 

 

* やはり眼の不安定は改善されず、新調の眼鏡でも長時間はとても保たない、眼は霞んでくる。

2012 11・21 134

 

 

* 血圧123-62(55) 血糖値76 体重65.7kg 朝、ラーメン三分二 蒲鉾数切れ ヤクルト 朝の服薬 手先の痺れやや軽いか 但し冷たく手袋する 涙目、眼の不調は顕著、午前仕事 午、飯一膳 玉葱と白菜とポテトとベーコンのシチュー スープ以外は味わい無く 柿半分 昆布巻二つ 午後仕事 霞み眼になると処方されている点眼薬ヒアレインを用いる。一瞬ドライアイが潤う 地元の眼科先生もこの点眼薬は気兼ねなく使うようにと。 聖路加眼科は他にフルメトロンが良く効くからと処方してくれ、地元眼科ではフルメトロンはやめ、右眼にのみクラビットを日に四回使うようにと。二人主治医制を選択したのだがなかなか難しい。晩、飯一膳に海苔佃煮 大根と豆腐との煮込み コーンスープ 晩の服薬 食後二時間近く寝る 九時米倉涼子の連続ドラマは楽しんだが、体疲労。師走初めの息子との京旅行を断念。 再々眼を温水で洗う。 粘った唾液。 それでもこの程度では苦痛など無い、十分家で普通に生活可能。 抗癌剤による死亡事故の新聞記事。「薬のことは分からない(担当医)」外科より腫瘍内科に今後をお願いしてよかった。こう書いている間も、涙目・霞み目だけでなく、涎も垂れかねない。五体の内、抗癌剤の副作用は、わが顔のほうへ攻めかかっている。そして手先・足の裏の痺れ。

2012 11・22 134

 

 

* 建日子から新幹線や宿についての知らせが、晩にあった。抗癌剤からの負担はじりじりと濃くなってきている。しかも体が寒さに圧されている。出かける当日のことは予見できないが、出先のホテルでダウンしていては建日子が困惑する。軽挙妄動とまでは思っていないし多少の無理は利くと思うけれど、病人が無理を押すのも賢くないと、師走の京都行きを断念。建日子が同行してくれるという申し出はほんとうに嬉しかったが。その嬉しさを喜壽の祝いと受けとって置く。

こう書いている間も、涙目・霞み目だけでなく、うかとしていると涎も垂れかねない。五体の内、抗癌剤の副作用は、わが顔のほうへ攻めかかっている。そして手先・足の裏の痺れ。

2012 11・22 134

 

 

* 血圧127-58(57) 血糖値85  体重66.0.kg  朝、小さなホットケーキ二枚 蜂蜜紅茶 朝の服薬 大排便 午前仕事 午は、粥一膳 白菜・玉葱・ベーコン・ポテトの煮物 そのスープ 午の服薬    午後仕事 創作の仕事を少しずつ追っている。それにしても眼疲れと視野が霞んで、ときどき眼球がかるく痛む。抗癌剤を飲んでいる間はめがねの度をどう合わそうが綺麗に役に立つとは想われません、作り直しは今から半年より以降にして下さいと眼鏡屋は言う。どうやら随うしか無い。 いつも午後がしんどい。 晩は烏賊の旨煮が苦くて食べられず  卵かけ飯で済ます 日本酒もすこし飲む 酒類は口の苦みを灼いてくれる。 晩の服薬  晩の仕事 頑張る。

2012 11・23 134

 

 

* 血圧119-55(61) 血糖値87  体重65.5.kg  朝、小さなホットケーキ二枚バター 蜂蜜紅茶 珈琲 ヤクルト 朝の服薬 涙目 視野不安 午前仕事 午は、卵出汁で蕎麦 クッキー一枚 午の服薬 眼の疲れかすかな痛みさえ 両足・足首への色素沈着と痒み 午後仕事 晩、とんかつ小さい二きれ スープ 白飯一膳 ウイスキー少し 入浴読書六冊 浴後体重64.7kg。

2012 11・24 134

 

 

* 入浴して今晩も六冊の文庫本を堪能した。浴後の体重は64.7kg。また減ってきた。

2012 11・24 134

 

 

* 血圧135-61(62) 血糖値82  体重64.5.kg  朝、排尿 体重測定 口漱ぎ 温流水で両眼洗い 血圧・血糖値計り 食前のインシュリン注射 タブロス両眼 ヒアレイン両眼 クラビット右眼に点眼 それから朝食が毎朝の手順 飯一膳 蜆汁二杯 紅茶 ヤクルト 朝の服薬 大排便  手冷たい 午前仕事 午はカレーライススープ 柿 午の服薬 再び排便 かなりしんどいが 午後仕事 白鵬の優勝に感激 夜食 きつね蕎麦 スープ 晩の服薬 平清盛を楽しみ 夜の仕事 目の眩しさ極まる 九時だがもう休む。

2012 11・25 134

 

 

* 血圧111-52(63) 血糖値87  体重64.5.kg  朝、スープ 中華握り飯一つ足らず 紅茶 ヤクルト 朝の服薬 点眼 三連続尋常排便 今朝は立ち居のよろけ目立つ 午前仕事 午、小餅粥 スープ 卵でまぶした豚肉は苦さに堪えず 午の服薬 午後仕事 目の不調につい瞑目中しばらく機械の前で寝入っていた。よくあること。 晩、白粥二膳 晩の服薬 入浴もせず、晩もいろいろ「仕事」してきた。目は霞んでいる。もう読めないし書けない。

2012 11・26 134

 

 

* 目の不調につい瞑目中しばらく機械の前で寝入っていた。よくあること。

入浴もせず、晩もいろいろ「仕事」してきた。目は霞んでいる。もう読めないし書けない。

2012 11・26 134

 

 

* 血圧119-58(57) 血糖値85  体重64.6.kg  朝、飯一膳 茹卵半分 紅茶 ヤクルト  朝の服薬  両眼温流水で洗って 点眼 西新宿まで  直樹都知事候補の事務所開きに、友人として夫婦で出向く。 帰路、西武百貨店で少しでも食が進むようにと葛餅など買い物 八階食堂街で、食べられるのではと期待して注文した黒毛和牛のハンバーガーステーキ コーラで口腔洗っても苦く、三分一も食べられず 小さなデザートだけの昼食 午の服薬 保谷駅で車拾えず歩く 帰宅 疲労濃し 晩は、葛餅 善哉二口ほど 柿半分 外出中涙目と洟水 日射しあまりに眩しく。

2012 11・27 134

 

 

* 今日は、ほんとうは歩いてまわれる体調で無かった、が、久々に  直樹の顔が見られ、それなりに仲良く話せてきたのが愉快に嬉しかった。異なる見解は見解、ペンクラブでの永い永い理事会や言論表現委員会でのまじりけない協力や激論はわたしには今もある種の「財産」なのである。十あれば八つは仲良く歩調を揃え、しかし二つほどは双方会議室がわれそうな声で議論してきたのだ。しかもしこりは残さなかった。彼もわたしも、出す本出す本を送り合ってきた。彼の本は、さきにも言ったが、優れた批評を成して、しかも面白く読ませる。おっそろしく多彩な勉強家であり、それ以上に実行家。都の副知事としてはさぞ優秀であったろうと掛け値無しに感じ取っている。

 

* 帰りの池袋西武では、完全に食べ損ねてきたが、目に付いたとても温かそうな白いカーディガンを見つけて、買って帰った。十二月十日の演舞場歌舞伎、菊五郎菊之助父子で演じる「籠釣瓶花街酔醒」の日に着て行こうと。

手さきも足の裏も痺れて感覚鈍く、しかも冷たい。貧血のせいか。温かい手袋をし、まふらーを頸にしっかり巻き、杖ついてよたよた歩いている爺は、よほどに人様には見えるかして、電車では親切に席を譲って下さるお人が多い。嬉しく有りがたく、座り込むと目をかたく閉じ、杖に顔を伏せ、はあっはあっと重い息を吐いている。

だが、頭の中では、創作を思案し、仕事のあれこれを予定もふくめ考え、また、たくさんな、あまり巧くもない歌や句を按じていたりする。残念だが眩しい戸外で本は読めない、が、そういうわたしは少しも病人でない。「仕事」は前へ前へ進んでいる。

ただ、うまく、おいしく、苦くなく食べたい。ある程度量を食べていないと、体重が落ちて行くのがわかる。64、5キロのレベルをなんとか維持しないと、抗癌剤を減らされてしまう。どんなに重苦しくても抗癌剤はしっかり服し続けたい。

 

* まだ九時だが今夜はからだを休ませてやろう。

2012 11・27 134

 

 

* 血圧129-62(60) 血糖値88  体重64.4.kg  朝、床の中で校正 朝食、葛餅 蜂蜜生姜入りミルク紅茶 朝の服薬 午前中テレビ聞きながら校正ゲラの整備 午、きつね饂飩 梨二切 干菓子長生殿一つ 午の服薬 午後仕事 晩、団子 茶碗蒸し 豆腐煮も飯一膳も食えず 服薬 腹鳴凄い。 晩の服薬 晩の仕事 入浴時の本二冊しか読めず 浴後体重 64.4kg

2012 11・28 134

 

 

* 機械画面が眩しくてもうとても堪えられない、やすむことにする。

明日午後の楽しみは、劇団昴の主宰福田逸さんから夫婦招待の恆存先生作『明暗』を、サザンシアターで、建日子も一緒に観ること。感銘深い舞台が福田逸さんの演出で観られると、すこし嬉しい期待に緊張さえしています。明日で抗癌剤服用は、また一週間休薬になる。重苦しくよたよたした体勢を、しっかり立て直したいもの。 2012 11・28 134

 

 

* 血圧121-54(60) 血糖値81  体重64.4.kg  朝、みたらし団子五つ 茶碗蒸し 茶漬け飯一膳 蜂蜜入りミルクティ 朝の服薬 点眼  朝仕事 昼過ぎ新宿へ サザンシアターで福田恆存作福田逸演出「明暗」を夫婦と息子とで観る 高島屋十四階で中華料理と加飯紹興酒 よく食べられた 晩の抗癌剤服用 帰宅 抗癌剤以外の服薬 少し腹痛を覚えた

2012 11・29 134

 

 

* 血圧110-54(64) 血糖値84  体重64.9.kg  朝、ヒーナッツクリームとパン 梨少し 蜂蜜ミルクティ 朝の服薬 今日から抗癌剤「TS1」一週間休薬 大排便  午前仕事  午、何を食べたやら。午服薬 午後全党首討論会を聴く 夕刻の仕事 夕飯、白飯 塩昆布 粕汁二杯 カステラ一切 入浴読書五冊 浴後体重63.6kg 排便

2012 11・30 134

 

 

* 血圧123-61(64) 血糖値100 体重64.9.kg 朝、カステラ一切 トースト三分一 ミルク珈琲 ヤクルト 朝の服薬 歯科へ 一路帰宅 午、饂飩 出汁に卵溶いて 酒粕 午の服薬 休息 午後の仕事 晩は、白粥二膳 好きな生の酒粕「白鶴」を美味く食べた。 晩の服薬後 夜仕事十時半まで。 終日涙目と洟水に悩まされ、目も霞んでいる。 休む。

 

* 写真をホームページへ入れる方法が、機械的に変更になったのか、わたし自身の理解不足か、今までのように新しい写真を入れられなくなって三ヶ月も経つ。しょうがない、エイとばかり同じホームページの中の遠い昔の自影を引きずり出した。平成七年、退役にもう一年にちょうどもう一年の春、東工大には桜が満開の頃だ、この前年には、つか・こうへいに師事していた秦建日子が劇作家としてデビュウしていた。

教授室なのに本棚に本が無い。読みもしない本を研究費と称して浪費する気はなかった、読むべき本は家にある、学生に伝えたいものごとは頭にある。からの本棚はそれなりに講義用の物置としてちゃんと役に立っていた。趙即之の「方丈」二字が好きで、ひょいと置いてあった。お喋りに寄ってくる学生達が男女ともいっぱいいた。

なにより元気そうに見える。

いまのわたしは、最重量時からは23キロも痩せ、親しい知人でも見誤り一瞬言葉を喪うほど見る影無いが、それでも、63キロ半ほどあるし、頭の回転は変わっていない、気で、いる。

2012 12・1 134

 

 

* 歯科へ。そして一路帰宅。昼食後、ちょっとしたテレビドラマに、機械前への足を止められていた。比較的好きな男優の主演作で、根の深く遠い警察犯罪を追究していた。こういう刑事の奮闘には、新聞記者のような「書き手」の協力しているパタンが「相棒」などにも見えている。たしかに刑事だけで組織の伏魔殿を掃除することは難しいことだろう。海外映画では「放送・放映」を頼む作を幾つか観てきた気がする。

2012 12・1 135

 

 

* 血圧116-54(57) 血糖値86  体重64.8kg  朝、牛乳粥 栗 カステら 珈琲 朝の服薬 テレビ討論二つ聴く 校了作業 午、掛け蕎麦 カステラ 焼芋 午の服薬 午後仕事 晩は、粥、餃子 カステラ 晩の服薬 排便二度

2012 12・2 135

 

 

* 血圧128-51(61) 血糖値86  体重64.8kg  朝、ほぐし鮭と白粥 カステラ一切 柿 蜂蜜紅茶 朝の服薬 軟排便 午は、きつね饂飩 午の服薬 午後の仕事 晩は、カレーライス 甘納豆で抹茶 晩の服薬 仮眠 夜の仕事

2012 12・3 135

 

 

* 血圧124-63(59) 血糖値77  体重64.5kg  朝、高麗屋蕎麦と卵出汁 ヤクルト 朝の服薬 午前仕事 午、焼売二つしか食べられず、蒸かし芋も。 午の服薬 午後の仕事 創作はかどる。 ものを腹に入れると腹中が賑やかに騒ぎ立て、息づかいにも響く。 もう一つの最近の異常は、とくに夜中、色素沈着の這い上がってきている脚、足首に猛烈な痒みを覚える。発疹は認めにくいが、無数の点となって色素沈着が観て取れる。抗癌剤「TS1」の副作用にも「痒み」出ることが明記されているが、感染症内科から処方されている二種類の錠剤にも「痒み」が出るかもと説明書にある。手先のしびれ、足裏の鈍重感も、そして相変わらずの眼の疲労と霞み、涙、洟水、みなずうっと日頃悩まされている。しかし痛い苦しみは皆無で、頭髪がむちゃに減ってきてもいないし、全て堪えられる。しんどくなれば、瞑目し、寝るか湯に浸かるかすればラクになる。楽しみがあればほんとうに何でもない。ただものが美味しく食べられれば嬉しいのだが。食べられる種類は或いは増えてきたのかも知れぬが、大方は全く味が分からないか、甚だしく苦い。加えて濃い粘体となった痰のような唾を吐いている時がある。 晩は、強飯 林檎三分一 甘納豆 蜂蜜 長生殿など甘味 晩の服薬 下痢二度 晩の仕事 入浴読書六冊 浴後体重64.4kg

2012 12・4 135

 

 

* 血圧131-65(65) 血糖値 91 体重64.5.kg 朝 高麗屋蕎麦 炒り豆少し 焼酎少し 長生殿一枚 朝の服薬 午前の仕事 午は抜き 午後の仕事 晩は、薩摩芋揚げ数枚 酒粕 炒り豆 焼酎など 晩の服薬 入浴読書 晩の仕事

2012 12・5 135

 

 

* あすで、休薬一週間がもう終え、明後日からまた抗癌剤を呑む二週間が始まる。腫瘍内科へ受診そして処方薬をもらってくる。気をしっかり強く持ち、挫けず立ち向かう。

2012 12・5 135

 

 

* 血圧85-44(77) 血糖値73  両眼の涙変わらず 体重64.4.kg   朝、振掛け茶漬け ヤクルト ヨーグルト 朝の服薬 聖路加腫瘍内科の血液検査結果、腫瘍マーカーの値が増えているので、緊急にCTスキャン 加えて抗癌剤の副作用が重いのと、眼の角膜を副作用が傷つけている懼れがあり、やはり緊急に眼科で角膜を診てもらいましょうと。癌マーカーの値が増えているのが、癌細胞の残存や転移・増殖を示しているのかどうかは、CTスキャンで判断しますと。いずれにし抗癌剤副作用が角膜を傷つけているとすると放置しては失明にもいたるので、明日から予定のの服薬を止め、もう一週間休薬をのばして状況に改善があるか診ましょうと。

眼科では、腫瘍内科から依頼した医師でなく、いつもの担当医が診察し、すこし角膜は傷ついており、周辺に充血もみられますねと。フルメトロンの点眼継続に効果を期待しましょうと。フルメトロンはもう一ヶ月以上用いている。地元の眼科医にはフルメトロンはよした方が良いと言われている。病院眼科の担当医に、抗癌剤「TS1」の認識や理解があるのかどうか覚束ない。

処方薬を受けとり、かなり遅い昼夜兼帯の食事を銀座三笠会館中華料理で。幸い、ほぼ全てを食べた。香辛料などの強い刺激がむしろ食の苦さを抑えてくれるのだろう。貧血感覚相変わらずつよく、視界不鮮明の儘、よたよたと杖にたすけられ、銀座から池袋経由、保谷からタクシーで帰宅。今日は終日、視界眩しくて閉口。

2012 12・6 135

 

 

* 血圧134-64(59)  血糖値77  両眼の涙変わらず 右眼不調かすかに痛みも 体重64.8.kg   朝、高麗屋蕎麦 小饅頭一つ 酒粕少し ヤクルト 朝の服薬 快排便  地元の佐藤眼科受診眼鏡も含めて視力動揺しているが、角膜に心配はないと。目薬は、フルメトロンもクラビットもやめ、緑内障用のタブロスを規則的に一日一度点眼、他に、ヒアレイン「角結膜上皮障害治療用点眼剤」を回数に拘泥せず使用するようにと指導された。午は、スパゲティ、柿、酒粕など。 服薬 疲労して午後休息 晩は、梭子魚一尾 飯 海苔 ほぐし酒 晩の服薬 強い地震眼の不調に疲れる 晩も休息したい。

2012 12・7 135

 

 

* 義妹から手編みの襟巻きをもらう。じつは寒くてはやくからボロ襟巻きを寝ているときも欠かせなかった。感謝。

吉野葛が美味しい。近所で買った白鶴の生酒粕も、焼酎も口に合っている。今夜は梭子魚(かます)も一尾食べられた。せいぜい食べるようにしている。間食もできるだけ好きにしている。

2012 12・7 135

 

 

* 血圧132-63(54)  血糖値84  両眼眩い 体重65.1.kg   朝、卵生姜出汁釜揚げうどん ヤクルト吉野葛湯 朝の服薬 午前仕事

午、葛切 梭子魚一尾 午の服薬 午後の仕事 涙より洟水 両眼眩い 晩は、吉野葛湯 梭子魚 蜆汁 飯に塩昆布 晩の服薬 晩の仕事九時まで十分に。眼霞んで眼鏡が役に立たない。

2012 12・8 135

 

 

☆  お元気ですか、みづうみ。

夕方の津波警報の出た地震は、大丈夫でいらっしゃいましたか。こちらの地区ではそれほど強い揺れではありませんでしたが、長く揺れたので福島がとても心配でした。幸い福島近辺の震源ではありませんでしたが、地震直後の確認には少なくとも二時間はかかるそうです。案の定、後から福島に少しトラブルがあったことがわかりました。

昨日の病院の結果拝見しました。みづうみは腫瘍マーカーの数値に動揺なさることはないと思いますが、気分はよろしくないですね。ですが、勘三郎さんのような若い世代とちがい、高齢者の場合は、癌は糖尿病のような慢性的疾患と聞いています。急に悪化するものではないので、気長におつきあいするおつもりで、ご療養くださいますように。

眼科の件について、以前にも書きましたが、ドクターに信頼をお感じになれない場合は、思い切って主治医を変えていただけませんでしょうか。

みづうみの眼は命のように大切なものです。眼の具合が悪くならないことのほうが遥かに大切です。 朱

 

* 眼科のことでは、いちはやく「院と地元の、二人主治医制」を申請し、地元の、かつて知名度の高い病院の眼科責任者であった先生の診療に、気分も診察も信頼している。

抗癌剤は昨日から休薬をさらに一週間延長されている。

2012 12・8 135

 

 

* 九時半。もう眼は霞んだまま、機械の字が読みづらい。

2012 12・8 135

 

 

* 血圧124-59(55)  血糖値75  両眼から涙 洟水  体重65.4.kg   朝、卵生姜出汁釜揚げうどん ヤクルト  朝の服薬 午前の仕事

午、蒸しパン 焼き芋 午の服薬 午後仕事 晩は、蜆の味噌汁二杯 揚げと小松菜とちくわの煮物 かます一尾 晩の服薬 晩はテレビを見て過ごす。

2012 12・9 135

 

 

* 血圧125-59(60)  血糖値80  両眼から涙 洟水  体重65.6.kg   朝、葛切り パン一つ 朝の服薬 午前仕事 快排便  午は、帝国ホテルでキールと洋食 新橋演舞場で二列目中央角席で歌舞伎を堪能 晩は劇場でとろろなめこ蕎麦、はねては一路帰宅。視野の動揺と涙、洟水には閉口。

2012 12・10 135

 

 

* 一路帰ってきた。銀座から席を譲って貰い、ただもう瞑目していた。瞑目がいちばんラクなのだ。

 

* 晴れやかに、いい五十五年めであった。ともどもに、健やかでありたいもの、と

 

願へども晴れぬ病ひの身を起こし来新年も「いま・ここ」に生く

 

「念々死去・念々新生」のわがいのち安々と生き安々と行かめ

2012 12・10 135

 

 

* 血圧99-45(88) 血糖値74  両眼から涙 洟水  体重65.2.kg   朝、粥二膳をくずし鮭で 菓子二つ 朝の服                薬 午前の仕事 午 生姜卵出汁で饂飩 ヤクルト 午の服薬 午後の仕事 眼の不調のほか体調は、休薬延長のせいか少しくラクになっている感じ。 また、飲食の範囲が徐々に復し始めているのかも知れぬ。目に見えて、麺類、酒類が旧に復しつつあり、塩辛いもの、味の濃いものが「苦み」を相殺してくれる感あり。眼だけは、まるで、よくならない。 晩、粥 蒲鉾・薄揚・百合根・葱の炊き合わせ・ヨーグルト・菓子 晩の服薬 晩の仕事

2012 12・11 135

 

 

* 眼が涙で潤み、霞んでしまっている。十時だが、もう休もう。

脚の痛い妻は近くの病院で対策してもらってきた。よかった。晴れやかに、晴れやかに。

2012 12・11 135

 

 

* 血圧135-65(62)  血糖値79  体重65.5.kg   朝葛餅 ヤクルト 朝の服薬 午前の仕事  眼は相変わらず不調 ヒアレインの点眼と温流水での洗眼、アイ浄綿での清拭で凌いでいるが 仕事を続けていると霞んでくる。抗癌剤休薬は今日で一応終え、明日腫瘍内科でCTスキャンでの結果を聴き、場合により治療計画に変更を見るかも知れない。 耳、特に左耳に、過去に例がなく吃驚するほど乾性の耳垢が多量に。右耳にはそれが無い。 午は、帆立貝入りの煮込み饂飩 ヨーグルト 午の服薬 午後仕事 晩は、おでん。  晩の服薬 入浴読書四冊 浴後体重 65.5kg   夜の仕事 温流水での洗眼とヒア悪辣に悪辣にあレイン点眼は、また清浄綿での清拭は、一時的だが、視野を明るくする。これに頼っている。やはり休薬延長の効果は有ったと思う。

2012 12・12 135

 

 

* 湯に浸かりながら馬琴の「南総里見八犬伝」ツルゲーネフの「猟人日記」ゲーテの「親和力」トールキンの「指輪物語」を堪能した。浴室での本読みは当分四冊に絞ることに。湯気でいくらか眼はらくでも、それでも霞んでくる。

 

* 明日は午前に腫瘍内科の検査と診察、CTスキャンの検査結果と腫瘍(癌)マーカーの値変動如何についての説明があるだろう。抗癌剤があらためて処方されるのかどうか。

午後は泌尿器科で排尿に付いての診察。たぶん、また一日仕事になりそう。どうあろうと動じないで受け入れ治療に立ち向かう。

2012 12・12 135

 

 

* 血圧134-62(54)  血糖値72  体重65.1.kg   両眼の涙変わらず  朝、おでん ヨーグルト 聖路加腫瘍内科診察 CTスキャンの結果に癌の残存や転移などの異常全く認められないと。安堵。明日から、また服薬を再開。一月へのスケジュールなど指示受ける。 薬局で二週間分二回、四週間分の処方抗癌剤を受けとる。 午、築地キャピテタルホテル和食「入舟」で鮓一人前、酒(妻と分けて)一合 キスと小海老の天ぷら一つずつ。 午後二時半 泌尿器科受診 排尿のより快調を期して新しい処方薬が来年四月まで出る。処方薬受け取り新富町から一路保谷まで。練馬高野台辺で夕焼けの富士山がみごとなシルエットに。 帰宅 今日は快晴だったのに光が眩しいということが無かった、涙は始終出ていたが。 八千歩ちかく歩いていた。 晩は、おじや おでん 焼酎少し ヤクルト 甘味の菓子 晩の仕事少し 米倉涼子の「ドクターX」最終回を楽しむ。 また仕事。

 

* 病院へ同行した妻から伝えたのだろう、CTスキャンの検査結果で、少なくも現在「癌巣」を示唆する所見が皆無であったのを、息子がいちばんに「よかった!」と妻のケイタイへメールを呉れていた。心配させたのだろう。よかったと思う。

2012 12・13 135

 

 

* もう眼がつぶれそうに疲れている。休もう。

2012 12・13 135

 

 

* 血圧122-65(60)  血糖値70  朝一番の裸眼視野、眼鏡の視野、クリヤーで往年に変わらず。残念だがものの十五分と続かない。両眼の涙変わらず 開眼に鈍い痛みも。瞑目が常習になっているが、それでは暮らせない 体重65.4.kg   朝、カステラ二切 葛湯 ヤクルト 今朝から抗癌剤服用再開 朝の服薬 快排便 午前の仕事  午は、コーンフレーク 午の服薬 二時間昼寝 仕事 晩は、巻き鮓 カブラと鰤の蕪鮓 薄揚げ葱などの煮物 晩の服薬 晩の仕事 やはり眼のほかはさして辛い体調ではない。 入浴読書五冊 浴後体重64.8kg  まずまずの一日。

2012 12・14 135

 

 

* 血圧122-55(54)  血糖値84  朝 洗眼 蕪鮓少し カステラ二切 蜂蜜生姜ミルクティー 朝の服薬 午前の仕事 午、挽肉掛けて飯 揚げと小松菜の煮びたし ヤクルト 菓子 午の服薬 午後の仕事 晩は コーンフレーク砂糖とミルクで 日本酒少し ヨーグルト 晩の服薬

2012 12・15 135

 

 

* 眼は、かすかに痛むほど霞んで、機械の字を読むのも二度三度目をしかめ瞬きしないと浮かんでこない。もう休むしかない。妻のピアノの稽古がたどたどしくまだ聞こえるのは八時にもなっていないらしい。

明日の投票のために、建日子がひとばん泊まって行くという電話が来ていた。妻は嬉しそう、わたしも心嬉しい。棄権されてはいかんのだ。一緒に投票場へ行けそうだ。嗚呼、期待したい!

2012 12・15 135

 

 

* 血圧124-62(57)  血糖値86  体重64.7kg  朝 洗眼  中華強飯一つ 揚げ小松菜煮びたし 葛小餅 朝服薬  快排便  総選挙等の投票 午 蕎麦 午服薬 快排便二度目 食べ物の旨い不味いに係わらず口に入る量、種別がやや増えているか 午後仕事  晩はなにを食したやら 晩の服薬 入浴 八時すぐに選挙速報が出て、そのまま機械の前で晩の仕事。

 

* 第二十五回京都美術文化賞受賞記念展のオープニング式典の案内が届いた。一月十八日。まだまだ動けそうに想われない、欠席やむを得ぬ。

2012 12・16 135

 

 

* 血圧130-65(67) 血糖値77  体重64.9kg 朝 洗眼朝食 朝の服薬 8:12のバスで 聖路加へ 九時半に着き 検査十時に終え しかも糖尿病と感染症両科診察が終わって支払いもしたたのが午後三時、それから一時間かけて院外処方の薬受け取り 銀座「ライオン」で、ビールと、六種類ソーセージ フライドポテト よく腹に入ったもの。  睡魔にまかせて銀座一丁目から保谷まで。タクシーで帰宅 晩の服薬 晩の仕事。 感染症内科外来で待機中、腫瘍内科の名取先生に声かけられ暫時歓談。一歳の赤ちゃんのあることなど。正月休み中の「電話診察」を忘れないようにと。

2012 12・17 135

* さすがに疲れている。「ライオン」では、やけ食いのようなもの。ソーセイジを注文したら「食べられますか、お腹いっぱいですよ」とウェートレスに案じられたが、この店では徳に気に入りの「フライドポテト」まで食べた。ビールはまだ馴染みを復旧出来ていないので小さいジョッキでよかったが、お店は遠慮無く中ジョッキを持ってきた。これは三分一ほど残してきた。

旨くなくても、せいぜい食べるようにと腹を括っている。食べられる種類を自然に増やして行く。

2012 12・17 135

 

 

* 血圧136-63(62) 血糖値83  体重64.8kg  朝起きの寝床で山下宏明さんの研究書、辻邦生さんの小説読む 朝食鰈干物、蕪鮓少し 梅干茶漬一膳 朝の服薬 快排便 便通あれば排尿も途切れず。尿はとぎれても出し切るようにしている。  午は、中華蕎麦がうまく喉を通らず少し吐いた 午の服薬 糖尿病の午注射3 単位が昨日の診察でよしになっていた。 脂肪が減って寒いでしょう風邪を引かぬよう言われてきた。 また排便 午後の仕事 晩は鰈半身、卵かけ飯 葛湯 焼酎すこし 晩の服薬 晩の仕事

2012 12・18 135

 

 

* 血圧130-56(65) 血糖値76  体重64.5kg  朝  洗眼 点眼 体重64.5kg  朝食白粥一膳と梅干、奈良漬 茶菓 朝服薬 韓流歴史ドラマ観て 午前仕事 午 肉饅 ししゃも 午の服薬 午後小説 目、疲れる ともすると瞑目して眠ったまま歩くので危ない。 洗眼してくる 珍しく空腹感に似た腹空虚感。 晩は、鴨鍋 飯一膳 干し柿 晩の服薬 入浴読書五冊 浴後 65.6kg   晩の仕事 希に胸が押さえられる感じ 重い荷物の時、急ぎ歩きの時。

2012 12・19 135

 

 

* 血圧132-67(65) 血糖値80  体重64.5kg  朝  洗眼 点眼 朝食  玄米粥 烏賊刺し R1ヨーグルト 朝の服薬 中野サンプラザに 松本紀保らのコンサート形式クリスマス・ミュージカルを楽しむ 昼、サンドイッチ 劇場で小排便 帰宅 晩は、「めで鯛」の姿焼 「福=ふぐ」 の一夜干し 麩の清まし汁 柿大根膾 飯一膳 日本酒 ヤクルト クリームコロッケ二つ 晩の服薬 洗眼 晩の仕事

2012 12・20 135

 

 

* さすがに視力も駆使して、いまは十時過ぎ、ぐたりと疲れています。今夜はもう休みます。

2012 12・20 135

 

 

* 血圧132-62(55) 血糖値90  体重64.9kg  朝  洗眼 点眼 朝食  赤飯 「めで鯛」と潮汁 蕪 ヤクルト 少し酒 朝の服薬 朝の仕事 国立大劇場で中村吉右衛門らの佳い歌舞伎を堪能 午は、柿葉鮓と弁当を妻と分け合い 午の服薬 どこへも寄らず帰宅遅い夜食 夜の服薬 今日は休息 今日は劇場でを含め三度排便

2012 12・21 135

 

 

* 血圧124-65(51) 血糖値88  体重63.9kg  朝点眼 朝食  鯛飯 潮汁 烏賊鮓 千枚漬 ヤクルト 朝服薬 秦建日子作二時間ドラマ 仲間由紀恵らの「悪女達のメス」観てから、機械の前へ。 昼 鯛チャーハン コンソメスープ 林檎・栗少しずつ 昼服薬 午後の仕事 晩は 鯛飯 蜆味噌汁 蟹爪クリームコロッケ二つ 千枚漬 R1ヨーグルト 晩の服薬 晩の仕事

2012 12・22 135

 

 

* 血圧137-60(59) 血糖値70  体重64.1kg  朝  洗眼 点眼 朝食 粥一膳 栗 服薬 薬の量の一気に多いせいか 下痢三度続く。 昼、きつね饂飩 蟹の酢の物 昼の服薬 下痢気味 次第におさまる 午後の仕事 眼疲れる 晩 飯 コンソメスープ 大根と鰊の鮓 ほっけ開き 少しずつ ヤクルト 晩の服薬 晩の仕事 十時半 もう眼が見えぬほど霞んで。 鳥目ではないのか。 寝る前に掌紋を成す筋の悉くが皹割れていて驚いた。初めて気づいた。クリームで緩和。

2012 12・23 135

 

 

* 眼霞んで、もう字が読めない。

2012 12・23 135

 

 

* 血圧126-62(60) 血糖値84  体重64.2kg  朝  洗眼 点眼 朝食梅干茶漬飯一膳 甘鯛 塩昆布 奈良漬 朝の服薬 午前の仕事 昼 グラタン 蒸しパン 昼の服薬 午後の仕事 晩 玄米牛乳粥少し 春巻三本 白菜と薄揚げの煮びたし ヤクルト 入浴読書五冊。 指先の痺れ 足首の痒み。 涙目 洟水 濃粘唾液 三者は連携しているのかも。 屡々温水で洗眼 そして口腔を綺麗に。 2012 12・24 135

 

 

* 十一時前。やすまねば。視野は朦朧。眼鏡も役に立たない。

2012 12・24 135

 

 

* 血圧126-58(60) 血糖値70  体重64.5kg  朝  白粥 梅干 塩昆布 温泉卵 朝の服薬 新刊湖の本発送用意昼 スパゲティ少し コーンスープ ビーナックリーム 昼の服薬 午後の仕事 視野不良で疲れる 睡眠 晩 粥いくら 梅干干柿 焼酎 ヤクルト 晩の服薬 晩の仕事

 

*日録の少ない日は、「仕事」に向かっています。

 

* 視野の動揺は止めどなく、したい仕事が停滞する。これが病気なのだと肝に銘じている。まだ九時なのに、やすむしかない。

2012 12・25 135

 

 

* 血圧135-63(63) 血糖値95  体重64.8kg  朝  蒸しパンにバター 蜂蜜紅茶 柿 朝の服薬 午前に盛大快排便 体重64.7kg

昼 狐蕎麦 柿 昼の服薬 午後の仕事 眼の不自由に書き仕事も読み仕事も寸断される しばしば休んで洗眼と点眼 目やに涙と零れる洟水と粘唾液はどう考えても一体のように想われる。 晩は 飯一膳に佃煮 ロールパン一つとジャム・ピーナツクリーム ヤクルト 晩の服薬 晩の仕事 難渋しながら続ける。 入浴読書五冊 浴後体重64.3kg。 握り飯二つ食す。

2012 12・26 135

 

 

* 九時。湯につかってきて、可能ならもう一度此処へ、機械の前へ戻ろう。

 

* 湯のなかで五冊の文庫本を読んできた。ツルケーネフの『猟人日記』の人間把握と文章・表現の強さ・妙味にはほとほと感嘆する。建日子に読んで欲しい。

浴後の体重64.3KGは、眼科退院以降、最低かもしれぬ。

2012 12・26 135

 

 

* 血圧139-62(54) 血糖値108 体重64.3kg  朝  海苔握飯一つ 柿 ヤクルト 朝の服薬  朝仕事 妻と西武デパートへ 雑煮用京味噌と、蛤を買う 例年は大晦日のわたしの仕事だったが。 遅い午食に西武地下「寿司政」で一人前の鮓と八海山を。 晩は、中華肉饅の皮だけ半分 コンソメスープ 晩の服薬  明朝より抗癌剤一週間休薬 中国の映像「石の海・石の盛」観て 晩の仕事

2012 12・27 135

 

 

* 血圧118-47(60) 血糖値92  体重64.6kg  朝    中華肉饅の皮少し 林檎半分 ミルク蜂蜜紅茶 R1ヨーグルト 朝の服薬 一週間抗癌剤休薬 徒歩で郵便局へ 昼 狐蕎麦 半熟卵一つ 昼の服薬 モックンの映画観る 洗眼  夕刻の仕事  晩 白飯一膳 魚少し ヤクルト 晩の服薬 晩の仕事 晩方すこし息が喘いでいたが、大事ない。 しんどいのは視力と視野との霞みだけ。 何とでも凌げる。

2012 12・28 135

 

 

* 走りすぎていないかと、それとない危惧の声がきこえる時がある。正直に言えば、疾走している。死期を早めようなどと微塵思っていない。こう生きたいと願うままを可能な限り、暴走ではなく疾走していたい、そういう人なのである、わたしは。霞んで見えないまま文字をまさぐりだして、書いている。禅人は愚かなと大喝を呉れるだろう。友人でも面色をおかして怒るかも。だが、ありのままに走りたければ走るのである。

2012 12・28 135

 

 

* 血圧131-60(62) 血糖値93  体重64.5kg  朝  握り飯一つ半 ジャガイモの味噌汁二杯 朝の服薬 茶の間・押入の片づけ仕事 大量に紙類を始末 昼は 中華肉饅の皮だけ 栗柿など 昼の服薬 午後も重い物を大量に隣棟に運び移し 力仕事に気が遠くなるほどよろよろと疲れた。 排便 量多く排便すると直後視野が数瞬明るいと感じる。 往年の中村勘九郎(後に勘三郎)が内蔵助、大竹しのぶがりく、宮澤りえが遙泉院を演じていた大河ドラマ『元禄繚乱』の総集編を観て休息 晩は 蜂蜜ミルク紅茶 甘鯛(ぐじ)のほぐしで飯一膳 柿・栗 氷菓子 晩の服薬 さらに片づけ仕事のあと、機械の前へ。 排便 入浴読書四冊 浴後体重64.9kg  浴後も二度下痢気味に排便 いま、十時半 眼が明るい。入浴のせいか。

 

*  朝目覚めたときが一日中で視野も明るく疲労もなく一番「健康」に感じる。食べて 服薬のあとにしんどさが始まる。ひどく疲れると小刻みにハアハアと衝いて出る浅い呼吸。しかし家の内にいると涙も洟水も少なく、ただ口腔壁の灰にまぶしたような、かつ濃い唾粘液がこびりついた状態は、「食」の味にも量にも、また体重にも影響する。それでも総じては、しんどさもこの程度か、辛いと歎いたことはない。

 

* 茶の間に堆積・山積した重い物どもの整理と、隣棟や二階等へ力仕事での片づけ仕事にしんそこ疲労した。合わせて「百五十五歳の夫婦」には「暮れの片づけ仕事」はきつい。ま、なんとか正月が迎えられようか。妻は明日からお煮染めなどに取り組む。このところ立ち居に困窮するほど脚が痛くて病院にも通っていた妻には、手伝う誰もなくて、可哀想に思う。近年は料理を買うことにしているが、やはりそれだけでは間に合わない。

2012 12・29 135

 

 

* 血圧111-53(60) 血糖値87  体重64.5kg  朝  洗眼 蕪鮓少し 梅干山葵茶漬一膳 和菓子 蜂蜜生姜紅茶 服薬 昼 ロールパン一つ ジャム 和菓子 昼服薬 午後仕事 晩 生湯葉包揚げ一つ ハンペン 酒 晩の服薬 晩の仕事  腹に力なし 洗眼 排便。

 

* 仕事しながら雨を聴いている。「聴雨」 好きな言葉だ。年納めの平和な雨であれ。

2012 12・30 135

 

 

* 血圧112-57(64) 血糖値89  体重64.7kg  朝  洗眼 ロールパンジャム 半熟卵 ミルク蜂蜜紅茶 朝の服薬  正月飾り 昼は、甘鯛のほぐし 握り飯一つを茶漬けに 栗 酒粕 焼酎 和菓子 体調重怠く 昼寝 仕事 晩は、酒 年越し海老天蕎麦 蛤汁 亡き談志の「芝濱」を聴く 夜の仕事 入浴前の体重65.3kg  入浴読書おさめは「南総里見八犬伝」「ゲーテ「親和力」ツルゲーネフ「猟人日記」辻邦生「夏の砦」 そして仕事納め。十時半。

2012 12・31 135

 

 

* 今年

正月五日 聖路加病院の人間ドックで胃癌と。

二月十五日、聖路加病院外科で、胃全摘。胆嚢全摘の手術    三月三日退院

三月十五日 高熱と強度脱水をともなう術後感染症で再度緊急入院 三月二十六日退院

三月二十一日 妻、狭心症 胸痛発作

三月二十三日 妻 保谷厚生病院入院 冠状動脈にステント挿入手術 翌日退院

五月一日より、腫瘍内科の配剤で、抗癌剤「TS1」服用開始

七月二十三日 右眼の黄斑変性および白内障手術に三度び入院  七月三十日退院

以降 抗癌剤の副作用に立ち向かいながら、療養の日々。妻には、両脚に間歇的強痛あり。老々、疲労。

十二月二十一日 喜壽  七七は始終苦なりとそれも良し苦あれば楽のよろこびが松  宗遠

2012 12・31 135

 

 

 

上部へスクロール